説明

ベシクル組成物およびその製造方法ならびにその用途

【課題】すすぎ時に滑らかで、ぬるつかず、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑制する毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】本発明は、以下に示す成分(A)、(B)、(C)、(D)及び水から形成される連続相が水相であるベシクル組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量割合が(A)/(B)=70/30〜40/60であり、かつ、平均粒径が5〜500μmであるベシクルを含有するベシクル組成物である:(A)炭素数14〜24の直鎖脂肪酸、(B)所定の構造を有する炭素数14〜24の分岐脂肪酸、(C)第3級アミン化合物、(D)炭素数1〜8の有機酸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベシクル組成物およびその製造方法ならびにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーマやヘアカラー、ブリーチなどの利用が一般化する反面、これらの化学処理に伴う毛髪のダメージも問題となっている。従来から、シャンプー後の毛髪の感触を向上させるために、リンス、コンディショナー、トリートメントなどの毛髪化粧料が使用されているが、毛髪のダメージを軽減する観点からも、更なる性能向上が望まれている。
【0003】
特許文献1には、化学処理、ドライヤー乾燥、日々のヘアケア行動による毛髪の損傷・疲労破壊を修復又は抑止し、また湿潤時から乾燥後まで良好な柔軟性及びしなやかな感触を付与できる毛髪化粧料が開示されている。特許文献1には、このような課題を解決することができる具体的な態様として、特定の分岐脂肪酸またはその塩、特定の第3級アミンまたはその塩および必要に応じて特定の芳香族アルコールを含有する毛髪化粧料が開示されている。
【0004】
特許文献2には、生分解性を有し、環境に優しく、長鎖アルコールや油剤等を安定に配合することのできる毛髪化粧料が開示されている。このような毛髪化粧料は、湿潤時に柔軟性、平滑性などに優れる旨記載されている。特許文献2には、このような課題を解決することができる具体的な態様として、特定の第3級アミン、直鎖または分岐状の脂肪酸、無機酸または有機酸を含有する毛髪化粧料が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、頭髪損傷の修復及び予防を目的として、コレステロールと塩基性アミノ酸と脂肪酸及び非イオン活性剤で安定化した多層小胞分散物からなる頭髪トリートメント組成物及び、多層小胞分散物を含むシャンプー及びコンディショナーのような頭髪トリートメント組成物が開示されている。このトリートメント組成物は頭髪繊維への幾つかの頭髪有効物質の浸透が特異的に促進されることが記載されている。
【0006】
一方、乳化組成物の製造方法の一つとして、転相乳化法や液晶乳化法が知られている。転相乳化法とは油相に水相を添加しながら乳化する方法である。また液晶乳化法とは液晶相に水相を加えながら乳化する方法である。例えば非特許文献1では油相に水相を添加しながら乳化し、転相点付近で油−水界面張力が著しく低下することを利用して平均粒径1μm以下の微細なエマルションを形成させている。
また、例えば特許文献4には、香気のロングラスティング及び拡散性が良く、経時での安定性が良好となる、4級アンモニウム塩を含有する水中油型エマルションの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−297218号公報
【特許文献2】特開2002−114648号公報
【特許文献3】特表2002−516831号公報
【特許文献4】特開2008−094980号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Optimization of Nano-emulsion Preparation by Low-Energy Methods in an Ionic Surfactant System, Langmuir 2006,22,8326-8332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2に記載の技術では、特定の第3級アミン、直鎖または分岐状の脂肪酸を組み合わせた毛髪化粧料は記載されているが、ベシクル構造を形成することについては何ら言及されていないので、特許文献1及び2記載の技術では、すすぎ時のぬるつきの抑制、乾燥後のべたつきの抑制の観点から不十分だった。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術ではコレステロールを必須成分として混在させることで、多層小胞を形成する。すなわち、ステロール類など特定の脂質が介在していることによりベシクル構造を形成するが、通常のトリートメント剤の成分を使用しても、すすぎ時に滑らかで、ぬるつきを抑制し、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑制するという観点から不十分だった。
【0011】
更に、非特許文献1および特許文献4に記載されているような転相乳化は一般的にエマルションの安定化のために行われるが、ベシクル構造を形成することについては何ら言及されていない。さらに、エマルジョンでは、すすぎ時のぬるつきや乾燥後のべたつきの点で課題があり、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、特定の第3級アミンおよび特定の分岐脂肪酸に加えて、直鎖脂肪酸を組み合わせて、さらに特定の有機酸を用いることにより、水中で比較的大きな平均粒径を有するベシクルを構成することができることを見出した。
【0013】
さらに、本発明者らは、このようにベシクルが大きな容量を占める組成物を用いた毛髪化粧料が、すすぎ時に滑らかで、ぬるつかず、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑制する毛髪化粧料が得られることを見出した。
このようなベシクルの組成物は、具体的には、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び水から形成され、特定の第3級アミンおよび特定の分岐脂肪酸ならびに直鎖脂肪酸、および特定の有機酸から製造でき、かつ、十分なベシクルの体積割合を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち本発明のベシクル組成物によれば、以下に示す成分(A)、(B)、(C)、(D)及び水から形成される連続相が水相であるベシクル組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量割合が(A)/(B)=70/30〜40/60であり、かつ、平均粒径が5〜500μmであるベシクルを含有するベシクル組成物:
(A)炭素数14〜24の直鎖脂肪酸
(B)炭素数14〜24であり、一般式(1)で表される分岐脂肪酸
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、a、b、cの総和は、a+b+c=11〜21であり、bは1である分岐の飽和脂肪酸。)
(C)第3級アミン化合物
(D)炭素数1〜8の有機酸
が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のベシクル組成物によれば、すすぎ時に滑らかで、ぬるつきを抑制し、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑制する毛髪化粧料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のベシクル組成物は、以下の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び水から形成される連続相が水相である。以下、各成分について具体的に説明する。
(A)炭素数14〜24の直鎖脂肪酸
(B)所定の構造を有する炭素数14〜24の分岐脂肪酸
(C)第3級アミン化合物
(D)炭素数1〜8の有機酸。
【0019】
はじめに、成分(A)について説明する。
本発明で用いる成分(A)は、炭素数14〜24の直鎖脂肪酸である。飽和でも不飽和でも良く、特に飽和脂肪酸が好ましい。ベシクルを形成する観点から、炭素数は14以上、特に16以上が好ましく、炭素数22以下、特に20以下が好ましい。中でもすすぎ時の滑らかさに優れる観点から、炭素数18のステアリン酸が好ましい。
【0020】
成分(A)の含有量は、ベシクル組成物中に0.5質量%以上、1質量%以上が好ましく、5質量%以下、3質量%以下が好ましい。
【0021】
本発明で用いる成分(B)は、炭素数14〜24の分岐脂肪酸であり、一般式(1)で表される分岐脂肪酸である。
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、a、b、cの総和は、a+b+c=11〜21であり、bは1である分岐の飽和脂肪酸。)
このような分岐脂肪酸としては、14-メチルペンタデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、17−メチルオクタデカン酸、18−メチルノナデカン酸、19−メチルエイコサン酸、20−メチルヘンエイコサン酸、14−メチルヘキサデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルオクタデカン酸、17−メチルノナデカン酸、18−メチルエイコサン酸、19−メチルヘンエイコサン酸が挙げられる。「化粧品原料基準 第二版注解I(1984)薬事日報社」P.87(C)イソステアリン酸に記載されている分岐脂肪酸は、メチル基が側鎖であり、位置は特定されていないが、オレイン酸からダイマー酸を合成する際に副生される不飽和側鎖脂肪酸に水素添加して得られるC18側鎖脂肪酸であると記載されている。具体的には、イソステアリン酸EX〔高級アルコール工業製〕が挙げられる。
【0024】
すすぎ時の滑らかさに優れる観点から、a+b+cは13(炭素数16)以上が好ましく、かつ、19(炭素数22)以下、特に17(炭素数20)以下が好ましい。中でもすすぎ時のぬるつきのない使用感の観点から、a+b+cは15のメチル分岐を1つ有するイソステアリン酸が好ましい。
【0025】
成分(B)の分岐脂肪酸は、2種以上を併用してもよい。
成分(B)の含有量は、ベシクル組成物中に0.2質量%以上、0.5質量%以上が好ましく、4質量%以下、2質量%以下が好ましい。
【0026】
また、成分(A)と成分(B)の質量割合は、(A)/(B)=70/30〜40/60とすることができる。さらに、ベシクルの粒径が5μm以上と大きく、すすぎ時の滑らかさ、ぬるつきの抑制、乾燥後の滑らかさ、べたつきの抑制の観点から、60/40〜50/50が好ましい。
【0027】
成分(A)と成分(B)は、ベシクルを形成する観点から、2種混合した時の凝固点が40℃以上が好ましく、すすぎ時に滑らかで、ぬるつかず、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑制する観点から、55℃以下になる組成で組み合わせることが好ましい。特にこの凝固点が45℃以上、52℃以下になる組成で組み合わせることが好ましい。
【0028】
さらに、成分(A)と成分(B)は、ベシクルの粒径が5μm以上と大きく、すすぎ時に滑らかで、ぬるつかず、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑制する観点から、総炭素数が同じ化合物を組み合わせることが好ましい。具体的には、直鎖ステアリン酸と16−メチルへプタデカン酸の組み合わせが好ましく、直鎖ステアリン酸とイソステアリン酸(イソステアリン酸EX)とを組み合わせても良い。
【0029】
本発明で用いる成分(C)は、一般式(2)で表される第3級アミン化合物が挙げられる。
【0030】
【化3】

【0031】
〔上記一般式(2)中、R11は総炭素数8〜35の−OCO−若しくは−COO−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、又は脂肪族アシルオキシ(ポリエトキシ)エチル基を示し、R12は炭素数1〜22のアルキル基、若しくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、2個のR12は同一でも異なってもよい。〕
【0032】
成分(C)の第3級アミン化合物としては、以下の(i)〜(iii)の3級アミン化合物等を1種又は2種以上含むことが好ましい。
【0033】
(i)ヒドロキシエーテルアルキルアミン
例えば下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化4】

【0035】
〔一般式(3)中、R17は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R18及びR19は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、fは1〜6の数を示し、f個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。eは1〜5の数を示す。〕
【0036】
具体的には、ヘキサデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミン、オクタデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンが挙げられる。
【0037】
(ii)エーテルアミン
例えば下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化5】

【0039】
〔上記一般式(4)中、R20は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R21及びR22は、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。〕
具体的には、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンが挙げられる。
【0040】
(iii)アルキルアミドアミン
例えば下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化6】

【0042】
〔上記一般式(5)中、R23は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R24は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。〕
具体的には、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ドコサナミド、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミドが挙げられる。
【0043】
上記の3級アミン化合物から選ばれる好ましいカチオン界面活性剤としては、塗布時、すすぎ時の滑らかさの観点から(ii)エーテルアミンまたは(iii)アルキルアミドアミンが好ましい。
その中でも特に、(ii)エーテルアミンが好ましく、特にN,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンが好ましく、中でも、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンが好ましい。
【0044】
成分(C)の3級アミンから選ばれるカチオン界面活性剤は、1種または2種以上を併用しても良い。すすぎ時の滑らかさ、乾燥後の滑らかさ付与の点から、成分(C)の含有量は、ベシクル組成物中に0.5〜15質量%が好ましい。更には1〜10質量%、特に3〜6質量%が好ましい。
【0045】
本発明で用いる成分(D)は、炭素数1〜8の有機酸である。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;安息香酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸などが挙げられる。これらの中で、ヒドロキシカルボン酸、酸性アミノ酸が好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、特にグリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸が好ましく、中でもグルコール酸、乳酸が好ましい。酸性アミノ酸としては、グルタミン酸が特に好ましい。
成分(D)の含有量は、ベシクル組成物中に0.05質量%以上、0.1質量%以上が好ましく、4質量%以下、2質量%以下が好ましい。
【0046】
本発明の毛髪化粧料は、水を含む。水は、精製水を使用することが好ましい。水の含有量は、特に限定されず、使用する目的に応じて、適宜調整して用いることができる。
【0047】
成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)の組合せとしては上述の化合物を適宜組み合わせることが可能である。組合せを特に限定するものではないが、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)の組み合せとして、成分(A)を直鎖ステアリン酸、成分(B)をイソステアリン酸(イソステアリン酸EX)とし、さらに成分(C)を(ii)エーテルアミンまたは(iii)アルキルアミドアミンとし、成分(D)としてはグリコール酸、又は乳酸の組み合わせが好ましい。
【0048】
成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び水により、ベシクルが形成され、特にいくつかの二重膜から成る多層ラメラベシクル(いわゆる、オニオンベシクル)が水中に分散したベシクル組成物が形成されやすい。また、ベシクルとは通常内層が中空あるいは水相である小胞体を指すが、ここで形成される多層ラメラベシクルは内層の一部もしくは全部が油相となる構造を持つものも包含される。また、本願において、「ベシクル」には多層ラメラベシクルも包含される。
【0049】
ベシクル分散液中のベシクル体積濃度を高くするという観点から、脂肪酸(成分(A)+成分(B))と有機酸(成分(D))とのモル比((A)+(B))/(D)は、5/5以上、好ましくは7/3以上であり、かつ、9/1以下、好ましくは8/2である。
【0050】
また、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を効率的にベシクル形成に寄与させるという観点から、(A)+(B)+(D)の酸当量と(C)の塩基当量との比は、0.25以上、好ましくは0.5以上、好ましくは0.6以上であり、かつ、4以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1.8以下である。
【0051】
さらに、ベシクル分散液の保存安定性やハンドリング性という観点から、ベシクル分散液中の成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
【0052】
本発明のベシクル組成物はベシクルの分散液(プレミックス)の形態をとることが望ましい。このベシクル分散液は、例えば以下の段階を経て得ることができる。
すなわち、
(i)成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を含有する油相を、当該油相の融点以上の温度で溶解する工程と、
(ii)得られた油相に水相を加えながら混合する工程と、
によって好適に製造できる。このような手順に従えば、連続相が水相であるベシクル組成物が得られる。
【0053】
工程(i)においては安定的な製造の観点から油相は溶解する必要がある。このため、油相の融点以上の温度で溶解し、更に油相の融点より5℃以上高い温度で溶解することが好ましく、特に油相の融点より10℃以上高い温度で溶解することが好ましい。
また、油相は均一に混合された状態であることが好ましい。そこで、本工程は油相を混合しながら溶解させることが好ましい。混合方法は特に限定しないが、例えば攪拌により混合することが好ましい。
【0054】
工程(ii)においては水相滴下時の温度は油相温度及び滴下する水相の温度及び混合装置での加熱あるいは冷却により適宜決めることが出来る。ここで、「水相」には、イオン交換水、蒸留水などの精製水を用いるが、水に溶解する後述する(E)成分である多価アルコール、例えばグリセリンやジプロピレングリコールなどを含有させることもできる。また、効率的にベシクルを製造する観点から、油相温度及び滴下する水相の温度を、形成させるベシクルの相転移温度以上にすることが好ましい。
【0055】
ベシクル分散液中のベシクルの体積濃度は油相への水相の滴下速度及び水相滴下時の攪拌速度により、またベシクルの粒径は水相滴下開始以降の攪拌速度(せん断速度)により調整可能である。油相への水相の滴下速度や滴下時の攪拌速度の最適値はベシクル組成物の処方や成分比及び配合槽の大きさ、形状によって変化するが、水相滴下途中で最も粘度の上昇する状態において均一に混合できる条件が好ましい。更に水相を滴下していくと、ベシクル分散液の粘度は低下し、ベシクル体積濃度は減少する。滴下する水相の量はベシクル分散液の保存安定性、ハンドリング性を考慮して適宜調整可能である。
【0056】
油相への水相の滴下速度は上述のように適宜選択できるが、ベシクル分散液中のベシクルの体積濃度を高める目的から、10分以上時間をかけて滴下することが望ましい。特に滴下速度を制限するものではないが、例えば、滴下する水相の全量が600gであれば、5〜20g/分で滴下することが好ましい。
【0057】
また、ベシクル組成物の安定性の観点から、工程(ii)の後に
(iii)水相滴下終了後、速やかにベシクルの相転移温度以下まで冷却する工程
を含むベシクル組成物の製造方法であることが好ましい。
【0058】
また、ベシクルが球状の場合の平均粒径は、毛髪塗布時の馴染み感のさらなる向上という観点から、5μm以上、好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、かつ、500μm以下、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、特に50μm以下が好ましい。ここで、平均粒径は、上記ベシクル体積濃度の測定で用いられる粒度分布測定装置、例えばベックマン・コールター株式会社製のMultisizerTM4またはシスメックス株式会社製CDA−1000Xなど、または、レーザ回折式粒度分布測定装置、例えば島津製作所社製のSALD2100あるいは株式会社堀場製作所製LA−920などを用いて、循環方式におけるフローセルの中を移動するベシクルにレーザ光を照射して得られる散乱光の強度分布を測定し、当該強度分布から変換して得られる体積分布により平均粒径を測定することができる。測定は室温下(15〜30℃)にて行うことが望ましい。
【0059】
本発明のベシクル組成物は、さらに、(E)多価アルコールを含んでいてもよい。
成分(E)として具体的には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、イソペンチルジオール、ソルビトールなどが挙げられる。特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0060】
ここで、前記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)の具体的な組合せに加えて、成分(E)を添加してもよく、特に成分(E)としてプロピレングリコール、ジプロピレングリコールと組み合わせることが好ましい。
【0061】
成分(E)の含有量は、ベシクル組成物の保存安定性の観点から、ベシクル組成物全体に対して0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%である。特に2〜20質量%が好ましい。
【0062】
成分(E)の添加においては、前記(i)の段階において、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を含有する油相を、油相の融点以上の温度で溶解させた後、油相に成分(E)を加えることができる。または、前記(i)の段階において、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)を含有する油相を、油相の融点以上の温度で固形物が無くなるまで溶解させた油相を得てもよい。(i)の段階の後、得られた油相に水相を加えながら混合する(ii)の段階を経ることによって、ベシクル体積濃度が高く、保存安定性の高いベシクル分散液を得ることができる。さらにベシクルの保存安定性の観点から水相滴下終了後、速やかにベシクルの相転移温度以下まで冷却する(iii)の段階を経ることが好ましい。
【0063】
また、油相には本発明のベシクルの製造を阻害しない範囲で任意の成分を入れることができる。任意成分としては、例えば各種エキス類及び酸化防止剤などを挙げることができるが、これに限定されない。油相に添加できる任意成分は安定的なベシクル組成物の製造の観点から油相全体の1質量%以下である。
水相には本発明のベシクルの製造を阻害しない範囲で任意の成分を添加できる。添加できる任意成分としては、例えば各種エキス類及び防腐剤などがあるが、特にこれに限定されない。水相に添加できる任意成分は安定的なベシクル組成物の製造の観点から、水相全体の0.1質量%以下である。
【0064】
なお、高級アルコールは、乳化の際にベシクルではなく、層状のラメラ構造をとりやすくなるため、ベシクル組成物中2質量%以下が好ましい、特に1質量%以下が好ましく、中でも0.5質量%以下が好ましく、ベシクル組成物中には含まないか、あるいは実質的に含まない方がよい。
【0065】
ベシクル組成物を製造する際には、せん断混合状態の油相に水相を滴下する。混合装置はせん断混合ができれば特に限定されないが、水相添加途中で高粘度になる場合には高粘度物を混合できる装置、例えばプライムミクス株式会社製アヂホモミキサー、T.K.コンビミックス、みづほ工業株式会社製真空乳化攪拌装置、住友重機械工業株式会社製マックスブレンド攪拌槽、佐竹化学機械工業株式会社製スーパーミックス攪拌槽などが好ましい。攪拌速度については特に限定するものではないが、例えば50〜100rpmで攪拌するのが好ましい。
【0066】
確証はないが、このような本発明の製造方法により得られるベシクルでは、毛髪に塗布した際に容易にベシクルから膜状に構造変化することにより、毛髪表面での特性を好適に変化させることができるものと考えられる。
また、従来のベシクル構造は、例えば特表2002−516831号公報に記載されているように、ステロール類、リン脂質などの特定の脂質が介在することにより構成されている。これに対して、本発明は、ステロール類やリン脂質を含有していなくてもベシクル組成物を形成できる。すなわち、ベシクル構造を従来からリンス、コンディショナーなどの毛髪化粧料に使用される成分により構成することができるという点で新しい知見ということができる。従って、本発明は、当該分野における新規な製剤処方を提供するものである。
【0067】
本発明の毛髪化粧料は、前述したベシクル組成物を含有する。
毛髪化粧料中のベシクル組成物の含有量としては、柔軟性、平滑性、しっとり感等を付与し、特にすすぎ時に滑らか、ぬるつかず、乾燥後に滑らか、べたつきのない毛髪化粧料を提供する観点から、ベシクルを構成する成分(A)直鎖脂肪酸および成分(B)分岐脂肪酸の総量が、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%となる量が挙げられる。このような毛髪化粧料は、従来の毛髪化粧料よりも有効成分の含有量を低減させても、従来の毛髪化粧料により実現されていた柔軟性、平滑性、しっとり感、しなやかさを維持または向上させ、かつ、すすぎ時に滑らかで、ぬるつかず、乾燥後に滑らかで、べたつきを抑えることができる。
このような毛髪化粧料としては例えば、コンディショナー、リンス、トリートメント、シャンプーなどが挙げられる。特に効果的な毛髪化粧料として、コンディショナー、リンス、トリートメントが好ましい。これらの毛髪化粧料は、毛髪化粧料塗布後、洗い流す使用形態でも洗い流さない使用形態でも良い。
【0068】
ベシクル組成物を含有する毛髪化粧料は本発明のベシクル組成物を別途、通常の方法で調製した毛髪化粧料に添加、混合することで得られる。通常の方法で調整した毛髪化粧料とは例えば1種または複数の界面活性剤と脂肪族アルコールとを含むベース混合物と言い、この他にシリコーン、油性成分などを配合した一般的な毛髪化粧料も包含される。これは任意の方法で調整することができる。
【0069】
ベース混合物として使用するカチオン界面活性剤は、4級アンモニウム、3級アミン化合物が挙げられ、特に3級アミン化合物が好ましい。3級アミン化合物は、成分(C)に挙げられた化合物から選択される。特に、ベシクル組成物で使用した3級アミン化合物と同じ成分を用いることが好ましい。
【0070】
ベース混合物として使用する脂肪族アルコールは、炭素数12〜26の脂肪族アルコールが好ましい。これにより、毛髪への塗布時の毛髪を滑らかにすることができる。直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましく、中でも、炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましい。特に炭素数16〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールがより好ましい。具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。
【0071】
毛髪化粧料の処方や製造方法は特に限定されるものではないが、例えば加熱攪拌した水相にカチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールと乳化シリコーンを含有する油相を添加し、乳化することで得られる。
通常の毛髪化粧料に本ベシクル組成物を配合する方法としては、少なくとも1種のカチオン界面活性剤と脂肪族アルコールを含むベース混合物に、前記ベシクル組成物を混合する工程を含む方法が挙げられ、この時、ベシクルの安定性の観点から、ベシクルの相転移温度以下の温度で配合することが望ましい。これによりベシクル組成物の構造を維持した毛髪化粧料を得ることができる。
【実施例】
【0072】
(実施例1A)
以下の手順にて、ベシクル組成物(プレミックス)を得た。
ステアリン酸(ルナックS−90V:花王株式会社製)4.2g、イソステアリン酸(イソステアリン酸EX:高級アルコール工業株式会社製)2.8g、乳酸(ムサシノ乳酸90:株式会社武蔵野化学研究所製)0.60g、及びファーミンDM E−80(N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミン:花王株式会社製)12.0gを、300mlビーカーにいれ、80℃までプロペラで攪拌下加熱し、原料を完全溶解した。この油相中に、水相として80℃に加熱したイオン交換水180.4gを10分かけて定速滴下し、80℃にて乳化した。その後35℃以下まで放冷を行った。このようにして得られたベシクル組成物をプレミックスとした。このように油相を攪拌しながら水相を滴下する乳化形式を一般に転相乳化という。表1には、プレミックスの製造条件およびプレミックス10.00gに換算した各成分の量(g)を示した。
【0073】
(実施例2A〜8A、比較例1B〜2B)
実施例1Aと同様に、表1に示した処方にてベシクル組成物を得た。ただし、成分A、成分B、成分Eに関しては、以下のものを用いた。
パルミチン酸:ルナックP−95:花王株式会社製
ミリスチン酸:ルナックMY−98:花王株式会社製
16−メチルオクタデカン酸:特開2008−255050記載の実施例1の製造方法で合成した。
ジプロピレングリコール:DPG−RF:株式会社ADEKA製
【0074】
(実施例1〜10、比較例1〜2)
ここで、調製したベシクル組成物であるプレミックスを用いて、ヘアコンディショナーの配合を行い、各評価を行った。なお、本実施例1〜10及び比較例1〜2で調整したヘアコンディショナーは洗い流す形態で使用する毛髪化粧料である。
【0075】
(ヘアコンディショナー)
300mlビーカーに水相としてイオン交換水167.8g、ムサシノ乳酸90を1.38g入れ、55℃までプロペラで攪袢下加熱した。その後、ファーミンDM E−80を4.90g、ステアリルアルコール(カルコール8098:花王株式会社製)11.16g、DPG−RF(同上)1.86gから成る油相を80℃で均―溶解した後、水相中に添加し、10分間300rpmで攪拌して乳化した。300rpmで攪拌しながら35℃以下まで放冷してベース混合物を調製した後、前述のベシクル組成物(プレミックス)7.14gを添加し、ヘアコンディショナーとした。
なお、実施例4および6については、ファーミンDM E−80を4.90g添加するかわりに、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミド(アミドアミンMPS:日光ケミカルズ株式会社製)を4.58g添加した以外は、上述と同様の手順にてリンスを調製した。
【0076】
(成分Aと成分B混合物の凝固点測定)
加熱溶解した成分Aと成分Bの混合物を測定用セルに精秤、封入したサンプルを作成し、示差走査熱量計(EXSTAR6000:セイコーインスツル株式会社製)を用いて凝固点を測定した。測定条件は5℃から、1℃/分の加熱速度で90℃まで昇温した後、1℃/分の冷却速度で5℃まで冷却した。冷却時の発熱ピークが発生する位置から凝固点を決定した。
【0077】
(プレミックスのベシクル構造観察)
プレミックスを光学顕微鏡(ECLIPSE E800:NIKON社製)を用いて、室温、偏光条件下(直交ニコル)観察した。
また、プレミックス中ベシクルの平均粒径は、ベックマンロコールター株式会社製のMultisizerTM4を用いて25℃で測定した。なお、平均粒径は体積基準のメディアン径(D50)を用いた。
【0078】
(感触評価)
ストレートパーマ1回、ブリーチ2回処理を施した日本人女性の毛髪をダメージ毛髪とし、それぞれ20g(長さ15〜20cm、平均直径80μm)の毛髪束を、下記の組成の標準シャンプー2gを用いて洗浄した毛髪束に、表2に示すヘアコンディショナー2gを塗布し、毛髪全体に十分に馴染ませた後、およそ30秒間約40℃の流水下で濯ぎ、ついで、タオルドライを行い、ドライヤーで十分に乾燥させた。
【0079】
・標準シャンプーの処方(pH7.0)
25%ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩 62.0%
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.3%
エデト酸二ナトリウム 0.15%
安息香酸ナトリウム 0.5%
塩化ナトリウム 0.8%
75%リン酸 適量
香料、メチルパラベン 適量
精製水 残量
【0080】
毛髪の「すすぎ時の滑らかさ」、「すすぎ時のぬるつきのなさ」、「乾燥後の滑らかさ」、「乾燥後のべたつきのなさ」を評価した。評価は6人で4段階評価で行い、その評価の合計値を示した。
【0081】
(評価基準)
「すすぎ時の滑らかさ」
4:非常に滑らか
3:やや滑らか
2:あまり滑らかでない
1:滑らかでない
【0082】
「すすぎ時のぬるつきのなさ」
4:髪のぬるつきが全くない
3:髪のぬるつきがあまりない
2:髪のぬるつきが少しある
1:髪のぬるつきがある
【0083】
「乾燥後の滑らかさ」
4:非常に滑らか
3:やや滑らか
2:あまり滑らかでない
1:滑らかでない
【0084】
「乾燥後のべたつきのなさ」
4:べたつかない
3:ほとんどべたつかない
2:ややべたつく
1:べたつく
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)、(B)、(C)、(D)及び水から形成される連続相が水相であるベシクル組成物であって、成分(A)と成分(B)との質量割合が(A)/(B)=70/30〜40/60であり、かつ、平均粒径が5〜500μmであるベシクルを含有するベシクル組成物:
(A)炭素数14〜24の直鎖脂肪酸
(B)炭素数14〜24であり、一般式(1)で表される分岐脂肪酸
【化1】

(式中、a、b、cの総和は、a+b+c=11〜21であり、bは1である分岐の飽和脂肪酸。)
(C)第3級アミン化合物
(D)炭素数1〜8の有機酸。
【請求項2】
成分(A)および成分(B)の混合物の凝固点が40℃以上55℃以下である請求項1に記載のベシクル組成物。
【請求項3】
さらに(E)多価アルコールを含有する請求項1または2に記載のベシクル組成物。
【請求項4】
前記ベシクル組成物中の前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計が1〜20質量%である請求項1から3のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項5】
前記成分(A)、(B)及び(D)において(A)+(B)のモル総和と成分(D)のモルの比が、((A)+(B))/(D)=5/5以上、9/1以下である請求項1から4のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項6】
前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)において、(A)+(B)+(D)の酸当量の総和と(C)の塩基当量の比が((A)+(B)+(D))/(C)=0.25〜4である請求項1から5のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項7】
前記成分(A)と前記成分(B)との質量割合が(A)/(B)=60/40〜50/50である請求項1から6のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項8】
前記成分(B)が炭素数16〜22の分岐脂肪酸である請求項1から7のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項9】
前記成分(A)と前記成分(B)の脂肪酸の炭素数が同じである請求項1から8のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項10】
成分(A)がステアリン酸であり、
成分(B)がイソステアリン酸であり、
成分(C)がエーテルアミンまたはアルキルアミドアミンのいずれかであり、
成分(D)がグリコール酸または乳酸のいずれかである
請求項1から9のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項11】
トリートメント、コンディショナーまたはリンスの形態であり、1種または複数のカチオン界面活性剤と脂肪族アルコールとを含むベース混合物に、請求項1から10のいずれか一項に記載のベシクル組成物を添加することで得られる毛髪化粧料。
【請求項12】
次の成分(A)〜(D):
成分(A)炭素数14〜24の直鎖脂肪酸;
成分(B)炭素数14〜24であり、一般式(1)で表される分岐脂肪酸
【化2】

(式中、a、b、cの総和は、a+b+c=11〜21であり、bは1である分岐の飽和脂肪酸。)
成分(C)第3級アミン化合物;
成分(D)炭素数1〜8の有機酸;
及び水を含有し、成分(A)と成分(B)との質量割合が(A)/(B)=70/30〜40/60である油相を当該油相の融点以上の温度で溶解させる工程と、
溶解した油相を水相に加えながら混合する工程と
を含む、連続相が水相であるベシクル組成物の製造方法。
【請求項13】
次の成分(A)〜(D):
成分(A)炭素数14〜24の直鎖脂肪酸;
成分(B)炭素数14〜24であり、一般式(1)で表される分岐脂肪酸
【化3】

(式中、a、b、cの総和は、a+b+c=11〜21であり、bは1である分岐の飽和脂肪酸。)
成分(C)第3級アミン化合物;
成分(D)炭素数1〜8の有機酸;
及び水を含有し、成分(A)と成分(B)との質量割合が(A)/(B)=70/30〜40/60である油相を当該油相の融点以上の温度で溶解させる工程と、
溶解した油相を水相に加えながら混合し、連続相が水相であるベシクル組成物を製造する工程と、
少なくとも1種のカチオン界面活性剤と脂肪族アルコールを含むベース混合物に、前記ベシクル組成物を混合する工程と
を含む、毛髪化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2012−149009(P2012−149009A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9269(P2011−9269)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】