説明

プリンター

【課題】印刷速度の低下を抑制しつつ,媒体に印刷される画像を高精細化する。
【解決手段】記録ヘッドは,一方の主走査方向に移動する期間に所定値より小さなインク滴を吐出し,他方の主走査方向に移動する期間には所定値より小さなインク滴を吐出せずに所定値より大きなインク滴を吐出し,送風ユニットは,記録ヘッドが一方の主走査方向に移動する期間に送風を停止し,記録ヘッドが他方の主走査方向に移動する期間に送風する,プリンター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリアル型インクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,接触角が大きくなるインクと媒体を使用してインクジェット方式で画像を媒体に形成する場合,局所的に高い分布密度で媒体に付着したインク滴同士が集合することが知られている。このようなインク滴の集合による滲みを防止するためには,1パスで媒体に付着させるインク滴の分布密度を低く抑えてパス数を増大させるとともに,パス毎にインク滴を乾燥させる。特許文献1には,媒体に付着したインク滴を強制乾燥させる技術が記載されている。媒体に付着したインク滴を強制乾燥させることによって,インク滴の乾燥時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−191507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に記載されているように,媒体に付着したインク滴を強制乾燥させる空気はインク滴を吐出する記録ヘッドと媒体の間に送られる。したがって,記録ヘッドからインク滴が吐出されている期間に送風すると,風圧によってインク滴の飛行軌跡がずれてインク滴の着弾位置がずれる。そして画像を高精細化するためにインク滴を微小化すると,インク滴の比表面積が大きくなるため,着弾位置のずれが大きくなるという問題がある。また,記録ヘッドからインク滴が吐出されていない期間に限って送風する場合,印刷速度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明はこれらの問題を解決するために創作されたものであって,印刷速度の低下を抑制しつつ,媒体に印刷される画像を高精細化することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するためのプリンターは,インク滴を媒体に向けて吐出する記録ヘッドと,前記媒体に付着した前記インク滴に向けて送風する送風ユニットと,前記記録ヘッドを前記媒体に対して主走査方向に往復移動させる主搬送部と,前記媒体を前記記録ヘッドに対して副走査方向に移動させる副搬送部と,を備えるプリンターであって,前記記録ヘッドは,一方の前記主走査方向に移動する期間に所定値より小さな前記インク滴を吐出し,他方の前記主走査方向に移動する期間には前記所定値より小さな前記インク滴を吐出せずに前記所定値より大きな前記インク滴を吐出し,前記送風ユニットは,前記記録ヘッドが前記一方の主走査方向に移動する期間に送風を停止し,前記記録ヘッドが前記他方の主走査方向に移動する期間に送風する。
【0007】
送風を停止している期間には小さなインク滴を用いて印刷することによってインク滴の飛行軌跡がずれることを防止しつつ画像を高精細化することができる。一方、大きなインク滴を用いて印刷することにより印刷速度を高めることができる。また大きなインク滴は風圧によって飛行軌跡がずれにくい。したがって大きなインク滴を媒体に向けて吐出している期間に送風すれば、風圧による画質の低下を抑制しつつ印刷時間を短縮することができる。本発明によると、記録ヘッドが主走査方向の一方に移動している期間に送風を停止して小さなインク滴を吐出し、記録ヘッドが主走査方向の他方に移動している期間に小さなインク滴を吐出せずに大きなインク滴を吐出して送風することにより、印刷速度の低下を抑制しつつ,媒体に印刷される画像を高精細化することができる。
【0008】
(2)上記目的を達成するためのプリンターにおいて,前記記録ヘッドは,前記一方の主走査方向に移動する期間に前記所定値より大きなインク滴を吐出しなくてもよい。
【0009】
送風を停止するパスにおいて小さなインク滴とともに大きなインク滴を吐出するよりも小さなインク滴だけを吐出する方が、1パスあたりにインク滴が媒体に付着する最大量が少なくなる。したがって、送風を停止するパスにおいて小さなインク滴だけを吐出することにより、パス毎にインク滴の乾燥度合いのばらつきを抑制して画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態にかかる模式図。
【図2】本発明の実施形態にかかる模式図。
【図3】本発明の実施形態にかかるフローチャート。
【図4】本発明の実施形態にかかる折れ線グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚,各図において対応する構成要素には同一の符号が付され,重複する説明は省略される。
【0012】
1.第一実施例
図1に本発明の一実施例としてのプリンター1を示す。プリンター1は,媒体にインクを定着させることによって画像を形成するシリアル型インクジェットプリンターである。プリンター1は,媒体Pに向けてインク滴を吐出する記録ヘッド11と,媒体Pに対して記録ヘッド11を主走査方向及び副走査方向に相対的に移動させる搬送ユニット20と,媒体Pに付着したインク滴に向けて送風する送風ユニット30と,制御部40とを備えている。
【0013】
搬送ユニット20は,媒体Pを主走査方向に対して垂直な副走査方向に移動させるために,給紙ローラー22,中継ローラー21a,21b,副走査ローラー17a,17b,17c,17d,電動機26,モータードライバー45,ガイド25,プラテン19,紙検出センサー18等からなる副搬送部を備えている。給紙ローラー22は,トレイ27から最上部の媒体Pを1枚ずつ取り出して媒体Pをその先端が中継ローラー21a,21bに到達するまで搬送するためのローラーである。中継ローラー21a,21bは,トレイ27から給紙ローラー22によって搬送された媒体Pを副走査ローラー17c,17dが保持できる位置まで搬送するローラーである。モータードライバー45は電動機26を駆動する回路である。電動機26は,給紙ローラー22と中継ローラー21a,21bと副走査ローラー17b,17dとを同時に回転させる。ガイド25は中継ローラー21a,21bと給紙ローラー22によって搬送される媒体Pを副走査ローラー17c,17dが保持できる位置まで案内する形態を有する壁である。副走査ローラー17a,17b,17c,17dはトレイ27から取り出され中継ローラー21a,21bによって搬送された媒体Pを副走査方向に搬送する。プラテン19は,記録ヘッド11の直下に設けられ,媒体Pを記録ヘッド11に対して位置決めする棒状部材である。紙検出センサー18は,プラテン19の上流側の近傍に設けられた光センサーである。紙検出センサー18は図示しない発光部と受光部とを備え,発光部から受光部までの光路を媒体Pが遮ることにより,カット紙の先端が紙検出センサー18の光路に到達したことを検出する。
【0014】
また搬送ユニット20は,媒体Pに対して記録ヘッド11を主走査方向に移動させるために,キャリッジ13,ガイド14,無端ベルト15,電動機16,モータードライバー47等からなる主搬送部を備えている。キャリッジ13は,インクタンク12および記録ヘッド11を搭載して往復移動する支持部材である。ガイド14は,図2に示すホームポジションHからアウェイポジションLまでキャリッジ13の移動を主走査方向に案内する棒状部材である。無端ベルト15は,図示しないプーリーに架け渡され,キャリッジ13を主走査方向に牽引する。電動機16は無端ベルト15が架け渡されているプーリーを回転させるステッピングモーターである。モータードライバー47は電動機16を駆動する回路である。
【0015】
記録ヘッド11はピエゾ方式やサーマル方式といった周知のインク吐出機構を備え,トレイ27から供給された媒体Pに対してインク滴を多数のノズルから吐出して定着させる。インク滴の吐出タイミングは記録ヘッド11が主走査方向に所定距離移動する度に図示しないエンコーダーから出力される信号の立ち上がりまたは立ち下がりに対応する。インクタンク12は,記録ヘッド11に供給されるインクを色別に貯蔵する容器である。ヘッドコントローラー46は印刷データに基づいて記録ヘッド11を駆動する回路である。
【0016】
送風ユニット30は,ファンと,ファンを駆動する電動機と,この電動機を駆動する回路と,ファンの軸方向から吸気してファンの接線方向に排気するケースと,ケースの排気口からプラテン19の近傍に延伸するノズルとを備えている。プラテン19の近傍に位置するノズルの開口部30aは図2に示すようにプラテン19と平行な方向に長く伸びる扁平な形状を有し,プラテン19と記録ヘッド11の間に空気を送出する。ノズルの開口部30aの幅は媒体Pの主走査方向の幅とほぼ等しい。したがって送風ユニット30は主走査方向に移動することなく,媒体Pに付着した1パス分のインク滴に風を送ることができる。
【0017】
制御部40は,図示しないCPU(Central Processing Unit),メインメモリ,不揮発性メモリ,入出力部等で構成されるコンピューターを含む。不揮発性メモリにはモータードライバー45,47,ヘッドコントローラー46および送風ユニット30を制御するための印刷制御プログラムが記憶されている。CPUはメインメモリにロードされる印刷制御プログラムを実行するプロセッサである。
【0018】
図3はプリンター1を用いた印刷方法の第一実施例を示すフローチャートである。この方法は,水またはアルコールを溶媒の主成分とする水系インクをPET(Polyethylene terephthalate)やPEN(Polyethylene naphthalate)等の樹脂性の媒体Pに定着させることによって画像を印刷するものである。水系インクと樹脂製の媒体Pとの接触角が大きく、滲みやすいため,インク滴の吹きつけと乾燥とを繰り返して媒体Pに画像を形成する。
【0019】
はじめに制御部40によって印刷モードが判定される(S100)。すなわち,制御部40は印刷モードとして標準モードと高精細モードのどちらが選択されているかを判定する。印刷モードは,プリンター1に設けられる操作パネルやプリンター1に接続される制御装置としてのPC(Personal Computer)等においてユーザーが行う所定の操作に応じて選択される。
【0020】
標準モードと高精細モードの具体的な違いは次の通りである。記録ヘッド11から吐出されるインク滴の質量は,標準モードでは往路,復路ともに7ngとなり,高精細モードの往路では3ng,高精細モードの復路では7ngとなる。ここで往路とは、ホームポジションHからアウェイポジションLに移動しながらインク滴を吐出する区間である。また復路とは、記録ヘッド11がアウェイポジションLからホームポジションHに移動している区間である。インク滴の質量が小さいほど媒体へのインク滴の付着面積が小さくなるため,きめの細かい画像を形成することができる。1バンドあたりのパス数は,標準モードよりも高精細モードを多くしてもよいが、説明を簡略化するために標準モードでも高精細モードでも8パスとする。すなわち,標準モードでも高精細モードでも記録ヘッド11がホームポジションHからアウェイポジションLまでを4往復することによって1バンド分の画像が形成されるものとする。ここでいうバンドは,記録ヘッド11がノズルからインク滴を吐出しながら主走査方向に移動することによってインク滴を付着させることができる媒体Pの領域である。記録ヘッド11の主走査方向への移動速度は,記録ヘッド11の主走査方向の位置を検出するエンコーダーの出力パルス換算で標準モード,高精細モードともに200cpsである。送風ユニット30の送風速度は標準モードの往路、復路ともに3m/sである。高精細モードの往路では送風ユニット30は送風を停止し,高精細モードの復路では送風ユニット30は風速3m/sで送風する。
【0021】
すなわちプリンター1は,印刷モードが標準モードである場合,往路及び復路で送風ユニット30によって送風しながら,大きなインク滴を記録ヘッド11から吐出して印刷を実行する(S101)。具体的には,制御部40は,記録ヘッド11が7ngのインク滴をノズルから吐出しながら主走査方向の一方および他方に200cps相当の速度で往復移動するようにヘッドコントローラー46,電動機16,モータードライバー47および記録ヘッド11を制御する。また制御部40は,印刷開始から印刷終了まで,ノズルの開口部30aから風速3m/sで空気が吹き出されるように送風ユニット30を制御する。そして制御部40は,記録ヘッド11が主走査方向に4往復する度に,1バンド分だけ媒体Pが記録ヘッド11に対して副走査方向に移動するようにモータードライバー45および電動機26を制御する。なお,記録ヘッド11が主走査方向に4往復する間,媒体Pの副走査方向への搬送を停止してもよいが,記録ヘッド11が主走査方向に1往復する度に1/4バンド分だけ媒体Pを記録ヘッド11に対して副走査方向に移動させてもよいし,記録ヘッド11が1パス分移動する度に1/8バンド分だけ媒体Pを記録ヘッド11に対して副走査方向に移動させてもよい。
【0022】
またプリンター1は,印刷モードが高精細モードである場合,往路では送風ユニット30を停止して小さなインク滴を記録ヘッド11から吐出し,復路では小さなインク滴を吐出せずに大きなインク滴を吐出して送風ユニット30によって送風しながら印刷を実行する(S102)。具体的には,制御部40は,記録ヘッド11が3ngのインク滴を吐出しながらホームポジションHからアウェイポジションLに200cps相当の速度で移動するようにヘッドコントローラー46,電動機16,モータードライバー47および記録ヘッド11を制御する。また制御部40は記録ヘッド11が7ngのインク滴を吐出しながらアウェイポジションLからホームポジションHに200cps相当の速度で移動するようにヘッドコントローラー46,電動機16,モータードライバー47および記録ヘッド11を制御する。そして制御部40は,記録ヘッド11がホームポジションHからアウェイポジションLに移動している期間に送風ユニット30を停止し,記録ヘッド11がアウェイポジションLからホームポジションHに移動している期間にノズルの開口部30aから風速3m/sで空気が吹き出されるように送風ユニット30を制御する。そして制御部40は,記録ヘッド11が主走査方向に4往復する度に,1バンド分だけ媒体Pが記録ヘッド11に対して副走査方向に移動するようにモータードライバー45および電動機26を制御する。
【0023】
以上説明した第一実施例によると,標準モードでは大きなインク滴を吐出する双方向印刷により画像を形成するため,印刷速度を高めることができるとともに,インクを吐出している期間も送風ユニット30によって送風するため,インク滴の集合による滲みを防止できる。そして,送風中に小さなインク滴を吐出しないため,インク滴の着弾位置のずれを抑制できる。一方,高精細モードでは標準モードよりも小さなインク滴を記録ヘッド11から吐出するため,高精細な画像を印刷することができる。また高精細モードでは送風ユニット30による送風が停止している期間においてのみ小さなインク滴を吐出するため,インク滴の着弾位置が風圧によってずれることがない。そして記録ヘッド11がアウェイポジションLからホームポジションHに移動する期間においては大きなインク滴を吐出するため、小さなインク滴のみによって印刷する場合に比べてパス数を低減して印刷速度を高めることができる。さらに記録ヘッド11がアウェイポジションLからホームポジションHに移動する期間においては送風ユニット30によって送風するため,媒体Pに付着したインク滴を速く乾燥させることができる。そして送風中には小さなインク滴を吐出せずに大きなインク滴だけを吐出するいため、インク滴の着弾位置がずれにくい。すなわち,上述した第一実施例によると,印刷速度の低下を抑制しつつ,媒体に印刷される画像を高精細化することができる。
【0024】
2.他の実施形態
尚,本発明の技術的範囲は,上述した実施例に限定されるものではなく,本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0025】
例えば,送風ユニット30による送風を停止する高精細モードの往路において小さなインク滴とともに大きなインク滴を吐出してもよい。
図4Aの実線は大きなのインク滴(7ng)の吐出duty(吐出量/最大吐出能力)と印刷濃度との関係を示している。図4Aの破線は小さなインク滴(4ng)の吐出duty(吐出量/最大吐出能力)と印刷濃度との関係を示している。図4Bは任意の濃度で印刷するときに、往路の1パスで大きなインク滴(7ng)と小さなインク滴(4ng)を吐出する場合に必要なインク吐出量を示すグラフである。ここで、図4Aに示すように印刷濃度に応じて大小のインク滴を使い分けて図4Bに示す量のインクを吐出すると1パスで任意の印刷濃度を得られる場合において、往路のパスでは小さなインク滴のみを吐出し、復路のパスでは大きなインク滴のみを吐出すると、各パスのインク吐出量は図4Cに示すようになる。具体的には、小さなインク滴のみを吐出する往路のパスにおいては印刷濃度が50%であるときにインク吐出量が最大となる。一方、大きなインク滴のみを吐出する復路のパスにおいては印刷濃度が100%であるときにインク吐出量が最大となる。
【0026】
そして、往路のパスでは小さなインク滴のみを吐出し、復路のパスでは大きなインク滴のみを吐出すると、パスあたりのインク吐出量の最大値は図4Dの実線に示すように印刷濃度が50%から65%の区間では印刷濃度に対して単調減少する。これに対し、往路のパスで大小のインク滴を吐出して復路のパスではインク滴を吐出しない場合、パスあたりのインク吐出量の最大値は、図4Dの破線で示すように、往路のパスのインク吐出量そのものになる。したがって、印刷濃度が50%から100%の区間では、往路のパスでは小さなインク滴のみを吐出し、復路のパスでは大きなインク滴のみを吐出した方が、パスあたりのインク吐出量が減少することになる。
【0027】
したがって、高精細モードの往路または復路の一方のパスにおいて小さなインク滴とともに大きなインク滴を吐出すると、1パスで媒体に付着するインク滴の最大量が大きくなる。すなわち、送風を停止するパスにおいては小さなインク滴だけを吐出した方が、パス毎にインク滴の乾燥度合いのばらつきを抑制して画質を向上させることができる。
【0028】
また,高精細モード、標準モードのそれぞれにおいて,比表面積が異なる複数種類のインク滴を1パス中に吐出してもよい。例えば、高精細モードの往路において4ngと2ngのインク滴を吐出し、高精細モードの往路において6ngと8ngのインク滴を吐出してもよい。そして、高精細モードの往路または復路の一方において送風しながら吐出するインク滴の最小サイズも、高精細モードの往路または復路の他方において送風を停止しながら吐出するインク滴の最大サイズも、風速や目標とする画質に応じて適宜設定すればよい。もちろん,上述したインク滴の質量や,風速や,記録ヘッド11の移動速度や,1バンドあたりのパス数は例示である。
【0029】
また送風ユニットを主走査方向に移動させてもよい。すなわち,記録ヘッド11に追従するように送風ユニットを主走査方向に移動させてもよい。この場合,記録ヘッド11と媒体Pの間に送風ユニットから直接風が送られることはないが,送風ユニットによる送風によってプリンター1の図示しない筐体内で気流が発生するため,微小なインク滴はこの気流の影響を受ける。したがって,このような場合であっても,本発明は有効に作用する。
【0030】
また,どのような組成のインク滴や媒体を用いる場合であっても,本発明は有効に作用する。例えばカット紙などの紙媒体に溶剤系インク滴(比極性溶媒に顔料や染料が分散または溶けているインク滴)を吐出する場合であっても,本発明を適用することにより,紙媒体に印刷される画像を高精細化することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…プリンター,10…送風ユニット,11…記録ヘッド,12…インクタンク,13…キャリッジ,14…ガイド,15…無端ベルト,16…電動機,17a,17b,17c,17d…副走査ローラー,18…紙検出センサー,19…プラテン,20…搬送ユニット,21a,21b…中継ローラー,22…給紙ローラー,25…ガイド,26…電動機,27…トレイ,30…送風ユニット,30a…開口部,40…制御部,45,47…モータードライバー,46…ヘッドコントローラー,P…媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を媒体に向けて吐出する記録ヘッドと,
前記媒体に付着した前記インク滴に向けて送風する送風ユニットと,
前記記録ヘッドを前記媒体に対して主走査方向に往復移動させる主搬送部と,
前記媒体を前記記録ヘッドに対して副走査方向に移動させる副搬送部と,
を備えるプリンターであって,
前記記録ヘッドは,一方の前記主走査方向に移動する期間に所定値より小さな前記インク滴を吐出し,他方の前記主走査方向に移動する期間には前記所定値より小さな前記インク滴を吐出せずに前記所定値より大きな前記インク滴を吐出し,
前記送風ユニットは,前記記録ヘッドが前記一方の主走査方向に移動する期間に送風を停止し,前記記録ヘッドが前記他方の主走査方向に移動する期間に送風する,
プリンター。
【請求項2】
前記記録ヘッドは,前記一方の主走査方向に移動する期間に前記所定値より大きなインク滴を吐出しない,
請求項1に記載のプリンター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate