説明

ホリゾンタルダイバータ

【課題】本流コンベヤラインの仕分け位置に、左右一対のダイバータを設け、振り幅狭く、かつヘッドを軽量にして慣性力小としスピードアップと停止精度を良好に保持し、搬送物噛み込み防止機構を採用して確実な仕分を行い、またダイバータ部とリンク部間に着脱機構を採用しベルトダイバータ部の交換を短時間で完了させることでメンテナンス性を良好にしたホリゾンタルダイバータを提供する。
【解決手段】本流ベルトコンベヤ1の仕分位置近くに配置したベース部4に、コンベヤベルト上面の左右ずらした位置で所定角度回動する一対のベルトダイバータ部5,5を配置し、各ベルトダイバータ部5の従動プーリ8をアルミプーリで軽量化すると共に、ベルトダイバータ部4の駆動プーリシャフトとベ−ス部のダイバータ回動軸とを同心とし、回動モーメントを小さくした。ダイバータ部ヘッドを軽量にし振り幅狭くして水平回動時の慣性力を小とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本流コンベヤの中間荷卸仕分け時に、本流搬送方向を斜めに横切るように張出すベルトダイバータに関するもので、特に張り出し時のダイバータ全長を概略半分に分割した左右一対のダイバータとして振り幅を小さくすると共に、ダイバータベルトの駆動プーリの従動側を軽量化して慣性力を小さくすることで、回動スピードを速くして単位時間の処理能力を大きくし、停止精度を良好にしたホリゾンタルダイバータに関する。さらに、ダイバータフレームとベルトとの間にギャップを設けて荷その他の噛みこみ防止し、かつダイバータ部旋回軸とリンク駆動部の出力軸との間に着脱機構を採用することで、ベルトダイバータ部の交換を短時間で完了させることを可能としたホリゾンタルダイバータに関する。
【背景技術】
【0002】
ホリゾンタルダイバータ等仕分け装置は、トラック等から荷卸しされた物品(搬送物)を投入コンベヤにより搬送する間に、ホストコンピュータ等制御装置にあるキーボードに人手により入力されたその物品の仕分け先シュート番号等の情報により、物品の仕分け位置到達時に、仕分けシュートに対向して設けられたダイバータの旋回駆動モータが回動してダイバータを非動作位置から動作位置へ旋回させ物品を仕分けるものである。従来型のホリゾンタルダイバータは、通常その旋回ダイバータ部は遊戯具のピンボールの羽根形状をしており、その駆動部はたとえば駆動モータの駆動軸とそれを旋回ダイバータ部の往復運動に変えるリンク機構を設けている。この場合、本流コンベヤ上にダイバータを張出して仕分けシュートへ対象物品を仕分けるという非動作位置から動作位置へのダイバータの動きは、本流コンベヤによる物品の搬送方向に対して逆方向の運動成分を有するため、ダイバータが物品に当る際に物品にあたえる衝撃が大きく、物品を破損する問題点があった。この衝撃を小さくするため、リンクにもう1つアームを追加してダイバータの軸支部分をダイバータ動作とともにダイバータ動作方向と反対方向に引きこむようにしたものもある(例えば、特許文献1)。
【0003】
後記特許文献2の図5、図6に示されたコンベヤの中間荷卸し装置では、物品を搬送する搬送コンベヤの上部に、所要の高さを有して跨ぐように門型の固定フレームを設け、該固定フレームの左右方向一側に、前記搬送コンベヤの上面と所定の間隔を隔てて配置された回転フレームの基端を回転軸により水平回転可能に取り付け、また回転フレームの下側に該回転フレームと平行で一側に減速機付きモータによって駆動される垂直な搬送面を有した小コンベヤからなるガイドコンベヤを設け、固定フレームの左右方向他側と回転フレームの中間部との間を回動用シリンダで連結した構成を有している。
上記従来のコンベヤの中間荷卸し装置によって搬送コンベヤ上の物品を、該コンベヤの側外方に荷卸しする際には、回動用シリンダを作動させて、回転フレーム及びガイドコンベヤが搬送コンベヤの搬送方向を斜めに横切るように搬送コンベヤ上に張り出される。すると、搬送コンベヤによって搬送されてきた物品は、搬送コンベヤの搬送力と、減速機付きモータによって駆動されているガイドコンベヤの搬送面の搬送作用によって搬送コンベヤの側部外方に荷卸しされる。
このガイドコンベヤを設けたダイバータでは、搬送コンベヤ上を搬送された物品が仕分けされるため動作位置へ動いたダイバータに当たっても、ガイドコンベヤの搬送面の動作方向と搬送コンベヤの搬送方向が順方向となっていて、ダイバータが物品に当たる際の衝撃は減少できる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−58445号(第3頁右欄37行〜第4頁32行、図5,6)。
【特許文献2】実開平6−27758号(第2頁2〜10行、第413行〜第5頁8行、図1,2,5,6)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ダイバータが物品に当たるときに与える衝撃を小さくするためにリンク機構が複雑になり故障頻度が多くなることや、衝撃を小さくするために軸支部分を引きこむタイミングが物品の到着するタイミングとずれると効果がなくなってしまう問題点がある。
また、特許文献2では、ダイバータは、固定フレームの左右方向一側に回転フレームの基端を回転軸により水平回転可能に取付けているが、その回転軸とガイドコンベヤベルトの駆動プーリが離れていたり、ガイドコンベヤはその一側に設けた減速機付きモータによって駆動されたりするので、ダイバータの慣性モーメントは大きく、そのため回動用シリンダで連結していて高速で旋回動作はできない。また、特許文献1も特許文献2とも、リンク機構や慣性モーメントの大きさにより、停止精度は良くできない。さらに、ダイバータ部分と搬送コンベヤとの隙間について特に考慮していないので、ソフトバックのような搬送物やタグなどの付属物をこの隙間にかみ込み停止する不具合が多く発生する。又その際や、ベルト交換時にダイバータ本体の(駆動軸と分離)交換が複雑で時間がかかるものであった。
本発明は、上記の点を改善したホリゾンタルダイバータを提供するものであって、本流搬送方向を斜めに横切るように仕分け時に張り出す際、ダイバータ全長を概略半分に分割した左右一対のダイバータとして振り幅を小さくすると共に、ダイバータベルトの従動側を軽量化して慣性力を小さくすること、およびダイバータベルトの駆動プーリ軸とダイバータ回動軸を同軸としてベルト駆動機構の慣性力を小さくすることで、回動スピードを速くして単位時間の処理能力を大きくし、停止精度を良好にしたホリゾンタルダイバータを提供することを目的とする。さらに、ダイバータフレームとベルトとの間にギャップを設けて荷その他の噛みこみを防止する。また、ダイバータリンク駆動部にサーボモータを採用することで無理のない立ち上げ、停止を行って低振動、低騒音を実現する。耐疲労強度、寿命の確保、搬送物噛み込み防止機構を採用して、十分な立ち上がりトルク及び減速トルクを有するサーボモータによる確実な仕分を行う。ダイバータ部−リンク部に着脱機構を採用しベルトダイバータ部の交換を短時間(例えば15分)で完了させることでメンテナンス性を良好にしたホリゾンタルダイバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、本流ベルトコンベヤの仕分位置近くに配置したベース部に、前記コンベヤベルト上面の左右ずらした位置で所定角度旋回する一対のベルトダイバータ部を組付け、各ベルトダイバータ部のエンドプーリをアルミプーリで軽量化すると共に、前記ベルトダイバータ部の駆動プーリシャフトと前記ベ−ス部に立設したダイバータ旋回軸とを同心とし、各ベルトダイバータ部の旋回モーメントを小さくしたことを特徴とするホリゾンタルダイバータである。
請求項2は、前記各ベルトダイバータ部は、ダイバータ回動軸上に設けた駆動プーリとアルミ製ダイバータフレームの先端に設けた従動プーリとにベルトを掛け渡し、ダイバータ部ヘッドとなる従動プーリ側を軽量にし回動による振り角度を狭くして水平回動時の慣性力を小とすると共に、前記本流コンベヤラインの下部に配置したダイバータ旋回用モータユニットと各ダイバータ部の旋回軸とをリンク機構で連結して、ダイバータ部旋回のスピードアップと停止精度を良好に保持したことを特徴とする。
請求項3は、前記ダイバータ旋回用のリンク機構は、ダイバータ部旋回用モータユニットの出力軸に嵌装されたアームと、前記アームの両端に連結された一対のターンバックル式の連結ピースと、各連結ピースと前記駆動プーリシャフトの直下に配設されたダイバータ部の旋回駆動軸とを連結するリンクとからなり、左右のベルトダイバータを所定角度で同期回動するように構成されていることを特徴とする。
請求項4は、前記ダイバータ部のフレームは、本流コンベヤレベルから上方所定高さ離して取付けられ、前記フレーム幅よりダイバータベルト幅を広くし、かつフレーム下辺とダイバータベルト幅の下縁との間にギャップを形成させて、仕分け作動時のダイバータベルトによる搬送物またはその付属品の噛み込みを防止するようにしたことを特徴とする。
請求項5は、前記本流ベルトコンベヤにおける仕分け位置の下部中央に、前記ダイバータ部旋回用の駆動ユニットと左右のダイバータ部旋回用のリンク機構とを設けると共に、前記リンク機構の出力軸であるダイバータ部の旋回駆動軸と前記駆動プーリシャフトとを分離可能にジョイントすることにより、ダイバータ本体またはベルトの交換を容易かつ短時間で完了させるようにしたことを特徴とする。
請求項6は、前記ベ−ス部のダイバータ部旋回用駆動モータユニットに低振動、低騒音のサーボモータを採用することで無理のない立ち上げ、停止を実現し、前記ダイバータ本体の回転は、前記駆動ユニット出力軸の約100°の回動によりリンクを動かして行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本流コンベヤラインの仕分け位置に、左右一対のダイバータを設けたホリゾンタルダイバータであって、本流搬送方向を斜めに横切るように仕分け時に張り出す際、ダイバータ全長を概略半分に分割した左右一対のダイバータとして振り幅を小さくすると共に、ダイバータベルトの従動側を軽量化して慣性力を小さくすること、およびダイバータベルトの駆動プーリ軸とダイバータ回動軸を同軸としてベルト駆動機構の慣性力を小さくすることで、回動スピードを速くして単位時間の処理能力を大きくし、停止精度を良好に保持する。さらに、ダイバータフレームとベルトとの間にギャップを設けて荷その他の噛みこみを防止する。ダイバータリンク駆動部にサーボモータを採用することで無理のない立ち上げ、停止を行って低振動、低騒音を実現する。耐疲労強度、寿命の確保、搬送物噛み込み防止機構を採用して、十分な立ち上がりトルク及び減速トルクを有するサーボモータによる確実な仕分を行う。ダイバータ部−リンク部に着脱機構を採用しベルトダイバータ部の交換を短時間(例えば15分)で完了させることでメンテナンス性を良好にする。また、各ダイバータの旋回を機械式リンク機構により行い、サーボモータ台数を半減、空港向搬送コンベヤ等との部品共有化するコスト・ダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の設計目的及び設計方針(性能、信頼性、メンテナンス性等)を略記すると下記のとおりである。
(1)設計目的:一般物流向け簡易式ライン型ソータの開発及び高速多量搬送の仕分け装置として競争力ある性能、品質の追求、標準化をはかることにある。
(2)設計方針
(2-1) 性能
仕分機械能力:
・2400個/時(搬送物進行方向長750mm以下の場合)
・1800個/時(搬送物進行方向長750mmを超え1000mm以下の場合)
・最大搬送物重量 40kg
低振動、低騒音対策:ダイバータリンク駆動部にサーボモータを採用することで無理のない立ち上げ、停止を実現。ダイバータベルト駆動部にチェーンレスタイプを採用(ホローシャフトモータの採用)。
(2-2)信頼性
耐疲労強度、寿命の確保(ベアリングL10=60000H以上)、搬送物噛み込み防止機
構の採用、十分な立ち上がりトルク及び減速トルクを有するサーボモータによる確実
な仕分を行う。
(2-3)メンテナンス性:ダイバータ部−リンク部に着脱機構を採用することでベルトダイバータ部の交換を短時間(例えば15分)で完了させる。
(2-4)コスト・ダウン:機械式リンク機構によりサーボモータ台数を半減、空港向搬送コンベヤ等との部品共有化、国際的に調達可能な部品設計を行う。
【0009】
上記の目的、方針に基づき、a)高速の仕分け能力を得るため、ダイバータ部(プーリ、フレーム、ダイバータベルト、同駆動モータ)を2本(左右一対)に分割し、ダイバータのエンドプーリにはアルミプーリで軽量化を図った。b)ダイバータ部の駆動プーリシャフト位置とダイバータ旋回軸位置を同心、すなわちダイバータベルト駆動プーリシャフト位置とベ−ス部(ダイバータ旋回軸、同旋回機構)のダイバータ旋回軸位置とを同心としてモーメントを小さくした。c)搬送コンベヤ(本流ベルトコンベヤ)とダイバータベルトとの隙間による噛み込みを最小限に抑えるため、ダイバータ本体(プーリ、フレーム)よりベルト幅を広くして、噛み込んだときの搬送物の逃げ場を用意しておく。d)ダイバータ部とベース部の取外しを短時間に完了させる構造にしてダイバータ本体交換作業を容易にする。e)ダイバータ本体の回転は、本流ベルトコンベヤの下部にあるモータ軸の約100度の回動によりリンクを介して行い、これにより、2400個/時の仕分け能力を発揮させることができるようにした。
【0010】
図1は本発明ホリゾンタルダイバータの斜視図、図2は図1の仕分け作動時の斜視図である。
本流ベルトコンベヤ1に接して設けた分岐ベルトコンベヤ2の仕分位置近くにベース部4,4を配置し、その上にコンベヤベルト上面の左右ずらした位置で所定角度回動する一対のベルトダイバータ部5,5を取付ける。ダイバータ部5,5はダイバータフレーム6の回動軸に駆動プーリ7、先端に従動プーリ(エンドプーリ)8を設けて垂直面内に走行するダイバータベルト10を掛け渡す。ダイバータベルト10の裏面中央には突起(図示省略)を設けて、後記図10に示すように駆動プーリ7、従動プーリ8の周面に形成した溝49に挿合させてベルトの蛇行を防止している。
各ベルトダイバータ部5のエンドプーリ8をアルミ製のプーリとすることで軽量化すると同時に振り幅狭くして水平回動時の慣性力を小とする。また、後記図3,4に示すようにベルトダイバータ部5の駆動プーリシャフトとベ−ス部4のダイバータ旋回軸とを同心とし、旋回モーメントを小さくしてある。さらに、本流コンベヤの下部に配置したダイバータ旋回駆動ユニットと各ダイバータ部の旋回軸下端とをリンク機構20(図3)で連結して、ダイバータ回動のスピードアップと停止精度を良好に保持する。
【0011】
図1は左右のベルトダイバータ部5,5が本流ベルトコンベヤ1の両端に近接する位置で平行に開いた状態を示し、本流ベルトコンベヤ1上の搬送物Gは仕分位置を通過して下流に搬送される。仕分時には、図2に示すように、左右のベルトダイバータ部5,5を本流ベルトコンベヤ1に向ってそれぞれ反対方向に約45度旋回させると同時に、モータ9を駆動してダイバータベルト10、10を同じ方向に走行させる。実施の形態では、ダイバータ部5の従動プーリ(エンドプーリ)8を駆動プーリ7より小径とし、ダイバータフレーム6全体を平面視先細テーパ状にしてあるため、仕分け時に、本流ベルトコンベヤ1の上流側に面するダイバータベルト10、10の走行面を連続した45度傾斜に維持するには、左右のダイバータフレーム6、6の駆動プーリ軸17と従動プーリ軸18を結ぶ線を例えば44.8度反対方向に旋回(図3)させる。
【0012】
図3は本発明ホリゾンタルダイバータの拡大平面図、図4は図3の正面図、図5はダイバータ部分を支持するベースフレームの平面図である。
本流ベルトコンベヤ1の下部には、直角に組んだ基台11、11の各辺先端を結んで平面から見て斜めにベースフレーム12が固着され、その中央にダイバータ部旋回用のモータベース13を設けると共に、ベースフレーム12の両端部に上記ダイバータ部5,5を支持するベアリングベース14、14を設けている。モータベース13にモータユニット(サーボモータ)15を固着し、ベアリングベース14、14にダイバータ旋回軸16、16を支持する。モータユニット15の出力軸17とダイバータ旋回軸16、16との間には、1対のアーム21とリンク22とレバー23とからなるリンク機構20、20を取付け、レバー23、23の先端をダイバータ旋回軸16、16にそれぞれ固着する。低振動、低騒音対策としてダイバータリンク駆動部に上記のように、サーボモータを採用することで無理のない立ち上げ、停止を実現した。
ダイバータ回動軸16は、図8(a)の拡大正面図、同(b)の平面図に示すように、上部にランドバー16aをダイバータ回動軸16より外径を落として突出させ、段部にボルト孔をあけたプレート25を嵌装し、下部にベアリングユニット26を介してボルト孔をあけたプレート27を取付ける。なお、ダイバータベルト10の駆動プーリ17(図4)の位置と、ベース部4のダイバータ旋回軸16の位置とを同心としてモーメントを小さくした。ダイバータ本体の回転は、本流ベルトコンベヤ下部のベース部にあるモータユニット出力軸15aの回動(約100°)によりリンクを動かして行う。
【0013】

図6はダイバータ本体の拡大正面図、図7は平面図である。前述したように、ダイバータ部5,5はダイバータフレーム6の一方に駆動プーリ7、他方に従動プーリ(エンドプーリ)8を設けて垂直面内に走行するダイバータベルト10を掛け渡してある。ダイバータベルト10の下縁は、本流コンベヤベルト1の表面に接近し、例えば2mm程度の隙間を保って走行するように保持されている。ダイバータ部5,5は振り幅を狭く、すなわちダイバータの旋回角度を仕分動作に必要な適正な角度範囲に保持されるが、ダイバータ部5,5のエンドプーリ8をアルミプーリで軽量化して水平旋回時の慣性力を小さくしてある。
ダイバータフレーム6の駆動プーリ側下部に、後記図9に示すごときベアリングユニット30を固着して駆動プーリ軸17を支持する。駆動プーリ軸18の上部はダイバータフレーム6の上板に設けたベアリングユニット32を介してモータユニット9の減速機構19の出力軸19aと一体化する。また、モータユニット9の下部とダイバータフレーム6の上部との間にトルクアーム34を取付けている。一方、ダイバータフレーム6の先端に従動プーリ8の軸18を支持するベアリングユニット35,35を設ける。ベアリングユニット35は、ボルト通し孔付きのプレート36及びアジャストナット37により取付け位置を調節する。
【0014】
図9は、ダイバータ本体の旋回軸部に設けたベアリングを示し、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は底面図である。
駆動プーリ側の下部には、図示のようなベアリングユニット30を固着する。このベアリングユニット30は上板38と下板39との間に、ベアリングを内装した円筒体40と縦板41とを溶着する。上板38にはダイバータフレーム6の下部にボルト締めする複数のボルト孔42を有し、下板39にはダイバータ回転軸16の上部プレート25(図4,8)にボルト締めする複数のボルト孔43を有している。
ベルトダイバータ部5の駆動プーリシャフト(駆動軸)17とベ−ス部4のダイバータ回動軸16とを同心とし、回動モーメントを小さくすると共に、図6について説明したように、ベアリングユニット30のボルト孔に挿通したボルト31、ナット33を緩め取外すことによりダイバータ部5とベース部4を短時間に取外し、取付けが可能となり、ダイバータ本体の交換作業を容易にする。
さらに、仕分け時に、本流ベルトコンベヤ1とダイバータベルト10との隙間による搬送物の噛み込みを最小限に抑えるため、図6のようにダイバータフレーム6の高さ方向幅よりダイバータベルト10の幅を広くし、搬送物の逃げ場をつくる。すなわち、ダイバータベルト10は、その下縁を本流ベルトコンベヤ1の搬送レベルから僅かに離れた位置で走行するが、ダイバータベルト10の下縁と、ダイバータフレーム6の下板との間にギャップgを形成させている。このギャップgの存在により、仕分け作動時のダイバータベルト下縁における搬送物または付属品の噛み込みを防止し、仮に噛み込んだ時にはベルト下縁が撓んで噛み込みを外側に排出しようとする力を発生させるものである。
【0015】
図10はダイバータ本体のプーリを示すもので、(a)はドライブ(駆動側)プーリの拡大断面図、(b)はエンド(従動側)プーリの拡大断面図である。ドライブ(駆動側)プーリ7はエンド(従動側)プーリ8より径を大きくしているが同じ形状をなしている。プーリの主体部であるパイプ47の内部上下にハウジング46、46を設け、テーパスリーブ45、45を介してそれぞれの軸17、18を嵌着している。各パイプ47の外面は中央の溝49を除いてラバー48が貼着されている。この溝49は、ダイバータベルト10の裏面中央に形成させた突条(図示を省略)を係合させてベルトの蛇行を防止する。
【0016】
図11はダイバータ旋回用リンク機構20の各要素を示すもので、(a)はアームの拡大平面図、(b)はリンクの拡大平面図、(c)はレバーの拡大側面図である。
このリンク機構20は、ダイバータ部旋回用モータユニット15の出力軸15a(図4)に嵌装されたアーム21と、アームの両端に連結されたターンバックル式のリンク22と、各リンク22と前記駆動プーリシャフト17の直下に配設されたダイバータ回動軸16とを連結するレバー23とからなり、左右のベルトダイバータを所定角度で互いに逆方向に同期回動するように構成されている。
さらに、詳しく説明すると、アーム21は中央にダイバータ駆動用モータ(サーボモータ)ユニット15の出力軸15a(図4)に嵌装するためのスリーブ50を有し、アーム21の両端に互いに逆方向に開いたコ字形で上下辺にピン又はボルトの通し孔52をあけた連結ピース51を固着している。リンク22はパイプ53の両端にターンバックルを構成するアジャストネジ54、54を設けてピン又はボルトの通し孔付きの連結ピース55を固着している。レバー23は、一方にリンク22と連結するため、コ字形で上下辺にピン又はボルトの通し孔56をあけた連結ピース57を固着し、他方にはダイバータ回動軸16(図4)を挿合し把持するためのカラー58を有している。ダイバータの旋回角度は、出力軸15aとダイバータ回動軸16との軸間距離、アーム21、リンク22及びレバー23の長さによって決定されるが、特にターンバックル式のリンク22を操作することで旋回角度を微調整することができ、また、サーボモータユニット15をデジタル制御することで旋回速度を調節することが可能である。
【0017】
図12は本流コンベヤの仕分け位置に設けたスライダーの平面図、図13は側面図である。仕分け位置では、図1,2のように、分岐ベルトコンベヤ2を設けることに限らず、ダイバータの仕分動作端から側方に傾けたギャッププレート60を設けてスライダー61に接続させてもよい。図示例のギャッププレート60はスタンド63によって傾斜上縁が本流コンベヤ1のレベルとほぼ一致するように支持されており、傾斜面の一方に切欠き62を設けて、ダイバータのベース部4と干渉しないようにしている。
【0018】
上記のように、本発明は本流コンベヤラインの仕分け位置に、左右一対のベルトダイバータを設けたホリゾンタルダイバータであって、前記各ベルトダイバータは、シャフト上に設けたドライブプーリとアルミ製のダイバータフレーム先端に設けた従動プーリとにベルトを掛け渡し、ヘッドを軽量とし振り幅狭くして水平回動時の慣性力を小とすると共前記本流コンベヤラインの下部に配置した駆動ユニットと各ダイバータ部のシャフト下端とをリンク機構で連結して、ダイバータ回動のスピードアップと停止精度を良好に保持する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明ホリゾンタルダイバータの待機時斜視図。
【図2】図1の仕分け作動時の斜視図。
【図3】本流ベルトコンベヤ下のベース及びリンク機構を透視して示した図1の拡大平面図。
【図4】図3の一方のダイバータを省略して示した正面図。
【図5】ダイバータ部分を支持するベースフレームの平面図。
【図6】ダイバータ本体の拡大正面図。
【図7】図6の平面図。
【図8】ダイバータシャフトを示し、(a)は正面図、(b)は平面図。
【図9】ダイバータ本体の回動軸部に設けたベアリングユニットを示し、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は底面図である。
【図10】ダイバータ本体のプーリを示し、(a)は駆動プーリの拡大断面図、(b)はエンド(従動側)プーリの拡大断面図。
【図11】ダイバータリンク駆動機構の各要素を示すもので、(a)はアームの拡大平面図、(b)はリンクの拡大平面図、(c)はレバーの拡大側面図。
【図12】ホリゾンタルダイバータの仕分け側に付設したスライダーの平面図。
【図13】図12の側面図。
【符号の説明】
【0020】
1 本流ベルトコンベヤ 2 分岐ベルトコンベヤ
3 ホリゾンタルダイバータ 4 ベース部
5 ダイバータ部 6 ダイバータフレーム
7 駆動プーリ 8 従動プーリ
9 モータユニット 10 ダイバータベルト
11 基台 12 ベースフレーム
13 モータベース 14 ベアリングベース
15 リンク駆動用モータユニット(ダイバータ旋回駆動用モータユニット)
15a ユニットの出力軸
16 ダイバータ回動軸 16a ラウンドバー
17 駆動プーリシャフト 18 従動プーリシャフト
19 減速機構 19a 減速機構の出力軸
20 リンク機構 21 アーム
22 リンク 23 レバー
25、27 プレート 26、30、32 ベアリングユニット
31 ボルト 33 ナット
34 トルクアーム 36 プレート
37 アジャストナット 38 上板
39 下板 40 円筒
41 縦板 42、43 ボルト孔
45 テーパスリーブ 46 ハウジング
47 パイプ 48 ラバー
49 溝 51、57 コ字形部材
52 ボルト孔 53 パイプ
54 アジャストネジ 55、57 連結部材
56 ボルト孔 58 カラー
61 スライダー 60 ギャッププレート
62 切欠き 63 ギャッププレート支持用スタンド
G 搬送物 g ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本流ベルトコンベヤの仕分位置近くに配置したベース部に、前記コンベヤベルト上面の左右ずらした位置で所定角度旋回する一対のベルトダイバータ部を組付け、各ベルトダイバータ部のエンドプーリをアルミプーリで軽量化すると共に、前記ベルトダイバータ部の駆動プーリシャフトと前記ベ−ス部に立設したダイバータ旋回軸とを同心とし、各ベルトダイバータ部の旋回モーメントを小さくしたことを特徴とするホリゾンタルダイバータ。
【請求項2】
前記各ベルトダイバータ部は、ダイバータ回動軸上に設けた駆動プーリとアルミ製ダイバータフレームの先端に設けた従動プーリとにベルトを掛け渡し、ダイバータ部ヘッドとなる従動プーリ側を軽量にして水平回動時の慣性力を小とすると共に、前記本流コンベヤラインの下部に配置したダイバータ旋回用モータユニットと各ダイバータ部の旋回軸とをリンク機構で連結して、ダイバータ部旋回のスピードアップと停止精度を良好に保持したことを特徴とするホリゾンタルダイバータ。
【請求項3】
前記ダイバータ旋回用のリンク機構は、ダイバータ部旋回用モータユニットの出力軸に嵌装されたアームと、前記アームの両端に連結された一対のターンバックル式の連結ピースと、各連結ピースと前記駆動プーリシャフトの直下に配設されたダイバータ部の旋回駆動軸とを連結するリンクとからなり、左右のベルトダイバータを所定角度で同期回動するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のホリゾンタルダイバータ。
【請求項4】
前記ダイバータ部のフレームは、本流コンベヤレベルから上方所定高さ離して取付けられ、前記フレーム幅よりダイバータベルト幅を広くし、かつフレーム下辺とダイバータベルト幅の下縁との間にギャップを形成させて、仕分け作動時のダイバータベルトによる搬送物またはその付属品の噛み込みを防止するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のホリゾンタルダイバータ。
【請求項5】
前記本流ベルトコンベヤにおける仕分け位置の下部中央に、前記ダイバータ部旋回用の駆動ユニットと左右のダイバータ部旋回用のリンク機構とを設けると共に、前記リンク機構の出力軸であるダイバータ部の旋回駆動軸と前記駆動プーリシャフトとを分離可能にジョイントすることにより、ダイバータ本体またはベルトの交換を容易かつ短時間で完了させるようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つの項に記載のホリゾンタルダイバータ。
【請求項6】
前記ベ−ス部のダイバータ部旋回用駆動モータユニットに低振動、低騒音のサーボモータを採用することで無理のない立ち上げ、停止を実現し、前記ダイバータ本体の回転は、前記駆動ユニット出力軸の約100°の回動によりリンクを動かして行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つの項に記載のホリゾンタルダイバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−8279(P2006−8279A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184835(P2004−184835)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】