説明

プレスニッパー

【課題】異なったプレス輪郭、または作り出されるべき刻み目、またはプレスするべき異なった接点要素へのプレスプロセスに適応する。
【解決手段】ユニットとしてプレスニッパーのベースボディ43に取り付けおよび取り外し可能である交換カセット46を有し、交換カセット46が少なくとも3つのプレスラムを備え、このプレスラムはプレスニッパー操作によって半径方向に、ワークピースのためのマウントの方向にプレス可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースを加工するためのプレスニッパー、プレスニッパーの部品およびプレスニッパーセットに関する。特に、接点要素の範囲上に複数の刻み目をプレスするためのプレスニッパーに関する。加えて、プレスニッパーは少なくとも3つの、異なった方向に操作可能なプレスラムを備え、このプレスラムはワークピース、特に接点要素の塑性変形をもたらす。この種類のプレスニッパーでは、接点要素の全範囲を変形するのではなく、接点要素の範囲の複数の個々の刻み目に的を絞って、可能な限り均一に、および非常に繊細に選択可能なプレス深さを接点要素内にもたらすことが望まれている。生じる刻み目は、一方で接点要素と接続するべき導線の損傷または変形を可能な限り小さくしなければならない。他方では接点要素と導線の固定的な接続がもたらされなければならない。この相矛盾する要求は、例えばプレスニッパーを使用して連結部品が接点要素として光ファイバーケーブルと、特にグラスファイバーまたはポリマーケーブルとも接続する場合に特に問題がある。その場合、光ファイバーケーブルの変形が大きすぎると、それに応じてプレス深さも大きくなりすぎ、連結部品のエリアで光の損失が生じる。
【背景技術】
【0002】
出願人の企業により、この種類のプレスニッパーが公知であり、特に特許文献1および特許文献2に記述されている。これらのプレスニッパーでは、ニッパーヘッドに4つのプレスラムがワークピース用(ここでは接点要素用)マウントの半径方向に備えられている。プレスニッパーのハンドレバーを回すと、駆動メカニズムによって旋回リングがマウントの周りを旋回する。旋回リングは作動面を備えており、この作動面はマウントの周りを回すことでカムのように、プレスラムの作動面に対して作用され、それによってプレス力がマウントに対して半径方向に生成される。この公知の実施形態のさらなる詳細に関しては、以下の図1〜図6までの記述で示される。特許文献1に従い、交換可能なニッパーヘッドが使用される。
【0003】
3つ以上の異なった方向に操作可能なプレスラムを備えた、接点要素の範囲に刻み目を付けるためのさらなる従来技術には、例えば特許文献3、特許文献4および特許文献5が公知である。
【0004】
特許文献6では、圧縮工具が開示されており、この圧縮工具では2つのハンドレバーがX字型に互いに接し合って連結されている。ハンドレバーのハンドグリップに向かい合っている端領域は、ハンドレバーのところでボルトによってニッパーヘッドに連結されている。ニッパーヘッドは同じくボルトによって接続された筐体を備えている。ハンドレバーを旋回させると筐体内で旋回リングが旋回する。旋回リングはカム状の作動面を備え、この作動面は4つのプレスラムの反対作動面と相互作用する。プレスラムは、ガイドボディの半径方向のくぼみ内に案内される。旋回リングの旋回運動によりプレスラムが半径方向内側、収容部に配置されたコネクターの方向に当たる。プレスニッパーはプレスラムの1つのタイプのためだけであり、1つのコネクタータイプのためのプレス工程用と決められている。ニッパーヘッドの交換は、この特許文献では言及されていない。筐体はメンテナンスが目的でのみ開けられる。
【0005】
特許文献7は、モーター駆動で作動するプレス工具を開示しており、このプレス工具はベースユニットとクイック交換式ニッパーヘッドから形成されている。クイック交換式ニッパーヘッドは、ここでは部品ユニットとして形成され、この中には組立て筐体、ベースボディ、カムおよびアクチュエータが内蔵されている。
【0006】
特許文献8は同じく、明らかに交換不可能な、ハンドレバーに連結されたニッパーヘッドを開示しており、その内部には複数の、くさび面を通って案内されたプレスラムが、半径方向内側に、医療機器、特にステントのための収容部の上で可動である。
【0007】
特許文献9は、固定的に、そして明らかに交換不能にハンドレバーに保持されたニッパーヘッドを備えた、別のプレス工具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE10140270B4
【特許文献2】DE102005003615B3
【特許文献3】DE−OS1136391
【特許文献4】US3,028,776
【特許文献5】US3,177,695
【特許文献6】US2,002,502
【特許文献7】US7,461,448B2
【特許文献8】US2004/0128818A1
【特許文献9】US3,028,776A
【特許文献10】DE20100031U1
【特許文献11】DE102008012011B3
【特許文献12】DE102005003617B3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、プレスニッパーの部品、プレスニッパーおよびプレスニッパーセットを提示することであり、これらが
−拡張されたインサート手段または作動手段および/または
−例えば工具箱の中で、保管のために必要な、より小さい空間
を備えている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、独立請求項の特徴によって解決される。そのほかの好ましい、発明による実施形態は従属請求項に提示される。
【0011】
本発明はまず、冒頭に挙げられた従来技術で公知のプレスニッパーでは、プレスニッパーによって実行可能なプレスプロセスへの適合が限定的にしか可能ではないという認識に基づいている。確かにこのプレスニッパーはプレス深さの調節装置を備えている。プレス深さ以外のプレスプロセスの適合、例えば異なったプレス輪郭または作り出されるべき刻み目またはプレスするべき異なった接点要素へのプレスプロセスの適応性については、このプレスニッパーは保証しておらず、その結果これに応じて異なったプレスプロセスには異なったプレスニッパーが必要となる。
【0012】
このような背景から、本発明は、電気ケーブル接続、パイプ接続、フィッティングまたはケーブルシューをプレスするためにただ2つだけのダイハーフが同軸に互いに重なり合って動く、種類の異なるプレスニッパーの観点から、構造的な詳細解決法を考慮する。この種類の異なるプレスニッパーのために、特に特許文献10および特許文献11では2つのダイハーフが開示されており、これらダイハーフは交換可能にニッパーヘッド内に保持され、このことはダイハーフと、相対的に互いに可動の、ニッパーヘッドプレスジョーとの間のタングアンドグルーブ結合によって実現される。
【0013】
本発明により、少なくとも3つの異なった方向に操作されるプレスラムを備えたプレスニッパーにおいて初めてプレスラムが交換可能になり、それによって例えば異なったプレス輪郭および/または異なったプレス深さを備えたプレスラムを、1つの、同じニッパーヘッドおよびプレスニッパーボディと共に使用することができる。このことによって、例えばプレスニッパーを異なったワークピースに使用する使用可能性、異なった刻み目の作成および/または実行可能なプレス深さの可能性が拡大する。このように、以前は複数のプレスニッパーを使用しなければならなかったような操作方法と適用の多様性が拡張した一方で、本発明により、プレスニッパーのニッパーヘッドまたはベースボディを異なったプレスラムと接続して使用することができ、それによって製造コストおよび調達コストを低減し、職人が工具の数と持ち運ぶ荷物の重量を減らすことができる。
【0014】
本発明はしかし、特許文献11および特許文献12に従った従来技術の交換可能なダイハーフを、少なくとも3つのプレスラムを備えた本願のタイプのプレスニッパーに転用することに限定するものではなく、このダイハーフは異なった方向に、マウントに対して半径方向に操作されることが可能であり、そのことは、従来技術と比べてプレスラムの自由度の数を驚くほど増加させる。それどころか本発明は、プレスラムセットの個々のプレスラムの取り外しも、新しいプレスラムセットの個々のプレスラムのニッパーヘッドへの取り付けも時間がかかり、場合によっては建築現場で、職人に高いスキルと正確さ、および慎重さが必要とされるという別の認識に基づいている。例えば新しいプレスラムセットを取り付けるためには、すべてのプレスラムをその正確な位置に置かなければならず、そこでは作動面が定義された場所で反対作動面と相互作用する。この場合、プレスラムの数が増えるとプレスラムを取り付ける手間もかかる。他方で、別のプレスラムの取り付けによって、すべにその前に取り付けられているプレスラムがその定められた取り付け箇所から外れてしまうことは防止しなければならない。
【0015】
このような背景から、本発明は初めて、交換カセットのセットを提示する。交換カセットは1つまたは複数のベースボディを備えて形成されている。交換カセットは接続エリアを備えており、この接続エリアによって交換カセットをプレスニッパーのニッパーヘッドと分離可能に接続可能である。この場合、任意の種類の接続方法を使用してよく、例えばクリッピング、ロック、ねじ止めを使用した接続、磁石による保持で、交換カセットをニッパーヘッド等に接続する。交換カセット内には、少なくとも3つの異なった方向に操作可能なプレスラムが収容されて保持され、その結果これは例えば交換プロセス中または輸送中に交換カセットから失われることがない。他方で、交換カセットは少なくとも自由度をプレスラムに保証し、この自由度はワークピースのプレスのために必要である。ここで考えられる多様な実施形態のただ1つの例を挙げると、交換カセットのベースボディはプレスラムをすでにプレス中に自由度の方向へ案内することができ、その結果そのような機能がニッパーヘッドから交換カセット内に移動する。しかしまた、ベースボディに対して複数の自由度を備えたプレスラムがもたらされ、および交換カセットをニッパーヘッドに取り付けて初めて、プレスラムの自由度が、ワークピースのプレスを担っている方向に制限されることも可能である。
【0016】
本発明により、ベースボディはプレスラムと共に取り付けユニットを形成し、この取り付けユニットは接続エリアを介してニッパーヘッドと接続可能またはニッパーヘッドと分離可能である。プレスラムの交換、特にプレス深さの変更および/またはプレス輪郭の変更のためには、交換カセットをニッパーヘッドから取り外して別の交換カセットをニッパーヘッドに取り付けるだけでよい。セット内にないプレスラムを保管するためにも、交換カセット内に同じように配置することは有利である。なぜなら個々のプレスラムが失われることがなくおよび/またはプレスラムのセットを工事現場で交換するためには、時間の掛かる仕分けと選択を行う必要のある、同じようなバラの保管プレスラムを取り違えることがない。
【0017】
本発明による交換カセットは連結エリアを備えており、この連結エリアを介してプレスラムのための操作力をプレスニッパーのニッパーヘッドから交換カセットに伝達可能である。ここでは1つ以上の連結エリアが存在してよい。連結エリアは本発明によりプレスラムから形成された反対作動面を備え、この反対作動面はニッパーヘッドの作動面と相互作用する。
【0018】
本発明により、プレスラムは交換カセットのところに自由にアクセスできる反対作動面を備えている。この反対作動面は、プレス力をプレスラム上に加えるために、ニッパーヘッドのところに取り付けられた交換カセットのためにニッパーヘッドの作動面と相互作用する。冒頭に挙げられた従来技術に従い、(旋回リングのような)プレスニッパーの作動要素は、作動面を形成し、交換可能なニッパーヘッドの筐体内に内蔵されており、他方で別の駆動要素はニッパーヘッドを駆動メカニズムと連結するためにニッパーヘッド内になければならない。複数の交換可能なニッパーヘッドは、これにより従来技術に従って作動要素がそれぞれ各ニッパーヘッドに備えられなければならず、そのことがコストと重量を増大させる。本発明により、唯一のニッパーヘッドは、その中に配置される唯一の、旋回リングのような(または複数のこの種類の作動要素も)作動要素と共に使用され、この作動要素は、作動要素の作動面が交換カセットの反対動面と接することによって、プレス力がプレスラム上に伝達される(場合によっては変速して)。それゆえに本発明によりコストと重量が節約できる。
【0019】
本発明による交換カセットの別の考えられる利点は、交換カセットのプレスラムが互いに相互関連がある位置でニッパーヘッドに取り付けられることでこれが保証され得ることである。プレスラムを個々に正確にニッパーヘッドに取付けること、およびプレスラムを相互に綿密に調整することは必要ない。むしろ場合によっては、交換カセットでプレスラムをニッパーヘッドに取付けるだけで、他のプレスラムを同時に正確な位置に取り付けることが保証される。
【0020】
プレスラムは任意の用法で交換カセットのベースボディのところに、またはベースボディの上に保持および/または案内されてよく、これによって本発明による枠組みから外れることはない。本発明の特別な実施形態では、ベースボディはガイドプレート、例えば円環ディスクを備えて形成される。ガイドプレートは複数の、半径方向に向いた、好ましくは円周方向に均一に配置されたガイドスリットを備えている。ガイドスリット内にはそれぞれ1つのプレスラムが案内される。このようにして、交換カセットを使って(ここではガイドプレートを使って)、プレスラムの案内がすでにプレスプロセス中に保証され、そのためにこの機能はニッパーヘッドには備えられない。他方で、ガイドスリットの付いたガイドプレートの使用によって、プレスラムを「通す」こと、および割り当てられた1つのガイドスリット内の適切なガイドボルトは省略される。なぜならプレスラムはすでに交換カセット内に案内されているからである。これによって、交換カセットを交換する際に取り付けが簡単になる。同時にプレスラムが半径方向に向けられたガイドスリットに間違って入れられたことによる操作上の誤りが排除される。
【0021】
ガイドスリットへの案内は、例えばガイドシューなどの任意の方法で行われてよい。特別な実施形態では、プレスラムがガイドピンを備えているか、またはプレスラムがガイドピンと連結可能であり、このガイドピンがさらにガイドスリット内に案内される。ガイドピンからガイドスリット内へのこのようなマウントは、簡単で安価な、しかし信頼性の高い案内を、所望の自由度を備えて提供する。
【0022】
ここでは基本的に、各プレスラムがただ1つのガイドピンを備え、このガイドピンがガイドスリット内に案内され、それによって場合によってさらにガイドピン周りの追加の回転自由度がプレスラムのためにガイドスリット内に維持され、この回転自由度は交換カセットの他の対策によってまたは交換カセットをニッパーヘッドと接続して初めて、除去することができる。同様に、2つ以上のガイドピンを使用し、これらガイドピンが、スライド自由度だけがガイドスリットに沿って維持されるようにガイドスリット内に案内されることが可能である。本発明の特別な実施形態では、ガイドピンが平らな面を備え、この平らな面が回転リミットまたは回転ロックのためにガイドスリットの境界壁に当り、この境界壁がガイド面を形成している。この実施形態では、(場合によりすでに唯一のガイドピンによって)プレスラムがガイドプレートひいては交換カセットに対して回転することを防止することができる。他方では、場合により平らな面を使用して接触面が、ガイドピンおよびガイド面を使用してガイドスリットの境界壁が拡大され、それによってこの範囲の表面圧力が低減され得る。
【0023】
挙げられたガイドピンの考えられるマルチ機能の使用では、これが(場合によってガイドスリットに沿ったガイドスリットへの案内機能に加えて、回り止めおよびガイドピンとプレスラムの固定連結)特別な目的に使用される。このために、ガイドピンはヘッドを備え、このヘッドの上でプレスラムとは反対向きの側がガイドプレートに当たる。この実施形態では、ガイドスリットの範囲でガイドプレートが、ガイドピンのヘッドと、ガイドピンの向かい合っている側のヘッド上のプレスラムとの間に「捉えられる」。このようにして少なくとも1つのガイドピンがプレスラムと共に、ガイドプレートからの出口に向かって、一方向にガイドピンの縦軸と同軸にロックされる。
【0024】
交換カセットのベースボディは基本的に、任意に形成されてよい。本発明による特別な一実施形態では、交換カセットはカバー(例えば円環ディスク)を備えたベースボディを備えて形成され、このカバーは例えばガイドスリット、ガイドピンおよび/またはガイドプレートを少なくとも一部カバーする。カバーを使用して、一方で内部交換カセットおよび/またはニッパーヘッド内に汚染物が入るのを防止することができる。他方でカバーにより、プレスプロセス中に大きなプレス力で動くガイドピン、プレスラムまたは交換カセットの他の可動構成要素が、プレスニッパーの使用者のけがまたは周囲の損傷を引き起こすことを防止することができる。
【0025】
すでに前述したように、交換カセットとニッパーヘッドとは任意に接続されてよい。本発明による発展形態に従い、交換カセットはベースボディのところに保持されたボルトの接続エリアを備え、このボルトはニッパーヘッドのねじ穴にねじ込み可能である。例えばこのボルトは変更されたヘッドから形成されてよく、その結果これは手で、追加の工具なしで操作することができる。
【0026】
交換カセットのところには、プレスラムが、ニッパーヘッドと相互作用することができるよう保持され、その際、交換カセットに一方が、ニッパーヘッドに他方が一定量貫通することができる。本発明の特別な一実施形態では、プレスラムは交換カセットのベースボディから突出している。ベースボディがニッパーヘッドの反対面に当たると、プレスラムは場合により片面が開いたニッパーヘッド内部に入り、そこでこれがニッパーヘッドと相互作用し、特にニッパーヘッドの作動面とプレスラムの反対作動面との間の相互作用となる。
【0027】
本発明のその他の解決法の根底にある課題は、先に説明した種類の異なった交換カセットで操作可能なプレスニッパーにより与えられる。
【0028】
本発明の特別な一実施形態では、プレスニッパーのニッパーヘッド内に少なくとも1つのマウント空間が交換カセットのプレスラムのために形成される。ここでは通り抜けられるマウント空間であってよく、このマウント空間は好ましくは環状空間として形成され、およびすべてのプレスラムが配置される。交換カセットの各プレスラムのために、個別のマウント空間がニッパーヘッド内に備えられていることが同様に可能である。ここでは、少なくとも1つのマウント空間が、取り外された交換カセットのために、ニッパーヘッド面またはプレスラムの運動面に対して横方向に開く。こうしてこちらの側から交換カセットがニッパーヘッドに近づけられ、それによって交換カセットのベースボディから突き出たプレスラムが少なくとも1つのマウント空間に入る。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態では、少なくとも1つのマウント空間が作動面によって区切られる。交換カセットがニッパーヘッドに取付けられると、ニッパーヘッドの作動面が少なくともプレスプロセスの過程でプレスラムの反対作動面に当り、プレス力がプレスラムに加えられる。プレスニッパーはここでは駆動メカニズムを備え、この駆動メカニズムはハンドレバーの動きを作動面の動きに変換し、反対作動面との相互作用という観点から、ワークピース用マウントに関して半径方向へのプレスラムの動きが結果としてもたらされる。
【0030】
個々のプレスラムのための作動面が、別個の構造要素または駆動要素に備えられていることは、十分に可能である。しかし本発明の好ましい一実施形態では、ハンドレバーを操作してマウントの周りを回転する旋回リングがニッパーヘッド内にあり、このニッパーヘッドが作動面を構成している。このことによって、作動面の位置および方向付けが構造的に旋回リングのジオメトリによって与えられる。特に簡単な方法で、プレスラムが所望の同期性および個々のプレスラムのプレス深さの所望の関係によって相互に操作されることが、場合により同時に保証される。
【0031】
プレスニッパーの作動面および反対作動面だけが、交換カセットを備えていることは十分可能であり、この交換カセットを使用してプレスが行われる、つまりプレスラムの動きが半径方向に、内側へ向けられることができる。反対向きの動きは、例えば手動で操作者がプレスラムを半径方向に外側に押すことで、実行可能である。別法としてまたは追加的に、プレスプロセスが終了するとプレスラムが少なくとも1つのばね要素によって半径方向に外側に戻し動かされることが可能である。本発明の特別な一実施形態では、作動面と反対作動面が、プレスラムの半径方向に内側への動きのためにも、プレスラムの半径方向に外側への動きのためにも存在し、それによって操作確実性が高まり、プレスラムがプレスプロセスの過程で軽くひっかかって動かなくなった場合でもプレスラムを再度ワークピース用マウントから動かすことができ、これはハンドレバーを異なった相対的な運動方向に操作すると実行できる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、プレスニッパー内に強制ロックを備え、この強制ロックを使用して、操作を簡略化することができ、操作確実性が高められる。この種類の強制ロックは、プレスプロセス中の複数のプレス段階を保証し、その結果ユーザーは簡単に部分プレスを実行でき、部分プレス後に、達成されたプレスラムを外側に動かすことが不可能なまま、一時的に操作力がハンドレバーに加えられない場合は、プレス段階が維持されたままになる。他方で強制ロックは、プレスニッパーのプレスストロークが完全に通り抜けた時に初めて、プレスニッパーひいてはプレスラムを開くことを可能にする。これによりプレスニッパーによってケーブル要素に、要求を満たしていないプレスが実行されることを防止することができる。
【0033】
プレスラムの交換だけでなく、プレスニッパーの操作と特性を変更することができるよう、追加的に本発明によるプレスニッパー内で調節装置が使用されてよく、この調整装置はプレスニッパーのプレスストロークを調整可能で、そのことがプレスラムの最大開調整および/またはプレスラムの最大閉調整のために、これによって制限されたプレス深さとして適用可能である。
【0034】
本発明のさらなる提示は、プレスニッパーセットに関し、このプレスニッパーセットにはニッパーヘッドと複数の交換カセットを備えたプレスニッパーが含まれている。このようなプレスニッパーセットにより、プレスニッパーを異なった交換カセット、プレス輪郭およびプレス深さで使用することが可能になる。これを従来技術で行うとするなら、複数のニッパーヘッドとニッパーベースボディを備えた多数の完全なプレスニッパーが必要となるだろう。
【0035】
本発明の有利な発展形態は、請求項、明細書および図によって開示される。明細書冒頭で挙げられた特徴の利点および複数の特徴の組み合わせは単なる例であり、利点を強制的に発明による実施形態から達成する必要なく、別法としてまたは追加的に実施することができる。さらなる特徴は、図、特に示された形状および複数の構成部品の相互の相対的な寸法、並びに相対的な配置および作用接続から知ることができる。本発明の異なる実施形態の特徴、または異なる請求項の特徴の組み合わせも、選択された特許請求項の従属参照とは相違して可能であり、これに関して提示される。このことは、別々の図に示されたまたはその説明に挙げられた特徴にも該当する。これらの特徴は、異なった請求項の特徴とも組み合わせることができる。同様に請求項に記載された特徴は、本発明のさらなる実施形態で省略されてよい。
【0036】
以下では本発明が、図に示された好ましい実施例でさらに説明および記述される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】特許文献2に従ったプレスニッパーの正面図である(従来技術)。
【図2】図1に従ったプレスニッパーの側面図である(従来技術)。
【図3】図1および図2に従ったプレスニッパーの内部構造の図である(従来技術)。
【図4】図3に対応するプレスニッパーの図である。ただしプレスラムがない(従来技術)。
【図5】図1から図4に従った、プレスニッパーで使用する、プレスラムを備えたニッパーヘッドの図である(従来技術)。
【図6】図5に従ったニッパーヘッドの、断面線VI−VIに沿った断面図である(従来技術)。
【図7】ベースボディと取り付けられた交換カセットを備えた、本発明によるプレスニッパーの立体図である。
【図8】図7に従った、ベースボディから取り外された交換カセットを備えたプレスニッパーの立体図である。
【図9】本発明による交換カセットの立体図である。
【図10】図9に従った交換カセットの、立体的組立分解図である。
【図11】図9および図10に従った、本発明による交換カセットのための部分アセンブリーを構成するための、ガイドプレートのガイドスリット内の平らにしたガイドピンによるプレスラムの組立図である。
【図12】図7および図8に従った、本発明による、交換カセットを備えたプレスニッパーの組立分解図である。
【図13】本発明によるプレスニッパーの図である。実線は開位置を、破線は閉位置を示しており、ニッパーヘッド内のマウント空間が、その中に配置されているプレスラムでカバーされている部品は図示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は従来技術によるプレスニッパー1の外観を示した図である。プレスニッパー1はニッパーヘッド2を備え、このニッパーヘッド内には共通の中心軸3の周りに固定式ハンドレバー4と可動式ハンドレバー5が相対的に互いに回転可能に支承されている。2つのハンドレバー4、5には、エラストマー材料製のハンドグリップ6が備えられている。
【0039】
固定式ハンドレバー4は、ニッパーヘッド2のエリアでガイドボディ7へと移行し(図2および図3も参照)、このガイドボディはカバープレート8でカバーされている。ガイドボディ7およびカバープレート8は、固定式ハンドレバー4と共にプレスニッパー1の可動部分を形成している。図3でわかるように、ガイドボディ7は環状のくぼみ9を備えており、この中で旋回リング10が中心軸3の周りを旋回可能に支承されている。旋回リング10は可動式ハンドレバー5に固定接続されているかまたはその構成要素である。
【0040】
2つのハンドレバー4、5の間に、強制ロック11が介在されており、この強制ロックは、該当するプレスニッパー1のプレスストロークが必ず完全に実行可能であるよう、およびプレスニッパーが、強制ロック11が作動するか開ストロークがリリースされて初めて開くよう、保証している。固定式ハンドレバー4の上にはさらに調節装置12が備えられている。調節装置12の主な構成要素は調整ボルト13で、これはピボットベアリング14内に回転可能に、しかし軸方向に非可動に支承されている。調整装置12は、調整要素15と相互作用し、この調整要素は図3および図4に示されている。調整要素15は、固定式ハンドレバー4上に調整可能に支承されている。このために、これは固定式ハンドレバー4にあるくぼみ16内に案内される。くぼみ16は、中心軸3の周りに円弧状の輪郭を呈する。付属している調整要素15の縁エリアは、同様に中心軸3周りに円弧の形状を備えている。
【0041】
強制ロック11は基本的に2つの部分、すなわち歯付きセグメント17および回転可能に支承されている歯止め18を備えている。歯付きセグメント17は、同様に中心軸3周りの円弧上に形成され、配置されており、ここでは調整要素15の構成要素である。言い換えると、調整要素15の縁エリアが歯付きセグメント17として形成されている。調整要素15を固定式ハンドレバー4に対して可動式ハンドレバー5の方向に調整すると、歯付きセグメント17も調整される。歯止め18は公知の方法でばね(図示せず)を備えており、ここに固定して回転可能に可動式ハンドレバー5上に支承されている。強制ロック11の歯付きセグメント17と歯止め18の間の相互作用のために、これら2つの要素が異なった部分の上に備えられていることが重要であるとわかる。例えば歯付きセグメント17を可動式ハンドレバー5に固定して形成し、他方で歯止め18を調整要素15の上に取り付けることで、反対の配置が可能である。
【0042】
ハンドレバー4および5の最大圧縮力は、ストッパー対による最終位置制限で制限される。このストッパー対は、ストッパー19と反ストッパー20から構成されている。ストッパー19と反ストッパー20の機能は交換可能であり、つまりどの部分をストッパーおよび反ストッパーと名付けるかは任意である。ストッパー19はまた調整要素15上に接して形成されるかまたはこれに接して配置されてよい。これによってストッパー19は固定式ハンドレバー4に対して同じ量だけ調節および調整可能であり、これは歯付きセグメント17でも同じである。反ストッパー20はこれとは反対に可動式ハンドレバー5上に固定的に設置されるかまたは形成される。記述した4つの部分、つまり歯付きセグメント17、歯止め18、ストッパー19および反ストッパー20は、ハンドレバー4および5に対して常に強制ロック11の一部とストッパー対の一部がまとめられるよう配置され、ハンドレバー4、5のどちらか1つに割り当てられ、他方で2つの別の部分はそれぞれ他のハンドレバーに割り当てられるよう配置される。
【0043】
図3および図4から、調整要素15がプレート状に形成されていることがわかる。調整要素15の中央エリアには長穴21が備えられている。長穴21の縁エリアは、くさび面22が形成されている。くさび面22は角度を付けて配置されており、この角度は基本的にプレート23として形成された調整要素15のメインの伸び方向に対して斜めに伸びている。長穴21にはくさび24が通っている。くさび24はプレート23のメインの伸び方向面に対して垂直に調整可能であり、くさび面25を備え、このくさび面25は調整要素15のくさび面22に割り当てられるかまたはこれと一緒に作用する。そうでない場合は、くさび24がねじ穴の切られた穴26を備えている。ここでは、くさび24に調整ボルト13が貫通し、この調整ボルトは上述のように回転可能に、しかし軸方向にスライド不可能にニッパーに支承されており、くさび24の穴26のねじに対応するはめ合いねじを備えている。このことからすでに、調整装置12の調整ボルト13が回されると、くさび24が調整要素15に対して移動し、その結果、2つのくさび面22および25が互いに当接することによって、調整要素15の相対調整が中心軸3の周りで固定式ハンドレバー4に対して可動式ハンドレバー5の方向に、またはそれと反対の方向に行われることが認識できる。この運動方向は、図3および図4の左右矢印27で示されている。これにより、調整装置12の調整ボルト13が回されると、調整要素15が固定式ハンドレバー4に移動することが認識できる。この移動により、または調節および調整により、歯付きセグメント17およびストッパー19は同じように、および同じ程度まで、固定式ハンドレバー4から離れて可動式ハンドレバー5またはその逆の方向に動く。位置または運動方向を示すため、調整要素15のプレート23にはポインタ28が成形され、このポインタは目盛り29(図1)と共にカバープレート8上または固定式ハンドレバー4のところで一緒に機能する。図1には異なったプレス深さの識別表示が目盛り29に割り当てて示されている。
【0044】
図3から図6は、プレスニッパーのその他の細部である。ガイドボディ7内には4つのプレスラム30が可動に配置されている。プレスラム30は、ガイドボディ7の半径方向のガイドスリット31内で、中心軸3に対して純粋に半径方向に、ひいては固定式ハンドレバー4に対してスライド可能に支承されている。プレスラム30は、その自由な、中心軸3の反対を向いた端部に先端部またはプレス輪郭32を備え、これらはプレスニッパー1を操作すると、図示していない、プレスするべき接点要素に刻み目を残す。すなわちこの実施例に示されたように、4つの刻み目が同じプレス深さに残される。プレスラム30の数は少なくとも3つである。しかし4つ(図示されたように)、あるいはそれより多いプレスラム30が備えられてよい。接点要素はプレスのために、一般にスリーブとして形成され、およびそれによってプレスするべき導線が、ワークピース用マウントのために形成されるへこみ内に、中心軸3の周りに、図面に対して垂直に、図1、図3および図4に従って挿入され、公知の方法でプレスされる。プレスラム30の半径方向の動きは、プレスのための前方ストローク(これによりハンドグリップ4、5が圧縮される)と、後方ストローク(プレスニッパー1が開く際の反対方向)に細分化される。前方ストロークを実施するために、可動式ハンドグリップ5と接続している旋回リング10は、個々のプレスラム30に対して1つのカム面または作動面33が割り当てられ、これらの面は対応する反対作動面34が各プレスラム30で一緒に作用する。作動面33が旋回リング10の正接の円周方向に傾いて形成されおよび配置されていることは明かである。プレスラム30の戻りストロークも強制制御され、それによって形状接合される。このために、旋回リング10にカム面または作動面35が備えられ、これらの面には対応する反対作動面41がプレスラム30のところで一緒に作用する。このことは図から見て取れる。このようにして形状接合で形成されるプレスラム30の戻りストロークは、プレスニッパー1が例えば誤ったプレスの後にまずハンドレバー4、5が圧縮された位置に保たれ、プレスラム30のプレス輪郭32が接点要素内に引っかかっている場合に、特別な利点がある。ハンドレバー4および5への、開方向への対応する力作用により、強制的にプレスニッパー1を開き、およびプレスラム30を接点要素から緩めることができる。通常の操作では、2つのハンドレバー4および5間の開ストロークのためには開用ばね36が使用され、この開用ばねはスリーブ状の要素から形成されてよく、この要素の中に円筒状の圧縮ばねが収納されている。開用ばね36は、固定式ハンドレバー4内に支承されているかまたは収納されている。
【0045】
図3では、当りばね37も示されており、このばねはここでは丸棒ばねまたはねじりばねから形成される。当りばね37の役割は、くさび面22および25が互いに当接することを常に保証することである。
【0046】
図4に示されたプレスニッパーは、図1から図3に示されたものと似ているが、変更された実施形態である。ニッパーヘッド2のエリアにプレスラム30は図示されていないため、ガイドボディ7の構造とその中心部分のくぼみが明確に認識できる。ここでは旋回リング10が支承されており、可動式ハンドレバー5とワンピースに形成されている。各プレスラムのために縁の開いたくぼみは、それぞれ1つの作動面33が前方ストロークのために、および別の作動面35が後方ストロークのために識別できる。ガイドボディ7および旋回リング10は、ニッパーヘッド2のメインの伸び方向面と同じレベルにあり、その結果、旋回リング10とプレスラム30の配置によって、ニッパーヘッド2の取り付け高さが高められることがない。この実施形態は、軸方向の長さが小さいおよび/または直径が小さい接点要素のプレスに特に適している。
【0047】
図4は、図3と比べて、強制ロック11の要素の配置が異なっている。図3では歯付きセグメント17が固定式ハンドレバー4のところに配置されていたのに対して、図4では歯付きセグメント17が固定的に可動式ハンドレバー5のところに配置されている。調整要素15は、プレート23の形で、これまで通り固定式ハンドレバー4上に円弧状に、中心軸3の周りに案内され、調整可能に支承されている。しかしこの調整要素15は、歯止め18を調整要素15上で回転可能に支承するために、可動式ハンドレバー5の方向に延長される。歯止め18のための一般的な懸架ばねとその懸架点が調整要素15のところに暗示されている。図4は、調整されて閉じられたプレスニッパー1の状態を示しており、直線状に、無段階に調整された最終位置制限が定義されたように、最終位置制限のストッパー19と反ストッパー20は互いに当接している。
【0048】
図5および図6は、駆動部の特別な構造によってリリースされたニッパーヘッド2を示している。図から、リング状のくぼみ9を備えたガイドボディ7が見て取れる。くぼみの中には旋回リング10とプレスラム30が収納されている。ガイドリング10およびプレスラム30は、投影図で互いに重なって覆い隠さず、その結果特に薄い構造となっている(図6)。ガイドボディ7が駆動部の一部と、および旋回リング10が駆動部の他の部分と接続していることは明かである。このためにピン38が使用され、このピンは駆動に関して例えば可動式ハンドレバー5と接続されている。付属する別のハンドレバー4も、可動にガイドボディ7と接続されている。ガイドボディ7には位置決め装置42も支承されており、この位置決め装置はニッパーヘッド2に対する、プレスするべき接点要素の正確な位置決めを行う。特許文献12から出願人の別の、この種のプレスニッパーが公知である。この発明の範囲で、ハンドレバーを備えたプレスニッパーのベースモジュールを、異なったニッパーヘッドを使用して動かすことが可能であり、その際少なくとも1つのニッパーヘッドが以下に記述される交換カセットによる同じ作動のために適切に形成されており、その一方で少なくとも1つの別のニッパーヘッドが任意の別の使用目的に、特にハンドレバーが行うプレスとは異なる機能および/または切断のために、使用される。
【0049】
図7から図13には、本発明によるプレスニッパー1が示されており、基本的な作動原理に関しては、図1から図6に従ったプレスニッパーと暫定的に一致してよい。このような理由から、本発明による実施形態を記述するために、図1から図6に従った実施形態と一部同じ符号を使用している。符号が付けられた部品は少なくとも一部がその基本的な設計上の構造、形状寸法および/またはその機能に関して一致している。
【0050】
図7は、固定式ハンドレバー4および可動式ハンドレバー5を備えたプレスニッパー1を示している。プレスニッパーは、調節装置12と位置決め装置42を備えており、その際調節装置12と位置決め装置42はそれぞれプレスニッパー1の任意の部品を示している。ベースボディ43はニッパーヘッド2を備えて形成され、接続要素44a、44bはここではボルト45a、45bを介して交換カセット46を保持している。
【0051】
図8はベースボディ43から分離された、緩めた接続要素44のための交換カセット46を示している。ベースボディ43はニッパーヘッド2のエリアで、固定式ハンドレバー4に割り当てられたガイドボディ7と、可動式ハンドレバー5に割り当てられた旋回リング10を備えて形成されている。半径方向に向いているガイドスリット47は、図1から図6に従ったガイドスリット31に相当し、またはガイドボディ7のガイド溝並びにくぼみ48が共通の、第一の大まかな近接でL字型のマウント空間49を形成する。図7から図13に示されたプレスニッパー1は4つのプレスラムを備え、4つのガイドスリット47、4つのくぼみ48および4つのマウント空間49が均等に円周方向に配置されている。マウント空間49は、旋回リング10のエリアで半径方向に外側に接して作動面33によって、および半径方向に内側に接して作動面35によって区切られており、これら作動面は正接方向に対して少なくとも部分エリアで傾いている。マウント空間49は、リング形状のガイドボディ7から形成される、交換カセット46の方を向いた、ベースボディ43の当接面50の1つに対して戻される。
【0052】
図8では、交換カセット46が視線の方向で、ベースボディ43と反対向きの側を示し、この側がプレスラム30を覆い隠しており、図9では、交換カセット46がベースボディ43の方を向いた側から示されている。交換カセット46も、ベースボディ51を備えて形成される。ベースボディ51はプレート構造に形成され、円環ディスク52と、同じく環状のガイドプレート53を備えている。円環ディスク52とガイドプレート53は、互いに同軸に配置されており、その際円環ディスク52の内径はガイドプレート53の外径よりもいくらか小さくなっており、その際このようにして形成される、円環ディスク52とガイドプレート53のオーバーラップのエリアでは、固定要素54がガイドプレート53を円環ディスク52と固定接続している。接続要素44a、44bは円環ディスク52のくぼみを通って伸びている。
【0053】
特に図10では、ガイドプレート53は4つの、縁部55から始まったガイドスリット56を備え、このガイドスリットは半径方向内側が閉じられていることが見て取れる。半径方向外側にあるガイドスリット56は、取り付けられた状態で円環ディスク52によるオーバーラップでカバーされる。4つのプレスラム30のメインの伸び方向面に対して横向きに、各プレスラム30から、プレスラム30に取り付けられるガイドピン57が伸び、このガイドピンは例えばプレスラム30内にねじ込まれるかまたは押し込まれる。ガイドピン57は、自由にプレスラム30から突き出た終端部に、ヘッド58と、プレスラム30とヘッド58の間に配置されているガイドエリア59とを備えている。図11に示されたように、プレスラム30はそれぞれ外からガイドスリット56内に案内され、その際ガイドエリア59の付いたガイドピン57がガイドスリット56内に半径方向に案内される。ガイドプレート53はプレスラム30とガイドピン57のヘッド58の間に捉えられ、その結果、プレスラム30をガイドピン57によって半径方向外側に、ガイドスリット56から出すことで、プレスラム30がガイドプレート53によってのみリリースされ得る。円環ディスク52をガイドプレート53と固定要素54および上述のオーバーラップを使用して組立てると、ガイドピン57がガイドスリット56から出ることがもはやできなくなる。なぜならガイドピン57の半径方向の外側への最大運動は、ヘッド58が円環ディスク52の内面39と当接することで制限されるからである。これによってこのような取り付け状態は、プレスラム30を失う危険なくガイドプレート53(ひいては円環ディスク52)に留められて保持される。
【0054】
基本的に、この接続があってもプレスラム30はガイドピン57の縦軸周りを回転する。このことは、図11でわかるように、ガイドエリア59が、向かい合っている、平行な面に配置されている平らな面60を備えていることで阻止され、この平らな面はガイドスリット56内で回転ロックのためにガイドスリット56を区切るガイド面61に当接する。円環ディスク52の厚みはヘッド58の高さよりわずかに厚く、その結果ガイドピンはニッパーヘッド2上の円環ディスク52と反対向きの面から突きでない。この図示された実施例では、当接面60によって半径方向に外側に向けて区切られ、および片側がガイドプレート53によって区切られ、およびこのガイドプレート内でガイドピン57のヘッド58が動く内部区間は、別の円環ディスク62によって閉じられ、この円環ディスク62は外から円環ディスク52のところに(図示されない方法で)固定されている。円環ディスク62は内穴を備え、この内穴はガイドプレート53の内穴に位置合わせをして配置されており、直径が同じである。これらの内穴を通って、ワークピースのためのプレスニッパー1のマウントにアクセスできる。記述された方法で、交換カセット46がユニット63として形成され、このユニット内にプレスラム30が失われないように保持されているが、ガイドスリット56のガイドピン57に沿って半径方向にスライドするための自由度を備えている。
【0055】
交換カセット46をプレスニッパー1のベースボディ43に取り付けるために、円環ディスク52から形成された当接面63が当接面50に当接し、この当接面50はガイドボディ7、ニッパーヘッド2またはプレスニッパー1のベースボディ43から形成されている。この状態で、交換カセット46がプレスニッパー1のベースボディ43と接続される。この組立て位置で、ガイドプレート53がリング形状のガイドボディ7の内穴に入り、その際リング形状のガイドボディ7の円筒状の内面とガイドプレート53の円筒状の外面64との相互作用によってガイド効果および/またはセンタリング効果が引き起こされ得る。組立てた位置で、さらにプレスラム30がマウント空間49に入り、これによって好ましくはすでに、旋回リング10の作動面33がプレスラム30の反対作動面34との、および/または旋回リング10の作動面35がプレスラム30反対作動面41との接触をもたらす。この場合、挿入は適切なガイド装置またはセンタリング装置またはセンタリング傾斜面またはセンタリング位相によって支援されてよい。図示された実施例とは異なり、プレスラム30は交換カセットのところで、所与の半径方向の組立て位置に保持され、このことがばね要素または対応するラッチング要素または保持要素によって実行できることも可能である。組立てられ解説された位置で、プレスニッパーの動作が受容される。
【0056】
従って組み立てには交換カセット46がベースボディ43に近づくこと、プレスラム30がマウント空間49へ挿入されること、ガイドプレート53がリング形状のガイドボディに同時に入ること、当接面63が当接面50に当たること、および最後にこの組立て位置を接続要素44a、44bを介してロックすることが要求される。
【0057】
それとは逆に取り外しは接続要素44a、44bを緩めて行い、それによって交換カセット46をユニットとしてプレスニッパーのベースボディ43から取り外すことができ、プレスラム30はマウント空間49から一緒に取り外される。
【0058】
交換カセット46の接続エリア65は、当接面63および接続要素44から形成されている。プレスラム30の反対作動面34、41は、交換カセット46の連結エリア66を構成し、この反対作動面を介してプレスニッパー1のベースボディ43に取り付けられた交換カセット46のために操作力を開方向および閉方向にベースボディ43から交換カセット46へ、つまりプレスラム30上へ移行する。半径方向にプレスラム30の内側にワークピースのためのマウント67が形成されている。このマウント67は交換カセット46もプレスニッパー1のベースボディ43も通って伸びており、その際マウントは組立てられた状態でベースボディ43と交換カセット46の相互作用によって形成されることは明かである。
【0059】
公知の、個別の交換可能なダイハーフを備えたプレスニッパーでは、例えば特許文献10および特許文献11に従って、ダイハーフがプレス中にただ1つの方向に、つまり平行移動の自由度または旋回自由度に沿って動き、その際1つの方向性で開運動が行われる一方で他の方向性に閉運動が行われる。本発明により、プレスラム30は2つ、3つまたはそれ以上の方向に動く。図示された実施例では4つのプレスラム30が、それぞれ2つの向かい合っているプレスラム30が同じ方向に、しかし開運動および閉運動のために異なった方向性に動き、他方で他の2つの向かい合っているプレスラム30は1つの方向に動き、この方向は最初に挙げた方向から90°ずれている。
【0060】
複数の交換カセット46が図9に従ってプレスニッパーセット内に配置されていることも可能である。この場合、この交換カセット46はプレスニッパーセットの緩められる構成要素であってよい。使用していない状態では、交換カセット46は保護例えば保護キャップを備え、この保護キャップは少なくとも図9で前側に、プレスラムを損傷および/または汚れから保護するためにカバーするよう装備されることも可能である。複数の交換カセット46が、使用していない動作状態で、前述の保護機能を発揮する共通のホルダーまたはカバーに入れられることも同様に可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 プレスニッパー
2 ニッパーヘッド
3 中心軸
4 固定式ハンドレバー
5 可動式ハンドレバー
6 ハンドグリップ
7 ガイドボディ
8 カバープレート
9 くぼみ
10 旋回リング
11 強制ロック
12 調節装置
13 調整ボルト
14 ピボットベアリング
15 調節要素
16 くぼみ
17 歯付きセグメント
18 歯止め
19 ストッパー
20 反ストッパー
21 長穴
22 くさび面
23 プレート
24 くさび
25 くさび面
26 穴
27 左右矢印
28 ポインタ
29 目盛り
30 プレスラム
31 ガイドスリット
32 プレス輪郭
33 作動面
34 反対作動面
35 作動面
36 開用ばね
37 当りばね
38 ピン
39 内面
41 反対作動面
42 位置決め装置
43 ベースボディ
44 接続要素
45 ボルト
46 交換カセット
47 ガイドスリット
48 くぼみ
49 マウント空間
50 当接面
51 ベースボディ
52 円環ディスク
53 ガイドプレート
54 固定要素
55 縁部
56 ガイドスリット
57 ガイドピン
58 ヘッド
59 ガイドエリア
60 平らな面
61 ガイド面
62 円環ディスク
63 当接面
64 外平面
65 接続エリア
66 連結エリア
67 マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースをプレスするための、特に接点要素の範囲上に刻み目をプレスするためのプレスニッパー(1)のための交換カセット(46)であって、異なった側の少なくとも3つがワークピース用マウント(67)の方向に案内されるプレスラム(30)を備えており、その際前記プレスラム(30)は自由にアクセスできる反対作動面(34、41)を備え、プレス力を前記プレスラム(30)上に加えるために、該反対作動面がニッパーヘッドに取り付けられた交換カセット(46)のためにニッパーヘッド(2)の作動面(33、35)と共に相互作用する、交換カセット。
【請求項2】
a)ベースボディ(51)を備え、
b)前記プレスラム(30)が前記ベースボディ(51)に対してスライド可能であり、
c)前記ベースボディ(51)が前記プレスラム(30)とユニットを形成し、該ユニットが接続エリア(65)を介してニッパーヘッド(2)と接続可能であり、および
d)反対作動面(34、41)と共に形成された連結エリア(66)を備え、該連結エリアが前記プレスラム(30)のための操作力を前記ニッパーヘッド(2)から前記交換カセット(46)へ伝達可能である、請求項1に記載の交換カセット(46)。
【請求項3】
前記ベースボディ(51)がガイドプレート(53)を備えて形成されており、該ガイドプレートが半径方向に向いたガイドスリット(56)を備え、該ガイドスリットにそれぞれ1つのプレスラム(30)が案内されることを特徴とする、請求項2に記載の交換カセット(46)。
【請求項4】
前記プレスラム(30)が、ガイドピン(57)を備えているかまたはガイドピン(57)と連結可能であり、該ガイドピンが前記ガイドスリット(56)内に案内されることを特徴とする、請求項3に記載の交換カセット(46)。
【請求項5】
前記ガイドピン(57)が平らな面(60)を備え、該平らな面が回転リミットまたは回転ロックと、前記ガイドスリット(56)のガイド面(61)と当接することを特徴とする、請求項4に記載の交換カセット(46)。
【請求項6】
前記ガイドピン(57)がヘッド(58)を備えており、該ヘッドが前記プレスラム(30)と反対向きの側でガイドプレート(53)と当接することを特徴とする、請求項4または5に記載の交換カセット(46)。
【請求項7】
前記ベースボディ(51)がカバー(円環ディスク62)を備えて形成されることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の交換カセット(46)。
【請求項8】
前記接続エリア(65)が前記ベースボディ(51)に固定するボルト(45)を備えて形成され、該ボルトが前記ニッパーヘッド(2)のねじ穴にねじ込み可能であることを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の交換カセット(46)。
【請求項9】
前記プレスラム(30)が、前記ベースボディ(51)が前記プレスラム(30)の運動面に対して横向きの方向に突き出ることを特徴とする、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の交換カセット(46)。
【請求項10】
少なくとも1つの、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の交換カセット(46)を備えたプレスニッパー(1)。
【請求項11】
a)前記プレスニッパー(1)のニッパーヘッド(2)内に少なくとも1つのマウント空間(49)が交換カセット(46)の前記プレスラム(30)のために形成され、
b)取り外された交換カセット(46)のための前記少なくとも1つのマウント空間(49)が、前記プレスラム(30)の運動面に対して横向きに開いていることを特徴とする、請求項10に記載のプレスニッパー(1)。
【請求項12】
a)前記少なくとも1つのマウント空間(49)が、連結エリアによって形成される作動面(33、35)で区切られ、該作動面が、交換カセット(46)を取り付けられるニッパーヘッド(2)のために、前記プレスラム(30)の反対作動面(34、41)と当接し、
b)駆動メカニズムが備えられ、該駆動メカニズムがハンドレバー(4、5)の運動を前記作動面(33、35)の運動に変換し、該作動面が前記プレスラム(30)を半径方向に、前記マウント(67)の方向に動かすことを特徴とする、請求項11に記載のプレスニッパー(1)。
【請求項13】
前記ハンドレバー(4、5)の操作によってマウント(67)の周りを回る旋回リング(10)が備えられ、該旋回リングが前記作動面(33、35)を形成することを特徴とする、請求項12に記載のプレスニッパー(1)。
【請求項14】
作動面(33、35)および反対作動面(34、41)が、
a)前記プレスラム(30)の運動のために半径方向内側にも、
b)前記プレスラム(30)の運動のために半径方向外側にも、
備えられていることを特徴とする、請求項10〜13のうちのいずれか一項に記載のプレスニッパー(1)。
【請求項15】
強制ロック(11)が備えられており、該強制ロックが複数のプレス段階を保証し、および前記プレスニッパーのプレスストロークが完全に通り抜けた時に初めてプレスニッパーが開くことを可能にすることを特徴とする、請求項10〜14のうちのいずれか一項に記載のプレスニッパー(1)。
【請求項16】
調節装置(12)が備えられ、該調節装置で前記プレスストロークを調節可能であることを特徴とする、請求項15に記載のプレスニッパー(1)。
【請求項17】
請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載のプレスニッパー(1)および複数の交換カセット(46)を備えたプレスニッパーセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−43282(P2013−43282A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181181(P2012−181181)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(512215417)ベツァーク ゲーエムベーハー ヴェルクツォイクファブリーク (1)
【Fターム(参考)】