説明

ヘドロ浚渫用バケットおよび浚渫機

【課題】バックホーバケットのみの構造の改変のみで経済的に実現でき、操作性が良く、かつヘドロの取込み効率が良いヘドロ浚渫用バケットおよびそのバケットを用いた浚渫機を提供する。
【解決手段】バックホーバケット1の開口部のアームへの取付側の約半分の領域を固定蓋24により覆う。バックホーバケット1の開口部の左右の縁に設けたガイド部35に沿って油圧シリンダ27により摺動可能に可動蓋26を設ける。可動蓋26は油圧シリンダ27の伸長により固定蓋24を覆った状態から移動して余開口部25を覆うことが可能である。固定蓋24に設けられ、掘削時に水を排出する水排出用窓41を設ける。水排出用窓41を閉塞、開放する外開き構造の小蓋43を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底、河底または湖底等の水底に積もったヘドロを浚渫する際に使用するヘドロ浚渫用バケットおよびそのバケットを備えた浚渫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浚渫工事に用いられるヘドロ浚渫用バケットとして、クラムシェルバケットを用いたものがある。これは台船に搭載した浚渫機がクレーン式のものであり、ブームよりワイヤロープを介して吊られたクラムシェルバケットを水底に下ろし、シェルが開放した状態から閉じることにより、ヘドロを掘削してバケット内に取り込み、その後、バケットを引き上げて浚渫機を旋回させ、シェルを開いてシェル内のヘドロを所定の場所に排土するものである。
【0003】
しかしこのクレーン式の浚渫機は高価であるため、比較的安価に提供できる油圧ショベル式の浚渫機を台船に搭載したものも賞用されている。その一例として例えば特許文献1にはアームの先端に回動可能に取付けるバックホーバケットに対し、バックホーバケットの開口部を塞ぐ固定蓋をアームの背面(運転室側の面)に取付けるか、あるいはアームの先端に回動可能に可動蓋を取付け、この可動蓋を、アームの背面に取付けた油圧シリンダによりバックホーバケットに対して開閉可能に回動させるものがある。この特許文献1のバケットは、アームやバックホーバケットの回動により水底のヘドロの掘削を行ない、その後、バックホーバケットの開口部を固定蓋に当ててヘドロの入ったバックホーバケットを閉塞するか、あるいは可動蓋を油圧シリンダで回動させることによりバックホーバケットの開口部を塞いでバックホーバケットからヘドロが漏れることを防止する構造である。
【特許文献1】特開2005−330793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のバックホーバケットを用いたヘドロ浚渫用バケットは、アームに固定蓋または可動蓋と油圧シリンダを取付けた構造であるため、バケットのみならず、アームの改造が必要であって改造部分が多く、製造に手間とコストがかかるという問題点がある。
【0005】
また、浚渫を行なう場合、通常は浚渫を行なう場所を汚濁防止枠をカーテン状に組んで浚渫場所を区切り、ヘドロが他の水域に拡散することを防止しているが、アームに付けた蓋がこの汚濁防止枠に衝突して固定蓋や可動蓋あるいは可動蓋回動用の油圧シリンダを損傷させたり汚濁防止枠を損傷させたりするおそれがある。また、このような蓋の存在のために汚濁防止枠の近傍までアームを近接させて作業を行なうことができないという不具合がある。
【0006】
また、バックホーバケットの開口部を上向きにして開口部を水平にしないとバケットを上げて旋回し排土するまでの過程でバケット内に入れたヘドロが漏れるおそれがあるが、バケットを上げる過程でアームの角度を調製する必要があるのと同時に、バックホーバケットの開口部を固定蓋や可動蓋によって常に閉じておく必要があるので、バックホーバケットの開口部を掘削後の排土にいたる過程で水平に保つことが困難であるためにバケット内のヘドロが漏れ易いという問題点があった。
【0007】
また、油圧シリンダにより可動蓋を回動させる構成のものにおいては、掘削動作後に可動蓋をバケット開口部側に回動させて開口部を可動蓋によって閉塞する際、可動蓋の回動に伴い、可動蓋に押されてバケット内に入る水がバケット内のヘドロを煽り、バケット内のヘドロが拡散し、ヘドロを取込む効率が悪くなるという問題点がある。
【0008】
本発明は、従来技術の問題点に鑑み、バックホーバケットのみの構造の改変のみで経済的に実現でき、操作性が良く、かつヘドロの取込み効率が良いヘドロ浚渫用バケットおよびそのバケットを用いた浚渫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1のヘドロ浚渫用バケットは、バックホーバケットの開口部のアームへの取付側の約半分の領域を覆う固定蓋と、
バックホーバケットの開口部の左右の縁に設けたガイド部と、
前記左右のガイド部に沿って両端部が摺動可能で、前記固定蓋を覆った状態から前記バックホーバケットの掘削爪側への移動により固定蓋により覆われていない余開口部を覆うことが可能な可動蓋と、
前記可動蓋を前記固定蓋から前記余開口部の間で移動させる油圧シリンダと、
前記固定蓋に設けられ、掘削時に水を排出する水排出用窓と、
前記水排出用窓を閉塞、開放する外開き構造の小蓋とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2のヘドロ浚渫用バケットは、請求項1に記載のヘドロ浚渫用バケットにおいて、
前記油圧シリンダが少なくとも前記可動蓋に設けた防護部に覆われた構造を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3のヘドロ浚渫用バケットは、請求項1または請求項2に記載のヘドロ浚渫用バケットにおいて、
前記小蓋は、枢着側を前記掘削爪側とし、自由端を前記バックホーバケットのアームへの取付け側として前記固定蓋に取付けられ、
前記小蓋は前記可動蓋を引いて前記余開口部を開放した状態では前記可動蓋により覆われる構造を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4のヘドロ浚渫用バケットは、請求項1から3までのいずれかに記載のヘドロ浚渫用バケットにおいて、
前記固定蓋の前記掘削爪側に、前記固定蓋と前記可動蓋との間の隙間を塞ぐ閉塞板を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の浚渫機は、請求項1から4までのいずれかに記載のヘドロ浚渫用バケットを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、バックホーバケットの開口部にその開口部の後部側(バケットのアームへの取付け側)の約半分の領域を覆う固定蓋を設けると共に、固定蓋により覆われていない余開口部が開放、閉塞可能となるように、油圧シリンダにより前後方向に摺動可能に可動蓋を取付け、固定蓋には水排出用窓とこの窓を開閉する外開き式の小蓋を設けたので、可動蓋を後部側に引いて余開口部を開いた状態でバケットを回動させて余開口部からヘドロをバケット内に取込む際、バケット内の水圧が上がって小蓋が外側に開き、バケット内にヘドロが効率良く取込まれる。また、可動蓋は摺動により開閉される構造であるから、従来の可動蓋のように、バケットの開口部に可動蓋を合わせて開閉するもののような可動蓋を閉じる際のヘドロのあおりによるヘドロのバケット内からの漏れがない。このような理由により、請求項1のバケットによれば、掘削時におけるバケット内へのヘドロの取込み効率が向上する。
【0015】
また、アームに固定蓋や可動蓋を取付ける場合には、アームの上下動によりバケットの開口部が水平となるように持ち上げることは困難であるが、請求項1のバケットにおいては、バケットに蓋を取付けているので、アームの姿勢に関係なくバケットの開口部を水平にすることができ、バケットを水平にするための操作が容易であって、操作性がよく、このため、バケット内に取込んだヘドロが漏れることが少なくなり、作業能率が向上する。
【0016】
また、アームに固定蓋や可動蓋および可動蓋を回動させるための油圧シリンダを設けていないため、本発明のバケットはアームの改造を要せず、バケットの改造だけで廉価に提供できる。
【0017】
また、請求項1のバケットは、アームに取付ける固定蓋や可動蓋とその回動用油圧シリンダを必要としないため、従来のバケットを用いた浚渫機のように、アームに取付ける固定蓋、可動蓋あるいは油圧シリンダが水中の汚濁防止枠等に衝突して損傷したり、汚濁防止枠を損傷させる可能性が減少すると共に、アームを汚濁防止枠に近接させる位置まで掘削作業を行なうことができ、掘削作業範囲の拡大が可能となる。
【0018】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明に加えて、前記可動蓋を開閉する油圧シリンダが防護部に覆われる構造としたため、シリンダをヘドロや砂などから防護することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の浚渫用蓋付きバケットにおいて、水排出用窓を開閉する小蓋は、可動蓋を引いて余開口部を開けた状態で可動蓋により覆われる構造としたので、ヘドロ掘削時にバケットやアームの回動に伴って上昇する開口部の前面側の水圧が可動蓋で遮られて小蓋に作用せず、バケットやアームの回動に伴いバケット内の水圧が上昇することにより、小蓋が容易に開き、水排出用窓から水がスムーズに排出される。このため掘削時には余開口部からバケット内にヘドロがスムーズに入り、取込み効率がさらに向上する。
【0020】
請求項4の発明によれば、固定蓋の掘削爪側、すなわち前部に、固定蓋と可動蓋との間の隙間を塞ぐ閉塞板を設けたので、掘削時にヘドロや水が固定蓋と可動蓋との間の隙間を通って流れることが防止され、取込み効率が向上する。また、可動蓋により余開口部を閉じて引き上げる際に、この閉塞板が可動蓋と固定蓋との隙間を閉塞しているので、バケット内のヘドロが可動蓋と固定蓋との間の隙間を通って外部に漏れることが防止され、作業能率が向上する。
【0021】
請求項5の発明によれば、前記請求項1ないし4の効果が得られる浚渫機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明の一実施の形態のヘドロ浚渫用バケット1を備えた浚渫機2の一例を示す側面図である。この実施の形態では浚渫機2が台船3に設置されて浚渫船を構成する場合を示す。4は台船3上の旋回装置5を介して設置される旋回体である。旋回体4上には運転室6及びパワーユニット7等が配置される。8は旋回体4に取付けられる作業用フロントであり、この作業用フロント8は旋回体4にブームシリンダ9により起伏可能に取付けられたブーム10と、このブーム10の先端にアームシリンダ11により回動可能に取付けられたアーム12と、アーム12の先端に取付けられる前記バケット1を回動させるためにアーム12に取付けられたバケットシリンダ13と、このバケットシリンダ13とアーム12およびバケット1との間に取付けられた回動角拡大のためのアームリンク14およびバケットリンク15とからなる。16は浚渫される海底、河底、湖底等の水底を示す。
【0023】
なおこの実施の形態においては、台船3に旋回装置5を介して旋回体4が直接設置された構成について示しているが、旋回装置5を上部に設置する走行体を含めて台船3上に搭載する場合もある。また、走行体の左右のサイドフレームを外し、センターフレームを台船3上に固定して浚渫船とする場合もある。また、ヘドロ浚渫用バケット1の到達深さを深くするため、台船3の甲板上に凹部を設け、その凹部に走行体や前記センターフレームあるいはこの実施の形態における旋回装置5を設置する場合もある。
【0024】
図2はヘドロ浚渫用バケット1を示す平面図、図3はそのE−E断面図、図4は図3のF−F断面図、図5は図4の部分拡大図、図6は図2の部分拡大図であり、これらの図は掘削時の状態、すなわち可動蓋を開いた状態にて示す。図示のように、ヘドロ浚渫用バケット1はバックホーバケットをベースとして構成される。17はバケット1の掘削爪19(この掘削爪側を前方とする。)の反対側(後部)の背面に取付けたブラケットであり、このブラケット17には前記アーム12にバケット1を連結するピン20(図1参照)を挿着するピン孔21と、前記バケットリンク15を連結するピン22(図1参照)を挿着するピン孔23を有する。
【0025】
24はバケット1の開口部の後側の約半分を覆うように溶接等により固定して設けられた固定蓋、25はこの固定蓋24により覆われていない余開口部、26はこの余開口部25を開閉する可動蓋、27はこの可動蓋26を開閉する油圧シリンダである。28はバケット1の左右の側板1a、1aに架設した補強枠であり、固定蓋24や可動蓋26を支持してこれらの変形を防止するものである。
【0026】
可動蓋26は図4〜図6に示すように主板29と左右の副板30とからなる。主板29は平板部29aとその両側の縦板部29bと前端の縦板部29cとからなる。副板30は平板部30aとその内端の縦板部30bと平板部30aの中間部に立設した縦板部30cとこの縦板部30cと平板部30aとのコーナー部に溶接した補強板部30dとからなる。この主板29と副板30とは、主板29の左右の縦板部29bと副板30の縦板部30cとをボルト31とナット32とを用いて締結することにより結合する。この結合した状態では主板29の両側に油圧シリンダ27を収容する角形のシリンダ防護部33が形成される。また、固定蓋24と主板29の平板部29aとの間には、後述の小蓋43の開閉を可能とするための隙間34が形成される。
【0027】
バケット1の開口部の左右の縁部には、固定蓋24の上面に取付けたガイド部材35aと、その上部に設けたガイド部材35bとにより、可動蓋26のガイド部35が構成される。そしてこれらのガイド部材35a、35bとの間に前記可動蓋26の副板30の平板部30aの端部を前後方向に摺動可能に嵌め込む。36は固定蓋24の上面に固定された可動蓋支持用の支持部材である。
【0028】
可動蓋26を開閉する左右の油圧シリンダ27は、図2に示すように、そのヘッド側を、バケットの開口部の後部に設けたブラケット37にピン38により連結し、ピストンロッドを、可動蓋26の副板30の前端部上に設けたブラケット39にピン40により連結して取付けられる。
【0029】
41は固定蓋24に設けられた水排出用窓である。この水排出用窓41は、固定蓋24の後部側に寄せて、可動蓋26の前記隙間34の形成部内において、この隙間34の幅に近い領域に形成される。この水排出用窓41は、その前縁部に枢着部42により回動可能に外開き式に取付けられた小蓋43により閉塞、開放されるもので、バケット1の開口部が上向きや斜め上向きの状態では小蓋43は自重により水排出用窓41を閉塞し、掘削時のバケット1内の水圧の上昇により開くものである。図2に示すように油圧シリンダ27の収縮により可動蓋26が後方に引かれて余開口部25が開放された状態、すなわち掘削時には小蓋43は可動蓋26により覆われる。
【0030】
図2、図3、図6において、44は固定蓋24の前部の上面にボルト45、ナット46等の固定具または溶接により固定して設けられ、固定蓋24と可動蓋26との間の隙間34を塞ぐ閉塞板である。
【0031】
この浚渫機を用いて水底16の掘削を行なう場合は、図7に示すように、油圧シリンダ27を収縮させた状態として余開口部25を開放しておき、バケット1を前記バケットシリンダ13により矢印Rで示すように回動させ、かつアームシリンダ11によりアーム12を手前側(運転室6側)に引き寄せながら掘削を行なう。
【0032】
この掘削の際、余開口部25から矢印Aに示すようにバケット1内に入るヘドロにより、バケット1内の水圧があがり、これにより小蓋43が水圧により開いてバケット1内の水が水排出用窓41から矢印Bで示すように押し出され、バケット1内はヘドロにより充満する。この掘削時には、小蓋43は可動蓋26により覆われているので、バケット1の回動に伴ってバケット1の開口部側の面に作用する水圧は可動蓋26で受けるため、小蓋43には作用せず、小蓋43はスムーズに開放され、バケット1内の水が水排出用窓41からアーム12側へと排出され、ヘドロがバケット1内にスムーズに入る。
【0033】
また、可動蓋26はスライドにより開閉される構造であるから、従来のアームに取付けられる可動蓋のように、可動蓋を閉じる際のバケット内のヘドロへのあおりがない。このようなり理由により、この実施の形態のバケット1によれば、掘削時におけるバケット内へのヘドロの取込み効率が向上する。
【0034】
また、このバケット1による掘削時には、固定蓋24と可動蓋26との間の隙間34は可動蓋26の主板29の縦板部29cや固定蓋24に設けた閉塞板44により閉塞されており、このため、隙間34を通しての水圧の小蓋43への加圧作用が防止されると共に、ヘドロが隙間34を迂回して外部に排出されることが防止され、取込み効率の向上に寄与する。
【0035】
掘削動作が終了した後は、図8、図9に示すように、油圧シリンダ27を伸長させて余開口部25を閉塞し、バケット1の開口部を水平にした姿勢でブーム10、アーム12、バケット1を引き上げ、旋回装置5の作動により作業用フロント8を旋回させて所定の場所に排土する。ここで、この実施の形態のバケット1の引き上げの過程において、バケット1はバケットシリンダ13の操作により、ブーム10やアーム12の姿勢に関係なく、可動蓋26が余開口部25を閉塞した状態で、かつバケット1の開口部を水平に保ったままで引き上げることができ、バケット内に取込んだヘドロが漏れることが少なくなり、作業能率が向上する。また、閉塞板44は可動蓋26で余開口部25を閉じた状態で余開口部25側から隙間34へのヘドロの流出を防止し、作業能率の向上に寄与する。また、このようにバケット1内に取込んだヘドロの漏れ、流出が防止されることにより、周囲の環境汚染が防止される。
【0036】
また、従来のようにアーム12に固定蓋や可動蓋を取付ける場合には、アーム12の上下動によりバケットの開口部が水平となるように持ち上げることは困難であるが、この実施の形態においては、バケット1に固定蓋24と可動蓋26とを取付けているので、操作が容易となる。
【0037】
また、アーム12に固定蓋や可動蓋および可動蓋を回動させるための油圧シリンダを設けていないため、本発明のバケットはアームの改造を要せず、バケット1の改造だけで廉価に提供できる。
【0038】
また、この実施の形態のバケット1はこれらアームに取付ける固定蓋、可動蓋あるいは可動蓋回動用油圧シリンダを必要としないため、従来のバケットを用いた浚渫機のように、アームに取付ける固定蓋、可動蓋あるいは油圧シリンダが水中の汚濁防止枠(図示せず)等に衝突して損傷したり、汚濁防止枠を損傷させる可能性が減少すると共に、アーム12を汚濁防止枠に近接させる位置まで掘削作業を行なうことができ、掘削作業範囲の拡大が可能となると共に、操作が容易となる。
【0039】
また、この実施の形態においては、可動蓋26をスライドさせる油圧シリンダ27が可動蓋26に覆われる構造としたため、油圧シリンダ27をヘドロや砂もしくは水の障害物などから防護することができる。なおこの防護部は可動蓋26に設けるのみでなく、油圧シリンダ27の伸長時にも油圧シリンダ27のチューブの部分も覆われるように、固定蓋24側にも設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態のヘドロ浚渫用バケットを備えた浚渫機の一例を示す側面図である。
【図2】本実施の形態のバケットを、可動蓋により余開口部を開いた状態にて示す平面図である。
【図3】図2のE−E断面図である。
【図4】図2のF−F断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】図3の部分拡大図である。
【図7】本実施の形態のバケットの作用を説明する断面図である。
【図8】本実施の形態のバケットを、可動蓋により余開口部を閉じた状態にて示す平面図である。
【図9】図8のG−G断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1:ヘドロ浚渫用バケット、2:浚渫機、3:台船、4:旋回体、5:旋回装置、6:運転室、7:パワーユニット、8:作業用フロント、9:ブームシリンダ、10:ブーム、11:アームシリンダ、12:アーム、13:バケットシリンダ、14:アームリンク、15:バケットリンク、16:水底、17:ブラケット、19:掘削爪、20、22:ピン、21、23:ピン孔、24:固定蓋、25:余開口部、26:可動蓋、27:油圧シリンダ、28:補強枠、29:主板、30:副板、31:ボルト、32:ナット、33:防護部、34:隙間、35:ガイド部、36:支持部材、37:ブラケット、38:ピン、39:ブラケット、40:ピン、41:水排出用窓、42:枢着部、43:小蓋、44:閉塞板、45:ボルト、46:ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホーバケットの開口部のアームへの取付側の約半分の領域を覆う固定蓋と、
バックホーバケットの開口部の左右の縁に設けたガイド部と、
前記左右のガイド部に沿って両端部が摺動可能で、前記固定蓋を覆った状態から前記バックホーバケットの掘削爪側への移動により前記固定蓋により覆われていない余開口部を覆うことが可能な可動蓋と、
前記可動蓋を前記固定蓋から前記余開口部の間で移動させる油圧シリンダと、
前記固定蓋に設けられ、掘削時に水を排出する水排出用窓と、
前記水排出用窓を閉塞、開放する外開き構造の小蓋とからなることを特徴とするヘドロ浚渫用バケット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘドロ浚渫用バケットにおいて、
前記油圧シリンダが少なくとも前記可動蓋に設けた防護部に覆われた構造を有することを特徴とするヘドロ浚渫用バケット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のヘドロ浚渫用バケットにおいて、
前記小蓋は、枢着側を前記掘削爪側とし、自由端を前記バックホーバケットのアームへの取付け側として前記固定蓋に取付けられ、
前記小蓋は前記可動蓋を引いて前記余開口部を開放した状態では前記可動蓋により覆われる構造を有することを特徴とするヘドロ浚渫用バケット。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載のヘドロ浚渫用バケットにおいて、
前記固定蓋の前記掘削爪側に、前記固定蓋と前記可動蓋との間の隙間を塞ぐ閉塞板を設けたことを特徴とするヘドロ浚渫用バケット。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のヘドロ浚渫用バケットを有することを特徴とする浚渫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−231687(P2008−231687A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69196(P2007−69196)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】