説明

ベルトコンベヤ

【課題】駆動ローラへの負荷が過負荷になっても駆動源が壊れることがないベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】ベルトコンベヤ1は、駆動ローラ7およびこの駆動ローラ7の回転により回行する搬送ベルト2を有するコンベヤ本体5と、駆動ローラ7を回転させる駆動手段21とを備える。駆動手段21は、電動モータ23からの動力に基づいて回転する駆動回転磁石体26と、駆動ローラ7の軸方向端部に固着し駆動回転磁石体26の回転により回転する従動回転磁石体27とを有する。駆動回転磁石体26および従動回転磁石体27は、若干の間隙を介して互いに近接対向して位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送ベルト上に載せて搬送するベルトコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なベルトコンベヤは、例えば駆動ローラおよびこの駆動ローラに一部が巻き掛けられこの駆動ローラの回転により回行する無端状の搬送ベルトを有するコンベヤ本体と、このコンベヤ本体の駆動ローラを回転させる駆動手段とを備え、この駆動手段は、駆動源である電動モータと、電動モータの出力軸に固着された駆動プーリと、駆動ローラの軸方向端部に固着された従動プーリと、駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられたタイミングベルト等の伝動ベルトとを有する(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】「物流機器総合カタログ VoL.6」、オークラ輸送機株式会社、2003年 2月、p.14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のベルトコンベヤでは、駆動ローラと電動モータの出力軸とがプーリおよび伝動ベルトを介して常に連結されているため、例えば駆動ローラへの負荷が過負荷になった場合には電動モータへの負荷も過負荷になり、電動モータが壊れるおそれがある。また、プーリおよび伝動ベルト等にて構成された駆動手段の組立には高い組立精度が要求されるため、組立作業に手間取るおそれがあり、しかも駆動手段から生じる騒音が問題になるおそれもある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、駆動ローラへの負荷が過負荷になっても駆動源が壊れることがなく、また駆動手段の組立には高い組立精度が要求されず、組立作業性を向上でき、さらに静音化も図ることができるベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のベルトコンベヤは、駆動ローラおよびこの駆動ローラに一部が巻き掛けられこの駆動ローラの回転により回行する無端状の搬送ベルトを有するコンベヤ本体と、前記駆動ローラを回転させる駆動手段とを備え、前記駆動手段は、駆動源と、この駆動源から出力される動力に基づいて回転する駆動回転磁石体と、前記駆動ローラの軸方向端部に設けられ、前記駆動回転磁石体と近接対向し、この駆動回転磁石体の回転により前記駆動ローラとともに回転する従動回転磁石体とを有するものである。
【0006】
請求項2記載のベルトコンベヤは、請求項1記載のベルトコンベヤにおいて、駆動回転磁石体および従動回転磁石体は、いずれも複数の磁極が周方向に並んで形成された同じ円盤状の永久磁石にて構成され、前記駆動回転磁石体および前記従動回転磁石体は、間隙を介して互いに近接対向した状態で、共通の回転中心軸線を中心として回転するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動源と、この駆動源から出力される動力に基づいて回転する駆動回転磁石体と、駆動ローラの軸方向端部に設けられ駆動回転磁石体と近接対向しこの駆動回転磁石体の回転により駆動ローラとともに回転する従動回転磁石体とを有する磁石式の駆動手段で、駆動ローラを回転させる構成であるから、駆動ローラへの負荷が過負荷になっても駆動源が壊れることがなく、また駆動手段の組立には高い組立精度が要求されず、組立作業性を向上でき、さらに静音化も図ることができる。特に、ベルトコンベヤでは、例えば搬送ベルト上に複数の物品が詰まる等して、駆動ローラに大きな負荷がかかり易いが、このような場合には駆動回転磁石体が空転し、駆動源の損傷を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のベルトコンベヤの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
図1および図2において、1はベルトコンベヤで、このベルトコンベヤ1は、物品Wを搬送ベルト2の搬送面3上に載せて水平な搬送方向Aへ搬送するコンベヤ本体5を備えている。
【0010】
コンベヤ本体5は、物品Wの搬送方向Aに長手状で所定距離を介して互いに離間対向する一対のコンベヤフレーム6を有している。両コンベヤフレーム6の一端部間には、搬送方向Aに対して直交する水平方向に軸方向を有するドライブプーリ等の駆動ローラ7が回転可能に設けられている。駆動ローラ7は、両コンベヤフレーム6の一端部にて回転可能に両持ち状態で支持された軸部8と、この軸部8に固着された略円筒状のローラ部9とを有している。ローラ部9の外周面には、駆動ローラ7の回転により回行して物品Wを搬送方向Aに搬送する無端状の搬送ベルト2の一部が巻き掛けられている。
【0011】
両コンベヤフレーム6の他端部間には、搬送方向Aに対して直交する水平方向に軸方向を有するエンドプーリ等の従動ローラ11が回転可能に設けられている。各コンベヤフレーム6は、水平方向の支軸12を中心として上下方向に回動可能な回動フレーム部13を他端部に有している。従動ローラ11は、両回動フレーム部13にて回転可能に両持ち状態で支持された軸部14と、この軸部14に固着された略円筒状のローラ部15とを有している。ローラ部15の外周面には搬送ベルト2の一部が巻き掛けられている。すなわち搬送ベルト2はコンベヤ本体5の搬送始端側の従動ローラ11とコンベヤ本体5の搬送終端側の駆動ローラ7との間に回行可能に巻き掛けられ、この搬送ベルト2の往路面部2aがコンベヤフレーム6に固着された水平状のキャリヤプレート(図示せず)にて下方から支持されている。このキャリヤプレートにて水平状に支持された往路面部2aの上面が物品Wを搬送する搬送面3となっている。また、搬送ベルト2の洗浄時等には、回動フレーム部13を上方に回動させることにより搬送ベルト2を駆動ローラ7および従動ローラ11から取り外せるようになっている。
【0012】
また一方、ベルトコンベヤ1は、コンベヤ本体5の駆動ローラ7を回転させて搬送ベルト2を回行させる磁石式の駆動手段21を備えている。駆動手段21は、一方のコンベヤフレーム6の一端部外面側に取り付けられたケース体22と、このケース体22内に収容され電力供給により動力を出力する駆動源である電動モータ23と、この電動モータ23から出力される動力により回転する出力回転軸24とを有している。出力回転軸24は、ケース体22にて回転可能に支持され、駆動ローラ7の軸部8と同軸上に配設されている。
【0013】
また、駆動手段21は、出力回転軸24の軸方向端部に固着され電動モータ23から出力される動力に基づいて出力回転軸24とともに回転する円盤状の駆動回転磁石体26と、駆動ローラ7の軸部8の軸方向端部に固着され駆動回転磁石体26と間隙28を介して近接対向しこの駆動回転磁石体26の回転により磁力に基づき駆動ローラ7とともに回転する従動回転磁石体27とを有している。
【0014】
駆動回転磁石体26は、出力回転軸24のうちケース体22内から駆動ローラ7側に向って突出した突出端部24aに固着され、出力回転軸24と一体となって回転する。従動回転磁石体27は、駆動ローラ7の軸部8のうちコンベヤフレーム6の端部外側面から外方に向って突出した突出端部8aに固着され、駆動ローラ7の軸部8と一体となって回転する。駆動回転磁石体26の軸方向端面と従動回転磁石体27の軸方向端面とが間隙28を介して近接対向している。
【0015】
これら駆動回転磁石体26および従動回転磁石体27は、図3にも示すように、いずれも、複数の磁極(N極、S極)が周方向に並んで形成された同じ円盤状の永久磁石30にて構成されている。そして、これら駆動回転磁石体26および従動回転磁石体27は、電動モータ23の作動時に、若干の間隙28を介して互いに近接対向した状態で水平な共通の回転中心軸線Xを中心として回転する。この回転中心軸線Xは駆動ローラ7の軸部8の軸芯および出力回転軸24の軸芯を通るものである。
【0016】
次に、上記ベルトコンベヤ1の作用等を説明する。
【0017】
駆動手段21の電動モータ23が作動すると、出力回転軸24が駆動回転磁石体26とともに駆動回転する。駆動回転磁石体26が回転してN極およびS極が移動すると、磁力によって従動回転磁石体27が駆動ローラ7とともに従動回転する。
【0018】
そして、駆動ローラ7が回転すると、搬送ベルト2が回行してこの搬送ベルト2の搬送面3が移動し、その結果、搬送面3上の物品Wが搬送方向Aへ搬送される。
【0019】
ここで、例えば電動モータ23の作動時に、何らかの異常により搬送ベルト2および駆動ローラ7が停止しても、電動モータ23はそのままの状態で作動し続け、駆動回転磁石体26は従動回転磁石体27に対して相対的に回転、つまり空転する。すなわち、電動モータ23の回転力を磁力を利用して非接触で駆動ローラ7へ伝達することにより、間隙28を介して互いに近接対向する駆動回転磁石体26および従動回転磁石体27がトルクリミッタの働きをする。
【0020】
このようにベルトコンベヤ1によれば、動力を出力する電動モータ23とこの電動モータ23から出力される動力に基づいて回転する駆動回転磁石体26と、この駆動回転磁石体26と近接対向してこの駆動回転磁石体26に連動して回転する従動回転磁石体27とを有する磁石式の駆動手段21で、コンベヤ本体5の駆動ローラ7を回転させる構成であるから、駆動ローラ7等への負荷が過負荷になっても電動モータ23へ大きな負荷がかからず、電動モータ23が焼損して壊れることがなく、耐久性に優れている。
【0021】
また、駆動手段21の組立には高い組立精度が要求されないため組立作業性を向上でき、さらに駆動手段21の構成部品の製作精度等も厳しく要求されず、製造性が良好であり、しかも、従来の構成に比べて余分な損失を防止できるとともに静音化を図ることができる。
【0022】
さらに、駆動回転磁石体26および従動回転磁石体27がいずれも同じ円盤状の永久磁石30にて構成されているため、異なる永久磁石で構成する場合に比べて部品管理や組立等が容易であり、また駆動回転磁石体26および従動回転磁石体27が共通の回転中心軸線Xを中心として回転する構成であるから、構成が簡単で、コンパクト化を容易に図ることができる。
【0023】
なお、上記実施の形態では、駆動回転磁石体26と従動回転磁石体27との間に若干の間隙28がある構成について説明したが、例えば両磁石体26,27間にほとんど間隙がない構成でもよい。
【0024】
また、駆動回転磁石体26の軸方向端面と従動回転磁石体27の軸方向端面とが近接対向する構成には限定されず、駆動回転磁石体26の外周面と従動回転磁石体27の外周面とが近接対向する構成等でもよい。
【0025】
さらに、ドライブプーリ等の駆動ローラ7をベルトコンベヤ1の端部に配設した構成には限定されず、ベルトコンベヤ1の中間部に配設した構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係るベルトコンベヤの平面図である。
【図2】同上ベルトコンベヤの正面図である。
【図3】同上ベルトコンベヤの要部側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ベルトコンベヤ
2 搬送ベルト
5 コンベヤ本体
7 駆動ローラ
21 駆動手段
23 駆動源である電動モータ
26 駆動回転磁石体
27 従動回転磁石体
28 間隙
30 永久磁石
X 回転中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラおよびこの駆動ローラに一部が巻き掛けられこの駆動ローラの回転により回行する無端状の搬送ベルトを有するコンベヤ本体と、
前記駆動ローラを回転させる駆動手段とを備え、
前記駆動手段は、
駆動源と、
この駆動源から出力される動力に基づいて回転する駆動回転磁石体と、
前記駆動ローラの軸方向端部に設けられ、前記駆動回転磁石体と近接対向し、この駆動回転磁石体の回転により前記駆動ローラとともに回転する従動回転磁石体とを有する
ことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
駆動回転磁石体および従動回転磁石体は、いずれも複数の磁極が周方向に並んで形成された同じ円盤状の永久磁石にて構成され、
前記駆動回転磁石体および前記従動回転磁石体は、間隙を介して互いに近接対向した状態で、共通の回転中心軸線を中心として回転する
ことを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−302992(P2008−302992A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149083(P2007−149083)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)