説明

ベッド背上げ装置

【課題】構造が簡単で、ランバーサポート機能の不使用時においてランバーサポート部材の紛失のおそれをなくし得るベッド背上げ装置を提供する。
【解決手段】背上げ機構20Aは、背上げアーム200と、背上げ駆動源210と、背上げアーム200に追従する背上げ従動アーム300とを有する。背上げ従動アーム300は、本体アーム310とランバーサポート部材350とを有する。ランバーサポート部材350は、本体アーム310のうち先端部の側に取り付けられ背中ボトム102のうち腰部側のボトム部分103をボトムフレーム110に対して遠ざけて使用者の腰部を腹側に押圧するランバーサポート位置と、背上げ機構20Aに取り付けた状態でランバーサポート位置を解除する解除位置とに切り替え可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベッドに横たわる使用者の背中を下半身に対して持ち上げる背上げ機能をもつベッド背上げ装置に利用できる。
【背景技術】
【0002】
ベッド背上げ装置として、背上げ動作時に、使用者を支えるボトムのうち腰部付近のボトム部分が使用者の後方へ後退し、使用者の腹部の圧迫感を軽減できるものが開示されている(特許文献1)。このものによれば、背上げ動作時に、背上げアームとは別に設けられたローラーが、背上げアームと連動して動きながらカムを乗り越えることにより、ボトムの一部を押し上げ、腰部付近(骨盤)を使用者の腹側に向けて起こすランバーサポート機能が得られ、骨盤を起こすことにより腹部の圧迫感をより一層軽減できる。
【0003】
更に、ベッド背上げ装置として、背上げ動作前に臀部を下げ、腰部を持ち上げた後に、背上げ動作に入ることで、骨盤を起こした状態で背上げを行えることから、腹部の圧迫感を軽減できるものが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−237493号公報
【特許文献2】特開2002−172144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る装置によれば、ランバーサポート機能を使用せずに、即ち、背中ボトムの一部を使用者の腰部側に突出させて骨盤を特に起こする必要がないときには、カムを使用しないため、カムを外す必要があるが、カムの収納場所がないため、カムが紛失する恐れがある。
【0006】
特許文献2に係る装置によれば、臀部を下げるためや腰部を持ち上げるために、構造が非常に複雑である。臀部を下げるためや腰部を持ち上げる機構を調整および解除する機能を持っているが、身体状況により機能を解除するには構造が複雑でわかりにくい。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、構造が簡単化され、ランバーサポート機能を使用しないときにおいて、ランバーサポート部材を紛失するおそれを低減させたベッド背上げ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベッド背上げ装置は、(i)ベッドを構成する基体と、(ii)基体に設けられベッドに横たわる使用者の背中を支える背中ボトムと、(iii)背中ボトムのうちの少なくとも腰部側のボトム部分を支えるボトムフレームと、(iv)使用者の背中を使用者の下半身に対して持ち上げるように背中ボトムを持ち上げる背上げ機構とを具備しており、
(v)背上げ機構は、基端部が基体に回動可能に枢支され先端部が背中ボトムを持ち上げるための背上げアームと、背上げアームを背上げ方向および背下げ方向に回動させるための背上げ駆動源と、基端部が基体に回動可能に枢支され背上げアームに追従して背上げ方向および背下げ方向に回動するための背上げ従動アームとを有しており、
(vi)背上げ従動アームは、(vii)基端部が基体に回動可能に枢支され先端部がボトムフレームに回動可能に枢支された本体アームと、(viii)本体アームのうち先端部の側に取り付けられ背中ボトムのうち腰部側のボトム部分をボトムフレームに対して遠ざけて使用者の腰部を腹側に向けて押圧するランバーサポート位置と、背上げ機構に取り付けた状態でランバーサポート位置を解除する解除位置とに保持可能なランバーサポート部材とを有する。
【0009】
本発明によれば、背上げ従動アームは、基端部が基体に回動可能に枢支され先端部がボトムフレームに回動可能に枢支された本体アームと、本体アームのうち先端部の側に取り付けられたランバーサポート部材とを有する。ランバーサポート部材は、使用者の背中を支える背中ボトムのうち腰部側のボトム部分をボトムフレームに対して遠ざけて使用者の腰部を腹側に向けて押圧して骨盤を起こすランバーサポート位置と、背上げ機構に取り付けた状態でランバーサポート位置を解除する解除位置とに切り替え可能とされている。ランバーサポート位置では、使用者の腰部はやや反った状態となり、使用者の姿勢が前かがみになることが抑制され、ベッド上の使用者の腹部の圧迫感が抑えられる。使用者の身体状況によっては、ランバーサポート位置を解除した方が好ましい場合もある。この場合、ランバーサポート部材を背上げ機構に取り付けた状態で、ランバーサポート部材を解除位置に保持できる。このため、ランバーサポート機能を発揮させないときにおいても、ランバーサポート部材の紛失のおそれを解消できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランバーサポート部材は、背中ボトムのうち腰部側のボトム部分をボトムフレームに対して遠ざけて使用者の腰部を腹側に向けて押圧するランバーサポート位置と、解除位置とに切り替え可能とされている。この場合、ランバーサポート部材を背上げ機構に取り付けた状態で、ランバーサポート部材を解除位置に保持できる。このため、ランバーサポート機能を発揮させないときにおいても、ランバーサポート部材の紛失のおそれを解消できる。更に本発明によれば、背上げ従動アームは、本体アームとランバーサポート部材とで形成されており、ランバーサポート部材の取り付けで済むため、構造が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係り、背上げ機構を備えるベッド装置の側面図である。
【図2】(A)は実施形態1に係り、ランバーサポート部材をランバーサポート位置に切り替えつつ、背上げ機構を背上げ方向に動作させているベッド装置の側面図であり、(B)は、ランバーサポート部材を解除位置に切り替えつつ、背上げ機構を背上げ方向に動作させているベッド装置の側面図である。
【図3】(A)は実施形態1に係り、ランバーサポート部材をランバーサポート位置に固定している状態を示す要部の側面図であり、(B)は、ランバーサポート部材をランバーサポート位置から解除位置に切り替える途中状態を示す要部の側面図であり、(C)は、ランバーサポート部材を解除位置に切り替えた保持した状態を示す要部の側面図である。
【図4】実施形態1に係り、背上げアーム、第1背上げ従動アームおよび第2背上げ従動アームが動作する過程を示す側面図である。
【図5】実施形態2に係り、背上げ機構を備えるベッド装置の側面図である。
【図6】実施形態2に係り、昇降機構の駆動機構を拡大して示す側面図である。
【図7】実施形態2に係り、背上げ機構を備えるベッド装置の平面図である。
【図8】(A)は実施形態3に係り、ランバーサポート部材をランバーサポート位置に切り替えつつ、背上げ機構を背上げ方向に動作させているベッド装置の側面図であり、(B)は、ランバーサポート部材を解除位置に切り替え、且つ、背上げ機構を背上げ方向に動作させているベッド装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ベッドとしては、フレームの高さ位置を昇降可能に調整できるタイプでも良いし、固定的なタイプでも良い。好ましくは、ランバーサポート部材は、ランバーサポート位置および解除位置の双方において背上げ機構に取り付けられている。この場合、ランバーサポート部材を使用しない解除位置においても、ランバーサポート部材は背上げ機構に取り付けられているため、ランバーサポート部材のランバーサポート機能の不使用時において、ランバーサポート部材の紛失のおそれを解消できる。
【0013】
好ましくは、ランバーサポート部材は、(i)第1アームおよび第2アームを有するようにくの字形状に成形したサポート部材と、(ii)第1アームおよび第2アームのうちの一方に設けられ背中ボトムのうちの少なくとも腰部側のボトム部分に接触可能な接触子(例えば回転ローラ等)と、(iii)背中ボトムのうちの少なくとも腰部側のボトム部分に接触子を接触させるランバーサポート位置と、腰部側のボトム部分に接触子を接触させないランバーサポート解除位置とに切り替え可能にサポート部材を本体アームまたはボトムフレームに取り付ける取付具とを有する。取付具としてはボルトを例示できる。
【0014】
好ましくは、ボトムフレームはピンをもち、サポート部材はランバーサポート部材を位置調整させるときにおいてピンを相対移動させる長孔をもち、ランバーサポート位置ではピンが長孔の長さ方向の一端部側に位置しており、解除位置ではピンが長孔の長さ方向の他端部側に位置している。長孔を利用してランバーサポート部材の向きを変更できる。好ましくは、取付具は、ランバーサポート位置においてランバーサポート部材を本体アームまたはボトムフレームに取り付けると共に、解除位置においてランバーサポート部材を本体アームまたはボトムフレームに取り付けるように、取付具は、ランバーサポート位置および解除位置の双方に共用される。ランバーサポート部材を使用しない解除位置において、ランバーサポート部材を取付具により本体アームまたはボトムフレームに取り付けるため、ランバーサポート部材の紛失のおそれが解消される。取付具としてはボルトが例示される。
【0015】
好ましくは、基体は、下フレームと、下フレームに沿って前記下フレームの上方に位置する上フレームとを備えている。下フレームおよび上フレームの長さ方向の一端部側に配置された駆動機構が設けられていることが好ましい。下フレームおよび上フレームの長さ方向の他端部側に配置され駆動機構の昇降駆動に従動する従動機構が設けられていることが好ましい。好ましくは、駆動機構は、(i)下端部が下フレームに回動可能に枢支され上端部が上フレームにこれの長さ方向に沿って移動可能とされた長リンクと、上端部が上フレームのうち長リンクの上端部よりも上フレームの長さ方向の端側に回動可能に枢支され且つ下端部が長リンクの長さ方向の中間部に回動可能に枢支された短リンクとを有するy型リンクと、(ii)y型リンクの長リンクと前記短リンクとが交差すると共に上フレームに対向する側の交差角度を変更させて上フレームを昇降させるためのアクチュエータとを備えている。
【0016】
(実施形態1)
図1〜図4は本発明の実施形態1を示す。図1に示すように、本実施形態に係るベッド背上げ装置は、ベッドを構成する基体100と、基体100の上フレーム101に設けられベッドに横たわる使用者の背中を支える背中ボトム102と、使用者の尻を支える尻ボトム105と、使用者の大腿部を支える大腿ボトム106と、使用者の下腿部を支える下腿ボトム107と、背中ボトム102のうちの少なくとも腰部側のボトム部分103を支えるボトムフレーム110と、使用者の背中を使用者の下半身に対して持ち上げるように背中ボトム102を持ち上げる背上げ機構20Aとを有する。
【0017】
図1に示すように、背上げ機構20Aは、背中ボトム102を持ち上げるための背上げアーム200と、背上げアーム200を背上げ方向(矢印U1方向)および背下げ方向(矢印U2方向)に回動させるための背上げ駆動源210とを有する。背上げアーム200の基端部200eは、基体100の上フレーム101に枢支具200rにより回動可能に枢支されており、先端部には背上げローラ200fが回転可能に設けられている。背上げローラ200fは、背上げ時において、背中ボトム102は、背中ボトム102を支えつつ背中ボトム102に沿って転動する。背上げアーム200の基端部200eには、背上げ駆動源210により駆動される駆動アーム213が連結されている。
【0018】
図1に示すように、背上げ駆動源210は、流体圧またはモータで駆動する本体211と、本体211に対して伸縮可能なロッド212とをもつ。ロッド212は枢支具212rを介して駆動アーム213に連結されている。背上げ駆動源210が正方向に駆動してロッド212が矢印B1方向に伸長すると、駆動アーム213を介して背上げアーム200が背上げ方向(矢印U1方向)に回動する。背上げ状態において、背上げ駆動源210が逆方向に駆動してロッド212が矢印B2方向に収縮すると、駆動アーム213を介して背上げアーム200が背下げ方向(矢印U2方向)に回動する。
【0019】
図2(A)(B)に示すように、背上げ機構20Aは、背上げアーム200を有する他に、第1背上げ従動アーム300および第2背上げ従動アーム400を有する。第2背上げ従動アーム400は、これの基端部400eが枢支具400rを介して基体100の上フレーム101に高さ方向において回動可能に枢支されており、背上げアーム200に追従して背上げ方向および背下げ方向に回動する。第2背上げ従動アーム400の先端部400fは、枢支具400mを介してボトムフレーム110に回動可能に枢支されている。図2(A)(B)に示すように、ボトムフレーム110には、これの横方に突出する回動中心となるピン113が溶接または固定具などで固定されている。第1背上げ従動アーム300は、本体アーム310と、本体アーム310のうち先端部310fの側に取り付けられたランバーサポート部材350とを有する。本体アーム310は、これの基端部310eが枢支具310rを介して上フレーム101に回動可能に枢支されており、背上げアーム200に追従して背上げ方向および背下げ方向に回動する。本体アーム310の先端部310fに形成されている図略の穴は、ピン113に回動可能に嵌合されている。
【0020】
図2および図3に示すように、ランバーサポート部材350は、第1アーム351および第2アーム352を連結部で連結させるように略くの字形状(L字形状)に成形されたサポート部材353と、第1アーム351に設けられ背中ボトム102のうちの少なくとも腰部側のボトム部分103に接触可能な接触子として機能する転動体である回転ローラ360と、サポート部材353を本体アーム310に係合させた状態でボトムフレーム110に取り付けるための取付具380とを有する。取付具380は、雄螺子をもつボルトとされている。ボトムフレーム110の取付孔115の背面側には、雌螺子をもつナット382(図3(B)参照)が溶接や固定具等で固定されている。
【0021】
図3に示すように、サポート部材353の第2アーム352は、ランバーサポート部材350を位置調整させるときにおいてピン113を相対移動させるための一直線状に延びる長孔390をもつ。ランバーサポート位置を示す図3(A)では、取付具380が長孔390の他端部390f側に嵌合された状態でナット382の雌螺子に螺合されることにより、ランバーサポート部材350は本体アーム310に係合している状態でボトムフレーム110に固定されている。このようにランバーサポート位置では、ピン113が長孔390の長さ方向の一端部390e側に位置している。
【0022】
すなわち、図2(A)および図3(A)は、ランバーサポート部材350がランバーサポート位置に切り替えられている状態を示す。ランバーサポート位置では、背中ボトム102のうち腰部側のボトム部分103の背面103rをランバーサポート部材350の回転ローラ360のローラ外周面で押圧し、ボトムフレーム110の支持面に対して矢印A1方向(使用者に向かう方向)に向けて移動させることにより、ボトム部分103をボトムフレーム110の支持面110sから遠ざけて浮上させている。このようなランバーサポート位置では、使用者の腰部を腹側に押圧する使用者の腰部はやや反った状態となり、使用者の姿勢が前かがみになることが抑制され、ベッド上の使用者の腹部の圧迫感が抑えられる。
【0023】
ところで、使用者の身体状況によっては、ランバーサポート機能を使用しない方が好ましい場合がある。この場合、ランバーサポート部材350は、ランバーサポート位置(図3(A))から、解除位置(図3(C))に切り替えられる。この場合、図3(A)に示すように、ランバーサポート部材350がランバーサポート位置に設定されている状態において、まず、取付具380をボトムフレーム110の取付孔115から外す。その後、図3(B)に示すように、ランバーサポート部材350をボトムフレーム110に沿って上方向(Y3方向)に移動(スライド)させ、ピン113と長孔390の他端部390fを当てる。この場合、ピン113と長孔390の他端部390fが当たるため、ランバーサポート部材350の過剰移動(過剰スライド)が防止される。その後、ランバーサポート部材350をピン113を回転中心として矢印A3方向に沿って下向きに約180°程度旋回させる。これにより、図3(C)に示すように、ランバーサポート機能を果たす回転ローラ360をボトムフレーム110の背面110r側に退避させて格納させる。このように回転ローラ360をボトムフレーム110の背面110r側に退避させて格納させた状態で、取付具380をボトムフレーム110の取付孔115に挿入し、取付孔115の背面側のナット382の雌螺子に螺着させる。これによりランバーサポート部材350をこれの解除位置に固定した状態でボトムフレーム110に固定する。なお、回転ローラ360は、背上げアーム200,第1背上げ従動アーム300,第2背上げ従動アーム400の動作の邪魔にならないようにされている。
【0024】
図3(A)に示すようにランバーサポート位置では、長孔390の一端部390eは上側に位置してピン113に対面しており、他端部390fは下側に位置して取付具380に対面している。図3(C)に示すように解除位置では、ランバーサポート位置とは反対の位置関係であり、長孔390の一端部390eは下側に位置して取付具380に対面しており、他端部390fは上側に位置してピン113に対面している。ランバーサポート部材350を約180°旋回させているためである。このようにすれば、取付具380および取付孔115は、ランバーサポート位置および解除位置に共用でき、それぞれ単数にでき、取付構造の簡単化に有利である。
【0025】
ここで、図2(B)および図3(C)は解除位置を示す。解除位置では、回転ローラ360はボトムフレーム110に対して後方(使用者の腰部から遠ざかる方向)に退避しているため、腰部側のボトム部分103の背面103rに回転ローラ360のローラ外周面は接触しておらず、ボトム部分103は、解除方向(矢印A2方向)に移動して、使用者の腰部から遠ざけられている。このような解除位置では、図3(C)に示すように、回転ローラ360がボトム部分103の背面103rに非接触であり、ピン113が長孔390の長さ方向の他端部390f側に位置している。
【0026】
このように本実施形態によれば、長孔390を利用してランバーサポート部材350の向きを変更できる。ランバーサポート部材350をランバーサポート位置から解除位置に切り替えられているときには、ランバーサポート部材350は背上げ機構20Aに取り付けられている。このため、ランバーサポート機能の不使用時において、ランバーサポート部材350の紛失のおそれを解消できる。ランバーサポート機能を発揮させるときには、ランバーサポート部材350をランバーサポート位置に切り替えておく。この状態で、背上げ駆動源210が正方向に駆動してロッド212が矢印B1方向(図1参照)に伸長すると、駆動アーム213を介して背上げアーム200が枢支具200rを中心として背上げ方向(矢印U1方向)に回動する。このとき、第1背上げ従動アーム300は追従して枢支具310rを中心として背上げ方向(矢印U10方向)に回動する。第2背上げ従動アーム400は追従して枢支具400rを中心として背上げ方向(矢印U20方向)に回動する。
【0027】
本実施形態によれば、図3(A)に示すように、ランバーサポート機能の使用時において、ランバーサポート部材350は、ピン113および取付具380の二点支持構造であり、使用者による荷重負荷が回転ローラ360に作用するときであっても、ランバーサポート部材350の空転が防止される。殊に、荷重負荷方向(矢印A1方向と逆方向)と長溝390の延びる方向とは、ほぼ直交するため、ランバーサポート部材350の空転が効果的に防止される。また、図3(C)に示すように、解除位置においても、ランバーサポート部材350は、ピン113および取付具380の二点支持構造であり、ランバーサポート部材350の空転が防止される。図4(A)〜(I)は、背中ボトム102が背上げされるとき、背上げアーム200、第1背上げ従動アーム300および第2背上げ従動アーム400の回動過程を示す。図4(A)〜(I)に示すように、背中ボトム102は角度0°から次第に背上げされる。例えば角度75°まで背上げされる。最大背上げ角度は75°に限定されず、ベッドの種類に応じて適宜変更できる。
【0028】
本実施形態によれば、従来と同様に、背上げ時において、第1背上げ従動アーム300および第2背上げ従動アーム400の作動により、背中ボトム102のうち腰部側のボトム部分103は使用者の後方(図4(I)に示す矢印RA方向)に変位するようにされている。使用者の腹部への圧迫を抑えるためである。
【0029】
以上説明したように本実施形態によれば、使用者の身体状況によっては、ランバーサポート部材350はランバーサポート位置から解除位置に切り替えられる。このようにランバーサポート部材350がランバーサポート位置から解除位置に切り替えられているとき、ランバーサポート部材350は、背上げ機構20Aに取り付けられているため、ランバーサポート機能を使用しないときにおいて、ランバーサポート部材350の紛失のおそれを解消できる。
【0030】
本実施形態によれば、取付具380は、ランバーサポート位置においてランバーサポート部材350を本体アーム310またはボトムフレーム110に取り付けると共に、解除位置においてランバーサポート部材350を本体アーム310またはボトムフレーム110に取り付ける。このように、取付具380は、ランバーサポート位置および解除位置の双方において共用される。このためランバーサポート機能を使用しない解除位置において、取付具380の紛失のおそれが解消される。
【0031】
このように本実施形態によれば、ランバーサポート部材350は、ランバーサポート位置および解除位置の双方において背上げ機構20Aに取り付けられている。この場合、ランバーサポート部材350を使用しない解除位置においても、ランバーサポート部材350は背上げ機構20Aに取り付けられているため、ランバーサポート部材350の不使用時において、ランバーサポート部材350の紛失のおそれを解消できる。
【0032】
なお本実施形態によれば、図3(A)から理解できるように、ボトム104はボトムフレーム110に固定されている。ランバーサポート機能を発揮するときにおいて、ボトム部分103はボトムフレーム110から浮上するものの、ボトム104はボトムフレーム110から浮上しない。もし、ランバーサポート位置において、ボトム部分103およびボトム104が一体成形され、ボトムフレーム110から浮上すると、浮上量が過剰となるおそれがあるためである。
【0033】
(実施形態2)
図5〜図7は本発明の実施形態2を示す。図7はベッドの構造の平面形態の配置概念を示す図であり、単に複数の部材の配置関係を示す図であるため、複数の部材同士が重複して描かれている。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、要部構成について図2〜図4を準用する。以下、異なる部分を中心として説明する。ベッド装置は、図5に示すように、下フレーム1と、下フレーム1に沿って下フレーム1の上方に位置する上フレーム2と、下フレーム1および上フレーム2の長さ方向の一端部側に配置された駆動機構3と、下フレーム1および上フレーム2の長さ方向の他端部側に配置され駆動機構3の昇降駆動に従動する従動機構5とを有する。下フレーム1および上フレーム2は互いに平行に沿って配置されている。なお、ベッド装置の長さ方向をL方向として示す。ベッド装置の幅方向をW方向(図7参照)として示す。
【0034】
図7はベッド装置の平面視を示す。図7に示すように、下フレーム1は、矢印W方向の中央に配置された矢印L方向に延びる単数の長下支柱10と、長下支柱10の長さ方向の一端部10eに連結され矢印W方向に延びる第1端下支柱11と、長下支柱10の長さ方向の他端部10fに連結され矢印W方向に延びる第2端下支柱12とを有する。このように下フレーム1は平面視においてH形状とされており、コンパクト化されており、下フレーム1付近における清掃作業が楽になる。
【0035】
図7に示すように、上フレーム2は、矢印L方向に延びる互いに平行な2個の長上支柱20R,Lと、長上支柱20R,20Lの長さ方向(矢印L方向)の中央部同士を互いに連結し且つ矢印W方向に延びる中央上支柱21と、長上支柱20R,20Lの長さ方向の一端部同士を互いに連結し且つ矢印W方向に延びる第1端上支柱22と、長上支柱20の長さ方向の他端部同士を互いに連結し且つ矢印W方向に延びる第2端上支柱23とを有する。上フレーム2の一端部2eは使用者の足側となる。上フレーム2の他端部2fは使用者の頭側となる。頭部および足を逆にしてもよい。上フレーム2には、使用者を載せるボトム24が設けられる。
【0036】
図6に示すように、駆動機構3は、長リンク31と短リンク32とを有するy型リンク30と、y型リンク30を立起させたり寝かせたりするための昇降駆動源として機能するアクチュエータ33とを有する。長リンク31の下端部は、ピン状の枢支具31fを介して下フレーム1に回動可能に枢支されている。長リンク31の上端部は、枢支具31eを介してスライダ34に接続されており、スライダ34は上フレーム2の長上支柱20R,20Lにこれの長さ方向(矢印L方向)に沿って矢印A1,A2方向に移動可能とされている。短リンク32は中心軸線Pkをもつ。図6に示すように、短リンク32の上端部は、上フレーム2の長さ方向の一端部2e側に枢支具32eより回動可能に枢支されている。図6に示すように、短リンク32の上端部の枢支具32eは、上フレーム2のうち長リンク31の上端部(枢支具31e,スライダ34)の位置よりも一端部2e側に位置する。y型リンク30のy形状を形成するためである。短リンク32の下端部は、枢支具32fにより長リンク31の長さ方向の中間部に回動可能に枢支されている。ベッドの幅方向において、y型リンク30は、長上支柱20R,20Lの側に合計2組設けられている。2組のy型リンク30同士は、これらを連結するパイプまたは軸で形成された第1連動軸35により同期して連動する。第1連動軸35は中心軸線Pcをもち、ベッド装置の幅を示す矢印W方向に延設されている。
【0037】
図5および図6に示すように、y型リンク30の長リンク31と短リンク32とが交差すると共に上フレーム2に対向する側の交差角度をθとして示す。アクチュエータ33は上フレーム2の長さ方向(矢印L方向)において、y型リンク30と従動リンク機構50との間に配置されている。アクチュエータ33は、交差角度θを変更させて上フレーム2を矢印H1,H2方向に昇降させる。アクチュエータ33は空気圧または油圧等の流動圧、あるいは、モータで駆動できるようにされており、上フレーム2に長さ方向の中間部にピン状の枢支具35eにより回動可能に枢支された本体35と、本体35に対して矢印B1,B2方向(図6参照,斜め下方、斜め上方)に伸縮可能な伸縮ロッド36とを有する。アクチュエータ33は、図略の操作スイッチに繋がる通信部35xを有する制御部35cをもつ。
【0038】
更に図5および図6に示すように押し上げ部材37が設けられている。押し上げ部材37は、y型リンク30を駆動させるものであり、y型リンク30の長リンク31と短リンク32とが交差する交差角度θ(上フレーム2に対面する交差角度)をアクチュエータ33の駆動により変更させる。押し上げ部材37は、短リンク32とアクチュエータ33の伸縮ロッド36との間に設けられている。図5および図6に示すように、押し上げ部材37は、互いに一定の角度をなすように連結されている第1押し上げリンク38と第2押し上げリンク39とを有する。第1押し上げリンク38と第2押し上げリンク39とで形成される角度は、アクチュエータ33のサイズ等に応じて適宜設定される。第1押し上げリンク38および第2押し上げリンク39は、第1連動軸35に溶接またはボルト等により一体的に固定されており、第1連動軸35と共に一体的に連動し、第1連動軸35の中心軸線Pc回りで回動する。
【0039】
図6に示すように、第1押し上げリンク38の一端部には摺動子40(例えば転動コロ、転動ボール)が設けられている。摺動子40は、短リンク32においてこれの長さ方向に沿って矢印D1,D2方向に移動可能に設けられている。これにより床面FAに対する短リンク32の方向を変更させる。第1押し上げリンク38の他端部は、前記したように溶接やボルト等により第1連動軸35に固定されており、第1連動軸35と連動する。第2押し上げリンク39の上端部は、第1押し上げリンク38に連動するように第1連動軸35に溶接やボルト等により固定されている。図6に示すように、第2押し上げリンク39の下端部は、枢支具39fを介してアクチュエータ33の伸縮ロッド36の先端部に回動可能に枢支されている。
【0040】
ここで、アクチュエータ33が作動し、アクチュエータ33の伸縮ロッド36が斜め下方つまり矢印B1方向(図6参照,上フレーム2を上昇させる方向)に伸長すると、第2押し上げリンク39の下端部の枢支具39fが第1連動軸35を中心として第2押し上げリンク39と共に矢印E1方向(上フレーム2を上昇させる方向)に移動する。このため、第1連動軸35を介して第2押し上げリンク39に連結されている第1押し上げリンク38が、第1連動軸35を中心として(矢印F1方向,上フレーム2を上昇させる方向)に回動して立起する方向に回動する。このとき、第1押し上げリンク38の摺動子40が短リンク32の長さ方向に沿って矢印D1方向に沿って枢支具32f(長リンク31の中間部)に向けて下方に移動する。この結果、短リンク32が床面FAに対して立起する方向(矢印F1方向)に回動する。同様に、長リンク31が床面FAに対して立起する方向(矢印R1方向)に回動し、交差角度θが相対的に小さくなる。この結果、y型リンク30の上端部(すなわち、長リンク31の枢支具31e,短リンク32の枢支具32e)の高さHが高くなり、上フレーム2は矢印H1方向に向けて垂直方向に上昇する。
【0041】
これに対して、アクチュエータ33が逆方向に作動し、アクチュエータ33の伸縮ロッド36が矢印B2方向つまり斜め下方に収縮すると、第2押し上げリンク39の下端部の枢支具39fが矢印E2方向に回動する。このため、第2押し上げリンク39が第1連動軸35を中心として矢印E2方向に回動し、床面FAに対して寝る方向に変位する。第2押し上げリンク39に連動して第1押し上げリンク38も第1連動軸35を中心として矢印F2方向に回動する。このとき、第1押し上げリンク38の摺動子40が矢印D2方向(長リンク31の中間部から遠ざかる方向)に向けて短リンク32に沿って移動する。同様に、長リンク31が床面FAに対して寝る方向に回動する。結果として交差角度θが相対的に大きくなる。この結果、y型リンク30の長リンク31の上端部および短リンク32の上端部の高さが低くなる。よって、上フレーム2は矢印H2方向に基本的には平行移動しつつ下降され、上フレーム2の高さHは低くなる。上記したようにアクチュエータ33の伸縮ロッド36の伸縮に伴い、押し上げ部材37を構成する第1押し上げリンク38および第2押し上げリンク39は、交差角度θを相対的に変化させてy型リンク30を変形させつつ、y型リンク30の長リンク31の上端部および短リンク32の上端部の高さを増減させ、床面FAに対する上フレーム2の高さHを昇降させることができる。
【0042】
従動機構5について説明を加える。従動機構5は、上フレーム2の昇降動作を安定化させるものであり、従動リンク機構50をもつ。図5に示すように、従動リンク機構50は、y型リンク30の長リンク31の向きと基本的にはほぼ平行に沿った向きとなる従動第1リンク51と、従動第1リンク51に回動可能に枢支されると共にy型リンク30の短リンク32の向きと基本的にはほぼ平行に沿った向きとなる従動第2リンク52とを有する。従動第1リンク51は中心軸線Prをもつ。従動第2リンク52は中心軸線Psをもつ。従動第1リンク51および従動第2リンク52は、両者の連結点である枢支具51eを矢印L方向において外方向(アクチュエータ33から遠ざける方向)に位置させるような『く』の字形状をなしている。従動第1リンク51の長さは長リンク31の長さの約半分である。従動第2リンク52の長さは短リンク32とほぼ同等である。ここで、従動第1リンク51の下端部は、他端部51fを介して下フレーム1に回動可能に枢支されている。従動第1リンク51の上端部は、枢支具51eを介して従動第2リンク52の下端部に回動可能に枢支されている。従動第2リンク52の上端部は、枢支具52eを介して上フレーム2の長上支柱20R,20Lに回動可能に枢支されている。なお、図6に示すように、長リンク31の下半分と短リンク32とで形成する形状は、両者の連結点である枢支具32fを矢印L方向において内方向(アクチュエータ33に近づける方向)に位置させるような『く』の字形状をなしており、この結果、従動第1リンク51および従動第2リンク52で形成される『く』の字形状とほぼ同一形状をなす。
【0043】
ここで、図5から理解できるように、長リンク31および従動第1リンク51は基本的には平行に同じ方向に傾動しており、長リンク31の下端である枢支具31fから第1連動軸35までの距離と、従動第1リンク51の下端である枢支具51fから第2連動軸54までの距離とは、基本的には、同じとされている。これにより従動性が良好に確保されている。
【0044】
ここで、アクチュエータ33により駆動機構3のy型リンク30が駆動すると、y型リンク30の動作は、連結部材53を介して従動機構5の従動第1リンク51に伝達され、従動第1リンク51を同期させて従動させる。このとき、図5から理解できるように、y型リンク30の長リンク31のうち床面FAに対する回動角度(向き)は、従動リンクの従動第1リンク51のうち床面FAに対する回動角度(向き)と同じであることが好ましい。従って、従動リンク機構50の第1従動リンク51は、y型リンク30の長リンク31に対して平行度が高いことが好ましい。更に、y型リンク30の短リンク32のうち床面FAに対する回動角度(向き)は、従動リンク機構50の従動第2リンク52のうち床面FAに対する回動角度(向き)と同じであることが好ましい。従って、従動第2リンク52は、y型リンク30の短リンク32に対して平行度が高いことが好ましい。
【0045】
以上説明したように本実施形態によれば、アクチュエータ33の駆動により上フレーム2を矢印H1,H2方向に平行移動させつつ昇降させることができる。すなわち、上フレーム2に使用者の身体が載せられている状態で、アクチュエータ33の伸縮ロッド36が伸長すれば、上フレーム2を矢印H1方向に沿って垂直方向に上昇させることができる。同様に、上フレーム2の載置部24に使用者の身体や物体が載せられている状態で、アクチュエータ33の伸縮ロッド36が収縮すれば、上フレーム2を矢印H2方向に沿って垂直方向に下降させることができる。このとき上フレーム2は下死点と上死点との間で昇降するにあたり、上フレーム2の長さ方向の一端部2eおよび他端部2fは矢印L方向において過剰に変位することが抑制される。
【0046】
本実施形態によれば、図5および図6に示すように、駆動機構3のy型リンク30と従動機構5の従動リンク機構50との間にはスペース42が形成される。このため、上フレーム2における下方の清掃作業が容易となる。更に本実施形態によれば、駆動機構3においては、互いに同じ長さの長リンク31をXの字形状に交差させるx型リンクではなく、長リンク31および短リンク32を有するy型リンク30が設けられている。長リンク31の長さよりも短リンク32の長さは、短く設定されている。このため図6に示すように、上フレーム2の下方において、y型リンク30の短リンク32のうち下フレーム1に向かう延長線PA側には、スペース43が形成される。このため上フレーム2の下方における清掃作業が楽になる。更に、図5に示すように、従動リンク機構50は『く』の字形状をなしているので、従動リンク機構50がXの字形状のXリンクである場合に比較して、スペース45が形成され、上フレーム2の下方のうち従動機構5側における清掃作業が楽になる。図6に示すように、アクチュエータ33の本体35の枢支具35e(アクチュエータ33を上フレーム2に回動可能に枢支する部位)とy型リンク30の長リンク31の上端部の枢支具31e(長リンク31を上フレーム2に回動可能に枢支する部位)との間には、距離ΔLが設けられている。
【0047】
(実施形態3)
図8(A)(B)は本発明の実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図8(A)(B)に示すように、ボトムフレーム110には、これの横方に突出する回動中心となるピン113が溶接などで固定されている。第1背上げ従動アーム300は、本体アーム310と、本体アーム310のうち先端部310fの側に取り付けられたランバーサポート部材350とで形成されている。本体アーム310の基端部310eは、枢支具310rを介して基体100の上フレーム101に回動可能に枢支されている。本体アーム310の先端部310fに形成されている図略の穴は、ピン113に回動可能に嵌合されている。
【0048】
図8(A)に示すように、ランバーサポート部材350は、略くの字形状(L字形状)に成形されたサポート部材353と、第1アーム351に設けられ背中ボトム102のうちの少なくとも腰部側のボトム部分103に接触可能な接触子として機能する転動体である回転ローラ360と、サポート部材353を本体アーム310に係合させた状態でボトムフレーム110に取り付けるための取付具380とを有する。取付具380は、雄螺子をもつボルトとされている。ボトムフレーム110の第1取付孔115fの背面側には、雌螺子をもつ第1ナット382fが溶接や固定具等で固定されている。ボトムフレーム110の第2取付孔115sの背面側には、雌螺子をもつ第2ナット382sが溶接等で固定されている。第1取付孔115fおよび第2取付孔115sは、ピン113を挟むような位置として形成されている。
【0049】
図8(A)に示すように、ランバーサポート位置では、取付具380が第1取付孔115fに嵌合された状態で第1ナット382fの雌螺子に螺合されることにより、ランバーサポート部材350は本体アーム310に係合している状態でボトムフレーム110に固定されている。すなわち、図8(A)に示すように、ランバーサポート位置では、背中ボトム102のうち腰部側のボトム部分103の背面103rをランバーサポート部材350の回転ローラ360のローラ外周面で押圧し、ボトムフレーム110に対して矢印A1方向(使用者に向かう方向)に向けて突出させて浮上させる。これによりボトム部分103をボトムフレーム110から遠ざけている。
【0050】
使用者の身体状況によっては、ランバーサポート機能を解除した方が好ましい場合がある。この場合、ランバーサポート部材350は、解除位置(図8(B))に切り替えられる。この場合、図8(B)に示すように、ランバーサポート部材350がランバーサポート位置に設定されている状態において、まず、取付具380をボトムフレーム110の第1取付孔115から外す。その後、ランバーサポート部材350をピン113を回動中心として矢印A3方向に沿って下向きに180°程度旋回させる。これにより、図8(B)に示すように、回転ローラ360をボトムフレーム110の背面110rよりも後方(使用者の腰部から遠ざかる方向)に退避させて格納させる。このように回転ローラ360を退避させた状態で、取付具380をボトムフレーム110の第2取付孔115sに挿入し、第2ナット382sの雌螺子に螺着させる。これによりランバーサポート部材350を解除位置に設定した状態で、ボトムフレーム110に固定する。このような解除位置では、回転ローラ360はボトムフレーム110に対して後方(使用者の腰部から遠ざかる方向)に退避しているため、腰部側のボトム部分103の背面103rに回転ローラ360のローラ外周面は接触していない。よってボトムフレーム110は解除方向(矢印A2方向)に移動して使用者の腰部から遠ざけられている。このような解除位置では、図8(B)に示すように、回転ローラ360がボトム部分103の背面103rに非接触である。このように本実施形態によれば、ピン113を回転中心としてランバーサポート部材350を回動させる。このようにランバーサポート部材350が解除位置に切り替えているときにおいて、つまり、ランバーサポート部材350のランバーサポート機能の不使用時において、ランバーサポート部材350は背上げ機構20Aのボトムフレーム110に固定されているため、ランバーサポート部材350の紛失のおそれを解消できる。
【0051】
(その他)
ランバーサポート位置から解除位置に切り替えるにあたり、ランバーサポート部材350の旋回角度は180°程度とされているが、これに限定されるものではなく、90°程度、120°程度、270°程度とする構造としても良い。ボトム部分103を押圧する接触子として、回転可能に回転ローラ360が採用されているが、これに限らず、ボトム部分103に接触しつつ滑る滑走体としても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0052】
100は基体、101は上フレーム、102は背中ボトム、103とボトム部分、110はボトムフレーム、113はピン、115は取付孔、20Aは背上げ機構、200は背上げアーム、210は背上げ駆動源、211は本体、212はロッド、213は駆動アーム、300は第1背上げ従動アーム、310は本体アーム、350はランバーサポート部材、351は第1アーム、352は第2アーム、353はサーポート部材、360は回転ローラ(従動子)、380は取付具、390は長孔、400は第2背上げ従動アームを示す。
【0053】
更に、1は下フレーム、2は上フレーム、3は駆動機構、30はy型リンク、31は長リンク、32は短リンク、33はアクチュエータ、34はスライダ、35は第1連動軸、36は伸縮ロッド、38は第1押し上げリンク、39は第2押し上げリンクを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドを構成する基体と、前記基体に設けられベッドに横たわる使用者の背中を支える背中ボトムと、前記背中ボトムのうちの少なくとも腰部側のボトム部分を支えるボトムフレームと、使用者の背中を使用者の下半身に対して持ち上げるように前記背中ボトムを持ち上げる背上げ機構とを具備しており、
前記背上げ機構は、基端部が前記基体に回動可能に枢支され先端部が前記背中ボトムを持ち上げるための背上げアームと、前記背上げアームを背上げ方向および背下げ方向に回動させるための背上げ駆動源と、基端部が前記基体に回動可能に枢支され前記背上げアームに追従して背上げ方向および背下げ方向に回動するための背上げ従動アームとを有しており、
前記背上げ従動アームは、
基端部が前記基体に回動可能に枢支され先端部が前記ボトムフレームに回動可能に枢支された本体アームと、
前記本体アームのうち先端部の側に取り付けられ前記背中ボトムのうち腰部側のボトム部分を前記ボトムフレームに対して遠ざけて使用者の腰部を腹側に向けて押圧するランバーサポート位置と、前記背上げ機構に取り付けた状態で前記ランバーサポート位置を解除する解除位置とに保持可能なランバーサポート部材とを有するベッド背上げ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ランバーサポート部材は、前記ランバーサポート位置および前記解除位置の双方において前記背上げ機構に取り付けられているベッド背上げ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ランバーサポート部材は、
第1アームおよび第2アームを有するようにくの字形状に成形したサポート部材と、
前記第1アームおよび前記第2アームのうちの一方に設けられ前記背中ボトムのうちの少なくとも腰部側の前記ボトム部分に接触可能な接触子と、
前記背中ボトムのうちの少なくとも腰部側の前記ボトム部分に前記接触子を接触させる前記ランバーサポート位置と、腰部側の前記ボトム部分に前記接触子を接触させない前記解除位置とに切り替え可能に前記サポート部材を前記本体アームまたは前記ボトムフレームに取り付ける取付具とを有するベッド背上げ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記ボトムフレームはピンをもち、前記サポート部材は前記ランバーサポート部材を位置調整させるときにおいて前記ピンを相対移動させる長孔をもち、
前記ランバーサポート位置では前記ピンが前記長孔の長さ方向の一端部側に位置しており、解除位置では前記ピンが前記長孔の長さ方向の他端部側に位置しているベッド背上げ装置。
【請求項5】
請求項3または4において、前記取付具は、前記ランバーサポート位置において前記ランバーサポート部材を前記本体アームおよび/または前記ボトムフレームに取り付けると共に、前記ランバーサポート位置および前記解除位置の双方において前記ランバーサポート部材を前記本体アームまたは前記ボトムフレームに取り付けるように、前記取付具は、前記ランバーサポート位置および/または前記解除位置の双方に共用されるベッド背上げ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記基体は、下フレームと、前記下フレームに沿って前記下フレームの上方に位置する上フレームとを備えており、
前記下フレームおよび前記上フレームの長さ方向の一端部側に配置された駆動機構と、前記下フレームおよび前記上フレームの長さ方向の他端部側に配置され前記駆動機構の昇降駆動に従動する従動機構とを具備しており、
前記駆動機構は、(i)下端部が前記下フレームに回動可能に枢支され上端部が前記上フレームにこれの長さ方向に沿って移動可能とされた長リンクと、上端部が前記上フレームのうち前記長リンクの上端部よりも前記上フレームの長さ方向の端側に回動可能に枢支され且つ下端部が前記長リンクの長さ方向の中間部に回動可能に枢支された短リンクとを有するy型リンクと、(ii)前記y型リンクの前記長リンクと前記短リンクとが交差すると共に前記上フレームに対向する側の交差角度を変更させて前記上フレームを昇降させるためのアクチュエータとを具備するベッド背上げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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