説明

プロジェクタ型車両用前照灯ユニット

【課題】 各部品間の光学的位置関係を精度良く設定することができると共に、部品点数の削減をも図ることができ、かつ優れた放熱効果を得ること。
【解決手段】 リフレクタ2は、凸レンズ6の光軸Zの上側に配設される上部ケーシング11の後部内側に、回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として前部および下部を開放して内側に形成される第1反射面3aを有して有して構成される。上部ケーシング11に結合される下部ケーシング12は、前部に凸レンズ6の下側部分を支持する下部レンズホルダ8を有し、後部にLED1を固着する光源取付ベース9を有し、かつ光源取付ベース9を含む下面に放熱手段20を有して、全体がダイカストにより一体形成されて構成されている。下部ケーシング12は、その全体が伝熱構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプハウジング内に、1個あるいは複数個を組み付けることによりヘッドランプを構成することができる、LED(発光ダイオード)を光源として用いたプロジェクタ型車両用前照灯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、この種のプロジェクタ型車両用前照灯ユニット100を示す(例えば、特許文献1参照)。このユニット100は、凹面鏡として形成されるリフレクタ50と、このリフレクタ50の第1焦点の近傍に設けられる光源バルブ51と、光源バルブ51から出射してリフレクタ50で反射された光束をほぼ平行な光束に調光して灯具前方に出射する凸レンズ52とを備えて大略構成されている。
【0003】
詳しくは、ユニット100は、光源バルブ51と凸レンズ52との間にシェード53が設けられており、このシェード53によりすれ違い用のビームとして好適なカットラインを有する配光パターンを得ることができる。
【0004】
光源バルブ51は、そのフィラメントをリフレクタ50の第1焦点に位置させると共に、その電気接続部を筒状開口部50aに嵌着して取り付けられている。リフレクタ50の開放端にはフレーム54が取り付けられており、フレーム54には凸レンズ52が固着されると共に、シェード53を支承している。
【0005】
さらにユニット100は、図11に示すように、リフレクタ50の光源バルブ51の装着用の筒状開口部50aに直近の上方に換気用の透孔50bが、同じく直近の下方に換気用の透孔50cがそれぞれ設けられている。
【0006】
そしてユニット100は、点灯時光源バルブ51の周辺が高温になるが、その熱はこれら透孔50b、50c間で生じる熱対流により放熱されるので、光源バルブ51の周辺の昇温が抑制される。
【特許文献1】実願平4−76322号(実開平6−41010号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このプロジェクタ型車両用前照灯ユニット100は、例えば、リフレクタ50がアルミ蒸着板、樹脂、あるいは鉄板で形成されており、凸レンズ52がガラスで形成されており、シェード53がアルミ蒸着板、あるいは鉄板で形成されており、フレーム54がアルミ蒸着板で形成されている。
【0008】
このように、ユニット100は、各部品に使われている材料が異なるため、各部品を別々に作り、これら複数の部品を組み付ける必要があるが、精度を必要としている光軸方向の各部品間の光学的位置関係が、アッシ(Assy)バラツキや部品寸法バラツキにより、設計値通りになりぬくく、ひいては配光性能についてのバラツキが大きくなる、という課題を有している。
【0009】
また、ユニット100は、部品点数が多く、これにより部品管理が煩雑で、組み付け工数も増大し、ひいてはコスト高を招く、という課題を有している。
【0010】
さらには、ユニット100は、リフレクタ50の中央部付近に換気用の透孔50b、50cが設けられていることに起因して反射性能が低下し、ひいては配光パターン中央部のホットゾーンの照度が低下する、という課題をも有している。
【0011】
そこで、本発明は、各部品間の光学的位置関係を精度良く設定することができると共に、部品点数の削減をも図ることができ、かつ優れた放熱効果により換気用の透孔を不要にすることによりリフレクタの反射性能を最大限発揮して配光パターンのホットゾーンの充分な照度を得ることが可能なプロジェクタ型車両用灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した目的を達成するため、請求項1記載の発明は、光源としてのLEDの光をリフレクタで反射させた後、凸レンズを介して前方へ出射させるようにしたプロジェクタ型車両用前照灯ユニットであって、
前記リフレクタは、前記凸レンズの光軸の上側に配設される上部ケーシングの後部内側に、回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として前部および下部を開放して形成される第1反射面を有して構成されており、
前記上部ケーシングに結合される下部ケーシングは、前部に前記凸レンズの下側部分を支持する下部レンズホルダを有すると共に、後部に前記LEDを固着する光源取付ベースを有し、かつ前記光源取付ベースを含む下面に放熱手段を有して、全体がダイカストにより一体形成されて構成されており、
前記LEDは、その発光部を前記第1反射面に対向させて前記光源取付ベースに固着されていることを特徴とする。
【0013】
このため、請求項1記載の発明では、LEDの光は、上部ケーシングの後部側に形成されるリフレクタの第1反射面に向かって出射し、第1反射面で反射されて第1反射面の第2焦点付近に集束した後凸レンズに達し、凸レンズを介して前方に適宜の配光パターンを投影する。
【0014】
また、下部ケーシングは、前部に凸レンズを支持する下部レンズホルダを有すると共に、後部にLEDを固着する光源取付ベースを有し、かつ光源取付ベースを含む下面に放熱手段を有して、全体がダイカストにより一体形成されて構成されるので、光学的に位置関係の重要な凸レンズ、およびLEDの相対的な位置を精度良く設定することができる。
【0015】
また、下部ケーシングは、全体がダイカストにより一体形成されているので、その全体が伝熱構造となっている。
【0016】
そして下部ケーシングには、光源取付ベースおよび放熱手段がダイカストにより一体形成されているので、光源取付ベースにLEDを固着することにより、LEDから放出される熱エネルギーは、下部ケーシングの全体に伝熱されると共に、その大部分が放熱手段により外方へ放出される。
【0017】
また、下部ケーシングには、下部レンズホルダがダイカストにより一体形成されているので、LEDから放出される熱エネルギーは、凸レンズの支持部位である下部ケーシングの先端部分にも伝熱し、かつ放出される。
【0018】
また、この下部ケーシングの放熱作用により、従来必要とした換気用の透孔を主リフレクタに形成することを不要にすることができ、これにより主リフレクタの反射性能を最大限発揮することができる。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットであって、
前記上部ケーシングは、前部に前記凸レンズの上側部分を支持する上部レンズホルダを有して、全体が樹脂により一体形成されて構成されていることを特徴とする。
【0020】
このため、請求項2記載の発明では、上部ケーシングは、前部に凸レンズを支持する上部レンズホルダを有して、全体が樹脂により一体形成されて構成されると共に下部ケーシングに結合されるので、光学的に位置関係の重要な凸レンズ、LED、および第1反射面の相対的な位置を精度良く設定することができる。
【0021】
また、LEDは、樹脂製の上部ケーシングで覆われることになるので、太陽の直射光を避けることができる。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットであって、
該前照灯ユニットは、前記凸レンズの光軸に沿う前記放熱手段よりも前側部分を介してランプハウジングに取り付けられることを特徴とする。
【0023】
このため、請求項3記載の発明では、前照灯ユニットは、放熱手段の設置部位がランプハウジングへの取付部位よりも後方に位置するように取り付けられる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明によれば、下部レンズホルダ、光源取付ベース、放熱手段、および副リフレクタを含む全体が、ダイカストにより一体形成されて下部ケーシングを構成しているので、凸レンズ、LED、第2反射面、およびシェードの各部品間の光学的位置関係を精度良く設定することができるので、高度の光学的品質を有する前照灯ユニットを安定して得ることができると共に、部品点数の削減をも図ることができ、かつ下部ケーシングの全体が伝熱構造となって優れた放熱効果を奏することができる。
【0025】
また、請求項1記載の発明によれば、下部ケーシングの優れた放熱効果により主リフレクタに換気用の透孔を設ける必要がないので、主リフレクタの反射性能を最大限発揮することができるので、得られる配光パターン中のホットゾーンは充分な照度を得ることができる。
【0026】
さらに、請求項1記載の発明によれば、LEDから放出される熱エネルギーは、凸レンズの支持部位である下部ケーシングの先端部分にも伝熱し、かつ放出されるので、寒冷地における前照灯のアウターレンズが凍るのを防止できる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、主リフレクタ、および上部レンズホルダを含む全体が樹脂により一体形成されて、下部ケーシングに結合される上部ケーシングを構成しているので、光学的に位置関係の重要な凸レンズ、LED、第2反射面、シェード、および第1反射面の相対的な位置を精度良く設定することができ、これにより請求項1記載の発明の効果に加えて、高度の光学的品質を有する前照灯ユニットを一層安定して得ることができる。
【0028】
また、請求項2記載の発明によれば、LEDは、樹脂製の上部ケーシングで覆われることになるので、太陽の直射光(特に夏期における)を避けることができ、これによりLEDの耐久性を向上させることができる。
【0029】
請求項3記載の発明によれば、前照灯ユニットは、放熱手段の設置部位がランプハウジングへの取付部位よりも後方に位置するように取り付けられるので、取付後は放熱手段により重心が後方寄りとなり、これにより請求項1または2記載の発明の効果に加えて、耐振動性能の向上した取付構造を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1〜図4は、本発明の第1実施形態としてのプロジェクタ型車両用前照灯ユニット10を示す。このユニット10は、光源としてのLED1の光をリフレクタ2で反射させた後、凸レンズ6を介して前方へ出射させるように大略構成されている。
【0032】
このときリフレクタ2は、凸レンズ6の光軸Zの後部の上側に設けられ回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として前部および下部を開放して内側に形成される第1反射面3aを有してなる主リフレクタ3と、凸レンズ6とLED1の中間に配設され凸レンズ6の光軸Zに沿う略平坦状の第2反射面5を有するシェード機能を備えた副リフレクタ4とから構成されている。
【0033】
また、副リフレクタ4は、前部に凸レンズ6の下側部分を支持する下部レンズホルダ8を有すると共に、後部にLED1を固着する光源取付ベース9を有し、かつ光源取付ベース9を含む下面に放熱手段20を有して、全体がダイカストにより一体形成されて下側ケーシング12を構成している。
【0034】
また、LED1は、その発光部1aを第1反射面3aに対向させて光源取付ベース9に固着されている。
【0035】
本実施形態では、主リフレクタ3は、図3に示すように、第1反射面3aを2個交差状に並設して構成されている。
【0036】
すなわち、2個の第1反射面3a、3aは、第1反射面3aの第1焦点F1、F1同士を凸レンズ6の有効径R(図2参照)の範囲内で光軸Zを中心に左右方向に相互に離反させると共に、第1反射面3aの第2焦点F2、F2同士を2個の第1焦点F1、F1の内側の第2反射面5上に略合致するように相互に漸近させることによって交差状に並設されている(図3(a)、(b)参照)。図3(a)、(b)、(c)中、2点鎖線で示す楕円は、第1反射面3aを構成する回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面を示しており、X1、X2は、各第1反射面3aの第1焦点F1および第2焦点F2を通る2本の反射面基準軸である。
【0037】
また、主リフレクタ3は、好ましくは本実施形態のように、前部に凸レンズ6の上側部分を支持する上部レンズホルダ7を有して、全体が樹脂により一体形成されて、下部ケーシング12に結合される上部ケーシング11を構成している。
【0038】
すなわち、主リフレクタ3は、その前部開口部に、下部開放の略半円形断面の上部レンズホルダ7を延設して、全体を上部ケーシング11として構成されている。上部ケーシング11は、その前端が凸レンズ6の外周に沿う半円形状に形成されており、前端の頂部に、円周に沿う長孔状の上部係合孔11aが穿設されており、全体が樹脂材で一体形成されている。上部ケーシング11は、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂材を用いて一体に形成されると共に、内面に反射機能を備える塗膜あるいは蒸着を施して全体構成されている。
【0039】
また、下部ケーシング12は、副リフレクタ4と、副リフレクタ4の前部に延設される下部レンズホルダ8と、副リフレクタ4の後部に延設される光源取付ベース9と、副リフレクタ4および光源取付ベース9の下面に設けられる放熱手段20とを備え、全体がダイカストにより一体形成されている。
【0040】
このとき副リフレクタ4は、メリジオナル像面に沿って形成される前端エッジ部4aと、この前端エッジ部4aから後部側に延設される第2反射面5とを有して構成されている。第2反射面5は、凸レンズ6の光軸Zに沿って形成される中央段部5cと、該中央段部5cの両側に形成される高位反射面5aおよび低位反射面5bとを有して形成されている(図3(b)参照)。
【0041】
また、下部レンズホルダ8は、上部開放の略半円形断面を有して副リフレクタ4の前端エッジ部4aに延設されると共に、その前端が凸レンズ6の外周に沿う半円形状に形成されており、前端の谷部に、円周に沿う長孔状の下部係合孔12aが穿設されている(図1参照)。
【0042】
また、光源取付ベース9は、副リフレクタ4の後端部に第2反射面5より低位の取付面を有して後部方向に延設されている。
【0043】
またLEDは、その発光部1aを第1反射面3aに対向させて2個の第1反射面3aの各第1焦点F1位置付近にそれぞれ配置されて光源取付ベース9に固着される2個のLED1、1で構成されている。LED1は、図4に示すように、星形の金属プレート15に固着されてサブアッシされており、金属プレート15を光源取付ベース9にねじ13で結合することにより、その発光部1aを第1反射面3aに対向させて第1反射面3aの第1焦点F1位置付近に取り付けられる。図4中、符号14は4本のリード線で、内2本がLED1のリード線で、他の2本が冷却素子用である。
【0044】
また、凸レンズ6は、アクリル樹脂等の透明熱可塑性樹脂材を用いて、外周に設けた薄肉のフランジ部6aの上部および下部に、それぞれ上部係合突条6bおよび下部係合突条6cを備えて両凸の非球面形状に形成されている。
【0045】
そして、凸レンズ6は、その上部および下部係合突条6bおよび6cをそれぞれ上部および下部係合孔11aおよび12aに係合させると共に、上部および下部ケーシング11および12同士をねじ(図8中のねじ18参照)等の結合手段を用いて結合することによりケーシングに一体的に取り付けられる。この取付状態における凸レンズ6は、そのレンズ焦点RFを各第1反射面3aの第2焦点F2同士の交点付近に位置させて取り付けられている(図3(a)、(b)参照)。
【0046】
このように構成されたプロジェクタ型車両用前照灯ユニット10は、ランプハウジング内に、1個あるいは複数個を組み付けることにより前照灯を構成することができる。
【0047】
すなわち、ユニット10によれば、図3に示すように、2個のLED1、1の各光L1は、それぞれ対応する主リフレクタ3の各第1反射面3a、3aに向かって出射し、各第1反射面3a、3aで反射されて副リフレクタ4の第2反射面5上の第2焦点F2、F2同士を合致させてなる交点付近に集束すると共に、第2反射面5で反射されあるいはそのまま凸レンズ6に達し、凸レンズ6を介して前方に適宜の配光パターンを投影する。このとき得られる配光パターンPを図5に示す。
【0048】
配光パターンPは、光量が2倍で、充分な照度のホットゾーンHを有しており、かつ第2反射面5の前端エッジ部4aの形状により、カットラインCLを有するすれ違いビームに適したものとなる。
【0049】
また、ユニット10によれば、下部レンズホルダ8、光源取付ベース9、放熱手段20、および副リフレクタ4を含む全体が、ダイカストにより一体形成されて下部ケーシング12を構成しているので、凸レンズ6、LED1、第2反射面5、およびシェード(副リフレクタ4)の各部品間の光学的位置関係を精度良く設定することができるので、高度の光学的品質を有する前照灯ユニットを安定して得ることができると共に、部品点数の削減をも図ることができ、かつ下部ケーシング12の全体が伝熱構造となって優れた放熱効果を奏することができる。
【0050】
また、ユニット10によれば、下部ケーシング12の優れた放熱効果により主リフレクタ3に換気用の透孔を設ける必要がないので、主リフレクタ3の反射性能を最大限発揮することができるので、得られる配光パターンP中のホットゾーンHは充分な照度を得ることができる。
【0051】
また、ユニット10によれば、個々のLED1に点灯時の色ムラがあったとしても、ユニット単位では、2個のLED1、1の総合した光となるので、前記色ムラを軽減させることができ、これによりLED1の点灯時の色ムラの現出を解消して点灯時の見栄えの向上を図ることができる。
【0052】
さらに、ユニット10によれば、主リフレクタ3、および上部レンズホルダ11を含む全体が樹脂により一体形成されて、下部ケーシング12に結合される上部ケーシング11を構成しているので、光学的に位置関係の重要な凸レンズ6、LED1、第2反射面5、シェード(副リフレクタ4)、および第1反射面3aの相対的な位置を精度良く設定することができ、これにより高度の光学的品質を有する前照灯ユニットを一層安定して得ることができる。
【0053】
またさらに、ユニット10によれば、LED1は、樹脂製の上部ケーシング11で覆われることになるので、太陽の直射光(特に夏期における)を避けることができ、これによりLED1の耐久性を向上させることができる。
【0054】
図6〜図8は、ユニット10を複数個組み込んで構成した前照灯Aを示す。この前照灯Aは、5個のユニット10A、10B、10C、10D、10Eをランプハウジング30内に組み込んで大略構成されている。組み込まれるユニット10A〜10Eは、所望の配光パターンを得るために光源取付ベース9上の2個のLED1、1の固着位置、および第2反射面5の前端エッジ部4aの形状を多少異にするだけで、凸レンズ6、上部ケーシング11、下部ケーシング12、および放熱手段等の基本的な構成はユニット10と同様に構成されている。
【0055】
ランプハウジング30は、前部を開口したケーシング22と、ケーシング22の開口部を覆うアウターレンズ21とから構成されている。そして、複数個のユニット10A〜10Eは、取付具23を介してケーシング22に固着されることによってランプハウジング30内に組み込まれている。
【0056】
このとき、取付具23は、図外の2個のアジャストスクリュウとピボット構造とにより、複数個のユニット10A〜10Eの全体を上下左右に光軸調整可能にケーシング22に支持されている。なお、図6中、符号26、27は、それぞれクリアランスランプ、フロントターンランプである。
【0057】
また、ユニット10A〜10Eは、総じて前照灯機能を奏するように構成されるもので、その取付位置によって、例えば次の配光パターンが得られるように設計される。
【0058】
図9は、その配光パターンで、(a)は水平拡散タイプ(第1配光パターン)、(b)は集光フラットタイプ(第2配光パターン)、(c)はすれ違いビームのカットオフラインを有する水平拡散タイプ(第3配光パターン)、(d)はすれ違いビームのカットオフラインを有する集光フラットタイプ(第4配光パターン)をそれぞれ示す。
【0059】
そして、例えば、ユニット10A〜10E中、ユニット10A、10Dは、第3配光パターン(図9(c)参照)が得られるように設計され、ユニット10B、10Cは、第4配光パターン(図9(d)参照)が得られるように設計され、ユニット10Eは、第1配光パターン(図9(a)参照)が得られるように設計される。これにより車両用灯具Aは、総じてすれ違いビームに適した配光パターン(図示せず)を奏することができる。
【0060】
このように組み付けられたユニット10A〜10Eによれば、LED1、1から放出される熱エネルギーは、凸レンズ6の支持部位である下部ケーシング12の先端部分にも伝熱し、かつ放出されるので、寒冷地における前照灯Aのアウターレンズ21が凍るのを防止できる。
【0061】
また、ユニット10A〜10Eは、凸レンズ6の光軸Zに沿う放熱手段20よりも前側部分を介してランプハウジング30に取り付けられる。すなわち、ユニット10A〜10Eは、図8に示すように、下部ケーシング12の下部レンズホルダ8を取付具23にねじ25により固着することによって取り付けられている。
【0062】
このようにユニット10A〜10Eは、放熱手段20がランプハウジング30への取付部位(ねじ25による固着部位)よりも後方に位置するように取り付けられるので、取付後は放熱手段20により重心が後方寄りとなり、これにより耐振動性能の向上した取付構造を得ることができる。
【0063】
また、ユニット10A〜10Eの各々は、2個のLED1、1を組み込むことにより構成されるものであるから、個々のLED1の占める面積を、1個組み込みのものに比べて少なくすることができ、これにより前照灯Aの全体のコンパクト化を図ることができる。
【0064】
また、前述したユニット10(10A〜10E)は、2個の第1反射面3a、3aを交差状に並設してなる主リフレクタ3と、2個のLED1、1を備えて構成されたものであるが、本発明は、それに限定されるものではなく、1個あるいは3個以上の第1反射面3aからなる主リフレクタと、第1反射面3aの設置個数に応じた個数のLEDを備えて構成されたユニットも含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態としてのプロジェクタ型車両用前照灯ユニットの分解斜視図である。
【図2】図1のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットの組立状態の斜視図である。
【図3】図1のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットの光路説明図で、(a)は平面視、(b)は上部ケーシングを取り除いた状態の平面視、(c)は上部ケーシングを取り除いた状態の側面視による。
【図4】図1のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットの要部斜視図である。
【図5】図1のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットのが奏する配光パターンを示すグラフである。
【図6】図1のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットを組み込んだ前照灯の正面図である。
【図7】図6の前照灯のVII−VII線に沿う概略断面図である。
【図8】図6の前照灯の各ユニットの取付状態を説明するための分解説明図である。
【図9】図6の前照灯に組み込まれる各ユニットの配光パターンで、(a)は水平拡散タイプ、(b)は集光フラットタイプ、(c)はカットラインを有するすれ違いビーム用水平拡散タイプ、(d)はカットラインを有するすれ違いビーム用集光フラットタイプをそれぞれ示す。
【図10】従来のプロジェクタ型車両用灯具の中央従断面図である。
【図11】図10のプロジェクタ型車両用灯具に適用されたリフィレクタの正面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 LED
1a 発光部(LEDの)
2 リフレクタ
3 主リフレクタ
3a 第1反射面
4 副リフレクタ
5 第2反射面
6 凸レンズ
7 上部レンズホルダ
8 下部レンズホルダ
9 光源取付ベース
10 ユニット(プロジェクタ型車両用前照灯ユニット)
11 上部ケーシング
12 下部ケーシング
20 放熱手段
Z 光軸(凸レンズの)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としてのLEDの光をリフレクタで反射させた後、凸レンズを介して前方へ出射させるようにしたプロジェクタ型車両用前照灯ユニットであって、
前記リフレクタは、前記凸レンズの光軸の上側に配設される上部ケーシングの後部内側に、回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として前部および下部を開放して形成される第1反射面を有して構成されており、
前記上部ケーシングに結合される下部ケーシングは、前部に前記凸レンズの下側部分を支持する下部レンズホルダを有すると共に、後部に前記LEDを固着する光源取付ベースを有し、かつ前記光源取付ベースを含む下面に放熱手段を有して、全体がダイカストにより一体形成されて構成されており、
前記LEDは、その発光部を前記第1反射面に対向させて前記光源取付ベースに固着されていることを特徴とするプロジェクタ型車両用前照灯ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットであって、
前記上部ケーシングは、前部に前記凸レンズの上側部分を支持する上部レンズホルダを有して、全体が樹脂により一体形成されて構成されていることを特徴とするプロジェクタ型車両用前照灯ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯ユニットであって、
該前照灯ユニットは、前記凸レンズの光軸に沿う前記放熱手段よりも前側部分を介してランプハウジングに取り付けられることを特徴とするプロジェクタ型車両用前照灯ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−114275(P2006−114275A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298811(P2004−298811)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】