プリズム結合したSOIベースの光学系で波長感受性を下げるための構成
多重波長光信号で使用するための本光学的結合システムは自由空間の光ビームと比較的薄いSOI構造の表面層(「SOI層」)の間の向上した結合効率を提供し、所定の波長範囲全体にわたって充分な結合効率(50%よりも大きい)を可能にする。結合用プリズムとSOI層の間に配置されたエバネセント結合層が特に、結合効率を向上させるように構成される。一実施形態では、エバネセント層の厚さが1つの波長に関して最適値よりも下に削減され、削減された厚さが規定された中心波長付近の所定の波長範囲全体にわたって結合効率を向上させる。場合によっては、結合効率を向上させるためにテーパ付きの厚さのエバネセント結合層(または削減された厚さとテーパ付き構造の組み合わせ)が使用されることが可能である。入力ビームの発射角度を制御し、かつ結合効率をさらに向上させるために光ビームの操縦が改造されたエバネセント結合層と組み合わされることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年4月28日に提出された係属出願番号60/466,307号の恩典を権利主張するものである。
【0002】
本発明は、外部供給源とSOI構造内の比較的薄いシリコン導波路層との間、さらに特定すると可変波長で多数波長の供給源と薄いシリコン導波路層との間の光学的結合を行うための構成に関する。
【背景技術】
【0003】
現在および将来の高速用途の帯域幅の要求条件を満たすために、現状技術の通信用の部品およびシステムは光学および電子工学の領域の両方で洗練された信号処理およびルーティングの機能のホストを提供しなければならない。複雑さの度合いが増すにつれて、システムの水準の要求条件を満たすため、および最終システムの付随するサイズおよびコストを下げるために単一のパッケージの中のさらに多くの機能および部品の集積化が必要とされる。電子産業を大幅に改革した集積回路デバイス、処理法、および技術がオプトエレクトロニクス集積回路を作り出すように構成され得ることはしばしば認識されてきた。通常のオプトエレクトロニクス集積回路では、光はシリコン、ガリウム砒素、ニオブ酸リチウム、またはリン化インジウムといった高屈折率材料の導波路を通って伝搬する。さらに高い程度のモード閉じ込めおよびさらに急な屈折が受け容れられることが可能であるので、高屈折率材料の使用はさらに小さいサイズのデバイスを可能にする。送信部、信号処理部、および受信部のすべての機能が単一のオプトエレクトロニクス集積回路に組み入れられることが可能であるが、システムが複数のパッケージから構成されることもやはり可能であり、当該技術およびこれ以降は「ハイブリッド型オプトエレクトロニクス集積化」またはマルチモジュール型集積化と称される。
【0004】
通信システム用の用途の多くを可能にするために、異なる波長がデバイスの中に発射されるときの光学デバイスの性能を考慮することが必要である。用途のいくつかについては、関心対象の波長は最小波長λminと最大波長λmaxによって範囲を定められた連続した帯域に入る。例を挙げると、多くの波長分割多重(WDM)システムは1525〜1570nmの波長帯域にほぼ相当する「Cバンド」として規定される波長帯域全体にわたって動作する。Lバンド(1570〜1620nmの波長帯域)、Sバンド(1480〜1520nmの波長帯域)、ならびに他の範例の波長帯域をカバーするためにこの同じ技術が拡張されることが可能である。
【0005】
さらに特定した表現では、光学デバイスに連結されることが可能であるように要求される2つの異なるクラスの供給源、すなわち可変波長供給源と多数波長供給源がある。可変波長供給源は波長λC付近に中心を置く狭い帯域の波長だけを発射する供給源として規定され、ここでλCは同調メカニズムを介して変えられることが可能である。可変波長供給源の1つの範例の実施形態は、Cバンド波長範囲全体にわたって同調をとられることが可能であり、λCの中心波長を備えて動作する可変波長レーザ・モジュールであって、類似したモジュールが他の範例の帯域全体にわたって同調を与えるであろう。そのような範例の供給源の通常の線幅は極めて狭く、0.05pmの位数であり、温度に伴なうλCの変位は±0.05nmの位数である。多数波長供給源は波長λCに中心を置いていくつかの波長を同時に発射する供給源として規定される。多数波長供給源の1つの範例の実施形態は隣り合う波長同士の間で0.4nm(50GHz)または0.8nmの分離を伴なって1530〜1565nmの帯域全体にわたって動作し、WDM信号を搬送する光ファイバ入力である。
【0006】
先行技術では、「突き合わせ結合」または「エンドファイア結合」と称される技術が外部供給源からの光を光学導波路へと結合させるために共通して使用されてきた。特に、端面は導波路に固着され、(焦点を絞る目的でレンズにされることが可能な)光ファイバが入り口と出口の導波路端面に位置合わせされる。これらの結合方法は比較的波長には無関係であるが、そのような構成に付随する挿入損失は導波路の厚さが2.0μmよりも下になると大幅に増加する。サブミクロンの厚さの導波路に関すると、入力/出力ビームと導波路の厚さとの間の寸法の不一致は結果として、多くの用途にとって受容不可能な挿入損失につながる。
【0007】
比較的薄い導波路への波長に非感受性の結合に付随する挿入損失を改善するために、ビームのサイズをその大きな外部での値からさらに密に導波路に一致する寸法へと徐々に小さくする様々なテーパ付き構造が提案されてきた。いくつかの範例は外部ビームから導波路へと1つまたは2つの寸法で縮径させるテーパ、および外部ビームで細い先端(しばしば100nm幅の位数)を有し、その後それが導波路の幅に一致するまで寸法で横方向に増大する「逆テーパ」または「ナノテーパ」を含む。これらの範例のうち、逆テーパだけが、見分けることが可能な量の光をサブミクロンの導波路に結合させるために首尾良く使用されてきた。しかしながら逆テーパの構成は、(1)サブミクロンの位置ずれに伴なう挿入損失の急速な増大、(2)ナノテーパを加工するための電子ビーム・リソグラフィのような特殊化された技術の必要性、(3)先端の端面が入り口端面と一致しない場合のナノテーパの先端の前段での追加的な導波路構造の必要性といったいくつかの欠点が難題である。
【特許文献1】係属特許出願番号60/466,307号
【特許文献2】係属特許出願番号668,947号
【特許文献3】係属特許出願番号10/720,372号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、当該技術では、様々なタイプの多数波長外部供給源を比較的薄いプレーナシリコン導波路に結合させることが可能である丈夫で製造可能な構成を提供するニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先行技術に残っているニーズは、可変波長および多数波長の供給源と薄いシリコン導波路との間の(プリズム結合構造を使用する)結合を行うための構成、さらに特定すると入力波長の変化に適応するためにエバネセント結合層の設計変化を利用する方法に関する本発明によって対処される。
【0010】
本発明によると、プリズム結合構成が使用されることで自由空間の光信号を、プリズム結合配列とシリコン導波路との間に結合を達成するように配置されたエバネセント結合層でもって(例えば厚さ1ミクロン以下の)比較的薄い平板状シリコン導波路の中へ、およびそこから外へと結合させる。様々な光信号波長の外部光波供給源と平板状シリコン導波路との間の結合効率を最大限にするために、プリズム結合構成の入り口/出口端面の屈折効果、ならびにエバネセント結合層の特性が本発明に従って制御および調節される。
【0011】
本発明の第1の実施形態では、λCを中心として広がった波長範囲の中で光学的結合損失を下げるためにエバネセント結合層の厚さが(単一の波長λCに付随する最適値に関して)削減される。この第1の実施形態の様々な構成では、関心対象の波長範囲および/または所定の波長範囲にわたる結合損失を変えるためにエバネセント結合層の材料と厚さの両方が変更されることが可能である。特に、比較的大きな屈折率(例えばn=2)を備えた材料は結合損失を下げることが見出された。付け加えると、高屈折率材料で形成され、厚さを削減されたエバネセント結合層の使用はさらに少ない損失を示すであろう。異なる屈折率の値の多くの材料が段階的屈折率のエバネセント結合層を形成するために使用されることが可能である。プリズム結合入り口端面上への入射の角度および入り口点を最適化するためにエバネセント結合層へのこれらの改造と共に光ビーム操縦用構成もやはり使用されることが可能であり、結合効率をさらに向上させる。
【0012】
本発明の第2の実施形態では、(WDM用途のような)多数波長の外部供給源に関して波長変化に対する感受性はテーパ付きエバネセント結合層を利用することによって最小限にされる。エバネセント結合層はその入り口部分に沿って単調に増大する厚さを有するように形成され、それにより、入力ビームの選択された部分が不足結合の厚さを途中で捕らえ、その一方で同じビームの異なる選択部分が過結合の厚さをサンプリングする。出口場所で厚さを単調に減少させる処理は同じ機能を実行する。ここでもやはり、テーパ付きエバネセント結合層を形成するために異なる屈折率の様々な材料が使用されることが可能であり、かつ/または所望であれば波長感受性をさらに下げるために光ビーム操縦と共に多層構造が形成されることが可能である。
【0013】
本発明のその他およびさらなる構成および実施形態は以下の検討の過程の中で、かつ添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の様々な実施形態はすべて、シリコン基板、埋め込み誘電体層、および表面SOI層から成るSOI構造の表面単結晶シリコン層(「SOI層」)の中に形成される薄い(例えばサブミクロンの)シリコン導波路の中に入る、およびそこから出る光のエバネセント結合の利用に向けられる。自由空間の光ビームを薄いシリコン導波路の中に入れ、かつそこから出す光学的結合を行うための好ましい構成は2003年9月23日に提出された出願人らの係属特許出願番号668,947号および2003年11月24日に提出された特許出願番号10/720,372号に詳細に述べられているようにプリズム結合構成を使用する。図1はIおよびOでそれぞれ示された自由空間の入力および出力光ビームとSOI層12の中の薄いシリコン導波路との間の範例となるプリズム結合構成10を例示している。図示されるように、SOI層12はシリコン基板22と埋め込み誘電体層24(ここでは層24は、限定はされないが二酸化ケイ素のような材料を含むことが可能である)をさらに有するSOI構造20の表層を含む。
【0015】
SOI層12の上に配置されるようにエバネセント結合層26が例示され、ここでは図1に示されるように導波路の延長に沿って導波を維持するために埋め込み誘電体層24と組み合わされたエバネセント結合層26はSOI層12のそれよりも小さい屈折率を示す必要がある。例えば、エバネセント結合層26については多くの構成で二酸化ケイ素(n=1.45)が使用され、その一方でSOI層12は通信波長に関して約3.5の屈折率を有する。下記で詳細に検討されるであろうが、高い屈折率を備えた材料がいくつかのケースで結合損失を下げることが見出されてきた。エバネセント結合層26の上に配置されるようにプリズム結合構成が例示され、ここではこの実施形態は、入力ビームIを構成の中へと結合させるための入り口端面14および出力ビームOを構成から外へと結合させるための出口端面18を有する(例えばシリコンで形成された)1つの台形のプリズム16を有する。従来式のシリコンの処理/エッチング技術を使用して形成されると、入り口端面14および出口端面18は両方共に水平面に関して54.74°の角度に配置される。
【0016】
図1に例示されるような構成では、入力ビームIは光の波長λ、入射光の偏光状態、SOI層12、埋め込み誘電体層24、およびエバネセント結合層26の屈折率と厚さ、およびプリズム結合器16と周囲の媒質(例えば空気)の屈折率によって決定される入射角度で発射されなければならない。図2は入力ビームIをプリズム16結合器の入り口端面14に発射するために関与する特定のパラメータを例示する図を含む(明瞭化するためにここではプリズム結合器16の一部分だけが例示されている)。図2に示されるように、2つの関連する角度、(1)SOI層12に沿った信号伝搬の平面(図1参照)で図2ではプリズム結合器の表面15として示される平面の垂線N(図2のz軸と一致)に相対するプリズム結合器16内のビームの角度θSi、および(2)プリズム結合器16の入り口端面14への入力ビームの入射角度θairがある。θairの値はよく知られているスネルの法則を空気/プリズムの界面で適用することによって決定される。
【0017】
図3は(文字「W」で示される)3つの異なる厚さ(すなわち0.10μm、0.14μm、および0.21μm)のSOI層12について、θSiの変化を入力ビーム波長λの関数として例示するグラフを含む。これらのプロットから、θSiの変化は関心対象の波長の極めて広い範囲にわたってλの一次関数として近似されることが可能であり、かつ
θSi(W,λ)=θSi(W,λC)+c(W)×(λ−λC)
として表わされることが可能であり、ここでW=0.14μmと0.21μmについてはc≒−0.0144°/nmであり、W=0.10μmについてはc≒−0.0129°/nmである。単一の波長λCで動作する入力ビームIと共に図1に示されるような構成を使用するとき、θSi(W,λC)に関して結合効率が最大限にされるであろう。λCの近傍の波長λに関する結合効率は波長の関数である結合曲線の幅に応じて決まるであろう。結合効率がηとして示される場合、一定の厚さおよび一定の屈折率のエバネセント結合層については波長の関数である結合効率η(λ)は以下のように表現されることが可能であり、
【0018】
【数1】
【0019】
ここでωPCSは図2に示されるようなプリズム結合器16のプリズム結合表面15への入射ビームIの投影の半径として規定され、αωPCSは一定の厚さおよび一定の屈折率を有するエバネセント結合層26に関して結合効率を設定するパラメータであり、nSiはシリコンの屈折率(関心対象の波長範囲については約3.5の値)である。
【0020】
上述したように、エバネセント結合層の厚さを付随する値から削減して所定の波長λCで最大の結合を得ることによって、或る一定の周波数範囲にわたって削減された光学損失(高められた結合効率)が本発明に従って達成されることが可能である。図4はエバネセント結合層の厚さの3つの異なる値について結合効率を波長の関数としてプロットするこの態様を具体的に示すグラフを含む。各々のケースで偏光状態は電気的横方向(TE)モードに対応し、波長λC=1550nmであり、自由空間のビームは63μmのガウス・ビーム径(2ω0)を有し、比較的薄いシリコン導波路は0.14μmの厚さを有し、二酸化ケイ素のエバネセント結合層は1.45の屈折率を有する。先行技術に関連するプロットAはλC(1550nm)で最大結合効率を達成するように選択された厚さのエバネセント結合層に関するものであり、このケースでは、エバネセント結合層の厚さは約320nmであって効率は80%である。図示されるように、このエバネセント結合層の厚さについては効率は波長と共に急激に落ち込み、λCから±5nmの波長については50%(3dB)未満の効率である。プロットBはエバネセント結合層についてわずかに削減された厚さ、290nmの値に関連するものである(このケースは「緩やかな過結合」状態と称される)。図示されるように、λCでの結合効率はわずかに(約75%の値へと)低下させられるが、3dB点はλCの±8nm近傍へと広げられており、その結果、受容可能な結合効率の波長範囲を広げる。プロットCに示されるようにエバネセント結合層の厚さを265nmの値へとなおもさらに削減する(「中程度の過結合」状態)処理はピークの結合効率を大幅に(約50%へと)低下させるが、しかし±12nmへの3dB点の増大を与える。したがってこのケースでは、大きな波長範囲全体にわたる結合効率の変化が大幅に削減されるが最大効率が50%以下となる犠牲を伴なう。
【0021】
図4に例示された結果以上に向上させるために厚さに加えてエバネセント結合層の他のパラメータが変更されることが可能である。例えば、高屈折率の材料を使用することは、上記で検討されたような結合効率の表現の中の傾きcを小さくすることによって性能を向上させるであろう。場合によっては、多層のエバネセント結合層(異なる材料の各々の層)が使用されることが可能であり、あるいはSOI層の中の信号伝搬の方向に沿って屈折率を上げながら段階的な屈折率の構造が使用されることが可能である。図5は図4に関連して上記で検討されたそれらに類似したプロットのセットを含み、図5のプロットはエバネセント結合層としての窒化ケイ素(n=2.0)、45°のプリズム端面角度θpr、および0.10μmの厚さのシリコン導波路を使用して得られた。中心波長λCおよび入力ビームの直径2ω0は同じ値、すなわち1550nmおよび63μmをそれぞれ維持する。先行技術を表わすプロットAはλCで最大結合効率(80%)を与える構成を例示しており、このケースではこの最大効率を与えるために466nmのエバネセント結合層の厚さが必要とされる。小さくされた効率曲線の傾きの結果として、図4の結果に比べると先行技術の「最大結合効率」および削減された厚さのエバネセント結合層(プロットBおよびC)の両方のプロットが約1.75の因数で広げられる。例えば、プロットBに関すると、前のプロットBに示されたようなλCでの最大結合効率の同じ5%の減少はここではこの緩やかな過結合の実施形態について±14nmの広がった3dB範囲を有する。プロットBおよびCによって示されるように、50%を超える結合効率がここでは1535から1565nmの波長範囲にわたって維持されることが可能である。通信のCバンドに幅で匹敵する帯域幅全体にわたって信号を送信することが本発明に従って全帯域を横切って3dB未満の挿入損失の変化を伴なってここでは可能であるので、これは有意義である。もしもデバイスの制約がそのような選択を許容するのであれば比較的薄いシリコン導波路に関して適切な層の厚さ(W)を選択することによって、波長適用範囲にある程度の追加的な小さい利得もやはり達成されることが可能である。これは、傾きc、したがって波長に伴なうθSiの変化が導波路の厚さの関数であるという事実に起因する。
【0022】
再び結合効率に関して式を参照すると、波長感受性の他の供給源が角度のθSi値に波長依存性であることが明らかである。可変波長レーザを外部の信号供給源として利用するようないくつかの用途については、入力信号は可変の中心波長を備えた狭帯域の信号(このケースではレーザの線幅によって設定される)として特徴付けられる。θSiとθairはスネルの法則を通じて関係付けられるので、θairの値を制御/変更することによってθSiの値を制御/変更することが可能であり、なぜならばθSi=θpr−sin−1(sinθair/nSi)であるからである。
【0023】
図6はθairと波長との間の関係を例示するグラフを含み、データは厚さW=0.136μmのSOI層導波路および厚さ395nmの一定厚さの二酸化ケイ素のエバネセント結合層を使用して収集された。この実験では、約200μmの直径の自由空間ビームが使用され、TEモードの偏光状態が発射された。収集されたデータがシミュレーションと良好な一致であり、約0.06±0.01°/nmの傾きを示していることが認められる。したがって、θairとθSiの間の密接な関係の結果として、中心波長が変化するときにθairを変えることによってθSiに関する値もやはり現在の中心波長にとって最適の角度を生じるように変わることは明らかである。
【0024】
本発明によると、したがって、θairを調節することによって現在使用されている中心波長にとって最適の値に(この中心波長が変わると、すなわちレーザが同調をとられるとθSiを再調節する能力で)θSiを調節するであろう構成が開発された。図7は、適切な自由空間発射角度θairを見出し、プリズム結合器16とSOI層12との間の最大結合効率に付随する発射角度θSiを生じるであろう入り口点を見出すため入力ビームIの入射を調節する(操縦する)ための構成50を例示している。図7に例示される特定の構成50はビーム操縦操作を実行するために一対のMEMSミラー52および54を利用するが、しかし自由空間ビームの入射角度を操縦することが可能ないずれかの他の構成もやはり使用され得ることは理解されるはずである。
【0025】
図7を参照すると、構成50の第1のMEMSミラー52は第1の制御素子56を使用して動かされる。第1のMEMSミラー52は図7の矢印によって示されるように平行移動と回転移動の両方をすることが可能である。(例えばファイバ、好ましくはレンズになったファイバから)入来する光ビームIは構成50へと結合させられ、この特定の実施形態では水平方向の信号経路に追随して第1のMEMSミラー52に衝突する。図示されるように、第1のMEMSミラー52は入力ビームIを反射し、プリズム結合器16の入り口端面14上へとビームを向け直す。入射角度θairが入り口端面14の垂線に関して測定され、その後、関連するθSiの値へと翻訳されることが可能である。したがって、第1のMEMSミラー52の平行移動および回転移動を調節することによって、所定の中心波長λCに関して最大結合効率に付随するミラー構成が決定されることが可能である。
【0026】
上述したように、このビーム操縦用構成は可変波長レーザ60のような同調可能な外部の供給源と使用するために特に適しており、そこでは供給源は狭い線幅(例えば0.5pm)を示すが中心波長自体は35nm以上の範囲にわたって「同調をとられる」ことが可能である。実際に、波長可変の供給源60に関して考え得る中心波長の所定のセットに関連する第1のMEMSミラー52の構成のセットを確立することが本発明に従って可能である。これらの構成の値はメモリ素子62に保存されることが可能であり、それにより、波長可変の供給源60の中心波長が変えられるとメモリ素子62は第1のMEMSミラー52に関する適切な平行移動および回転移動の値を第1の制御器56へと送信するであろう。本発明のこの特定の態様によると、第2のMEMSミラー54および付随する制御器58もやはり出力ビームOを適切に捕捉し、その出力ビームを出口の結合構成へと向けるように配置されることが可能である。実際に、第2のMEMSミラー54に関する平行移動および回転移動の位置の値もやはりメモリ素子62に保存されることが可能である。図7に例示されていないが、各々の素子が複数の光信号のうちの異なる入来光信号と結び付く複数のそのようなビーム操縦用素子が使用されることもやはり可能である。さらに、様々な他の実施形態では光学的反射素子に代わって光学的透過素子が使用されることも可能である。
【0027】
図7に例示されたようなビーム操縦用構成の追加と共に、第1のMEMSミラー52の位置を動的に調節して入力波長の(老朽化、ドリフトなどの関数となる)わずかな変化に対処するフィードバック制御メカニズムを追加することが可能である。特に、SOI層12に結合する入力信号の一部がタップ引き出しされて入り口の結合効率を測定するために使用されることが可能であり、その場合に結合効率を測定するために使用される測定装置64が図7に例示されている。上記で検討したように、結合効率の間の関係、θSiおよびθairはすでに確立された。したがって、測定装置64によって測定されるときに結合効率が低下し始めれば、第1のMEMSミラー52の第1の制御器56の中の(またはメモリ素子62の中の)ルックアップテーブルが、最大効率に付随する値へと入射角度を修復するために必要とされる正しい平行移動および/または回転移動の値を計算するであろう。図7に例示されるような特定のフィードバック構成では、装置64から得られる結合効率測定値が第1の入力として加算器66に加えられ、加算器66の第2の入力は「分かっている」最適結合効率の値68である。したがって、これら2つの値の差が「誤差」信号εを形成し、その後、適切な補正値を選択することに使用するためにそれが第1の制御器56へとフィードバックされる。様々な他のフィードバック構成が使用されることが可能であり、そのフィードバック技術が図7のビーム操縦用構成の出口部分でも使用され得ることは理解されるはずである。
【0028】
波長感受性の改善を提供することが可能な他の実施形態が図8に例示されている。このケースで、かつ上記で簡単に検討されたように、テーパの付いた厚さのエバネセント結合層が入り口および出口部分で使用されることで「平坦な」エバネセント結合層で可能なそれよりも広い波長範囲にわたって結合効率を向上させる。特に、前の図面と同様に、図8は自由空間の光ビーム(IおよびO)をSOI層12の中に形成されたサブミクロンの厚さの導波路の中、およびそこから外へと結合させるために入り口端面14と出口端面18を備えたプリズム結合器16の使用を例示している。しかしながらこの実施形態では、プリズム結合器16とSOI層12との間の結合を行うためにテーパ付きのエバネセント結合層80が使用される。図示されるように、テーパ付きのエバネセント結合層80は単調に増加する厚さの入り口結合部分82と単調に減少する厚さの出口結合部分84を有する。1つの事例では、直線的な増加および減少が使用されることが可能である。図9は光ビームの振幅に関連したエバネセント結合領域の厚さ変化を描くグラフを含み、図9(a)は図8の構成の入り口部分に関し、図9(b)は図8の構成の出口部分に関する。
【0029】
下記で検討される結合効率の結果から明らかになるであろうが、テーパ付きのエバネセント結合領域を使用する少なくとも3つの主要な利点が存在する。第1に、中心波長λCの結合効率は一定厚さのエバネセント結合層で得られるそれを上回って改善される。いくつかのケースでは、結合効率は80%の値から約97%へと改善されることが可能である。このようにして、λCでの比較的高い結合効率と拡大された波長範囲にわたる結合領域の受容可能なレベルの両方を提供するためにテーパ付きのエバネセント結合層と組み合わせて(上記で検討したようなさらに薄いエバネセント結合層および/または異なる材料の使用といった)波長範囲感受性拡大技術が使用されることが可能である。また、変化する厚さのエバネセント結合層を使用すると、入力ビームは本質的に様々な厚さの値を途中で捕らえる。すなわち、入力ビームの有意の部分(50%の位数)が入り口部分82に沿ってエバネセント結合層の厚さを途中で捕らえ、それは最適値(この「最適」は一定厚さのエバネセント結合層に関して規定される)よりも小さい。これは図9(a)のグラフで明らかに認められる。図9(b)に例示されるように出口で結合されるビームについても、それが出口結合部分84に衝突するときに同じことが言える。したがって、各々のビームの少なくとも半分が削減された厚さに遭遇するので、上記で検討された理由のために波長感受性が下げられる。最後に、テーパ付きのエバネセント結合領域は入り口と出口のガウス・ビームの両方に高い度合いのモード整合を有するので、本発明の構成は光ファイバのような従来式の送受信用光学素子との使用に特に便利である。
【0030】
図10は図8に概略で示されたそれと同様のテーパ付きのエバネセント結合層の使用に付随する結合効率の向上を例示するグラフを含む。図10のプロットに関する値は1550nmの中心波長λCとTEモード偏光状態での63μmの自由空間ビーム径2ω0、1.45の屈折率を備えた二酸化ケイ素のエバネセント結合層および54.74°のプリズム結合角度θprについて得られた。曲線Aは比較の目的で(図4に例示された曲線Aの結果と同様に)一定厚さのエバネセント結合層に関する結合効率を例示しており、このケースではその厚さは約320nmである。曲線Bのプロットは1550nmの中心波長に関して最適化されたテーパ付きのエバネセント結合層に関連している。すなわち、1550nmで最大の結合効率(このケースでは97.5%)を与えるようにテーパが選択された。直線的に変化するテーパ部分についてはこのテーパに付随する傾きが約0.1°であることが見受けられ得る。一定厚さのエバネセント結合層の使用に比べると波長範囲全体にわたる結合効率が改善されることに留意すべきである。曲線Cはビームによってサンプリングされるすべての地点で(最適値に比べて)やはりわずかに厚さで削減されるテーパ付きのエバネセント結合層に関連しており、その削減は約40nmであって傾きで約0.15°に増加する。曲線Bと同様に、曲線Cに関する測定値に付随するエバネセント層もやはり波長範囲全体にわたって一定厚さの実施形態に付随する結合効率よりも良好な結合効率を生じる。両方のテーパ付きエバネセント結合層について、波長範囲のうちの外側領域での結合効率は2から3の因数で改善される。付け加えると、中心波長λCでの結合効率は少なくとも10から20%高い。このようにして本発明のこの実施形態によると、変化する厚さのエバネセント結合層の使用は1つの波長だけではなく所定の波長範囲全体にわたって付随するSOI層を通る光の透過を大幅に改善することが可能である。すべての波長で効率が大幅に改善されるので、特定の幅の波長範囲に関して他の装置のパラメータのうちのいくつかを特別に仕立てることが可能である。例えば、帯域の中心付近の結合効率の大幅な低下を伴なうことなく波長範囲を横切る結合効率の変化が削減されることが可能である。
【0031】
図11のプロットは3つの異なる構成について結合効率を比較しており、1550nmの中心波長で75%の結合効率を生じるように全部が制約されている。前に図4で示されたように、曲線Aは一定厚さ(320nm)のエバネセント結合層のケースを例示しており、この層は二酸化ケイ素を含む。曲線Bもやはり一定厚さ(466nm)のエバネセント結合層に関連しており、この曲線は窒化ケイ素の使用に付随している。最後のプロットである曲線Cは直線的に変化する厚さおよび1.45の屈折率のエバネセント結合層(二酸化ケイ素)を備えた構成を表わす。図11に示されるように、この最後の構成は曲線Bに付随するさらに高屈折率の材料を使用することによって達成されるそれと同じ程度のスペクトルの拡大を与える。この構成を作り出すために一層少ない材料の数が必要とされるだけであるのでこれは有意義な結果である。したがって、エバネセント結合層の厚さにテーパを付けることによって、二酸化ケイ素材料の層が使用され、かつ窒化ケイ素で構成される層と同様に機能することが可能となる。さらに、窒化ケイ素のような材料が使用されることが可能なケースについてはテーパ付きエバネセント結合層と比較的大きい屈折率との組み合わせはなおもさらに同じ波長範囲全体にわたる結合効率を向上させるであろうとさらに推定される。図12は例えば3つの最適化された状況に関するプロットのセットを含み、曲線Aは一定厚さの窒化ケイ素のエバネセント結合層を使用する処理に付随し、曲線Bは二酸化ケイ素のテーパ付きエバネセント結合層を使用する処理に付随し、曲線Cは窒化ケイ素のテーパ付きエバネセント結合層を使用する処理に付随し、各々の曲線は1550nmの中心波長に関連付けて判定される。後者の構成で、波長範囲全体にわたって結合効率が平均40〜50%改善されたことが気付かれるはずである。
【0032】
テーパに沿ってビームの中心がエバネセント結合層を途中で捕らえる正確な場所をさらに制御するためにテーパ付きエバネセント結合層と組み合わせてビーム操縦用構成が使用され得ることが気付かれるはずである。さらに、SOI層の中の光信号の伝搬方向に沿ってエバネセント結合層の実効屈折率を「段階化する」ことによって、削減された波長感受性を与えるためのエバネセント結合層の他の実施形態が形成されることが可能である。特に、屈折率の変化は所望の波長範囲にわたってθSiの値を均等化する傾向を有するように変えられる(段階化される)。特に、実効屈折率は二重層構造を使用することによって実現されることが可能であり、第1の層は第1の材料を含み、一定の厚さを有するように形成される。別の材料の第2の層は第1の層の上でテーパとして形成される。その結果、導波路に沿って信号が伝搬するにつれて実効屈折率が(入り口に沿って)増大する。一実施形態では、テーパ層は適切な屈折率を備えた材料の交互の層を使用することによって実現されることが可能であり、それらの層は水平方向かまたは垂直方向のどちらかで交互にされることが可能である。
【0033】
上述の本発明の実施形態が単に範例に過ぎず、本発明の範囲を規定もしくは限定するように考えられるべきでないことは理解されるはずである。実際に、本発明は添付の特許請求項によって最も適切に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】外部の信号供給源と比較的薄い平板状シリコン光導波路との間の光信号結合を行うための範例となるプリズム結合構成を例示する図である。
【図2】自由空間ビーム(例えば「外部供給源」)と比較的薄いプレーナ光導波路との間の高い結合効率を供給するためのプリズム結合器の使用に付随する角度パラメータの詳細を示す図である。
【図3】プリズム結合器の内部の光ビーム発射角度(θSi)を波長の関数として例示するグラフであって、3つの異なるサブミクロン厚さのSOI層光学導波路についてデータを例示している。
【図4】3つの異なる厚さのエバネセント結合層に関して結合効率を波長の関数として例示するグラフであって、エバネセント結合層は二酸化ケイ素で形成される。
【図5】窒化ケイ素のエバネセント結合層を使用するときの結合効率を波長の関数として例示するグラフであって、3つの異なる厚さ値のエバネセント結合層に関して結合効率を例示している。
【図6】プリズム入り口端面での入射角度(θair)の変化のシミュレーション結果と測定データの両方を波長の関数としてプロットしたグラフである。
【図7】プリズム結合器の入り口端面での光ビームの入射角度を修正/操縦するために本発明に従って使用されることが可能な範例のビーム操縦用構成を示す図である。
【図8】結合構成の波長感受性を下げるためにテーパ付きエバネセント結合層を利用する、本発明の第2の実施形態を例示する図である。
【図9】入り口(図9(a))と出口(図9(b))の両方でテーパ付きエバネセント結合層とビームの振幅との間の関係を例示する単純化したグラフのセットである。
【図10】「一定厚さの」エバネセント結合層、およびテーパ付きエバネセント結合層の2つの異なる実施形態の両方について効率を例示する結合効率のグラフである。
【図11】テーパ付きエバネセント結合層の使用に付随する結合効率の向上を2つの異なる「一定厚さの」エバネセント結合層に対して比較するグラフである。
【図12】本発明に従って形成された3つの「最適の」エバネセント結合構成のセットに付随する結合効率を比較するグラフである。
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年4月28日に提出された係属出願番号60/466,307号の恩典を権利主張するものである。
【0002】
本発明は、外部供給源とSOI構造内の比較的薄いシリコン導波路層との間、さらに特定すると可変波長で多数波長の供給源と薄いシリコン導波路層との間の光学的結合を行うための構成に関する。
【背景技術】
【0003】
現在および将来の高速用途の帯域幅の要求条件を満たすために、現状技術の通信用の部品およびシステムは光学および電子工学の領域の両方で洗練された信号処理およびルーティングの機能のホストを提供しなければならない。複雑さの度合いが増すにつれて、システムの水準の要求条件を満たすため、および最終システムの付随するサイズおよびコストを下げるために単一のパッケージの中のさらに多くの機能および部品の集積化が必要とされる。電子産業を大幅に改革した集積回路デバイス、処理法、および技術がオプトエレクトロニクス集積回路を作り出すように構成され得ることはしばしば認識されてきた。通常のオプトエレクトロニクス集積回路では、光はシリコン、ガリウム砒素、ニオブ酸リチウム、またはリン化インジウムといった高屈折率材料の導波路を通って伝搬する。さらに高い程度のモード閉じ込めおよびさらに急な屈折が受け容れられることが可能であるので、高屈折率材料の使用はさらに小さいサイズのデバイスを可能にする。送信部、信号処理部、および受信部のすべての機能が単一のオプトエレクトロニクス集積回路に組み入れられることが可能であるが、システムが複数のパッケージから構成されることもやはり可能であり、当該技術およびこれ以降は「ハイブリッド型オプトエレクトロニクス集積化」またはマルチモジュール型集積化と称される。
【0004】
通信システム用の用途の多くを可能にするために、異なる波長がデバイスの中に発射されるときの光学デバイスの性能を考慮することが必要である。用途のいくつかについては、関心対象の波長は最小波長λminと最大波長λmaxによって範囲を定められた連続した帯域に入る。例を挙げると、多くの波長分割多重(WDM)システムは1525〜1570nmの波長帯域にほぼ相当する「Cバンド」として規定される波長帯域全体にわたって動作する。Lバンド(1570〜1620nmの波長帯域)、Sバンド(1480〜1520nmの波長帯域)、ならびに他の範例の波長帯域をカバーするためにこの同じ技術が拡張されることが可能である。
【0005】
さらに特定した表現では、光学デバイスに連結されることが可能であるように要求される2つの異なるクラスの供給源、すなわち可変波長供給源と多数波長供給源がある。可変波長供給源は波長λC付近に中心を置く狭い帯域の波長だけを発射する供給源として規定され、ここでλCは同調メカニズムを介して変えられることが可能である。可変波長供給源の1つの範例の実施形態は、Cバンド波長範囲全体にわたって同調をとられることが可能であり、λCの中心波長を備えて動作する可変波長レーザ・モジュールであって、類似したモジュールが他の範例の帯域全体にわたって同調を与えるであろう。そのような範例の供給源の通常の線幅は極めて狭く、0.05pmの位数であり、温度に伴なうλCの変位は±0.05nmの位数である。多数波長供給源は波長λCに中心を置いていくつかの波長を同時に発射する供給源として規定される。多数波長供給源の1つの範例の実施形態は隣り合う波長同士の間で0.4nm(50GHz)または0.8nmの分離を伴なって1530〜1565nmの帯域全体にわたって動作し、WDM信号を搬送する光ファイバ入力である。
【0006】
先行技術では、「突き合わせ結合」または「エンドファイア結合」と称される技術が外部供給源からの光を光学導波路へと結合させるために共通して使用されてきた。特に、端面は導波路に固着され、(焦点を絞る目的でレンズにされることが可能な)光ファイバが入り口と出口の導波路端面に位置合わせされる。これらの結合方法は比較的波長には無関係であるが、そのような構成に付随する挿入損失は導波路の厚さが2.0μmよりも下になると大幅に増加する。サブミクロンの厚さの導波路に関すると、入力/出力ビームと導波路の厚さとの間の寸法の不一致は結果として、多くの用途にとって受容不可能な挿入損失につながる。
【0007】
比較的薄い導波路への波長に非感受性の結合に付随する挿入損失を改善するために、ビームのサイズをその大きな外部での値からさらに密に導波路に一致する寸法へと徐々に小さくする様々なテーパ付き構造が提案されてきた。いくつかの範例は外部ビームから導波路へと1つまたは2つの寸法で縮径させるテーパ、および外部ビームで細い先端(しばしば100nm幅の位数)を有し、その後それが導波路の幅に一致するまで寸法で横方向に増大する「逆テーパ」または「ナノテーパ」を含む。これらの範例のうち、逆テーパだけが、見分けることが可能な量の光をサブミクロンの導波路に結合させるために首尾良く使用されてきた。しかしながら逆テーパの構成は、(1)サブミクロンの位置ずれに伴なう挿入損失の急速な増大、(2)ナノテーパを加工するための電子ビーム・リソグラフィのような特殊化された技術の必要性、(3)先端の端面が入り口端面と一致しない場合のナノテーパの先端の前段での追加的な導波路構造の必要性といったいくつかの欠点が難題である。
【特許文献1】係属特許出願番号60/466,307号
【特許文献2】係属特許出願番号668,947号
【特許文献3】係属特許出願番号10/720,372号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、当該技術では、様々なタイプの多数波長外部供給源を比較的薄いプレーナシリコン導波路に結合させることが可能である丈夫で製造可能な構成を提供するニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先行技術に残っているニーズは、可変波長および多数波長の供給源と薄いシリコン導波路との間の(プリズム結合構造を使用する)結合を行うための構成、さらに特定すると入力波長の変化に適応するためにエバネセント結合層の設計変化を利用する方法に関する本発明によって対処される。
【0010】
本発明によると、プリズム結合構成が使用されることで自由空間の光信号を、プリズム結合配列とシリコン導波路との間に結合を達成するように配置されたエバネセント結合層でもって(例えば厚さ1ミクロン以下の)比較的薄い平板状シリコン導波路の中へ、およびそこから外へと結合させる。様々な光信号波長の外部光波供給源と平板状シリコン導波路との間の結合効率を最大限にするために、プリズム結合構成の入り口/出口端面の屈折効果、ならびにエバネセント結合層の特性が本発明に従って制御および調節される。
【0011】
本発明の第1の実施形態では、λCを中心として広がった波長範囲の中で光学的結合損失を下げるためにエバネセント結合層の厚さが(単一の波長λCに付随する最適値に関して)削減される。この第1の実施形態の様々な構成では、関心対象の波長範囲および/または所定の波長範囲にわたる結合損失を変えるためにエバネセント結合層の材料と厚さの両方が変更されることが可能である。特に、比較的大きな屈折率(例えばn=2)を備えた材料は結合損失を下げることが見出された。付け加えると、高屈折率材料で形成され、厚さを削減されたエバネセント結合層の使用はさらに少ない損失を示すであろう。異なる屈折率の値の多くの材料が段階的屈折率のエバネセント結合層を形成するために使用されることが可能である。プリズム結合入り口端面上への入射の角度および入り口点を最適化するためにエバネセント結合層へのこれらの改造と共に光ビーム操縦用構成もやはり使用されることが可能であり、結合効率をさらに向上させる。
【0012】
本発明の第2の実施形態では、(WDM用途のような)多数波長の外部供給源に関して波長変化に対する感受性はテーパ付きエバネセント結合層を利用することによって最小限にされる。エバネセント結合層はその入り口部分に沿って単調に増大する厚さを有するように形成され、それにより、入力ビームの選択された部分が不足結合の厚さを途中で捕らえ、その一方で同じビームの異なる選択部分が過結合の厚さをサンプリングする。出口場所で厚さを単調に減少させる処理は同じ機能を実行する。ここでもやはり、テーパ付きエバネセント結合層を形成するために異なる屈折率の様々な材料が使用されることが可能であり、かつ/または所望であれば波長感受性をさらに下げるために光ビーム操縦と共に多層構造が形成されることが可能である。
【0013】
本発明のその他およびさらなる構成および実施形態は以下の検討の過程の中で、かつ添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の様々な実施形態はすべて、シリコン基板、埋め込み誘電体層、および表面SOI層から成るSOI構造の表面単結晶シリコン層(「SOI層」)の中に形成される薄い(例えばサブミクロンの)シリコン導波路の中に入る、およびそこから出る光のエバネセント結合の利用に向けられる。自由空間の光ビームを薄いシリコン導波路の中に入れ、かつそこから出す光学的結合を行うための好ましい構成は2003年9月23日に提出された出願人らの係属特許出願番号668,947号および2003年11月24日に提出された特許出願番号10/720,372号に詳細に述べられているようにプリズム結合構成を使用する。図1はIおよびOでそれぞれ示された自由空間の入力および出力光ビームとSOI層12の中の薄いシリコン導波路との間の範例となるプリズム結合構成10を例示している。図示されるように、SOI層12はシリコン基板22と埋め込み誘電体層24(ここでは層24は、限定はされないが二酸化ケイ素のような材料を含むことが可能である)をさらに有するSOI構造20の表層を含む。
【0015】
SOI層12の上に配置されるようにエバネセント結合層26が例示され、ここでは図1に示されるように導波路の延長に沿って導波を維持するために埋め込み誘電体層24と組み合わされたエバネセント結合層26はSOI層12のそれよりも小さい屈折率を示す必要がある。例えば、エバネセント結合層26については多くの構成で二酸化ケイ素(n=1.45)が使用され、その一方でSOI層12は通信波長に関して約3.5の屈折率を有する。下記で詳細に検討されるであろうが、高い屈折率を備えた材料がいくつかのケースで結合損失を下げることが見出されてきた。エバネセント結合層26の上に配置されるようにプリズム結合構成が例示され、ここではこの実施形態は、入力ビームIを構成の中へと結合させるための入り口端面14および出力ビームOを構成から外へと結合させるための出口端面18を有する(例えばシリコンで形成された)1つの台形のプリズム16を有する。従来式のシリコンの処理/エッチング技術を使用して形成されると、入り口端面14および出口端面18は両方共に水平面に関して54.74°の角度に配置される。
【0016】
図1に例示されるような構成では、入力ビームIは光の波長λ、入射光の偏光状態、SOI層12、埋め込み誘電体層24、およびエバネセント結合層26の屈折率と厚さ、およびプリズム結合器16と周囲の媒質(例えば空気)の屈折率によって決定される入射角度で発射されなければならない。図2は入力ビームIをプリズム16結合器の入り口端面14に発射するために関与する特定のパラメータを例示する図を含む(明瞭化するためにここではプリズム結合器16の一部分だけが例示されている)。図2に示されるように、2つの関連する角度、(1)SOI層12に沿った信号伝搬の平面(図1参照)で図2ではプリズム結合器の表面15として示される平面の垂線N(図2のz軸と一致)に相対するプリズム結合器16内のビームの角度θSi、および(2)プリズム結合器16の入り口端面14への入力ビームの入射角度θairがある。θairの値はよく知られているスネルの法則を空気/プリズムの界面で適用することによって決定される。
【0017】
図3は(文字「W」で示される)3つの異なる厚さ(すなわち0.10μm、0.14μm、および0.21μm)のSOI層12について、θSiの変化を入力ビーム波長λの関数として例示するグラフを含む。これらのプロットから、θSiの変化は関心対象の波長の極めて広い範囲にわたってλの一次関数として近似されることが可能であり、かつ
θSi(W,λ)=θSi(W,λC)+c(W)×(λ−λC)
として表わされることが可能であり、ここでW=0.14μmと0.21μmについてはc≒−0.0144°/nmであり、W=0.10μmについてはc≒−0.0129°/nmである。単一の波長λCで動作する入力ビームIと共に図1に示されるような構成を使用するとき、θSi(W,λC)に関して結合効率が最大限にされるであろう。λCの近傍の波長λに関する結合効率は波長の関数である結合曲線の幅に応じて決まるであろう。結合効率がηとして示される場合、一定の厚さおよび一定の屈折率のエバネセント結合層については波長の関数である結合効率η(λ)は以下のように表現されることが可能であり、
【0018】
【数1】
【0019】
ここでωPCSは図2に示されるようなプリズム結合器16のプリズム結合表面15への入射ビームIの投影の半径として規定され、αωPCSは一定の厚さおよび一定の屈折率を有するエバネセント結合層26に関して結合効率を設定するパラメータであり、nSiはシリコンの屈折率(関心対象の波長範囲については約3.5の値)である。
【0020】
上述したように、エバネセント結合層の厚さを付随する値から削減して所定の波長λCで最大の結合を得ることによって、或る一定の周波数範囲にわたって削減された光学損失(高められた結合効率)が本発明に従って達成されることが可能である。図4はエバネセント結合層の厚さの3つの異なる値について結合効率を波長の関数としてプロットするこの態様を具体的に示すグラフを含む。各々のケースで偏光状態は電気的横方向(TE)モードに対応し、波長λC=1550nmであり、自由空間のビームは63μmのガウス・ビーム径(2ω0)を有し、比較的薄いシリコン導波路は0.14μmの厚さを有し、二酸化ケイ素のエバネセント結合層は1.45の屈折率を有する。先行技術に関連するプロットAはλC(1550nm)で最大結合効率を達成するように選択された厚さのエバネセント結合層に関するものであり、このケースでは、エバネセント結合層の厚さは約320nmであって効率は80%である。図示されるように、このエバネセント結合層の厚さについては効率は波長と共に急激に落ち込み、λCから±5nmの波長については50%(3dB)未満の効率である。プロットBはエバネセント結合層についてわずかに削減された厚さ、290nmの値に関連するものである(このケースは「緩やかな過結合」状態と称される)。図示されるように、λCでの結合効率はわずかに(約75%の値へと)低下させられるが、3dB点はλCの±8nm近傍へと広げられており、その結果、受容可能な結合効率の波長範囲を広げる。プロットCに示されるようにエバネセント結合層の厚さを265nmの値へとなおもさらに削減する(「中程度の過結合」状態)処理はピークの結合効率を大幅に(約50%へと)低下させるが、しかし±12nmへの3dB点の増大を与える。したがってこのケースでは、大きな波長範囲全体にわたる結合効率の変化が大幅に削減されるが最大効率が50%以下となる犠牲を伴なう。
【0021】
図4に例示された結果以上に向上させるために厚さに加えてエバネセント結合層の他のパラメータが変更されることが可能である。例えば、高屈折率の材料を使用することは、上記で検討されたような結合効率の表現の中の傾きcを小さくすることによって性能を向上させるであろう。場合によっては、多層のエバネセント結合層(異なる材料の各々の層)が使用されることが可能であり、あるいはSOI層の中の信号伝搬の方向に沿って屈折率を上げながら段階的な屈折率の構造が使用されることが可能である。図5は図4に関連して上記で検討されたそれらに類似したプロットのセットを含み、図5のプロットはエバネセント結合層としての窒化ケイ素(n=2.0)、45°のプリズム端面角度θpr、および0.10μmの厚さのシリコン導波路を使用して得られた。中心波長λCおよび入力ビームの直径2ω0は同じ値、すなわち1550nmおよび63μmをそれぞれ維持する。先行技術を表わすプロットAはλCで最大結合効率(80%)を与える構成を例示しており、このケースではこの最大効率を与えるために466nmのエバネセント結合層の厚さが必要とされる。小さくされた効率曲線の傾きの結果として、図4の結果に比べると先行技術の「最大結合効率」および削減された厚さのエバネセント結合層(プロットBおよびC)の両方のプロットが約1.75の因数で広げられる。例えば、プロットBに関すると、前のプロットBに示されたようなλCでの最大結合効率の同じ5%の減少はここではこの緩やかな過結合の実施形態について±14nmの広がった3dB範囲を有する。プロットBおよびCによって示されるように、50%を超える結合効率がここでは1535から1565nmの波長範囲にわたって維持されることが可能である。通信のCバンドに幅で匹敵する帯域幅全体にわたって信号を送信することが本発明に従って全帯域を横切って3dB未満の挿入損失の変化を伴なってここでは可能であるので、これは有意義である。もしもデバイスの制約がそのような選択を許容するのであれば比較的薄いシリコン導波路に関して適切な層の厚さ(W)を選択することによって、波長適用範囲にある程度の追加的な小さい利得もやはり達成されることが可能である。これは、傾きc、したがって波長に伴なうθSiの変化が導波路の厚さの関数であるという事実に起因する。
【0022】
再び結合効率に関して式を参照すると、波長感受性の他の供給源が角度のθSi値に波長依存性であることが明らかである。可変波長レーザを外部の信号供給源として利用するようないくつかの用途については、入力信号は可変の中心波長を備えた狭帯域の信号(このケースではレーザの線幅によって設定される)として特徴付けられる。θSiとθairはスネルの法則を通じて関係付けられるので、θairの値を制御/変更することによってθSiの値を制御/変更することが可能であり、なぜならばθSi=θpr−sin−1(sinθair/nSi)であるからである。
【0023】
図6はθairと波長との間の関係を例示するグラフを含み、データは厚さW=0.136μmのSOI層導波路および厚さ395nmの一定厚さの二酸化ケイ素のエバネセント結合層を使用して収集された。この実験では、約200μmの直径の自由空間ビームが使用され、TEモードの偏光状態が発射された。収集されたデータがシミュレーションと良好な一致であり、約0.06±0.01°/nmの傾きを示していることが認められる。したがって、θairとθSiの間の密接な関係の結果として、中心波長が変化するときにθairを変えることによってθSiに関する値もやはり現在の中心波長にとって最適の角度を生じるように変わることは明らかである。
【0024】
本発明によると、したがって、θairを調節することによって現在使用されている中心波長にとって最適の値に(この中心波長が変わると、すなわちレーザが同調をとられるとθSiを再調節する能力で)θSiを調節するであろう構成が開発された。図7は、適切な自由空間発射角度θairを見出し、プリズム結合器16とSOI層12との間の最大結合効率に付随する発射角度θSiを生じるであろう入り口点を見出すため入力ビームIの入射を調節する(操縦する)ための構成50を例示している。図7に例示される特定の構成50はビーム操縦操作を実行するために一対のMEMSミラー52および54を利用するが、しかし自由空間ビームの入射角度を操縦することが可能ないずれかの他の構成もやはり使用され得ることは理解されるはずである。
【0025】
図7を参照すると、構成50の第1のMEMSミラー52は第1の制御素子56を使用して動かされる。第1のMEMSミラー52は図7の矢印によって示されるように平行移動と回転移動の両方をすることが可能である。(例えばファイバ、好ましくはレンズになったファイバから)入来する光ビームIは構成50へと結合させられ、この特定の実施形態では水平方向の信号経路に追随して第1のMEMSミラー52に衝突する。図示されるように、第1のMEMSミラー52は入力ビームIを反射し、プリズム結合器16の入り口端面14上へとビームを向け直す。入射角度θairが入り口端面14の垂線に関して測定され、その後、関連するθSiの値へと翻訳されることが可能である。したがって、第1のMEMSミラー52の平行移動および回転移動を調節することによって、所定の中心波長λCに関して最大結合効率に付随するミラー構成が決定されることが可能である。
【0026】
上述したように、このビーム操縦用構成は可変波長レーザ60のような同調可能な外部の供給源と使用するために特に適しており、そこでは供給源は狭い線幅(例えば0.5pm)を示すが中心波長自体は35nm以上の範囲にわたって「同調をとられる」ことが可能である。実際に、波長可変の供給源60に関して考え得る中心波長の所定のセットに関連する第1のMEMSミラー52の構成のセットを確立することが本発明に従って可能である。これらの構成の値はメモリ素子62に保存されることが可能であり、それにより、波長可変の供給源60の中心波長が変えられるとメモリ素子62は第1のMEMSミラー52に関する適切な平行移動および回転移動の値を第1の制御器56へと送信するであろう。本発明のこの特定の態様によると、第2のMEMSミラー54および付随する制御器58もやはり出力ビームOを適切に捕捉し、その出力ビームを出口の結合構成へと向けるように配置されることが可能である。実際に、第2のMEMSミラー54に関する平行移動および回転移動の位置の値もやはりメモリ素子62に保存されることが可能である。図7に例示されていないが、各々の素子が複数の光信号のうちの異なる入来光信号と結び付く複数のそのようなビーム操縦用素子が使用されることもやはり可能である。さらに、様々な他の実施形態では光学的反射素子に代わって光学的透過素子が使用されることも可能である。
【0027】
図7に例示されたようなビーム操縦用構成の追加と共に、第1のMEMSミラー52の位置を動的に調節して入力波長の(老朽化、ドリフトなどの関数となる)わずかな変化に対処するフィードバック制御メカニズムを追加することが可能である。特に、SOI層12に結合する入力信号の一部がタップ引き出しされて入り口の結合効率を測定するために使用されることが可能であり、その場合に結合効率を測定するために使用される測定装置64が図7に例示されている。上記で検討したように、結合効率の間の関係、θSiおよびθairはすでに確立された。したがって、測定装置64によって測定されるときに結合効率が低下し始めれば、第1のMEMSミラー52の第1の制御器56の中の(またはメモリ素子62の中の)ルックアップテーブルが、最大効率に付随する値へと入射角度を修復するために必要とされる正しい平行移動および/または回転移動の値を計算するであろう。図7に例示されるような特定のフィードバック構成では、装置64から得られる結合効率測定値が第1の入力として加算器66に加えられ、加算器66の第2の入力は「分かっている」最適結合効率の値68である。したがって、これら2つの値の差が「誤差」信号εを形成し、その後、適切な補正値を選択することに使用するためにそれが第1の制御器56へとフィードバックされる。様々な他のフィードバック構成が使用されることが可能であり、そのフィードバック技術が図7のビーム操縦用構成の出口部分でも使用され得ることは理解されるはずである。
【0028】
波長感受性の改善を提供することが可能な他の実施形態が図8に例示されている。このケースで、かつ上記で簡単に検討されたように、テーパの付いた厚さのエバネセント結合層が入り口および出口部分で使用されることで「平坦な」エバネセント結合層で可能なそれよりも広い波長範囲にわたって結合効率を向上させる。特に、前の図面と同様に、図8は自由空間の光ビーム(IおよびO)をSOI層12の中に形成されたサブミクロンの厚さの導波路の中、およびそこから外へと結合させるために入り口端面14と出口端面18を備えたプリズム結合器16の使用を例示している。しかしながらこの実施形態では、プリズム結合器16とSOI層12との間の結合を行うためにテーパ付きのエバネセント結合層80が使用される。図示されるように、テーパ付きのエバネセント結合層80は単調に増加する厚さの入り口結合部分82と単調に減少する厚さの出口結合部分84を有する。1つの事例では、直線的な増加および減少が使用されることが可能である。図9は光ビームの振幅に関連したエバネセント結合領域の厚さ変化を描くグラフを含み、図9(a)は図8の構成の入り口部分に関し、図9(b)は図8の構成の出口部分に関する。
【0029】
下記で検討される結合効率の結果から明らかになるであろうが、テーパ付きのエバネセント結合領域を使用する少なくとも3つの主要な利点が存在する。第1に、中心波長λCの結合効率は一定厚さのエバネセント結合層で得られるそれを上回って改善される。いくつかのケースでは、結合効率は80%の値から約97%へと改善されることが可能である。このようにして、λCでの比較的高い結合効率と拡大された波長範囲にわたる結合領域の受容可能なレベルの両方を提供するためにテーパ付きのエバネセント結合層と組み合わせて(上記で検討したようなさらに薄いエバネセント結合層および/または異なる材料の使用といった)波長範囲感受性拡大技術が使用されることが可能である。また、変化する厚さのエバネセント結合層を使用すると、入力ビームは本質的に様々な厚さの値を途中で捕らえる。すなわち、入力ビームの有意の部分(50%の位数)が入り口部分82に沿ってエバネセント結合層の厚さを途中で捕らえ、それは最適値(この「最適」は一定厚さのエバネセント結合層に関して規定される)よりも小さい。これは図9(a)のグラフで明らかに認められる。図9(b)に例示されるように出口で結合されるビームについても、それが出口結合部分84に衝突するときに同じことが言える。したがって、各々のビームの少なくとも半分が削減された厚さに遭遇するので、上記で検討された理由のために波長感受性が下げられる。最後に、テーパ付きのエバネセント結合領域は入り口と出口のガウス・ビームの両方に高い度合いのモード整合を有するので、本発明の構成は光ファイバのような従来式の送受信用光学素子との使用に特に便利である。
【0030】
図10は図8に概略で示されたそれと同様のテーパ付きのエバネセント結合層の使用に付随する結合効率の向上を例示するグラフを含む。図10のプロットに関する値は1550nmの中心波長λCとTEモード偏光状態での63μmの自由空間ビーム径2ω0、1.45の屈折率を備えた二酸化ケイ素のエバネセント結合層および54.74°のプリズム結合角度θprについて得られた。曲線Aは比較の目的で(図4に例示された曲線Aの結果と同様に)一定厚さのエバネセント結合層に関する結合効率を例示しており、このケースではその厚さは約320nmである。曲線Bのプロットは1550nmの中心波長に関して最適化されたテーパ付きのエバネセント結合層に関連している。すなわち、1550nmで最大の結合効率(このケースでは97.5%)を与えるようにテーパが選択された。直線的に変化するテーパ部分についてはこのテーパに付随する傾きが約0.1°であることが見受けられ得る。一定厚さのエバネセント結合層の使用に比べると波長範囲全体にわたる結合効率が改善されることに留意すべきである。曲線Cはビームによってサンプリングされるすべての地点で(最適値に比べて)やはりわずかに厚さで削減されるテーパ付きのエバネセント結合層に関連しており、その削減は約40nmであって傾きで約0.15°に増加する。曲線Bと同様に、曲線Cに関する測定値に付随するエバネセント層もやはり波長範囲全体にわたって一定厚さの実施形態に付随する結合効率よりも良好な結合効率を生じる。両方のテーパ付きエバネセント結合層について、波長範囲のうちの外側領域での結合効率は2から3の因数で改善される。付け加えると、中心波長λCでの結合効率は少なくとも10から20%高い。このようにして本発明のこの実施形態によると、変化する厚さのエバネセント結合層の使用は1つの波長だけではなく所定の波長範囲全体にわたって付随するSOI層を通る光の透過を大幅に改善することが可能である。すべての波長で効率が大幅に改善されるので、特定の幅の波長範囲に関して他の装置のパラメータのうちのいくつかを特別に仕立てることが可能である。例えば、帯域の中心付近の結合効率の大幅な低下を伴なうことなく波長範囲を横切る結合効率の変化が削減されることが可能である。
【0031】
図11のプロットは3つの異なる構成について結合効率を比較しており、1550nmの中心波長で75%の結合効率を生じるように全部が制約されている。前に図4で示されたように、曲線Aは一定厚さ(320nm)のエバネセント結合層のケースを例示しており、この層は二酸化ケイ素を含む。曲線Bもやはり一定厚さ(466nm)のエバネセント結合層に関連しており、この曲線は窒化ケイ素の使用に付随している。最後のプロットである曲線Cは直線的に変化する厚さおよび1.45の屈折率のエバネセント結合層(二酸化ケイ素)を備えた構成を表わす。図11に示されるように、この最後の構成は曲線Bに付随するさらに高屈折率の材料を使用することによって達成されるそれと同じ程度のスペクトルの拡大を与える。この構成を作り出すために一層少ない材料の数が必要とされるだけであるのでこれは有意義な結果である。したがって、エバネセント結合層の厚さにテーパを付けることによって、二酸化ケイ素材料の層が使用され、かつ窒化ケイ素で構成される層と同様に機能することが可能となる。さらに、窒化ケイ素のような材料が使用されることが可能なケースについてはテーパ付きエバネセント結合層と比較的大きい屈折率との組み合わせはなおもさらに同じ波長範囲全体にわたる結合効率を向上させるであろうとさらに推定される。図12は例えば3つの最適化された状況に関するプロットのセットを含み、曲線Aは一定厚さの窒化ケイ素のエバネセント結合層を使用する処理に付随し、曲線Bは二酸化ケイ素のテーパ付きエバネセント結合層を使用する処理に付随し、曲線Cは窒化ケイ素のテーパ付きエバネセント結合層を使用する処理に付随し、各々の曲線は1550nmの中心波長に関連付けて判定される。後者の構成で、波長範囲全体にわたって結合効率が平均40〜50%改善されたことが気付かれるはずである。
【0032】
テーパに沿ってビームの中心がエバネセント結合層を途中で捕らえる正確な場所をさらに制御するためにテーパ付きエバネセント結合層と組み合わせてビーム操縦用構成が使用され得ることが気付かれるはずである。さらに、SOI層の中の光信号の伝搬方向に沿ってエバネセント結合層の実効屈折率を「段階化する」ことによって、削減された波長感受性を与えるためのエバネセント結合層の他の実施形態が形成されることが可能である。特に、屈折率の変化は所望の波長範囲にわたってθSiの値を均等化する傾向を有するように変えられる(段階化される)。特に、実効屈折率は二重層構造を使用することによって実現されることが可能であり、第1の層は第1の材料を含み、一定の厚さを有するように形成される。別の材料の第2の層は第1の層の上でテーパとして形成される。その結果、導波路に沿って信号が伝搬するにつれて実効屈折率が(入り口に沿って)増大する。一実施形態では、テーパ層は適切な屈折率を備えた材料の交互の層を使用することによって実現されることが可能であり、それらの層は水平方向かまたは垂直方向のどちらかで交互にされることが可能である。
【0033】
上述の本発明の実施形態が単に範例に過ぎず、本発明の範囲を規定もしくは限定するように考えられるべきでないことは理解されるはずである。実際に、本発明は添付の特許請求項によって最も適切に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】外部の信号供給源と比較的薄い平板状シリコン光導波路との間の光信号結合を行うための範例となるプリズム結合構成を例示する図である。
【図2】自由空間ビーム(例えば「外部供給源」)と比較的薄いプレーナ光導波路との間の高い結合効率を供給するためのプリズム結合器の使用に付随する角度パラメータの詳細を示す図である。
【図3】プリズム結合器の内部の光ビーム発射角度(θSi)を波長の関数として例示するグラフであって、3つの異なるサブミクロン厚さのSOI層光学導波路についてデータを例示している。
【図4】3つの異なる厚さのエバネセント結合層に関して結合効率を波長の関数として例示するグラフであって、エバネセント結合層は二酸化ケイ素で形成される。
【図5】窒化ケイ素のエバネセント結合層を使用するときの結合効率を波長の関数として例示するグラフであって、3つの異なる厚さ値のエバネセント結合層に関して結合効率を例示している。
【図6】プリズム入り口端面での入射角度(θair)の変化のシミュレーション結果と測定データの両方を波長の関数としてプロットしたグラフである。
【図7】プリズム結合器の入り口端面での光ビームの入射角度を修正/操縦するために本発明に従って使用されることが可能な範例のビーム操縦用構成を示す図である。
【図8】結合構成の波長感受性を下げるためにテーパ付きエバネセント結合層を利用する、本発明の第2の実施形態を例示する図である。
【図9】入り口(図9(a))と出口(図9(b))の両方でテーパ付きエバネセント結合層とビームの振幅との間の関係を例示する単純化したグラフのセットである。
【図10】「一定厚さの」エバネセント結合層、およびテーパ付きエバネセント結合層の2つの異なる実施形態の両方について効率を例示する結合効率のグラフである。
【図11】テーパ付きエバネセント結合層の使用に付随する結合効率の向上を2つの異なる「一定厚さの」エバネセント結合層に対して比較するグラフである。
【図12】本発明に従って形成された3つの「最適の」エバネセント結合構成のセットに付随する結合効率を比較するグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長範囲と中心波長とによって規定される複数の異なる波長で光信号を発生する外部光源と比較的薄いプレーナシリコン光導波路との間の光学的結合を行うための構成であって、
前記プレーナシリコン光導波路の少なくとも一部分の上に配置され、シリコンよりも小さい屈折率を示し、かつ前記外部光源に付随する前記波長範囲全体にわたって光学損失を最小化するように選択された実質的に一定の厚さの平均値を有するエバネセント結合層と、
前記エバネセント結合層の上に配置されたシリコンを主原料とするプリズム結合用の構造体であって、前記導波路の表面に関して所定の角度で形成された入り口端面と前記導波路の表面に関して所定の角度で形成された出口端面を有し、前記エバネセント結合層の上に配置されたプレーナ下側表面をさらに有するプリズム結合用構造体とを含む構成。
【請求項2】
前記波長範囲が1.1〜1.65μmの範囲の中の波長のサブセットとして規定される、請求項1に記載の構成。
【請求項3】
前記発生する信号が、前記選択されたエバネセント結合層の厚さについて所定の光学損失を与えることに付随するビーム・サイズを示す、請求項1に記載の構成。
【請求項4】
前記エバネセント結合層の前記厚さが所定のビーム・サイズについて本質的に前記中心波長で光学損失を最小化するように選択される、請求項1に記載の構成。
【請求項5】
前記エバネセント結合層の前記厚さが前記波長範囲にわたって光学損失を最小化するように選択され、前記選択された厚さが前記中心波長での最小光学損失に関連する厚さ未満である、請求項1に記載の構成。
【請求項6】
前記エバネセント結合層が誘電体材料を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項7】
前記誘電体材料の屈折率が、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な光学損失を前記比較的薄いプレーナシリコン光導波路の選択された厚さについて与えるように選択される、請求項6に記載の構成。
【請求項8】
屈折率が1.3よりも大きい、請求項7に記載の構成。
【請求項9】
前記誘電体材料が、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および炭化ケイ素で構成されるグループから選択される、請求項6に記載の構成。
【請求項10】
前記エバネセント結合層が材料の単層を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項11】
前記エバネセント結合層が材料の複数の部分層を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項12】
前記複数の部分層のうちの各部分層が同じ材料を含む、請求項11に記載の構成。
【請求項13】
前記複数の部分層のうちの少なくとも2つの部分層が異なる材料を含む、請求項11に記載の構成。
【請求項14】
前記平板状シリコン光導波路の厚さが、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な損失を前記エバネセント結合層の選択された誘電体材料に関して与えるように選択される、請求項6に記載の構成。
【請求項15】
さらに、
前記外部光源と、入力光ビームをコリメートし、整形し、かつ所定の入り口点および前記入り口結合端面に関する入射角度に操縦するための前記プリズム結合用構造体の入り口端面との間に配置された入力光学的インターフェース素子を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項16】
さらに、
出力ビームをコリメートし、整形し、かつ受光素子に向けて操縦するための出力光学的インターフェース素子を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項17】
前記出力光学的インターフェース素子が前記受光素子への出力ビームの焦点集束を供給する、請求項16に記載の構成。
【請求項18】
前記出力光学的インターフェース素子が少なくとも部分的に前記比較的薄いプレーナ光導波路と一体化される、請求項16に記載の構成。
【請求項19】
前記出力光学的インターフェース素子が、出力ビームをコリメートし、整形し、かつ外部の受光素子に向けて操縦するための前記出口端面の外に配置された個別部品を有する、請求項16に記載の構成。
【請求項20】
前記入力光学的インターフェース素子がさらに、
入力光ビームを所定の入り口点および前記プリズム結合用構造体の入り口端面への入射角度に方向付けるためのビーム操縦用システムを有し、前記方向付け機能を達成するために前記ビーム操縦用システムが平行移動および回転移動させられることが可能である、請求項15に記載の構成。
【請求項21】
前記ビーム操縦用システムが、前記中心波長が変わると前記入力光ビームを再度方向付けることによって前記入り口点および入射角度を修正するように機能する、請求項20に記載の構成。
【請求項22】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの反射型光学素子を有する、請求項20に記載の構成。
【請求項23】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの透過型光学素子を有する、請求項20に記載の構成。
【請求項24】
前記所定の入り口点および入射角度が、所定の中心波長について光学的結合を最大化するように選択される、請求項20に記載の構成。
【請求項25】
さらに、
出力光ビームを前記プリズム結合用構造体の出口結合端面から受光用光学装置へと方向付けるための出力ビーム操縦用システムを有する、請求項20に記載の構成。
【請求項26】
前記ビーム操縦用システムが、各々のビーム操縦用素子が前記波長範囲の中の特定の波長に付随する複数のビーム操縦用素子を有し、各々のビーム操縦用素子が、それに付随する入力ビームを前記プリズム結合用構造体の入り口結合端面上で所定の入り口点および入射角度に方向付けるように独立して動作する、請求項20に記載の構成。
【請求項27】
さらに、
前記比較的薄いシリコン光導波路へと結合させられる光学的入力信号を測定し、調節用出力信号を平行移動と回転移動を修正するための前記ビーム操縦用システムへの入力として供給することで最大の光学的結合を維持するためのフィードバック・システムを有する、請求項20に記載の構成。
【請求項28】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路からタップ引き出しされた入力光信号の部分を知られている最大の結合信号と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項27に記載の構成。
【請求項29】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路での入力光信号の結合効率を知られている結合効率の最大値と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項27に記載の構成。
【請求項30】
波長範囲と中心波長とによって規定される複数の異なる波長で光信号を発生する外部光源と比較的薄いプレーナシリコン光導波路との間に光学的結合を行うための構成であって、
前記プレーナシリコン光導波路の少なくとも一部分の上に配置されたエバネセント結合領域で、
入力光ビームの冒頭の結合部分が前記光ビームの中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも小さい厚さを途中で捕らえ、前記光ビームの最後の結合部分が前記光ビームの前記中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも大きい厚さを途中で捕らえるように単調に厚さが変化する入り口エバネセント結合領域と、
前記プレーナシリコン光導波路に沿って伝搬する光ビームの冒頭の結合部分が前記伝搬光ビームの中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも大きい厚さを途中で捕らえ、前記伝搬光ビームの最後の結合部分が前記伝搬光ビームの前記中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも小さい厚さを途中で捕らえるように単調に厚さが変化する出口エバネセント結合領域とを含むエバネセント結合領域と、
前記エバネセント結合領域の上に配置されたシリコンを主原料とするプリズム結合用の構造体で、前記平板状シリコンの導波路の表面に関して所定の角度で形成された入り口端面と前記シリコンの平板状導波路の表面に関して前記所定の角度で形成された出口端面を有し、前記エバネセント結合領域の上に配置されるプリズム結合用構造体とを含む構成。
【請求項31】
前記波長範囲が1.1〜1.65μmの範囲の中の波長のサブセットとして規定される、請求項30に記載の構成。
【請求項32】
前記エバネセント結合領域の入り口部分と出口部分の厚さが、前記光ビームの伝搬方向に沿った距離と共に直線的に変化する、請求項30に記載の構成。
【請求項33】
結合した光ビームの中央の部分によって途中で捕らえられる場所の入り口および出口のエバネセント結合部分の厚さ、および直線的変化の傾きが前記波長範囲にわたって所定の光学損失の値を達成するように選択される、請求項32に記載の構成。
【請求項34】
前記エバネセント結合領域が誘電体材料を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項35】
前記誘電体材料の屈折率が、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な光学損失を前記比較的薄いプレーナシリコン光導波路の選択された厚さについて与えるように選択される、請求項30に記載の構成。
【請求項36】
屈折率が1.3よりも大きい、請求項35に記載の構成。
【請求項37】
前記誘電体材料が、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および炭化ケイ素で構成されるグループから選択される、請求項34に記載の構成。
【請求項38】
前記エバネセント結合領域が材料の単層を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項39】
前記エバネセント結合領域が材料の複数の層を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項40】
前記複数の層のうちの各々の層が同じ材料を含む、請求項39に記載の構成。
【請求項41】
前記複数の層のうちの少なくとも2つの層が異なる材料を含む、請求項39に記載の構成。
【請求項42】
前記平板状シリコン光導波路の厚さが、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な損失を前記エバネセント結合層の選択された誘電体材料に関して与えるように選択される、請求項34に記載の構成。
【請求項43】
さらに、
前記外部光源と、入力光ビームをコリメートし、整形し、かつ所定の入り口点および前記入り口端面に関する入射角度に操縦するための前記プリズム結合用構造体の入り口端面との間に配置された入力光学的インターフェース素子を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項44】
さらに、
出力ビームをコリメートし、整形し、かつ受光素子に向けて操縦するための出力光学的インターフェース素子を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項45】
前記出力光学的インターフェース素子が前記受光素子への出力ビームの焦点集束を供給する、請求項44に記載の構成。
【請求項46】
前記出力光学的インターフェース素子および受光素子が少なくとも部分的に前記比較的薄いプレーナ光導波路と一体化される、請求項44に記載の構成。
【請求項47】
前記出力光学的インターフェース素子が、出力ビームをコリメートし、整形し、かつ外部の受光素子に向けて操縦するための前記出口端面の外に配置された個別部品を有する、請求項44に記載の構成。
【請求項48】
前記入力光学的インターフェース素子がさらに、
入力光ビームを所定の入り口点および前記プリズム結合用構造体の入り口端面への入射角度に方向付けるためのビーム操縦用システムを有し、前記方向付け機能を達成するために前記ビーム操縦用システムが平行移動および回転移動させられることが可能である、請求項43に記載の構成。
【請求項49】
前記ビーム操縦用システムが、前記中心波長が変わると前記入力光ビームを再度方向付けることによって前記入り口点および入射角度を修正するように機能する、請求項48に記載の構成。
【請求項50】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの反射型光学素子を有する、請求項48に記載の構成。
【請求項51】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの透過型光学素子を有する、請求項48に記載の構成。
【請求項52】
前記所定の入り口点および入射角度が、所定の中心波長について光学的結合を最大化するように選択される、請求項48に記載の構成。
【請求項53】
前記ビーム操縦用システムが、所定の値の結合が達成されるまで前記光ビームが前記入り口のエバネセント結合部分を途中で捕らえる位置を修正するように機能する、請求項48に記載の構成。
【請求項54】
さらに、
出力光ビームを前記プリズム結合用構造体の出口結合端面から受光用光学装置へと方向付けるための出力ビーム操縦用システムを有する、請求項48に記載の構成。
【請求項55】
前記ビーム操縦用システムが、各々のビーム操縦用素子が前記波長範囲の中の特定の波長に付随する複数のビーム操縦用素子を有し、各々のビーム操縦用素子が、それに付随する入力ビームを前記プリズム結合用構造体の入り口結合端面上で所定の入り口点および入射角度に方向付けるように独立して動作する、請求項48に記載の構成。
【請求項56】
さらに、
前記比較的薄いプレーナシリコン光導波路へと結合させられる入力信号をモニタし、平行移動と回転移動を修正するために調節用信号を前記ビーム操縦用システムへと供給することで最大の入り口結合を維持するためのフィードバック・システムを有する、請求項48に記載の構成。
【請求項57】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路からタップ引き出しされた入力光信号の部分を知られている最大の結合信号と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項56に記載の構成。
【請求項58】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路での入力光信号の結合効率を知られている結合効率の最大値と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項56に記載の構成。
【請求項59】
前記外部光源が光ファイバを含む、請求項30に記載の構成。
【請求項60】
前記光ファイバがレンズにされた光ファイバを含む、請求項57に記載の構成。
【請求項61】
前記受光用光学素子が光ファイバを含む、請求項44に記載の構成。
【請求項62】
前記受光用光ファイバがレンズにされた光ファイバを含む、請求項61に記載の構成。
【請求項1】
波長範囲と中心波長とによって規定される複数の異なる波長で光信号を発生する外部光源と比較的薄いプレーナシリコン光導波路との間の光学的結合を行うための構成であって、
前記プレーナシリコン光導波路の少なくとも一部分の上に配置され、シリコンよりも小さい屈折率を示し、かつ前記外部光源に付随する前記波長範囲全体にわたって光学損失を最小化するように選択された実質的に一定の厚さの平均値を有するエバネセント結合層と、
前記エバネセント結合層の上に配置されたシリコンを主原料とするプリズム結合用の構造体であって、前記導波路の表面に関して所定の角度で形成された入り口端面と前記導波路の表面に関して所定の角度で形成された出口端面を有し、前記エバネセント結合層の上に配置されたプレーナ下側表面をさらに有するプリズム結合用構造体とを含む構成。
【請求項2】
前記波長範囲が1.1〜1.65μmの範囲の中の波長のサブセットとして規定される、請求項1に記載の構成。
【請求項3】
前記発生する信号が、前記選択されたエバネセント結合層の厚さについて所定の光学損失を与えることに付随するビーム・サイズを示す、請求項1に記載の構成。
【請求項4】
前記エバネセント結合層の前記厚さが所定のビーム・サイズについて本質的に前記中心波長で光学損失を最小化するように選択される、請求項1に記載の構成。
【請求項5】
前記エバネセント結合層の前記厚さが前記波長範囲にわたって光学損失を最小化するように選択され、前記選択された厚さが前記中心波長での最小光学損失に関連する厚さ未満である、請求項1に記載の構成。
【請求項6】
前記エバネセント結合層が誘電体材料を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項7】
前記誘電体材料の屈折率が、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な光学損失を前記比較的薄いプレーナシリコン光導波路の選択された厚さについて与えるように選択される、請求項6に記載の構成。
【請求項8】
屈折率が1.3よりも大きい、請求項7に記載の構成。
【請求項9】
前記誘電体材料が、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および炭化ケイ素で構成されるグループから選択される、請求項6に記載の構成。
【請求項10】
前記エバネセント結合層が材料の単層を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項11】
前記エバネセント結合層が材料の複数の部分層を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項12】
前記複数の部分層のうちの各部分層が同じ材料を含む、請求項11に記載の構成。
【請求項13】
前記複数の部分層のうちの少なくとも2つの部分層が異なる材料を含む、請求項11に記載の構成。
【請求項14】
前記平板状シリコン光導波路の厚さが、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な損失を前記エバネセント結合層の選択された誘電体材料に関して与えるように選択される、請求項6に記載の構成。
【請求項15】
さらに、
前記外部光源と、入力光ビームをコリメートし、整形し、かつ所定の入り口点および前記入り口結合端面に関する入射角度に操縦するための前記プリズム結合用構造体の入り口端面との間に配置された入力光学的インターフェース素子を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項16】
さらに、
出力ビームをコリメートし、整形し、かつ受光素子に向けて操縦するための出力光学的インターフェース素子を含む、請求項1に記載の構成。
【請求項17】
前記出力光学的インターフェース素子が前記受光素子への出力ビームの焦点集束を供給する、請求項16に記載の構成。
【請求項18】
前記出力光学的インターフェース素子が少なくとも部分的に前記比較的薄いプレーナ光導波路と一体化される、請求項16に記載の構成。
【請求項19】
前記出力光学的インターフェース素子が、出力ビームをコリメートし、整形し、かつ外部の受光素子に向けて操縦するための前記出口端面の外に配置された個別部品を有する、請求項16に記載の構成。
【請求項20】
前記入力光学的インターフェース素子がさらに、
入力光ビームを所定の入り口点および前記プリズム結合用構造体の入り口端面への入射角度に方向付けるためのビーム操縦用システムを有し、前記方向付け機能を達成するために前記ビーム操縦用システムが平行移動および回転移動させられることが可能である、請求項15に記載の構成。
【請求項21】
前記ビーム操縦用システムが、前記中心波長が変わると前記入力光ビームを再度方向付けることによって前記入り口点および入射角度を修正するように機能する、請求項20に記載の構成。
【請求項22】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの反射型光学素子を有する、請求項20に記載の構成。
【請求項23】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの透過型光学素子を有する、請求項20に記載の構成。
【請求項24】
前記所定の入り口点および入射角度が、所定の中心波長について光学的結合を最大化するように選択される、請求項20に記載の構成。
【請求項25】
さらに、
出力光ビームを前記プリズム結合用構造体の出口結合端面から受光用光学装置へと方向付けるための出力ビーム操縦用システムを有する、請求項20に記載の構成。
【請求項26】
前記ビーム操縦用システムが、各々のビーム操縦用素子が前記波長範囲の中の特定の波長に付随する複数のビーム操縦用素子を有し、各々のビーム操縦用素子が、それに付随する入力ビームを前記プリズム結合用構造体の入り口結合端面上で所定の入り口点および入射角度に方向付けるように独立して動作する、請求項20に記載の構成。
【請求項27】
さらに、
前記比較的薄いシリコン光導波路へと結合させられる光学的入力信号を測定し、調節用出力信号を平行移動と回転移動を修正するための前記ビーム操縦用システムへの入力として供給することで最大の光学的結合を維持するためのフィードバック・システムを有する、請求項20に記載の構成。
【請求項28】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路からタップ引き出しされた入力光信号の部分を知られている最大の結合信号と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項27に記載の構成。
【請求項29】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路での入力光信号の結合効率を知られている結合効率の最大値と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項27に記載の構成。
【請求項30】
波長範囲と中心波長とによって規定される複数の異なる波長で光信号を発生する外部光源と比較的薄いプレーナシリコン光導波路との間に光学的結合を行うための構成であって、
前記プレーナシリコン光導波路の少なくとも一部分の上に配置されたエバネセント結合領域で、
入力光ビームの冒頭の結合部分が前記光ビームの中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも小さい厚さを途中で捕らえ、前記光ビームの最後の結合部分が前記光ビームの前記中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも大きい厚さを途中で捕らえるように単調に厚さが変化する入り口エバネセント結合領域と、
前記プレーナシリコン光導波路に沿って伝搬する光ビームの冒頭の結合部分が前記伝搬光ビームの中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも大きい厚さを途中で捕らえ、前記伝搬光ビームの最後の結合部分が前記伝搬光ビームの前記中央の結合部分によって途中で捕らえられる厚さよりも小さい厚さを途中で捕らえるように単調に厚さが変化する出口エバネセント結合領域とを含むエバネセント結合領域と、
前記エバネセント結合領域の上に配置されたシリコンを主原料とするプリズム結合用の構造体で、前記平板状シリコンの導波路の表面に関して所定の角度で形成された入り口端面と前記シリコンの平板状導波路の表面に関して前記所定の角度で形成された出口端面を有し、前記エバネセント結合領域の上に配置されるプリズム結合用構造体とを含む構成。
【請求項31】
前記波長範囲が1.1〜1.65μmの範囲の中の波長のサブセットとして規定される、請求項30に記載の構成。
【請求項32】
前記エバネセント結合領域の入り口部分と出口部分の厚さが、前記光ビームの伝搬方向に沿った距離と共に直線的に変化する、請求項30に記載の構成。
【請求項33】
結合した光ビームの中央の部分によって途中で捕らえられる場所の入り口および出口のエバネセント結合部分の厚さ、および直線的変化の傾きが前記波長範囲にわたって所定の光学損失の値を達成するように選択される、請求項32に記載の構成。
【請求項34】
前記エバネセント結合領域が誘電体材料を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項35】
前記誘電体材料の屈折率が、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な光学損失を前記比較的薄いプレーナシリコン光導波路の選択された厚さについて与えるように選択される、請求項30に記載の構成。
【請求項36】
屈折率が1.3よりも大きい、請求項35に記載の構成。
【請求項37】
前記誘電体材料が、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および炭化ケイ素で構成されるグループから選択される、請求項34に記載の構成。
【請求項38】
前記エバネセント結合領域が材料の単層を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項39】
前記エバネセント結合領域が材料の複数の層を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項40】
前記複数の層のうちの各々の層が同じ材料を含む、請求項39に記載の構成。
【請求項41】
前記複数の層のうちの少なくとも2つの層が異なる材料を含む、請求項39に記載の構成。
【請求項42】
前記平板状シリコン光導波路の厚さが、前記波長範囲にわたって所定の受容可能な損失を前記エバネセント結合層の選択された誘電体材料に関して与えるように選択される、請求項34に記載の構成。
【請求項43】
さらに、
前記外部光源と、入力光ビームをコリメートし、整形し、かつ所定の入り口点および前記入り口端面に関する入射角度に操縦するための前記プリズム結合用構造体の入り口端面との間に配置された入力光学的インターフェース素子を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項44】
さらに、
出力ビームをコリメートし、整形し、かつ受光素子に向けて操縦するための出力光学的インターフェース素子を含む、請求項30に記載の構成。
【請求項45】
前記出力光学的インターフェース素子が前記受光素子への出力ビームの焦点集束を供給する、請求項44に記載の構成。
【請求項46】
前記出力光学的インターフェース素子および受光素子が少なくとも部分的に前記比較的薄いプレーナ光導波路と一体化される、請求項44に記載の構成。
【請求項47】
前記出力光学的インターフェース素子が、出力ビームをコリメートし、整形し、かつ外部の受光素子に向けて操縦するための前記出口端面の外に配置された個別部品を有する、請求項44に記載の構成。
【請求項48】
前記入力光学的インターフェース素子がさらに、
入力光ビームを所定の入り口点および前記プリズム結合用構造体の入り口端面への入射角度に方向付けるためのビーム操縦用システムを有し、前記方向付け機能を達成するために前記ビーム操縦用システムが平行移動および回転移動させられることが可能である、請求項43に記載の構成。
【請求項49】
前記ビーム操縦用システムが、前記中心波長が変わると前記入力光ビームを再度方向付けることによって前記入り口点および入射角度を修正するように機能する、請求項48に記載の構成。
【請求項50】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの反射型光学素子を有する、請求項48に記載の構成。
【請求項51】
前記ビーム操縦用システムが少なくとも1つの透過型光学素子を有する、請求項48に記載の構成。
【請求項52】
前記所定の入り口点および入射角度が、所定の中心波長について光学的結合を最大化するように選択される、請求項48に記載の構成。
【請求項53】
前記ビーム操縦用システムが、所定の値の結合が達成されるまで前記光ビームが前記入り口のエバネセント結合部分を途中で捕らえる位置を修正するように機能する、請求項48に記載の構成。
【請求項54】
さらに、
出力光ビームを前記プリズム結合用構造体の出口結合端面から受光用光学装置へと方向付けるための出力ビーム操縦用システムを有する、請求項48に記載の構成。
【請求項55】
前記ビーム操縦用システムが、各々のビーム操縦用素子が前記波長範囲の中の特定の波長に付随する複数のビーム操縦用素子を有し、各々のビーム操縦用素子が、それに付随する入力ビームを前記プリズム結合用構造体の入り口結合端面上で所定の入り口点および入射角度に方向付けるように独立して動作する、請求項48に記載の構成。
【請求項56】
さらに、
前記比較的薄いプレーナシリコン光導波路へと結合させられる入力信号をモニタし、平行移動と回転移動を修正するために調節用信号を前記ビーム操縦用システムへと供給することで最大の入り口結合を維持するためのフィードバック・システムを有する、請求項48に記載の構成。
【請求項57】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路からタップ引き出しされた入力光信号の部分を知られている最大の結合信号と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項56に記載の構成。
【請求項58】
前記フィードバック・システムが前記比較的薄いシリコン光導波路での入力光信号の結合効率を知られている結合効率の最大値と比較し、2つの値の差を前記調節用出力信号として使用する、請求項56に記載の構成。
【請求項59】
前記外部光源が光ファイバを含む、請求項30に記載の構成。
【請求項60】
前記光ファイバがレンズにされた光ファイバを含む、請求項57に記載の構成。
【請求項61】
前記受光用光学素子が光ファイバを含む、請求項44に記載の構成。
【請求項62】
前記受光用光ファイバがレンズにされた光ファイバを含む、請求項61に記載の構成。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−526808(P2006−526808A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513406(P2006−513406)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013128
【国際公開番号】WO2004/097902
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505377120)シオプティカル インコーポレーテッド (20)
【出願人】(306008322)
【出願人】(306008311)
【出願人】(306008366)
【出願人】(306008333)
【出願人】(306008403)
【出願人】(306008399)
【出願人】(306008425)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013128
【国際公開番号】WO2004/097902
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505377120)シオプティカル インコーポレーテッド (20)
【出願人】(306008322)
【出願人】(306008311)
【出願人】(306008366)
【出願人】(306008333)
【出願人】(306008403)
【出願人】(306008399)
【出願人】(306008425)
【Fターム(参考)】
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