説明

ホログラム記録装置及びプログラム

【課題】複数の発光素子の基板上での幅方向の位置に拘わらず、回折光の強度が一定となるように、複数のホログラムの各々を記録することができるホログラム記録装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】ホログラム記録装置は、複数の発光素子が配列された基板上に配置されるホログラム記録層に信号光及び参照光を照射する光照射手段と、ホログラム記録層を光照射手段に対して相対移動させる移動手段と、ホログラムを記録する前に複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を計測する計測手段と、基板の幅方向における信号光の照射位置を予め設定すると共に、計測された位置及び発光強度に基づいて、回折光の強度が一定となるように複数のホログラムの各々を記録する記録条件を取得する取得手段と、取得された記録条件に基づいて複数のホログラムの各々が順次記録されるように光照射手段及び移動手段を制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録データに応じて変調された信号光と前記信号光と光源を同一とする参照光とを干渉させてホログラム記録媒体の記録層にホログラムを記録するホログラム記録装置であって、前記信号光を発生させるための信号光パターンを表示する信号光空間光変調部と、前記参照光を発生させるための参照光パターンを表示する参照光空間光変調部と、前記信号光空間光変調部に表示する信号光パターンの態様および前記参照光空間光変調部に表示する参照光パターンの態様を制御するとともに前記信号光と前記参照光との光エネルギーを制御する制御部と、前記ホログラム記録媒体の温度を検出する温度検出器と、を備え、前記制御部は、記録後の前記ホログラムに前記参照光を照射したときに発生する回折光の回折効率が所定の値となるように、記録時点における前記ホログラム記録媒体の温度に応じて、予め設定された光エネルギーを前記ホログラム記録媒体に照射することを特徴とするホログラム記録装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、ホログラム記録媒体に参照光を照射して発生される再生光を光電変換して再生画像データを読み取るホログラム再生装置であって、前記再生画像データから特徴量を抽出する抽出手段と、前記参照光の光強度を変化させる光強度可変手段と、前記抽出された特徴量に基づいて前記光強度可変手段を制御し、前記再生光の光強度を所定の範囲内とする制御を行う光強度制御手段と、を具備することを特徴とするホログラム再生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−97704号公報
【特許文献2】特開2006−154039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、基板上に配列された複数の発光素子の各々に対応して、基板の幅方向における信号光の照射位置を変えずに参照光の照射位置を変更することで、基板上に配置されたホログラム記録層に複数のホログラムを記録する場合に、複数の発光素子の基板上での幅方向の位置に拘わらず、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度(即ち、被露光面での光量)が一定となるように、複数のホログラムの各々を記録することができるホログラム記録装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の発光素子が基板の長さ方向に沿って配列された基板上に配置されるホログラム記録層に、前記複数の発光素子の各々に対応して記録され且つ対応する発光素子から射出された光により回折光を生成する複数のホログラムを記録する信号光及び参照光を照射する光照射手段と、前記ホログラム記録層を前記光照射手段に対して相対移動させる移動手段と、前記ホログラム記録層に複数のホログラムを記録する前に、前記複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を計測する計測手段と、基板の幅方向における信号光の照射位置を予め設定すると共に、前記計測手段で計測された位置及び発光強度に基づいて、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度が一定となるように、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラムの各々を記録する記録条件を取得する取得手段と、前記取得手段で取得された記録条件に基づいて、信号光及び参照光を照射することにより、複数のホログラムの各々が前記複数の発光素子の各々に対応して順次記録されるように、前記光照射手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、を備えたホログラム記録装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記ホログラムを記録する記録条件は、信号光及び参照光を一定強度で照射する場合の照射時間、又は信号光及び参照光を一定時間で照射する場合の照射強度である、請求項1に記載のホログラム記録装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記計測手段で計測された前記複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を記憶する記憶手段を更に備えた、請求項1又は2に記載のホログラム記録装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記取得手段は、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラムの各々について、前記回折光の強度と対応する発光素子の発光強度とからホログラムの目標回折効率を演算し、演算された目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーを求め、得られた露光エネルギーに基づいてホログラムを記録する記録条件を取得する、請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のホログラム記録装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記取得手段は、前記ホログラム記録層について予め取得した回折効率と露光エネルギーとの関係に基づいて、前記目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーを求める、請求項4に記載のホログラム記録装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記取得手段は、前記ホログラム記録層について予め取得した発光素子の基板の幅方向の位置の基準位置からのずれ量と回折効率との関係に基づいて、前記ずれ量に応じたホログラムの現実の回折効率を求め、前記ホログラム記録層について予め取得した回折効率と露光エネルギーとの関係に基づいて、前記現実の回折効率が前記目標回折効率に到達し且つ露光エネルギーが目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーに到達するように、ホログラムを記録する記録条件を取得する、請求項4又は請求項5に記載のホログラム記録装置である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、複数の発光素子が基板の長さ方向に沿って配列された基板上に配置されるホログラム記録層に、前記複数の発光素子の各々に対応して記録され且つ対応する発光素子から射出された光により回折光を生成する複数のホログラムを記録する信号光及び参照光を照射する光照射手段と、前記ホログラム記録層を前記光照射手段に対して相対移動させる移動手段と、前記ホログラム記録層に複数のホログラムを記録する前に、前記複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を計測する計測手段と、を備えたホログラム記録装置を用いてホログラムを記録するためのプログラムであって、コンピュータを、基板の幅方向における信号光の照射位置を予め設定すると共に、前記計測手段で計測された位置及び発光強度に基づいて、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度が一定となるように、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラムの各々を記録する記録条件を取得する取得手段と、前記取得手段で取得された記録条件に基づいて、信号光及び参照光を照射することにより、複数のホログラムの各々が前記複数の発光素子の各々に対応して順次記録されるように、前記光照射手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各請求項に記載の発明によれば、以下の効果がある。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、基板上に配列された複数の発光素子の各々に対応して、基板の幅方向における信号光の照射位置を変えずに参照光の照射位置を変更することで、基板上に配置されたホログラム記録層に複数のホログラムを記録する場合に、複数の発光素子の基板上での幅方向の位置に拘わらず、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度(即ち、被露光面での光量)が一定となるように、複数のホログラムの各々を記録することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ホログラムを記録するための信号光及び参照光を照射する光照射手段の制御が容易になる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、複数のホログラムの記録条件を予め取得しておくことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、複数のホログラムの各々について対応する発光素子の発光強度に応じた目標回折効率を得るので、目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーが正確に求められる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、露光エネルギーはホログラム記録層の特性に応じて変化するが、事前に取得したホログラム記録層の特性(回折効率と露光エネルギーとの関係)に応じて、ホログラム記録層の特性に適した記録条件を取得することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、発光素子の基板上での幅方向の位置の基準位置からのずれ量に応じて対応するホログラムの回折効率が補正されて、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度が一定となるように、複数のホログラムの各々を記録する記録条件を取得することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、基板上に配列された複数の発光素子の各々に対応して、基板の幅方向における信号光の照射位置を変えずに参照光の照射位置を変更することで、基板上に配置されたホログラム記録層に複数のホログラムを記録する場合に、複数の発光素子の基板上での幅方向の位置に拘わらず、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度(即ち、被露光面での光量)が一定となるように、複数のホログラムの各々を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】LEDプリントヘッドを搭載した画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明のホログラム記録装置で作製されるLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】(A)はホログラム素子の概略形状を示す斜視図であり、(B)はLEDプリントヘッドの副走査方向の断面図であり、(C)はLEDプリントヘッドの主走査方向の断面図である。
【図4】SLEDアレイに対応してホログラム素子アレイが形成されたLEDプリントヘッドの部分的構成の一例を示す分解斜視図である。
【図5】(A)及び(B)はホログラム記録層にホログラムが記録される様子を示す図である。
【図6】(A)及び(B)はホログラムが再生されて回折光が生成される様子を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るホログラム記録装置の構成の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るホログラム記録装置の駆動制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】図7に示すホログラム記録装置の計測時の動作を説明する概略図である。
【図10】(A)及び(B)は可動レンズを備えたホログラム記録装置の計測時の動作を説明する概略図である。
【図11】ホログラム記録処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】ホログラム記録条件設定処理(プログラム)を実行するための処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】(A)はLEDチップの配列を部分的に示す平面図であり、(B)はLEDチップの配列の不具合を説明する平面図である。
【図14】副走査方向におけるLEDの配置位置の基準位置からのずれ量Δxを示す平面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るホログラム記録装置の構成の他の一例を示す概略図である。
【図16】図15に示すホログラム記録装置の動作を説明する概略図である。
【図17】図15に示すホログラム記録装置の計測手段の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0023】
<LEDプリントヘッドを搭載した画像形成装置>
まず、本発明の実施の形態に係るLEDプリントヘッドを搭載した画像形成装置について説明する。電子写真方式で画像を形成する複写機、プリンタ等では、感光体ドラムに潜像を書き込む露光装置として、従来の光走査方式の露光装置(即ち、光走査書き込み装置)に代わり、発光ダイオード(LED)を光源に用いたLED方式の露光装置が主流になりつつある。LED方式の露光装置では、走査光学系は不要であり、光走査方式に比べて大幅な小型化が可能である。また、ポリゴンミラーを駆動する駆動モータも不要であり、機械的なノイズが発生しないという利点もある。
【0024】
LED方式の露光装置は、LEDプリントヘッドと称され、LPHと略称されている。従来のLEDプリントヘッドは、長尺状の基板上に多数のLEDが配列されたLEDアレイと、多数の屈折率分布型のロッドレンズが配列されたレンズアレイと、を備えている。LEDアレイには、例えば1インチ当り1200画素(即ち、1200dpi(dot per inch))と、主走査方向の画素数に対応して多数のLEDが配列されている。ここで「dpi」は、1インチあたりのドット数を意味する。従来、レンズアレイには、セルフォック(登録商標)などのロッドレンズが用いられている。各LEDから射出された光は、ロッドレンズにより集光されて、感光体ドラム上に正立等倍像が結像される。
【0025】
ロッドレンズに代えて「ホログラム素子」を用いたLEDプリントヘッドが検討されている。本実施の形態に係る画像形成装置は、以下に説明する「ホログラム素子アレイ」を備えたLEDプリントヘッドを備えている。ロッドレンズを用いたLPHでは、レンズアレイ端面から結像点までの光路長(作動距離)は数mm程度と短く、感光体ドラムの周囲における露光装置の占有割合が大きくなる。これに対して、ホログラム素子アレイを備えたLPH14は、作動距離が数cm程度と長く、感光体ドラムの周囲が混み合わず、全体として画像形成装置が小型化される。
【0026】
また、一般に、インコヒーレント光(非干渉性の光)を射出するLEDを用いるLPHでは、コヒーレンス性が低下してスポットぼけ(いわゆる色収差)が生じ、微小スポットを形成することは容易ではない。これに対して、ホログラム素子アレイを備えたLPH14は、ホログラム素子の入射角選択性及び波長選択性が高く、「ロッドレンズを用いたLPH」に比べると、感光体ドラム12上に微小スポットを形成し易い。
【0027】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。この画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部としての画像形成プロセス部10、画像形成装置の動作を制御する制御部30、及び画像読取装置3と例えばパーソナルコンピュータ(PC)2等の外部装置とに接続され、これらの装置から受信された画像データに対して予め定めた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0028】
画像形成プロセス部10は、一定の間隔で並列に配置される4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの各々は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。なお、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを、適宜「画像形成ユニット11」と総称する。
【0029】
各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定めた電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光する露光装置としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、LPH14によって得られた静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。
【0030】
LPH14は、感光体ドラム12の軸線方向の長さと略同じ長さの長尺状のプリントヘッドである。LPH14は、その長さ方向が感光体ドラム12の軸線方向を向くように、感光体ドラム12の周囲に配置されている。本実施の形態では、LPH14には、長さ方向に沿って複数のLEDがアレイ状(列状)に配列されている。また、LEDアレイ上には、複数のLEDに対応する複数のホログラム素子がアレイ状に配列されている。
【0031】
後述する通り、ホログラム素子アレイを備えたLPH14の作動距離は長く、感光体ドラム12の表面から数cm離間して配置されている。このため、感光体ドラム12の周方向における占有幅が小さく、感光体ドラム12の周囲の混雑が緩和されている。
【0032】
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト21、各画像形成ユニット11の各色トナー像を中間転写ベルト21に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール22、中間転写ベルト21上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写ロール23、及び二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器25を備えている。
【0033】
次に上記画像形成装置の動作について説明する。
まず、画像形成プロセス部10は、制御部30から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、画像読取装置3やPC2から入力された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、インターフェースを介して各画像形成ユニット11に供給される。
【0034】
例えば、イエローの画像形成ユニット11Yでは、帯電器13により予め定めた電位で一様に帯電された感光体ドラム12の表面が、画像処理部40から得られた画像データに基づいて発光するLPH14により露光されて、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。即ち、LPH14の各LEDが画像データに基づいて発光することで、感光体ドラム12の表面が主走査されると共に、感光体ドラム12が回転することで副走査されて、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11M,11C,11Kにおいて、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
【0035】
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、図1の矢印A方向に回転する中間転写ベルト21上に、一次転写ロール22により順次静電吸引されて転写される(一次転写)。中間転写ベルト21上には、重畳されたトナー像が形成される。重畳トナー像は、中間転写ベルト21の移動に伴って二次転写ロール23が配設された領域(二次転写部)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
【0036】
そして、二次転写部にて二次転写ロール23により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される(二次転写)。重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト21から剥離され、搬送ベルト24により定着器25まで搬送される。定着器25に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器25によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙トレー(不図示)に排出される。
【0037】
<LEDプリントヘッド(LPH)>
次に、LEDプリントヘッド(LPH)の構成について説明する。図2はホログラム素子アレイを備えたLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。図2に示すように、LEDプリントヘッド(LPH14)は、複数のLED50を備えたLEDアレイ52と、複数のLED50の各々に対応して設けられた複数のホログラム素子54を備えたホログラム素子アレイ56と、を備えている。図2に示す例では、LEDアレイ52は6個のLED50〜50を備え、ホログラム素子アレイ56は6個のホログラム素子54〜54を備えている。なお、各々を区別する必要がない場合には、LED50〜50を「LED50」と総称し、ホログラム素子54〜54を「ホログラム素子54」と総称する。
【0038】
複数のLED50の各々は、LEDチップ53上に配列されている。また、LED50の各々は、互いに隣接する2つのLED50の主走査方向の間隔(LEDピッチ)が一定間隔となるように配列されている。複数のLED50が配列されたLEDチップ53は、LED50の各々を駆動する駆動回路(図示せず)と共に、長尺状のLED基板58上に実装されている。LEDチップ53は、複数のLED50が主走査方向に並ぶように位置合わせをして、LED基板58上に配置されている。これにより、LED50の各々は、感光体ドラム12の軸線方向と平行な方向に沿って配列される。
【0039】
或いは、LED50の各々を駆動する駆動回路(図示せず)を備えた複数のLEDチップ53を、長尺状のLED基板58上に実装してもよい。例えば、複数のLEDチップ53の各々では、複数のLED50と、複数のLED50の各々を駆動する駆動回路(回路部)と、が同じ基板上に形成されている。この場合、基板としては、一般に、半導体基板が用いられる。
【0040】
LED50の配列方向が「主走査方向」である。感光体ドラム12の回転により副走査が行われるが、「主走査方向」と直交する方向を「副走査方向」として図示している。また、LED50の「発光光軸」は、上記の主走査方向及び副走査方向の各々とも直交する。LED50は「点光源」ではないが、以下では、LED50が配置される位置を適宜「発光点」と称する。ここで「発光光軸」とは、LED50の発光領域から射出される拡散光の中心線である。LED50を発光点とみなす場合には、「発光光軸」の延びる方向はLED基板58の法線方向と一致する。
【0041】
LEDアレイ52としては、複数のLEDがチップ単位で基板上に実装されたLEDアレイ等、種々の形態のLEDアレイを用いてもよい。複数のLEDが配列されたLEDチップを複数個配列する場合には、複数のLEDチップは、直列に配置してもよく、千鳥状に配置してもよい。また、副走査方向に2個以上配置してもよい。図2においては、複数のLED50が1個のLEDチップ53上に一次元状に配列されたLEDアレイ52を概略的に図示しているに過ぎない。
【0042】
後述するように、本実施の形態では、LEDアレイ52には、複数のLEDチップ53が千鳥状に配列されている(図4参照)。即ち、複数のLEDチップ53は、主走査方向に並ぶように配置されると共に、副走査方向に一定間隔ずらして二列に配置されている。複数のLEDチップ53に分けられていても、複数のLED50の各々は、互いに隣接する2つのLED50の主走査方向の間隔が、一定間隔となるように配列されている。
【0043】
LEDアレイ52としては、複数の自己走査型LED(SLED:Self-scanning LED)が配列されたSLEDチップ(図示せず)が、各SLEDが主走査方向に並ぶように、複数個に配列されて構成されたSLEDアレイを用いてもよい。SLEDアレイは、スイッチのオン・オフを二本の信号線によって行い、各SLEDを選択的に発光させて、データ線を共通化する。このSLEDアレイを用いることで、LED基板58上での配線数が少なくて済む。
【0044】
LEDチップ53が配置されたLED基板58上には、ホログラム記録層60が形成されている。ホログラム素子アレイ56は、LED基板58上に形成されたホログラム記録層60内に形成されている。後述する通り、LED基板58とホログラム記録層60とは密着している必要はなく、空気層や透明樹脂層などを介して予め定めた距離だけ離間されていてもよい。例えば、ホログラム記録層60は、LED基板58から予め定めた高さだけ離間された位置に、図示しない保持部材により保持されていてもよい。
【0045】
ホログラム記録層60には、複数のLED50〜50の各々に対応して、主走査方向に沿って複数のホログラム素子54〜54が形成されている。ホログラム素子54の各々は、互いに隣接する2つのホログラム素子54の主走査方向の間隔が、上記のLED50の主走査方向の間隔と、ほぼ同じ間隔となるように配列されている。即ち、互いに隣接する2つのホログラム素子54が互いに重なり合うように、径の大きいホログラム素子54が形成されている。また、互いに隣接する2つのホログラム素子54が異なる形状を有していてもよい。
【0046】
ホログラム記録層60は、ホログラムを永続的に記録保持することが可能な高分子材料から構成されている。このような高分子材料としては、いわゆるフォトポリマーを用いてもよい。フォトポリマーは、光重合性モノマーのポリマー化による屈折率変化を利用してホログラムを記録する。
【0047】
インコヒーレント光源であるLED50を発光させると、LED50から射出される発光光は、発散して拡がることが知られている。この現象は「ランバーシアン配光」と称される。同じくインコヒーレント光源である電界発光素子(EL)においても、同様の現象が観測される。LED50から射出された拡散光(インコヒーレント光)の一部は、発光点からホログラム径まで拡がる拡散光の光路を通る。LED50の発光により、ホログラム素子54に参照光が照射されたのと略同じ状況となる。
【0048】
図2に示すように、LEDアレイ52とホログラム素子アレイ56とを備えたLPH14では、6個のLED50〜50の各々から射出された各光は、対応するホログラム素子54〜54のいずれかに入射する。ホログラム素子54〜54は、入射された光を回折して回折光を生成する。ホログラム素子54〜54の各々で生成された各回折光は、拡散光の光路を避けて、その光軸が発光光軸と角度θを成す方向に射出され、感光体ドラム12の方向に集光される。
【0049】
射出された各回折光は、感光体ドラム12の方向に収束して、数cm先の焦点面に配置された感光体ドラム12の表面で結像される。即ち、複数のホログラム素子54の各々は、対応するLED50から射出された光を回折して集光し、感光体ドラム12の表面に結像させる光学部材として機能する。感光体ドラム12の表面には、各回折光による微小なスポット62〜62が、主走査方向に一列に配列されるように形成される。換言すれば、LPH14により、感光体ドラム12が主走査される。なお、各々を区別する必要がない場合には、スポット62〜62を「スポット62」と総称する。
【0050】
<ホログラム素子の形状及び配置>
図3(A)はホログラム素子の概略形状を示す斜視図であり、図3(B)はLEDプリントヘッドの副走査方向の断面図であり、図3(C)はLEDプリントヘッドの主走査方向に沿った断面図である。図3(A)に示すように、ホログラム素子54の各々は、一般に厚いホログラムと称される体積ホログラムである。上述した通り、ホログラム素子は、入射角選択性及び波長選択性が高く、回折光の出射角度(回折角)を高精度で制御して、微小スポットを形成する。回折角の精度はホログラムの厚さが厚いほど高くなる。
【0051】
図3(A)及び図3(B)に示すように、ホログラム素子54の各々は、ホログラム記録層60の表面側を一方の底面とし、LED50側に向かって収束する円錐台状に形成されている。この例では円錐台状のホログラム素子について説明するが、ホログラム素子の形状はこれには限定されない。例えば、円錐、楕円錐、楕円錐台等の形状としてもよい。円錐台状のホログラム素子54の直径は、一方の底面で最も大きくなる。この円形の底面の直径を「ホログラム径r」とする。
【0052】
ホログラム素子54の各々は、LED50の主走査方向の間隔よりも大きな「ホログラム径r」を有している。例えば、LED50の主走査方向の間隔は30μmであり、ホログラム径rは2mm、ホログラム厚さhは250μmである。このように大きなホログラム素子54を用いることで、約4cmの作動距離で、約40μm(半値幅で約30μm)のスポットサイズφが実現される。従って、図2及び図3(C)に示すように、互いに隣接する2つのホログラム素子54は、互いに大幅に重なり合うように形成されている。複数のホログラム素子54は、例えば、球面波シフト多重により多重記録されている。
【0053】
複数のLED50の各々は、対応するホログラム素子54側に光を射出するように、発光面をホログラム記録層60の表面側に向けて、LED基板58上に配置されている。LED50の「発光光軸」は、対応するホログラム素子54の中心(例えば、円錐台の対称軸)付近を通り、LED基板58と直交する方向を向いている。図示した通り、発光光軸は、上記の主走査方向及び副走査方向の各々とも直交する。
【0054】
また、図示は省略するが、LPH14は、ホログラム素子54で生成された回折光が感光体ドラム12の方向に射出されるように、ハウジングやホルダー等の保持部材により保持されて、図1に示す画像形成ユニット11内の予め定めた位置に取り付けられている。なお、LPH14は、調整ネジ(図示せず)等の調整手段により、回折光の光軸方向に移動するように構成されていてもよい。ホログラム素子54による結像位置(焦点面)が、感光体ドラム12表面上に位置するように、上記の調整手段により調整する。また、ホログラム記録層60上に、カバーガラスや透明樹脂等で保護層が形成されていてもよい。保護層によりゴミの付着を防止する。
【0055】
<LPHの具体的な構成>
次に、LPHのより具体的な構成について説明する。図2においては、概略的に6個のLED50〜50が1列に配列されている例を図示したが、実際の画像形成装置では、主走査方向の解像度に応じて数千個のLED50が配列されている。例えば、SLEDアレイを例に説明すると、128個のSLEDが1200spi(spots per inch、1インチあたりのスポット数を意味する。)間隔で配列されたSLEDチップが、SLEDが主走査方向に沿って並ぶように、58個直列に配列されてSLEDアレイが構成されている。換算すると、1200dpi(dot per inch、1インチあたりのドット数を意味する。)の解像度の画像形成装置では、7424個のSLEDが21μmの間隔で配列されている。これら7424個のSLEDに対応して、感光体ドラム12上には7424個のスポット62が主走査方向に一列に並ぶように形成される。
【0056】
図4はSLEDアレイに対応してホログラム素子アレイが形成されたLEDプリントヘッドの部分的構成の一例を示す分解斜視図である。図4の分解斜視図は、図2に概略的に図示したLPHの構成をより具体的に図示したものであり、実際の画像形成装置に使用される構成に近い。なお、「LED」に代えて「SLED」を用いる場合には、LED50と同じ符号を付して「SLED50」と称する。また、SLEDチップにも同じ符号を付して「SLEDチップ53」と称する。
【0057】
上述した通り、実際の画像形成装置のLPH14には、主走査方向の解像度に応じて数千個のSLEDが配列されている。図4に示すLPH14は、LEDアレイ52が実装されたLED基板58と、複数のホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60と、を備えている。LEDアレイ52は、複数のSLEDチップ53が2列の千鳥状に配置されたSLEDアレイである。
【0058】
図4に示す分解斜視図では、実際の構成に近いLPH14の一部として、4個のSLEDチップ53が千鳥状に配置されている様子を示す。4個のSLEDチップ53は、副走査方向においてA列とB列の2列に分けて配列されている。A列にはSLEDチップ53A1とSLEDチップ53A2とが互いに隣接するように配置され、B列には、SLEDチップ53B1とSLEDチップ53B2とが互いに隣接するように配置されている。A列のSLEDチップ53A1及びSLEDチップ53A2と、B列のSLEDチップ53B1及びSLEDチップ53B2とは、副走査方向に並ばないように主走査方向にずらして(即ち、千鳥状に)配置されている。
【0059】
なお、以下では、SLEDチップ53A1、SLEDチップ53A2、SLEDチップ53B1及びSLEDチップ53B2の各々を区別する必要がない場合には、「SLEDチップ53」と総称する。また、A列とB列とに区別する場合には、A列に配置されたSLEDチップ53を「SLEDチップ53A」と称し、B列に配置されたSLEDチップ53を「SLEDチップ53B」と称する。
【0060】
4個のSLEDチップ53の各々には、9個のSLED50が予め定めた間隔で一次元状に配列されている。そして、4個のSLEDチップ53の各々は、SLED50の配列方向が主走査方向を向くように配置されている。図4に示す例では、A列とB列の2列に配列された合計36個のSLED50(SLED50〜5036)が図示されている。
【0061】
A列とB列とに区別する場合には、A列上に配置されたSLED50を「SLED50A」と称し、B列上に配置されたSLED50を「SLED50B」と称する。A列上に配置されたSLED50AとB列上に配置されたSLED50Bとは、副走査方向に予め定めた間隔だけ離間されている。A列とB列との間隔は、LED50の主走査方向の間隔と略同じ間隔又は数倍(1倍〜9倍)程度の間隔とされている。
【0062】
そして、36個のSLED50の各々に対応して、予め設計された位置及び形状の36個のホログラム素子54〜5436が形成されている。これにより、感光体ドラム12の表面12Aには、36個のSLED50〜5036の各々に対応して、36個のスポット62〜6236が主走査方向に沿って予め定めた間隔で一列に形成される。実際の画像形成装置では、数千個のSLED50に対応して、数千個のスポット62が形成される。
【0063】
本実施の形態では、数千個のSLED50の発光強度のばらつきや副走査方向における位置に拘わらず、数千個のスポット62の光量が一定となる。例えば、A列に配置されたSLED50Aに対応するか、B列に配置されたSLED50Bに対応するかに拘わらず、対応するホログラム素子54により形成されるスポット62の光量が一定となる。また、A列のSLEDチップ53Aが斜めに配置され、SLED50AがA列上に配置されていない場合でも、対応するホログラム素子54により形成されるスポット62の光量が一定となる。スポット62の光量を一定にする方法については、後で詳しく説明する。
【0064】
<ホログラムの記録方法>
次に、ホログラムの記録方法について説明する。図5(A)及び(B)は、ホログラム記録層にホログラム素子54が形成される様子、即ち、ホログラム記録層にホログラムが記録される様子を示す図である。感光体ドラム12の図示は省略し、結像面である表面12Aだけを図示する。また、ホログラム記録層60Aは、ホログラム素子54が形成される前の記録層であり、符号Aを付して、ホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60と区別する。また、A列とB列とに区別する場合には、A列のSLED50Aに対応するホログラム素子54を「ホログラム素子54A」と称し、B列のSLED50Bに対応するホログラム素子54を「ホログラム素子54B」と称する。
【0065】
A列上に配置されたLED50AとB列上に配置されたLED50Bとは、副走査方向に予め定めた間隔だけ離間されている。ここで、記録光学系を固定配置してホログラムを記録した場合、即ち、信号光を照射する光学系と参照光を照射する光学系とを固定された関係で配置してホログラムを記録した場合には、ホログラム素子54Aの回折光による結像位置は、ホログラム素子54Bの回折光による結像位置よりも感光体12に近くなる。これでは、複数のスポット62は主走査方向に一列に配列されない。
【0066】
本実施の形態では、図5(A)及び図5(B)に示すように、ホログラム素子54Aとホログラム素子54Bとを記録する際に、「同じ信号光」を用いることで、感光体ドラム12の表面12Aにおいて主走査方向に一列に配列される複数のスポット62を形成している。ここで「同じ信号光」とは、照射角度、収束角度、及び収束位置が同じ信号光を意味している。
【0067】
具体的には、表面12A上の予め定めた集光点に向って予め定めた角度で収束する回折光の光路を通るコヒーレント光を、信号光として用いる。回折光の光路を通るコヒーレント光は、LED50Aの発光光軸及びLED50Bの発光光軸と角度θで交差する光軸を有する。即ち、回折光の光軸と信号光の光軸とを一致させ、信号光の光軸と参照光の光軸とが予め定めた角度θで交差するように、信号光と参照光とを照射する。コヒーレント光の照射には、半導体レーザ等のレーザ光源が用いられる。
【0068】
ホログラム素子54Aを記録する場合には、図5(A)に示すように、LED50Aの発光光軸と角度θで交差する光軸を有し且つ上記回折光の光路を通るコヒーレント光が、信号光としてホログラム記録層60Aに照射される。同時に、ホログラム記録層60Aを通過する際に、LED50A(発光点)からホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通るコヒーレント光が、参照光としてホログラム記録層60Aに照射される。
【0069】
ホログラム素子54Bを記録する場合には、図5(B)に示すように、LED50Bの発光光軸と角度θで交差する光軸を有し且つ上記回折光の光路を通るコヒーレント光が、信号光としてホログラム記録層60Aに照射される。同時に、ホログラム記録層60Aを通過する際に、LED50B(発光点)からホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通るコヒーレント光が、参照光としてホログラム記録層60Aに照射される。
【0070】
信号光と参照光とは、ホログラム記録層60Aに対し同じ側から照射される。本実施の形態では、LED基板58が配置される側とは反対側から信号光と参照光とを照射する「位相共役記録」を前提としている。即ち、ホログラム記録層60AをLEDアレイ52が実装されたLED基板58上に取り付けた後に、矢印で図示したように、LED基板58が配置される側とは反対側から、信号光と参照光とをホログラム記録層60Aに照射してホログラムを記録する。
【0071】
信号光と参照光との干渉により得られる干渉縞(強度分布)が、ホログラム記録層60Aの厚さ方向にわたって記録される。これにより、透過型のホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60が得られる。ホログラム素子54は、面方向及び厚さ方向に干渉縞の強度分布が記録された体積ホログラムである。LED基板58上に取り付けられたホログラム記録層60Aに、複数のホログラム素子54が記録されることで、LPH14が作製される。
【0072】
図5(A)及び図5(B)に示すように、「同じ信号光」を用いたことで、ホログラム素子54Aを記録する場合の信号光及び参照光の重なりと、ホログラム素子54Bを記録する場合の信号光及び参照光の重なりとは、副走査方向での位置及び形状が相違している。従って、信号光と参照光との干渉により得られる干渉縞(強度分布)も相違している。換言すれば、ホログラム素子54Aとホログラム素子54Bとは異なるホログラムであり、通常は回折効率も異なる。本実施の形態では、回折光強度が一定になるように、ホログラム素子54Aとホログラム素子54Bとを記録する。その具体的な方法については後述する。
【0073】
<ホログラムの再生方法>
次に、ホログラムの再生方法について説明する。図6(A)及び図6(B)は、ホログラム素子から回折光が生成される様子、即ち、ホログラム記録層に記録されたホログラムが再生されて回折光が生成される様子を示す図である。上述した通り、信号光の光軸と参照光の光軸とが予め定めた角度θで交差するように、信号光と参照光とを照射してホログラム素子54を記録しておくと、ホログラム素子54を再生する際には、発光光軸と角度θを成す方向に回折光が射出される。
【0074】
図6(A)に示すように、LED50Aを発光させると、LED50Aから射出された光は、発光点からホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通る。LED50Aの発光により、対応するホログラム素子54Aに参照光が照射されたのと略同じ状況となる。ホログラム素子54Aに入射した光は、ホログラム素子54Aにより発光光軸と角度θを成す方向に回折され、感光体ドラム12の表面12Aに結像されてスポット62Aを形成する。同様に、図6(B)に示すように、LED50Bから射出された光は、対応するホログラム素子54Bにより発光光軸と角度θを成す方向に回折され、感光体ドラム12の表面12Aに結像されて、スポット62Aと共に主走査方向に並ぶスポット62Bを形成する。
【0075】
なお、図6(A)及び図6(B)では、回折に使用されるホログラム素子に格子模様を付すと共に、回折に使用されないホログラム素子に斜線を付すことで、両者を区別している。例えば、図6(A)に示すように、A列上のLED50Aを発光させた場合には、格子模様が付されたホログラム素子54Aで回折され、図6(B)に示すように、B列上のLED50Bを発光させた場合には、格子模様が付されたホログラム素子54Bで回折される。
【0076】
図6(A)及び図6(B)に示すように、点線で図示する参照光の照射により、実線で図示するように、ホログラム素子54から信号光と同じ光が再生され、回折光として射出される。射出された回折光は収束して、数cmの作動距離Lで感光体ドラム12の表面12Aに結像される。表面12Aにはスポット62が形成される。なお、図面には、表面12Aが概略的に図示されているが、ホログラム径rは数mm、作動距離Lは数cmと長く、表面12AはLPH14からかなり離れた位置にある。このため、ホログラム素子54は、図示されたような円錐状ではなく、図3(A)に示すように、円錐台状に形成される。
【0077】
図4を参照して説明したように、感光体ドラム12の表面12Aには、数千個のSLED50に対応して、数千個のスポット62が主走査方向に一列に並ぶように形成される。上記の通り、スポット62は、ホログラム素子54の回折光が結像した結像スポットである。ホログラム素子54(特に、体積ホログラム)は、入射角選択性及び波長選択性が高く、回折効率が高い。このためバックグラウンドノイズ(背景雑音)が低減され、信号光が精度よく再生されて、表面12Aには輪郭の鮮明な微小スポット(集光点)が形成される。
【0078】
詳細については後述するが、本実施の形態に係るホログラム記録装置では、上記のホログラム記録方法と同じ原理を用いて、複数のホログラム素子54の各々を記録する。このときに、LED50の位置及び発光強度から求めた必要な露光エネルギーに応じて、記録条件を変えてホログラム素子54を記録することで、LED50の位置及び発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に形成される複数のスポット62の光量(即ち、回折光強度)が一定になる。
【0079】
本実施の形態では、上述した通り、ホログラム素子54Aとホログラム素子54Bとは異なる。即ち、LED50の副走査方向の位置(A列か、B列か)に応じて、対応するホログラム素子54の位置及び形状が異なる。これに対しても、所望の回折光強度に応じた回折効率が得られるように、記録条件を変えてホログラム素子54を記録することで、ホログラム素子54の位置及び形状のばらつきに拘わらず、回折光強度が一定になる。
【0080】
上記の通り、本実施の形態では、LED50の主走査方向の間隔を一定として、LED50の副走査方向の位置に応じて、ホログラム素子54の位置及び形状(回折効率)が変化する場合に、回折光強度を一定とする例について説明する。しかしながら、実際には、主走査方向におけるLEDの間隔が狭い又は広い等、主走査方向のずれを生じる場合があり、LEDの主走査方向の位置に応じて、ホログラム素子の位置及び形状(回折効率)が変化する。この場合にも、同じ方法を適用して回折光強度を一定とすればよい。
【0081】
<ホログラム記録装置>
次に、ホログラム記録装置について説明する。図7は本発明の実施の形態に係るホログラム記録装置の構成の一例を示す概略図である。図7に示すように、このホログラム記録装置100には、コヒーレント光であるレーザ光を発振するレーザ光源102が設けられている。レーザ光源102の光出射側には、開閉可能に構成されたシャッタ104、一対のレンズ106、レンズ108、入射光の光路を折り曲げる反射ミラー112が、レーザ光源102側からこの順序でレーザ光の光路上に配置されている。
【0082】
シャッタ104は、後述するシャッタ駆動部に接続されている。シャッタ104は、シャッタ駆動部により矢印方向に駆動されて、レーザ光の光路に挿入された状態(閉状態)又は光路から退避させられた状態(開状態)となる。一対のレンズ106、レンズ108は、2枚のレンズを焦点位置が一致するように組み合わせたものであり、レーザ光のビーム径を拡大するビームエキスパンダとして機能する。レンズ106、レンズ108の焦点面には、ピンホール(微小開口)を備えた空間フィルタ110が配置されている。
【0083】
反射ミラー112の光反射側には、一部の入射光を透過すると共にそれ以外の入射光を反射するビームスプリッタ114が配置されている。ビームスプリッタ114は、入射光の光路を、信号光用光路と参照光用光路とに分岐して、信号光用光と参照光用光の二光波を生成する。
【0084】
ビームスプリッタ114の光反射側には、レンズ116、レンズ118、レンズ120、及びLPH14を保持するステージ124が、ビームスプリッタ114側からこの順序でレーザ光の光路上に配置されている。レンズ116、レンズ118の焦点面には、ピンホールを備えた空間フィルタ122が配置されている。ビームスプリッタ114で反射された参照光用光は、レンズ116、空間フィルタ122、レンズ118、及びレンズ120を通過して、レンズ120により集光されて、ステージ124に保持されたLPH14に参照光として照射される。
【0085】
レンズ120は、図示しない移動手段(例えば、図10のステージ123)により保持されて、移動可能に構成されている。図示しない移動手段は、後述するレンズ駆動部に接続されている。レンズ120は、移動手段を介してレンズ駆動部により矢印方向に移動されて、参照光の照射状態を変更する。この通り、本実施の形態では、信号光とLPH14の相対位置を一定として「同じ信号光」を照射するために、信号光の位置とLPH14の位置とを固定すると共に参照光を移動させている。「同じ信号光」を照射するために、信号光とLPH14とを同時に移動すると共に参照光を固定してもよい。
【0086】
一方、ビームスプリッタ114の光透過側には、入射光の光路を折り曲げる反射ミラー126、反射ミラー128、及びレンズ130が、ビームスプリッタ114側からこの順序でレーザ光の光路上に配置されている。ビームスプリッタ114を透過した信号光用光は、反射ミラー126、反射ミラー128で光路が折り曲げられ、レンズ130により集光されて、ステージ124に保持されたLPH14に信号光として照射される。
【0087】
また、参照光光路上のレンズ116と空間フィルタ122との間には、移動可能に構成されたパワーメータ134が配置されている。パワーメータ134は、LPH14を構成するLEDアレイ52の各LED50の位置及び発光強度を計測するために設けられている。パワーメータ134は、後述するパワーメータ駆動部に接続されている。パワーメータ134は、パワーメータ駆動部により矢印方向に駆動されて、レーザ光の光路に挿入された状態(計測状態)又は光路から退避させられた状態(非計測状態)となる。また、パワーメータ134は、後述する制御部に接続されており、計測データを制御部に入力する。
【0088】
<ホログラム記録装置の駆動制御系の構成>
次に、上記ホログラム記録装置の電気的構成について説明する。図8はホログラム記録装置の駆動制御系の構成を示すブロック図である。ホログラム記録装置100は、図8に示すように、装置全体を制御する制御部200を備えている。制御部200には、制御信号に応じて、レーザ光源102を駆動するレーザ駆動部(駆動回路)202が接続されている。制御部200には、制御信号に応じて、シャッタ104を開閉駆動するシャッタ駆動部204が接続されている。
【0089】
制御部200には、制御信号に応じて、ステージ124を駆動するステージ駆動部206が接続されている。例えば、ステージ124は、ステージ駆動部206により駆動されて、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動可能な可動ステージとしてもよい。制御部200には、制御信号に応じて移動手段(図示せず)を駆動して、レンズ120を所定の位置に移動するレンズ駆動部207が接続されている。
【0090】
また、制御部200には、制御信号に応じて、パワーメータ134を駆動するパワーメータ駆動部208が接続されている。また、パワーメータ134は、制御部200に接続されており、パワーメータ134から検出信号を取得する。更に、制御部200には、ホログラムを記録する記録条件を設定する際に、種々の情報を表示・入力する表示入力部210が接続されている。表示入力部210は、例えば、操作入力画面を備えたタッチパネル等で構成されている。表示入力部210は、制御信号に応じて、操作入力画面等により情報を表示し、設定入力を受け付けて情報を取得する。
【0091】
制御部200は、装置各部の制御及び各種演算を行うCPU(中央処理装置)、OS等の各種プログラムを記憶したROM、及びプログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAMを備えている。また、制御部200は、ハードディスク等の各種情報を記憶する外部記憶装置、入出力ポート、通信インターフェース、及び各種ドライブを備えていてもよい。制御部200を構成する各部は、バスにより相互に接続されている。CPUは、プログラムをROM又は外部記憶装置等の記憶装置から読み出し、RAMにロードする。そして、RAMをワークエリアとして使用し、ロードされたプログラムを実行する。後述する「ホログラム記録条件設定プログラム」等は、ROM又は外部記憶装置に記憶されている。また、パワーメータ134や表示入力部210で取得された情報は、RAMに保持されると共に、ROM又は外部記憶装置等の記憶装置に記憶される。
【0092】
<ホログラムの記録動作>
次に、図7及び図8を参照して、ホログラム記録装置100の記録動作について説明する。ホログラムの記録時には、図7に示すように、シャッタ104は、シャッタ駆動部204により駆動されて「開状態」とされている。また、ステージ駆動部206によりステージ124が駆動されて、LPH14を構成するホログラム記録層60A(未記録)は、ステージ124によって予め定めた記録位置に保持されている。更に、レンズ駆動部207により移動手段(図示せず)が駆動されて、レンズ120は、参照光を所望の条件で照射するために、移動手段(図示せず)により予め定めた位置に移動されている。
【0093】
レーザ駆動部202により駆動されて、レーザ光源102から予め定めた波長のレーザ光が発振する。レーザ光源102から発振されたレーザ光は、ビームエキスパンダとして機能する一対のレンズ106、108によりビーム径が拡大される。レンズ106、レンズ108の焦点面に配置された空間フィルタ110は、ピンホールを通過できない一部のレーザ光を遮断する。ピンホールを通過したレーザ光は、レンズ108で平行光化されて、反射ミラー112に入射する。反射ミラー112で反射されて光路が約90°折り曲げられた光は、ビームスプリッタ114に入射する。ビームスプリッタ114は、例えば、入射光の半分を透過し半分を反射するハーフミラーとして機能する。
【0094】
ビームスプリッタ114で反射されたレーザ光は、一対のレンズ116、レンズ118によりリレーされる。レンズ116、レンズ118の焦点面に配置された空間フィルタ122は、ピンホールを通過できない一部のレーザ光を遮断する。ピンホールを通過したレーザ光は、レンズ118により平行光化されて、レンズ120により集光される。レンズ120により集光されたレーザ光は、ステージ124に保持されたLPH14のホログラム記録層60Aに、参照光として照射される。
【0095】
ビームスプリッタ114を透過したレーザ光は、反射ミラー126で反射されて光路が約90°折り曲げられ、反射ミラー128で更に反射されて光路がステージ側に折り曲げられて、レンズ130に入射する。レンズ130により集光されたレーザ光は、ステージ124に保持されたLPH14のホログラム記録層60Aに、信号光として照射される。
【0096】
上記の通り、信号光と参照光とは、同じレーザ光源102から発振されたレーザ光を分岐して生成される。これら信号光と参照光とは、光記録媒体であるLPH14のホログラム記録層60Aの同じ位置に同時に且つ同じ側から照射される。これによって、ホログラム記録層60A内で信号光と参照光とが干渉して、干渉パターンがホログラムとして記録される。なお、ホログラム記録層60Aの「同じ位置」とは、1つのホログラム(干渉縞)を記録するのに必要な範囲で同じ位置を意味する。
【0097】
ホログラムを記録する記録条件としては、信号光及び参照光の各々に関し、照射強度、照射角度、照射位置、照射時間、照射波長、環境温度、環境湿度等、種々の条件があるが、例えば、信号光及び参照光を一定強度で照射する場合の照射時間、又は信号光及び参照光を一定時間で照射する場合の照射強度としてもよい。信号光及び参照光の照射時間は、上記のホログラム記録装置100の記録動作では、シャッタ104の開閉時間により調整される。また、参照光の照射角度及び照射位置は、例えば、レンズ120の位置により調整される。
【0098】
<LEDの計測動作>
次に、図8及び図9を参照して、ホログラム記録装置100の計測動作について説明する。図9は図7に示すホログラム記録装置の計測時の動作を説明する概略図である。このホログラム記録装置100では、LPH14を構成するLEDアレイ52の各LED50の位置及び発光強度が、パワーメータ134により計測される。計測動作時には、ステージ駆動部206によりステージ124が駆動されて、LPH14を構成するLEDアレイ52は、ステージ124によって予め定めた計測位置に保持されている。また、計測動作時には、パワーメータ駆動部208によりパワーメータ134が移動されて、パワーメータ134が参照光の光路上に挿入された状態(計測状態)となる。
【0099】
なお、計測動作時には、レーザ光源102からレーザ光が発振しないように、レーザ駆動部202によりレーザ光源102が駆動される。また、シャッタ104は、シャッタ駆動部204により駆動されて「閉状態」とされており、レーザ光が発振されてもシャッタ104で遮断される。また、レンズ駆動部207により移動手段(図示せず)が駆動されて、レンズ120は計測位置に移動される。
【0100】
図9に示すように、LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々を順次点灯させて、各LED50の位置及び発光強度を計測する。ここで「発光強度」とは、パワーメータ134で計測されるLED50の最大発光強度である。換言すれば、ステージ駆動部206によりステージ124が駆動されてLPH14の位置が微調整され、パワーメータ134で計測されるLED50の最大発光強度となった時点で、LED50の位置及び発光強度を計測する。
【0101】
また、「位置」とは、パワーメータ134で最大発光強度を検出したときのLED50の空間位置座標である。空間位置座標を表すには、例えば、X軸は副走査方向、Y軸は主走査方向、Z軸は基板の法線方向とする「XYZ座標系」で表される三次元座標系を用いてもよい。この「XYZ座標系」において、LPH14の角部等を原点(0,0,0)として、LED50の位置を座標(X,Y,Z)で表す。また、LED50の「副走査方向の位置」は、LED基板58の副走査方向の中心線を基準位置として、基準位置からの距離で表してもよい。
【0102】
LEDアレイ52のLED50から射出された光は、記録動作時とは逆に、レンズ120で平行光化され、レンズ118で集光されて、空間フィルタ122に照射される。空間フィルタ122のピンホールを通過した光は、パワーメータ134の受光面に結像する。これにより、パワーメータ134では、LED50の発光強度が測定される。ここで測定される発光強度は、放射量を表す放射強度である。また、LED50の位置は、ステージ駆動部206によるステージ124の駆動情報から取得される。
【0103】
なお、上記では、ステージ124が駆動されてLPH14の位置が微調整される例について説明したが、ステージ124を固定し信号光と参照光との照射位置が動くように各光学系を適宜駆動して行っても構わない。具体的には、参照光側の照射位置が動くようにレンズ120の位置を微調整してもよい。図10(A)及び図10(B)は、可動レンズを備えたホログラム記録装置の計測時の動作を説明する概略図である。図10(A)に示すように、LPH14を保持するステージ124とは別に、レンズ120を保持するステージ123を設ける。ステージ123は、ステージ124と同じ可動ステージであり、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動可能とされている。換言すれば、ステージ123は、レンズ120を移動する移動手段として設けられている。
【0104】
この例では、図10(B)に示すように、ステージ駆動部(図示せず)によりステージ123が駆動されてレンズ120の位置が微調整され、パワーメータ134で計測されるLED50の発光強度が「最大発光強度」となった時点で、LED50の位置及び発光強度を計測する。また、LED50の最大発光強度となる時点を検出する以外に、近接するLED50の計測位置に移動する場合に、ステージ123が駆動されてレンズ120の位置が調整されてもよい。例えば、LED50Aに隣接するLED50Bを計測する場合には、実線で図示した位置から点線で図示した位置まで、ステージ123と共にレンズ120が移動される。
【0105】
<回折光強度を一定化するための露光プロセス>
LEDアレイ52を構成する複数のLED50は、その位置及び発光強度にばらつきがあるのが通常である。本実施の形態では、LED50の位置及び発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に、一定の光量(回折光強度)の複数のスポット62を形成するための「露光プロセス」を提案する。
【0106】
ホログラム素子アレイ56を構成する複数のホログラム素子54の各々について、LED50の発光強度から求めた必要な露光エネルギーに応じて、記録条件を変えてホログラム素子54を記録することで、LED50の位置及び発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に形成される複数のスポット62の光量が一定になる。
【0107】
特に、本実施の形態では、LED50の副走査方向の位置(例えば、A列か、B列か)に応じて、対応するホログラム素子54の位置及び形状(回折効率)が異なることに着目している。これに対しても、所望の回折光強度に応じた回折効率が得られるように、記録条件を変えてホログラム素子54を記録することで、ホログラム素子54の位置及び形状のばらつきに拘わらず、回折光強度が一定になる。
【0108】
次に、制御部200により実行される「ホログラム記録処理」の処理手順について説明する。図11はホログラム記録処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。この「ホログラム記録処理」は、LED50の位置及び発光強度のばらつきに拘わらず一定の光量(回折光強度)のスポット62を形成するための「露光プロセス」である。ここで、計測及び記録の対象となるLPH14は、複数のLED50を備えたLEDアレイ52と、未記録のホログラム記録層60Aとを備えている。
【0109】
LPH14は、ステージ駆動部206によりステージ124に既に保持されている。ここでは、LPH14のLEDアレイ52の各LED50の発光強度等を計測した後に、続けてLPH14のホログラム記録層60Aにホログラム素子54を記録する場合について説明する。なお、発光強度等の計測動作と、ホログラムの記録動作とは、別々に行ってもよい。
【0110】
まず、ステップ100で、LPH14を計測位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が計測位置に移動される。
【0111】
次に、ステップ102で、LED50の位置及び発光強度から求めた必要な露光エネルギーに応じて、対応するホログラム素子54の記録条件を設定する「ホログラム記録条件設定処理」を行う。図12は「ホログラム記録条件設定処理プログラム」を実行するための処理ルーチンを示すフローチャートである。ここで、「ホログラム記録条件設定処理」について先に説明する。
【0112】
図12に示すように、ステップ200で、パワーメータ134を挿入するための制御信号を、パワーメータ駆動部208に入力する。この制御信号に応じて、パワーメータ134がパワーメータ駆動部208により移動されて、パワーメータ134が参照光の光路上に挿入された状態(計測状態)となる。
【0113】
次に、ステップ202で、LPH14を計測対象となるLED50の計測位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206、レンズ駆動部207に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて主走査方向に移動し、LPH14が予め定めた計測位置に移動される。また、ステージ123がレンズ駆動部207により駆動されて、レンズ120が計測位置に移動される。
【0114】
次に、ステップ204で、計測対象となるLED50を点灯するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。ステージ駆動部206は、ステージ124に保持されたLPH14のLEDアレイ52の各LED50を点灯駆動するドライバとしても機能する。従って、この制御信号に応じて、LEDアレイ52がステージ駆動部206により駆動されて、計測対象となるLED50が発光する。
【0115】
次に、ステップ206で、パワーメータ134から検出信号を取得する。即ち、計測対象となるLED50を発光させて、パワーメータ134によりLED50の発光強度「Iin」を計測し、計測データを取得する。上述した通り、ステージ駆動部206によりステージ124が駆動されてLPH14の位置が微調整され、パワーメータ134で計測されるLED50の発光強度が「最大発光強度」となった時点で、LED50の発光強度を計測する。発光強度の計測と同時に、LED50の位置を計測する。LED50の位置は、ステージ駆動部206によるステージ124の駆動情報から取得される。
【0116】
本実施の形態では、LED50の位置には、LED50の「副走査方向の位置」が含まれる。図13(A)に示すように、複数のLEDチップ53は、理想的には、主走査方向に並ぶように配置されると共に、副走査方向に一定間隔ずらしてA列及びB列の二列で配置されている。しかしながら、実際には、図13(B)に示すように、位置合わせの不具合(アライメントずれ)等により、LEDチップ53が主走査方向に対して傾斜して配置される。この場合には、LEDチップ53に配列されたLED50の主走査方向の間隔が狭くなると共に、LEDチップ53に配列されたLED50の副走査方向の位置がばらつく。
【0117】
図14は副走査方向におけるLEDの配置位置の基準位置からのずれ量を示す平面図である。図14に示すように、LED基板58上には、複数のLEDチップ53がA列及びB列の二列で配置されている。LED基板58の副走査方向の中心線を、基準位置「x」とする。また、A列のLEDチップ53Aのn番目に配置されたLED50anの副走査方向の位置を「xan」とする。この場合、LEDチップ53Aのn番目のLED50anに関し、副走査方向の基準位置からのずれ量「Δx」は(xan−x)で表される。
【0118】
上述した通り、LED50(発光点)の副走査方向の位置がずれると、ホログラム素子54を記録する参照光の位置がずれて、信号光及び参照光の重なりの位置及び形状が変化する。従って、LED50の副走査方向の位置に応じて、ホログラム素子54の回折効率「η」が変化する。副走査方向の基準位置からのずれ量「Δx」と回折効率「η」との関係は、例えば実験等により、LPH14のホログラム記録層60Aに応じて予め取得されている。本実施の形態では、この関係に基づいて、LED50の副走査方向の位置に応じた回折効率「η」を求める。
【0119】
次に、ステップ208で、所望の回折光強度「Iout」を得るためのホログラム素子54の目標回折効率「η」を演算する。回折光強度「Iout」を一定にするために、所望の回折光強度「Iout」の値が予め設定されている。設定は表示入力部210等を用いて行う。発光強度「Iin」は、ホログラム素子54に入射する入射光の強度であるから、目標回折効率「η」は(Iin/Iout)で表される。目標回折効率ηは、LED50の発光強度「Iin」の計測値に応じて、対応するホログラム素子54毎に算出される。
【0120】
次に、ステップ210で、目標回折効率「η」のホログラム素子54を得るために必要な露光エネルギー「E」を取得する。目標回折効率「η」と露光エネルギー「E」との関係は、例えば実験等により、LPH14のホログラム記録層60Aに応じて予め取得されている。例えば、目標回折効率「η」と露光エネルギー「E」との関係は、n次の関数(nは1以上の整数)を用いた近似式で表してもよい。そして、この近似式を用いて、目標回折効率「η」を得るための露光エネルギーEを取得する。
【0121】
次に、ステップ212で、予め設定された基準露光エネルギー「Eref」との差分「ΔE」を演算する。基準露光エネルギー「Eref」が予め設定されており、差分「ΔE」は(E−Eref)で表される。設定は表示入力部210等を用いて行う。この例では、差分「ΔE」は、設定値である基準露光エネルギー「Eref」の補正値として求められる。
【0122】
次に、ステップ214で、実際にホログラム素子54を記録するための露光エネルギー「E」を決定する。露光エネルギーの決定は、LED50の位置及び発光強度のばらつきに応じて、設定値「Eref」を補正値「ΔE」で補正するものである。露光エネルギー「E」は(Eref+ΔE)で表される。これにより、LED50の発光強度「Iin」の計測値に応じて、ホログラム素子54を記録するための露光エネルギー「E」が取得される。
【0123】
本実施の形態では、LED50の副走査方向の位置に応じた回折効率「η」を求めている。例えば、ホログラム素子54の回折効率「η」の値が、目標回折効率「η」よりも小さいときは、回折効率「η」を得るための露光エネルギーは、目標回折効率「η」を得るための露光エネルギー「E」よりも小さい。設定値「Eref」を補正値「ΔE」で補正することで、ホログラム素子54の回折効率が「η」から目標回折効率「η」まで高くなる。
【0124】
次に、ステップ216で、決定された露光エネルギー「E」に応じて、ホログラム素子54を記録するためのホログラム記録条件を取得する。ホログラム記録条件は、例えば、信号光及び参照光を一定強度で照射する場合の照射時間としてもよい。一定強度の信号光及び参照光の照射時間は、シャッタ104の開閉時間として算出される。
【0125】
次に、ステップ218で、取得されたホログラム記録条件を、点灯した、即ち、今回計測対象としたLED50及びそのLED50の位置と関連付けて、ROMやハードディスク等の記憶手段に記憶しておく。例えば、LEDアレイ52を構成する複数のLED50に配列順に番号を付与し、複数のLED50の各々について、LEDの番号、LEDの位置座標、及びLEDに対応したホログラム記録条件(例えば、シャッタ開閉時間)をテーブルで記憶しておいてもよい。
【0126】
次に、ステップ220で、次に計測対象となるLED50が在るか否かを判断する。次に計測対象となるLED50がある場合には、肯定判定してステップ202に戻り、次に計測対象となるLED50について計測動作を繰り返す。一方、次に計測対象となるLED50が無い場合には、否定判定して図12に示す「ホログラム記録条件設定処理」のルーチンを終了する。こうして、LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々について、対応するホログラム素子54を記録するためのホログラム記録条件が記憶される。
【0127】
LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々について、回折光強度が一定になるように(所望の回折光強度「Iout」が得られるように)、対応するホログラム素子54を記録するためのホログラム記録条件が記憶されるので、LED50の位置及び発光強度のばらつきに拘わらず、感光体ドラム12の表面に形成される複数のスポット62の光量が一定になる。
【0128】
ここで、図11のホログラム記録処理の処理ルーチンに戻る。図11のホログラム記録処理のステップ102で表される「ホログラム記録条件設定処理」のルーチンが終了すると、次のステップ104で、記憶しておいたホログラム記録条件を読み出す。そして、LPH14のホログラム記録層60Aに、複数のホログラム素子54を多重記録する記録動作を開始する。
【0129】
まず、ステップ106で、LPH14を最初のホログラム記録位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が最初のホログラム記録位置に移動される。
【0130】
次に、ステップ108で、ホログラム記録層60Aに最初のホログラムを記録するための制御信号を、レーザ駆動部202、シャッタ駆動部204、レンズ駆動部207、パワーメータ駆動部208の各々に入力する。この制御信号に応じて、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「開状態」となり、レンズ120を保持したステージ123がレンズ駆動部207により駆動されて、レンズ120が予め定めた位置に移動され、パワーメータ134がパワーメータ駆動部208により移動されて、パワーメータ134が参照光の光路から退避させられた状態(非計測状態)となる。そして、レーザ光源102がレーザ駆動部202により駆動されて、レーザ光源102が点灯してレーザ光が発振する。
【0131】
レーザ光源102からレーザ光が発振されると、上述した通り、ホログラムの記録動作が実施されて、記録するホログラム素子54について予め設定されたホログラム記録条件で、ホログラム記録層60Aに最初のホログラムが記録される。
【0132】
上述したように、複数のLED50の各々について、LEDの番号、LEDの位置座標、及びLEDに対応したホログラム記録条件(シャッタ開閉時間)を記憶しておいた場合には、第1のLED50の位置座標と、対応する第1のホログラム素子54を記録するときのシャッタ開閉時間とが取得される。
【0133】
そして、第1のLED50の位置座標に応じたホログラム記録層60Aの予め定めた位置に、設定されたシャッタ開閉時間で信号光及び参照光が照射され、第1のホログラム素子54が記録される。即ち、第1のホログラム素子54の記録が終了すると、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「閉状態」となる。
【0134】
次に、ステップ110で、LPH14を次のホログラム記録位置に移動するための制御信号を、ステージ駆動部206に入力する。この制御信号に応じて、ステージ124がステージ駆動部206により駆動されて、LPH14が次のホログラム記録位置に移動される。
【0135】
次に、ステップ112で、ホログラム記録層60Aに次のホログラムを記録するための制御信号を、レーザ駆動部202、シャッタ駆動部204、レンズ駆動部207の各々に入力する。この制御信号に応じて、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「開状態」となり、レンズ駆動部207によりレンズ120が予め定めた位置に移動され、レーザ光源102がレーザ駆動部202により駆動されて、レーザ光源102が点灯してレーザ光が発振する。
【0136】
レーザ光源102からレーザ光が発振されると、上述した通り、ホログラムの記録動作が実施されて、記録するホログラム素子54について予め設定されたホログラム記録条件で、次のホログラムが記録される。上記の例に従えば、第2のLED50の位置座標に応じたホログラム記録層60Aの予め定めた位置に、設定されたシャッタ開閉時間で信号光及び参照光が照射され、第2のホログラム素子54が記録される。第2のホログラム素子54の記録が終了すると、シャッタ104がシャッタ駆動部204により駆動されて「閉状態」となる。
【0137】
次に、ステップ114で、次に記録するホログラムが在るか否かを判断する。次に記録するホログラムがある場合には、肯定判定してステップ110に戻り、次のホログラムについて記録動作を繰り返す。次に記録するホログラムが無い場合には、否定判定して図11に示すホログラム記録処理の処理ルーチンを終了する。こうして、LEDアレイ52を構成する複数のLED50の各々について、対応するホログラム素子54が記録される。
【0138】
<ホログラム記録とLED計測の並列処理>
なお、上記では、LED50の位置及び発光強度を計測してホログラムの記録条件を設定する「ホログラム記録条件設定処理」と、ホログラム素子54を記録する「ホログラム記録処理」と、を逐次に又は別々に行う例について説明したが、「ホログラム記録条件設定処理」と「ホログラム記録処理」とを並列に行ってもよい。
【0139】
図15は本発明の実施の形態に係るホログラム記録装置の構成の他の一例を示す概略図である。図16は、図15に示すホログラム記録装置の動作を説明する概略図である。図15に示すホログラム記録装置は、参照光光路上に移動可能に配置されたパワーメータ134を、信号光及び参照光を照射する記録光学系の外に配置した以外は、図7に示すホログラム記録装置と同じ構成であるため、同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0140】
図15に示すように、ホログラム記録装置は、LPH14を構成するLEDアレイ52の各LED50の位置及び発光強度を計測する計測手段140と、ホログラムを記録するためにホログラム記録層60Aに信号光及び参照光を照射する光照射手段150と、で構成されている。光照射手段150は、パワーメータ134を取り除いた以外は、図7に示すホログラム記録装置と同じ構成である。
【0141】
計測手段140は、LPH14を保持するステージ124のLED50の光射出側に配置されている。計測手段140は、パワーメータ134、ピンホールを備えた空間フィルタ142、レンズ144、及びレンズ146を備えている。空間フィルタ142、レンズ144、及びレンズ146は、パワーメータ134側からこの順序で配置されている。ステージ124に保持されたLPH14のLED50が発光すると、LED50から射出された光は、レンズ146で平行光とされ、レンズ144で集光されて、レンズ144の略焦点位置に配置された空間フィルタ142に照射される。空間フィルタ142のピンホールを通過した光は、パワーメータ134で検出され、LED50の位置及び発光強度が計測される。
【0142】
計測手段140と光照射手段150とを別々に設けているので、図16に示すように、LED50の位置及び発光強度を計測してホログラムの記録条件を設定する「ホログラム記録条件設定処理」と、ホログラム素子54を記録する「ホログラム記録処理」と、を並列に行ってもよい。この例では、計測手段140によりLED50b(cal)の位置及び発光強度を計測すると同時に、光照射手段150によりLED50a(rec)に対応してホログラムが記録される。
【0143】
なお、「ホログラム記録条件設定処理」に要する時間が、「ホログラム記録処理」に要する時間よりも長い場合には、LED50の位置及び発光強度の計測時間を短縮するために、図15に示す計測手段140に代えて、図17に示す計測手段140Aを設けてもよい。計測手段140Aは、CMOSセンサ141、レンズ143、及びレンズ145を備えている。レンズ143及びレンズ145は、CMOSセンサ141側からこの順序で配置されている。ステージ124に保持されたLPH14のLED50が発光すると、LED50から射出された光は、レンズ145で平行光とされ、レンズ143で集光されて、CMOSセンサ141の表面に結像する。この場合は、CMOSセンサ141の撮像画像から、LED50の位置及び発光強度が計測される。
【0144】
<その他の変形例>
なお、上記の応用例では、複数のLEDを備えたLEDプリントヘッドを備える例について説明したが、LEDに代えて電界発光素子(EL)、レーザダイオード(LD)等、他の発光素子を用いてもよい。発光素子の特性に応じてホログラム素子を設計すると共に、インコヒーレント光による不要露光を防止することで、インコヒーレント光を射出するLEDやELを発光素子として用いた場合でも、コヒーレント光を射出するLDを発光素子として用いた場合と同様に、輪郭が鮮明な微小スポットが形成される。
【0145】
また、上記の応用例では、球面波シフト多重により複数のホログラム素子を多重記録する例について説明したが、所望の回折光が得られる多重方式であれば、他の多重方式で複数のホログラム素子を多重記録してもよい。また、複数種類の多重方式を併用しても良い。他の多重方式としては、参照光の入射角度を変えながら記録する角度多重記録、参照光の波長を変えながら記録する波長多重記録、参照光の位相を変えながら記録する位相多重記録等が挙げられる。多重記録された複数のホログラムからは、別々の回折光がクロストークなく再生される。
【0146】
また、上記の応用例では、画像形成装置がタンデム型のデジタルカラープリンタであり、その各画像形成ユニットの感光体ドラムを露光する露光装置としてのLEDプリントヘッドについて説明したが、露光装置により感光性の画像記録媒体を像様露光することで画像が形成される画像形成装置であればよく、上記の応用例には限定されない。例えば、画像形成装置は、電子写真方式のデジタルカラープリンタには限定されない。銀塩方式の画像形成装置や光書込み型電子ペーパー等の書き込み装置等にも本発明の露光装置を搭載してもよい。また、感光性の画像記録媒体は、感光体ドラムには限定されない。シート状の感光体や写真感光材料、フォトレジスト、フォトポリマー等の露光にも、上記応用例に係る露光装置を適用してもよい。
【符号の説明】
【0147】
2 PC
3 画像読取装置
10 画像形成プロセス部
11 画像形成ユニット
12 感光体ドラム
12A 表面
13 帯電器
14 LEDプリントヘッド
15 現像器
16 クリーナ
21 中間転写ベルト
22 一次転写ロール
23 二次転写ロール
24 搬送ベルト
25 定着器
30 制御部
40 画像処理部
50 LED
52 LEDアレイ
53 LEDチップ
54 ホログラム素子
56 ホログラム素子アレイ
58 LED基板
60 ホログラム記録層
60A ホログラム記録層
62 スポット
100 ホログラム記録装置
102 レーザ光源
104 シャッタ
106 レンズ
108 レンズ
110 空間フィルタ
112 反射ミラー
114 ビームスプリッタ
116 レンズ
118 レンズ
120 レンス
120 レンズ
122 空間フィルタ
124 ステージ
126 反射ミラー
128 反射ミラー
130 レンズ
134 パワーメータ
200 制御部
202 レーザ駆動部
204 シャッタ駆動部
206 ステージ駆動部
208 パワーメータ駆動部
210 表示入力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が基板の長さ方向に沿って配列された基板上に配置されるホログラム記録層に、前記複数の発光素子の各々に対応して記録され且つ対応する発光素子から射出された光により回折光を生成する複数のホログラムを記録する信号光及び参照光を照射する光照射手段と、
前記ホログラム記録層を前記光照射手段に対して相対移動させる移動手段と、
前記ホログラム記録層に複数のホログラムを記録する前に、前記複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を計測する計測手段と、
基板の幅方向における信号光の照射位置を予め設定すると共に、前記計測手段で計測された位置及び発光強度に基づいて、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度が一定となるように、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラムの各々を記録する記録条件を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された記録条件に基づいて、信号光及び参照光を照射することにより、複数のホログラムの各々が前記複数の発光素子の各々に対応して順次記録されるように、前記光照射手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、
を備えたホログラム記録装置。
【請求項2】
前記ホログラムを記録する記録条件は、信号光及び参照光を一定強度で照射する場合の照射時間、又は信号光及び参照光を一定時間で照射する場合の照射強度である、請求項1に記載のホログラム記録装置。
【請求項3】
前記計測手段で計測された前記複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を記憶する記憶手段を更に備えた、請求項1又は2に記載のホログラム記録装置。
【請求項4】
前記取得手段は、
前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラムの各々について、
前記回折光の強度と対応する発光素子の発光強度とからホログラムの目標回折効率を演算し、演算された目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーを求め、得られた露光エネルギーに基づいてホログラムを記録する記録条件を取得する、
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のホログラム記録装置。
【請求項5】
前記取得手段は、
前記ホログラム記録層について予め取得した回折効率と露光エネルギーとの関係に基づいて、前記目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーを求める、
請求項4に記載のホログラム記録装置。
【請求項6】
前記取得手段は、
前記ホログラム記録層について予め取得した発光素子の基板の幅方向の位置の基準位置からのずれ量と回折効率との関係に基づいて、前記ずれ量に応じたホログラムの現実の回折効率を求め、
前記ホログラム記録層について予め取得した回折効率と露光エネルギーとの関係に基づいて、前記現実の回折効率が前記目標回折効率に到達し且つ露光エネルギーが目標回折効率を有するホログラムを記録するための露光エネルギーに到達するように、ホログラムを記録する記録条件を取得する、
請求項4又は請求項5に記載のホログラム記録装置。
【請求項7】
複数の発光素子が基板の長さ方向に沿って配列された基板上に配置されるホログラム記録層に、前記複数の発光素子の各々に対応して記録され且つ対応する発光素子から射出された光により回折光を生成する複数のホログラムを記録する信号光及び参照光を照射する光照射手段と、前記ホログラム記録層を前記光照射手段に対して相対移動させる移動手段と、前記ホログラム記録層に複数のホログラムを記録する前に、前記複数の発光素子の各々の位置及び発光強度を計測する計測手段と、を備えたホログラム記録装置を用いてホログラムを記録するためのプログラムであって、
コンピュータを、
基板の幅方向における信号光の照射位置を予め設定すると共に、前記計測手段で計測された位置及び発光強度に基づいて、複数のホログラムの予め定めた作動距離における回折光の強度が一定となるように、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラムの各々を記録する記録条件を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された記録条件に基づいて、信号光及び参照光を照射することにより、複数のホログラムの各々が前記複数の発光素子の各々に対応して順次記録されるように、前記光照射手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−42892(P2012−42892A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186547(P2010−186547)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】