説明

ヘッドランプ

【課題】安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることのできるヘッドランプを提供すること。
【解決手段】シェードを共に回動可能な第1シェード21と第2シェード41とにより形成する。第1シェード21は、それぞれに独立して作動可能なプランジャが形成された2つのソレノイド80により回動する。第1ソレノイド81の第1プランジャ82が伸びた場合には第1シェード21が回動し、第2ソレノイド85の第2プランジャ86が伸びた場合には第2シェード41が回動する。これにより、シェードが回動してない状態、第1シェード21のみが回動している状態、第1シェード21と第2シェード41とが回動している状態の3種類のシェードの状態を形成することができ、3種類の配光パターンを作りだすことができる。この結果、安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプに関するものである。特に、この発明は、製作コストが安価であり、また、ロービームとハイビームとを正確に切り替えることができるプロジェクタタイプのヘッドランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプロジェクタタイプのヘッドランプでは、リフレクタの反射面で反射した光源からの光の一部をシェードで遮蔽することにより、所望の配光パターンを得ている。このため、1つのヘッドランプですれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとを照射する場合には、ソレノイド等によってシェードを動かすことにより、配光パターンを変化させている。しかし、ソレノイド等の切り替え手段のみでシェードを動かすと、シェードの位置精度が低下する虞がある。シェードを動かした際の精度がこのように低い場合には、配光パターンが設計通りの配光パターンにならない虞があり、この場合、このヘッドランプから照射される光は眩光となる虞があった。そこで、従来のヘッドランプでは、ソレノイド等の切り替え手段と、他のシェード作動部材とを併用しているものがある。例えば、特許文献1では、シェードの切り替え手段となるソレノイドと、バネ部材とによってシェードの位置を切り替えている。これにより、シェードを動かした際の位置精度が向上するため、配光パターンの精度を向上させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−59311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成のヘッドランプでは、配光パターンは最大で2種類となってしまう。このため、上記のような構成のヘッドランプで3種類以上の配光パターンが必要な場合には、3位置で停止するソレノイドを用いるか、或いは複数のヘッドランプが必要となっていた。しかし、3位置で停止するソレノイドを用いた場合には、ソレノイドの構造が複雑なため高価になり易く、ヘッドランプを複数用いる場合には、部品点数が増加して高価になり易い。これらのため、容易に3種類以上の配光パターンを得ることは困難なものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることのできるヘッドランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るヘッドランプは、光源と、楕円を基調とする反射面を有するリフレクタと、前記反射面で反射した前記光源からの光の一部を遮蔽することによりそれぞれ異なる配光パターンを形成する複数のシェードと、を有するプロジェクタタイプのヘッドランプにおいて、前記複数のシェードは第1シェードと第2シェードと、からなり、前記第1シェードは、前記第1シェードを第1シェード第1位置と第1シェード第2位置とに切り替える第1駆動手段によって作動可能に形成されており、前記第2シェードは、前記第2シェードを第2シェード第1位置と第2シェード第2位置とに切り替える第2駆動手段によって作動可能に形成されており、前記第1駆動手段と前記第2駆動手段とは、それぞれ独立して作動可能に設けられており、前記配光パターンは、前記第1シェードが前記第1シェード第1位置に位置すると共に前記第2シェードが前記第2シェード第1位置にいる際にはすれ違い用配光パターンとなり、前記第1シェードが前記第1シェード第2位置に位置すると共に前記第2シェードが前記第2シェード第1位置にいる際には高速走行用配光パターンとなり、前記第1シェードが前記第1シェード第2位置に位置すると共に前記第2シェードが前記第2シェード第2位置にいる際には走行用配光パターンとなることを特徴とする。
【0007】
この発明では、シェードを第1シェードと第2シェードとにより形成し、第1シェードは第1駆動手段によって2つの位置に切り替えられ、第2シェードは第2駆動手段によって2つの位置に切り替えられるように形成されている。このように、第1シェードと第2シェードとを、それぞれ2つの位置に切り替えられるように形成することにより、第1シェードと第2シェードの位置関係の兼ね合いによってすれ違い配光パターン、高速走行用配光パターン、走行用配光パターンの3種類の配光パターンを形成することができる。このように、第1シェードを第1駆動手段で作動させ、第2シェードを第2駆動手段で作動させることにより3種類の配光パターンを形成することができるので、3位置で停止するソレノイドや複数のヘッドランプを用いることなく3種類の配光パターンを形成できる。この結果、安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることができる。また、第1駆動手段は第1シェードのみを作動させ、第2駆動手段は第2シェードのみを作動させるため、これらの第1駆動手段と第2駆動手段の出力は、それぞれ1つのシェードを作動させるだけの出力があればよい。このため、第1駆動手段と第2駆動手段は、共に小型化や軽量化を図ることができる。この結果、ヘッドランプの小型化や軽量化を図ることができる。さらに、第1シェードと第2シェードの重量が同程度の場合には、第1駆動手段と第2駆動手段とは、同じものを用いることができ、その周辺の部品も共通部品を用いることができる。この結果、より確実に製造コストを低減することができる。
【0008】
また、この発明に係るヘッドランプは、前記第1シェードは、回動することにより前記第1シェード第1位置と前記第1シェード第2位置とに切り替えられるように形成されており、前記第2シェードは、回動することにより前記第2シェード第1位置と前記第2シェード第2位置とに切り替えられるように形成されており、前記第1シェードと前記第2シェードとは、同一の回転軸を中心とし、且つ、それぞれ独立して回動可能に形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明では、第1シェード及び第2シェードを、それぞれ回動することにより位置を切り替えられるように形成し、さらに、第1シェードと第2シェードとが同一の回転軸を中心として回動するので、回動する際の相対的な位置精度を向上させることができる。また、第1シェードと第2シェードとは、それぞれ独立して回動可能に形成されているので、他のシェードが回動する際に受ける影響を低減でき、シェードが回動する際の精度の向上を図ることができる。この結果、精度の高い配光パターンで照射できる。
【0010】
また、この発明に係るヘッドランプは、前記第1シェードと前記第2シェードとに対して前記回転軸を中心とする回動方向に付勢力を与えると共に、前記第1シェードと前記第2シェードとに対して前記回転軸の軸方向に付勢力を与える付勢手段と、前記第1シェードの、前記付勢手段によって前記回転軸の軸方向に付勢力が与えられている方向の動きを規制する第1シェード規制部と、前記第2シェードの、前記付勢手段によって前記回転軸の軸方向に付勢力が与えられている方向の動きを規制する第2シェード規制部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明では、第1シェードと第2シェードとが、共に付勢手段によって前記回転軸の軸方向に付勢力を与えられており、さらに、それぞれこの付勢力が与えられている方向の動きを第1シェード規制部或いは第2シェード規制部によって規制されている。このため、回転軸の軸方向のガタが抑制され、より正確な配光パターンを形成することができる。さらに、第1シェードと第2シェードとの、前記回転軸の軸方向の付勢を、当該第1シェード及び第2シェードに対して回動方向に付勢力を与える付勢手段によって行っている。これにより、第1シェードと第2シェードとに対して回転軸の軸方向に付勢力を与える際に、独立した付勢手段を設ける必要がなくなる。これらの結果、安価な製造コストで精度の高い配光パターンで照射できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるヘッドランプは、安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明にかかるヘッドランプの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、以下の説明は、本発明のヘッドランプを備えた自動車の前方、後方、左側、右側、上側、下側を、ヘッドランプにおいても前方、後方、左側、右側、上側、下側として説明する。またさらに、以下の説明では、左側通行の道路で走行をする自動車に装備されるヘッドランプについて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るヘッドランプの断面図である。同図に示すヘッドランプ1は、リフレクタ10と、光源としての放電バルブ13と、リフレクタ10の前方に設けられ、リフレクタ10からの反射光を所定の方向に照射する集光レンズ15と、放電バルブ13と集光レンズ15との間に位置する第1シェード21及び第2シェード41と、これらを一体に固定するフレーム16とから形成されている。また、第1シェード21と第2シェード41とは、共に回動可能にシェードフレーム70に取り付けられており、さらに、シェードフレーム70には駆動手段となるソレノイド80が第1シェード21及び第2シェード41の下方に固定されており、シェードフレーム70は、前記フレーム16に固定されている。
【0015】
前記リフレクタ10の内面には、アルミ蒸着等によって反射面11が形成されている。また、当該リフレクタ10の後端付近には前記放電バルブ13用の挿通孔12が形成されており、放電バルブ13は挿通孔12より挿通してリフレクタ10に固定する。また、この放電バルブ13には、電源(図示省略)と電気的に接続されているバルブソケット(図示省略)が接続される。
【0016】
前記反射面11の形状は、中心線(光軸)5上に第1焦点F1及び第2焦点F2の2つの焦点を有し、前記中心線5を中心軸とする回転楕円を基調とする形状の一部となっている。前記放電バルブ13の発光部14は、前記第1焦点F1付近に位置する。前記第2焦点F2付近には、第2シェード41が後述する第2シェード第1位置に位置している状態では第2シェード41の上端付近が位置し、このように第2シェード41が第2シェード第1位置に位置している場合には、前後方向における第2シェード41の位置は第2焦点F2とほぼ同じ位置となっている。この第1焦点F1及び第2焦点F2は、当該反射面11の形状を決める基準である光学基準点となっている。
【0017】
また、前記第1シェード21は、前部第1シェード22と後部第1シェード23とから形成されており、前記第1シェード21が後述する第1シェード第1位置に位置している状態では、当該第1シェード21は、上記のように第2シェード第1位置に位置している第2シェード41の近傍で、前部第1シェード22が第2シェード41の前方側、後部第1シェード23が第2シェード41の後方側に位置している。即ち、第2シェード41は、前後方向において前部第1シェード22と後部第1シェード23との間に位置している。
【0018】
前記リフレクタ10の前方にはフレーム16が設けられており、その前端、つまり第2焦点F2の前方には集光レンズ15が設けられている。また、集光レンズ15は非球面レンズであって透明の物質、例えばガラス等から形成されている。その形状は、ほぼ円形の凸レンズ状の形状となっており、凸側の面を前方に向けて設けられている。
【0019】
図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図2のB−B矢視図である。図4は、第1シェード、第2シェード及びソレノイドの斜視図である。前記第1シェード21は、上述したように前部第1シェード22と後部第1シェード23とから形成されており、前部第1シェード22と後部第1シェード23とは、共に略矩形の板状の形状で形成され、左右方向における両端部の下方付近で接続されている。その際に、前部第1シェード22と後部第1シェード23とは、双方の間に空間を有して接続されている。前記第2シェード41も同様に略矩形の板状の形状で形成されており、当該第2シェード41は、前部第1シェード22と後部第1シェード23との間の空間に位置するように設けられている。
【0020】
また、前記シェードフレーム70には、回転軸90が固定されており、第1シェード21及び第2シェード41は回転軸90に対して回動可能に取り付けされている。詳細には、回転軸90は、当該ヘッドランプ1における左右方向に渡る向きでシェードフレーム70に固定されている。また、前記第1シェード21には、当該第1シェード21の下方付近に、第1シェード押部27が形成されている。この第1シェード押部27は、板状の形状で前方に突出し、上下方向に板の平面が向く向きで形成されており、下方側の面は付勢面28として形成されている。
【0021】
同様に、前記第2シェード41には、当該第2シェード41の下方付近に、第2シェード押部44が形成されている。この第2シェード押部44は、板状の形状で前方に突出し、上下方向に板の平面が向く向きで形成されており、下方側の面は付勢面45として形成されている。これらのように形成される第1シェード押部27と第2シェード押部44とは、左右方向における位置が異なった位置に形成される。つまり、第1シェード21或いは第2シェード41の左右方向における中央付近の左側方向と右側方向とに分かれて、第1シェード押部27と第2シェード押部44とは形成されている。
【0022】
また、前記第2シェード41は、前記前部第1シェード22と前記後部第1シェード23との間に位置しているため、第2シェード41の前方には前部第1シェード22が位置している。このため、前部第1シェード22の左右方向における前記第2シェード押部44が形成されている側の下方部分には、上方に向けて切り欠かれた切欠部25が形成されており、第2シェード押部44は、この切欠部25付近から前方に向けて形成されている。このように、第1シェード21或いは第2シェード41から前方に突出して形成される第1シェード押部27と第2シェード押部44とは、上下方向における位置、及び前後方向におけるそれぞれの前端部分の位置が、ほぼ同じ位置になるように形成されている。
【0023】
前記第1シェード押部27の上方に面している側の面には、第1シェード軸受部24が形成されている。この第1シェード軸受部24は、第1シェード押部27の上方に面している側の面の2箇所に形成され、左右方向の両端付近に位置している。同様に、第2シェード押部44には2箇所に第2シェード軸受部42が形成されており、第2シェード軸受部42は、第2シェード押部44の上方に面している側の面の、左右方向における両端付近に位置している。
【0024】
また、これらの第1シェード軸受部24と第2シェード軸受部42とには、それぞれに回転軸90よりも若干大きい孔(図示省略)が形成されている。この孔は、左右方向に貫通する方向に開けられており、上記のように前部第1シェード22と後部第1シェード23との間に第2シェード41が位置する状態では、上下方向及び前後方向がほぼ同じ位置になるように形成されている。これにより、前記回転軸90は、第1シェード軸受部24と第2シェード軸受部42の双方の孔を貫通することができ、この回転軸90は、この双方の孔を貫通している。また、シェードフレーム70は、左右方向の両端部が前方に向けて折り曲げられた側壁部71を有しており、回転軸90は、この側壁部71間に位置し、側壁部71に当該回転軸90の両端部が固定されることによってシェードフレーム70に固定されている。これにより、第1シェード21と第2シェード41とは、回転軸90を回転中心としてシェードフレーム70に対して回動可能に取り付けられている。
【0025】
また、シェードフレーム70には、前記第1シェード21及び第2シェード41の左右方向における両端にシェード規制部74が形成されている。つまり、シェード規制部74は2箇所に設けられており、この2箇所のシェード規制部74は、第1シェード21及び第2シェード41の左右方向における幅よりも若干広い間隔を有している。このシェード規制部74は、上述したように第1シェード軸受部24及び第2シェード軸受部42の孔に回転軸90を通し、この回転軸90の両端部をシェードフレーム70の側壁部71に固定した際に、第1シェード21及び第2シェード41の左右方向における両端に位置するように設けられている。これにより、第1シェード21及び第2シェード41は、回転軸90の軸方向、或いは左右方向の動きが規制され、同方向における位置が規制されている。
【0026】
また、左右方向における前記第1シェード押部27と前記第2シェード押部44との間には、シェード用バネ60が設けられている。このシェード用バネ60は、シェードフレーム70の左右方向の中央付近で、前方に突出したバネ固定部73によって固定されており、シェード用バネ60の固定部63がバネ固定部73に固定されることによって固定されている。
【0027】
前記第1シェード押部27及び前記第2シェード押部44の下方には前記ソレノイド80が設けられており、ソレノイド80は第1駆動手段となる第1ソレノイド81と第2駆動手段となる第2ソレノイド85とが設けられている。このうち、第1ソレノイド81は第1シェード押部27の下方に設けられており、第2シェード押部44の下方には、第2ソレノイド85が設けられている。これらの第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とは、共に前記シェードフレーム70に固定されている。また、第1ソレノイド81は、第1作動部となる第1プランジャ82を有しており、第1プランジャ82は第1ソレノイド81の上方に突出し、上下方向に伸縮可能に設けられている。同様に、第2ソレノイド85は、第2作動部となる第2プランジャ86を有しており、第2プランジャ86は第2ソレノイド85の上方に突出し、上下方向に伸縮可能に設けられている。
【0028】
これらの第1ソレノイド81及び第2ソレノイド85は、ほぼ同じ大きさで形成されており、第1プランジャ82と第2プランジャ86の上下方向のストロークは、ほぼ同程度のストロークとなっている。また、第1ソレノイド81と第2ソレノイド85は、第1プランジャ82と第2プランジャ86とが共に縮んだ状態では、双方の先端部分の上下方向の位置が同じ位置になるように設けられている。さらに、第1ソレノイド81は、第1プランジャ82が上方に伸びると、その先端部分が第1シェード押部27の付勢面28に接触し、当該付勢面28に対して付勢力を与えるように形成されており、第2ソレノイド85は、第2プランジャ86が上方に伸びると、その先端部分が第2シェード押部44の付勢面45に接触し、当該付勢面45に対して付勢力を与えるように形成されている。
【0029】
図5は、シェード用バネの取り付け詳細図である。前記シェード用バネ60は、前記固定部63の上方で、且つ、左右方向の2箇所には、コイル状の形状で形成されたコイル部64が形成されている。つまり、2箇所のコイル部64は、これらの間の下方に位置する固定部63によって接続されておいる。また、2箇所のコイル部64からは、それぞれ回動方向付勢部65が、左右方向の外方に向けて形成されている。このように形成されるシェード用バネ60は、上述したようにシェード用バネ60の固定部63がシェードフレーム70に設けられたバネ固定部73に固定されており、このバネ固定部73の上方に位置するコイル部64の中には、前記回転軸90が通っている。また、2箇所のコイル部64は、前記第1シェード押部27と第2シェード押部44との間に位置しており、コイル部64から左右方向の外方に向けて形成された前記回動方向付勢部65は、第1シェード押部27及び第2シェード押部44の上面に位置している。この回動方向付勢部65は、第1シェード21の上端部分、或いは第2シェード41の上端部分が前方に傾く方向の回動方向に、第1シェード押部27或いは第2シェード押部44に対して付勢力を与えている。また、前記コイル部64は2箇所に形成されているので、それぞれのコイル部64に形成された回動方向付勢部65は、第1シェード押部27或いは第2シェード押部44に対してそれぞれ独立して付勢力を与えている。
【0030】
また、前記コイル部64は、第1シェード押部27と第2シェード押部44との間に位置しているが、2箇所のコイル部64は、それぞれ第1シェード押部27或いは第2シェード押部44の内側部分、つまり、第1シェード押部27の第2シェード押部44側の端部と、第2シェード押部44の第1シェード押部27側の端部に接触している。このように形成されるコイル部64は、前記回転軸90の軸方向の長さが縮まるようにして第1シェード押部27或いは第2シェード押部44に接触している。このため、コイル部64は、第1シェード押部27及び第2シェード押部44に対して回転軸90の軸方向、つまり、左右方向に広がる方向に付勢力を与えており、コイル部64の、第1シェード押部27或いは第2シェード押部44に接触している部分は、軸方向付勢部66として形成されている。即ち、第1シェード押部27と第2シェード押部44とは、シェード用バネ60の軸方向付勢部66によって左右方向に広がる方向に付勢力を与えられており、この付勢力により、第1シェード21及び第2シェード41には、回転軸90の軸方向、或いは左右方向における外方への付勢力が与えられている。
【0031】
このように、左右方向に付勢力が与えられている第1シェード21及び第2シェード41の左右方向における端部には、前記シェード規制部74が設けられており、左右方向への付勢力が与えられた第1シェード21或いは第2シェード41の端部がシェード規制部74に当接することにより、第1シェード21及び第2シェード41の左右方向の動きは規制されている。詳細には、シェード用バネ60の左右方向の付勢力によって、左右方向において第1シェード21が移動する方向に位置しているシェード規制部74は第1シェード規制部75として形成されており、同様に、シェード用バネ60の左右方向の付勢力によって、左右方向において第2シェード41が移動する方向に位置しているシェード規制部74は第2シェード規制部76として形成されている(図3参照)。シェード用バネ60によって左右方向の付勢力が与えられた第1シェード21の端部が第1シェード規制部75に当接することにより、第1シェード21の左右方向の動きは規制され、シェード用バネ60によって左右方向の付勢力が与えられた第2シェード41の端部が第2シェード規制部76に当接することにより、第2シェード41の左右方向の動きは規制される。
【0032】
図6は、図2のC部詳細図である。前記第1シェード21の上端部分には、当該ヘッドランプ1を点灯した際に、後述するすれ違い用配光パターン100のカットオフライン101を形成するすれ違い用エッジ31が設けられており、第2シェード41の上端部分には、当該ヘッドランプ1を点灯した際に、後述する高速走行用配光パターン110のカットオフライン111を形成する高速走行用エッジ51が設けられている。また、前記すれ違い用エッジ31は、前部第1シェード22と後部第1シェード23に同形状で形成されている。このすれ違い用エッジ31は、左右方向における中心部付近を境として上下方向の高さが異なっており、自動車の左側方向に位置する部分の方が右側方向に位置する部分よりも高さが高くなっている。換言すると、走行車線側に位置している走行車線側すれ違い用エッジ32は、対向車線側に位置している対向車線側すれ違い用エッジ33よりも、上方に位置している。このように上下方向に段差を有している走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33とは、すれ違い用エッジ31の左右方向の中央付近に位置し、走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との間で斜め方向に形成されるすれ違い用エッジ傾斜部34によって接続されている。
【0033】
また、第2シェード41の上端部分に設けられている高速走行用エッジ51もすれ違い用エッジ31と同様に、左右方向における中心部付近を境として上下方向の高さが異なっており、自動車の左側方向に位置する部分の方が右側方向に位置する部分よりも高さが高くなっている。換言すると、走行車線側に位置している走行車線側高速走行用エッジ52は、対向車線側に位置している対向車線側高速走行用エッジ53よりも、上方に位置しており、走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53とは、高速走行用エッジ51の左右方向の中央付近に位置して斜め方向に形成される高速走行用エッジ傾斜部54によって接続されている。また、走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53との段差は、走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との段差よりも小さくなっている。
【0034】
この実施例にかかるヘッドランプ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。前記ヘッドランプ1ですれ違い用ビームを照射する際には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82及び第2ソレノイド85の第2プランジャ86が、共に縮むようにソレノイド80を作動させる。第1ソレノイド81の第1プランジャ82と前記第2ソレノイド85の第2プランジャ86とが共に縮んでいる状態では、上述したように第1プランジャ82と第2プランジャ86は、先端部分の上下方向の位置が同じ位置になるように形成されている。
【0035】
図7は、図2のD−D断面図であり、すれ違い用ビームの照射時の状態を示す図である。また、前記第1シェード21と第2シェード41とは、共にシェード用バネ60によって上述した回動方向に付勢力が与えられている。このため、第1シェード21はすれ違い用エッジ31が上部に位置し、第2シェード41は高速走行用エッジ51が上部に位置し、第1シェード21及び第2シェード41のそれぞれの形状である板が、共に上下方向に沿って形成され、ほぼ平行に並んだ状態になる。第1シェード21のこの状態は第1シェード第1位置となり、第2シェード41のこの状態は第2シェード第1位置となる。この状態は、第1ソレノイド81の第1プランジャ82及び第2ソレノイド85の第2プランジャ86は、共に縮んだ状態となっている。この状態では、第1プランジャ82は、第1シェード21に形成される前記第1シェード押部27の付勢面28に対して付勢力を与えないで接しているか、付勢面28からは離れている。同様に、第2プランジャ86は、第2シェード41に形成される前記第2シェード押部44の付勢面45に対して付勢力を与えないで接しているか、付勢面45からは離れている。さらに、この状態の第2シェード41は、上端部分に位置する高速走行用エッジ51が前記第2焦点F2上、或いは第2焦点F2近傍に位置し、第1シェード21は、上端部分に位置するすれ違い用エッジ31が第2焦点F2の前方及び後方に位置している(図1参照)。
【0036】
また、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置し、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置している状態では、第1シェード21に形成されるすれ違い用エッジ31は、全て第2シェード41に形成される高速走行用エッジ51よりも上方に位置する(図6参照)。この状態で、当該ヘッドランプ1を点灯すると、まず、前記放電バルブ13内の発光部14が点灯をする。発光部14が点灯をすると、発光部14からの光のうちの一部の光は前記リフレクタ10の反射面11方向に向かい、当該反射面11によって反射される。反射面11の形状は、第1焦点F1と第2焦点F2とを光学基準点とする回転楕円を基調とした形状の一部で形成されているため、第1焦点F1付近に位置している前記発光部14からの光が反射面11で反射した場合には、反射したこの光は第2焦点F2の方向に向かう。
【0037】
また、反射面11は上記のように回転楕円を基調として形成されているため、反射面11で反射した光は、第2焦点F2で交差する。例えば、反射面11の上半側の部分で反射した光は下部方向に向けて反射され、反射面11の下半側の部分で反射した光は上部方向に向けて反射されるため、これらの光のうち反射後に第2焦点F2の方向に向かう光は、第2焦点F2を通過する際に交差する。これにより、第2焦点F2通過後は、反射面11の上半側の部分で反射した光は下部の方向に進み、反射面11の下半側の部分で反射した光は上部の方向に進む。
【0038】
ここで、第2焦点F2近傍には第2シェード41が設けられており、さらにその前方及び後方には第1シェード21が設けられている。また、第1シェード21及び第2シェード41は上端部分にすれ違い用エッジ31或いは高速走行用エッジ51が設けられており、このすれ違い用エッジ31や高速走行用エッジ51が第2焦点F2付近に位置しているため、第1シェード21と第2シェード41の大部分は第2焦点F2の下方に位置している。このため、反射面11の下半側の部分で反射した光は、この第1シェード21或いは第2シェード41で遮られる。
【0039】
上記のように反射面11で反射した光のうちの一部を第1シェード21或いは第2シェード41で遮る際には、前記すれ違い用エッジ31が上記のように高速走行用エッジ51よりも上方にあるため、前記反射面11で反射した光は、当該光が遮られる部分との境界部がすれ違い用エッジ31の形状に沿った形状となって遮られる。その際に、すれ違い用エッジ31は、第2焦点F2よりも若干前方及び後方に位置しているため、その境界部は若干ぼやけた状態となる。また、第1シェード21は、第2焦点F2の前後に位置する前部第1シェード22と後部第1シェード23とにより形成され、すれ違い用エッジ31は前部第1シェード22と後部第1シェード23との双方に設けられているので、第1シェード21での遮光は、色消しの作用を有する。このため、第1シェード21で遮光した光の境界部への着色が抑制される。
【0040】
前記反射面11で反射した光はこのように遮られた後、前記集光レンズ15の方向に向かう。前記反射面11で反射した光は、前記第2焦点F2までは集光しながら当該第2焦点F2まで進み、第2焦点F2を通過後は拡散しながら前記集光レンズ15の方向に進む。そして集光レンズ15に到達し、集光レンズ15を透過する際にこれらの光は向きを変えられ、略平行な光となって前方を照射する。
【0041】
図8は、すれ違い用ビームの配光パターンを示す図である。前記反射面11で反射した光は、前記第1シェード21や第2シェード41が無い部分のみの光が前記集光レンズ15に向かい、集光レンズ15から前方に照射されるため、この前方に照射される照射光は、前記第1シェード21や第2シェード41の形状と逆の形状で照射される。また、この照射光は、上記のようにすれ違い用エッジ31の形状で遮光されているため、照射光は第1シェード21の形状の逆の形状で照射される。即ち、照射光は自動車前方の上下方向の中心であるH−H線よりも概ね下方を照射するので、配光パターンはH−H線よりも概ね下方となり、自動車の左側、即ち、走行車線側のみ、H−H線よりも若干上方を照射する。照射光がこの範囲に照射されることにより、当該ヘッドランプ1の照射光はすれ違い用ビームとなるので、配光パターンはすれ違い用配光パターン100となる。
【0042】
このすれ違い用配光パターン100の上部の形状、つまりカットオフライン101は、カットオフライン101の右側部分である対向車線側水平カットオフライン102が、カットオフライン101の左側部分である走行車線側水平カットオフライン103よりも低く形成されている。また、走行車線側水平カットオフライン103は、H−H線よりも若干上方に位置している。このように上下方向の段差を有する走行車線側水平カットオフライン103と対向車線側水平カットオフライン102とは、これらの間に位置し、斜め方向に傾いて形成される傾斜カットオフライン104によってつながれている。この傾斜カットオフライン104は、前記すれ違い用エッジ傾斜部34に対応している。また、この傾斜カットオフライン104は、自動車前方の左右方向の中心であるV−V線上に位置している。
【0043】
前記ヘッドランプ1ですれ違い用ビームを照射する場合には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82と第2ソレノイド85の第2プランジャ86との双方を縮め、第1シェード21を第1シェード第1位置に位置させ、第2シェード41を第2シェード第1位置に位置させることにより、配光パターンは上記のようなすれ違い用配光パターン100となる。また、このすれ違い用配光パターン100のカットオフライン101は、上記すれ違い用エッジ31による光の遮蔽が、境界部が若干ぼやけた状態で遮蔽するため、当該カットオフライン101も若干ぼやけた状態となる。また、前部第1シェード22と後部第1シェード23とによって色消しがなされているので、カットオフライン101への着色は抑制されている。
【0044】
このようなすれ違い用配光パターン100では、V−V線よりも左側がH−H線よりも若干上方を照射し、右側はH−H線よりも下方側に離れているので、V−V線よりも右側のH−H線付近にはすれ違い用ビームが照射されない。右側レーンが対向車線であった場合でも、すれ違い用配光パターン100では、上下方向における中央付近の対向車線側には、このようにすれ違い用ビームは照射されないので、右側レーンを走行する対向車の運転席付近には照射せず、対向車に対して眩光とはならない。また、すれ違い用配光パターン100は、走行車線側水平カットオフライン103のみがH−H線よりも若干上方を照射しているため、先行車のドアミラーを照射することがなく、すれ違い用ビームは先行車に対して眩光とはならない。
【0045】
図9は、図2のD−D断面図であり、高速走行用ビームの照射時の状態を示す図である。前記ヘッドランプ1で高速走行用ビームを照射する際には、第2ソレノイド85は作動させずに、第1ソレノイド81のみを作動させて、第1プランジャ82のみを上方に伸ばす。これにより、第1シェード21に設けられている第1シェード押部27は、第1プランジャ82によって付勢面28が上方に押され、第1シェード押部27に、第1シェード21が後方に傾く方向の回動方向の付勢力が与えられる。第1シェード押部27に対して、この方向の付勢力が与えられた場合には、第1シェード21は、前記回転軸90を中心として上記のように第1シェード21が後方に傾く方向に回動する。この回動は、第1プランジャ82が伸びきるまで回動し、第1プランジャ82が伸びきると、第1シェード21には、第1プランジャ82の付勢力による回動方向と反対方向に、前記シェード用バネ60の回動方向付勢部65によって付勢力が与えられているため、第1プランジャ82が伸びきった時点で第1シェード21の回動は停止する。
【0046】
また、このように第1ソレノイド81が作動することにより第1シェード21が回動する場合でも、第1シェード21は前記シェード用バネ60によって左右方向に付勢力が与えられており、第1シェード21は、この付勢力の方向に位置する第1シェード規制部75によって付勢力の方向への動きが規制されている(図3参照)。このため、第1シェード21は、回動した場合でも左右方向、つまり、回転軸90の軸方向に動いたり、ガタついたりすることなく回動する。
【0047】
また、当該ヘッドランプ1で高速走行用ビームを照射する場合には、第2ソレノイド85は作動させない状態、即ち、第2プランジャ86は縮んだ状態となっており、第1シェード21と第2シェード41とは、それぞれ独立して回動可能に形成されているため、第2シェード41はすれ違い用ビーム照射時の状態から変化しない。このため、第2シェード41の上端部分に位置する高速走行用エッジ51は、第2焦点F2上、或いは第2焦点F2近傍に位置している。
【0048】
また、上述したように、第1シェード21が回動して第1シェード21が後方に傾くと、第1シェード21の上端部分、即ち、すれ違い用エッジ31は上下方向における高さが変化し、すれ違い用エッジ31は下方に移動する。第1シェード21のこの状態は、第1シェード第2位置となる。また、第1ソレノイド81のみを作動させて第1プランジャ82のみを上方に伸ばした場合には、第2シェード41は回動しないため、第2シェード41は第2シェード第1位置に位置する。
【0049】
図10は、図2のC部詳細図であり、高速走行用ビームの照射時の状態を示す図である。この状態の第1シェード21の詳細な位置は、すれ違い用エッジ31の全ての部分が、高速走行用エッジ51よりも下方に位置している。具体的には、第1シェード21の走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との段差は、第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53との段差よりも大きいので、第1シェード21の走行車線側すれ違い用エッジ32を第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52よりも下方に位置させることにより、すれ違い用エッジ31の全ての部分は、高速走行用エッジ51よりも下方に位置する。このように第1シェード21が第1シェード第2位置に位置し、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置した場合の第2シェード41の対向車線側高速走行用エッジ53は、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合の当該第1シェード21の対向車線側すれ違い用エッジ33の位置と上下方向における位置が、ほぼ同一となっている。
【0050】
また、第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52と対向車線側高速走行用エッジ53との段差は、第1シェード21の走行車線側すれ違い用エッジ32と対向車線側すれ違い用エッジ33との段差よりも小さいので、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合の走行車線側すれ違い用エッジ32の上下方向における位置よりも、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置し、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置した場合の第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52の方が下方に位置している。これらにより、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置した状態で、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置した場合と、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置した場合とを比較すると、シェード上部の対向車線側の部分は、第1シェード21の対向車線側すれ違い用エッジ33、或いは第2シェード41の対向車線側高速走行用エッジ53が、ほぼ同じ高さで位置している。
【0051】
これに対し、シェード上部の走行車線側の部分は、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合の走行車線側すれ違い用エッジ32よりも、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置した場合の第2シェード41の走行車線側高速走行用エッジ52の方が下方に位置する。つまり、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置した場合には、概ねシェード上部の走行車線側の部分のみが、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置した場合と比較して下方に位置することになる。
【0052】
図11は、高速走行用ビームの配光パターンを示す図である。前記放電バルブ13が点灯し、発光部14で照射された光は、前記反射面11で反射して上記のように第2焦点F2の方向に向かい、この方向に向かった光のうち、前記反射面11の下半側の部分で反射した光は、第2シェード41或いは第1シェード21で遮られる。その際、前記すれ違い用エッジ31は全ての部分が前記高速走行用エッジ51よりも下側に位置しているため、前記反射面11で反射した光は、当該光が遮られる部分との境界部が高速走行用エッジ51の形状に沿った形状となって遮られる。その際に、高速走行用エッジ51は、前後方向における位置が第2焦点F2とほぼ同じ位置となっているので、その境界部ははっきりと明暗が分かれるようにして遮られる。また、前記反射面11で反射し、第2焦点F2通過後の光は、すれ違い用ビーム照射時と同様に集光レンズ15の方向に向かい、集光レンズ15を透過する際に略平行な光となって前方を照射する。この照射光は、前記第2シェード41によって遮光されているため、当該第2シェード41の形状の逆の形状で照射される。詳細には、照射光の大部分は自動車前方のH−H線よりも下方を照射する。
【0053】
さらに、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合のすれ違い用エッジ31の走行車線側すれ違い用エッジ32よりも、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置している場合の高速走行用エッジ51の走行車線側高速走行用エッジ52の方が、上下方向における位置が低いので、配光パターンの上部の対向車線側の部分は、すれ違い用配光パターン100の対向車線側水平カットオフライン102よりも高くなる。また、第1シェード21が第1シェード第1位置に位置している場合のすれ違い用エッジ31の対向車線側すれ違い用エッジ33と、第1シェード21が第1シェード第2位置に位置している場合の高速走行用エッジ51の対向車線側高速走行用エッジ53とは、上下方向における位置がほぼ同一となっているので、配光パターンの上部の走行車線側の部分は、すれ違い用配光パターン100の走行車線側水平カットオフライン103とほぼ同一の位置になる。配光パターンがこのように形成されることにより、第1シェード21を第1シェード第2位置に位置させ、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置している場合の配光パターンは、高速走行用配光パターン110となる。
【0054】
この高速走行用配光パターン110の上部の形状、つまりカットオフライン111は、すれ違い用配光パターン100のカットオフライン101と同様に、対向車線側水平カットオフライン112が、走行車線側水平カットオフライン113よりも低く形成されている。また、走行車線側水平カットオフライン113は、H−H線よりも若干上方に位置している。さらに、走行車線側水平カットオフライン113と対向車線側水平カットオフライン112とは、高速走行用エッジ傾斜部54に対応して斜め方向に傾いて形成され、且つ、自動車前方の左右方向の中心であるV−V線上に位置する傾斜カットオフライン114によってつながれている。
【0055】
前記ヘッドランプ1で高速走行用ビームを照射する場合には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82は伸ばして、第2ソレノイド85の第2プランジャ86は縮めることにより、第1シェード21は第1シェード第2位置に位置させ、第2シェード41は第2シェード第1位置に位置させる。これにより、配光パターンは上記のような高速走行用配光パターン110となる。また、この高速走行用配光パターン110のカットオフライン111は、上記高速走行用エッジ51による光の遮蔽が、境界部がはっきりと明暗が分かれた状態で遮蔽するため、当該カットオフライン111もはっきりした状態となる。
【0056】
このような高速走行用配光パターン110では、対向車線側水平カットオフライン112がすれ違い用配光パターン100の対向車線側水平カットオフライン102よりも上方に位置しているので、この部分はすれ違い用ビームよりも高速走行用ビームの方が遠方を照射することになる。このため、遠方を視認し易くなる。また、高速走行用配光パターン110の対向車線側水平カットオフライン102は、すれ違い用配光パターン100の同一部分よりも上方を照射しており、このため、対向車線側はすれ違い用ビーム照射時よりも上方を照射するが、高速走行用配光パターン110のカットオフライン111は明暗がはっきりしているため、対向車に対して眩光とはならない。また、高速走行用配光パターン110の走行車線側水平カットオフライン113は、すれ違い用配光パターン100の走行車線側水平カットオフライン103とほぼ同一の高さであるため、高速走行用ビームは先行車に対して眩光とはならない。
【0057】
図12は、図2のD−D断面図であり、走行用ビームの照射時の状態を示す図である。前記ヘッドランプ1で走行用ビームを照射する際には、第1ソレノイド81は、高速走行用ビーム照射時のまま、つまり、第1プランジャ82を上方に伸ばしたままの状態で、第2ソレノイド85を作動させて、第2プランジャ86を上方に伸ばす。これにより、第2シェード41に設けられている第2シェード押部44は、第2プランジャ86によって付勢面45が上方に押され、第2シェード押部44に、第2シェード41が後方に傾く方向の回動方向の付勢力が与えられる。第2シェード押部44に対して、この方向の付勢力が与えられた場合には、第2シェード41は、前記回転軸90を中心として上記のように第2シェード41が後方に傾く方向に回動する。この回動は、第2プランジャ86が伸びきるまで回動し、第2プランジャ86が伸びきると、第2シェード41には、第2プランジャ86の付勢力による回動方向と反対方向に、前記シェード用バネ60の回動方向付勢部65によって付勢力が与えられているため、第2プランジャ86が伸びきった時点で第2シェード41の回動は停止する。
【0058】
また、このように第2ソレノイド82が作動することにより第2シェード41が回動する場合でも、第2シェード41は前記シェード用バネ60によって左右方向に付勢力が与えられており、第2シェード41は、この付勢力の方向に位置する第2シェード規制部76によって付勢力の方向への動きが規制されている(図3参照)。このため、第2シェード41は、回動した場合でも左右方向、つまり、回転軸90の軸方向に動いたり、ガタついたりすることなく回動する。
【0059】
また、このように第2プランジャ86が伸びることにより、第2シェード41が回動して後方に傾くと、第2シェード41の上端部分、即ち、高速走行用エッジ51は、上下方向における高さが変化し、高速走行用エッジ51は下方に移動する。また、第2シェード41が第2シェード第1位置に位置していた際には第2焦点F2の近傍に位置していた高速走行用エッジ51は、第2シェード41が後方に傾くことにより、第2焦点F2よりも下方に位置する。また、第1シェード21は、第1ソレノイド81の第1プランジャ82が上方に伸びた状態となっているため、すれ違い用エッジ31は第2焦点F2よりも下方に位置している。これらにより、すれ違い用エッジ31と高速走行用エッジ51とは、共に第2焦点F2よりも下方に位置する。また、このように、第2シェード41が後方に傾く方向に回動した状態は、第2シェード第2位置となり、第1シェード21は高速走行用ビーム照射時の状態と同じ状態のため、第1シェード21は第1シェード第1位置となっている。
【0060】
図13は、走行用ビームの配光パターンを示す図である。前記放電バルブ13が点灯し、発光部14で照射された光は、前記反射面11で反射して上記のように第2焦点F2の方向に向かう。この光のうち、前記反射面11の下半側の部分で反射した光は、すれ違い用ビーム照射時や高速走行用ビーム照射時には、第1シェード21或いは第2シェード41で遮られるが、走行用ビーム照射時には、第1シェード21及び第2シェード41は、共に全ての部分が第2焦点F2よりも下方に位置している。これにより、すれ違い用ビーム照射時や高速走行用ビーム照射時には第1シェード21や第2シェード41には遮蔽される光が、第2焦点F2よりも前方に向かう。これらのように、前記反射面11で反射した光の大部分は、第1シェード21や第2シェード41に遮られることなく集光レンズ15の方向に向かい、集光レンズ15を透過する際に略平行な光となって前方を照射する。この照射光は、第1シェード21や第2シェード41によってほとんど遮光されていないため、自動車前方のH−H線の上方と下方の双方を照射する。
【0061】
すれ違い用ビームや高速走行用ビームでは、前記反射面11で反射した光の一部は第1シェード21や第2シェード41で遮光していたため、前方を照射する照射光は、ほとんど自動車前方の下半側のみであるが、走行用ビームでは、反射面11で反射した光を第1シェード21や第2シェード41で遮光しないため、照射光は自動車前方の下半側のみでなく、上半側も照射する。このため、配光パターンは、すれ違い用配光パターン100、或いは高速走行用配光パターン110に、H−H線の上側も照射範囲として追加した形態となる。配光パターンがこのように形成されることにより、第1シェード21を第1シェード第2位置に位置させ、第2シェード41を第2シェード第2位置に位置させた場合の配光パターンは、走行用配光パターン120となる。即ち、前記ヘッドランプ1で走行用ビームを照射する場合には、第1ソレノイド81の第1プランジャ82と、第2ソレノイド85の第2プランジャ86とを共に伸ばすことにより、第1シェード21を第1シェード第2位置に位置させ、第2シェード41を第2シェード第2位置に位置させる。これにより、配光パターンは上記のような走行用配光パターン120となる。このような走行用配光パターン120では、H−H線よりも上方を照射しているため、走行用ビームは遠方まで照射することができる。これにより、遠方が視認し易くなる。
【0062】
以上のヘッドランプ1は、すれ違い用配光パターン100を形成する第1シェード21と、高速走行用配光パターン110を形成する第2シェード41を設けている。これらの第1シェード21と第2シェード41とは、同一のストロークで作動する2つのプランジャを有する2つのソレノイド80、即ち、第1プランジャ82を有する第1ソレノイド81と第2プランジャ86を有する第2ソレノイド85を作動させ、第1シェード21と第2シェード41及び前記ソレノイド80によって、配光パターンを変化させる。つまり、2つのプランジャの双方を縮めた場合には、第1シェード21で照射光をすれ違い用配光パターン100にする。また、第1プランジャ82を伸ばした場合には、第2シェード41で照射光を高速走行用配光パターン110にする。また、第2プランジャ86を伸ばした場合には、第1シェード21及び第2シェード41で照射光を遮蔽せずに、照射光を走行用配光パターン120にする。これにより、3種類の配光パターンで照射することができ、また、2位置停止ソレノイドを用いることができるので、製造コストを抑えることができる。この結果、安価な製造コストで3種類の配光パターンを得ることができる。
【0063】
また、第1シェード21と第2シェード41とは、回動させることにより第1シェード第1位置及び第1シェード第2位置、或いは、第2シェード第1位置及び第2シェード第2位置に切り替えることができ、且つ、それぞれ独立して回動するので、それぞれ他のシェードが回動した際でも、その動きに互いに影響されることがない。これにより、シェードの光学的な位置精度を向上させることができ、より精度の高い配光パターンで照射することができる。この結果、照射した際の視認性の向上を図ることができ、また、対向車など外部への眩光を抑制できるので、外部を照射して走行する際の安全性の向上を図ることができる。
【0064】
また、第1シェード21と第2シェード41とは、シェード用バネ60によって回転軸90の軸方向に付勢力を与えられており、さらに、第1シェード規制部75、或いは第2シェード規制部76によって第1シェード21及び第2シェード41は同方向の動きが規制されている。このため、第1シェード21及び第2シェード41の停止時や回動時など、いずれの場合においても、第1シェード21と第2シェード41とは、回転軸90の軸方向、つまり、左右方向への動きが規制され、この方向のガタが抑制されている。これにより、これらのシェードで形成される配光パターンの左右方向への移動やブレも抑制され、より正確で精度の高い配光パターンで照射することができる。この結果、照射した際の視認性の向上を図ることができ、また、対向車など外部への眩光を抑制できるので、外部を照射して走行する際の安全性の向上を図ることができる。
【0065】
また、上記のように第1シェード21と第2シェード41に与える左右方向への付勢力は、第1シェード21及び第2シェード41に対して回動方向に付勢力を与えるシェード用バネ60によって与えている。このため、第1シェード21と第2シェード41とに対して左右方向の付勢力を与え、第1シェード規制部75或いは第2シェード規制部76によって付勢力の方向の動きを規制する際でも、左右方向へ付勢力を与える独立した付勢手段を設ける必要がなくなる。これらの結果、安価な製造コストで精度の高い配光パターンで照射できる。
【0066】
また、第1シェード21と第2シェード41とをそれぞれ独立して回動可能に形成しているため、これらに付勢力を与えて回動させる第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とは、第1シェード21或いは第2シェード41のどちらか一方を回動させることのできる出力を有していればよい。このため、これらのソレノイド80は、出力が小さいものでもよいため、ソレノイド80の小型化や軽量化を図ることができる。この結果、ヘッドランプ1の小型化や軽量化を図ることができる。また、ソレノイド80を小型化したり軽量化したりすることができるため、製造コストを抑えることができる。この結果、製造コストをより安価にすることができる。さらに、第1シェード21と第2シェード41の重量が同程度の場合には、第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とは、同じものを用いることができ、その周辺の部品も共通部品を用いることができる。この結果、より確実に製造コストを低減することができる。
【0067】
また、このように、第1シェード21と第2シェード41とをそれぞれ独立して回動可能に形成しているため、第1シェード21或いは第2シェード41に、付加物を設けた場合でも、付加物を設けた側のシェードを回動させるソレノイド80のみの出力を大きくすればよい。例えば、第1シェード21或いは第2シェード41に、光源からの光を、遠方を照射する位置に反射するサブリフレクタ(図示省略)を設けた場合でも、当該サブリフレクタを設けた側のシェードを回動させるソレノイド80の出力を、サブリフレクタを設けることによって増加した回動時の負荷分だけ増加させればよい。これにより、他方のシェードを回動させるソレノイド80は変化させることなく、付加物を設けた側のシェードを回動させるソレノイド80のみ変化させればよい。この結果、第1シェード21或いは第2シェード41に付加物を設けた際の、ソレノイド80の出力増加による重量の増加や大型化、さらに製造コストの上昇を、最低限に抑えることができる。
【0068】
また、2位置停止のソレノイド80を用いて3種類の配光パターンで照射できるので、3つの配光パターンで照射する際の精度の向上を図ることができる。即ち、3つ以上の配光パターンで照射する際に、3位置停止のソレノイド80など、3つ以上の停止位置を有するソレノイド80を用いると、中間で停止させた際の精度が低減する虞がある。そこで、2位置停止のソレノイド80を複数設けて3種類の配光パターンで照射することにより、全ての配光パターンでの精度が向上する。この結果、3種類の配光パターンで照射する際の配光パターンの精度の向上を図ることができる。
【0069】
また、第1シェード21を、前部第1シェード22と後部第1シェード23とにより形成し、これらの間に第2シェード41を設けているので、1つのヘッドランプ1ですれ違い用配光パターン100と高速走行用配光パターン110とで照射する場合でも、照射光の着色を抑制できる。この結果、ヘッドランプ1で外部を照射した際の視認性が悪化することなく、良好な視認性と、複数の配光パターンでの照射との両立を図ることができる。
【0070】
なお、実施例では、第1ソレノイド81に設けられる第1プランジャ82と第2ソレノイド85に設けられる第2プランジャ86とは、同程度のストローク量となっているが、第1プランジャ82と第2プランジャ86のストローク量は異なっていてもよい。双方のプランジャを縮めた状態ではすれ違い用ビームを照射でき、第1プランジャ82を伸ばした際には第1シェード21が回動することにより高速走行用ビームを照射でき、第1プランジャと第2プランジャとの双方を伸ばした際には第1シェード21と第2シェード41との双方のシェードが回動することにより走行用ビームを照射できれば、第1プランジャ82と第2プランジャ86とのストローク量は同一でも異なっていても構わない。
【0071】
また、第1シェード21は、前部第1シェード22と後部第1シェード23とにより形成しているが、第1シェード21は、1枚で形成してもよい。第1シェード21を1枚で形成した場合でも、第1シェード21には第1シェード押部27を設け、第2シェード41には第2シェード押部44を設けることにより、2つのソレノイド80で3種類の配光パターンを得ることができる。
【0072】
また、ソレノイド80は、第1ソレノイド81と第2ソレノイド85とに分かれておらず、1つのソレノイド80で2つのプランジャを有するソレノイド80を用いてもよい。独立した作動させることができるプランジャが2つ形成されていれば、2つのプランジャのうちの一方のプランジャで第1シェード21を回動させ、他方のプランジャで第2シェード41を回動させることができるので、3種類の配光パターンを得ることができる。
【0073】
また、駆動手段としては、ソレノイド80以外のものを用いてもよい。例えば、ステッピングモータを用いて第1シェード21及び第2シェード41を回動させてもよい。回動させる際に、第1シェード21と第2シェード41とをそれぞれ独立して回動させることのできる構造であれば、3種類の配光パターンを得ることができるので、第1シェード21と第2シェード41とを独立して回動させることのできるものであれば、駆動手段の種類は問わない。
【0074】
また、シェード用バネ60は、第1シェード21及び第2シェード41に対して左右方向における外方への付勢力を与えているが、シェード用バネ60は、第1シェード21及び第2シェード41に対して左右方向における内方への付勢力を与えるように形成されていてもよい。第1シェード21及び第2シェード41に対してこの方向に付勢力を与えた場合でも、第1シェード21及び第2シェード41は、左右方向のガタが抑制されるので、精度の高い配光パターンで照射することができる。
【0075】
また、実施例のヘッドランプ1は、光源として放電バルブ13を使用しているが、光源はハロゲン電球、白熱電球など、放電バルブ13以外のものを用いてもよい。放電バルブ13以外の光源を用いた場合でも、光源の発光部を第1焦点F1付近に位置させることにより、光源からの光の遮蔽の度合いを第1シェード21及び第2シェード41で変化させることができ、上記の効果を得ることができる。
【0076】
また、上記の説明では、左側通行の道路で走行をする自動車に装備されるヘッドランプ1ついて説明しているが、右側通行の道路を走行する自動車に装備する自動車に本発明のヘッドランプ1を装備する際には、各シェードのエッジ部の形状を、左右逆の形状にするとよい。これにより、配光パターンのカットオフラインの形状が左右逆となるので、右側走行に適した配光パターンとなり、右側走行の道路を走行する場合でも、上記の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかるヘッドランプは、シェードを有するプロジェクタタイプのヘッドランプに有用であり、特に、複数の配光パターンを切替えて照射する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例に係るヘッドランプの断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2のB−B矢視図である。
【図4】第1シェード、第2シェード及びソレノイドの斜視図である。
【図5】シェード用バネの取り付け詳細図である。
【図6】図2のC部詳細図である。
【図7】図2のD−D断面図であり、すれ違い用ビームの照射時の状態を示す図である。
【図8】すれ違い用ビームの配光パターンを示す図である。
【図9】図2のD−D断面図であり、高速走行用ビームの照射時の状態を示す図である。
【図10】図2のC部詳細図であり、高速走行用ビームの照射時の状態を示す図である。
【図11】高速走行用ビームの配光パターンを示す図である。
【図12】図2のD−D断面図であり、走行用ビームの照射時の状態を示す図である。
【図13】走行用ビームの配光パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ヘッドランプ
5 中心線
10 リフレクタ
11 反射面
12 挿通孔
13 放電バルブ
14 発光部
15 集光レンズ
16 フレーム
21 第1シェード
22 前部第1シェード
23 後部第1シェード
24 第1シェード軸受部
25 切欠部
27 第1シェード押部
28 付勢面
31 すれ違い用エッジ
32 走行車線側すれ違い用エッジ
33 対向車線側すれ違い用エッジ
34 すれ違い用エッジ傾斜部
41 第2シェード
42 第2シェード軸受部
44 第2シェード押部
45 付勢面
51 高速走行用エッジ
52 走行車線側高速走行用エッジ
53 対向車線側高速走行用エッジ
54 高速走行用エッジ傾斜部
60 シェード用バネ
63 固定部
64 コイル部
65 回動方向付勢部
66 軸方向付勢部
70 シェードフレーム
71 側壁部
73 バネ固定部
74 シェード規制部
75 第1シェード規制部
76 第2シェード規制部
80 ソレノイド
81 第1ソレノイド
82 第1プランジャ
85 第2ソレノイド
86 第2プランジャ
90 回転軸
100 すれ違い用配光パターン
101 カットオフライン
102 対向車線側水平カットオフライン
103 走行車線側水平カットオフライン
104 傾斜カットオフライン
110 高速走行用配光パターン
111 カットオフライン
112 対向車線側水平カットオフライン
113 走行車線側水平カットオフライン
114 傾斜カットオフライン
120 走行用配光パターン
F1 第1焦点
F2 第2焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、楕円を基調とする反射面を有するリフレクタと、前記反射面で反射した前記光源からの光の一部を遮蔽することによりそれぞれ異なる配光パターンを形成する複数のシェードと、を有するプロジェクタタイプのヘッドランプにおいて、
前記複数のシェードは第1シェードと第2シェードと、からなり、
前記第1シェードは、前記第1シェードを第1シェード第1位置と第1シェード第2位置とに切り替える第1駆動手段によって作動可能に形成されており、
前記第2シェードは、前記第2シェードを第2シェード第1位置と第2シェード第2位置とに切り替える第2駆動手段によって作動可能に形成されており、
前記第1駆動手段と前記第2駆動手段とは、それぞれ独立して作動可能に設けられており、
前記配光パターンは、前記第1シェードが前記第1シェード第1位置に位置すると共に前記第2シェードが前記第2シェード第1位置にいる際にはすれ違い用配光パターンとなり、
前記第1シェードが前記第1シェード第2位置に位置すると共に前記第2シェードが前記第2シェード第1位置にいる際には高速走行用配光パターンとなり、
前記第1シェードが前記第1シェード第2位置に位置すると共に前記第2シェードが前記第2シェード第2位置にいる際には走行用配光パターンとなることを特徴とするヘッドランプ。
【請求項2】
前記第1シェードは、回動することにより前記第1シェード第1位置と前記第1シェード第2位置とに切り替えられるように形成されており、
前記第2シェードは、回動することにより前記第2シェード第1位置と前記第2シェード第2位置とに切り替えられるように形成されており、
前記第1シェードと前記第2シェードとは、同一の回転軸を中心とし、且つ、それぞれ独立して回動可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ。
【請求項3】
前記第1シェードと前記第2シェードとに対して前記回転軸を中心とする回動方向に付勢力を与えると共に、前記第1シェードと前記第2シェードとに対して前記回転軸の軸方向に付勢力を与える付勢手段と、
前記第1シェードの、前記付勢手段によって前記回転軸の軸方向に付勢力が与えられている方向の動きを規制する第1シェード規制部と、
前記第2シェードの、前記付勢手段によって前記回転軸の軸方向に付勢力が与えられている方向の動きを規制する第2シェード規制部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のヘッドランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−164687(P2006−164687A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352871(P2004−352871)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】