説明

ベッド装置

【課題】この発明はヘッドボード体のクッション体を傾斜させてリクライニング用として利用できるようにしたベッド装置を提供することにある。
【解決手段】フレーム1と、フレームの長手方向に沿って移動可能に設けられ上面にマットレス9が載置される載置体3と、フレームの長手方向一端に設けられたヘッドボード体15とを具備し、
ヘッドボード体は、フレームの長手方向一端に立設された固定部18と、固定部の前面に上下方向に変位しながら前後方向に回動可能に設けられ載置体がフレームの長手方向に沿って移動することで、載置体の動きに連動して垂直に起立した状態から下降しながら下端が前方に移動して傾斜するクッション体25とによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この本発明はヘッドボード体を利用して利用者の上半身を所定の傾斜角度で保持できるようにしたベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッド装置には、マットレスが載置される床板の、利用者の上半身に対応する部分を起伏可能に設け、この起伏可能な部分を背上げ機構によって起伏駆動できるようにした、いわゆる背上げ式のベッド装置が知られている。このような起伏式のベッド装置によれば、利用者はマットレス上で仰臥した状態で上半身を起こすことができるから、その状態でテレビを見たり、読書ができるなどのことがあり、非常に便利である。
【0003】
しかしながら、床板の一部を起上させるようにすると、その起上に伴いマットレスが屈曲されることになる。通常、マットレスはスプリングユニットを用いて構成されている。スプリングユニットを構成するばねとしては、コイルばねや連続ばねが用いられる。連続ばねは、一本の鋼線によって軸線を平行にした複数のコイル部及び隣り合うコイル部の上端と下端とを連結する連結杆が連続して形成されている。
【0004】
いずれのばねを用いて形成されたスプリングユニットであっても、その上下面の周縁部に枠線が設けられ、この枠線によってスプリングユニットの周辺部を補強している。そのため、そのような構成のスプリングユニットが用いられたマットレスを、起上される床板によって屈曲させようとしても、屈曲時の抵抗が非常に大きいため、確実に屈曲させることができなかったり、早期に損傷し易いなどのことがあった。
【0005】
とくに、連続ばねを用いたスプリングユニットは、枠線だけでなく、隣り合うコイル部を連続させる連結杆が屈曲時の抵抗になるから、コイルばねを用いたスプリングユニットに比べて屈曲抵抗が著しく大きいということがあった。
【0006】
そこで、床板を起上させてマットレスを屈曲させる代わりに、ヘッドボード体の前面に背凭れ体を回動可能に設け、この背凭れ体を所定の傾斜角度で保持できるようにすることで、利用者がマットレス上で上半身を起こした姿勢を維持できるようにしたベッド装置が提案されている。
【0007】
このような従来技術は特許文献1に示されている。すなわち、特許文献1に示されたベッド装置はヘッドボード体を備えている。このヘッドボード体は本体部を有し、この本体部にはアームの一端が回動可能に連結されている。アームの他端には背凭れ体が回動可能に連結されている。そして、上記背凭れ体は、上記本体部に収容された状態と、マットレス上で所定の角度で傾斜した状態とで保持できるようになっている。
【0008】
したがって、上記背凭れ体をマットレス上で所定の角度で傾斜させて保持すれば、利用者はこの背凭れ体に寄り掛かることで上半身を起こした姿勢をとることができるというものである。
【特許文献1】特開2001−353043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示されたベッド装置によると、背凭れ体を利用するときには、アームを回動させながら上記背凭れ体をヘッドボード体の収容部からマットレス上に移動させる。そして、このマットレスの上面に背凭れ体の下端を当接させて所定の角度に傾斜させ、その傾斜状態を上記アームで保持して使用することになる。
【0010】
そのため、利用者が背凭れ体に寄り掛かると、その利用者の上半身の荷重が背凭れ体の下端からマットレスの上面に加わることになるから、マットレスが早期に損傷し易いということがあった。
【0011】
しかも、背凭れ体は、マットレス上で傾斜させたときに、その上端がアーム体によって支持されているだけである。そのため、利用者が背凭れ体に寄り掛かったときに、下端がマットレス上でずれ動いて安定性が悪いということもある。
【0012】
また、利用者がマットレス上にいる状態、とくにヘッドボードに近い位置にいると、上記ヘッドボードに収容された上記背凭れ体を引き出し難い。そのため、背凭れ体を引き出すときには、利用者はマットレス上から降りなければならないことがあるから、そのような場合には上記背凭れ体を利用し難いということがある。
【0013】
この発明は、利用者が傾斜した背凭れ体に寄り掛かっても、その荷重がマットレスに加わったり、傾斜状態がずれ動くなどのことがなく、しかも利用者がマットレス上に居ながら上記背凭れ体を垂直な状態から容易に傾斜させることができるベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、フレームと、
このフレームの長手方向に沿って移動可能に設けられ上面にマットレスが載置される載置体と、
上記フレームの長手方向一端に設けられたヘッドボード体とを具備し、
上記ヘッドボード体は、
上記フレームの長手方向一端に立設された固定部と、
この固定部の前面に上下方向に変位しながら前後方向に回動可能に設けられ上記載置体が上記フレームの長手方向に沿って移動することで、上記載置体の動きに連動して垂直に起立した状態から下降しながら下端が前方に移動して傾斜する背凭れ体と
によって構成されていることを特徴とするベッド装置にある。
【0015】
上記背凭れ体は、下端部が上記載置体の長手方向一端に回動可能に連結されているとともに、上下方向中途部の背面にリンクの一端が回動可能に連結され、このリンクの他端は上記固定部に回動可能に連結されていて、
上記リンクは上記背凭れ体が回動して傾斜したときにこの背凭れ体を傾斜した状態で支持することが好ましい。
【0016】
上記載置体が上記フレームに対して移動して上記背凭れ体が所定の角度に傾斜したときに、上記載置体が上記フレームに対してそれ以上移動するのを阻止する第1のストッパ手段が設けられていることが好ましい。
【0017】
上記載置体の上記ヘッドボード体側に位置する一端部には、上記背凭れ体が垂直に起立した状態で、上記フレームに係合して上記載置体を移動不能に保持する第2のストッパ手段が設けられ、この第2のストッパ手段には上記フレームとの係合を解除する操作部材が設けられていることが好ましい。
【0018】
上記載置体を上記フレームに対して移動させて上記背凭れ体を所定の角度に傾斜させたときに、上記載置体の移動に連動して上記ヘッドボード体の前面と上記載置体の一端面との間に形成される空間部の幅方向両側の開口部を閉塞するカバーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、フレームに移動可能に設けられた載置体を移動させると、この載置体の動きに連動してヘッドボード体の背凭れ体が上記ヘッドボード体の固定部と上記載置体とに保持されて垂直な状態から所定の角度で傾斜する。
【0020】
そのため、傾斜した背凭れ体に利用者が寄り掛かっても、その荷重がマットレスに加わることがないばかりか、傾斜状態がずれ動くということもなく、さらに利用者が背凭れ体に寄り掛かりながらマットレスを介して載置体を移動させて上記背凭れ体を傾斜させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1と図2はこの発明のベッド装置を示す斜視図であって、このベッド装置は矩形状のフレーム1を備えている。このフレーム1の両側内面には前後方向に沿ってレール部材2(一方のみ図示)が設けられている。
【0022】
上記フレーム1の上面には、このフレーム1の平面形状とほぼ同じ大きさの矩形状をなした載置体3が設けられている。図3乃至図5に示すように、この載置体3の両側下面の一端部と他端部とにはそれぞれキャスタ4が設けられている。幅方向両側に位置するそれぞれ一対のキャスタ4は上記フレーム1の幅方向両側内面に設けられたレール部材2に沿って転動可能となっている。それによって、上記載置体3は上記フレーム1の長手方向に沿って移動可能になっている。
【0023】
図3と図4に示すように、上記載置体3の長手方向一端部の下面には、この載置体3の幅方向に沿って第1の横桟5が設けられている。この第1の横桟5は上記フレーム1の両側内面間の幅寸法よりもわずかに短く設定されている。上記フレーム1の一端部の両側内面には上記横桟5とで第1のストッパ手段を構成する第1の当接部材6が設けられている。
【0024】
上記載置体3の長手方向他端部の下面には、この載置体3の幅方向に沿って第2の横桟7が設けられている。この第2の横桟7は上記フレーム1の両側内面間の幅寸法よりもわずかに短く設定されている。上記フレーム1の他端部の両側内面には第2の当接部材8が設けられている。
【0025】
図4に示すように、上記載置体3を上記フレーム1の一端部方向へ所定距離移動させると、上記第1の横桟5の両端部が上記第1の当接部材6に当たって上記載置体3がそれ以上移動するのを阻止する。上記載置体3を上記フレーム1の他端部方向へ移動させると、上記第2の横桟7の両端部が上記第2の当接部材8に当たって上記載置体3がそれ以上移動するのを阻止する。
【0026】
上記載置体3の上面にはマットレス9が載置される。このマットレス9は、上記載置体3の長手方向一端部と他端部に設けられた第1のずれ止め部材11と第2のずれ止め部材12とによって載置体3の上面で長手方向に沿ってずれ動かないように保持されている。
【0027】
上記第1のずれ止め防止部材11は、棒鋼などの線材を側面形状がクランク状になるよう曲成し、その両端部を上記載置体3に埋設して設けられている。それによって、上記載置体3の上面側に突出した部分が上記マットレス9の長手方向の一端面に当接する。
【0028】
上記第2のずれ止め防止部材12は上記載置体3とほぼ同じ幅寸法の板材であって、下端部を上記載置体3の長手方向他端面に連結固定して設けられている。それによって、この第2のずれ止め防止部材12の一側面が上記マットレス9の長手方向の他端面に当接する。
【0029】
上記フレーム1の長手方向の他端にはヘッドボード体15が設けられている。このヘッドボード体15は背板16及びこの背板16の幅方向両端に設けられた側板17とによって前面が開放した箱型状の固定部18を有する。上記背板16及び側板17の下端は上記フレーム1の長手方向他端面に連結部材19によって連結され、上端には幅方向全長にわたって頭部クッション21が設けられている。
【0030】
図5に示すように、上記背板16の内面の幅方向両端部で、高さ方向中途部にはアングル状の一対の取付け具22(一方のみ図示)が設けられている。一対の取付け具22にはパイプ材をコ字状に曲成したリンク23の両側先端が回動可能に取り付けられている。
【0031】
上記載置体3に設けられた上記第2のずれ止め部材12の他側面の幅方向両端部にはパイプ材をコ字状に曲成した保持部材24の両側部が取付け固定されている。上記リンク23と上記保持部材24とには背凭れ体としてのクッション体25が取り付けられている。このクッション体25と上記固定部18とで上記ヘッドボード体15を構成している。
【0032】
すなわち、上記クッション体25は基板26の前面に弾性材27が設けられ、この弾性材27が外装地28によって被覆されている。上記基板26の背面の高さ方向中途部と下端部との幅方向両端部にはそれぞれ一対のフック部材29(1つのみ図示)が設けられている。
【0033】
高さ方向中途部に設けられた一対のフック部材29は上記リンク23の中途部に回動可能に連結され、下端部に設けられた一対のフック部材29は上記保持部材24の中途部に回動可能に連結されている。
【0034】
図1、図3及び図5に示すように、上記載置体3がフレーム1に対して移動していないときには、上記クッション体25はほぼ垂直に起立して箱型状の固定部18の前面開口を閉塞する状態にある。
【0035】
上記載置体3が図2と図4に示すようにフレーム1に対して移動すると、クッション体25は保持部材24に連結された下端が載置体3の移動に連動して前方に移動しながら回動して傾斜する。このとき、リンク23はクッション体25の回動方向と逆方向に回動する。それによって、クッション体25は載置体3の一端部下面に設けられた第1の横桟5がフレーム1に設けられた第1の当接部材6に当たるまで、傾斜方向に回動しながら下降することになる。
【0036】
図4に示すように、上記ヘッドボード体15の固定部18の一対の側板17の内面と、上記第2のずれ止め防止部材12の両端面とにはそれぞれカバー30(一方のみ図示)の幅方向一端と他端とが取付け固定されている。
【0037】
上記カバー30は載置体3がフレーム1に対して移動していないときには蛇腹状に折り畳まれて固定部18内に収容され、図2と図4に示すように載置体3が前方へ移動すると、その移動に連動して伸びて傾斜したクッション体25の下面側に形成される空間部の幅方向両端の開口を閉塞する。それによって、リンク23や保持部材24が外部に露出しないようになっている。
【0038】
図5に示すように、上記載置体3の長手方向の他端面である、上記第2のずれ止め防止部材12の他側面の下端部には第2のストッパ手段を構成する保持具31が設けられている。この保持具31はケース32を有し、このケース32にはストッパ33が図示しないばねによってその先端部をケース32の下端から突出する方向に付勢されてスライド可能に設けられている。ストッパ33の先端は一方の面が傾斜面で、他方の面が垂直面となっている。
【0039】
上記ケース32は上記第2のずれ止め防止部材12の他側面の下端部に取付け固定されている。図5に示すように、上記載置体3が上記フレーム1に対して移動していない状態では、上記ストッパ33の先端の垂直面を上記フレーム1の端面に設けられた係止金具34に係合させている。それによって、上記載置体3は前進方向へ移動不能となっている。
【0040】
なお、ストッパ33がフレーム1に係合した状態において、上記載置体3の後退方向(ヘッドボード体15側)への移動は第2の横桟7が第2の当接部材8に当たることで規制される。つまり、載置体3はストッパ33がフレーム1に係合した状態では前後方向どちらにも移動しないようになっている。
【0041】
上記ストッパ33の後端には帯紐状の操作部材35の一端が連結されている。この操作部材35の他端部はループ状に形成されていて、上記マットレス9の上面に導出されている。この操作部材35を引けば、上記ストッパ33がばねの付勢力に抗してスライドし、その先端がフレーム1の端面に設けられた係止金具34から外れる。それによって、上記載置体3はフレーム1に対して移動可能となる。
【0042】
このような構成のベッド装置によれば、ヘッドボード体15のクッション体25を図1、図3及び図5に示すようにほぼ垂直に起立させた状態或いは図2と図4に示すように下端が前方に向かって移動した傾斜状態のいずれかの状態で使用することができる。
【0043】
クッション体25がほぼ垂直に起立した状態では、第2のストッパ手段を構成するストッパ33が図5に示すようにフレーム1の端面に係合し、第2の横桟7が第2の当接部材8に当接している。それによって、マットレス9が載置された載置体3はフレーム1上で前後いずれの方向にも移動不能に位置決め保持されるから、上記クッション体25がほぼ垂直に起立した状態が維持される。
【0044】
クッション体25が垂直な状態のベッド装置は、利用者がマットレス9上で就寝したり、マットレス9上で上半身を起こし、上記クッション体25に寄り掛かって読書をするなどして利用することができる。
【0045】
上記クッション体25をほぼ垂直に起立させた状態で、そのクッション体25に利用者が寄り掛かる場合、利用者は上半身をほぼ直角に起こした姿勢となるため、その姿勢を長時間にわたって維持すると疲れ易いということがある。
【0046】
そのような場合にはマットレス9上に導出された操作部材35を引く。それによって、フレーム1の端面の係止金具34に係合したストッパ33が図示しないばねの付勢力に抗して上昇方向に移動し、上記係止金具34との係合が外れるから、その状態で利用者は頭部を頭部クッション21に当てた状態でクッション体25に寄り掛かり、上半身が後方へ倒れるよう、臀部によってマットレス9を前方に移動させるようにすれば、そのマットレス9とともに載置体3がフレーム1上を前方へ移動することになる。
【0047】
図2と図4は載置体3が前方へ移動した状態を示す。載置体3が前方へ移動すると、図4に示すように載置体3の長手方向の他端に設けられた保持部材24にフック部材29によって下端部が回動可能に連結されたクッション体25が連動し、下端が前方へ移動する。
【0048】
クッション体25の下端部が前方へ移動すると、リンク23が取付け具22に支持された両側先端部を支点として図5に示す起立した状態から倒伏方向へ回動する。つまり、リンク23がクッション体25と逆方向に回動する。
【0049】
それによって、クッション体25は起立状態から倒伏方向へ回動しながら上端が下降し、図4に示すように所定の傾斜角度で傾斜し、リンク23と保持部材24とによって傾斜状態で保持される。この状態で、第1の横桟5が第1の当接部材6に当接し、載置体3がそれ以上前方へ移動するのが阻止される。
【0050】
したがって、利用者は傾斜したクッション体25に寄り掛かることで、上半身を後方へ倒して楽な姿勢をとることができる。つまり、ヘッドボード体15のクッション体25をリクライニング用として利用することができる。
【0051】
所定の角度で傾斜した上記クッション体25は、リンク23と保持部材24とによって保持されている。つまり、従来のようにクッション体25の下端をマットレス9の上面に当てて支持せず、リンク23と保持部材24とで所定の角度で傾斜させた状態で保持することができる。
【0052】
そのため、クッション体25を傾斜させて利用する際、マットレス9の上面にクッション体25を介して利用者の荷重を加えることがないから、マットレス9を部分的に早期に損傷させるということをなくすことができる。
【0053】
しかも、クッション体25は載置体3の移動に連動して傾斜するとともに、所定の傾斜状態でリンク23と保持部材24とによって保持されているから、利用者がクッション体25に寄り掛かっても、その傾斜状態がずれ動くようなことがない。つまり、クッション体25を所定の傾斜角度で安定した状態で使用することができる。
【0054】
クッション体25を傾斜させる際、利用者はマットレス9の上面側に導出された操作部材35を引いてストッパ33をフレーム1に設けられた係止金具34から外し、マットレス9を介してたとえば臀部などを利用し、載置体3を前進方向へ移動させる力を付与すればよい。
【0055】
つまり、利用者はマットレス9上で上半身を起こして頭部を頭部クッション21に当ててストッパ33を外す。その状態で、下半身を前方へずらすようにすれば、マットレス9とともに上記載置体3を前方へずらすことができる。したがって、クッション体25を垂直な状態から傾斜させる際、その操作を利用者はマットレス9上から降りることなく行なえるから、非常に使い易く、便利である。
【0056】
なお、クッション体25を傾斜させた状態から垂直な状態へ戻す場合には、載置体3を後退方向へ移動させる。その場合、利用者はマットレス9上から降りてマットレス9の先端を後退方向(ヘッドボード体15側)へ押せばよい。
【0057】
載置体3を後退方向へ押して移動させると、ストッパ33の先端の傾斜面がフレーム1の内面に当たる。それによって、ストッパ33は上昇して上記フレーム1の上端を乗り越えて係止金具34に係合することになる。つまり、クッション体25を傾斜状態から起立させるために、載置体3をヘッドボード体15側へ移動させる際には、上記ストッパ33を自動的に係止金具34に係合させることができる。
【0058】
クッション体25を傾斜させたとき、このクッション体25の幅方向両側の開口部分がカバー30によって覆われる。そのため、クッション体25を傾斜させたときに、ヘッドボード体15を構成する固定部18の前面やクッション体25の下面側が露出することがないから、外観的にきわめて体裁がよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の一実施の形態を示すクッション体が垂直な状態にあるベッド装置の斜視図。
【図2】クッション体を傾斜させた状態のベッド装置の斜視図。
【図3】クッション体が垂直な状態にあるベッド装置の側断面図。
【図4】クッション体が傾斜した状態にあるベッド装置の側断面図。
【図5】ベッド装置のヘッドボード体側の端部を拡大した断面図。
【符号の説明】
【0060】
1…フレーム、2…レール部材、3…載置体、5…第1の横桟(第1のストッパ手段)、6…第1の当接部材(第1のストッパ手段)、9…マットレス、15…ヘッドボード体、18…固定部、23…リンク24…保持部材、25…クッション体(背凭れ体)、30…カバー、33…ストッパ(第2のストッパ手段)、35…操作部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
このフレームの長手方向に沿って移動可能に設けられ上面にマットレスが載置される載置体と、
上記フレームの長手方向一端に設けられたヘッドボード体とを具備し、
上記ヘッドボード体は、
上記フレームの長手方向一端に立設された固定部と、
この固定部の前面に上下方向に変位しながら前後方向に回動可能に設けられ上記載置体が上記フレームの長手方向に沿って移動することで、上記載置体の動きに連動して垂直に起立した状態から下降しながら下端が前方に移動して傾斜する背凭れ体と
によって構成されていることを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記背凭れ体は、下端部が上記載置体の長手方向一端に回動可能に連結されているとともに、上下方向中途部の背面にリンクの一端が回動可能に連結され、このリンクの他端は上記固定部に回動可能に連結されていて、
上記リンクは上記背凭れ体が回動して傾斜したときにこの背凭れ体を傾斜した状態で支持することを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
上記載置体が上記フレームに対して移動して上記背凭れ体が所定の角度に傾斜したときに、上記載置体が上記フレームに対してそれ以上移動するのを阻止する第1のストッパ手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項4】
上記載置体の上記ヘッドボード体側に位置する一端部には、上記背凭れ体が垂直に起立した状態で、上記フレームに係合して上記載置体を移動不能に保持する第2のストッパ手段が設けられ、この第2のストッパ手段には上記フレームとの係合を解除する操作部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項5】
上記載置体を上記フレームに対して移動させて上記背凭れ体を所定の角度に傾斜させたときに、上記載置体の移動に連動して上記ヘッドボード体の前面と上記載置体の一端面との間に形成される空間部の幅方向両側の開口部を閉塞するカバーが設けられていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−296787(P2006−296787A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123652(P2005−123652)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)