説明

ベビーカー用の補助日除け

【課題】既存の幌に対して脱着自在で、かつ取外しても嵩低くできて取扱いが容易なベビーカー用の補助日除けを提供する。
【解決手段】ベビーカー20における幌25の前方位置に取付けられる補助日除け1であって、遮光性プラスチックシートにてなる遮光板2が、基端から先端までの中間位置で幅方向に連結部8にて接続され、前後方向に折畳み可能なように二枚の遮光部片3,4からなり、前記遮光板2の基端部2aに沿って弾性支持部材5が付設され、その基端部2aで複数の連結部片15によって前記ベビーカーの幌先端縁26に沿わせ着脱可能に取付けられるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカー用の幌の前部に取付けて幌の面積を拡張し、ベビーカーに載せる乳幼児を日光から守るのに好適な、ベビーカー用の補助日除けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベビーカーは屋外で使用することが多いので、ベビーカーに載せる乳幼児を日光から守るために上部に日除け用の幌が取付けられている。この日除け用の幌は、ベビーカーのフレーム上部に一定形状の支持フレームによって取付けられている。そして、通常はベビーカーのシートと同質の布によって形成されている。また、この日除け用の幌は折畳み式や一定の寸法で前方に張出した形状にされ、支持フレームをその枢支点を基準にして後方に引き寄せると布部分がひだによって縮められるようにしたものがある。
【0003】
このような従来のベビーカーにおける日除け用の幌は、一定の範囲で乳幼児の頭部を覆い日光から守ることができるが、陽射しを前方から受けるような状態になると直接頭部が日光に曝されて好ましくない状態になる。そこで、日除け用の幌を大きくして遮光範囲を広くすればよいが、こうすると載っている乳幼児の視界を妨げることになる。このようなことから日除けの範囲を状況に応じて変えることができる補助的な日除けを設けるものが、特許文献1あるいは特許文献2などによって提案されている。
【0004】
前記特許文献1によって知られるものは、乳母車の幌の前端に、その幌の前方に突出す位置と幌の内側または外側に収容される位置とに選択できる日除け部材を備える幌が開示されている。また、前記特許文献2によって知られるものは、乳母車の幌の前端にクリップなどの取付手段でもって遮光機能を備えるプラスチック製の補助日除け部材を取付けて、日除け幌を延長させる脱着式のものが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−187554号公報
【特許文献2】実用新案登録第3102793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記先行技術において、特許文献1に記載される幌では、基本的な幌に付加される補助的な幌(日除け)が一体に設けられて、その補助的な幌を基本的な幌に対して使用または不使用の選択に応じ突出させたり収納させたりするものであるから、当初購入した乳母車専用のものである。したがって、この補助的な幌を備えているもの以外の乳母車(ベビーカー)を所有している人には適用することができないという問題点がある。
【0007】
また、前記特許文献2によって知られるものは、前記特許文献1とは異なり着脱式になっているので、装着できる寸法形状であれば、特定されないで各種の乳母車に適用できるという点で自由度を備えている。しかし、この種乳母車における補助日除けは、乳母車に設けられている幌に取付けてより一層の日光の入射を遮ることができる効果を得るには、寸法的にかなり大きなものとなる。したがって、乳母車の既存の幌の前方に装着して使用しているときには矛盾を感じないが、この補助日除けが無用になる場合に、装着したままでは、まずシートに対して前かぶりになるので、乳幼児をシートに座らせるときやシート上から抱えて下ろすときに、この補助日除けが邪魔になるという問題がある。また、日除けを必要としない状態で乳母車に乳幼児を乗せて走行しているときには、この日除けは原則として遮光できるように透光面紫外線よけの皮膜が形成されていることから視界性が悪く、シート上の乳幼児としては違和感を受けてむずかるという問題点がある。したがって、簡単に取外しできる利点はあるが、取外すと嵩張り、その取外した日除けを歩行に支障なく所持するということが困難であるという欠点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、補助日除けが既存の幌に対して脱着自在で、かつ取外しても嵩低くできて取扱いが容易なベビーカー用の補助日除けを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明によるベビーカー用の補助日除けは、
ベビーカーにおける幌の前方位置に取付けられる補助日除けであって、遮光性プラスチックシートにてなる遮光板が、基端から先端までの中間位置で幅方向に連結部材によって接続され、前後方向に折畳み可能に二枚の遮光部片からなり、前記遮光板の基端部に沿って弾性支持部材が付設され、その基端部で複数の連結部片によって前記ベビーカーの幌先端縁に沿わせ着脱可能に取付けられるように構成されていることを特徴とするものである(第1発明)。
【0010】
前記第1発明において、前記二枚の遮光部片は、基端から先端までの全長さ寸法のほぼ1/2の箇所で折畳めるように可とう性テープで表裏両面から挟まれて連結されていることを特徴とする(第2発明)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベビーカーにおける既存の幌に着脱可能にされた補助日除けを、基端から先端までの中間位置で折畳みできるように二枚の遮光部片を接続した構成にされているので、補助日除けとして使用するときには前記幌の先端部に沿わせて複数の連結部片によって取付けると、二枚の遮光部片は展開した状態で幌先の円弧に応じた状態で上向きに彎曲して一枚の遮光板と同様に保持されて遮光機能を発揮する。この補助日除けが一時的に邪魔になる場合、例えば乳幼児を載せるときや降ろすときや遮光によって載っている乳幼児がむずかるときなどでは、複数の連結部片のうち片側の固定を解くと遮光部片の緊張力が解除されるので先端側の遮光部片を基部側に折畳むことにより、シートの手前の開放範囲を広げて前記乳幼児の載せ降ろしなどを容易にすることができる。また、遮光部片を折畳んだ状態で固定を解いた連結部片を再び幌に繋いで固定すれば、幌に装着したままで遮光範囲を少なくして使用することができ、シート上の乳幼児が遮光によってむずかるときに役立てられる。さらに、この補助日除けは、折畳むとその長さ寸法が狭くなるので、幌に装着したままでベビーカーを折畳んでも、その折畳み寸法の範囲内に収まるので、装着したままでベビーカーを携行あるいは収納しても支障を来たすことがない。また、この補助日除けは、連結部で折畳むと嵩低くなるので、ベビーカーを使用している途中で取外すことになっても、手で持って携行することが容易になるという利点がある。
【0012】
また、第2発明の構成を採用することにより、遮光部片を折畳んだときに先端部が基端部に重なり合ってシート材で形成される二枚の遮光部片を安定的に所持できる。また、連結部においては、遮光シート(遮光部片)を上下から可とう性のテープで挟んで連結されているので、接続端部を保護し、折畳んだ状態で彎曲させても連結部で破損などの障害が発生しないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明によるベビーカー用の補助日除けの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には本実施形態の補助日除けを備えたベビーカーの全体斜視図が示されている。図2には補助日除けの全体正面図が、図3には要部の斜視一部省略拡大断面図が、図4にはベビーカーの幌に対する補助日除けの連結部片の取付態様を表わす斜視図(a)とそのA−A視図(b)が、それぞれ示されている。
【0015】
本実施形態の補助日除け1は、表裏両面に紫外線遮断処理を施されたプラスチック製の遮光シートを用いて所要寸法に形成される遮光板2と、その遮光板2の基端部2aをベビーカー20の既存の幌25先端縁26に装着する連結部片15とで構成されている。そして、遮光板2が基端から先端までの中間位置で折畳みできるようにされている。
【0016】
前記遮光板2は、幅方向の寸法Bを既存のベビーカー20に取付く幌25の先端縁26全周寸法よりやや短い寸法にされ、長さ寸法Lが前記幅寸法のほぼ半分に設定され(これに限定されない)、両側から先端部にかけて円弧状に形成されている。そして、基端から先端までのほほ1/2の中間位置で分断された二枚の遮光部片3,4を連結して長さ方向に折畳みできるようにされている。
【0017】
また、遮光板2は、その基端部2aの上面に沿って全幅にわたり適宜幅で弾性支持部材5が、例えば接着剤で接着して一体的に付設されている。この弾性支持部材5としては可とう性を備えたプラスチック板が好ましい。そして、その弾性支持部材5の上面から基端部2aの裏面に掛けて布テープ6で包み込んで遮光板2に縫着されている。また、周縁部も布テープ7によって縁取りされている。
【0018】
前記遮光板2を形成する二枚の遮光部片3,4の連結部8では、上面と裏面とを細幅の布テープ9,9′によって挟みつけ、両遮光部片3,4の連結端を当接することなく僅かな間隔をおいて前記布テープ9,9′を縫着し、折畳み自在なように構成される。なお、必要に応じて、この連結部8の上面側に装飾テープ9aを取付けて違和感が生じないように装飾が施されている。
【0019】
また、前記基端部2aの上面中央部にはテープを用いて上向き環状にした取付片11が縫着され、この取付片11によってこの補助日除け1をベビーカー20の幌25に装着する際の補助支持紐12の取付けとされている。
【0020】
一方、前記連結部片15は、プラスチックで成形されており、図4(a)(b)によって示されるように、適宜寸法で上半部15aは横向きに開口されてその内部が前述の遮光板2における基端部2aの弾性支持部材5取付部分を外側から囲み込むようにして受入れる装着空間部16が形成されている。そして、その装着空間部16に対する開口部の上側に鉤片17が下向きに形成されている。下半部15bは、前記上半部15aの開口部と逆方向に開口されて、前記上半部15aの開口部分の下側を基端とする上向き円弧状に形成され、その円弧状部分15b′の内側空間がベビーカー20の幌25の先端縁26への装着空間部18とされている。その円弧状部分15b′の先端には摘持片15cが形成され、この摘持片15cを押下げると装着空間部18の開口部分が開かれてベビーカー20の幌25の先端縁26を受入れて弾性力で装着できるようにされている。
【0021】
このように構成される本実施形態の補助日除け1は、前記連結部片15を遮光板2の基端部2aで弾性支持部材5が取付く部分に複数個、例えば3個、両端部と中央部に配置し(図2参照)、この状態で遮光板2の遮光部片3,4を展開して前記連結部片15の下半部円弧状部分15b′を開口操作して、ベビーカー20における既存の幌25の先端縁26に前側から係合させて装着する。この際、前記三個の連結部片15でもって幌25に装着すると、遮光板2はその幌25の先端縁26に沿って上向き彎曲して図1に示されるように付設される。こうすると、連結される遮光部片3,4は、上向き彎曲によって緊張され、中間の連結部8においても基部側の遮光部片3に沿って緊張し、一体形状で彎曲保持される。
【0022】
こうしてベビーカー20は、既存の幌25とその前側に付された補助日除け1とによって幌25による覆いを簡単に前方へ延長することができ、しかも側面部分まで遮光板2を配することになるので、シート21上を広く覆って日光の直接的な照射を遮る範囲を広げることができる。したがって、シート21上に載せた乳幼児の頭部から顔の部分には日光の直接的な照射を受けることがなく保護できて、安全に走行させることができる。
【0023】
また、本実施形態の遮光板2は、その基端から先端までの中間位置で連結部8を設けて折畳みできる構造にされているので、例えばベビーカー20のシート21に載っている乳幼児が上方を遮光板2で囲われていることから違和感を受けてむずかるような場合、太陽光の入射角度が高くてシート部分に直接日光が入らないようなときや曇天であれば、遮光板を折畳んで覆われる部分を小さくして違和感を和らげることができる。このようにするには、この補助日除け1を既存の幌25に装着している連結部片15のうち、幌25の先端縁26の側部側に位置する連結部片15をその下半部15bの円弧状部分15b′による把持力を緩めて中央寄りにスライドさせる。こうすると、遮光板2の基端部2aが復元力で平坦に戻るので、先端側の遮光部片4に対する緊張力が解除される。したがって、その先端側の遮光部片4を連結部8で上側に折畳んで、再び移動させた連結部片15を元に戻せば、遮光板2が半分になって遮光範囲を縮小することができる。なお、この補助日除け1を既存の幌25に装着する際、その上面中央に付されている補助支持紐12をベビーカー20のハンドル23に縛り付けるようにしておけば、遮光板2の一部がフリーになっても脱落することはない。
【0024】
また、この補助日除け1は、前述同様にすれば、ベビーカー20のシート21上方に突出す遮光部分が縮小されるので、シート部分に対する乳幼児の載り入れや降車の操作が容易になる。
【0025】
さらに、この補助日除け1は、前述のように、広い面積を持つ遮光板2が、長さ方向でそのほぼ1/2の位置で連結されて折畳みができる構造にされているので、使用しない場合には、幌25先端縁26から取外して折畳むと図5にて示されるように、狭い幅になるので、補助支持紐12で縛って嵩低くして収納場所をとらない。この状態では遮光部片3,4がその弾性力で平坦な状態を保つが、連結部4では布テープ9,9′によって折畳み自在になっているので、その折畳み部分では何ら影響を受けずに処置できる。したがって、折畳んで保管するについても遮光板3としての幅寸法B相当の長さと、折畳まれた状態での厚さ寸法が確保できるスペースがあれば嵩張らずに保管できる利便性を有する。また、ベビーカーの使用中に取外しても、嵩張らないので携行が容易になるという利点を有する。
【0026】
なお、本実施形態の補助日除け1は、前述のように、連結部8で二つ折りすると、装着状態でもベビーカー20の幌25先端縁26から前方への突出し量が短くなるので、装着した状態でベビーカー20を折畳んでも、ベビーカー20の折畳みの範囲に収まる。したがって、ベビーカー20の幌25にこの補助日除け1を装着した状態で収納することができるという利点がある。なお、この補助日除けの折畳みに際しては、連結部8が前述のように布テープ9,9′で挟んで連結されているので内外いずれの方向にも折畳み可能である。
【0027】
上記説明においては、補助日除けを既存のベビーカーに装着するのに前述のような取付部片を使用するものについて記載したが、取付部片(取付部材)についてはこの形状に限定されるものではなく、他のクリップを用いることも可能である。
【0028】
このように、本発明による補助日除けは、既存の幌に対して着脱可能にして、かつ折畳む機能を備えているので、使用中において遮光範囲の縮小などの操作が可能であり、既存のベビーカーに任意適用できるとともに、折畳んで嵩低くできるので収納や携行に便利であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の補助日除けを備えたベビーカーの全体斜視図
【図2】補助日除けの全体正面図
【図3】要部の斜視一部省略拡大断面図
【図4】ベビーカーの幌に対する補助日除けの連結部片の取付態様を表わす斜視図(a)とそのA−A視図(b)
【図5】補助日除けを折畳んだ状態を表わす斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 補助日除け
2 遮光板
2a 基端部
3,4 遮光部片
5 弾性支持部材
6、9、9′ 布テープ
8 連結部
15 連結部片
20 ベビーカー
25 既存の幌
26 幌の先端縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカーにおける幌の前方位置に取付けられる補助日除けであって、遮光性プラスチックシートにてなる遮光板が、基端から先端までの中間位置で幅方向に連結部材によって接続され、前後方向に折畳み可能に二枚の遮光部片からなり、前記遮光板の基端部に沿って弾性支持部材が付設され、その基端部で複数の連結部片によって前記ベビーカーの幌先端縁に沿わせ着脱可能に取付けられるように構成されていることを特徴とするベビーカー用の補助日除け。
【請求項2】
前記二枚の遮光部片は、基端から先端までの全長さ寸法のほぼ1/2の箇所で折畳めるように可とう性テープで表裏両面から挟まれて連結されていることを特徴とする請求項1に記載のベビーカー用の補助日除け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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