説明

プリンタの用紙受箱

【課題】 プリンタに後付けや外付けで追加でき、収納スペースを取らず設置が容易で安価な用紙受箱を提供すること。
【解決手段】 不使用時にはプリンタの発行口3直下の収納部5に折り畳んで収納し、使用時には引き出して展開し、組立られるプリンタの用紙受箱を、底板部6と、底板部6に回動可能に連結された前板部8と、側板部9と、底板部6と前板部8及び側板部9が互いに係止して略直角となすストッパ部8A、および連接突起9D〜9Fとから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば連続紙に印字後カットするプリンタに用いて好適なプリンタの用紙受箱に関し、特に使用しないときにはプリンタ本体に収納され、使用時にはプリンタ本体から引き出して箱状に組み立てて使用するプリンタの用紙受箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不使用時にプリンタ本体の底部に収納され、使用する時に引き出す用紙ホルダや印字済み用紙のトレーが知られている(例えば、特許文献1)。また、プリンタの発行口直下やプリンタ台の前側に引っ掛けるカゴ状の用紙受箱も知られている。さらに、スタッカーと呼ばれる印字済みのラベルやタグを積層して集める専用の装置も存在する。
【特許文献1】特開平11−240223号公報
【0003】
ところで、特許文献1にあるような従来技術では、用紙ホルダやトレーが予めプリンタ本体の一部として設計されるため、サイズや形状の変更が容易でない。特に、産業用のラベルやタグを印字するプリンタでは、用紙サイズがユーザー毎に区々であり、事務用(OA用)のプリンタ程の量産効果も期待できないため、問題となる。
【0004】
また、プリンタに外付けする用紙受箱や専用のスタッカー等は、使用しないときに邪魔になり、常時使用するのでなければ高価につくという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、プリンタに後付けや外付けで追加でき、なおかつ、収納スペースを取らず設置が容易で安価なプリンタの用紙受箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明が採用する構成の特徴は、不使用時にはプリンタの用紙発行口直下の収納部に折り畳んで収納し、使用時には用紙発行方向に引き出して展開し、組立られるプリンタの用紙受箱において、前記用紙受箱は、底板部と、該底板部に回動可能に連結された前板部、側板部を備え、底板部と前板部及び側板部が互いに係止して略直角となるように係止部を設けたことにある。
【0007】
上記構成によれば、用紙受箱は板金加工などの安価な方法で製造でき、プリンタに後付け、外付けできるため、設計変更も容易である。
【0008】
ここで、上記側板部は、底板部の引き出し度合いに応じて組立時の奥行き寸法を変えられるように分割するのが好ましい。その理由は、ラベルやタグ専用のプリンタでは、連続したロール紙やファンフォールド紙に印字後、プリンタに内蔵したカッタで切断するものが多いが、カットして発行する用紙の長さもユーザーや用途毎に区々だからである。
【0009】
また、上記側板部は、積層されたラベルが取り出し易くなるように、深さ寸法が漸増または漸減するのが好ましい。
【0010】
また、上記分割した側板部には、用紙受箱を折り畳むときに、隣接する他の側板部を将棋倒しにして一度に折り畳めるように連接部を設けるのが好ましい。
【0011】
また、上記連接部は、プリンタ本体に設けた係合部と係合可能にするのが好ましい。
【0012】
また、上記底板部、前板部、側板部のいずれかと一体に、または別部材で、収納部から引き出された底板部を下側から支える脚部を設けるのが好ましい。
【0013】
また、上記前板部、側板部、または脚部の少なくとも1つと前記底板部との間に、底板部を収納部から引き出したときに底板から起き上がるように付勢する付勢部材を設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プリンタと一体化して収納できる組立式の安価な後付け、外付けの用紙受箱を提供できる。前記用紙受箱は、組立式とすることで収納場所も取らず、プリンタの底部や脚部などに取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態につき図1ないし図4を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の第一の実施の形態にかかるプリンタの用紙受箱の組立操作手順を(A)から(C)の順に示す説明図、図2は図1中(B)と(C)の状態の間の操作をさらに詳細に(A)から(D)の順に示す説明図、図3は図1中の構造を説明する要部拡大図、図4は第二の実施の形態を示す説明図である。
【0017】
まず、図中1は連続紙を内部で印字し、内蔵するカッタで切断して発行するラベルプリンタの本体を示し、該プリンタ本体1は底部の四隅にゴム脚などの脚部を備え、前面パネル2にはボタンや表示部などの操作装置と、印字されたラベルが発行されるラベル発行口3とを備えている。
【0018】
ラベル発行口3の幅方向両側には、後述する連接突起9D〜9Fを差し込むための係合孔4が、縦方向に離間して複数設けられている。
【0019】
5はラベル発行口3の直下に位置してプリンタ本体1の底部に設けられた収納部であり、該収納部5は板金折り曲げ加工などの方法によって前側が開口する箱状に形成され、プリンタ本体1の脚部と底部との隙間に外付けされている。
【0020】
6は収納部5に収納された平板状の底板部であり、該底板部6は収納部5より引き出し可能となり、図示しない収納部5の奥側で収納部に抜け止めされている。
【0021】
7は底板部6の前端側下面に、ヒンジ10(図3参照)を介して取り付けられた用紙受箱の脚部であり、該脚部7の前端側には、図2の(B)の如く、下側に回動させたときにほぼ90度の角度で底板部6の上面に当接して停止するストッパ部7Aが折り曲げ形成されている。また、脚部7には後述する前板部8を所定位置で停止させる第二のストッパ部7Bが一体形成されている。該脚部7は、収納部5から引き出された底板部6を下側から支える役目を負っている。
【0022】
8は底板部6の前端側上面に、ヒンジ11(図3参照)を介して取り付けられた前板部であり、該前板部8のヒンジ取付部分と反対側には、後述する側板部9Aを展開させたときにほぼ90度の角度で側板部9Aに当接して停止させるストッパ部8Aが折り曲げ形成されている。
【0023】
9は、底板部6の上面に、ヒンジ12(図3参照)を介して取り付けられた側板部である。該側板部9は、前板部8側から順に9A,9B,9Cの3つの部分に分割され、漸次用紙受箱の深さ寸法が減少するように,連接して設けられている。
【0024】
また、9A,9B,9Cの各部には、ヒンジ取付部分と反対側の端の一端部に、用紙受箱を折り畳むときに、隣接する他の側板部を将棋倒しにして一度に折り畳めるよるに、連接突起9D,9E,9Fが設けられている。
【0025】
ここで、上記各連接突起9D〜9Fは前記プリンタ本体の係合孔4のいずれかの位置と一致し、側板部9を底板部6の引き出し度合いに応じて組立時の奥行き寸法を変えた場合に、いずれかの連接突起9D〜9Fを適合する位置の係合孔4に係合させて用紙受箱の組立形状を決定させるように構成されている。
【0026】
第一の実施の形態は以上の如き構成を有するもので、収納部5より上述した各図中の矢示方向に底板部6を引き出し、脚部7、前板部8、側飯部9をそれぞれ回動させて展開し、各ストッパ部7A,7B,8Aによる停止位置および連接突起9D〜9Fを係合孔4に係合させることにより、所望のラベルに適した形の用紙受箱が形成される。
【0027】
そして、該用紙受箱は、側飯部9が斜め方向にカットされたように深さが変化しているので、蓄積されたラベル(印字用紙)を取り出すのが容易である。
【0028】
また、用紙受箱を使用しないときには、既述した方法と逆の順序で折り畳み収納することができる。
このとき、前記分割された各側板部は、連接突起9D〜9Fにより隣接する他の側板部を将棋倒しにして一度に折り畳むことができる。
【0029】
次に、図4を用いて第二の実施の形態を説明する。なお、上述した第一の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施の形態の特徴は、前板部、側板部、および脚部と底板部との間に、底板部を収納部から引き出したときに底板から起き上がるように付勢するねじりバネ(付勢部材)を設けたことにある。
【0030】
図中に示すねじりバネ10A,11A,12Aは、前述した図3における各ヒンジ10,11,12それぞれ(の相当する符号のヒンジ)に内蔵されることを意味するものであり、いずれも折り畳まれた上述の各板状部材を開く方向に付勢するようになっている。そして、脚部7が底板部6にストッパ7Aを介して停止すると、前板部8,側板部9も連接してストッパ部7B,8A等を介して位置決めされ、組み立てられる。
【0031】
以上の如く構成される第二の実施形態においては、底板部6を収納部5から引き出すと速やかにねじりバネによって展開し、用紙受箱が完成するという長所がある。
【0032】
なお、上述した各実施の形態は発明を現す一形態に過ぎず、本発明は請求項に記載した技術思想の範囲内での変形や均等物との置換が可能であることは勿論である。
【0033】
例えば、実施の形態で開示した各ストッパ部の形成位置や形状および動作原理は従来公知のものと適宜置換可能であり、また、回動時には相互に干渉することなく、停止位置で確実に停止するように、穴を設けたり角丸めを設けたりしても構わない。
さらに、側板部は前側からプリンタ本体側に向けて底が浅くなるように図示したが、前板部に十分な高さを持たせ、側板部の深さの傾斜は逆向きとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一の実施の形態にかかるプリンタの用紙受箱の説明図であり、(A)は収納時を、(B)は引き出し時を、(C)は組立後を順に示している。
【図2】図1中(B)と(C)の状態の間の組立操作をさらに詳細に示す説明図であり、(A)は引き出し時の手順を、(B)は脚部の展開の手順を、(C)は前板部の展開の手順を、(D)は側板部の展開の手順を示している。
【図3】図1中の各部材の取付構造を示す要部拡大図である。
【図4】第2の実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1…プリンタ本体、3…ラベル発行口(用紙発行口)、4…係合孔、5…収納部、6…底板部、7…脚部、7A,7B…ストッパ部(係止部)、8…前板部、8A…ストッパ部(係止部)、9…側板部、9D〜9F…連接突起(連接部)、10,11,12…ヒンジ、10A〜12A…ねじりバネ(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不使用時にはプリンタの発行口直下の収納部に折り畳んで収納し、使用時には用紙排出方向に引き出して展開し、組立られるプリンタの用紙受箱において、前記用紙受箱は、底板部と、該底板部に回動可能に連結された前板部、側板部を備え、底板部と前板部及び側板部が互いに係止して略直角となるように係止部を設けたことを特徴とするプリンタの用紙受箱。
【請求項2】
前記側板部は、底板部の引き出し度合いに応じて組立時の奥行き寸法を変えられるように分割した、請求項1のプリンタの用紙受箱。
【請求項3】
前記側板部は、積層されたラベルが取り出し易くなるように、深さ寸法が漸増または漸減する、請求項1または2のプリンタの用紙受箱。
【請求項4】
前記分割した側板部には、用紙受箱を折り畳むときに、隣接する他の側板部を将棋倒しにして一度に折り畳めるように連接部を設けた、請求項2または3のプリンタの用紙受箱。
【請求項5】
前記連接部は、プリンタ本体に設けた係合部と係合可能である、請求項4のプリンタの用紙受箱。
【請求項6】
さらに、前記底板部、前板部、側板部のいずれかと一体に、または別部材で、収納部から引き出された底板部を下側から支える脚部を設けた、請求項1ないし5のプリンタの用紙受箱。
【請求項7】
前記前板部、側板部、または脚部の少なくとも1つと前記底板部との間には、底板部を収納部から引き出したときに底板から起き上がるように付勢する付勢部材を設けた、請求項1ないし6のプリンタの用紙受箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−81276(P2008−81276A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264132(P2006−264132)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】