説明

プランターの付属固定具及び固定具付きプランター

【課題】日よけ、風よけ、雨よけ及びネット等の植物栽培用の補助部材をプランターに固定するための固定具をプランターに予め取り付けた状態で、複数のプランターを段重ねすることが可能なプランターの付属固定具の提供を目的とする。
また、上記固定具を付属部品としてセットにした固定具付きプランターの提供を目的とする。
【解決手段】プランターに装着したまま複数のプランターを段重ね可能な付属固定具であって、付属固定具は、被固定部材をプランターに固定するものであり、プランターの内側に差し込むための差込み部と、プランターへの装着部とを有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用容器として広く用いられている植木鉢やプランター(以下、プランターと総称する。)に保温や雨よけ部材、つる性植物のつるをはわせるためのネット部材等の一端をプランターに固定するための固定具に関し、特にプランターとセット販売するのに有効なプランターの付属固定具及び固定具付きプランターに係る。
【背景技術】
【0002】
プランターにて栽培する植物の種類によっては日よけ、風よけや雨よけが必要であったり、つる性の植物にあってはつるをはわせるためにネットが必要となる。
このような場合にプランターに支持具や固定具を取り付けて、当該プランターに支柱を立設したり、骨組材を固定したりする方法が採用されている。
例えば、特開平9−187173号公報には、支柱をアーチ状に撓ませた状態でプランターに立設するための支柱支持具を開示し、実開平3−10527号公報には、骨組材をプランターに固定する固定具を開示する。
また、実用新案登録第3054715号公報には、プランターに支柱を取り付けるための支柱の保持具を開示する。
しかし、上記公報に開示するプランター用の支柱支持具や固定具にあっては、プランターの内側の土壌に突き刺すための差込み部の横断面形状が90°に湾曲していたり、当該差込み部に半円柱状の突出部や内側に突出したクランプ等を有しているために、プランターに上記固定具等を取り付けた状態では複数個のプランターを段重ねにしようとしても上側のプランターの側壁外側が下側のプランターに取り付けた固定具等に干渉してしまい、段重ねにすることができなかった。
従って、従来からこれらの固定具等をプランターとは別売りにしたり、別梱包にして販売している。
また、プランターに植物栽培をしない場合には、プランターから固定具等を取り外してプランターを段重ねしていた。
これでは、複数個のプランターを取り扱うには不便であった。
【0003】
【特許文献1】特開平9−187173号公報
【特許文献2】実開平3−10527号公報
【特許文献3】実用新案登録第3054715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、日よけ、風よけ、雨よけ及びネット等の植物栽培用の補助部材をプランターに固定するための固定具をプランターに予め取り付けた状態で、複数のプランターを段重ねすることが可能なプランターの付属固定具の提供を目的とする。
また、上記固定具を付属部品としてセットにした固定具付きプランターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプランター付属固定具は、プランターに装着したまま複数のプランターを段重ね可能な付属固定具であって、付属固定具は、被固定部材をプランターに固定するものであり、プランターの内側に差し込むための差込み部と、プランターに装着するための装着部とを有していることを特徴とする。
段重ねが容易なプランターとしては、底部と、底部から90°を超える角度で外側に傾斜して立設した側壁部を有するプランターがよく、付属固定具の差込み部はプランターの側壁内側に沿って差し込み可能なプレート状になっているのが好ましい。
【0006】
底部から90°を越える角度で外側に傾斜して立設した側壁部を有するプランターは、同じプランターを複数段に段重ねすることが容易である。
この場合、底部の広さよりも上部の開口面積が広い有底容器であれば、底部から一部に垂直に立設した側壁部分を有していてもよく、プランターの開口上縁付近が外側に広がるように傾斜した側壁部になっていればよい。
一般的には、略円錐台形状、略角錐台形状のプランターが該当する。
【0007】
本発明において、付属固定具の差込み部がプランターの側壁内側に沿って差し込み可能なプレート状になっているとしたのは、プランターに固定具を取り付けた状態のまま、その上に同形状のプランターをそのまま順次段重ねする際に、上側のプランターの側壁外側が下側のプランターの開口部の内側に入り込むように段重ねでき、差込み部に実質的な突出物がない平面形状になっていることを意味する。
【0008】
ここで付属固定具は、プランターへの装着部としてプランターに有する上縁部の外側に沿って延在するクランプ部を有し、クランプ部は、当該クランプ部の内側とプランターの上縁部との間に被固定部材を固定するものであってよい。
また、プランターの上縁部に取り付けやすいようにプランターの上縁部は、上縁端部が下方を向くように形成してあり、付属固定具は、差込み部の上部と、クランプ部とを、外側に向けて屈曲した連結部で連結してあり、クランプ部の先端側にはプランターの上縁部の上縁端部に廻り込んで係止する係止部を有していてもよい。
さらに付属固定具は、プランターの上縁部の上縁端部に廻り込んだ係止部から外側に傾斜突出したつめ部を有していてもよい。
【0009】
また、本発明にあっては、付属固定具とセットにした固定具付きプランターとしてセット販売することも可能である。
【0010】
本発明において、被固定部材とは、その一端にプランターの上縁部と付属固定具のクランプ部との間に挟み込み保持、又は固定できる部分を有しているネットやシート等をいい、植物栽培に必要な補助部材を対象とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るプランターの付属固定具にあっては、プランターに当該付属固定具を装着したまま、プランターを段重ねすることが可能である。
特にプランターの内側に沿って差し込むための差込み部がプレート状になっていると、プランターに予め付属固定具を取り付けたまま、複数のプランターを段重ねしやすい。
これにより、複数のプランターを段重ねして運送できるので、運送効率がよくなるとともに店頭販売したり、植物栽培に使用しないときには複数のプランターを段重ねにして収納できるので、展示スペースや収納スペースを少なくできる。
また、プランターに付属固定具を取り付けて販売できるので別梱包資材が不要になるとともに詳しい取り付け説明も簡略化できる。
【0012】
本発明においては、付属固定具のクランプ部をプランターの上縁部の外側に沿って延在させるとともにクランプ部の先端側にプランターの上縁部の上縁端部に廻り込んで係止する係止部を設けると、固定具の差込部をプランターの側壁の内側に沿わせるように押し込むだけで、クランプ部がプランターの上縁部に係止することができる。
よって、プランターの上縁部と固定具のクランプ部との間にネットの一端を挟み込むようにして、固定具をプランターに取り付けるだけでネットの固定が簡単にでき、且つ、固定具の係止部がプランターの上縁部の上縁端部に廻り込んでいるのでネットを引っ張った程度の力では外れないので安定した固定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係るプランター及びプランター付属固定具の例を以下図面に基づいて説明するが、本実施例に限定されるものではない。
【0014】
図1(a)にプランター20に付属固定具10を取り付けたまま段重ねした状態の要部断面図を示し、図1(b)に段重ねした状態の外観図を示す。
プランター20は、底部21から90°を越えて外側に傾斜した側壁部22とその上端に外側に向けて延在した上縁部23を有する。
本実施例では、上縁部23が断面逆U字型になっていて、上縁端部24が下方向に向いている。
図2(a)は、付属固定具(以下単に固定具と称する。)10の側面図を示し、図2(b)は正面図を示す。
固定具10はプランター20の側壁部22の内側に沿って土壌等に刺すように差し込まれる差込み部11と、プランター20の上縁部23の外側に沿って延在するクランプ部13とを連結部12で連結してある。
本実施例では、クランプ部がプランターへの装着部として機能する。
連結部12は、クランプ部13が差込み部11の上部から、外側に向かって延在するように外側に向けて屈曲させてある。
クランプ部13の先端側には、プランター20の上縁部23の上縁端部24に廻り込んで係止する係止部14を有している。
従って、固定具10の係止部14はクランプ部13の内側(裏側)に突出した段差形状となっている。
また、クランプ部13の係止部14より外側に傾斜し、突出した、つめ部15を形成してある。
このように固定具10のクランプ部13の係止部14よりさらに先端側に、先が外側に向かって広がるように傾斜したつめ部15を形成したことにより、固定具10をプランターの側壁部22に取り付ける際に、固定具10の差込み部11をプランター20の側壁部22の内側に沿わせるように押し込むだけで、つめ部15の傾斜面に沿って係止部14が広がるようにプランター20の上縁部23の外表面に摺接移動し、係止部14がプランター20の上縁端部24に位置すると、クランプ部13又は連結部12の弾性復帰により、係止部14が上縁端部24に廻り込み、弾性係止する。
また、固定具10をプランター20から取り外す場合には、つめ部15を外側に広げるようにするだけで取り外すことができる。
【0015】
固定具10の差込み部11は、図2に示すように土壌に刺しやすいように先端部11aの幅が小さく、クランプ13側がやや広くなっていて、先端部11aの形状が半円形状になっている。
また、差込み部は図2(a)、図1(a)を見ると分かりやすいように表面に突起物がないプレート状になっていて、差込み部のプランター内側方向表面に沿って上側のプランター側壁の外側が入り込むようになっている。
これにより、プランター20に固定具10を取り付けた状態で図1に示すように段重ねが可能である。
広く市販されているプランターは、段重ねした際に上側のプランターが下側のプランター内側にくさび状に嵌入固着しないように段重ね用の段付リブ21aをプランターの底部21側に設けてある場合が多い。
従って、本発明に係る固定具10の差込み部11の厚みは、上側のプランターの底部が下側のプランターの内側の段付リブ21aに載置した状態の上下のプランターの側壁間の隙間寸法相当以下が好ましい。
【0016】
本発明に係る固定具10は、差込部の上部の外側方向に設けた弾性連結部あるいは弾性クランプ部を有するものであればよく、材質は金属製でも樹脂製でもよい。
図2に示した実施例では、固定具が樹脂製の例であり、差込み部11の先端部11a側が薄く、クランプ部側が徐々に厚みを増したプレート状になっている例を示した。
【0017】
本発明に係る固定具10を用いて、ネット30の下部31aをプランター20に固定した例を図3(a),(b)及び図4の断面図に示す。
ネット30の下部のひも31を固定具10のクランプ13の内側面13aに廻し込むようにし、図4に示すようにプランター20の上縁部23とクランプ部13の内側面13aとで挟み込むように固定した例である。
また、クランプ部13の外側に支柱を立設する差込み穴等を設けてもよい。
【0018】
図5には、他の固定具の例を示す。
固定具40はプレート状の差込み部41とプランター20への装着部42とネット等の被固定部材31の固定部43を有している。
本実施例では装着部42がボス部状になっていて、プランターの側壁22に設けた取付穴25に挿入装着できる。
また、本実施例では、被固定部材31の固定部もプレート状になっていて、プランター側壁と固定部43との間に設けた係止部43aにネットのひも等が引掛かるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】プランターに付属固定具を取り付けた状態で段重ねした例を示す。
【図2】付属固定具の例を示す。
【図3】プランターに付属固定具を用いてネットを取り付けた例を示す。
【図4】プランターにネットを取り付けた要部断面図を示す。
【図5】付属固定具の他の実施例を示す。
【符号の説明】
【0020】
10 付属固定具
11 差込み部
12 連結部
13 クランプ部
14 係止部
20 プランター
21 底部
22 側壁部
23 上縁部
24 上縁端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランターに装着したまま複数のプランターを段重ね可能な付属固定具であって、
付属固定具は、被固定部材をプランターに固定するものであり、プランターの内側に差し込むための差込み部と、プランターに装着するための装着部とを有していることを特徴とするプランター付属固定具。
【請求項2】
底部と、底部から90°を超える角度で外側に傾斜して立設した側壁部を有するプランターに用いる付属固定具であって、
付属固定具は、被固定部材をプランターに固定するものであり、プランターの内側に差し込むための差込み部と、プランターに装着するための装着部とを有し、
差込み部はプランターの側壁内側に沿って差し込み可能なプレート状になっていることを特徴とするプランター付属固定具。
【請求項3】
付属固定具は、プランターへの装着部としてプランターに有する上縁部の外側に沿って延在するクランプ部を有し、
クランプ部は、当該クランプ部の内側とプランターの上縁部との間に被固定部材を固定するものであることを特徴とする請求項2記載のプランター付属固定具。
【請求項4】
プランターの上縁部は、上縁端部が下方を向くように形成してあり、
付属固定具は、差込み部の上部と、クランプ部とを、外側に向けて屈曲した連結部で連結してあり、
クランプ部の先端側にはプランターの上縁部の上縁端部に廻り込んで係止する係止部を有していることを特徴とする請求項3記載のプランターの付属固定具。
【請求項5】
付属固定具は、プランターの上縁部の上縁端部に廻り込んだ係止部から外側に傾斜突出したつめ部を有していることを特徴とする請求項4記載のプランターの付属固定具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の付属固定具とセットにしたことを特徴とする固定具付きプランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−130953(P2010−130953A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310087(P2008−310087)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000107066)株式会社リッチェル (77)
【Fターム(参考)】