説明

プレノプティックカメラ

【課題】プレノプティックカメラで撮影して得られる画像に対して後処理をした場合に、どのような仕上がりの画像を得ることができるのかを、撮影時に提示可能とする。
【解決手段】再構成処理部172は、被写体の奥行き方向の情報も得ることの可能なライトフィールド画像データに対して、所定の再構成パラメータに基づく再構成処理を行い、完成画像を生成する。この完成画像に基づく表示画像が表示部140に表示される。再構成パラメータ設定部160は、再構成処理部172で再構成処理をする際の再構成パラメータとしてとりうる範囲から複数の異なる再構成パラメータを選択して設定する。再構成パラメータ設定部160で設定された複数の異なる再構成パラメータのそれぞれに基づき、再構成処理部172で生成された複数の完成画像に基づく表示画像を表示部140に表示する処理が表示処理部142で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレノプティックカメラ(Plenoptic Camera)で撮像して生成されたライトフィールド画像データを再構成処理して表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プレノプティックカメラでは、カメラの撮影光学系に入射する光線の方向の分布についても記録することにより、被写体に関する三次元の画像情報を含む画像データを記録することができる。ここで、三次元の画像情報とは、通常のカメラで得られる二次元の画像情報に加えて、深度方向の情報が含まれることを意味する。三次元の画像情報を含む画像データを処理して、撮影光学系に入射する光線のうち、任意の方向からのものを抽出して二次元の画像を再構成することにより、例えば任意の撮影距離に位置する被写体にピントの合った画像を生成することが可能となる。
【0003】
比較的小型で一般ユーザにも使いやすいプレノプティックカメラとして、二次元に配列された多数のマイクロレンズによって構成されたマイクロレンズアレイを撮像素子の受光面近傍に配設し、撮影レンズによって形成された被写体像をマイクロレンズアレイで分割し、撮像素子上に導くタイプのものが知られている。
【0004】
このようなプレノプティックカメラで撮影して得られた画像データに基づく画像を当該カメラ上で再生する際に、「リフォーカス」と称される画像生成処理が行われて、撮影範囲内における所望の撮影距離に位置する被写体にピントの合った画像が生成される。このような画像生成処理は、パーソナルコンピュータやオンラインサービス等により行うことも可能である。
【0005】
特許文献1には、プレノプティックカメラで得られた画像データを用い、ユーザによって指定されたフォーカス値に対応した画像生成処理を行って表示用の画像を生成し、表示する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−219878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プレノプティックカメラで得られた画像データを後処理し、所望の被写体にピントの合った画像を生成する場合を例に説明すると、撮影範囲内に写る被写体中、ユーザの指定した任意の被写体に対してピントの合った画像を常に生成できる訳ではない。つまり、プレノプティックカメラで撮影をする際に設定されていた撮影レンズの焦点調節位置(距離)や撮影レンズの被写界深度等に応じて、遠すぎる位置の被写体や近すぎる位置の被写体に対してはピントの合った画像を生成することができない場合がある。
【0008】
したがって、後で処理をしようとしたときに、所望の被写体にピントの合った画像を生成することができない場合がある。つまり、プレノプティックカメラであっても、後からピントの合った画像を得ることができる範囲には制限がある。例えば、手前の花にピントを合わせ、背景をぼかして撮影した方が良いのか、手前の花はぼかして背景にピントを合わせた方が良いのか、撮影者が迷うことがある。プレノプティックカメラで撮影をする場合、後で仮にどちらにもピントが合った画像が得られることが判っていれば、ユーザはピント位置に気を遣うことなく、構図に集中して撮影をすることができる。しかし、上述したように、プレノプティックカメラで撮影した画像であっても後でピントを合わせることが可能な距離範囲には限りがある。したがって、後で所望の画像を確実に得られるようにするためには、撮影者は結局、撮影レンズの焦点調節位置を変えるか、撮影距離を変えるか、撮影レンズの焦点距離を変えるかをしながら複数回の撮影を行う必要を生じる場合がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、プレノプティックカメラで撮影して得られる画像に対して後処理をした場合に、どのような仕上がりの画像を得ることができるのかを、撮影時に提示可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によれば、プレノプティックカメラが、
被写体の奥行き方向の情報も得ることの可能なライトフィールド画像に対して、所定の再構成パラメータに基づく再構成処理を行い、完成画像を生成する再構成処理部と、
画像を表示可能な表示部と、
前記再構成処理部で前記再構成処理をする際の再構成パラメータとしてとりうる範囲から複数の異なる再構成パラメータを選択して設定する再構成パラメータ設定部と、
前記再構成パラメータ設定部で設定された前記複数の異なる再構成パラメータのそれぞれに対応して前記再構成処理部で生成された複数の完成画像に基づく表示画像を前記表示部に表示する処理を行う表示処理部と
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プレノプティックカメラで撮影して得られる画像に対して後処理をした場合に、どのような仕上がりの画像を得ることができるのかを、撮影時に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プレノプティックカメラの光学的構成の一例を概念的に説明する図である。
【図2】プレノプティックカメラの光学的構成の別例を概念的に説明する図である。
【図3】ライトフィールド画像を再構成処理して完成画像を得る際の処理を概念的に説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るプレノプティックカメラの内部構成を説明するブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るプレノプティックカメラで被写体深度を変化させた完成画像を生成して、この完成画像に基づく表示画像を表示部に表示する例を説明する図であり、(a)、(b)はユーザの操作に応じて被写界深度の異なる画像が表示される例を、(c)は被写界深度の異なる複数の画像が表示部上に同時に表示される例を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るプレノプティックカメラで視点を変化させた完成画像を生成して、この完成画像に基づく表示画像を表示部に表示する例を説明する図であり、(a)、(b)はユーザの操作に応じて視点の位置の異なる画像が表示される例を、(c)は視点の位置の異なる複数の画像が表示部上に同時に表示される例を説明する図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るプレノプティックカメラで合焦距離を変化させた完成画像を生成して、この完成画像に基づく表示画像を表示部に表示する例を説明する図であり、(a)、(b)はユーザの操作に応じて合焦距離の異なる画像が表示される例を、(c)は合焦距離の異なる複数の画像が表示部上に同時に表示される例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および図2は、本発明の実施の形態に係るプレノプティックカメラの光学素子の配置例を説明する概念図である。図1と図2とでは、マイクロレンズアレイの、撮影レンズの光軸方向に沿う配置位置が異なる。図1、図2においては、実際の寸法と異なる大きさで各構成要素が描かれている。
【0014】
図1および図2において、マイクロレンズアレイ104は、多数のマイクロレンズが二次元に配列されて構成される。マイクロレンズアレイ104を構成するそれぞれのマイクロレンズは、撮像素子106の受光面上の部分領域へと被写体光を導く。各部分領域は、二次元配列された複数の画素を含む。図1、図2において、撮影レンズ102は一枚のレンズ素子として示されているが、撮影レンズ102は複数枚のレンズ素子から構成されていてもよい。撮影レンズ102は、単焦点レンズであっても、焦点距離を変更可能なレンズであってもよい。撮影レンズ102はまた、固定焦点のものであってもよいが、焦点調節(フォーカシング)が可能に構成されていることが望ましい。図1、図2には、マイクロレンズおよび撮像素子の数は、実際とは異なるものが描かれている。
【0015】
図1は、撮影レンズ102の焦点面(結像面)上に位置するようにマイクロレンズアレイ104が配設され、その後方に撮像素子106が配設される例を示す。ここで、マイクロレンズアレイ104を構成する各マイクロレンズの焦点距離をfとすると、マイクロレンズの主面と撮像素子106の受光面との間の距離がfとなるようにマイクロレンズアレイ104は撮像素子106に対して位置決めされ、固定されている。図1に示されるように、撮影レンズ102からマイクロレンズアレイ104に向かって出射した被写体光は、マイクロレンズアレイ104を構成する各マイクロレンズを通して撮像素子106の受光面上に導かれる。
【0016】
図2は、撮影レンズ102の焦点面(結像面)と、マイクロレンズアレイ104を構成する各マイクロレンズの物点とが一致するようにマイクロレンズアレイ104が配置され、その後方に撮像素子106が配設される例を示す。マイクロレンズの像点と撮像素子106の受光面とが一致するようにマイクロレンズアレイ104が撮像素子106に対して位置決めされる。つまり、マイクロレンズの物体距離をa、像距離をb、焦点距離をfとすると、(1/a)+(1/b)=(1/f)が成立する位置関係に各構成要素は位置決めされる。
【0017】
図1または図2に示される構成により、被写体から出射して撮影レンズ102、マイクロレンズアレイ104を透過して撮像素子106上の各画素に入射する光が、どのような光路を経てきたのかを画素ごとに特定することが可能となる。つまり、従来のカメラにおいては画素ごとに色や輝度の情報を得るところ、プレノプティックカメラにおいては、画素ごとに色や輝度の情報が得られるのに加えて光線の入射方向に関しても情報を得ることができる。撮像素子106は、モノクロ撮像素子であっても、オンチップカラーフィルタが画素上に配設された撮像素子であってもよい。本明細書では、撮像素子106は、ベイヤー配列のオンチップカラーフィルタを備えるものとする。そして、撮像素子106から読み出されてデモザイク処理された画像データを本明細書ではライトフィールド画像と称する。
【0018】
図3は、ライトフィールド画像に再構成の処理をして、通常の画像として表示できるようにする処理手順を概念的に説明する図である。図3においては、図を見やすくするためにすべて正立正像として示す。撮影レンズ102によって一次像PIが形成され、さらにマイクロレンズアレイ104によって撮像素子106の受光面上に二次像SIが形成される。この二次像SIを撮像素子106で撮像し、デモザイク処理が施されてライトフィールド画像LFIが生成される。図3ではライトフィールド画像LFIの一部を抜き出し、拡大したものがライトフィールド画像LFIとして示されている。
【0019】
このライトフィールド画像LFIに対して所定の再構成パラメータに基づく再構成処理が行われ、再構成画像RIが生成される。そして、ライトフィールド画像LFI全体に対して再構成処理を行うことにより、ユーザの所望する完成画像FRIが生成される。完成画像FRIは、表示、印刷等の処理を経てユーザが観視可能となる画像を生成可能なビットマップ画像である。完成画像FRIを生成するための再構成処理をする際に、目的に応じて様々な再構成パラメータを設定することにより、後で詳述するように所望の撮影距離に位置する被写体に合焦した画像、所望の被写界深度、あるいは所望の視点位置からの画像を完成画像FRIとして生成することができる。
【0020】
画像を再構成する処理に際して、ライトフィールド画像LFI中のどの画素位置からの信号を選択するかを決定することにより、被写界からどの光路を経て撮像素子106まで達した光線を選択するかを決定することができる。つまり、ライトフィールド画像LFI中から所望の光路を経て撮像素子106まで達する光線を選択して再構成することにより、例えば特定の撮影距離に位置する被写体の像がより鮮鋭となる画像を生成することが可能となる。
【0021】
また、撮影範囲内の異なる撮影距離に位置する各被写体に対応して、それぞれの被写体の像がより鮮鋭に写る画像を得て、それらを合成することにより、所望の被写界深度の画像を生成することが可能となる。さらに、撮影レンズ102の、F値の大きい部分(開口径の小さい部分)を透過した光線を選択して再構成することにより、より深い被写界深度の画像を得ることも可能となる。
【0022】
また、撮影レンズ102の絞り開口内における一部の領域、すなわちサブ開口領域を設定して、このサブ開口領域を通過する光線に対応する情報をライトフィールド画像から抽出して再構成することにより、特定の視点位置から被写体を撮影したのに相当する画像を得ることができる。例えば、撮影レンズ102の絞り開口よりも小さい円形の領域をサブ開口領域とし、そのサブ開口領域の中心位置を撮影レンズ102の軸外における異なる位置に設定することにより、異なる視点の画像を得ることができる。例えば、撮影レンズ102の絞り開口をカメラ100の後方から見て、サブ開口領域を上側、下側、右側、左側に設定することにより、異なる視点からの画像を得ることが可能となる。視点を移動させることのできる範囲は、撮影レンズ102の絞り開口(射出瞳径)の大きさに依存する。つまり、絞り開口の径が大きいほど、サブ開口領域の位置を大きく変化させることが可能となり、視点を移動可能な範囲が広がることになる。また、設定するサブ開口領域の大きさを、可能な限り小さくすれば、それによって視点移動可能範囲を広げることもできる。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態に係るプレノプティックカメラ100(以下、単にカメラ100と称する)の構成を説明するブロック図である。カメラ100は、撮影レンズ102と、マイクロレンズアレイ104(図4中でマイクロレンズアレイはMLAと表記されている)と、撮像素子106と、アナログ・フロントエンド108(図4中でアナログ・フロントエンドはAFEと表記される)と、レンズ駆動部110とを備える。カメラ100はさらに、CPU122と、記憶部124と、操作部130と、表示部140と、表示処理部142と、トリガ入力部144と、システムバス150と、再構成パラメータ設定部160と、画像処理部170とを備える。画像記録媒体120は、フラッシュメモリカード等で構成され、カメラ100に対して着脱自在に構成される。
【0024】
撮影レンズ102は、カメラ100に固定されるものであっても、カメラ100に対して着脱自在に構成されるものであってもよい。先に説明したように、撮影レンズ102は単焦点レンズであっても、焦点距離可変のレンズであっても、固定焦点のレンズであっても、焦点調節可能なレンズであってもよいが、ここでは撮影レンズ102は焦点調節可能なレンズであるものとする。レンズ駆動部110は、撮影レンズ102内の焦点調節用レンズの動きを制御する。
【0025】
画像記録媒体120には、カメラ100で撮影して得られた画像が記録される。CPU122は、カメラ100の動作を統括的に制御する。記憶部124は、ROM126とRAM128とを含む。ROM126はフラッシュメモリ等で構成され、ファームウェアや、カメラ100に電源が供給されない状態でも保持することの必要なカメラ制御パラメータやステータス情報等が記憶される。RAM128は比較的高速なアクセス速度を有するSDRAM等で構成され、CPU122、画像処理部170の双方からアクセス可能に構成されて、これらCPU122、画像処理部170のワークエリアとして機能する。再構成パラメータ設定部160、トリガ入力部144、表示処理部142は、RAM128にロードされたプログラムをCPU122が実行することにより実現可能である。
【0026】
操作部130は、スライドスイッチ、押しボタンスイッチ、タッチパネル、ダイヤルスイッチ等のいずれか一つまたは複数を含み、ユーザによる操作をCPU122が検出する。そして、ユーザの操作に応じた動作が行われるようにCPU122はカメラ100を制御する。表示部140は、TFTカラー液晶表示装置とバックライト装置等を備えて構成され、カラー画像や文字、アイコン等を表示可能に構成される。表示部140は、有機ELカラー表示パネル等、自発光タイプの表示デバイスで構成されていてもよい。本実施の形態において、表示部140の表面にはタッチパネルが備えられるものとする。
【0027】
撮像素子106は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子のいずれであってもよい。アナログ・フロントエンド108は、撮像素子106から出力されるアナログ画像に増幅、ノイズ低減処理、A/D変換処理等を施してデジタル画像を生成する。本明細書において、撮像素子106はCMOS撮像素子であり、アナログ・フロントエンド108が撮像素子106に内蔵されてデジタル画像を出力可能に構成されるものとする。
【0028】
画像処理部170は、撮像素子106から出力された画像にデモザイク、ホワイトバランス調整、ノイズ低減、彩度・コントラスト調節等の処理をする。画像処理部170はまた、再構成処理部172を備える。再構成処理部172は、デモザイク処理後のライトフィールド画像に対して後述する再構成処理をして完成画像FRIを生成する。表示処理部142は、完成画像FRIに基づく表示画像を生成して表示部140に表示する。表示処理部142はまた、カメラ100が記録モードで動作しているときに、プレビュー画像(ライブビュー画像)やポストビュー画像を表示部140に表示する処理も行う。
【0029】
トリガ入力部144は、以下で説明するトリガを入力すると、再構成処理部172に対して制御信号を発する。この制御信号を再構成処理部172が受信すると、その時点で得られたライトフィールド画像に再構成処理をして完成画像FRIを生成する処理の実行が開始される。
【0030】
トリガ入力部144が入力するトリガとしては、例えば、電源投入されて動作モードが記録モードに切り換えられてから一定の時間が経過した時点で信号を発する不図示のタイマから入力する信号とすることができる。あるいは、カメラ100がプレビュー表示動作をしている状態のときに、ユーザが操作部130を操作したことを検出し、これをトリガとすることができる。ユーザによる操作部130の操作としては、再構成処理して得た最終画像FRIに基づく表示画像を表示する処理の実行を開始するための、タッチパネル、押しボタンスイッチ、ダイヤ類スイッチ等の操作とすることが可能である。あるいは、ポストビュー表示を開始した後、一定時間が経過したときにタイマから信号が発せられるのをトリガとして入力することも可能である。また、ポストビュー表示中に、ユーザが操作部130の操作をしたことを検出し、これをトリガとすることも可能である。
【0031】
再構成パラメータ設定部160は、再構成処理部172で再構成処理をする際の処理内容を特定するパラメータである再構成パラメータを設定する。再構成パラメータ設定部160での再構成パラメータ設定の処理は、後で詳しく説明する。
【0032】
カメラ100は、静止画を撮影可能なものであっても、動画を撮影可能なものであってもよいが、以下ではカメラ100で静止画を撮影する場合を例に動作の説明をする。
【0033】
− 第1の実施の形態 −
以下、本発明第1の実施の形態に係るカメラ100で行われる再構成画像表示の処理について説明する。図5は、カメラ100に備えられる表示部140と、操作部としてのダイヤルスイッチ134およびシーソースイッチ132とを示す図である。これらの表示部140、ダイヤルスイッチ134、シーソースイッチ132は、カメラ100の背面等に設けられる。また、表示部140の表面にはタッチパネルが設けられているものとする。表示部140にはプレビュー画像(ライブビュー画像)、ポストビュー画像、あるいは再構成処理によって生成された完成画像FRIに基づく表示画像と共にGUI表示500等が表示される。本実施の形態においては、スライド式ボリュームを模したGUI表示500が表示画像上になされるものとする。
【0034】
従来のカメラで行われるのと同様のプレビュー表示が行われている状態のときに、ユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132を操作する。このとき、トリガ入力部180は、再構成画像を表示する処理の実行を開始する操作をしたのをトリガとして入力し、再構成処理部172に対して再構成処理の実行を開始するコマンドを発する。再構成処理部172は、コマンド入力時点、あるいはその後に得られたライトフィールド画像に再構成処理を行う。そして、生成された完成画像FRIに基づく表示画像がGUI表示500とともに表示部140に表示される。
【0035】
完成画像FRIは、撮影動作を行って得られたライトフィールド画像に対して再構成処理が行われ、生成されてもよい。その場合、撮影動作後のポストビュー表示が行われているときにユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132、あるいはタッチパネルを操作したのをトリガ入力部180がトリガとして入力する。また、ポストビュー表示を開始した後、一定時間が経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。さらに、ポストビュー表示中にユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132、あるいはタッチパネルを操作したのをトリガ入力部180がトリガとして入力することも可能である。
【0036】
スライドレバー502の表示される部分にユーザが指等を当てて表示部140の上下方向に沿ってスライド(ドラグ)させる操作をすることにより、スライドレバー502の表示位置が上下し、それに伴って再構成パラメータが変化する。図5ではスライドレバー502を上下にスライドする例について示しているが、左右にスライドするものであってもよい。また、ダイヤルスイッチ134を時計回り、反時計回りの方向に回転させたり、シーソースイッチ312を上下方向あるいは左右方向に傾ける操作をしたりするのに応じてスライドレバー502の表示位置が変化し、再構成パラメータも変化するようにしてもよい。その場合、タッチパネルは不要となる。
【0037】
図5では、再構成の処理によって生成される画像の被写界深度を変化させて表示する場合を示している。図5(a)は、スライドレバー502を上側にスライドさせて「浅」の側に位置させたのに応じて被写界深度の浅い画像が表示部140に表示される例を示す。図5(a)において三輪の花FL1、FL2、FL3の画像が表示部140に表示されているものとする。花FL1はカメラ100から比較的近い撮影距離に位置し、花FL3は比較的遠い撮影距離に位置し、花FL2は中間の撮影距離に位置するものとする。以下では花FL1、FL2、FL3の位置する距離を近距離、中距離、遠距離と称する。
【0038】
図5(a)では、近距離に位置する花FL1のみが鮮鋭な像を結び、中距離、遠距離に位置する花FL2、FL3の像はぼけている様子が示される。つまり、被写界深度の浅い画像が表示される。すなわち、ユーザがスライドレバー502を「浅」の側に位置させるのに応じて、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理をして得られる画像の被写界深度が浅くなるように再構成パラメータを設定する。再構成処理部172では、再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づく再構成処理をライトフィールド画像に対して行い、完成画像FRIを生成する。
【0039】
図5(b)は、スライドレバー502を下側にスライドさせて「深」の側に位置させたのに応じて被写界深度の深い画像が表示部140に表示される例を示す。図5(b)では、近距離から遠距離にかけて位置する花FL1、FL2、FL3すべてが鮮鋭な像を結ぶ画像、すなわち被写界深度の深い画像が表示部140に表示される例が示される。ユーザがスライドレバー502を「深」の側に位置させるのに応じて、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理をして得られる画像の被写界深度が深くなるように再構成パラメータを設定する。
【0040】
再構成処理部172では、再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づく再構成処理をライトフィールド画像に対して行う。この場合、再構成処理部172は、近距離に位置する花FL1に焦点の合った画像、中距離に位置する花FL2の焦点の合った画像、遠距離に位置する花FL3に焦点の合った画像を再構成処理により生成する。そして、画像処理部170でこれらの画像を合成する処理を行い、被写界深度の深い完成画像FRIを生成する。あるいは、再構成処理部172において、撮影レンズ102中で絞り径の比較的小さい部分(小絞りの部分)を通過した光線を抽出して再構成する処理をすることによって被写界深度の深い完成画像FRIを生成することも可能である。
【0041】
以上では図5(a)、図5(b)を参照して、ユーザ操作に応じて再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づいて再構成処理部172が再構成の処理を行い、ユーザ操作に対応する完成画像FRIが生成され、表示画像が表示される例について説明したが、以下のように処理をすることも可能である。図5(c)は、被写界深度の異なる複数の画像が表示部140に並べて表示される例を示している。図5(c)では、被写界深度の浅い画像Isと、被写界深度の深い画像Idとが並べて表示される例を示すが、3枚以上の画像が並べて表示されてもよい。このとき、画像の一部が重なるように表示されていてもよく、また、表示される画像の大きさが複数の画像間で異なっていてもよい。また、複数の画像が時間の経過とともに切り換えられて、表示部140に順に表示されるようにしてもよい。
【0042】
図5(c)に例示される表示が行われるにあたり、トリガ入力部180は、ユーザがレリーズスイッチを半押しする操作をしたときにトリガが入力されるようにしてもよいし、ユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132を操作したときトリガが入力されるようにしてもよい。あるいは、ユーザがカメラ100の電源を投入する操作、撮影モードに切り換える操作、半押しをする操作等をしてから所定の時間が経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。さらには、撮影後のポストビュー表示中にユーザの操作が検出された場合や、ポストビュー表示を開始してから一定時間経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。図5(c)に例示される表示が開始されるまでの間、あるいは図5(c)に例示される表示を完了した後は、通常のデジタルカメラで行われるのと同様のプレビュー表示を行うことが可能である。
【0043】
図5(c)を参照して説明した表示が行われる際には、再構成処理部172でライトフィールド画像に対して再構成処理を行う際の再構成パラメータとしてとりうる範囲の両極の値を含めて、複数の再構成パラメータが再構成パラメータ設定部160で設定される。本実施の形態において、再構成処理を行う際の再構成パラメータとしてとりうる範囲の両極の値は、例えば、被写界深度が最も浅くなる再構成パラメータと、被写界深度が最も深くなる再構成パラメータとすることができる。このとき、撮影レンズ102において現状で設定されている焦点調節位置(合焦距離)と、撮影レンズ102の焦点距離および絞り値と、許容錯乱円径(実質ピントが合って見えると見なせる画像の鮮鋭度)とから被写界深度を設定可能である。つまり、許容錯乱円径を最小(0)としたときに被写界深度は最も浅くなり、許容錯乱円径を許容可能な最大の大きさにしたときに被写界深度は最も深くなる。
【0044】
上記再構成パラメータにもとづき、再構成処理部172で再構成の処理が行われて複数枚(複数種類)の完成画像FRIが生成され、それらの完成画像FRIに基づく表示画像が表示部140に同時または順次表示される。その結果、本実施の形態では、被写界深度の最も浅い画像、最も深い画像を少なくとも含む複数の画像が表示される。これらの表示画像を観ることにより、後でどの範囲までピントの合った完成画像FRIを得ることができるのか、作画意図に合う画像を得ることができるのか等をユーザは撮影時時点で直観的に確認することができ、安心して撮影を行うことができる。
【0045】
− 第2の実施の形態 −
図6は、図5に示すものと同様、カメラ100に備えられる表示部140と、ダイヤルスイッチ134およびシーソースイッチ132とを示す図である。表示部140の表面にはタッチパネルが設けられているものとする。表示部140には、ライブビュー画像、ポストビュー画像、あるいは再構成処理によって生成された完成画像FRIに基づく表示画像と共にGUI表示600等が表示される。本実施の形態においてGUI表示600は、視点を移動することが可能な範囲を破線の丸で示し、その範囲内で現在設定されている視点の位置を十字のカーソル602で示している。ここで、表示部140はカメラ100の背面に設けられているものとする。以下の説明において左、右とは、被写体に向かって左、右を意味する。また、上、下とは、天、地に向かう向きを意味する。図6には、再構成の処理によって、視点を変化させた場合の画像が表示部140に表示される様子が示される。視点を変化させた完成画像FRIを得る方法は先に説明したとおりである。つまり、撮影レンズの絞り開口内で、当該絞り開口よりも小さいサブ開口領域の大きさおよび位置を特定し、当該サブ開口領域を通過する光線に対応する情報を前記ライトフィールド画像から抽出して再構成することにより、視点を変化させた画像を得ることが可能となる。
【0046】
従来のカメラで行われるのと同様のプレビュー表示が行われている状態のときに、ユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132を操作する。このとき、トリガ入力部180は、再構成画像を表示する処理の実行を開始する操作をユーザが行ったのをトリガとして入力し、再構成処理部172へ再構成処理の実行を開始するコマンドを発する。再構成処理部172は、コマンド入力時点、あるいはその後に得られたライトフィールド画像に再構成処理を行う。そして、生成された完成画像FRIに基づく表示画像がGUI表示600とともに表示部140に表示される。
【0047】
完成画像FRIは、第1の実施の形態で説明したのと同様に、撮影動作を行って得られたライトフィールド画像に対して再構成処理が行われて生成されても良い。その場合、撮影動作後のポストビュー表示が行われているときにユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132、あるいはタッチパネルを操作したのをトリガ入力部180がトリガとして入力する。また、ポストビュー表示を開始した後、一定時間が経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。
【0048】
カーソル602の表示される部分にユーザが指等を当てて表示部140の上下左右方向に沿ってスライドさせる操作をすることにより、カーソル602の表示位置が破線の丸の範囲内で上下左右に変化し、再構成パラメータも変化する。また、シーソースイッチ312を上下左右のいずれかの方向に傾ける操作をするのに応じてカーソル602の表示位置が変化し、再構成パラメータも変化するようにしてもよい。
【0049】
図6(a)は、カーソル602を右上側にスライドさせたのに応じて、視点を右上に移動したときの画像が表示部140に表示される例を示す。図6においても、図5と同様、近距離に位置する花FL1、中距離に位置する花FL2、遠距離に位置する花FL3が撮影されているものとする。
【0050】
図6(a)では、近距離に位置する花FL1が画面内において相対的に左下に位置がずれて表示される様子が示される。つまり、視点を右上に移動したのに伴い、カメラ100からより近い位置に存在する被写体である花FL1の像が視点移動の影響をより強く受けて、花FL1の像の位置の移動量が他の花FL2、FL3の位置の移動量よりも大きくなる。その結果、図5(b)などにおいて、花FL2の茎や葉のうち、花FL1の影に隠れて見えなくなっていた部分が、図6(a)では見えるようになっている様子が示される。
【0051】
つまり、ユーザがカーソル602を右上側に位置させるのに応じて、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理をして得られる画像が、視点を右上側に移動させたときのものとなるように再構成パラメータを設定する。再構成処理部172では、再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づく再構成処理をライトフィールド画像に対して行い、完成画像FRIを生成する。この完成画像FRIに基づく表示画像が表示部140に表示される例が図6(a)に示されている。
【0052】
図6(b)は、カーソル602を左上側に位置させたのに応じて、視点を左上に移動したときの画像が表示部140に表示される例を示す。ユーザがカーソル602を左上側に位置させるのに応じて、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理をして得られる画像が、視点を左上側に移動させたときのものとなるように再構成パラメータを設定する。再構成処理部172では、再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づく再構成処理をライトフィールド画像に対して行う。この場合、近距離に位置する花FL1が画面内において相対的に右下に位置がずれて表示される様子が示される。つまり、視点を左上に移動したのに伴い、先にも説明したように、カメラ100からより近い位置に存在する被写体である花FL1の像が視点移動の影響をより大きく受けて、花FL1の像の位置の移動量が他の花FL2、FL3の位置の移動量よりも大きくなる。その結果、図6(a)に示されるものと比較して花FL1の位置が右に移動している。
【0053】
以上では図6(a)、図6(b)を参照して、ユーザ操作に応じて再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づいて再構成処理部172が再構成の処理を行い、ユーザ操作に対応する完成画像FRIが生成され、表示画像が表示される例について説明したが、以下のように処理をすることも可能である。図6(c)は、視点の異なる複数の画像が表示部140に並べて表示される例を示している。図6(c)では、視点を右上にずらしたときの画像IUR(Upper Right)、左上にずらしたときの画像IUL(Upper Left)、右下にずらしたときの画像ILR(Lower Right)、左下にずらしたときの画像ILL(Lower Left)が並べて表示されるが、3枚以下の画像や5枚以上の画像が並べて表示されてもよい。このとき、画像の一部が重なるように表示されていてもよく、また、表示される画像の大きさが複数の画像間で異なっていてもよい。また、複数の画像が時間の経過とともに切り換えられて、表示部140に順次表示されるようにしてもよいのも第1の実施の形態と同様である。
【0054】
図6(c)に例示される表示が行われるにあたり、第1の実施の形態で説明したのと同様、トリガ入力部180は、ユーザがレリーズスイッチを半押しする操作をしたときにトリガが入力されるようにしてもよいし、ユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132を操作したときトリガが入力されるようにしてもよい。あるいは、ユーザがカメラ100の電源を投入する操作、撮影モードに切り換える操作、半押しをする操作等をしてから所定の時間が経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。さらには、撮影後のポストビュー表示中にユーザの操作が検出された場合や、ポストビュー表示を開始してから一定時間経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。図6(c)に例示される表示が開始されるまでの間、あるいは図6(c)に例示される表示を完了した後は、通常のデジタルカメラで行われるのと同様のプレビュー表示を行うことが可能である。
【0055】
図6(c)を参照して説明した表示が行われる際には、第1の実施の形態で説明したのと同様、再構成処理部172でライトフィールド画像に対して再構成処理を行う際の再構成パラメータとしてとりうる範囲の両極の値を含めて、複数の再構成パラメータが再構成パラメータ設定部160で設定される。例えば、本例においては、視点の位置が、変更可能範囲内の右端、左端となるのに対応する再構成パラメータを両極の値とすることができる。また、変更可能範囲内の上端、下端や、右上、左下、あるいは左上、右下となるのに対応する再構成パラメータを両極の値とすることも可能である。
【0056】
上記のように設定された再構成パラメータに基づき、再構成処理部172で再構成の処理が行われて複数枚(複数種類)の完成画像FRIが生成され、それらの完成画像FRIに基づく表示画像が表示部140に同時または順次表示される。図6(c)の例では、視点を右上にずらしたときの画像IUR、左上にずらしたときの画像IUL、右下にずらしたときの画像ILR、左下にずらしたときの画像ILLが並べて表示される。これらの表示画像を観ることにより、手前側の被写体によって隠れて見えなかった部分が後の処理で見えるようになるのか否かをユーザは撮影時時点で直観的に確認することができ、安心して撮影を行うことができる。
【0057】
以上、第2の実施の形態では、ライトフィールド画像から視点を変化させた完成画像FRIを生成する例について説明したが、いわゆるステレオ画像を生成することも可能である。つまり、左右方向に視差の設定された一組の画像(ステレオペア)をライトフィールド画像から生成することが可能である。この場合、表示部140は、ユーザが裸眼で立体画像を観視可能に構成されていても、ユーザが眼鏡型のアダプタを装着することにより立体画像を観視可能に構成されていてもよい。そして、再構成パラメータ設定部160で設定される再構成パラメータは、ステレオペアの画像間の視差の量、すなわち、表示される立体画像の奥行き感とすることが可能である。図6(c)を参照して説明したのと同様にして、奥行き感の異なる複数の立体画像が同時または順次表示される場合、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理部172がライトフィールド画像に対して再構成処理を行う際の再構成パラメータとしてとりうる範囲の両極の値を含めて、複数の再構成パラメータを設定する。この場合、再構成パラメータとしてとりうる範囲の両極の値としては、例えば視差量が0(奥行き感0)に対応するものと、視差量が最大(奥行き感が最大)に対応するものとすることができる。視差量が最大に対応するもの、とは、視点を設定することの可能な範囲で一番左および一番右の視点に対応する完成画像FRIのペアを生成するための再構成パラメータとなる。
【0058】
− 第3の実施の形態 −
図7は、図5、図6に示すものと同様、カメラ100に備えられる表示部140と、ダイヤルスイッチ134およびシーソースイッチ132とを示す図である。表示部140の表面にはタッチパネルが設けられているものとする。表示部140には、プレビュー画像、ポストビュー画像、あるいは再構成処理によって生成された完成画像に基づく表示画像と共にGUI表示700等が表示される。本実施の形態においては、スライド式ボリュームを模したGUI表示700がなされるものとする。図7では、合焦位置を変化させたかのような画像を再構成処理によって生成し、表示する場合を示している。
【0059】
従来のカメラで行われるのと同様のプレビュー表示が行われている状態のときに、ユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132を操作する。このとき、トリガ入力部180は、再構成画像を表示する処理の実行を開始する操作をしたのをトリガとして入力し、再構成処理部172に対して再構成処理の実行を開始するコマンドを発する。再構成処理部172は、コマンド入力時点、あるいはその後に得られたライトフィールド画像に再構成処理を行う。そして、生成された完成画像FRIに基づく表示画像がGUI表示700とともに表示部140に表示される。
【0060】
完成画像FRIは、第1の実施の形態で説明したのと同様に、撮影動作を行って得られたライトフィールド画像に対して再構成処理が行われ、生成されても良い。その場合、撮影動作後のポストビュー表示が行われているときにユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132、あるいはタッチパネルを操作したのをトリガ入力部180がトリガとして入力する。また、ポストビュー表示を開始した後、一定時間が経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。
【0061】
スライドレバー702の表示される部分にユーザが指等を当てて表示部140の上下方向に沿ってスライドさせる操作をすることにより、スライドレバー702の表示位置が上下に変化し、再構成パラメータも変化する。図7ではスライドレバー702を上下にスライドする例について示しているが、左右にスライドするものであってもよい。また、シーソースイッチ312を上下方向あるいは左右方向に傾ける操作や、ダイヤルスイッチ134を時計回り、反時計回りいずれかの方向に回す操作をするのに応じてスライドレバー702の表示位置が変化し、再構成パラメータも変化するようにしてもよい。
【0062】
図7(a)は、スライドレバー702を上側にスライドさせて「遠」の側に位置させたのに応じて、撮影範囲内のより遠い位置に存在する被写体の画像がより鮮鋭となるように表示部140に表示される例を示す。本明細書では、再構成処理によって得られる完成画像中で鮮鋭な像が得られる被写体までの、カメラ100からの距離を「合焦距離」と称する。図7においても、図5と同様、近距離に位置する花FL1、中距離に位置する花FL2、遠距離に位置する花FL3が撮影されているものとする。つまり、花FL3の合焦距離は花FL1、FL2の合焦距離よりも長い(遠い)。図7(a)では、遠距離に位置する花FL3の画像がより鮮鋭となるようにライトフィールド画像が再構成されて完成画像FRIが生成され、表示画像が表示される様子が示される。
【0063】
スライドレバー702が「遠」の側に位置するのに対応し、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理をして得られる画像が、合焦距離のより長い(遠い)被写体の像が鮮鋭になるように再構成パラメータを設定する。再構成処理部172は、再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づく再構成処理をライトフィールド画像に対して行い、完成画像FRIを生成する。この完成画像FRIに基づき、図7(a)に例示される表示画像が表示部140に表示される。
【0064】
図7(b)は、ユーザがスライドレバー702を下側にスライドさせて「近」の側に位置させた状態を示しており、合焦距離のより短い(近い)被写体、すなわち花FL1の画像がより鮮鋭となる画像が表示部140に表示される例を示す。ユーザがスライドレバー702を「近」の側に位置させるのに応じて、再構成パラメータ設定部160は、再構成処理をして得られる画像中、合焦距離のより近い被写体の像が鮮鋭となるように再構成パラメータを設定する。再構成処理部172では、再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づく再構成処理をライトフィールド画像に対して行い、花FL1の像が鮮鋭となる完成画像FRIを生成する。この完成画像FRIに基づき、図7(b)に例示される表示画像が表示部140に表示される。以上に説明したスライドレバー702の操作に代えて、あるいはスライドレバー702の操作に加えて、表示部140に表示される画像中、ユーザがタッチパネルに触れて指定した被写体の像が鮮鋭となるように再構成パラメータが設定されてもよい。このとき、ユーザが表示画像中で複数の被写体を指定可能に構成され、指定された複数の被写体の像が全て鮮鋭となるように再構成パラメータが設定されてもよい。
【0065】
以上では図7(a)、図7(b)を参照し、ユーザ操作に応じて再構成パラメータ設定部160で設定された再構成パラメータに基づいて再構成処理部172が再構成の処理を行い、ユーザ操作に対応する完成画像FRIを生成して、対応する表示画像が表示される例について説明したが、以下のように処理をすることも可能である。図7(c)は、異なる合焦距離の被写体に対応して鮮鋭な像を結ぶ複数の画像が表示部140に並べて表示される例を示している。図7(c)では、合焦距離の近い被写体である花FL1に対して鮮鋭な像を結ぶ画像Inと、合焦距離の遠い被写体である花FL3に対して鮮鋭な像を結ぶ画像Ifとが並べて表示される例を示すが、第1の実施の形態で図5を参照して説明したのと同様、3枚以上の画像が並べて表示されてもよい。このとき、画像の一部が重なるように表示されていてもよく、また、表示される画像の大きさが複数の画像間で異なっていてもよい。また、複数の画像が時間の経過とともに切り換えられて、表示部140に順次表示されるようにしてもよい。
【0066】
図7(c)に例示される表示が行われるにあたり、第1の実施の形態で説明したのと同様、トリガ入力部180は、ユーザがレリーズスイッチを半押しする操作をしたときにトリガが入力されるようにしてもよいし、ユーザがダイヤルスイッチ134やシーソースイッチ132を操作したときトリガが入力されるようにしてもよい。あるいは、ユーザがカメラ100の電源を投入する操作、撮影モードに切り換える操作、半押しをする操作等をしてから所定の時間が経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。さらには、撮影後のポストビュー表示中にユーザの操作が検出された場合や、ポストビュー表示を開始してから一定時間経過したときにタイマから発せられる信号をトリガ入力部180が入力してもよい。図7(c)に例示される表示が開始されるまでの間、あるいは図7(c)に例示される表示を完了した後は、通常のデジタルカメラで行われるのと同様のプレビュー表示を行うことが可能である。
【0067】
図7(c)を参照して説明した表示が行われる際には、第1の実施の形態で説明したのと同様、再構成処理部172でライトフィールド画像に対して再構成処理を行う際の再構成パラメータとしてとりうる範囲の両極の値を含めて、複数の再構成パラメータが再構成パラメータ設定部160で設定される。例えば、本例においては、合焦距離が、変更可能範囲内の最短、最長となるのに対応する再構成パラメータを両極の値とすることができる。このとき、撮影レンズ102において現状で設定されている焦点調節位置(合焦距離)と、撮影レンズ102の焦点距離および絞り値と、許容錯乱円径(実質ピントが合って見えると見なせる画像の鮮鋭度)とから被写界深度を求め、そこから最短、最長の合焦距離を設定することが可能である。
【0068】
上記のように設定された再構成パラメータに基づき、再構成処理部172で再構成の処理が行われて複数枚(複数種類)の完成画像FRIが生成され、それらの完成画像FRIに基づく表示画像が表示部140に同時または順次表示される。図7(c)の例では、合焦距離が最短、最長の場合に対応する画像が並べて表示される。これらの表示画像を観ることにより、鮮鋭な像を得ることのできる合焦距離の範囲をユーザは撮影時時点で直観的に確認することができ、安心して撮影を行うことができる。また、合焦距離を少しずつ変化させた複数の画像を動画風に順次表示することにより、情感のあふれる画像を再生表示することも可能となり、カメラ100を使用する上での新たな楽しみをユーザにもたらす事が可能となる。
【0069】
以上、第1から第3の実施の形態によって静止画のライトフィールド画像に対して再構成の処理を行い、表示を行う例について説明したが、動画像に対して同様の処理を行うことも可能である。
【0070】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ等の製品に適用可能である。
【0071】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0072】
また、上記実施形態からは種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであればこの構成要件が削除された構成もまた発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0073】
100 … プレノプティックカメラ (カメラ)
102 … 撮影レンズ
104 … マイクロレンズアレイ
106 … 撮像素子
108 … アナログ・フロントエンド (AFE)
110 … レンズ駆動部
120 … 画像記録媒体
122 … CPU
124 … 記憶部
130 … 操作部
132 … シーソースイッチ
134 … ダイヤルスイッチ
140 … 表示部
150 … システムバス
160 … 再構成パラメータ設定部
170 … 画像処理部
172 … 再構成処理部
500、600、700 … GUI表示
502、702 … スライドレバー
602 … カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の奥行き方向の情報も得ることの可能なライトフィールド画像に対して、所定の再構成パラメータに基づく再構成処理を行い、完成画像を生成する再構成処理部と、
画像を表示可能な表示部と、
前記再構成処理部で前記再構成処理をする際の再構成パラメータとしてとりうる範囲から複数の異なる再構成パラメータを選択して設定する再構成パラメータ設定部と、
前記再構成パラメータ設定部で設定された前記複数の異なる再構成パラメータのそれぞれに対応して前記再構成処理部で生成された複数の完成画像に基づく表示画像を前記表示部に表示する処理を行う表示処理部と
を備えることを特徴とするプレノプティックカメラ。
【請求項2】
前記再構成パラメータ設定部は、前記再構成処理部で前記再構成処理をする際の再構成パラメータとしてとりうる範囲内の両極の値を含めて、前記複数の異なる再構成パラメータを選択して設定することを特徴とする請求項1に記載のプレノプティックカメラ。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記再構成処理部で生成された複数の完成画像に基づく表示画像を、前記表示部に同時に表示することを特徴とする請求項1または2に記載のプレノプティックカメラ。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記再構成処理部で生成された複数の完成画像に基づく表示画像を、時間の経過とともに順次切り換えながら前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または2に記載のプレノプティックカメラ。
【請求項5】
前記再構成処理部で生成される完成画像は、特定の被写界深度内に位置する被写体の像がより鮮鋭に見えるようにした画像であり、
前記再構成パラメータは、前記被写界深度を変化させるためのパラメータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のプレノプティックカメラ。
【請求項6】
前記再構成処理部で生成される完成画像は、撮影レンズの絞り開口内で、当該絞り開口よりも小さいサブ開口領域の大きさおよび位置を特定して、当該サブ開口領域を通過する光線に対応する情報を前記ライトフィールド画像から抽出して再構成することにより得られる、特定視点位置の画像であり、
前記再構成パラメータは、前記特定視点位置を変化させるためのパラメータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のプレノプティックカメラ。
【請求項7】
前記再構成処理部で生成される完成画像は、特定の撮影距離に位置する被写体の像がより鮮鋭に見えるようにした画像であり、
前記再構成パラメータは、前記特定の撮影距離を変化させるためのパラメータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のプレノプティックカメラ。
【請求項8】
前記再構成処理部における前記再構成処理を開始する契機となるトリガを入力するトリガ入力部をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のプレノプティックカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110556(P2013−110556A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253641(P2011−253641)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】