説明

ホイール式作業機械

【課題】異なる機種にも対応が可能なフェンダを設けることができるようにした。
【解決手段】本発明は、シャーシフレーム20及び前輪1、後輪2を有する走行体3と、この走行体3上に設けられる旋回体4と、この旋回体4に取り付けられる作業装置5とを備えたホイールショベルにおいて、シャーシフレーム20の上面20aに立設固定されるフレーム用後ブラケット30,31,32と、これらのフレーム用後ブラケット30,31,32に対する後フェンダ26の取り付け部26dの立設板26d3の取り付け高さ位置を調整可能なボトムセムス36,37,38及び長穴33,34,35を含む高さ調整手段とを備えている。後フェンダ25側、前フェンダ23,24側においても同様のフレーム用前ブラケット、またはフレーム用後ブラケットと、高さ調整手段とを備えた構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を覆うフェンダを備えたホイールショベル等のホイール式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、ホイールショベル等の建設機械、すなわちホイール式作業機械であり、車体フレームすなわちシャーシフレームと、このシャーシフレームに取り付けられる車輪、すなわち前輪、後輪とを有する走行体を備えている。なお、特許文献1に示されるようなホイールショベル等にあっては、一般に、走行体の上に旋回体が設けられ、走行体と旋回体とによって車体が構成されている。また、旋回体に土砂の掘削作業等を行う作業装置が取り付けられている。
【0003】
また特許文献1に示される従来技術は、シャーシフレームに固定され、前輪、後輪をそれぞれ覆う上面部を有する前フェンダ、後フェンダを備えている。また、この従来技術は、シャーシフレームにそれぞれ固定される前側ブラケット及び後側ブラケットと、一端が前側ブラケットに固定され、他端が後側ブラケットに固定されるステップとを含むステップ装置を備えている。上述した前フェンダは、シャーシフレームに固定されるとともに、前輪を覆う上面部がステップ装置の前側ブラケットに固定されている。同様に、上述した後フェンダは、シャーシフレームに固定されるとともに、後輪を覆う上面部がステップ装置の後側ブラケットに固定されている。これらの前フェンダ及び後フェンダにより、前輪、後輪に付着した泥土等がシャーシフレーム方向へ、あるいは旋回体方向へ飛散することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−248607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した前フェンダ、後フェンダは、例えばホイールショベルの異なる機種毎に異なる高さ寸法を有するものが設けられている。ホイールショベルにあっては、ステップ装置と旋回体との間隙の寸法に制約を受けており、その間隙に前フェンダ、後フェンダを配置するに際しては、旋回体の下面から下方に突出するボルト頭などとの干渉を生じさせないように配置することが必要になる。したがって、機種が異なる場合に、その機種のホイールショベルに、他の機種に設けられている前フェンダ、後フェンダと同じものを設けようとすると、前フェンダ、後フェンダの製作時の高さ寸法の違いによって、前フェンダ、後フェンダを取り付けた際に、これらの前フェンダ、後フェンダが旋回体の下面から下方に突出するボルト頭などの他の機材に干渉してしまう虞が生じる。このようなことから、上述のように前フェンダ、後フェンダは、ホイールショベルの機種毎に最適な高さ寸法を有するものが製作されている。
【0006】
このように従来にあっては、同じ高さ寸法のフェンダを機種の異なるホイールショベル等のホイール式作業機械のそれぞれにおいて設けることは難しく、このために機種の異なるホイール式作業機械を含めて考えた場合のフェンダの製作費が高くなる問題があった。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、異なる機種にも対応が可能なフェンダを設けることができるホイール式作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、シャーシフレーム及びこのシャーシフレームに取り付けられる車輪を有する走行体を含む車体と、この車体に取り付けられる作業装置と、上記シャーシフレームに固定され、上記車輪を覆う上面部を有するフェンダとを備えたホイール式作業機械において、上記シャーシフレームの上面に立設固定されるフレーム用ブラケットと、上記フェンダに設けられ上記フレーム用ブラケットに固定される取り付け部と、上記フレーム用ブラケットに対する上記フェンダの上記取り付け部の取り付け高さ位置を調整可能な高さ調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、異なる機種に当該ホイール式作業機械に備えられるフェンダと同等のフェンダを適用する際には、高さ調整手段によって、シャーシフレームの上面に立設固定したフレーム用ブラケットに対するフェンダの取り付け部の高さ位置を調整することによって、異なる機種においても当該ホイール式作業機械に備えられるフェンダと同等のフェンダを上述した所定の配置空間内に、他の機材との干渉の虞なく安全に配置させることができる。すなわち本発明は、異なる機種にも対応が可能なフェンダを設けることができる。したがって、異なる機種を含めて考えた場合に、それぞれの機種において同等のフェンダを設けることができ、フェンダの標準化を実現させることができる。
【0010】
また本発明は、上記発明において、上記高さ調整手段は、上記フレーム用ブラケットと上記フェンダの上記取り付け部とを締結するボルト、及びこのボルトに螺合するナットを含むとともに、上記フレーム用ブラケット及び上記フェンダの上記取り付け部の少なくとも一方に、上下方向に延設されるように形成され、上記ボルトが挿通する長穴、または端部が開放され上記ボルトが挿通する切り欠き部を含むことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、横方向のボルト止めによってボルトの径方向、すなわちフレーム用ブラケットの高さ方向へのフェンダの移動を可能にしている。また、高さ調整手段に含まれるボルト及びナットは、簡単に入手でき、また、フレーム用ブラケット及びフェンダの取り付け部の少なくとも一方に、長穴または切り欠き部を形成することも容易であることから、実用性に富む。
【0012】
また本発明は、上記発明において、上記走行体の上記車輪は、前輪と後輪とから成り、上記走行体はステップ装置を備え、このステップ装置は、上記シャーシフレームにそれぞれ固定される前側ブラケット及び後側ブラケットと、一端が上記前側ブラケットに固定され、他端が上記後側ブラケットに固定されるステップとを含み、上記フェンダは、上記前輪を覆い、上記ステップ装置の上記前側ブラケットに固定される上面部を有する前フェンダ、及び上記後輪を覆い、上記ステップ装置の上記後側ブラケットに固定される上面部を有する後フェンダの少なくとも一方から成ることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記発明において、上記シャーシフレームの左右方向のそれぞれに、一対の上記前輪と一対の上記後輪を有する上記走行体を備えたホイールショベルから成り、 上記ボルト及び上記ナットをそれぞれ複数有し、上記フェンダは、上記前輪のそれぞれを覆うように設けられる一対の前フェンダと、上記後輪のそれぞれを覆うように設けられる一対の後フェンダとから成り、上記フレーム用ブラケットは、上記前フェンダの取り付け部のそれぞれに対向させて、それぞれ複数設けられ上記ボルトのうちの該当するものが挿通可能な丸穴を有するフレーム用前ブラケットと、上記後フェンダの取り付け部のそれぞれに対向させて、それぞれ複数設けられ上記ボルトのうちの該当するものが挿通可能な丸穴を有するフレーム用後ブラケットとから成り、上記フレーム用前ブラケット及び上記フレーム用後ブラケットのそれぞれの、上記ボルトの挿入側に対抗する背面側の上記丸穴に対応する位置に、上記ボルトのうちの該当するものが螺合する上記ナットを個別に溶接し、上記前フェンダの取り付け部それぞれの、これらの取り付け部に対向するように設けた複数の上記フレーム用前ブラケットの上記丸穴に対応する箇所に上記ボルトが挿通する上記長穴を形成し、上記後フェンダの取り付け部それぞれの、これらの取り付け部に対向するように設けた複数の上記フレーム用後ブラケットの上記丸穴に対応する箇所に上記ボルトが挿通する上記長穴を形成し、上記前フェンダの取り付け部のそれぞれの背後に、該当する複数の上記フレーム用前ブラケットを位置させて、上記前フェンダを複数の上記フレーム用前ブラケットを覆うように設け、この状態で上記前フェンダの取り付け部のそれぞれと該当する複数の上記フレーム用前ブラケットとを、上記ボルトのうちの該当するもので固定し、上記後フェンダの取り付け部のそれぞれの背後に、該当する複数の上記フレーム用後ブラケットを位置させて、上記後フェンダを複数の上記フレーム用後ブラケットを覆うように設け、この状態で上記後フェンダの取り付け部のそれぞれと該当する複数の上記フレーム用後ブラケットとを、上記ボルトのうちの該当するもので固定したことを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、取り付け部を含む前フェンダによって、この前フェンダが取り付けられる複数のフレーム用前ブラケットを覆うことができ、取り付け部を含む後フェンダによって、この後フェンダが取り付けられる複数のフレーム用後ブラケットを覆うことができ、これらによってシャーシフレーム上の美観を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、走行体のシャーシフレームの上面に立設固定されるフレーム用ブラケットと、車輪を覆うフェンダに設けられフレーム用ブラケットに固定される取り付け部と、フレーム用ブラケットに対するフェンダの取り付け部の取り付け高さ位置を調整可能な高さ調整手段とを備えた構成にしてある。この構成に伴って本発明は、高さ調整手段による高さ位置の調整を行うことにより当該ホイール式作業機械とは異なる機種にも対応が可能なフェンダを設けることができる。すなわち本発明は、フェンダの標準化を実現させることができ、異なる機種のホイール式作業機械の製作も含めて考えた場合に、フェンダに係る製作費を従来よりも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るホイール式作業機械の一実施形態を構成するホイールショベルの側面図である。
【図2】図1に示すホイールショベルの走行体部分を示す斜視図である。
【図3】図2に示す走行体に備えられる後フェンダの1つを示す拡大斜視図である。
【図4】図2に示す走行体に備えられる前フェンダの1つを示す拡大斜視図である。
【図5】図3に示す後フェンダ部分の分解斜視図である。
【図6】図3に示す後フェンダの取り付け部とシャーシフレームとの接続部分を示す要部側断面図である。
【図7】図3に示す後フェンダの取り付け部とシャーシフレームとの接続部分においてボトムセムスを省略して示した拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るホイール式作業機械の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係るホイール式作業機械の一実施形態を構成するホイールショベルの側面図、図2は図1に示すホイールショベルの走行体部分を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るホイールショベルは、走行体3と、この走行体3上に配置される旋回体4とを備えている。これらの走行体3と旋回体4とによって車体が構成されている。また、本実施形態は、旋回体4に上下方向の回転可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置5を備えている。この作業装置5は、旋回体4に取り付けられるブーム6と、このブーム6の先端に取り付けられるアーム7と、このアーム7の先端に取り付けられるバケット8とを含んでいる。旋回体4の旋回フレーム4a上の前側位置には運転室9が配置され、後側位置には重量バランスを確保するカウンタウエイト10が配置され、運転室9とカウンタウエイト10との間には、エンジン及び油圧ポンプが収容されるエンジン室11が配置されている。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に備えられる走行体3は、シャーシフレーム20と、このシャーシフレーム20の左右方向に設けられる一対の前輪1と、一対の後輪2とを含んでいる。また、一対の前輪1のうちの一方の前輪1と、一対の後輪2のうちの一方の後輪2との間にはステップ装置21を配置してある。このステップ装置21は、シャーシフレーム20の一方の側部に固定される前側ブラケット21a及び後側ブラケット21bと、それぞれ一端が前側ブラケット21aに固定され、他端が後側ブラケット21bに固定される複数のステップ21cとを含んでいる。同様に、一対の前輪1のうちの他方の前輪1と、一対の後輪2のうちの他方の後輪2との間にはステップ装置22を配置してある。このステップ装置22は、シャーシフレーム20の他方の側部に固定される前側ブラケット22a及び後側ブラケット22bと、それぞれ一端が前側ブラケット22aに固定され、他端が後側ブラケット22bに固定される複数のステップ22cとを含んでいる。
【0021】
また本実施形態は、車輪を覆うフェンダを備えている。例えば図2に示すように、前輪1のそれぞれを覆う一対の前フェンダ23,24と、後輪2のそれぞれを覆う一対の後フェンダ25,26とを備えている。
【0022】
図2に示す後フェンダ25,26は、互いに左右対称の構成に成っている。例えば図3に示すように、後フェンダ26は、ステップ装置22の後側ブラケット22bに固定される上面部26aと、この上面部26aに連設され、後方に向かって傾斜する傾斜部26bと、上面部26aにそれぞれ連設される左右一対の側面部26cと、一対の側面部26cのうちのシャーシフレーム20側に位置する側面部26cに固定される取り付け部26dとを備えている。取り付け部26dは、側面部26cに固定される固定板26d1と、この固定板26d1に連設されて下方に傾斜する傾斜板26d2と、この傾斜板26d2に連設され、上下方向に沿って延設される立設板26d3とを含んでいる。この取り付け部26dは、互いに別部材から成る固定板26d1、傾斜板26d2、及び立設板26d3を溶接によって一体形成したものでもよく、また、1枚板を曲げ形成して固定板26d1、傾斜板26d2、及び立設板26d3を有するように設けたものでもよい。図2に示す他方の後フェンダ25は、上述した後フェンダ26とは左右対称の形状に形成されている。
【0023】
また、図2に示す前フェンダ23,24も、互いに左右対称の構成となっている。例えば図4に示すように、前フェンダ24は、ステップ装置22の前側ブラケット22aに固定される上面部24aと、この上面部24aから折り曲げ形成され、シャーシフレーム20方向に向かって傾斜する傾斜部24bと、この傾斜部24bから折り曲げ形成され、上下方向に沿って延設される取り付け部24cとを備えている。図2に示す他方の前フェンダ23は、上述した前フェンダ24とは左右対称の形状に形成されている。
【0024】
本実施形態は特に、シャーシフレーム20の上面20aに立設固定されるフレーム用ブラケットと、フェンダに設けられフレーム用ブラケットに固定される取付け部と、フレーム用ブラケットに対するフェンダの取り付け部の取り付け高さ位置を調整可能な高さ調整手段とを備えている。
【0025】
高さ位置調整手段は、フレーム用ブラケットとフェンダの上述した取付け部とを締結するボルト、及びこのボルトに螺合するナットを含むとともに、フレーム用ブラケット及びフェンダの上述した取付け部の少なくとも一方に、上下方向に延設されるように形成され、上述のボルトが挿通する長穴、または端部が開放されボルトが挿通する切り欠き部を含んでいる。この高さ位置調整手段は、横方向のボルト止めによってボルトの径方向、すなわちフレーム用ブラケットの高さ方向へのフェンダの移動を可能にしている。
【0026】
上述したフレーム用ブラケットは、例えば図5−7に示すように、後フェンダ26の取り付け部26dの立設板26d3に対向させて、それぞれ複数設けられ、座金を備えたボルトであるボルトセムス36,37,38がそれぞれ挿通可能な丸穴30a,31a,32aを有するフレーム用後ブラケット30,31,32を含んでいる。
【0027】
フレーム用後ブラケット30,31,32のそれぞれの、ボルトセムス36,37,38の挿入側に対抗する背面側の丸穴30a,31a,32aに対応する位置には、ボルトセムス36,37,38等のうちの該当するものが螺合するナットを、図6に例示するナット36bのようにそれぞれ個別に溶接してある。
【0028】
また、後フェンダ26の取り付け部26dの立設板26d3に対抗するように設けたフレーム用後ブラケット30,31,32の丸穴30a,31a,32aに対応する箇所に、図7に例示するように、ボルトセムス36,37,38が挿通する例えば長穴33,34,35を形成してある。
【0029】
なお図示しないが、後フェンダ25側にあっても、上述した後フェンダ26側におけるのと同等のフレーム用後ブラケット、及びフレーム用後ブラケットに対する後フェンダ25の取り付け部の取り付け高さ位置を調整可能な高さ調整手段を備えた構成になっている。また、前フェンダ23,24にあっても、上述した後フェンダ26側におけるのと同等のフレーム用前ブラケット、及びフレーム用前ブラケットに対する前フェンダ23,24の取り付け部の取り付け高さ位置を調整可能な高さ調整手段を備えた構成になっている。
【0030】
図5に例示するように、例えば後フェンダ26の上面部26aに形成した穴26a1と、ステップ装置22の後側ブラケット22bに形成したボルト穴22b1のそれぞれに挿入されるボルトセムス27によって、後フェンダ26がステップ装置22の後側ブラケット22bに固定される。後フェンダ25も同様にして、ステップ装置21の後ブラケット21bに固定される。
【0031】
また、図4に例示するように、例えば前フェンダ24の上面部24aに形成した穴と、ステップ装置22の前側ブラケット22aに形成したボルト穴のそれぞれに挿入されるボルトセムス28によって、前フェンダ24がステップ装置22の前側ブラケット22aに固定される。前フェンダ23も同様にしてステップ装置21の前側ブラケット21aに固定される。
【0032】
また、図4に示すように、前フェンダ24の取り付け部24cの背後に、図示しないフレーム用前ブラケットを位置させて、前フェンダ24を該当する複数の図示しないフレーム用前ブラケットを覆うように設け、この状態で、前フェンダ24の取り付け部24cと該当する複数の図示しないフレーム用前ブラケットとを、ボルトセムス40,41,42で固定してある。前フェンダ23についても同等の配置にしてある。
【0033】
また、図3,5に示すように、後フェンダ26の取り付け部26dの立設板26d3の背後に、フレーム用後ブラケット30,31,32を位置させて、後フェンダ26をフレーム用後ブラケット30,31,32を覆うように設け、この状態で後フェンダ26の取り付け部26dの立設板26d3とフレーム用後ブラケット30,31,32とを、ボルトセムス36,37,38で固定してある。後フェンダ25についても同等の配置にしてある。
【0034】
一般にホイールショベルの機種に応じて前輪1及び後輪2のサイズ等が異なるが、シャーシフレーム20に対するフレーム用前ブラケット、フレーム用後ブラケット30,31,32の高さ位置、すなわち高さ寸法が異なるものとなる。そのため、前フェンダ23,24、後フェンダ25,26をフレーム用前ブラケット、フレーム用後ブラケット30,31,32の対応するものにボルト固定する場合、前フェンダ23,24、後フェンダ25,26のシャーシフレーム20側の固定箇所の位置が上下する。本実施形態は、このようにシャーシフレーム20側の固定箇所の位置が変わっても高さ位置調整手段によってシャーシフレーム20側への固定が可能となる。
【0035】
すなわち、上述のように構成した本実施形態は、異なる機種のホイールショベルに、当該ホイールショベルに備えられる前フェンダ23,24、後フェンダ25,26と同等の前フェンダ、後フェンダを適用する際には、本実施形態に係るホイールショベルに備えられる部材で説明すれば、ボトムセムス40,41,42等、及びボトムセムス36,37,38等を緩めて前フェンダ23,24の取り付け部24c等の高さ位置、及び後フェンダ25,26の取り付け部26d等の立設板26d3等の高さ位置を調整することによって、異なる機種においても、当該ホイールショベルに備えられる前フェンダ23,24及び後フェンダ25,26を上述した所定の配置空間内に、他の機材との干渉の虞なく安全に配置させることができる。すなわち本実施形態は、異なる機種にも対応が可能な前フェンダ23,24及び後フェンダ25,26を設けることができる。したがって、異なる機種を含めて考えた場合に、それぞれの機種において同等の前フェンダ23,24及び後フェンダ25,26を設けることができ、前フェンダ23,24及び後フェンダ25,26の標準化を実現させることができる。これにより、異なる機種のホイールショベルの製作も含めて考えた場合に、前フェンダ23,24及び後フェンダ25,26の製作費を低減させることができる。
【0036】
また本実施形態は、ボルトセムス36,37,38,40,41,42等による横方向のボルト止めによって、ボルトの径方向、すなわちフレーム用前ブラケット、及びフレーム用後ブラケット30,31,32等の高さ方向への前フェンダ23,24、及び後フェンダ25,26の移動を可能にしている。また、前フェンダ23,24の取り付け部24c等、及び後フェンダ25,26の取り付け部26dの立設板26d3等の取り付け高さ位置を調整する高さ調整手段に含まれるボルトセムス36,37,38,40,41,42等、及びナット36b等は、簡単に入手でき、また図示しないフレーム用前ブラケット、及びフレーム用後ブラケット30,31,32等に長穴33,34,35等を形成することも容易であることから、本実施形態は実用性に富む。
【0037】
さらに本実施形態は、取り付け部24c等を含む前フェンダ23,24等によって、これらの前フェンダ23,24等が取り付けられる複数の図示しないフレーム用前ブラケットを覆うことができ、取り付け部26dの立設板26d3等を含む後フェンダ25,26によって、これらの後フェンダ25,26が取り付けられる複数のフレーム用後フェンダ30,31,32等を覆うことができ、これらによってシャーシフレーム20上の美観を確保することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、例えばフレーム用後ブラケット30,31,32に丸穴30a,31a,32aを形成し、後フェンダ26等の取り付け部26dの立設板26d3に長穴33,34,35を形成してが、これとは逆に、フレーム用後ブラケット30,31,32に長穴を形成し、後フェンダ26等の取り付け部26dの立設板26d3にボルトセムス36,37,38が挿入可能な丸穴を設けてもよい。また、上述したそれぞれのケースにおいて、丸穴に代えて長穴のみを設けるようにしてもよい。また、上述した長穴34,35,36に代えて、上端部あるいは下端部が開放され、上下方向に延設され、ボルトセムス36,37,38が挿入可能な切り欠き部を設けた構成にしてもよい。
【0039】
また、ホイール式作業機械が、ステップ装置21,22の前側ブラケット21a,22a、及び後側ブラケット21b,22bがボルトによってシャーシフレーム20に取り付けられる構造を有し、前側ブラケット21a,22a及び後側ブラケット21b,22bに形成されるシャーシフレーム20への取り付け用のボルト穴が上下方向に長い長穴であって、車輪の径等に応じて前側ブラケット21a,22a、及び後側ブラケット21b,22bの高さ位置が変更可能なホイールショベル等のホイール式作業機械である場合でも、本発明を適用することができる。このようなホイール式作業機械でも、前側ブラケット21a,22a、及び後側ブラケット21b,22bの高さ位置の変化に応じて、上述した高さ位置調整手段によって、前フェンダ23,24、及び後フェンダ25,26のシャーシフレーム20側への固定が可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 前輪
2 後輪
3 走行体(車体)
4 旋回体(車体)
5 作業装置
20 シャーシフレーム
20a 上面
21 ステップ装置
21a 前側ブラケット
21b 後側ブラケット
21c ステップ
22 ステップ装置
22a 前側ブラケット
22b 後側ブラケット
22b1 ボルト穴
22c ステップ
23 前フェンダ
24 前フェンダ
25 後フェンダ
26 後フェンダ
26d 取り付け部
26d3 立設板
27 ボルトセムス
30 フレーム用後ブラケット
30a 丸穴
31 フレーム用後ブラケット
31a 丸穴
32 フレーム用後ブラケット
32a 丸穴
33 長穴
34 長穴
35 長穴
36 ボルトセムス
36b ナット
37 ボルトセムス
38 ボルトセムス
40 ボルトセムス
41 ボルトセムス
42 ボルトセムス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシフレーム及びこのシャーシフレームに取り付けられる車輪を有する走行体を含む車体と、この車体に取り付けられる作業装置と、上記シャーシフレームに固定され、上記車輪を覆う上面部を有するフェンダとを備えたホイール式作業機械において、
上記シャーシフレームの上面に立設固定されるフレーム用ブラケットと、上記フェンダに設けられ上記フレーム用ブラケットに固定される取り付け部と、上記フレーム用ブラケットに対する上記フェンダの上記取り付け部の取り付け高さ位置を調整可能な高さ調整手段とを備えたことを特徴とするホイール式作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載のホイール式作業機械において、
上記高さ調整手段は、上記フレーム用ブラケットと上記フェンダの上記取り付け部とを締結するボルト、及びこのボルトに螺合するナットを含むとともに、上記フレーム用ブラケット及び上記フェンダの上記取り付け部の少なくとも一方に、上下方向に延設されるように形成され、上記ボルトが挿通する長穴、または端部が開放され上記ボルトが挿通する切り欠き部を含むことを特徴とするホイール式作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載のホイール式作業機械において、
上記走行体の上記車輪は、前輪と後輪とから成り、
上記走行体はステップ装置を備え、このステップ装置は、上記シャーシフレームにそれぞれ固定される前側ブラケット及び後側ブラケットと、一端が上記前側ブラケットに固定され、他端が上記後側ブラケットに固定されるステップとを含み、
上記フェンダは、上記前輪を覆い、上記ステップ装置の上記前側ブラケットに固定される上面部を有する前フェンダ、及び上記後輪を覆い、上記ステップ装置の上記後側ブラケットに固定される上面部を有する後フェンダの少なくとも一方から成ることを特徴とするホイール式作業機械。
【請求項4】
請求項3に記載のホイール式作業機械において、
上記シャーシフレームの左右方向のそれぞれに、一対の上記前輪と一対の上記後輪を有する上記走行体を備えたホイールショベルから成り、
上記ボルト及び上記ナットをそれぞれ複数有し、
上記フェンダは、上記前輪のそれぞれを覆うように設けられる一対の前フェンダと、上記後輪のそれぞれを覆うように設けられる一対の後フェンダとから成り、
上記フレーム用ブラケットは、上記前フェンダの取り付け部のそれぞれに対向させて、それぞれ複数設けられ上記ボルトのうちの該当するものが挿通可能な丸穴を有するフレーム用前ブラケットと、上記後フェンダの取り付け部のそれぞれに対向させて、それぞれ複数設けられ上記ボルトのうちの該当するものが挿通可能な丸穴を有するフレーム用後ブラケットとから成り、上記フレーム用前ブラケット及び上記フレーム用後ブラケットのそれぞれの、上記ボルトの挿入側に対抗する背面側の上記丸穴に対応する位置に、上記ボルトのうちの該当するものが螺合する上記ナットを個別に溶接し、
上記前フェンダの取り付け部それぞれの、これらの取り付け部に対向するように設けた複数の上記フレーム用前ブラケットの上記丸穴に対応する箇所に上記ボルトが挿通する上記長穴を形成し、上記後フェンダの取り付け部それぞれの、これらの取り付け部に対向するように設けた複数の上記フレーム用後ブラケットの上記丸穴に対応する箇所に上記ボルトが挿通する上記長穴を形成し、
上記前フェンダの取り付け部のそれぞれの背後に、該当する複数の上記フレーム用前ブラケットを位置させて、上記前フェンダを複数の上記フレーム用前ブラケットを覆うように設け、この状態で上記前フェンダの取り付け部のそれぞれと該当する複数の上記フレーム用前ブラケットとを、上記ボルトのうちの該当するもので固定し、
上記後フェンダの取り付け部のそれぞれの背後に、該当する複数の上記フレーム用後ブラケットを位置させて、上記後フェンダを複数の上記フレーム用後ブラケットを覆うように設け、この状態で上記後フェンダの取り付け部のそれぞれと該当する複数の上記フレーム用後ブラケットとを、上記ボルトのうちの該当するもので固定したことを特徴とするホイール式作業機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate