説明

ベッド装置

【課題】この発明は、床板体を起伏可能に設け、基体の内部を収容部として利用する場合、水平に倒伏した床板体を確実に保持できるベッド装置を提供することにある。
【解決手段】上面が開口し内部を収容部とした箱形状の基体1と、基体の長手方向一端部にそれぞれリンク機構4によって長手方向の一端部の幅方向両側が回動可能に連結されほぼ水平に倒伏した状態で基体の上面開口を閉塞する床板体3と、床板体と基体に一端と他端とをそれぞれ回動可能に連結して設けられその付勢力によって床板体を一端部を支点として他端部が上昇する回動方向に付勢したガススプリング22と、床板体をガススプリングの付勢力に抗してほぼ水平に倒伏させたときに床板体の他端部を基体の他端部に保持して床板体が上昇方向に回動するのを阻止する保持機構35と具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基体を物品の収容部として利用することができるようにしたベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベッド装置は箱形状の基体を有する。この基体の長手方向一端にはヘッドボードが立設されている。基体の上面には床板体が設けられ、この床板体の上面にはマットレスが載置される。
【0003】
このような構成のベッド装置において、上記基体の内部空間を小物類を収容するための収容部として利用できるようにしたものがある。基体の内部空間を収容部として利用する場合、上記基体を上面が開口した箱形状に形成するとともに、この基体に対して上記床板体を回動可能に連結する。そして、床板体を回動上昇させることで、上記基体の上面を開放し、内部空間である収容部に小物類を出し入れできるようにしている。
【0004】
基体を収容部として利用する場合、上記床板体の長手方向の一端を基体の長手方向一端に回動可能に連結して開閉可能にするようにしている。上記床板体の回動上昇を軽い力で楽に行なうことができるとともに、倒伏させるときには床板体を緩やかに下降させるようにするため、基体と床板体との間にばね作用を備えたガススプリングを設けるということが行なわれている。
【0005】
つまり、床板体を回動上昇させるときには、上記ガススプリングが復元力によって伸張するから、床板体を軽い力で回動上昇させることができ、水平方向に倒伏させるときには、上記ガススプリングが復元力に抗して縮小するから、上記床板体を緩やかに倒伏させることができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記ガススプリングは、上記床板体を上記基体上に水平に倒伏させたときに、床板体を上昇方向に付勢するばね作用、つまり床板体を上昇方向に付勢する付勢力が床板体の重量とバランスする。それによって、水平に倒伏させた床板体はその水平状態が維持されるようになっている。
【0007】
しかしながら、床板体に不用意に触れるなどすると、床板体の重量とガススプリングの付勢力とのバランス状態が崩れ、床板体にガススプリングの復元力が作用する。そのような場合、床板体は水平状態から上昇方向に回動し、基体の内部を露出させてしまうなどのことがあり、好ましくないということがあった。
【0008】
つまり、従来のベッド装置は床板体をその重量とガススプリングの付勢力とのバランスによって水平に倒伏させた状態を維持するようにしていたので、不用意な外力などが加わると浮き上がるなどして不安定であった。
【0009】
この発明は、基体の上面開口を閉塞するよう、床板体をほぼ水平に倒伏させた状態で、この床板体がガススプリングの付勢力によって上昇方向に回動することがないようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上面が開口し内部を収容部とした箱形状の基体と、
この基体の長手方向一端部にそれぞれリンク機構によって長手方向の一端部の幅方向両側が回動可能に連結されほぼ水平に倒伏した状態で上記基体の上面開口を閉塞する床板体と、
上記床板体と上記基体に一端と他端とをそれぞれ回動可能に連結して設けられその付勢力によって上記床板体を一端部を支点として他端部が上昇する回動方向に付勢したガススプリングと、
上記床板体を上記ガススプリングの付勢力に抗してほぼ水平に倒伏させたときに上記床板体の他端部を上記基体の他端部に保持してこの床板体が上昇方向に回動するのを阻止する保持手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【0011】
上記床板体は、水平に倒伏させたときに長手方向の他端部が上記基体の長手方向の他端部から突出するよう長さ寸法が上記基体の長さ寸法よりも長く設定されていて、
上記保持手段は、上記基体の長手方向の他端面に設けられた係止部材と、上記床板の長手方向の他端部の下面に回動可能に設けられ上記床板体を水平に倒伏させることで上記係止部材に弾性的に係合するフックと、このフックと上記係止部材との係合を解除する操作部材とによって構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、水平状態に倒伏させた床板体は、その状態が保持手段によって回動不能に保持されるから、床板体に不用意な外力が加わるようなことがあっても、上昇方向に回動することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0014】
図1に示すこの発明のベッド装置は基体1を備えている。この基体1は上面が開口し、内部を収容部2とした矩形箱形状に形成されていて、長手方向の一端にはヘッドボードHが設けられている。この基体1の上面開口は床板体3によって開閉されるようになっている。この床板体3は上記基体1よりも長さ寸法が長い矩形板状をなしていて、その長手方向一端部の幅方向両側部はそれぞれリンク機構4によって上記基体1に回動可能に連結されている。
【0015】
上記床板体3の上面には図2や図7に鎖線で示すマットレスMが載置されている。このマットレスMは床板体3の長手方向一端部の上面に設けられたL字状の一対の保持具5によって上記床板体3を回動上昇させたときに、床板体3上からずれ落ちることがないよう保持されている。
【0016】
図1乃至図3に示すように上記リンク機構4は、上記床板体3の長手方向一端部の幅方向両端部の内面に一辺が取付け固定されたアングル材からなる第1の連結部材6を有する。上記床板体3の末端側に位置する第1の取付け部材6の一端部には第1のリンク7の一端が第1の支軸8によって回動可能に連結されている。
【0017】
上記第1の取付け部材6の中途部には第2のリンク9の一端が第2の支軸11によって回動可能に連結されている。この第2のリンク9は上記第1のリンク7よりも長尺に形成されている。なお、第1、第2のリンク7,9は帯状部材の幅方向一端に折り曲げ片7a,9aを全長にわたって形成することで、曲げに対する強度の向上が図られている。
【0018】
上記基体1の長手方向一端部の両側板1aの内面には第2の連結部材12が上記基体1の長手方向に沿って取付け固定されている。つまり、第2の連結部材12は帯状部材からなり、両端部には図2と図6に示すように上記基体1の内面から離間する方向に一対の山型部13が折曲形成されている。
【0019】
図6に示すように、上記山型部13の両側にはそれぞれ一対の取付け孔14(1つのみ図示)が穿設されている。そして、上記第2の取付け部材12は上記各取付け孔14から基体1の側板1aに捩じ込まれたねじ15によって取付け固定されている。
【0020】
図1に示すように、上記基体1の各側板1aの内面の上記第2の取付け部材12が設けられた部分は壁部材16によって覆われている。それによって、床板体3を回動させ、その回動に第1、第2のリンク7,9が連動しても、収容部2に収容された小物類などの物品がこれらリンク7,9の他端部に挟まれるのが防止されるようになっている。
なお、この実施の形態では、上記第1、第2のリンク7,9及び第1、第2の取付け部材6,12とで上記リンク機構4を構成している。
【0021】
図1に示すように、上記第1のリンク7の他端は上記第2の取付け部材12の一方の山型部13に第3の支軸17によって回動可能に連結され、上記第2のリンク9の他端は他方の山型部13に第4の支軸18によって回動可能に連結されている。
【0022】
図6に示すように、各支軸17,18と各リンク7,9との間にはブッシュ19が設けられ、山型部13と各リンク7,9の側面との間にはワッシャ21が設けられている。それによって、各リンク7,9は山型部13に対して円滑に回動可能となっている。
【0023】
上記第1の取付け部材6の上記第2のリンク9の一端が連結された箇所よりもやや他端よりの箇所にはガススプリング22の一端、つまりシリンダ22aの一端が枢着されている。このガススプリング22の他端、つまりロッド22bの先端は上記第2のリンク9の他端部に枢着されている。
【0024】
図3に示すように、上記床板体3がほぼ水平に倒伏して基体1の上面開口を閉塞した状態では、上記ガススプリング22は縮小している。つまり、ロッド22bは突出方向の付勢力に抗してシリンダ22a内に没入している。このとき、ガススプリング22は収容部2内で倒伏し、床板体3の下面に対する角度が小さくなっているから、その付勢力と床板体3の重量とがバランスし、床板体3はほぼ水平に倒伏した状態が維持される。
【0025】
床板体3を図2に示すように上昇方向に回動させると、その回動につれてガススプリング22が起立してくる。それによって、床板体3に作用するガススプリング22の付勢力が増大するから、床板体3を軽い力で上昇させることが可能となる。図2に示すように所定の角度で上昇した床板体3を図3に示すように倒伏させる場合には、ガススプリング22の付勢力が床板体3の自重を支えるから、この床板体3を軽い力で緩やかに倒伏させることが可能となる。
【0026】
図5に示すように、上記第2のリンク9の一端部にはガイド軸25がこのリンク9の板面に対してほぼ直角に取付け固定されている。このガイド軸25にはストッパリンク26が一端部に形成された取付け孔27を回転可能に嵌合させている。つまり、ストッパリンク26は上記ガイド軸25を支点として回動可能であるとともに、このガイド軸25の軸方向、つまり回動方向と直交する方向に沿って変位可能になっている。上記ガイド軸25の先端には上記ストッパリンク26がガイド軸25から抜出するのを防止するCリング25aが取付けられている。
【0027】
上記ストッパリンク26の他端部には係止部材としての軸状の係止突起28が第2のリンク9に向かって突設されている。図2と図5に示すように、ストッパリンク26が第2のリンク9に重合した状態では上記係止突起27は上記第2のリンク9の一端部に穿設された第1の係合孔29に係合可能となっている。
【0028】
図2に示すように、上記第1の取付け部材6の長手方向中途部で、上記第2のリンク6の一端部が枢着された箇所の近くには係合部としての第2の係合孔31が形成されている。
【0029】
上記床板体3を図2に示すように所定の角度まで回動上昇させたとき、上記ストッパリンク26をガイド軸25に沿って第2のリンク9から離れる方向に変位させ、他端に設けられた係止突起28を第1の係合孔29から外す。ついで、このストッパリンク26を図2に矢印で示す方向へ回動させて上記係止突起28を第2の係止孔31に対向させた後、ストッパリンク26をガイド軸25に沿って第2のリンク9に近づく方向へ変位させれば、上記係止突起28が第2の係止孔31に係合する。それによって、第2のリンク9の回動が阻止されるから、床板体3は上昇方向及び下降方向のいずれにも回動不能に保持される。
【0030】
図1に示すように、基体1の長手方向中途部には一端と他端とをそれぞれ側板1aの内面に固定したパイプ状の補強杆33が架設されている。この補強杆33は一対の側板1aが幅方向外方へ撓むのを防止している。
【0031】
図7乃至図9に示すように、床板体3を水平に倒伏させたとき、この床板体3の長手方向他端部と、基体1の長手方向他端部とは保持手段である、一対の保持機構35によって連結される。
【0032】
上記保持機構35は上記基体1の長手方向の他端面の上部に一辺がねじ36によって取付け固定されたL字状の係止部材37を有する。この係止部材37には上記床板体3の他端部の下面に設けられたフック38が弾性的に係合するようになっている。
【0033】
つまり、床板体3を水平に倒伏させたときに、基体1の他端面から外方へ突出した上記床板体3の突出端部の下面には取付け板39がねじ41によって固定されている。この取り付け板39の幅方向両端には支持片42が設けられている。
【0034】
一対の支持片42には支軸43が回動可能に支持されている。この支軸43には板状の操作部材44の一端が連結固定されている。この操作部材44は上記支軸43に設けられたばね45によって図9に矢印で示す方向に弾性的に付勢されている。
【0035】
上記フック38は、上記操作部材44と所定の角度をなすよう、一端を上記操作部材44の一端部に連結して設けられている。このフック38の他端にはテーパ面46aを有する鉤部46が形成されている。
【0036】
そして、上記床板体3を上昇した状態から水平方向に倒伏させてゆくと、図9に矢印で示す方向に弾性的に付勢されたフック38の鉤部46のテーパ面46aが上記係止部材37の他辺に当たる。
【0037】
係止部材37の他辺に当たったフック38はばね44の付勢力に抗して矢印と逆方向に回動する。そして、床板体3がほぼ水平になるまで倒伏すると、フック38の鉤部46のテーパ面46aが上記係止部材37の他辺よりも下方になる。それによって、上記フック38はばね45の復元力によって矢印方向に回動し、その鉤部46が上記係止部材37の他辺に係合するから、床板体3は上昇方向に回動不能に保持されることになる。
【0038】
このように、床板体3をほぼ水平に倒伏させたとき、床板体3の他端部下面に設けられたフック38を、基体1の他端面に設けられた係止部材37に自動的に弾性的に係合させるようにした。
【0039】
そのため、水平に倒伏した床板体3は上昇方向に回動するのが阻止されることになるから、上記床板体3に不用意な外力が加わるなどしても、床板体3が上昇方向に回動するということがないから、床板体3を倒伏させた状態において、ベッド装置を安定した状態で使用することが可能となる。
【0040】
しかも、床板体3を水平方向に回動させれば、床板体3に設けられたフック38が基体1に設けられた係止部材37に自動的に係合する。そのため、床板体3を水平に倒伏させたとき、なんら操作することなく床板体3を上昇方向に回動不能に保持することができるから、余計な手間が掛からず、使用し易いということもある。
【0041】
基体1の収容部2を利用するために床板体3を上昇させる場合、床板体3の他端部下面にフック38と一体的に設けられた操作部材44に手指を掛け、この操作部材44をばね45の付勢力に抗して図9に矢印で示す方向と逆方向に回動させる。それによって、操作部材44と一体的に設けられたフック38が回動して係止部材37との係合が外れるから、床板体3を上昇方向に回動させることが可能な状態となる。
【0042】
床板体3の他端部下面に設けられた操作部材44に手指を掛ける場合、床板体3の他端部を手のひらで保持する状態となる。したがって、操作部材44を回動させ、フック38を係止部材37から外したならば、その状態で床板体3を上昇方向に回動させることができる。
【0043】
つまり、操作部材44とともにフック38を回動させて床板体3の保持状態を解除したならば、その操作に連続して床板体3を上昇方向に回動させることができるから、基体1の収容部2を利用する際の操作も容易に行なうことが可能である。
【0044】
上記一実施の形態では保持機構として基体に係止部材を設け、床板体にフックを設けた例について説明したが、基体と床板体とに、床板体を水平に倒伏させたときに互いに磁気結合する磁石若しくは磁石と磁性体とを設けることで、その磁気結合によって床板体を水平に倒伏させたときに、上昇方向に回動するのを阻止するように保持する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の一実施の形態に係るベッド装置の床板体を回動上昇させた斜視図。
【図2】床板体を回動上昇させた状態のリンク機構の部分を示す断面図。
【図3】床板体を倒伏させた状態のリンク機構の部分を示す断面図。
【図4】リンク機構の平面図。
【図5】第2のリンクのストッパリンクが設けられた部分を一部断面して示す平面図。
【図6】第2の取付け部材とリンクとの連結部分の断面図。
【図7】ベッド装置の正面図。
【図8】保持機構が設けられた基体の端部の拡大断面図。
【図9】基体の端部の保持機構の部分をさらに拡大した断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…基体、2…収容部、3…床板体、7…第1のリンク、9…第2のリンク、22…ガススプリング、35…保持機構(保持手段)、37…係止部材、38…フック、44…操作部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口し内部を収容部とした箱形状の基体と、
この基体の長手方向一端部にそれぞれリンク機構によって長手方向の一端部の幅方向両側が回動可能に連結されほぼ水平に倒伏した状態で上記基体の上面開口を閉塞する床板体と、
上記床板体と上記基体に一端と他端とをそれぞれ回動可能に連結して設けられその付勢力によって上記床板体を一端部を支点として他端部が上昇する回動方向に付勢したガススプリングと、
上記床板体を上記ガススプリングの付勢力に抗してほぼ水平に倒伏させたときに上記床板体の他端部を上記基体の他端部に保持してこの床板体が上昇方向に回動するのを阻止する保持手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記床板体は、水平に倒伏させたときに長手方向の他端部が上記基体の長手方向の他端部から突出するよう長さ寸法が上記基体の長さ寸法よりも長く設定されていて、
上記保持手段は、上記基体の長手方向の他端面に設けられた係止部材と、上記床板の長手方向の他端部の下面に回動可能に設けられ上記床板体を水平に倒伏させることで上記係止部材に弾性的に係合するフックと、このフックと上記係止部材との係合を解除する操作部材とによって構成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−320553(P2006−320553A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146930(P2005−146930)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)