説明

プリント処理システム

【課題】その課題は、オーダ情報の入力順序と未現像写真フィルムの現像処理順序が一致して、オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理を行えるプリント処理システムを提供することにある。
【解決手段】現像処理を行うフィルムプロセッサFPと、現像済写真フィルムのコマの情報を画像データとして取得するフィルムスキャナFSと、画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置PAを備えるプリント処理システム1であって、オーダ情報の入力を受け付ける入力手段100と、オーダ情報に対応する未現像写真フィルムをフィルムプロセッサで処理するように制御する制御手段200と、現像処理の処理開始/処理中/処理終了の少なくとも1つを検出する検出手段11cと、検出手段11cによる検出が行われるまでは次の未現像写真フィルムのオーダ情報の入力を禁止する入力制御手段201を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を画像データとして取得するフィルムスキャナと、当該画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置を備えるプリント処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を画像データとして取得するフィルムスキャナとを一体の装置として構成したものが公知である(特許文献1参照)。そして、このフィルムスキャナで取得された画像データを通信手段で受信し、当該受信した画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置をさらに具備したプリント処理システムがある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のプリント処理システムにおいて、未現像写真フィルムをフィルムプロセッサにセットし現像処理を行う際に、注文に関する情報であるオーダ情報(例えば、プリント枚数、プリントサイズ等)を予めシステムに設定しておいてから現像処理を行う。しかし、設定したオーダ情報に対応していない未現像写真フィルムをオペレータのミスで誤ってセットしてしまうことがあり問題である。特に、複数のオーダを連続して処理する場合に、オーダ情報の入力順とフィルムをセットする順序が一致しない作業ミスを犯しやすくなる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、オーダ情報の入力順序と未現像写真フィルムの現像処理順序が一致して、オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理を行えるプリント処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係るプリント処理システムは、
未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を画像データとして取得するフィルムスキャナと、当該画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置を備えるプリント処理システムであって、
画像データの注文に関する情報であるオーダ情報の入力を受け付ける入力手段と、
オーダ情報に対応する未現像写真フィルムをフィルムプロセッサで処理するように制御する制御手段と、
オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理の処理開始/処理中/処理終了の少なくとも1つを検出する検出手段と、
検出手段による検出が行われるまでは次の未現像写真フィルムのオーダ情報の入力を禁止する入力制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0007】
かかるプリント処理システムの作用・効果は次の通りである。すなわち、本システムは、未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を画像データとして取得するフィルムスキャナと、当該画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置を備える。そして、検出手段による未現像写真フィルムの現像処理の処理開始/処理中/処理終了の少なくとも1つが検出されるまでは、次の未現像写真フィルムのオーダ情報の入力が、入力制御手段によって禁止される。検出手段により未現像写真フィルムの現像処理の処理開始/処理中/処理終了の少なくとも1つが検出された場合に、入力手段によってオーダ情報が入力され、当該オーダ情報に対応する未現像写真フィルムをフィルムプロセッサにセットする。これにより、セットされた未現像写真フィルムが現像処理される。そして、フィルムスキャナが、現像済フィルムから画像データを取得し、取得された画像データがプリント作成装置に送信される。そして、プリント作成装置が受信した画像データ及びオーダ情報に基づいて写真プリントを作成する。
【0008】
かかる構成及び作用によって、オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理を一対一に対応づけられるので確実にオーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理を行える。
【0009】
また、本発明において、オーダ情報の入力は、一の未現像写真フィルム分のみであることが好ましい。かかる構成によれば、確実にオーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理を行え、作業者のミスを防止できる。
【0010】
また、本発明において、オーダ情報の入力が確定したか否かを判断するオーダ情報入力確定手段をさらに有し、制御手段は、フィルムプロセッサにセットされた未現像写真フィルムの現像処理を開始するように制御することは好ましい。かかる構成によれば、オーダ情報の入力が確定された後に、そのオーダ情報に対応する未現像写真フィルムをセットして自動的に現像処理を開始できる。また、オーダ情報の入力が確定していない場合に、フィルムプロセッサにセットされた未現像写真フィルムの現像処理が開始されることが無いので、誤ったオーダ情報(例えば、メモリに保存されているオーダ情報等)で現像処理されないので好ましい。
【0011】
また、本発明において、オーダ情報入力確定手段は、検出手段によって未現像写真フィルムが検出された場合に、オーダ情報の入力を許可するように構成することは好ましい。かかる構成によれば、未現像写真フィルムがセットされた後に、そのフィルムに対応するオーダ情報の入力が可能となるので、フィルムに対応するオーダ情報をより確実に入力することができる。
【0012】
本発明において、「オーダ」は、写真プリントを作成する場合の注文単位である。「1オーダ」は、フィルム1本分についてのプリント注文に係る画像データ群を指すものである。
【0013】
また、「オーダ情報」は、フィルム1本分の注文に関するデータであり、例えば、プリント枚数、プリントサイズ、インデックスプリントの有無、メディアへの記録の有無等である。オーダ情報においては、プリント枚数、プリントサイズを個々のコマ画像について設定することはできない。なお、個々のコマ画像についての詳細な設定は、画像データとして取得された後にプリント作成装置側で実行できる。
【0014】
また、本発明において「プレジャッジ」は、画像データに基づいて写真プリントを作成する前に、適切な画質の写真プリントが作成されるか否かを判定する作業であり、より具体的には、プレジャッジ画面上で、コマ画像ごとに、色、濃度の補正値、シャープネス補正、赤目補正等の設定、プリント枚数の設定、プリントサイズの設定等を適宜設定するものである。以下、同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るプリント処理システムの好適な実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、フィルムプロセッサFPと、フィルムスキャナFSで構成されるフィルム処理装置FAと、プリント作成装置PAを有するプリント処理システム1全体の外観構成を示す図である。なお、プリント処理システム1は、その他の装置(例えば、注文者用受付端末、記録媒体への書き込み・読み取り装置、インターネット受付可能なPC端末等)を有する構成でもよい。
【0016】
<システムの全体構成>
図1において、フィルム処理装置FAは、未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサFPと、現像済写真フィルムのコマの情報を光電変換により画像データとして取得するフィルムスキャナFSとを上下位置に配置する。そして、フィルム処理装置FAは、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済写真フィルムをフィルムスキャナFSの供給部に送る供給搬送系に対して、現像済写真フィルムの供給部に送り込む供給状態と、外部に送り出す排出状態とに切り換え可能な供給搬送機構Aとを備える。
【0017】
このフィルム処理装置FAは、通信回線を介してプリント作成装置PAに接続される。プリント作成装置PAは、通信機能、オーダ管理・制御機能、画像処理機能、プリント作成機能を有し、コンピュータ、ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等のインターフェースとを備えている。この構成によりフィルム処理装置FAで取得した画像データは、通信回線を介してプリント作成装置PAに伝送され、このプリント作成装置PAにおいて印画紙等のプリント媒体にプリントされる。オーダ管理・制御機能は、画像データをオーダ単位に管理し、プリント作成の順序を設定できるように構成される。
【0018】
なお、プリント作成装置PAは銀塩式の印画紙を用いるものに制限されず、インクジェット型、昇華型のものも適用できる。
【0019】
本発明において、フィルムプロセッサFPに挿入する以前の写真フィルムを未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPで現像処理した後の写真フィルムを現像済写真フィルムと称する。図1において、Fは現像済写真フィルムを示すが、以下において、未現像写真フィルムと現像済写真フィルムを区別せずに単にフィルムFとして示す場合がある。
【0020】
<フィルムプロセッサ>
フィルムプロセッサFPは、図1、2に示すように、プロセッサ本体の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体内部に現像処理部12、乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から排出部14にわたって搬送機構15を形成している。プロセッサ本体の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16Aと複数の操作ボタン16Bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体内部にフィルムプロセッサFP全体の制御を実現する制御ユニット17を備える。プロセッサ本体の上面には、排出部14から送りだされる現像済写真フィルムを受け止めるフィルムストッカー18が形成されている。本実施形態では、APSフィルムの現像処理について説明するが、特にこれに限定されることではなく、例えば135フィルム等の場合でも同様に適用できる。
【0021】
フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11Aを備え、フィルムカートリッジCaに収容されたロール状の未現像写真フィルムをセットし、搬送機構15に受け渡す作動系(フィルム駆動機構11e)と、フィルムの後端を切断する切断ユニット11Bを備える。
【0022】
また、フィルムの長さの情報を得るために、搬送機構15によって搬送されるフィルム先端及び後端の通過を検出するローディング検出手段11cを備える。また、フィルムカートリッジCaがセットされたことを検出するカートリッジ検出手段11dを備える。ローディング検出手段11c又はカートリッジ検出手段11dは、例えば、一対の光学式センサ(受光式、投光式)、反射型センサ、レーザセンサ、その他の近接センサ、イメージセンサ等で構成できるが、一対の光学式センサ(受光式、投光式)が好ましい。ローディング検出手段11cは、オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理の処理開始/処理中/処理終了を検出できる。処理開始は、フィルム先端の検出で行え、処理終了は、フィルム先端の検出からフィルム後端の検出までの時間、搬送速度、プロセッサ内の搬送距離から検出できる。処理中は、処理開始と処理終了の間として検出される。
【0023】
例えば、APSフィルムの現像処理の場合、カートリッジCaから引き出したフィルムの先端に粘着テープ等を用いてリーダLを取り付け、蓋体11Aを開放して、このリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。次に、蓋体11Aを閉じた後、手動モードの場合に、コントロールパネル16の所定の操作ボタン16Bを操作することで制御ユニット17の制御によってフィルム搬送(ローディング)が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からリーダLを先頭にしてフィルムが排出される。ここで、リーダLは、樹脂製のフィルムと同程度の柔軟性を持つシート状であり、幅方向の一端には搬送用の複数のパーフォレーションが形成されている。なお、自動モードに設定されている場合には、後述する制御手段200、制御ユニット17の制御によってローディングが開始される。
【0024】
現像処理部12は、発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽を有し、現像処理部12内部において搬送機構15は、リーダL及びフィルムを搬送する複数の圧着型のローラを備えている。また、乾燥処理部13は、現像処理部12から搬送されてきたフィルムを乾燥するブロワ13Aを備える。
【0025】
搬送機構15は、搬送経路の各部に圧着ローラ15Aと、この圧着ローラ15Aを電動モータ(不図示)で同期駆動する駆動系を備える。
【0026】
フィルムストッカー18は、排出部14からリーダLが排出される際に、フィルムスキャナFSへフィルムを供給するための供給搬送機構Aが、排出状態(フィルムスキャナーFSに供給できない状態)にある場合に、リーダL及びフィルムが送り込まれるように構成される。
【0027】
<フィルムスキャナ>
フィルムスキャナFSは、図1、2に示すように、スキャナ本体の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を、フィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置している。スキャナ本体の内部に制御ユニット25を配置し、スキャナ本体の前面にスタートボタン26を備える。フィルムスキャナFSは、フィルムプロセッサFPに固定されて一対の中間フレーム(不図示)の上端に支持され。排出部14の排出ブロック上部位置に配置されている。
【0028】
フィルムキャリア21は、フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向に現像済写真フィルムの供給部21Aを形成し、この供給部21Aからフィルムを後部側に搬送しながらスキャニングを行えるように構成される。なお、フィルムキャリア21にフィルムを送り出す前に、フィルムからリーダLを切り離す処理がなされる。
【0029】
また、フィルムキャリア21は、搬送ローラ21Bを駆動する搬送モータ(不図示)と、フィルムの存否を判別する非接触型の存否センサSFと、フィルムの幅方向での端部にバーコード状に形成されたコード情報を取得するコードセンサ(不図示)とを備える。存否センサSFは、一対の光電式センサ(受光型Sa、投光型Sb)とで構成されるのが好ましい。
【0030】
光源ユニット22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の発光ダイオード(不図示)を有し、ズームレンズ23は、焦点距離の調節によって、フィルムのコマの情報を設定された拡大率で光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子でなる3つのラインセンサ(不図示)を備える。
【0031】
<プリント作成装置の機能ブロック構成>
入力手段100は、画像データの注文に関する情報であるオーダ情報の入力を受け付ける。例えば、モニター7に表示される操作画面(GUI)を参照しながら、キーボード、マウス等の入力操作部8を操作して、オーダ情報が入力されるように機能する。
【0032】
入力制御手段201は、カートリッジ検出手段11dによる検出が行われるまでは次の未現像写真フィルムのオーダ情報の入力を禁止するように、入力手段100を制御する。
【0033】
オーダ情報入力確定手段202は、オーダ情報の入力が確定したか否かを判断する。確定したか否かの判断は、オーダ情報が入力され、確定を意味する指示がなされた(例えば、OKボタンのクリック等)か否かで実現できる。
【0034】
制御手段200は、オーダ情報の入力が確定した場合に、フィルムプロセッサFPにセットされた未現像写真フィルムの現像処理を開始するように制御できる。
【0035】
また、入力制御手段201は、カートリッジ検出手段11dによって未現像写真フィルムが検出された場合に、オーダ情報の入力を許可するように制御できる。
【0036】
また、制御手段200は、入力されたオーダ情報に対応する未現像写真フィルムをフィルムプロセッサFPで処理するように制御ユニット17に指令を送信し、この指令に基づいて制御ユニット17がローディングを開始する。
【0037】
制御手段200、入力制御手段201、オーダ情報入力確定手段202の処理手順は、通常、ソフトウェアで構成され、かかるソフトウエアは、不図示のCPU、メモリ等のハードウェア資源と協働して動作するものであるが、専用回路、ファームウエア等を組み合わせて構成してもよい。当該ソフトウエアプログラムは、ROM等のメモリに予め格納されている。
【0038】
<画像判定部の構成>
画像判定部4は、フィルム処理装置FAから取得した画像データに対する判定をオペレータが行なうための機能を提供し、かかる機能は主としてソフトウェアにより提供される。これは、画像データに基づいて写真プリントを作成する前に、適切な画質の写真プリントが作成されるか否かを判定するものであり、かかる作業をプレジャッジと称することとする。画像判定部4には、補正データの設定機能、プリントデータの設定機能、サムネイル画像の設定機能が主たる機能として設けられている。なお、プレジャッジは必ず行なわなければならないものではなく、プレジャッジを省略してプリント処理を行うことも可能である。なお、以下において、オーダーデータとは、1オーダに含まれる画像データ群と、プレジャッジにより設定された補正データ、プリントサイズ、プリント枚数などのプリントデータ、オーダを特定するデータ(オーダ識別ID、顧客の氏名、住所、会員IDなどのデータ)により構成される。オーダ情報は、プリントデータの一部を構成する。
【0039】
<オーダ制御部の構成>
オーダ制御部5は、プリント処理すべき画像データをオーダ単位に管理する機能を提供する。オーダ登録部5aは、画像判定部4によりプレジャッジの終了したオーダーデータを記憶装置6に登録・保存する機能を有する。記憶装置6は概念的に、スプーラ6aと呼ばれる部分と、その他の記憶部6bとで構成される。プリント処理すべきオーダーデータは、すべてスプーラ6aに保存される。従って、スプーラ6aにオーダーデータを保存することでオーダの管理を行なうことができ、プリント処理の順番や割り込みなどの制御を行なうことができる。スプーラ6aと、記憶部6bは、いずれもハードディスクのような大容量記憶装置により構成することができるが、スプーラ6aと記憶部6bは、ハードウェア的に別々のハードディスクにより構成してもよいし、1つのハードディスクの記憶領域を分割して、スプーラ6aとして機能する領域と、それ以外の領域を形成してもよい。
【0040】
プリント処理制御部5bは、プリント処理指令を後述する画像処理基板9(画像処理手段に相当する)に送信する。そして、この指令に従って、画像処理基板9は、オーダーデータに基づいて、画像処理を行う。
【0041】
モニター7は、オーダ情報の入力操作画面表示以外に、その他の例えば、プレジャッジを行なうための画面やオーダ管理画面等を表示させるものであり、プリント処理等を行うために必要な画面を提供する。入力操作部8は、キーボードやマウス等により構成され、オーダ情報入力、プリント処理に必要なデータ入力や設定、各種指令を行うために用いられる。
【0042】
画像処理基板9(画像処理手段に相当する)は、スプーラ6aから画像データと補正データを受け取り、補正データに基づいて画像データに対する画像処理を行い、写真プリントを作成するために用いられるプリント用画像データを生成する。画像処理基板9は、受信メモリ、処理回路部、展開メモリにより構成され、処理回路部において指定された画像処理が行なわれる。具体的には、補正データに基づく色・濃度の補正、設定されたプリントサイズに従ったデータの拡縮処理などである。
【0043】
次に、図3に示すプリント処理部の構成を簡単に説明する。ペーパーマガジン101には、写真感光材料(印画紙ともいう)であるペーパーがロール状に収容されている。ペーパーマガジン101は、2台を設置することができ、例えば、ペーパー幅の異なるペーパーを予めセットしておくことができる。ペーパーカッターは、ペーパーマガジン101から引き出された長尺状のペーパーを設定されたプリントサイズになるように切断する。
【0044】
露光エンジン102aは、画像処理基板9の展開メモリから送信されてくるプリント用画像データを受け取り、このプリント用画像データに基づいて、ペーパーの乳剤面に画像を焼付露光する。露光エンジン102aとしては、特定の方式のものに限定されるものではなく、例えば、レーザーエンジン、CRTエンジン、PLZTエンジンなどを用いることができる。
【0045】
裏印字手段102bは、ペーパーの裏面に、オーダ識別ID、コマナンバー、プリント処理済枚数、プリント要求枚数、補正テータ等をプリントする機能を有する。裏印字手段102bは、例えば、ドットインパクトプリンタ、熱転写式プリンタ、インクジェットプリンタ等で実現される。
【0046】
現像処理部103は、画像が焼付露光されたペーパーの現像処理を行い、乾燥処理部104は、現像処理されたペーパーの乾燥処理を行なう。ペーパー排出部から仕上がりの写真プリントが装置本体外部に排出され、所定の集積装置(不図示)によりオーダ単位で集積される。
【0047】
ペーパーセンサー106は、ペーパー排出部から排出されるペーパーを検出し、あるオーダの写真プリントが全て排出されたか否かを検出する。センサ制御部(不図示)は、ペーパーセンサー106の駆動制御を行なうと共に、ペーパーセンサー106からの信号を受信して解析する。
【0048】
<本発明の処理の手順>
(実施形態1)
以下に、図面を用いて、処理の具体的内容について説明する。図4は、本発明の一実施例の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
入力手段100によって新たなオーダ情報がメモリ(以下、予約キューと称す。)に記憶されているか否かを、制御手段200が判断し(S1)、オーダ情報が予約キューに記憶されていない場合、オーダ情報を入力する(S2)。ここで、入力制御手段201は、入力手段100を制御し、オーダ情報入力画面(不図示)を提供する。オペレータは、オーダ情報入力画面に従って、オーダ情報を入力又は予め設定された既定値を選択する。オーダ情報入力完了の指示は、例えば、入力画面上の「OK」ボタンをクリックしてなされ、オーダ情報入力確定手段202は、この入力完了指示の有無を判断して、入力完了しているか否かを判断する。ここでのオーダ情報は、少なくともプリント枚数、プリントサイズを有し、オーダIDが自動的に設定される。なお、全てのコマ画像に対する設定であり、個々のコマ画像に対するプリント枚数、プリントサイズの設定は、プレジャッジ処理で実行できる。
【0050】
入力されたオーダ情報は、予約キューに記憶される。オーダ情報が既に入力され、記憶されている場合に、新たにオーダ情報(次のフィルムのオーダ情報又は現入力されているオーダ情報の修正情報)を入力するか否かを判断し(S3)、新たにオーダ情報を入力する場合に、入力できるように構成される(S4)。そして、既に入力・記憶済みのオーダ情報に上書きされる(S5)。これは、入力制御手段201の機能による。これにより、オーダ情報が重複してメモリに保存されることが無く、フィルムとの一体一の対応関係が維持できる。
【0051】
新たにオーダ情報を入力するか否かの判断は、モニター7に表示された、「新たにオーダ情報の入力をしますか?」に応じて入力を選択することによって構成できる。また、ステップS3の処理を禁止状態にモード設定しておき(すなわち、オーダ情報が記憶されている場合、無条件にオーダ情報の入力が禁止される状態)、ステップS1でオーダ情報が記憶されていると判断された場合に、フィルムカートリッジCaのセット待ち状態で待機するように構成してもよい。これは入力制御手段201の機能による。
【0052】
オーダ情報が入力された後(又は新たなオーダ情報が入力された後)、フィルム挿入部11の蓋体11Aを開け、リーダLを取り付けたフィルムを収容するフィルムカートリッジCaを所定位置にセットする(S6)。かかるフィルムカートリッジCaのセットは、カートリッジ検出手段11dによって検出され、この検出信号が制御ユニット17に送信される。次いで、制御ユニット17からフィルム検出通知が制御手段200に送信され、制御手段200は、予約キューに記憶されているオーダ情報を確認し(S7)、次いで、ローディングが開始される(S8)。具体的に、制御手段200が、オーダ情報を確認後にローディング許可通知を制御ユニット17に送信し、制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する。具体的には、フィルム駆動機構11eが、リーダL及びフィルムを圧着ローラで狭持しながら現像処理部12まで搬送し、ローディング検出手段11cが搬送されてきたリーダL及びフィルムの先端を検出すると、搬送機構部15が駆動され、リーダL及びフィルムを圧着ローラで挟持して、現像処理部12側に搬送する。ここで、フィルム駆動機構11eと搬送機構15は、別駆動で動作する。ここで「ローディング」は、フィルムカートリッジCaからフィルムが搬送機構15によって引き出され、現像処理部12に搬送される動作を意味する。また、フィルム検出通知が制御手段200に送信されると、入力制御手段201の機能によりオーダ情報の入力は禁止される。
【0053】
制御ユニット17は、フィルム後端が現像処理部12に入ったか否かを判断し(S9)、現像処理部12に入ったと判断した場合、ステップS1に戻り、次のフィルムについて現像処理可能となる。具体的には、制御ユニット17は、ローディング検出手段11cがフィルム後端を検出したか否かを判断する。フィルム後端を検出した場合、制御ユニット17は、ローディングの完了通知を制御手段200に送信し、この完了通知に応じて、新たなフィルムのオーダ情報を入力できる状態にする。具体的には、入力制御手段201がオーダ情報入力可能状態に入力手段100を制御する。なお、制御ユニット17が、フィルム後端が検出されていないと判断した場合は、ローディングが完了していないことを意味する。
【0054】
また、制御ユニット17は、フィルム先端が現像処理部12に入ったか否か(現像処理開始したか否か)を判断するように構成してもよい。具体的には、制御ユニット17は、ローディング検出手段11cがフィルム先端を検出したか否かを判断し、フィルム先端を検出した場合、制御ユニット17は、ローディングの開始通知を制御手段200に送信し、この開始通知に応じて、新たなフィルムのオーダ情報を入力できる状態にしてもよい。
【0055】
また、制御ユニット17は、フィルムが現像処理中か否かを判断するように構成してもよい。具体的には、制御ユニット17は、ローディング検出手段11cがフィルム先端を検出してから、後端を検出したか否かを判断し、フィルム先端の検出から後端検出するまでの間、制御ユニット17は、現像処理中通知を制御手段200に送信し、この現像処理中通知に応じて、新たなフィルムのオーダ情報を入力できる状態にしてもよい。
【0056】
また、制御ユニット17は、フィルム先端又は後端が排出部14から排出されたか否かを判断するように構成してもよい。フィルム先端又は後端が排出部14から排出されたか否かの判断は、フィルム長さ、搬送機構15による搬送速度、搬送距離に基づいてなされてもよく、排出部14に設置されたセンサ(不図示)によって、フィルム先端又は後端が検出されたか否かで判断してもよい。フィルム長さは、ローディング検出手段11cがフィルム先端と後端のそれぞれを検出した時刻と搬送速度から算出される。なお、フィルム後端が排出部14から排出されたことは、現像処理完了を意味する。
【0057】
(実施形態2)
図5において、異なる処理手順を説明する。フィルムプロセッサFPにフィルムカートリッジCaを上記と同様にセットする(S20)。これにより、セットされたことを示すフィルム検出通知が制御手段200に送信され、制御手段200が、予約キューにオーダ情報が記憶されているか否かを判断し(S21)、オーダ情報が記憶されていれば、ローディング許可通知を制御ユニット17に送信し、制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する(S23)。一方、オーダ情報が記憶されていない場合、上記同様にオーダ情報入力を促す通知がなされ、オペレータによるオーダ情報の入力が行われる(S22)。オーダ情報が入力されると、ローディング許可通知が制御ユニット17に送信され、ローディングが開始される(S23)。
【0058】
制御ユニット17は、フィルム後端が現像処理部12に入ったか否かを判断し(S24)、現像処理部12に入ったと判断した場合、ステップS20に戻り、次のフィルムについて現像処理可能となる。かかる制御ユニット17の判断処理は、上記の別実施例が適用できる。
【0059】
(実施形態3)
図6において、さらに、異なる処理手順を説明する。入力制御手段201は、フィルム検出通知を受信した場合のみオーダ情報の入力を許可するように、入力手段100のオーダ情報入力画面操作、キーボード入力の受付を禁止するように制御する。
【0060】
制御手段200は、フィルムカートリッジCaがセットされているか否かを判断する(S30)。フィルムカートリッジCaがセットされている場合(制御ユニット17からフォルム検出通知が送信されている状態を意味する)、入力制御手段201は、オーダ情報の入力を許可し、入力手段100によってオーダ情報の入力が完了されると(S31)、上記のようにローディングが開始される(S33)。一方、フィルムカートリッジCaがセットされていない場合、フィルムカートリッジCaをセットするように促す通知をモニター7に表示させる等し、そして、フィルムカートリッジCaがセットされると(S32)、制御ユニット17からフィルム検出通知を受け、オーダ情報が入力可能となる(S31)。ステップS34は、上記ステップS24と同様の動作である。
【0061】
上記の実施形態1から3において、フィルムのローディングの際には、オーダ情報の入力が禁止されるように入力制御手段201によって制御されるように構成できる。
【0062】
(実施形態4)
以下に、図7を用いて、フィルムプロセッサFP、プリント作成装置PA、予約キューの処理について説明する。図7に示すようにフィルムプロセッサFPは、フィルム挿入待ち状態(フィルムカートリッジCaのセット待ち状態)となっている。また、プリント作成装置PAは、オーダ予約待ち状態(オーダ情報入力待ち状態)となっている。そして、予約キューには、データは存在しない。
【0063】
今、オーダ#1予約がなされると(オーダ情報入力完了)、予約キューにオーダ#1が記憶され、オーダ#1挿入待ち状態となる。そして、別のオーダ予約禁止状態となる。つまり、オーダ情報の入力完了、予約キューへの記憶により、別のオーダ情報の入力が禁止され、複数のオーダ情報の入力が出来ないように構成される。これは入力制御手段201の機能による。
【0064】
次いで、フィルムカートリッジCaがセットされると、カートリッジ検出手段11dによって検出され、フィルム検出通知が制御ユニット17から制御手段200に送信される。制御手段200は、予約キューに記憶されたオーダ情報を確認し、ローディング許可通知を制御ユニット17に送信する。これに応じて、制御ユニット17が、ローディング開始するように各要素を制御する。ローディング完了すると、ローディング完了通知が制御ユニット17から制御手段200に送信される。これに応じて入力制御手段201は、オーダ予約待ち状態(オーダ情報入力可能状態)に制御する。そして、オーダ#2予約がなされると、上記と同様の処理手順が実行される。
【0065】
以上、本発明によれば、オーダ情報の入力順序と未現像写真フィルムの現像処理順序が一致して、オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理を行えるプリント処理システムを提供することができる。
【0066】
<別実施形態>
上記実施形態において、オーダ情報がプリント作成装置PAで入力されるように構成したが、特にこれに制限されず、フィルムプロセッサFPのコントロールパネル16から入力できるように構成してもよい。
【0067】
また、制御手段200、入力制御手段201、オーダ情報入力確定手段202の機能をフィルムプロセッサFPの制御ユニット17にもたせるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】プリント処理システムの外観の一例を示す図
【図2】フィルム処理装置の一例を説明する図
【図3】プリント処理システムの機能を示すブロック図
【図4】実施形態1の処理手順を示すフローチャート
【図5】実施形態2の処理手順を示すフローチャート
【図6】実施形態3の処理手順を示すフローチャート
【図7】実施形態4の処理手順を説明する図
【符号の説明】
【0069】
FP フィルムプロセッサ
FS フィルムスキャナ
PA プリント作成装置
Ca フィルムカートリッジ
1 プリント処理システム
11 フィルム挿入部
11A 蓋体
11c ローディング検出手段
11d カートリッジ検出手段
11e フィルム駆動機構
12 現像処理部
13 乾燥処理部
14 排出部
15 搬送機構
16 コントロールパネル
17 制御ユニット
18 フィルムストッカー
21 フィルムキャリア
100 入力手段
200 制御手段
201 入力制御手段
202 オーダ情報入力確定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を画像データとして取得するフィルムスキャナと、当該画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置を備えるプリント処理システムであって、
前記画像データの注文に関する情報であるオーダ情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記オーダ情報に対応する未現像写真フィルムを前記フィルムプロセッサで処理するように制御する制御手段と、
前記オーダ情報に対応する未現像写真フィルムの現像処理の処理開始/処理中/処理終了の少なくとも1つを検出する検出手段と、
前記検出手段による検出が行われるまでは次の未現像写真フィルムのオーダ情報の入力を禁止する入力制御手段と
を有するプリント処理システム。
【請求項2】
オーダ情報の入力が確定したか否かを判断するオーダ情報入力確定手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記フィルムプロセッサにセットされた未現像写真フィルムの現像処理を開始するように制御する請求項1に記載のプリント処理システム。
【請求項3】
前記オーダ情報入力確定手段は、前記検出手段によって未現像写真フィルムが検出された場合に、オーダ情報の入力を許可する請求項2に記載のプリント処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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