説明

ペット用スナック及びその製造方法

【課題】ペットが可愛らしいしぐさで食べることのできる形態を保持しつつ、さらに風味や機能面でのバリエーションを拡張しうるペット用スナックを提供する。
【解決手段】本発明のペット用スナック5は、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉若しくは魚肉のミンチ1、又は該ミンチ1に小片状に切刻した野菜、果物、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、砂肝その他の非肉質材料2を混錬したミンチ状混合物3を、断面中空ロール状に成形して乾燥させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットにおやつとして与えるペット用スナックと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭で飼われている犬や猫には、「おやつ」や躾けの褒美として、ペット用のスナックが与えられる。従来の代表的なスナックには、例えば、鶏ささ身肉や牛肉などを乾燥あるいは焙焼させたジャーキータイプのものや、牛皮を原料とするガム等がある。
【0003】
本出願人は、食べやすさや歯ごたえに加えて、ペット、とりわけ小型の犬が食べるときのしぐさを楽しむことのできるペット用スナックを、特許文献1に開示している。該文献記載のスナックは、シート状に引き伸ばした生肉をロール状に成形して乾燥させた断面中空の棒状をなしている。ペットは、このスナックを食べるときに両前足でスナックを挟むように保持してスナックの先端をかじるので、そのしぐさの可愛らしさが、飼い主に高い好感度を与えるというものである。
【特許文献1】特開2007−129990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のペット用スナックは、肉類に野菜やチーズ、牛皮ガム等を組み合わせるなどして風味の多様化が図られている。また、ペットの健康面にも配慮して、各種の栄養素や食物繊維等の機能性成分を添加したものも提供されている。しかしながら、上記文献記載のスナックは、鶏ささ身等の生肉を原材料として、これをそのまま加工したものであるから、その風味は原材料となる肉種に規定されて画一的になり、商品展開の幅が限定されてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ペットが可愛らしいしぐさで食べることのできる形態を保持しつつ、さらに風味や機能面でのバリエーションを拡張しうるようなペット用スナックと、その製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、本発明のペット用スナックは、主となる原材料として生肉の替わりに肉類のミンチを採用し、必要に応じて該ミンチに他の食材や添加物を混錬する構成を採用した。
【0007】
すなわち、請求項1に係るペット用スナックは、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉又は魚肉のミンチを断面中空ロール状に成形して乾燥させたものである。
【0008】
また、請求項2に係るペット用スナックは、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉若しくは魚肉を切潰したミンチに、小片状に切刻した野菜、果物、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、砂肝その他の非肉質材料を混錬したミンチ状混合物を、断面中空ロール状に成形して乾燥させたものである。
【0009】
さらに、上記の構成においては、ミンチ又はミンチ状混合物に、調味料、結着剤、保湿剤、栄養添加物等が添加されていてもよい。
【0010】
これらの構成によって、風味や食感、栄養、食品機能等の面で多様な品種展開が可能になる。形態については断面中空ロール状としているので、上述した特許文献1記載のペット用スナックと同様に、ペットが両前足でスナックを挟んで先端をかじる可愛らしいしぐさを楽しむことができる。
【0011】
上記ペット用スナックの製造方法については、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉若しくは魚肉のミンチ、又は該ミンチに野菜、果物、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、砂肝その他の非肉質材料を小片状に刻んで混錬したミンチ状混合物を略シート状に圧延し、圧延された上記ミンチ又はミンチ状混合物を芯棒に巻き付けて乾燥させた後、乾燥させた上記ミンチ又はミンチ状混合物から上記芯棒を抜き取ることにより、断面中空ロール状のペット用スナックを得ることを特徴とする。この製造方法により、上記ペット用スナックを好適に製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
上述のように構成される本発明のペット用スナックは、主たる原材料に肉類のミンチを用い、必要に応じて該ミンチに他の食材や添加物を混錬して、該ミンチ又はミンチ状混合物を断面中空ロール状に成形・乾燥させたものであるから、ペットが可愛らしいしぐさで食べることのできる形態を保持しつつ、風味や食感、栄養や食品機能等におけるバリエーションを拡張することができる。これにより、飼い主にとっても選択の幅が拡がり、ペットの嗜好や健康状態に応じて適切な種類のスナックを選択することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るペット用スナックについて説明する。
【0014】
本発明のペット用スナックの主たる原材料としては、鶏肉(ささ身、ムネ肉、モモ肉等)や鴨肉等の鳥肉、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、カンガルー肉等の獣肉、あるいは魚肉が用いられる。それらの肉類は単一で用いられても良いし、複数種類を混合して用いられてもよい。肉類は、まず切潰してミンチにされる。この段階で必要に応じ、調味料、結着剤、保湿剤、栄養添加物等が添加されてもよい。調味料には、各種糖類、野菜エキス、食塩、グルタミン酸ナトリウム等を含む。結着剤は、例えば澱粉や水飴、各種増粘多糖類等である。保湿剤は、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、乳酸ナトリウム等である。栄養添加物としては、例えば各種ビタミン、カルシウム強化剤、グルコサミン、オリゴ糖、乳酸菌、各種酵素や食物繊維、糞便改良剤や消臭成分等が挙げられる。
【0015】
風味に変化をつける場合は、上記のミンチに、数mm程度の大きさの小片状に切刻した非肉質材料を混錬する。非肉質材料としては、野菜(例えば、ジャガイモ、サツマイモ、ニンジン、ゴボウその他の根菜類を茹でたもの)、果物(例えば、リンゴやバナナを乾燥させたもの)、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、豚アキレス腱、砂肝等を好適に利用することができる。
【0016】
図1は、上記のようにして準備されたミンチ又はミンチ状混合物を用いてペット用スナックを製造する方法の概要を示す説明図である。図1において、符号1はミンチ、符号2は小片状に切刻された非肉質材料、符号3はミンチ1と非肉質材料2とを混錬したミンチ状混合物である。まず、ミンチ1又はミンチ状混合物3の所定量を、ローラ等の圧延手段を用いて所定の厚さおよび面積になるように引き伸ばす。厚さの目安としては数mm程度、面積の目安としては数cm×十数cm程度である。
【0017】
次いで、圧延された1枚のミンチ1又はミンチ状混合物3を、ステンレス製丸棒などの適宜の芯棒4に巻き付けてロール状に成形する。成形寸法の目安としては、芯棒4の直径が数mm〜十数mm、ロールの長さが数cm〜十数cm程度である。
【0018】
こうしてロール状に成形されたミンチ1又はミンチ状混合物3を、芯棒4に巻き付けたままの状態で乾燥庫に入れ、熱風で乾燥させる。乾燥条件の目安としては、熱風の温度が40℃〜80℃程度、乾燥時間が6〜10時間程度で、水分含有率を15〜40%、より好ましくは25〜30%にする。水分含有率が多いとカビが生えやすくなって日持ちが悪くなり、少なすぎると固くなりすぎて見た目も悪くなる。
【0019】
所定の水分含有率まで乾燥し、ミンチ1又はミンチ状混合物3がロール状に硬化したところで、芯棒4を抜き取る。これにより、両端が開口した略筒状のスナック5を得ることができる。
【0020】
このように、本発明のペット用スナックは、肉類のミンチを主たる原材料とし、これに野菜、果物、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、砂肝その他の非肉質材料を小片状に切刻して混錬することにより、風味や食感のバリエーションを様々に展開することができる。主たる原材料がミンチであるから、非肉質材料との混錬が容易であり、必要に応じて機能性成分や各種栄養素等を添加することもできる。
【0021】
また、本発明のペット用スナックは、断面中空ロール状に成形されることから、中実の棒状とするよりも適度な弾力と軽快な食感を備えたものとなる。主たる原材料がミンチであるから、厚さや太さに変化を与えるのも簡単であり、ペットの体格や口の大きさに応じた様々なサイズバリエーションを揃えることもできる。
【0022】
ペットがこのスナックを食べるときには、両前脚で棒状のスナックを挟み、スナックの先端をしゃぶったりかじったりするしぐさを飼い主に見せる。この様子は、とても可愛らしく、また、行儀の良さや賢さなどの好印象も与えるので、飼い主とペットとの親密なコミュニケーション形成に大いに寄与することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るペット用スナックの構成と製造方法の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ミンチ
2 非肉質材料
3 ミンチ状混合物
4 芯棒
5 スナック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉又は魚肉のミンチを断面中空ロール状に成形して乾燥させたペット用スナック。
【請求項2】
鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉又は魚肉のミンチに、野菜、果物、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、砂肝その他の非肉質材料を小片状に刻んで混錬したミンチ状混合物を、断面中空ロール状に成形して乾燥させたペット用スナック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のペット用スナックにおいて、ミンチ又はミンチ状混合物に、調味料、結着剤、保湿剤、栄養添加物の少なくともいずれか一種が添加されたことを特徴とするペット用スナック。
【請求項4】
鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉若しくは魚肉のミンチ、又は該ミンチに野菜、果物、穀類、豆類、チーズ、牛皮ガム、砂肝その他の非肉質材料を小片状に刻んで混錬したミンチ状混合物を略シート状に圧延し、
圧延された上記ミンチ又はミンチ状混合物を芯棒に巻き付けて乾燥させた後、
乾燥させた上記ミンチ又はミンチ状混合物から上記芯棒を抜き取ることにより、断面中空ロール状のペット用スナックを得ることを特徴とするペット用スナックの製造方法。

【図1】
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