説明

ホルダ装置、チャンバ装置、および、極端紫外光生成装置

【課題】光学素子の光学特性を安定させる。
【解決手段】ホルダ装置は、圧力差のある2つの空間を隔離する圧力隔壁に取り付け可能であり、且つ、透過型の光学素子を保持可能なホルダ装置であって、前記2つの空間のうち前記光学素子に対して低圧側の空間に配される第1部と、前記2つの空間のうち前記光学素子に対して高圧側の空間に配される第2部とを含むホルダ部と、前記第2部と前記光学素子の間を封止する第1封止部材と、を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホルダ装置、チャンバ装置、および、極端紫外光生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスのさらなる集積化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、たとえば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式装置との3種類が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−517759号公報
【特許文献2】特表2003−529781号公報
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるホルダ装置は、圧力差のある2つの空間を隔離する圧力隔壁に取り付け可能であり、且つ、透過型の光学素子を保持可能なホルダ装置であって、前記2つの空間のうち前記光学素子に対して低圧側の空間に配される第1部と、前記2つの空間のうち前記光学素子に対して高圧側の空間に配される第2部とを含むホルダ部と、前記第2部と前記光学素子の間を封止する第1封止部材と、を備えてもよい。
【0006】
本開示の他の態様によるチャンバ装置は、上述したホルダ装置と、前記圧力隔壁を含むチャンバと、前記ホルダ部と前記圧力隔壁との間を封止する第3封止部材と、を備えてもよい。
【0007】
本開示の他の態様による極端紫外光生成装置は、上述したチャンバ装置と、レーザ光を出力するレーザ装置と、前記チャンバ内部にターゲットを供給するターゲット供給装置と、前記レーザ装置から出力された前記レーザ光を前記チャンバ内部の前記ターゲットに前記光学素子を介して集光させる光学系と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。なお、本願に記載の偏光子は光フィルタの一例でもよい。
【図1】図1は、例示的なEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
【図2】図2は、本開示の実施の形態2によるEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
【図3】図3は、図2に示されるウィンドウホルダの分解図を示す。
【図4】図4は、図3に示される第1部材を第2部材との接触面側から見た際の構成を示す。
【図5】図5は、図3に示される第2部材を第1部材との接触面側から見た際の構成を示す。
【図6】図6は、図2に示されるウィンドウにおける低圧側に配される面がウィンドウホルダと直接接触する構成を概略的に示す。
【図7】図7は、図2に示されるウィンドウにおける低圧側に配される面とウィンドウホルダとの間に熱伝導率の高い部材が介在する構成を概略的に示す。
【図8】図8は、図2に示されるウィンドウにおける低圧側に配される面とウィンドウホルダとの間がロウ付けされた構成を概略的に示す。
【図9】図9は、本開示の他の実施の形態に係るチャンバ内部でウィンドウを保持するウィンドウホルダの断面構成を概略的に示す。
【図10】図10は、図9に示される第1部材を第2部材との接触面側から見た際の構成を示す。
【図11】図11は、本開示のさらに他の実施の形態に係るウィンドウに集光レンズを用いた場合のウィンドウホルダの断面構成を概略的に示す。
【図12】図12は、図11に示される集光レンズの構成を概略的に示す。
【図13】図13は、図11に示される第2部材の構成を概略的に示す。
【図14】図14は、本開示の実施の形態にかかるウィンドウと第1部材とが面接触する場合の例を示す。
【図15】図15は、本開示の実施の形態にかかるウィンドウと第1部材とが点接触する場合の例を示す。
【図16】図16は、本開示の実施の形態にかかるウィンドウと第1部材とが線接触する場合の例を示す。
【図17】図17は、本開示の実施の形態にかかるウィンドウと第1部材とが複数の面で接触する場合の例を示す。
【実施の形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に説明される実施の形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施の形態で説明される構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
以下では、下記目次に沿って説明する。
目次
1.概要
2.用語の説明
3.EUV光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.レーザ光の透過型光学素子を含むEUVチャンバ
4.1 構成
4.2 動作
5.レーザ光透過型光学素子ホルダの基本構造
5.1 構成
5.2 作用
6.透過型光学素子とホルダとの接触形態
6.1 光学素子がホルダに直接接触する場合
6.2 光学素子がホルダに金属を介して接触する場合
6.3 光学素子がホルダにロウ付けされる場合
7.レーザ光透過型光学素子ホルダの他の構造例
8.透過型光学素子が集光レンズの場合
9.接触面の形態
9.1 面接触
9.2 点接触
9.3 線接触
9.4 複数の面で接触
【0011】
1.概要
以下の実施の形態は、圧力差のある2つの空間を隔離する圧力隔壁に取り付け可能であり、且つ、透過型のウィンドウを保持可能なホルダ装置に関する。このホルダ装置は、2つの空間のうちウィンドウに対して低圧側の空間に配される部分と、高圧側の空間に配される部分とを含むウィンドウホルダを備えてもよい。また、ホルダ装置は、高圧側に配される部分とウィンドウの間を封止する封止部材を備えてもよい。このような構成によれば、圧力差のある2つの空間を隔離する圧力隔壁に設けられた光学ウィンドウの温度上昇を抑制しつつ、2つの空間の圧力差を維持し得る。
【0012】
2.用語の説明
つぎに、本開示において使用される用語について、以下のように定義する。「ドロップレット」とは、溶融したターゲット物質の液滴でもよい。その形状は、表面張力によって略球形となり得る。「プラズマ生成領域」とは、プラズマが生成される空間として予め設定された3次元空間でもよい。「光路」とは、レーザ光が通過する空間領域であってもよい。「上流」とは、光路に沿ってレーザ光の光源に近い側でもよい。「下流」とは、光路に沿って露光装置等の外部装置に近い側でもよい。
【0013】
3.EUV光生成システムの全体説明
以下に、例示的なEUV光生成システムを、図面を参照に詳細に説明する。
【0014】
3.1 構成
図1に、例示的なLPP方式のEUV光生成装置1の構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、以下、EUV光生成システム11と称する。図1に示され、かつ以下に詳細に説明されるように、EUV光生成装置1は、チャンバ2およびターゲット供給装置(例えばドロップレット生成器26)を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能でもよい。ターゲット供給装置は、例えばチャンバ2に取り付けられてもよい。ターゲット供給装置から供給されるターゲットの材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せ等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0015】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられてもよく、その貫通孔をパルスレーザ光31が通過してもよい。或いは、チャンバ2には、少なくとも1つのウィンドウ21が設けられてもよく、パルスレーザ光31がウィンドウ21を透過してもよい。チャンバ2の内部には例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV光集光ミラー23が配置されてもよい。EUV光集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV光集光ミラー23の表面には例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されてもよい。EUV光集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点がたとえば中間焦点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV光集光ミラー23の中央部には、貫通孔24が設けられてもよく、パルスレーザ光31が貫通孔24を通過してもよい。
【0016】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5に接続されてもよい。また、EUV光生成装置1は、ターゲットセンサ4を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲットの存在、軌道、位置、速度、ある位置に存在した時刻、ターゲット27の生成周波数等を検出するよう構成されてもよい。
【0017】
更に、EUV光生成装置1は、チャンバ2内部と露光装置6内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV光集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
【0018】
更に、EUV光生成装置1は、ビームデリバリシステム34、レーザ光集光光学系22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。ビームデリバリシステム34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置や姿勢等を調節するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0019】
3.2 動作
図1を参照すると、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、ビームデリバリシステム34を経て、ウィンドウ21を透過し、チャンバ2に入射してもよい。パルスレーザ光31は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光光学系22で反射されて、少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
【0020】
ドロップレット生成器26からは、ターゲット27がドロップレットの形態でチャンバ2内部に規定されるプラズマ生成領域25に向けて出力されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光31に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光31が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。放射光251に含まれる光のうち少なくともEUV光252は、EUV光集光ミラー23によって選択的に反射されるとともに集光されてもよい。EUV光集光ミラー23で反射されたEUV光252は、中間焦点292を通って露光装置6等の外部装置に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光31に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0021】
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括してもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理してもよい。EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27が出力されるタイミングやターゲット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミングやパルスレーザ光31の進行方向や集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御を追加してもよい。
【0022】
チャンバ2内に入射するパルスレーザ光31は、たとえば10kW以上の高出力であってもよい。ただし、パルスレーザ光31を高出力とした場合、ウィンドウ21などの光学素子の光学性能が熱ストレスなどによって低下する可能性があり得る。また、光学素子の熱膨張などによって、チャンバ2と光学素子との間の気密性が損なわれる可能性も存在する。そこで、本開示では、以下のような実施の形態が提案される。ただし、本開示は、以下の構成に限定されるものではない。
【0023】
4.レーザ光の透過型光学素子を含むEUVチャンバ
図2は、本開示の実施の形態2によるEUV光生成システム11Aの構成を概略的に示す。以下の説明において、上述と同様の構成には、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0024】
4.1 構成
図2に示されるように、EUV光生成システム11Aは、EUV光生成装置1Aと、レーザ装置3とを備えてもよい。EUV光生成装置1Aは、ビームデリバリシステム34と、チャンバ2Aと、接続部29と、冷却水循環装置130と、EUV光生成制御システム5Aとを備えてもよい。EUV光生成制御システム5Aは、EUV光生成制御部51と、ターゲット制御部52とを含んでもよい。
【0025】
ビームデリバリシステム34は、高反射ミラー341および342を含む複数の光学素子を備えてもよい。レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、ビームデリバリシステム34によってチャンバ2A内へ導かれてもよい。
【0026】
チャンバ2Aは、隔壁80によって2つの部屋2aおよび2bに区画されていてもよい。部屋2bは、パルスレーザ光31の光路において、部屋2aよりも上流側に位置してもよい。部屋2aと部屋2bとの間の隔壁80には、貫通孔81があってもよい。
【0027】
図2に示されるように、ウィンドウホルダ100があってもよく、そのウィンドウホルダは第1部財110と第2部財120とを含んでも良い。ウィンドウ21と、ウィンドウホルダ100と、レーザ光集光光学系22Aとは、部屋2aに設けられてもよい。ウィンドウホルダ100は、チャンバ2Aの外壁に取り付けられてもよい。チャンバ2Aの外壁は、圧力差のあるチャンバ2A内部の空間とチャンバ2A外部の空間とを隔離する圧力隔壁であってもよい。冷却水循環装置130は、配管135を介してウィンドウホルダ100に接続されてもよい。ウィンドウ21は、第1部材110と第2部材120との間に挟まれてもよい。ウィンドウホルダ100は、チャンバ2Aに形成された開口にウィンドウ21が対向するように、チャンバ2Aの外壁に固定されてもよい。チャンバ2Aと第1部材110との間は、気密に封止されてもよい。これに加え、第1部材と第2部材との間、および、第2部材120とウィンドウ21との間は、気密に封止されてもよい。または、第1部材110とウィンドウ21との間が、気密に封止されてもよい。もしくは、第1部材と第2部材との間、第2部材120とウィンドウ21との間、および第1部材110とウィンドウ21との間の全てが、気密に封止されてもよい。
【0028】
レーザ光集光光学系22Aは、レーザ光集光ミラー224と、高反射ミラー221とを備えてもよい。レーザ光集光光学系22Aは、移動プレート225と、プレート移動機構226と、ミラーホルダ222および223とをさらに備えてもよい。ミラーホルダ222は、図示しない自動アオリ機構を備えてもよい。レーザ光集光ミラー224は、軸外放物面ミラーでもよい。レーザ光集光ミラー224は、ミラーホルダ223を介して移動プレート225に固定されてもよい。高反射ミラー221は、ミラーホルダ222を介して移動プレート225に取り付けられてもよい。プレート移動機構226は、レーザ光集光ミラー224および高反射ミラー221を、移動プレート225とともに移動させてもよい。
【0029】
一方、部屋2aには、EUV光集光ミラー23と、ドロップレット生成器26と、ターゲット回収部28と、ターゲットセンサ4と、ビームダンパ82とが設けられてもよい。EUV光集光ミラー23は、ミラーホルダ23aを介して隔壁80に固定されてもよい。この際、EUV光集光ミラー23の貫通穴24は、隔壁80の貫通孔81に位置合わせされてもよい。ビームダンパ82は、レーザ光集光光学系22A側からプラズマ生成領域25を通過したパルスレーザ光31の光路上に配置されてもよい。ビームダンパ82は、レーザ光集光光学系22A側からプラズマ生成領域25を通過したパルスレーザ光31を吸収してもよい。ビームダンパ82は、支持部材83によって、チャンバ2Aの内壁に固定されてもよい。
【0030】
4.2 動作
つづいて、図2に示すEUV光生成システム11Aの動作を説明する。EUV光生成システム11Aは、EUV光生成制御システム5Aの制御に従って動作するよう構成されてもよい。EUV光生成制御システム5Aは、露光装置コントローラ61からEUV光252の生成位置またはプラズマ生成領域25の位置に関する要求を受信してもよい。EUV光生成制御部5Aは、この要求が示すEUV光生成要求位置でEUV光252が生成されるように各部を制御してもよい。あるいは、EUV光生成制御部5Aは、この要求が示すEUV光生成要求位置がプラズマ生成領域25の位置と一致するように各部を制御してもよい。
【0031】
EUV光生成制御部5151は、レーザ光集光光学系22Aを制御してもよい。EUV光生成制御部51は、ミラーホルダ222とプレート移動機構226とに駆動信号を送信してもよい。ミラーホルダ222は、EUV光生成制御部51から受信した駆動信号にしたがって、図2に示されるXYZ座標系のX軸とY軸を中心に、それぞれ高反射ミラー221のθx方向およびθy方向のアオリ角を制御してもよい。プレート移動機構226は、EUV光生成制御部51からの駆動信号にしたがって、Z方向に移動プレート225を移動させてもよい。
【0032】
EUV光生成制御部5Aは、露光装置コントローラ61からEUV光252の生成を要求するEUV光生成要求信号を受信してもよい。EUV光生成制御部5Aは、EUV光生成要求信号を受信すると、ターゲット制御部52に、EUV光生成要求信号を入力してもよい。ターゲット制御部52は、EUV光生成要求信号を受信すると、ドロップレット生成器26にターゲット27の出力信号を送信してもよい。
【0033】
ターゲットセンサ4は、ターゲット27のプラズマ生成領域25における到達位置および到達タイミングを検出してもよい。この検出値は、ターゲット制御部52に入力されてもよい。ターゲット制御部52は、入力された検出値に応じて、ドロップレット生成器26の不図示の2軸移動機構を制御して、ドロップレット生成器26をXZ平面内で移動してもよい。レーザ装置3は、ターゲット制御部52から与えられたタイミングに基づいて、パルスレーザ光31を出力してもよい。これにより、チャンバ2A内のプラズマ生成領域25で、ターゲット27がパルスレーザ光31に照射されてもよい。その結果、ターゲット27がプラズマ化してもよい。このプラズマから放射された放射光251のうち、少なくともEUV光252は、EUV光集光ミラー23によって、接続部29へ向けて選択的に反射されてもよい。
【0034】
5.レーザ光透過型光学素子ホルダの基本構造
つぎに、上述した実施の形態におけるミラーホルダ100の基本構造を、図面を用いて詳細に説明する。
【0035】
5.1 構成
図3は、図2に示されるウィンドウホルダ100の分解図を示す。図4は、図3に示される第1部材110を第2部材120との接触面側から見た際の構成を示す。図5は、図3に示される第2部材120を第1部材110との接触面側から見た際の構成を示す。
【0036】
図3に示されるように、ウィンドウホルダ100は、第1部材110と、第2部材120と、ガスケット134、143および144と、複数のボルト101とを含んでもよい。ウィンドウ21がダイヤモンド製である場合、第1部材110および第2部材120の材料には、アルミニウム、銅、ステンレス、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)などが用いられてもよい。ただし、これらの材料に限定されず、種々の材料が用いられてもよい。その際、十分な強度を有し、耐熱性に優れ、且つ、熱伝導率の高い材料が用いられるとよい。
【0037】
図3および図4に示されるように、第1部材110は、円盤状の部材であってもよい。第1部材110は、2つの平面を備えてもよい。これら2つの平面は、平行であってもよいし、互いに傾いていてもよい。以下では、2つの平面のうち、第2部材120側に配される面を表面とし、チャンバ2A側に配される面を裏面という。
【0038】
第1部材110の表面および裏面は、それぞれ円形であってもよい。裏面の略中央部には、表面まで貫通する貫通孔111が開口していてもよい。貫通孔111の開口形状は、円形であってもよい。以下では、第1部材110の外周側で表面および裏面それぞれから連続する面を外側面といい、内周側で表面および裏面それぞれから連続する面を内側面という。
【0039】
第1部材110の内部には、流路112が設けられていてもよい。流路112は、内側面に沿った略リング状の空洞であってもよい。前記表面に直交する方向での流路112の断面は、円形(楕円を含む)であってもよいし、四角形や三角形などの多角形であってもよい。流路112の一部は不連続であってもよい。流路112の不連続部分の2つの端は、それぞれ第1部材110の外側面で開口する流入出路113にそれぞれ連続していてもよい。各流入出路113には、冷却水循環装置130に連結された配管135が接続されてもよい。一方の流入出路113は、冷却水循環装置130から配管135を介して流れてきた冷却水が流路112へ流れ込むための流入路として使用されてもよい。他方の流入出路113は、流路112を通過した冷却水が冷却水循環装置130に接続された配管135へ流出するための流出路として使用されてもよい。
【0040】
各流入出路113の開口部先端には、配管135と連結するためのジョイント131が取り付けられてもよい。ジョイント131は、貫通穴132と、ガスケット133とを備えていてもよい。ジョイント131は、不図示のボルトを用いて、第1部材110に取り付けられてもよい。または、ジョイント131は、不図示の螺子山を備え、この螺子山が第1部材110に設けられた不図示の螺子穴にねじ込まれることで第1部材に固定されてもよい。ガスケット133は、ジョイント131が第1部材110に取り付けられた際に、両者の間を気密に封止してもよい。貫通穴132は、ジョイント131が第1部材110に取り付けられることで、流入出路113と連通してもよい。
【0041】
また、第1部材110の表面には、第2部材120を第1部材110に固定するためのボルト101がねじ込まれる螺子穴115が設けられてもよい。螺子穴115は、第1部材110を貫通していなくてもよい。さらに、第1部材110は、第1部材110をチャンバ2Aの外壁に固定するためのボルト101が嵌挿される貫通孔116を備えてもよい。ボルト101は、不図示のワッシャを挟んで貫通孔116に嵌挿されてもよい。貫通孔116に嵌挿されたボルト101は、チャンバ2Aの外壁に設けられた螺子穴206にねじ込まれてもよい。この際、第1部材110の貫通孔111は、チャンバ2Aの開口201と位置合わせされるとよい。
【0042】
第1部材110の裏面には、ガスケット134が嵌め込まれる溝114が設けられていてもよい。溝114は、ガスケット134の少なくとも一部が溝114全体から突出する程度の深さであるとよい。ガスケット134は、第1部材110をボルト101でチャンバ2Aの外壁に固定した際、チャンバ2Aの表面および溝114の底面に密着するように変形し得るとよい。これにより、第1部材110とチャンバ2Aとの間が気密に封止され得る。ガスケット134は、たとえばオーリングであってもよい。このガスケット134は、フッ素系のゴム製であっても、銅などの金属製であってもよい。ただし、これらの材料に限定されず、ガスケットとして使用可能な材料であれば、種々の材料が適用され得る。
【0043】
また、図3および図5に示されるように、第2部材120は、リング状の部材であってもよい。第2部材120は、2つの平面を備えてもよい。これら2つの平面は、平行であってもよい。以下では、少なくとも2つの平面のうち、パルスレーザ光31の入射側を表面とし、第1部材110側に配される面を裏面という。
【0044】
第2部材120の表面および裏面は、それぞれ円形であってもよい。裏面の略中央には、表面まで貫通する貫通孔121が開口していてもよい。貫通孔121の開口形状は、円形であってもよい。以下では、第2部材120の外周側で表面および裏面それぞれから連続する面を外側面といい、内周側で表面および裏面それぞれから連続する面を内側面という。
【0045】
第2部材120の裏面には、ウィンドウ21が嵌め込まれる溝122が設けられていてもよい。溝122は、貫通孔121に対して同心円となる位置に設けられてもよい。溝122の深さは、ウィンドウ21の厚さと同程度であってもよい。溝122の底面には、貫通孔121を一周する溝123が設けられていてもよい。この溝123には、ガスケット143が嵌め込まれてもよい。溝123は、ガスケット143の少なくとも一部が溝123全体から突出する程度の深さであるとよい。
【0046】
また、第2部材120の表面には、第2部材120を第1部材110に固定するためのボルト101が嵌挿される貫通孔125が設けられてもよい。ボルト101は、不図示のワッシャを挟んで貫通孔125に嵌挿されてもよい。貫通孔125に嵌挿されたボルト101は、第1部材110の表面に設けられた螺子穴115にねじ込まれてもよい。この際、第2部材120の貫通孔121は、第1部材110の貫通孔111と位置合わせされるとよい。
【0047】
第2部材120の裏面には、ガスケット144が嵌め込まれる溝124が設けられていてもよい。溝124は、ガスケット144の少なくとも一部が溝144全体から突出する程度の深さであるとよい。ガスケット144は、第2部材120をボルト101で第1部材110の表面に固定した際、第1部材110の表面および溝124の底面に密着するように変形し得るとよい。これにより、第1部材110と第2部材120との間が気密に封止され得る。この際、溝123に嵌められたガスケット143も、ウィンドウ21の表面および溝123の底面に密着するように変形し得るとよい。これにより、ウィンドウ21と第2部材120との間が気密に封止され得る。ガスケット143および144は、たとえばオーリングであってもよい。これらのガスケット143および144は、フッ素系のゴム製であっても、銅などの金属製であってもよい。ただし、これらの材料に限定されず、ガスケットとして使用可能な材料であれば、種々の材料が適用され得る。
【0048】
また、第2部材120をボルト101で第1部材110の表面に固定した際、ウィンドウ21と第1部材110の表面とが接触してもよい。この接触面の形状は、貫通孔111の開口の中心を貫通方向に沿って通る軸に対して軸対称であってもよい。ウィンドウ21と第1部材110との間は、気密であってもよいし、気密でなくてもよい。
【0049】
なお、EUV光生成システム11Aの運転時、チャンバ2A内は、チャンバ2A外よりも低圧であってもよい。ウィンドウ21と第2部材120との間を気密に封止するオーリング(本例では、ガスケット143)は、ウィンドウ21に対して高圧側の面に配されるとよい。一方、ウィンドウ21における低圧側に配される面は、後述において具体例を挙げて説明するように、熱伝導効率が比較的高い構造で、部材(本例では、第1部材110)と接触しているとよい。部材を冷却する冷却水は、ウィンドウ21に対して高圧側の面に接触する部材(本例では、第1部材110)を冷却するとよい。この際、冷却される部材(本例では、第1部材110)とウィンドウ21との接触面積は、大きい方が好ましい。
【0050】
5.2 作用
以上のように、冷却される部材(本例では、第1部材110)とウィンドウ21とが熱伝導効率が比較的高い構造で接触することで、通過するパルスレーザ光31の一部を吸収することで加熱されたウィンドウ21が効果的に冷却され得る。それにより、ウィンドウ21の光学特性の低下を抑制し得る。
【0051】
また、冷却される第1部材110をウィンドウ21に対して低圧側の面に配することで、運転時に圧力差によってウィンドウ21が第1部材110から離れることを防止し得る。それにより、より効率的にウィンドウ21を冷却し得る。その際、ウィンドウ21に対して高圧側の面が変形可能なガスケット143で封止されることで、チャンバ2Aの気密性が低下することを防止し得る。
【0052】
6.透過型光学素子とホルダとの接触形態
つぎに、上述した実施の形態におけるウィンドウ21とウィンドウホルダ100との接触形態について、いくつか具体例を挙げて説明する。
【0053】
6.1 光学素子がホルダに直接接触する場合
まず、ウィンドウ21における低圧側に配される面がウィンドウホルダ100と直接接触する場合について例を挙げる。図6は、ウィンドウ21における低圧側に配される面がウィンドウホルダ100と直接接触する構成を概略的に示す。
【0054】
図6に示されるように、ウィンドウ21は、低圧側の面で第1部材110と直接接触してもよい。この直接接触部分211は、第1部材110とウィンドウ21との間を気密に封止してもよいし、封止していなくてもよい。冷却される第1部材110とウィンドウ21とが直接接触することで、ウィンドウ21の熱が第1部材110へ効率的に流れ得る。それにより、ウィンドウ21が効率的に冷却され得る。
【0055】
なお、ウィンドウ21およびウィンドウホルダ100部分の気密性は、ガスケット143、144および134によって保持されてもよい。すなわち、ガスケット143が第2部材120とウィンドウ21との間の気密性を保持し、ガスケット144が第2部材120と第1部材110との間の気密性を保持し、ガスケット134が第1部材110とチャンバ2Aとの間の気密性を保持してもよい。このような構成によれば、チャンバ2A内を低圧にすることでウィンドウ21が低圧側に付勢された場合でも、変形可能なガスケット143が第2部材120とウィンドウ21との間の気密性を保持し得る。その結果、チャンバ2Aの気密性を保持することができる。
【0056】
6.2 光学素子がホルダに金属を介して接触する場合
つぎに、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100との間に熱伝導率の高い部材を介在させた場合について例を挙げる。図7は、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100との間に熱伝導率の高い部材が介在する構成を概略的に示す。
【0057】
図7に示されるように、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100との間には、接触部材212が設けられても良い。接触部材212は、ウィンドウ21における低圧側に配される面および第1部材110それぞれと直接接触していても良い。接触部材212とウィンドウ21との間、および、接触部材212と第1部材110との間は、それぞれ気密に封止されていてもよいし、封止されていなくてもよい。
【0058】
接触部材212は、金属などの比較的高い熱伝導率を備えた材料で構成されてもよい。これにより、ウィンドウ21の熱が第1部材110へ効率的に流れ得る。その結果、ウィンドウ21が効率的に冷却され得る。
【0059】
接触部材212は、金(Au)、インジウム(In)、錫(Sn)などの比較的柔らかい材料で構成されてもよい。その場合、接触部材212とウィンドウ21との接触面積および接触部材212と第1部材110との接触面積を大きくすることができる。その結果、ウィンドウ21から第1部材110への熱伝導効率を高めることが可能となり、ウィンドウ21をより効率的に冷却することが可能となる。また、接触部材212とウィンドウ21との間の気密性および接触部材212と第1部材110との間の気密性を高めることが可能となり得る。
【0060】
6.3 光学素子がホルダにロウ付けされる場合
つぎに、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100との間をロウ付けする場合について例を挙げる。図8は、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100との間がロウ付けされた構成を概略的に示す。
【0061】
図8に示されるように、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100との間には、ロウ付けにより形成されたロウ付け部分213が介在してもよい。ロウ付けに使用する材料は、たとえば半田や銀ろうなどであってもよい。その場合、ウィンドウ21における低圧側に配される面とウィンドウホルダ100とが直接接触する場合よりも両者の接触面積を大きくできる場合がある。その結果、ウィンドウ21から第1部材110への熱伝導効率を高めることが可能となり、ウィンドウ21をより効率的に冷却することが可能となる。また、ウィンドウ21と第1部材110との間の気密性を高めることが可能となる場合もある。
【0062】
7.レーザ光透過型光学素子ホルダの他の構造例
上述した実施の形態では、チャンバ2Aの外壁にウィンドウホルダ100が保持されていた。ただし、これに限定されるものではなく、チャンバ2Aの内壁にウィンドウホルダ100が保持されてもよい。図9は、チャンバ2A内部でウィンドウ21を保持するウィンドウホルダ100Aの断面構成を概略的に示す。図10は、図9に示される第1部材110Aを第2部材120との接触面側から見た際の構成を示す。なお、第2部材120は、たとえば図5に示される第2部材120と同様の構成であってよい。
【0063】
図9および図10に示されるように、第1部材110Aは、チャンバ2Aの内壁に、ボルト101を用いて固定されてもよい。チャンバ2Aの内壁と第1部材110Aとの間は、溝114aに嵌め込まれたガスケット134によって気密に封止されるとよい。
【0064】
第1部材110Aは、チャンバ2Aに固定される側の面に、第2部材120を収容する溝117を備えてもよい。溝117の開口径は、チャンバ2Aの開口201の開口径に対して、小さくてもよいし、大きくてもよい。溝117の開口径が開口201の開口径よりも小さい場合、溝117の深さは、第2部材120の厚さよりも深いことが好ましい。第2部材120は、溝117の底面に、ボルト101を用いて固定されてもよい。溝117の底面に対する第2部材120の取り付けは、上述したウィンドウホルダ100と同様であってよい。
【0065】
第1部材110A内部の流路112とジョイント131とを連通する流入出路113Aは、流路112の端部からそれぞれ延出する第1路113aと、第1路113aからカーブして第1部材110Aの表面で開口する第2路113bとを含んでもよい。第2路113bの開口部には、ジョイント131が取り付けられてもよい。これにより、第2路113bと貫通穴132とが連通してもよい。なお、チャンバ2Aには、ジョイント131を嵌設するための貫通穴が設けられてもよい。
【0066】
第1部材110Aおよびチャンバ2A間を封止するガスケット134が嵌め込まれる溝114aは、溝117および第2路113bとジョイント131との接続部を取り囲むように設けられてもよい。これにより、第1部材110Aおよびチャンバ2A間が気密に封止され得る。また、第2路113bとジョイント131との間から冷却水が漏れ出たとしても、この冷却水がチャンバ2A内に流れ込むことを防止し得る。なお、溝117は、第1部材110Aの表面に設けられても、チャンバ2Aの内壁に設けられてもよい。
【0067】
8.透過型光学素子が集光レンズの場合
また、上述した実施の形態では、パルスレーザ光31の入出射面が互いに平行な平行平板、または、これらが互いに傾いているウェッジ基板が、ウィンドウ21に用いられた場合を例示した。ただし、これに限定されるものではない。たとえば、ウィンドウ21の代わりに、少なくとも一方の入出射面が凸面の集光レンズが用いられてもよい。
【0068】
図11は、ウィンドウに集光レンズ21Bを用いた場合のウィンドウホルダ100Aの断面構成を概略的に示す。図11に示されるように、ウィンドウホルダ100Aは、第2部材120の代わりに第2部材120Aを備えてもよい。ウィンドウホルダ100Aは、ウィンドウ21の代わりに集光レンズ21Bを保持してもよい。第1部材110は、ウィンドウホルダ100の第1部材110と同様であってよい。ウィンドウホルダ100Aは、チャンバ2Aに直接固定されるのではなく、チャンバ2Aに設けられた可動フランジ241に固定されてもよい。
【0069】
図12は、図11に示される集光レンズ21Bの構成を概略的に示す斜視図である。図12に示されるように、集光レンズ21Bは、少なくとも一方の入出射面21aが凸面であってもよい。この集光レンズ21Bは、たとえばダイヤモンド製であってもよい。
【0070】
図13は、図11に示される第2部材120Aの構成を概略的に示す斜視図である。図11および図13に示されるように、第2部材120Bの溝122の底面は、集光レンズ21Bの入出射面21aの歪曲形状と一致するように歪曲していてもよい。第2部材120Aと集光レンズ21Bとの間を気密に封止するためのガスケット134は、溝122あaの歪曲する底面に形成された溝124に嵌め込まれてもよい。その他の構成は、第2部材120と同様であってもよい。
【0071】
また、図11に示されるように、集光レンズ21Bと第1部材110とは、上述において図6〜図8を用いて説明した接触形態のいずれの形態で接触していてもよい。第1部材110は、チャンバ2Aの可動フランジ241の先端に設けられたリング状基板242に固定されてもよい。リング状基板242に対する第1部材110の取り付けは、上述したチャンバ2Aに対する第1部材110の取り付けと同様であってもよい。
【0072】
可動フランジ241は、蛇腹状の筒であってもよい。可動フランジ241の一方の開口部は、チャンバ2Aの開口201を囲む位置に固定されてもよい。リング状基板242は、可動フランジ241の他方の開口に取り付けられてもよい。可動フランジ241は、不図示の駆動機構によってリング状基板242の3次元位置を変化させるように変形可能であってもよい。
【0073】
以上のような構成とすることで、ウィンドウ21の代わりに集光レンズ21Bを用いた場合でも、上述した実施の形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0074】
9.接触面の形態
つぎに、上述した実施の形態におけるウィンドウ21(または集光レンズ21B)と第1部材110(または第1部材110A)もしくは接触部材212との接触面の形態を、以下にいくつかの例を挙げて説明する。なお、以下の説明では、ウィンドウ21と第1部材110とが直接接触する場合を引用するが、これに限定されず、他の組合せも同様であってよい。
【0075】
9.1 面接触
まず、ウィンドウ21と第1部材110とが面接触する場合の例を説明する。図14は、ウィンドウ21と第1部材110とが面接触する場合の例を示す。図14に示されるように、ウィンドウ21と第1部材110とは、重なり合う領域が一様に接触する面接触231を形成してもよい。その場合、ウィンドウ21における少なくとも第1部材110と接触する領域は、比較的高い平坦性を備えているとよい。この領域の平坦性は、たとえば研磨などによって向上されてもよい。同様に、第1部材110における少なくともウィンドウ21と接触する領域は、比較的高い平坦性を備えているとよい。この領域の平坦性は、たとえば研磨などによって向上されていてもよい。
【0076】
ウィンドウ21と第1部材110とが重なり合う領域で一様な面接触231を形成することで、ウィンドウ21と第1部材110との接触面積を大きくすることが可能となる。これにより、ウィンドウ21を効率よく冷却することが可能となる。
【0077】
なお、ウィンドウ21と第1部材110との面接触231の形状は、貫通孔111の中心軸とした回転対称であってもよい。接触面を回転対称とすることで、ウィンドウ21を周囲から均等に冷却することが可能となる。その結果、ウィンドウ21の光学特性をより安定化させることが可能となる。なお、この際、ウィンドウ21を通過するパルスレーザ光31の光軸は、貫通孔111の中心軸と実質的に一致しているとよい。これにより、ウィンドウ21をより均等に冷却することが可能となるため、その光学特性をより安定化させることが可能となる。
【0078】
9.2 点接触
つぎに、ウィンドウ21と第1部材110とが複数の点で接触する場合の例を説明する。図15は、ウィンドウ21と第1部材110とが点接触する場合の例を示す。図15に示されるように、ウィンドウ21と第1部材110とは、重なり合う領域が多数の点で接触する点接触232を形成してもよい。その場合、ウィンドウ21および第1部材110の少なくとも一方における接触する領域には、無数の突起が形成されていてもよい。この領域の突起は、たとえばサンドブラストなどで形成されてもよい。
【0079】
突起の分布は、貫通孔111の中心軸とした回転対称であってもよい。突起が回転対称で分布することで、ウィンドウ21を周囲から均等に冷却することが可能となる。その結果、ウィンドウ21の光学特性をより安定化させることが可能となる。なお、この際、ウィンドウ21を通過するパルスレーザ光31の光軸は、貫通孔111の中心軸と実質的に一致しているとよい。これにより、ウィンドウ21をより均等に冷却することが可能となるため、その光学特性をより安定化させることが可能となる。
【0080】
9.3 線接触
つぎに、ウィンドウ21と第1部材110とが1つ以上の線で接触する場合の例を説明する。図16は、ウィンドウ21と第1部材110とが線接触する場合の例を示す。図16に示されるように、ウィンドウ21と第1部材110とは、重なり合う領域が貫通孔111と同心円である1つ以上の複数の線で接触する線接触233を形成してもよい。その場合、ウィンドウ21および第1部材110の少なくとも一方における接触する領域には、貫通孔111と同心円である1つ以上の円状の隆起部が形成されていてもよい。
【0081】
隆起部は、貫通孔111の中心軸とした回転対称であってもよい。隆起部が回転対称であることで、ウィンドウ21を周囲から均等に冷却することが可能となる。その結果、ウィンドウ21の光学特性をより安定化させることが可能となる。なお、この際、ウィンドウ21を通過するパルスレーザ光31の光軸は、貫通孔111の中心軸と実質的に一致しているとよい。これにより、ウィンドウ21をより均等に冷却することが可能となるため、その光学特性をより安定化させることが可能となる。
【0082】
9.4 複数の面で接触
つぎに、ウィンドウ21と第1部材110とが複数の分断された面で接触する場合の例を説明する。図17は、ウィンドウ21と第1部材110とが複数の面で接触する場合の例を示す。図17に示されるように、ウィンドウ21と第1部材110とは、重なり合う領域における複数の分断された領域で接触する面接触234を形成してもよい。その場合、ウィンドウ21および第1部材110の少なくとも一方における接触する領域には、複数の島状の隆起部が形成されていてもよい。
【0083】
隆起部の上面は、比較的高い平坦性を備えているとよい。また、複数の隆起部の上面のレベルは、均一であるとよい。この平坦性および均一性は、たとえば研磨などによって向上されてもよい。また、ウィンドウ21および第1部材110のうち隆起部が形成されていない方の接触領域は、比較的高い平坦性を備えているとよい。この領域の平坦性は、たとえば研磨などによって向上されていてもよい。
【0084】
島状の隆起部の分布は、貫通孔111の中心軸とした回転対称であってもよい。隆起部が回転対称で分布することで、ウィンドウ21を周囲から均等に冷却することが可能となる。その結果、ウィンドウ21の光学特性をより安定化させることが可能となる。なお、この際、ウィンドウ21を通過するパルスレーザ光31の光軸は、貫通孔111の中心軸と実質的に一致しているとよい。これにより、ウィンドウ21をより均等に冷却することが可能となるため、その光学特性をより安定化させることが可能となる。
【0085】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施の形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0086】
本明細書および添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、限定的でない用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」または「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」または「1もしくはそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0087】
1、1A EUV光生成装置
11、11A EUV光生成システム
2、2A チャンバ
2a、2b 部屋
3 レーザ装置
4 ターゲットセンサ
5、5A EUV光生成制御部
51 EUV光生成制御部
52 ターゲット制御部
6 露光装置
21 ウィンドウ
21B 集光レンズ
21a 入出射面
22、22A レーザ光集光光学系
221 高反射ミラー
222、223 ミラーホルダ
224 レーザ光集光ミラー
225 移動プレート
226 プレート移動機構
23 EUV光集光ミラー
23a ミラーホルダ
24 貫通孔
25 プラズマ生成領域
26 ドロップレット生成器
27 ターゲット
28 ターゲット回収部
29 接続部
291 壁
292 中間焦点(IF)
31 パルスレーザ光
34 ビームデリバリシステム
341、342 高反射ミラー
80 隔壁
81 貫通孔
82 ビームダンパ
83 支持部材
100、100A ウィンドウホルダ
101 ボルト
110、110A 第1部材
111 貫通孔
112 流路
113 流入出路
113a 第1路
113b 第2路
114、114a 溝
115、116 螺子穴
120、120B 第2部材
121 貫通孔
122、122a、123、123a、124 溝
125 螺子穴
130 冷却水循環装置
131 ジョイント
132 貫通穴
133 ガスケット
134、143、144 ガスケット
135 配管
201 開口
211 直接接触部分
212 接触部材
213 ロウ付け部分
221 可動フランジ
222 リング状基板
231、234 面接触
232 点接触
233 線接触

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力差のある2つの空間を隔離する圧力隔壁に取り付け可能であり、且つ、透過型の光学素子を保持可能なホルダ装置であって、
前記2つの空間のうち前記光学素子に対して低圧側の空間に配される第1部と、前記2つの空間のうち前記光学素子に対して高圧側の空間に配される第2部とを含むホルダ部と、
前記第2部と前記光学素子の間を封止する第1封止部材と、
を備える、ホルダ装置。
【請求項2】
前記第1部と前記光学素子とは、直接接触する、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項3】
前記第1部と前記光学素子との接触は、面接触、点接触、線接触のいずれか1つを含む、請求項2記載のホルダ装置。
【請求項4】
前記ホルダ部は、前記光学素子の中央部をレーザ光が透過可能に開口する開口部を備え、
前記第1部材と前記光学素子の接触面は、前記開口部の中心を通る軸に対して実質的に回転対称である、請求項2記載のホルダ装置。
【請求項5】
前記第1部と前記光学素子との間に配され、該第1部および該光学素子それぞれと直接接触する接触部材をさらに備える、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項6】
前記第1部と前記光学素子とは、ロウ付けされている、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項7】
前記ホルダ部は、前記第1部を含む第1部材と、前記第2部を含む第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間を封止する第2封止部材とを含む、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項8】
前記光学素子は、ダイヤモンド製である、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項9】
前記光学素子は、ウィンドウである、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項10】
前記光学素子は、レンズである、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項11】
前記第1部近傍に冷却媒体を循環可能な流路を備える、請求項1記載のホルダ装置。
【請求項12】
前記第1部と前記第2部とは、前記光学素子の外縁部を挟むように配され、
前記流路は、前記光学素子の前記外縁部に沿って延在する第1流路と、該第1流路から延在して前記ホルダ部の外表面で開口する第2流路とを含む、
請求項11記載のホルダ装置。
【請求項13】
前記第2流路に対して着脱可能な配管と、
前記配管へ冷却媒体を供給可能な冷却媒体供給部と、
をさらに備える、請求項12記載のホルダ装置。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一つに記載のホルダ装置と、
前記圧力隔壁を含むチャンバと、
前記ホルダ部と前記圧力隔壁との間を封止する第3封止部材と、
を備える、チャンバ装置。
【請求項15】
請求項14記載のチャンバ装置と、
レーザ光を出力するレーザ装置と、
前記チャンバ内部にターゲットを供給するターゲット供給装置と、
前記レーザ装置から出力された前記レーザ光を前記チャンバ内部の前記ターゲットに前記光学素子を介して集光させる光学系と、
を備える、極端紫外光生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−115176(P2013−115176A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259000(P2011−259000)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】