説明

ヘッド駆動装置及びディスク装置

【課題】組立性の低下とコストアップとを招くことなく、ピックアップヘッドのガタツキを確実に防止する。
【解決手段】ピックアップヘッド18には、第2軸受け部31が設けられている。第2軸受け部31には、切り欠き31aが形成されている。第2軸受け部31を介してピックアップヘッド18を移動自在に支持する副軸41は、切り欠き31aの幅よりも細い径で形成されている。第2軸受け部31と副軸41との間には、押さえ部材34が取り付けられている。押さえ部材34には、本体部50と与圧部51とが設けられている。本体部50は、副軸41に摺動可能に嵌合した状態で切り欠き31a内に入り込む。与圧部51は、本体部50が切り欠き31a内に入り込んだ際に、副軸41と接触して弾性変形し、第2軸受け部31の下壁面31cを副軸41に押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の記録や読み出しを行うピックアップヘッドなどをガイド軸に沿って移動させるヘッド駆動装置、及びディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクに対してデータを高密度に記録したり、ディスクに記録されたデータを読み取ったりするディスク装置が知られている。このディスク装置は、ターンテーブルに装着されたディスクを回転させながら、ピックアップヘッドを移動させて、データの記録や読み取りを行う。
【0003】
ターンテーブルは、本体内で昇降動する昇降フレームに取り付けられる。また、ピックアップヘッドは、昇降フレームに取り付けられたガイド軸に支持されており、ガイド軸に沿ってディスクの半径方向に移動する。昇降フレームは、ディスクが挿入されていない状態では、下降位置に保持されている。ディスクが挿入された後、昇降フレームが上昇し、ターンテーブルのチャッキングヘッドにディスクを装着する。これにより、データの記録や読み取りが可能な状態になる。
【0004】
こうしたディスク装置では、近年、薄型化が進められている。ところで、ディスク装置を薄くし過ぎると、昇降フレームを昇降動させる際に、ガイド軸がケースの底板と干渉してしまうという問題が生じる。ガイド軸と底板との干渉を防止しつつ、ディスク装置をより薄型にするためには、ガイド軸の径を細くする必要がある。しかしながら、ガイド軸の径は、ピックアップヘッドに設けられた軸受け部に対応して形成されているため、ガイド軸の径のみを細くしてしまうと、ピックアップヘッドがガタついてしまう。反面、ディスク装置の薄型化に合わせてピックアップヘッドの軸受け部の形状を変更しようとすると、ピックアップヘッドを特注しなければならず、多大なコストが必要になってしまう。
【0005】
こうした問題を解決するため、特許文献1では、ピックアップヘッドに板バネを取り付け、軸受け部に挿通されたガイド軸を板バネによって軸受け部に押し付けるようにしている。こうすれば、既存のピックアップヘッドを用い、かつ軸受け部よりも細い径のガイド軸を用いた際にも、ピックアップヘッドのガタツキを防止することができる。
【特許文献1】特開2004−334943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、ネジ止めや接着などによって、板バネをピックアップヘッドに取り付けなければならない。このため、組み立てに時間と手間が掛かり、ディスク装置の組立性が低下するとともに、組み立てコストの増加を招いてしまうという問題がある。また、特許文献1の構成は、板バネで押し付けているだけであるので、軸受け部の形状に対してガイド軸の径がかなり細くなると、ピックアップヘッドのガタツキを十分に抑えることができないという問題もある。ピックアップヘッドのガタツキは、ピックアップヘッドから照射されるレーザ光の光軸ズレとなって表れ、読み取りエラーや書き込みエラーの要因になってしまう。また、近年では、ピックアップヘッドから照射されるレーザ光を利用してディスク表面に図柄や文字を描く技術が開発されており、高精細な描画を行うため、機構部に対して高い精度が要求されている。
【0007】
また、ピックアップヘッドのガタツキを防止する方法として、ガイド軸と軸受け部との間にカラーを設け、隙間を埋めることが考えられる。しかしながら、カラーによってピックアップヘッドのガタツキを確実に防止するためには、カラーを高い加工精度で製造しなければならず、製造コストの増加を招いてしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、既存のピックアップヘッドを用い、かつ軸受け部よりも細い径のガイド軸を用いた際にも、組立性の低下とコストアップとを招くことなく、ピックアップヘッドのガタツキを確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、ガイド軸に軸受け部が支持されたヘッドをガイド軸に沿って往復動させるヘッド駆動装置において、前記軸受け部に形成され、第1壁面と第2壁面との間で細径の前記ガイド軸を受け入れるとともに、前記第1壁面と前記第2壁面との距離が前記ガイド軸よりも広い切り欠きと、前記ガイド軸に摺動可能に嵌合する摺動溝が形成された本体部と、前記摺動溝が前記切り欠き内に位置するように、前記本体部を前記軸受け部に取り付けた際に、前記ガイド軸に受け止められて、前記本体部を介して前記軸受け部を引き寄せるように弾性変形することで、前記切り欠きの前記第1壁面を前記ガイド軸に押し付ける与圧部とを有するガイド軸押さえ部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記与圧部は、前記本体部の両側に設けられていることが好ましい。また、前記切り欠きは横方向に開口し、前記摺動溝は上下方向に開口していることが好ましい。さらに、前記本体部は、前記軸受け部の一部に係合する係合部が形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、ディスクの回転中に、ピックアップヘッドを移動しながら、前記ディスクに情報の記録及び/又は再生をするディスク装置において、前記ピックアップヘッドの軸受け部を案内するガイド軸と、前記軸受け部に形成され、第1壁面と第2壁面との間で細径の前記ガイド軸を受け入れるとともに、前記第1壁面と前記第2壁面との距離が前記ガイド軸よりも広い切り欠きと、前記ガイド軸に摺動可能に嵌合する摺動溝が形成された本体部と、前記摺動溝が前記切り欠き内に位置するように、前記本体部を前記軸受け部に取り付けた際に、前記ガイド軸に受け止められて、前記本体部を介して前記軸受け部を引き寄せるように弾性変形することで、前記切り欠きの前記第1壁面を前記ガイド軸に押し付ける与圧部とを有するガイド軸押さえ部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、軸受け部に形成された切り欠きの第1壁面をガイド軸押さえ部材によってガイド軸に押し付けるようにしたので、切り欠きよりもガイド軸の方が細い場合でも、ピックアップヘッドのガタツキを防止することができる。従って、本発明によれば、既存のピックアップヘッドを用いたまま、ディスク装置の更なる薄型化を図ることができる。
【0013】
また、摺動溝を介して本体部をガイド軸に嵌合させ、摺動溝が切り欠き内に位置するように本体部を軸受け部に取り付けるようにしたので、切り欠きとガイド軸との間に生じる隙間が本体部によって埋められる。これにより、切り欠きに対してガイド軸がかなり細い場合でも、ガタツキを確実に防止することができる。また、ガイド軸押さえ部材は、摺動溝をガイド軸に嵌合させるだけで取り付けを行うことができ、ネジ止めや接着などを必要としないので、組立性の低下、及び組み立てコストの増加を招く心配がない。
【0014】
さらに、ガイド軸押さえ部材は、与圧部を弾性変形させて切り欠きの第1壁面をガイド軸に押し付けるので、カラーなどに比べて寸法誤差に対する許容範囲が広い。従って、ガイド軸押さえ部材に高い加工精度を要求する必要がないので、製造コストの増加を招く心配もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1において、ディスク装置(ヘッド駆動装置)2は、シールド状態に構成された本体ケース3を備えている。本体ケース3の前面には、ベゼル4が取り付けられている。このベゼル4には、ディスクDIを挿入するスロット4aと、ディスクDIのイジェクトを指示するための押しボタン5と、ディスク装置2の動作状態を表示するためのインジケータ6とが設けられている。
【0016】
本体ケース3は、天板7を有している。天板7のほぼ中央には、ディスクDIのチャッキング時にチャッキングヘッド16(図2参照)が僅かに入り込むための開口7aが形成されている。
【0017】
天板7を取り外した図2に示すように、本体ケース3の内部には、ベースパネル10が設けられている。ベースパネル10は、本体ケース3の内部空間を上下に仕切るように、本体ケース3に固定されている。このベースパネル10には、中央から斜め方向に延びた開口10aが形成されている。開口10a内には、昇降フレーム11が配置されている。昇降フレーム11は、例えば板金プレス等で形成されたフレーム本体(図3参照)11aと、フレーム本体11aの表面側に取り付けられたフレームカバー11bとから構成されている。フレームカバー11bには、中央から斜め方向に延びた開口11cが形成されている。
【0018】
昇降フレーム11は、ディスクDIを本体ケース3に搬入または搬出するときに、ベゼル4側を支点にして、本体ケース3の中央に位置する先端側が上下方向に揺動する。この昇降動中の衝撃を緩和するために、昇降フレーム11は、ベースパネル10と本体ケース3の底板との間に設けた軸と、これに嵌合するゴムリングとからなる緩衝支持構造12により複数箇所でベースパネル10に取り付けられている。
【0019】
昇降フレーム11の先端部には、ターンテーブルユニット13が取り付けられている。このターンテーブルユニット13は、スピンドルモータ14、ターンテーブル15、チャッキングヘッド16を備えている。スピンドルモータ14は、昇降フレーム11の内面に固定され、その駆動軸にターンテーブル15が固定されている。このターンテーブル15に、チャッキングヘッド16が一体に形成されている。このチャッキングヘッド16は、昇降フレーム11が上昇したときに、チャッキング位置にセットされたディスクDIをチャッキングする。更に、チャッキングヘッド16には、バネで付勢された複数のチャッキング爪16aが設けられており、ディスクDIを着脱自在に保持する。
【0020】
また、昇降フレーム11には、ピックアップヘッド18が取り付けられている。このピックアップヘッド18には、ピックアップ20が設けられている。ディスクDIに対してデータの記録/読み取りを行う際には、ピックアップヘッド18が開口11cに沿って、ディスクDIの半径方向に移動するとともに、ピックアップ20がディスクDIの記録面にレーザ光を照射する。
【0021】
昇降フレーム11には、ディスクDIの下面をガイドするためのディスクガイド片21が取り付けられている。このディスクガイド片21は、ディスクDIの搬入方向に沿って、先端部がターンテーブル15の脇まで延びている。また、ディスクガイド片21には、先端部に向けて徐々に高くなったスロープが形成されており、ディスクDIを上に持ち上げることで、チャッキングヘッド16に衝突することなく、挿入されたディスクDIをディスク支持アーム24のホルダー24aへ案内し、本体ケース3内に搬入されるようにしている。
【0022】
ベースパネル10上には、ディスクDIの搬入および搬出を行うためのディスク支持アーム24と、スロット4aから挿入されたディスクDIを本体ケース3内へ搬入するための誘引アーム25とが揺動可能に配置されている。ディスク支持アーム24は、ホルダー24aでディスクDIの前端縁を保持し、軸23を中心にして揺動する。誘引アーム25は、フランジ付ローラ25aでディスクDIの後端縁を保持し、軸26を中心にして揺動する。この誘引アーム25を揺動させるために、リンクレバー27が連結されている。
【0023】
ディスク支持アーム24、及び誘引アーム25(リンクレバー27)は、ベースパネル10の裏面側に設けられた周知のディスクローディング機構(図示せず)により駆動され、ディスクDIの搬入/搬出を行う。また、ディスクローディング機構は、昇降フレーム11に設けられたピン29a,29bを介して、昇降フレーム11を下降位置、上昇位置(記録/読み取り位置)の間で揺動させる。
【0024】
図3に示すように、フレーム本体11aの裏面には、丸棒状に形成された一対のガイド軸として主軸40及び副軸41が取り付けられている。主軸40及び副軸41は、開口11cの形成された方向(ディスクDIの半径方向)とほぼ平行に配置されている。ピックアップヘッド18には、主軸40に対応した第1軸受け部30と、副軸41に対応した第2軸受け部31とが形成されている。主軸40及び副軸41は、各軸受け部30、31を介してピックアップヘッド18を移動自在に支持する。
【0025】
また、フレーム本体11aの裏面には、前述のターンテーブルユニット13の他に、スレッドモータ42、ギヤトレイン43、リードスクリュー44等が固定されている。ギヤトレイン43は、スレッドモータ42の駆動力をリードスクリュー44に伝達し、リードスクリュー44を回転させる。リードスクリュー44は、主軸40の近傍で主軸40と平行に固定されている。リードスクリュー44は、ピックアップヘッド18の第1軸受け部30に設けられたティース32と噛合している。これにより、スレッドモータ42の駆動に応じてリードスクリュー44が回転すると、ピックアップヘッド18がディスクDIの半径方向に移動する。
【0026】
図4に示すように、第1軸受け部30には、主軸40が挿通されるほぼ円形の貫通孔30aが形成されている。第2軸受け部31には、副軸41が入り込む切り欠き31aが形成されている。切り欠き31aは、横方向に開口したほぼU字状に形成されている。第2軸受け部31には、切り欠き31aにより、平面状の上壁面(第2壁面)31b、下壁面(第1壁面)31c、及び半円柱面状の壁面31dからなる内壁面が構成されている。貫通孔30aの直径Dと切り欠き31aの幅Tとは、ほぼ同一に形成されている。直径D及び幅Tの寸法は、例えば、3mmである。
【0027】
主軸40は、貫通孔30aの直径Dより僅かに小さな径で形成されている。一方、副軸41は、主軸40及び切り欠き31aの幅Tよりも細い径(例えば、2.5mm)で形成されている。図5に示すように、第2軸受け部31と副軸41との間には、押さえ部材34(カラー)が取り付けられている。押さえ部材34は、切り欠き31aと副軸41との間の隙間によるピックアップヘッド18のガタツキを防止する。なお、図3では、便宜的に押さえ部材34の図示を省略している。
【0028】
図6に示すように、押さえ部材34は、本体部50と、この本体部50の両側に設けられた一対の与圧部51と、各与圧部51及び本体部50を接続する接続部52とで構成されている。この押さえ部材34には、樹脂材料が用いられている。本体部50、各与圧部51、接続部52の各部は、周知の樹脂成形法によって一体に成形されている。
【0029】
本体部50は、下方向に開口した摺動溝53が形成されており、ほぼコの字型の外形を有している。摺動溝53の幅t1は、副軸41の直径とほぼ同一に形成されている。本体部50は、摺動溝53を介して副軸41に摺動可能に嵌合する。本体部50の外面には、凹部(係合部)54が形成されている。凹部54は、平面状に形成された凹面54aを有している。凹部54の横幅t2は、第2軸受け部31の横幅とほぼ同一に形成されている。
【0030】
本体部50は、副軸41と摺動溝53とが嵌合した状態で第2軸受け部31の切り欠き31a内に入り込み、摺動溝53が切り欠き31a内に位置するように第2軸受け部31に取り付けられる。このように、押さえ部材34は、副軸41に摺動溝53を嵌合させた後に本体部50を切り欠き31a内に入り込ませることで取り付けられ、ネジ止めや接着などを必要としないので、組立性の低下、及び組み立てコストの増加を招くことがない。
【0031】
上記のように本体部50を取り付けると、凹部54が第2軸受け部31の一部と係合する(図5参照)。押さえ部材34は、スレッドモータ42の駆動に応じてピックアップヘッド18が移動すると、第2軸受け部31と凹部54との係合により、ピックアップヘッド18に従動して副軸41の表面上を摺動する。
【0032】
各与圧部51は、一端が接続部52に接続された第1板状部材55と、この第1板状部材55の底面から突出するように形成された第2板状部材56とで構成されている。第1板状部材55は、摺動溝53が形成された方向とほぼ直交するように形成されている。第2板状部材56は、本体部50が副軸41に嵌合した際に、副軸41と接触するように第1板状部材55からの突出量が調節されている。
【0033】
図7に示すように、本体部50の凹面54aから第2板状部材56の底面56aまでの距離t3は、第2軸受け部31と副軸41との間に生じる隙間の距離t4よりも僅かに長くなっている。これにより、本体部50と副軸41とを嵌合させた状態で本体部50と副軸41とを切り欠き31a内に入り込ませると、図8及び図9に示すように、第2板状部材56の底面56aが副軸41に接触して副軸41に受け止められ、本体部50を介して第2軸受け部31を引き寄せるように第1板状部材55が弾性変形する。
【0034】
そして、この弾性変形にともなう各与圧部51の弾性力により、本体部50の凹面54aが第2軸受け部31の上壁面31bに押し付けられ、かつ第2軸受け部31の下壁面31cが副軸41に押し付けられる。
【0035】
このように、押さえ部材34は、摺動溝53が切り欠き31a内に位置するように本体部50が第2軸受け部31に取り付けられた際に、副軸41に受け止められる各与圧部51を弾性変形させ、その弾性力によって第2軸受け部31の下壁面31cを副軸41に押し付けることにより、ピックアップヘッド18のガタツキを防止する。
【0036】
この際、切り欠き31aと副軸41との間に生じる隙間が本体部50によって埋められるので、切り欠き31aに対して副軸41がかなり細い場合でも、ガタツキが確実に防止される。また、各与圧部51を弾性変形させているので、筒状に形成された通常のカラーを組み込む場合などに比べて寸法誤差に対する許容範囲が広い。従って、押さえ部材34に高い加工精度を要求する必要がないので、製造コストの増加を招くこともない。
【0037】
次に、上記構成によるディスク装置2の作用について説明する。ディスクDIが挿入されていない場合、昇降フレーム11は、下降位置に保持されている。この際、昇降フレーム11の揺動軸に対して主軸40よりも遠方に位置する副軸41の径を細くしたので、既存のピックアップヘッド18を用いたまま、ディスク装置2の薄型化を図った場合にも、各軸40、41が本体ケース3などと干渉することがない。
【0038】
ディスクDIをスロット4aに挿入すると、ディスクローディング機構が作動し、ディスクDIが自動的に本体ケース3内に搬入される。ディスクローディング機構は、ディスクDIの搬入を終えると、昇降フレーム11を下降位置から上昇位置に移動させる。昇降フレーム11が上昇位置に移動すると、ディスクDIがチャッキングヘッド16にチャッキングされる。
【0039】
この後、スピンドルモータ14を駆動してディスクDIを回転させるとともに、スレッドモータ42を駆動してピックアップヘッド18をディスクDIの半径方向に移動させることにより、ディスクDIに対するデータの書き込みや読み取りが行われる。ピックアップヘッド18は、各軸40、41に沿って往復動する際、押さえ部材34によってガタツキが防止される。これにより、ピックアップ20からのレーザ光が高精度にディスクDIの記録面に照射される。
【0040】
上記実施形態では、本体部50の凹面54aを第2軸受け部31の上壁面31bに押し付け、第2軸受け部31の下壁面31cを副軸41に押し付ける構成としたが、これとは反対に、凹面54aを下壁面31cに押し付け、上壁面31bを副軸41に押し付けるようにしてもよい。また、本体部50と第2軸受け部31との押し付け方向は、上記に限ることなく、第2軸受け部31や押さえ部材34の形状に応じて任意の方向に押し付ければよい。
【0041】
上記実施形態では、溝状に形成された凹部54を係合部として示したが、係合部の形状は、これに限ることなく、例えば、穴状や突起状など、押さえ部材34をピックアップヘッド18に従動させることができれば、如何なる形状でもよい。
【0042】
上記実施形態では、押さえ部材34に樹脂材料を用いたが、押さえ部材34は、これに限ることなく、例えば金属材料でもよい。また、上記実施形態では、本体部50と各与圧部51とを一体に成形したが、これに限ることなく、本体部50と各与圧部51とを別々に成形した後、ネジ止めや接着などによって一体にしてもよい。但し、上記実施形態で示すように、押さえ部材34を樹脂材料で一体成形することで、押さえ部材34の製造コストを抑えることができる。さらに、上記実施形態では、板バネ状の与圧部51を示したが、与圧部51は、これに限ることなく、例えばコイルバネ状やゴム状でもよい。また、与圧部51の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし3つ以上でもよい。
【0043】
上記実施形態では、副軸41に本発明を適用した例を示したが、これに限ることなく、主軸40、若しくは主軸40と副軸41との双方に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態では、主軸40及び副軸41を丸棒状に形成したが、これに限ることなく、角棒状に形成してもよい。
【0044】
上記実施形態では、スロットインタイプのディスク装置2に本発明を適用した例を示したが、本発明は、これに限ることなく、トレイタイプのディスク装置に適用してもよい。また、本発明は、ディスク装置に限ることなく、ハードディスクドライブなどに用いられる磁気ヘッド、インクジェットプリンタなどのプリンタに用いられるプリンタヘッド、及びスキャナに用いられるスキャナヘッドなどといった各種のヘッドを駆動するヘッド駆動装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】ディスク装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】天板を取り外したディスク装置の上面図である。
【図3】底面を省略したディスク装置の底面図である。
【図4】第1軸受け部と第2軸受け部との構成を概略的に示す説明図である。
【図5】押さえ部材が取り付けられた状態を示す部分拡大図である。
【図6】押さえ部材の構成を概略的に示す斜視図である。
【図7】本体部の凹面から第2板状部材の底面までの距離と、第2軸受け部と副軸との間に生じる隙間の距離との長さの違いを示す説明図である。
【図8】下壁面を副軸に押し付けた状態を示す説明図である。
【図9】下壁面を副軸に押し付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 ディスク装置(ヘッド駆動装置)
18 ピックアップヘッド(ヘッド)
31 第2軸受け部(軸受け部)
31a 切り欠き
31b 上壁面(第2壁面)
31c 下壁面(第1壁面)
34 押さえ部材(ガイド軸押さえ部材)
41 副軸(ガイド軸)
50 本体部
51 与圧部
53 摺動溝
54 凹部(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド軸に軸受け部が支持されたヘッドをガイド軸に沿って往復動させるヘッド駆動装置において、
前記軸受け部に形成され、第1壁面と第2壁面との間で細径の前記ガイド軸を受け入れるとともに、前記第1壁面と前記第2壁面との距離が前記ガイド軸よりも広い切り欠きと、
前記ガイド軸に摺動可能に嵌合する摺動溝が形成された本体部と、前記摺動溝が前記切り欠き内に位置するように、前記本体部を前記軸受け部に取り付けた際に、前記ガイド軸に受け止められて、前記本体部を介して前記軸受け部を引き寄せるように弾性変形することで、前記切り欠きの前記第1壁面を前記ガイド軸に押し付ける与圧部とを有するガイド軸押さえ部材と、を備えたことを特徴とするヘッド駆動装置。
【請求項2】
前記与圧部は、前記本体部の両側に設けられていることを特徴とする請求項1記載のヘッド駆動装置。
【請求項3】
前記切り欠きは横方向に開口し、前記摺動溝は上下方向に開口していることを特徴とする請求項1又は2記載のヘッド駆動装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記軸受け部の一部に係合する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッド駆動装置。
【請求項5】
ディスクの回転中に、ピックアップヘッドを移動しながら、前記ディスクに情報の記録及び/又は再生をするディスク装置において、
前記ピックアップヘッドの軸受け部を案内するガイド軸と、
前記軸受け部に形成され、第1壁面と第2壁面との間で細径の前記ガイド軸を受け入れるとともに、前記第1壁面と前記第2壁面との距離が前記ガイド軸よりも広い切り欠きと、
前記ガイド軸に摺動可能に嵌合する摺動溝が形成された本体部と、前記摺動溝が前記切り欠き内に位置するように、前記本体部を前記軸受け部に取り付けた際に、前記ガイド軸に受け止められて、前記本体部を介して前記軸受け部を引き寄せるように弾性変形することで、前記切り欠きの前記第1壁面を前記ガイド軸に押し付ける与圧部とを有するガイド軸押さえ部材と、を備えたことを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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