説明

プレス機械

【課題】高速せん断加工とプレス加工とを連続的に行なえるようにする。
【解決手段】静止部側に下型とせん断加工部(固定刃・移動刃)と素材位置決め手段をこの順で配設しかつ増速変換装置を設け、昇降部側にせん断用原加圧部およびプレス用加圧部を設け、増速変換装置を入力された低速原加圧力を高速従加圧力に増速変換可能かつ高速従加圧力を移動刃に出力可能に形成し、最初に高速従加圧力を移動刃に付与して連続素材の所定部分(プレス加工済部分を含む。)を高速せん断加工して単品素材(製品)を生産しかつこの後に上型に低速プレス加圧力を付与して連続素材の他の所定部分にプレス加工可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打抜き等のプレス加工とプレス加工後の連続素材から単品素材(プレス加工部分を含む。)を生産するせん断加工とを連続的に行なえるプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プレス機械を用いたプレス加工では、品質向上の観点からすると、スライドの下降速度を低速化することが好ましい場合が多い。特に、絞り等の塑性加工を施す場合である。しかるに、プレス機械は、技術的・構造的な固有的事項の関係から、ストロークを小さくすればプレス速度を高速化できるが、ストロークが大きい場合にはプレス速度が低速である。つまり、大ストロークかつ高速のプレス機械は現存しない。
【0003】
一方、せん断加工装置を用いたせん断加工では、せん断面の仕上げ品質の観点からすれば、せん断速度を高速化することが好ましい。特に、プレス加工後の単品素材をそのまま製品とする。つまり、プレス加工品(単品素材)の端面(せん断面)に格別の後加工(例えば、磨き)を施さないで製品とする場合は、せん断加工装置の一段の高速化が望まれる。
【0004】
かくして、従来、せん断加工により連続素材から単品素材(ブランク)を形成するせん断加工装置と、単品素材(ブランク)に選択されたプレス加工(例えば、絞り,圧造,打抜き)を施して製品(単品素材)を生産するプレス機械とは、別個に構築されていた。
【0005】
従来の代表的なせん断加工装置は、固定刃に対して移動刃を相対移動させることでせん断加工を行なう構造である。せん断用動力をプレス機械(クラウン内)に装着された駆動源(例えば、メインモータ乃至メインシャフト)を利用する場合には、駆動源と移動刃用駆動軸との間に、構造複雑な動力伝達機構(歯車列,連結桿,カム駆動部,カム等)を介装しなければならなかった。
【0006】
したがって、プレス機械の駆動速度(メインシャフトの回転速度)が、通常駆動速度(平均的スライド速度)に比較して低速度(例えば、試打ち運転中)に切替えられた場合には、せん断加工速度が一段と遅くなる。これに関しては、副駆動源を設けることが提案(特許文献1)されている。この提案前者装置は、上記駆動源(主モータ6)を用いて駆動される素材切断装置10(駆動部14,係合ピン15,カム板駆動体16等を含む。)に、駆動源(主モータ6)に優先してカッター13を駆動可能な高速切断用の副駆動機構(副駆動源20を含む。)を併設したものである。したがって、構造が複雑・大型で、一段とコスト高になる。
【0007】
また、せん断面の不良(バリ,チギレ,傷等)を解消するために、溝入れ機構を増設したものが提案(特許文献2)されている。この溝入れ機構(提案後者装置)は、摺動体22,縮小爪体30,回転支持体28,押動体29およびシリンダ32等を含み、凸状部19aを有する溝入れ用の転造ロール19を半径方向に進退動させて、連続素材(パイプA)のせん断箇所外周に予め任意の深さの面取り用溝A1を転造する。この機構も、さらに一段と構造が複雑・大型で、コスト高になる。
【特許文献1】特開2003−220443公報
【特許文献2】特開2004−249448公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、いずれの提案装置も、普遍的な装置小型化および低コスト化の要請に応えられないばかりか、連続素材および単品素材はパイプ又は中実丸棒を対象にしている。
【0009】
提案後者装置の場合は、多数の単品素材(ブランク)の中から1個ずつ取り出してプレス機械に供給しなければならないので、段取りに手間がかかり生産性が低い。大量の仕掛品(ブランク)を保留しなければならないので生産コスト高も招く。例えば、図4に示す特異形状(異形)の単品素材の場合には一段と生産性が低下する。
【0010】
提案後者装置では、プレス機械に接近配設されているから、単品素材を自動的に供給できるが、異形の単品素材には適応できない。
【0011】
さらに、いずれの装置でも、単品素材が異形であるとプレス機械内での素材姿勢が不安定になるので、プレス加工精度が劣悪化する。素材姿勢の調整・矯正に多くの時間・労力を要する。
【0012】
特に、近年、上記の平均的スライド速度によるせん断加工では、製品(せん断面)に要求される高品質を満たすことができなくなっており、早急な解消策が切望されている。
【0013】
本発明の目的は、高品質での高速せん断加工とプレス加工とを連続的に行なえる小型で生産性の高いプレス機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、昇降部の昇降(上下)運動に同期連動し、最初(スライド速度が比較的に高速な領域内である場合。)に増速変換装置を介することで高速(スライドの高速に比較すれば超高速)のせん断加圧力を生成(増速・変換)し、この高速せん断加圧力を利用し連続素材の先端側(プレス加工済部分を含む)をせん断(切断)して製品(単品素材)を生産する。その後(スライド速度が比較的に低速な領域内である場合。)に、つまり高速せん断加工による影響(振動等)のない時期に、連続素材のせん断加工済部分よりも手前側の所定部分に増速変換装置を介さない低速プレス加圧力を利用してプレス加工を行なうことができる。すなわち、スライド下降中に高速せん断加工と低速プレス加工とを連続的に実行可能に構成されたものである。なお、1つの製品(単品素材)側から考察すると、最初の低速プレス加工と最後の高速せん断加工とは、間歇的に行なわれる。
【0015】
詳しくは、請求項1の発明に係るプレス機械は、静止部側に、連続素材の供給方向の上流側から下流側に向かって下型とせん断加工部をこの順序で配設しかつ増速変換装置を設け、昇降部側に、増速変換装置の入力側にせん断用原加圧力を付与するせん断用原加圧部および保持した上型にプレス用加圧力を付与するプレス用加圧部を設け、せん断加工部が、固定刃と移動刃との相対移動により連続素材をせん断可能に形成され、増速変換装置が、せん断用原加圧部から入力された低速の原加圧力を高速の従加圧力に増速変換可能かつ高速の従加圧力をせん断用従加圧部から移動刃に出力可能に形成され、昇降部の下降状態において、最初にせん断用従加圧部から出力される高速の従加圧力を移動刃に付与して位置決めされた連続素材の先端側をせん断加工して単品素材を生産可能で、せん断加工後にプレス用加圧部から上型に低速のプレス加圧力を付与しかつ下型との協働により位置決めされた連続素材の所定部分にプレス加工可能に形成されている。
【0016】
また、請求項2の発明は、同一形状の素材受面を持つ上流側のガイドブロックと下流側の固定刃とを用いて連続素材の姿勢を一定かつ安定して保持可能に形成されている。
【0017】
また、請求項3の発明は、増速変換装置が、支点ピンを中心に回動可能なリンクレバーを含み、せん断用原加圧部からの低速の原加圧力を原動節ピンで受けかつ増速変換後の高速の従加圧力を従動節ピンから出力する増速変換リンク機構から形成されている。
【0018】
さらに、請求項4の発明は、素材上下移動手段と製品排出手段とを用いて切断後の単品素材(製品)をシュートに排出可能に形成されている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、プレス駆動源(スライド下降運動)を用いて高品質での高速せん断加工とプレス加工とを順番かつ連続的に行なえる。また、大幅な装置小型化および装置コスト低減を図れる。しかも、格別な従来せん断加工専用装置を設ける場合に比較して、単品素材の回収・搬送作業や、プレス機械への単品素材(ブランク)の供給・セット作業を一掃化することができかつ仕掛品(ブランク)の大量保有も必要ないから生産コストを飛躍的に低減できる。さらに、高速せん断加工を担保しつつ低速プレス加工を保障できる。連続素材(単品素材)の形態に係る適応性が広い。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明に係る効果に加え、さらに異形の連続素材の姿勢を確実かつ正確に保持できる。よって、低速プレス加工および高速せん断加工を円滑かつ安定して行なえる。
【0021】
さらに、請求項3の発明によれば、請求項1および2の各発明に係る効果に加え、せん断加工速度の大幅な高速化と装置小型化とを同時に達成でき、プレス機械全体としてのコスト低減も図れる。また、請求項4の発明によれば、製品を効率的に回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本プレス機械は、図1〜3に示す如く、静止部(11)側に下型27とせん断加工部30をこの順序で配設しかつ増速変換装置(50)を設けるとともに、昇降部(1)側にせん断用原加圧部(2)およびプレス用加圧部(7)を設け、昇降部(1)の下降状態において、最初にせん断用従加圧部(34)からの高速の従加圧力を移動刃33に付与して連続素材78の先端側(プレス加工済部分を含む。)をせん断加工して単品素材(製品)79を生産可能で、かつせん断加工後にプレス用加圧部(7)から上型21に低速のプレス加圧力を付与して連続素材78の所定部分にプレス加工可能に形成されている。
【0024】
この実施形態における連続素材78は、図4(B)において上下方向に延びる金属部材で、外形(乃至断面形状)は図4に示す如く複雑である。かかる複雑形状を、外形(乃至断面形状)が円(円環)、四角(四角筒)のように単純な形状、あるいは左右や上下が対称である形状に対して、特異形状(異形)と呼称するものとする。換言すれば、この明細書においては、連続(単純)素材を一定の姿態(姿勢)にセットするための作業が大変な形状や、一定姿態(姿勢)に維持することが困難な形状でかつ単純でありふれた形状(丸棒形状等)でない形状を異形と定義する。金属材料業界(取引)において、慣用的に“異形”と言われる形状も入る。
【0025】
図1において、上プレート1はスライド(図示省略)側に着脱自在で、下プレート11はボルスタ(図示省略)側に着脱自在である。つまり、プレス加工部20を含むプレス機械(公知・周知のため図示省略)に、せん断加工部30および増速変換装置(増速変換リンク機構50)等を一体的に組込んだダイセット構造に構築されている。ダイセット構造とすることにより、金型21・27の交換をすれば、連続素材78の形態、プレス加工態様等に対応させ、さらに最適なせん断速度(増速度)やせん断用ストロークを自動的に選択できるようにしてある。したがって、作業の容易化および時間短縮化を促進できる。もとより、装置小型化も大幅に促進できる。
【0026】
この上プレート1は、スライドと同期して昇降運動可能な昇降部を形成する。スライド自体を昇降部とするように形成してもよい。つまり、せん断用原加圧ブロック2およびプレス用加圧ブロック7を、スライドに直接取付けするように構築しても、本発明を実施することができる。
【0027】
また、下プレート11は、図示しないボルスタ(あるいはベッド)とともに静止状態を保持する静止部を形成する。ボルスタ(あるいはベッド)自体を静止部としてもよい。つまり、装置用固定ブロック12および金型用固定ブロック17を、ボルスタに直接取付けするように構築しても実施することができる。
【0028】
プレス加工部20は、プレス用加圧ブロック7(下端面8)に着脱可能な上型21と、金型用固定ブロック17(上端面18)に着脱可能な下型27とからなる。プレス用加圧ブロック7は、上プレート1に保持された上型21に下型27に対するプレス用加圧力を付与するプレス用加圧部を形成する。
【0029】
他方のせん断用原加圧ブロック2は、増速変換装置(50)の入力側にせん断用原加圧力を付与するせん断用原加圧部を形成する。
【0030】
この実施の形態では、上型21は、パンチホルダー26を介して装着されたピアスパンチ22および切欠きパンチ23を含む。押え板24は、貫通穴(符号省略)を通してパンチ22・23と上下方向に相対移動可能で、常態ではバネ25の下向き付勢力により図1に示す状態(下限位置)に保持されている。
【0031】
下型27は、パンチ22・23に対応するパンチ穴28・29を含む。図1,図2において、下型27は、パンチ穴28(29)と固定刃32との間に、長さが“L”(図4を参照)の単品素材79の1つ(2つ)分だけ入ることができる位置として、金型用固定ブロック17(18)に固定されている。
【0032】
連続素材78の一部分、つまりパンチ22(23)によりプレス加工されたプレス加工済部分[79K(79H)]は、上プレート1[昇降部(スライド)]のその後の2(3)ストローク目に固定刃33に至り、3(4)ストローク(昇降)目に移動刃33によるせん断加工可能位置に移動される。
【0033】
連続素材78は、素材位置決め手段(ストッパー73)により所定位置に位置決めされる。連続素材78の先端(図1で左端)をストッパー73に当接させた状態として考えると、連続素材78の単品素材相当(長さL)の1つ目が固定刃32の先に位置決めされ、2つ目が固定刃32(異形穴33H内)で保持可能に位置決めされ、3つ目が固定刃32の手前に位置決めされ、4つ目がパンチ穴29に対応する位置に位置決めされ、5つ目がパンチ穴28に対応する位置に位置決めされる、と理解される。
【0034】
したがって、所定位置に位置決めされた連続素材78の一部分に金型(22、28)を用いて図4に示すピアス穴79Hをプレス加工することができる。この先(前段)のスライドストロークと次(後段)のストロークとの間に、連続素材78が所定距離(長さL相当)だけ進動される。そして、後段スライドストローク(下降)中に、連続素材78の当該一部分に金型(23、29)を用いた切欠き部79K,79Kをプレス加工することができる。これらのプレス加工は、昇降部(1)を形成するスライドの下降速度が低速である領域(下死点手前〜下死点)で実行される。
【0035】
なお、素材位置決め手段は、上記のようにストッパー73から形成されている。しかし、素材位置決め手段は、これに限定されず、他の手段から形成してもよい。例えば、後記する連続素材送込み手段(送込みローラ等を含む。)70により構成し、素材の位置決め精度を送り精度に依存させるように形成してもよい。つまり、素材位置決め手段の構成は、構造・レイアウトの難易性、要求される位置決め精度、装置コスト等を比較考量して決めるべきである。ストッパー73の場合は、金型等の設置位置精度等に対する初期調整作業の慎重性が求められるが、最も構造簡単で、レイアウトが容易で、送り精度を絶対的な値として位置決めできる利点がある。
【0036】
せん断加工部30(32、34)は、図1に示す金型用固定ブロック17の左側に固定された固定刃32と,この固定刃32に対して上下方向に移動可能に装着された移動刃33とを含み、移動刃33の下降運動(移動)によりかつ固定刃32との協働により連続素材78の先端側(プレス加工済部分を含む。)をせん断加工して、単品素材(製品)79を生産することができる。つまり、図4において、連続素材78のプレス加工済部分(79H,79K)を含む単品素材(79)相当の後端面位置でせん断することによりせん断面79Sを得る。なお、図4で上側のせん断面79Sと下側のせん断面79Sとは、1ストローク相当分の時間差をもってせん断加工される。
【0037】
固定刃32は、金型用固定ブロック17(18)の右側に取付けられた金型20(下型27)でプレス加工する連続素材78の形状に対応するもので、その左側に取付けられている。対する移動刃33は、ホルダー36に取付けられている。
【0038】
クション装置37は、シリンダ38とピストンと一体のピストンロッド39を含み、高速せん断加工時の衝撃を緩和する。また、このクション装置37は、素材上下移動手段(37)を形成(兼用)し、図1,図2に示す移動刃33を上限位置Pu(せん断加工位置)と下限位置Pl(製品排出位置)とに移動させることができる。つまり、移動刃33を、装置固定ブロック12と金型用固定ブロック17との間の移動刃移動用空間15内で往復上下移動させることができる。
【0039】
すなわち、クション装置(素材上下移動手段)37は、せん断加工領域内では詳細後記の従動節ピン56(57)側からの下向き従加圧力に抗する上向き反力(付勢力)を維持しつつ移動刃33の下降運動を許容するとともに、単品素材79が排出された後でかつリンクレバー51が図1に示す初期(水平)状態に戻った以降に移動刃33を定位置(Pu)に戻す機能を有する。
【0040】
製品(79)は、図2に示す位置(Pl)で、排出シリンダ75の作動(ピストンロッドの突出)により、シュート77に押し出される。
【0041】
ここにおいて、静止部(11)側には、連続素材78の供給(X)方向の上流側(図1で右側)から下流側に向かって下型27とせん断加工部30をこの順序で配設しかつ昇降側(せん断用原加圧ブロック2)とせん断加工部30[33、34(35,36)]との間に増速変換装置(50)が設けられている。この実施の形態では、せん断加工部30の先に素材位置決め手段(73)を配設してある。
【0042】
この実施の形態では、図1に示すように、静止部(11)側である金型用固定ブロック17の右上にガイドブロック71(異形穴71H)が設けられ、その右側方向に配設された図示しない連続素材送込み手段(送込みローラ等を含む。)70により、送込まれた連続素材78の姿態を一定に維持(案内)する。
【0043】
両刃32,33の構造・形態は特に限定されるものではないが、固定刃32は素材送込み手段70によって所定方向(X方向)に送り込まれて来た連続素材78を貫通可能な異形穴32Hを有する構造とされ、連続素材78の先端側を安定保持できる。移動刃33にも連続素材78を貫通可能な異形穴33Hを有する構造とされ、せん断加工を円滑・確実に行なうことができる。
【0044】
すなわち、静止部(11)側の下型27を挟む上流側にガイドブロック71を固定しかつその下流側に固定刃32を固定し、ガイドブロック71の素材受面の形状および固定刃32の素材受面の形状を、連続素材78の姿勢を一定に安定保持可能な同一形状(71H、32H)に形成してある。異形穴71H,32H,33Hの各内周面が、当該各受圧面である。
【0045】
図1のX方向から送り込まれて来た連続素材78の先端は、ガイドブロック71(異形穴71H),固定刃32(異形穴32H)を通過(貫通)した後に、移動刃33(異形穴34H)を経由してストッパー(素材位置規制部材)73に当接される。連続素材78の水平方向の位置規制をすることで、単品素材(製品)79の長さ(寸法)Lを一定に保てる。
【0046】
なお、固定刃32は、連続素材78の位置規制前後に離隔接近可能な上固定刃と下固定刃とから形成したものでもよい。この点に関しては、移動刃33の場合も同様に形成してもよい。つまり、固定刃32の場合と同様に、固定刃32側から送り込まれて来た連続素材78を貫通可能な隙間を隔てて対向配設された上移動刃と下移動刃とから形成してもよい。
【0047】
次に、増速変換装置(50)は、原動節ピン53および従動節ピン56を有しかつ支点ピン52を中心に回動可能なリンクレバー51を含み、せん断用原加圧部(2)からの低速の原加圧力(低速原加圧力)を原動節ピン53で受けかつ増速変換後の高速の従加圧力(高速従加圧力)を従動節ピン56から出力可能な構造の増速変換リンク機構50から形成されている。
【0048】
増速変換リンク機構50は、装置用固定ブロック12(ベアリングブロック62L,62R)に装着された支持ピン(支持軸)52に近い方の原動節ピン(原動節要素)53と,遠い方の従動節ピン(従動節要素)56とを有するリンクレバー51を含み、全体として支持ピン52を中心に回動可能であって速度増速機能および加圧力変換機能を発現可能に形成されている。
【0049】
図1〜図3において、リンクレバー51は1対のリンクレバー要素51L,51Rから形成されている。リンクレバー全体(51)の十分な剛性を担保しつつ、一層の軽量化を企図する。各リンクレバー要素51L,51Rの各ピン52,53,56のそれぞれに対応する位置には、いずれも符号を省略した支持ピン用穴,原動節ピン用穴,従動節ピン用穴がそれぞれに設けられている。
【0050】
支持ピン52は、図3に示す如く、左右の支持ピン用穴に嵌装され、対向するリンクレバー51L,51R間に延在する。この支持ピン(支持軸)52は、図3に示す左右1対のベアリングブロック62L,62R(支持穴62H)に渡設されている。かくして、リンクレバー51は、支持ピン52を中心として回動自在である。なお、カラー51Cは、リンクレバー要素51L,51Rの間隔一定化のために介装されている。
【0051】
図1において、原動節ピン用穴間に嵌装された原動節ピン53は、リンクレバー要素51L,51Rの両下端に渡設された補助プレート64および補助ブロック63を用いて、リンクレバー51(51L,51R)に一体的に固着されている。補助ブロック63は、リンクレバー要素51L,51Rの内壁面間に位置する補助プレート64の上面に固着されている。したがって、せん断用原加圧ブロック2から下向きのせん断用原加圧力が加えられても、原動節ピン53が下方向に大きく変形することがないから、せん断用原加圧力(低速原加圧力)を従動節ピン56側に効率よく伝達でき、機械部品(53等)の長寿命化の観点からも有効である。
【0052】
そして、原動節ピン53の上方側がせん断用原加圧ブロック2の下端面(平面)3に対向する平面形状(上端面54)とされかつその下方側が両リンクレバー要素(51L,51R)間に渡設された補助ブロック63に一体的に係止されている。
【0053】
従動節ピン用穴間には従動節ピン56が嵌装され、従動節ピン56のリンクレバー要素51L,51R間に従動ローラ57が被嵌されている。
【0054】
ここに、支持ピン52と原動節ピン53との中心間距離をLs(例えば、“1”)、支持ピン52と従動節ピン56との中心間距離をLl(例えば、“4”)とすれば、4倍「=(Ll/Ls)」の速度増速機能を発現できる。例えば、スライドモーションカーブ上において、スライドの高速側下降速度の値が平均的下降速度(平均的スライド速度)の値の4倍の値になるクランク角度θ範囲(例えば、90度±α度)をせん断加工領域に選択しておけば、当該せん断加工速度はスライド(上プレート1)の平均的下降速度の16(=4×4)倍にすることができる。クランク角度θ範囲(例えば、90度±α度)は、高速スライド速度領域である。
【0055】
すなわち、昇降部(1)の下降状態において、せん断用原加圧部(2)から原動節ピン53に入力された低速原加圧力を高速従加圧力に増速変換可能かつ従動節ピン56(従動ローラ57)を介してせん断用従加圧部(34)から移動刃33に高速従加圧力を出力可能に形成されている。
【0056】
つまり、スライド(1)の1ストローク(この場合は、“下降”)中に、最初にせん断用従加圧部(34)から出力される高速従加圧力を移動刃33に付与して位置決めされた連続素材78の先端側をせん断加工して単品素材79を生産可能で、せん断加工後にプレス用加圧部(7)から上型21に低速プレス加圧力を付与しかつ下型27との協働により位置決めされた連続素材78の所定部分にプレス加工できる。
【0057】
せん断用原加圧ブロック2は、上プレート1の下面に取付けられかつ実質的に当該スライドの一部を形成するものであり、原動節ピン53に係合しつつスライド下降運動に伴う下向きの低速原加圧力をリンクレバー51に伝達可能である。係合面を形成する下端面(平面)3に対応させて、原動節ピン53の上方側を平面形状(上端面54)に加工してある。かくして、スライド(上プレート1)からの低速原加圧力を、密接係合する両面3,54を介して、リンクレバー51に確実に伝達することができる。両面3,54は水平方向に円滑に相対変位(移動)できる。
【0058】
スライド(1)が下降するほどに、リンクレバー51が支持ピン52を中心に時計回転方向に回転(右回転)するので、上端面(平面)54は下端面(平面)3に対して図1で左方向に移動(変位)することになる。この実施の形態では、単品素材79のせん断加工終了以降は、上端面(平面)54の図1で右側が下端面(平面)3の左側に移動(離反)されるから、スライド(1)の低速原加圧力はリンクレバー51に加わらずかつスライドは下死点に向かって下降運動することができる。
【0059】
この際、せん断用原加圧ブロック2は、ブロック移動用空間13内を移動(通過)できるから、スライドの円滑な下降運動を担保できる。つまり、その後のプレス加工の実行性を担保できるわけである。
【0060】
次に、せん断用従加圧ブロック34は、従動節ピン56(従動ローラ57の下端面58)に係合しつつリンクレバー51の支持ピン52を中心とする回動運動に伴う下向きの高速従加圧力を移動刃33に伝達可能である。この実施の形態では、せん断用従加圧ブロック34は、せん断用従加圧部を形成するもので、摺動ガイド(図示省略)に摺動自在に嵌装されたホルダー(中継連結手段)36とヘッド35から形成されている。
【0061】
従動ローラ57の下端面(平面)58を、ヘッド35の上端面(平面)35Uに対応する平面形状に形成してある。したがって、リンクレバー51(従動節ピン56)からの下向き高速従加圧力を、密接係合する両面58,35Uを介して、ヘッド35(ホルダー36)側に確実に伝達することができる。
【0062】
上記の通り、ヘッド35がクッション装置37の上向き反力(付勢力)により上方へ付勢されているから、従動ローラ57を従動節ピン56に回転可能に被嵌装着させておけば、せん断加工領域内でリンクレバー51が傾斜しても両係合面58,35Uの密接状態を維持することができる。
【0063】
ここで、せん断加工領域とは、せん断用原加圧ブロック2(3)と原動節ピン53(54)とが密接係合している状態(範囲)を意味する。つまり、図1に示す如く、下降して来たせん断用原加圧ブロック2(3)が原動節ピン53(54)に係合した状態が移動刃33によるせん断加工開始位置であり、上端面54の右側が下端面3の左側に移動(離反)した状態がせん断加工終了位置である。
【0064】
ただし、この実施の形態では、製品(単品素材79)の排出便宜のために、移動刃33(単品素材79)を図2に示す下限位置Pl(せん断加工位置=上限位置Puよりも低い位置)にまで下降させることができる。この意味において、せん断加工領域は、せん断加工終了時位置よりも下方の位置まで拡大された広範囲(領域)つまり本来のせん断加工領域よりも拡大された領域となっている。
【0065】
因みに、図1において、原動節ピン53(54)をせん断用原加圧ブロック2(3)に対して左側に位置調整しておくことで、両者(3,54)の係合状態を早めに解除可能にすれば、せん断加工終了時位置を本来的なせん断加工終了時位置に合わせることができる。
【0066】
せん断加工領域を通過した後は、原動節ピン53がせん断用原加圧ブロック2の左側端面4を滑る状態つまりリンクレバー51の回動が不能となりリンクレバー51が図2に示す傾斜姿態となるので、せん断用原加圧ブロック2のさらなる降下を妨げない。
【0067】
スライドが上死点側に上昇移動に伴ってせん断用原加圧ブロック2が図2に示す位置よりも上方に上昇移動すると、リンクレバー51は、クッション装置37の働きで時計回転方向と逆の方向に回転(左回転)し、図1に示す初期状態(水平状態)に復帰されかつ定位置に保持される。
【0068】
せん断加工終了後に、プレス加圧部(7)から上型21に低速プレス加圧力を付与しかつ下型27との協働により位置決めされた連続素材78の所定部分にプレス加工するタイミングは、下死点手前から下死点との間で実行される。高速せん断加工に伴う品質低下要因(振動等)の影響を受けずかつスライド(昇降部1)の低速下降速度においてプレス加工できるから、高品質製品を生産できる。
【0069】
ここに、昇降部(1)の1ストローク(昇降1回)内では、はじめに平均的スライド速度領域内よりもスライド速度が速い高速スライド速度領域内でせん断加工が実行されかつその後に平均的スライド速度領域内よりもスライド速度が遅い低速スライド速度領域内でプレス加工が実行される。
【0070】
また、任意の1つの製品(79)の点から観察すれば、最初に低速プレス加圧力でプレス加工がなされ、数ストローク(この実施の形態では、3ストローク)後に高速従加圧力で高速せん断加工が実行される。未だ当業者において発想もされていないユニークな加工方法で、本発明はこの方法を正確かつ安定して実施可能なものである。しかも、他の駆動源等を必要としない。
【0071】
換言すれば、スライドモーション[下死点近傍での低速度域、その手前の高速度域および当該駆動速度に対応する平均的速度域の組合せカーブ]に着目しかつ従来せん断加工装置で必須な副駆動源・副動力伝達機構や、動力伝達機構(例えば、歯車列,連結桿,カム駆動部,カム等)を払拭しつつ、プレス機械全体の構造簡素化および小型化に有効である。
【0072】
次に、この実施の形態の作用・動作を説明する。
【0073】
図1において、素材送込み手段70によりX方向に送込まれた連続素材78の先端を、ガイドブロック71(71H)を通し、下型27上を通過させ、さらに固定刃32(32H)、移動刃33(33H)を通してからストッパー73に突き当てる。異形の連続素材78でも簡単にセッティングすることができ、姿態を一定かつ安定して保持できる。
【0074】
これ以降、素材送込み手段70は、昇降部(1)の1ストローク内上昇時に、連続素材78をX方向に1単位長(単位素材79の長さLに等しい。)だけ間歇送りすることができる。複数ストロークに渡ってみれば、連続素材78をプレス加工部20およびせん断加工部30に連続的に供給していると考えられる。
【0075】
1ストローク目に、スライド(上プレート1)の下降運動に伴ってせん断用原加圧ブロック2(下端面3)が原動節ピン53(上端面54)に当接(係合)する。スライド位置がクランク角度90度に対応する位置になると、せん断加工が開始される。つまり、せん断用原加圧ブロック2がスライドの比較的高速下降領域において高速下降する(増速変換装置側としては、低速入力される。)から、リンクレバー51は支持ピン52を中心に右回転する。速度増速機能が働く。
【0076】
すると、従動節ピン56(従動ローラ57)が、せん断用従加圧ブロック34(ヘッド35)に下向きの高速従加圧力を付与する。移動刃33が下降運動し固定刃32との関係で連続素材78を高速せん断加工する。図4のせん断部79Sを加工する。スライド速度(比較的高速領域)に比較して大幅に高速化されているので、せん断面は高品質である。クション装置37は、移動刃33の下降運動を許容する。
【0077】
せん断用原加圧ブロック2(3)が相対的に左方向に移動しかつ原動節ピン53(54)から離反して係合状態が解かれると、リンクレバー51に低速原加圧力が加わらなくなる。離反後のせん断用原加圧ブロック2はブロック移動用空間13内を下降するので、スライドの下降運動を妨げない。この離反(係合状態が解かれる。)状態は、せん断加工後のスライド(1)下降を許容する。つまり、その後のスライド下降によるプレス加工を可能とする重要な技術的意味を持つ。従来せん断専用装置の如く、格別な駆動源を必要とする場合は、かかる発想の余地はない。
【0078】
この段階では、原動節ピン53は、せん断用原加圧ブロック2の左側端面4に左右方向が位置拘束されている。したがって、リンクレバー51は、回動しつつ図2に示す傾斜した状態になりかつ傾斜状態が維持される。
【0079】
図2において、従動節ピン56(従動ローラ57)がせん断用従加圧ブロック34(ヘッド35)から離れて係合状態が解かれると、せん断用従加圧ブロック34に高速従加圧力が加わらなくなる。せん断加工が終了する。先のプレス加工部分を含む先端側が、せん断加工されて製品(単品素材79)となる。この製品は、所定位置において、製品排出手段74(75)の働きでシュート77内に排出される。
【0080】
さらなるスライドの下降運動に伴って、プレス用加圧ブロック7がさらに下降する。クランク角度が例えば170度になると、押え板24が連続素材78を下型27に押し付ける。バネ25は短縮する。スライドがさらに下降して下死点相当位置に近づく(例えば、クランク角度が180度の手前に至る。)と、プレス用加圧ブロック7からの低速プレス加圧力によりピアスパンチ22と切欠きパンチ23が下降して、連続素材78の所定部分にピアス穴79Hおよび切欠き部79Kを加工する。せん断加工(振動原因となる。)は終了しているので、高品質のプレス製品を得られる。
【0081】
プレス加工が終了しかつスライド側(1、7)が下死点から上死点に向かう上昇運動に入ると、せん断用原加圧ブロック2も同期上昇する。せん断用原加圧ブロック2(下端面3)が図2に示す位置よりも上昇すると、原動節ピン53の左側端面4による位置拘束が解除されるので、クッション装置37の復帰力の働きでリンクレバー51は支持ピン52を中心に左回転し、図1に示す定位置(初期状態)に戻る。なお、リンクレバー51の復帰用に専用の小型バネを設けて、一層の円滑復帰を促すこともできる。
【0082】
同時的に、ヘッド35(35U)は従動ローラ57(58)に当接する。引き続き、連続素材78の先端がストッパー73に当接するまで、素材送込み手段70により押し込まれる。その後に、スライドが次工程のために再び上死点から下死点に向かう下降運動を開始する。
【0083】
しかるに、本発明によれば、動力伝達機構を駆動源(モータ)で直接駆動するのでなくスライド駆動機構(モーションカーブ)を介して駆動するので、上記した駆動速度(回転速度)が低速度(例えば、1rpm)の場合であっても、せん断加工速度を16spm相当以上の高速せん断加工速度で運転することができる。
【0084】
しかして、この実施の形態によれば、静止部(11)側に下型27とせん断加工部(固定刃・移動刃)30をこの順で配設しかつ増速変換装置(50)を設け、昇降部(1)側にせん断用原加圧部(2)およびプレス用加圧部(7)を設け、増速変換装置を入力された低速原加圧力を高速従加圧力に増速変換可能かつ高速従加圧力を移動刃に出力可能に形成し、昇降部(1)の下降状態において、最初に高速従加圧力を移動刃33に付与して連続素材78の所定部分(プレス加工済部分を含む。)を高速せん断加工して単品素材(製品)79を生産しかつこの後に上型21に低速プレス加圧力を付与して連続素材78の他の所定部分にプレス加工可能に形成されているので、プレス駆動源(スライド下降運動)を用いて高品質・高速せん断加工と低速プレス加工とを順番かつ連続的に行なえる。また、大幅な装置小型化および装置コスト低減を図れる。しかも、格別な従来せん断加工専用装置を設ける場合に比較して、単品素材(ブランク)の回収・搬送作業や、プレス機械へのブランク供給・セット作業を一掃化することができ、かつ仕掛品(ブランク)の大量保有も必要ないから生産コストを飛躍的に低減できる。さらに、高速せん断加工を担保しつつ低速プレス加工を保障できる。連続素材(単品素材)の形態に係る適応性が広い。
【0085】
また、静止部(11)側の下型27を挟む上流側にガイドブロック71が固定されかつ下流側に固定刃32が固定され、かつ両者71,32の素材受面形状が連続素材78の姿勢を一定に安定保持可能な同一形状(異形穴71H,32H)とされているから、異形の連続素材78の姿勢を確実かつ正確に保持できる。よって、低速プレス加工および高速せん断加工を円滑かつ安定して行なえる。
【0086】
また、増速変換装置(50)が、原動節ピン53および従動節ピン56を有しかつ支点ピン52を中心に回動可能なリンクレバー51を含み、せん断用原加圧部(2)からの低速原加圧力を原動節ピン53で受けかつ増速変換後の高速従加圧力を従動節ピン56から出力することができる増速変換リンク機構50から形成されているから、せん断加工速度の大幅な高速・高品質化と装置小型化とを同時に達成でき、プレス機械全体としてのコスト低減も図れる。
【0087】
さらに、上方のせん断加工位置(Pu)と下方の製品排出位置(Pl)とを上下動可能に形成された素材上下移動手段(34、37)と、製品排出位置に保持された単品素材79をシュート77に排出する製品排出手段74とを具備するので、製品を効率的に回収できる。
【0088】
さらにまた、増速変換装置(増速変換リンク機構)50を装置用固定ブロック12にダイセット構造として一体的に組込んであるから、プレス機械の前方(図1で右方向)にせん断加工装置専用の配設場所を必要としていた従来動力伝達機構の場合に比較して、機器設置スペースを大幅に縮小化でき、レイアウト上および取扱い上の煩わしさを軽減できる。
【0089】
また、原動節ピン53(54)とせん断用原加圧ブロック2(3)とが面係合可能に形成されているから、安定した係合状態を担保できかつ原動節ピン53等の変形・磨耗等を軽減できる。
【0090】
さらに、ダイセット構造(17,27、12,50、30、11)であるから、例えば交換セットする新たな金型21,27に最適なせん断加工速度への切替えが容易である。
【0091】
なお、以上の実施の形態では、増速変換装置が、機械的な増速変換リンク機構50から構成された場合について説明したが、構造はこれに限定されず、プレス加工用の駆動源(スライド下降運動)を利用して増速できる他の手段(例えば、受圧面積の異なる複数のシリンダの組合せ構造)から構成しても、本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、連続素材に低速プレス加工を施しかつプレス加工部分を高速せん断加工して単品素材(製品)を生産する場合に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態に係るせん断加工前の状態を説明するための側面図である。
【図2】同じく、せん断加工後の状態を説明するための側面図である。
【図3】同じく、増速変換リンク機構を説明するための正面図である。
【図4】同じく、連続素材および単品素材を説明するための図で、(A)は正面図で、(B)は平面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 上プレート(昇降部)
2 せん断用原加圧ブロック(せん断用原加圧部)
7 プレス用加圧ブロック(プレス用加圧部)
11 プレート(静止部)
20 プレス加工部
21 上型
27 下型
30 せん断加工部
32 固定刃
33 移動刃
34 せん断用従加圧ブロック(せん断用従加圧部)
37 クッション装置(素材上下移動手段)
50 増速変換リンク機構(増速変換装置)
70 素材送込み手段(素材位置決め手段)
71 ガイドブロック
73 ストッパー(素材位置決め手段)
74 製品排出手段
77 シュート
78連続素材
79 単品素材(製品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部側に、連続素材の供給方向の上流側から下流側に向かって下型とせん断加工部をこの順序で配設しかつ増速変換装置を設け、
昇降部側に、増速変換装置の入力側にせん断用原加圧力を付与するせん断用原加圧部および保持した上型にプレス用加圧力を付与するプレス用加圧部を設け、
せん断加工部が、固定刃と移動刃との相対移動により連続素材をせん断可能に形成され、
増速変換装置が、せん断用原加圧部から入力された低速の原加圧力を高速の従加圧力に増速変換可能かつ高速の従加圧力をせん断用従加圧部から移動刃に出力可能に形成され、
昇降部の下降状態において、最初にせん断用従加圧部から出力される高速の従加圧力を移動刃に付与して位置決めされた連続素材の先端側をせん断加工して単品素材を生産可能で、せん断加工後にプレス用加圧部から上型に低速のプレス加圧力を付与しかつ下型との協働により位置決めされた連続素材の所定部分にプレス加工可能に形成されている、プレス機械。
【請求項2】
前記静止部側の前記下型を挟む上流側にガイドブロックを固定しかつその下流側に前記固定刃を固定し、ガイドブロックの素材受面の形状および固定刃の素材受面の形状を前記連続素材の姿勢を一定に安定保持可能な同一形状に形成されている、請求項1記載のプレス機械。
【請求項3】
前記増速変換装置が、原動節ピンおよび従動節ピンを有しかつ支点ピンを中心に回動可能なリンクレバーを含み、前記せん断用原加圧部からの低速の原加圧力を原動節ピンで受けかつ増速変換後の高速の従加圧力を従動節ピンから出力する増速変換リンク機構から形成されている、請求項1または2記載のプレス機械。
【請求項4】
上方のせん断加工位置と下方の製品排出位置とを上下動可能に形成された素材上下移動手段と、製品排出位置に保持された前記単品素材をシュートに排出する製品排出手段とを具備する、請求項1〜3までのいずれか1項に記載されたプレス機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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