説明

ボタンスイッチ

【課題】遊技機のパネル面に設置され、小面積でかつ近接する二つのプッシュ面のうち少なくとも一つが照光可能に構成され、省スペース、高耐久性、メンテナンス性に優れるボタンスイッチを提供する。
【解決手段】遊技機のパネル面(2)の開口(2a)に係合し第1ボタン(10)及び第2ボタン(20)を備えるボタンスイッチにおいて、第1プッシュ面(11)及び第2プッシュ面(21)が上面から露出するようにこれらを弾発支持する筐体(30)と、この筐体(30)の下面を形成するとともに第1ボタン(10)及び第2ボタン(20)のそれぞれのオン状態/オフ状態を検知する電装部(40)と、パネル面(2)の開口(2a)に係止するよう筐体(30)の上面の外周に鍔状に設けられている鍔部位(31)とを、備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に用いられプッシュ面が照光可能なボタンスイッチに関し、特に一本の指で操作可能な程に近接した複数のボタンを備えるボタンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、パチスロ、その他ゲーム機に代表される遊技機では、遊技者が操作して遊技を実行するボタンスイッチが、操作パネル上に設けられている。近年、多様な操作を求める遊技機が多く開発されるようになり、これに応じて多彩なボタンスイッチが操作パネル上に多数設けられるようになってきた。このため、遊技機のパネル面に設けられるボタンスイッチの集積度を向上させることが求められている。
【0003】
また、遊技機の操作上の排他的処理(例えば、掛け率の選択と決定、レースゲームのアクセルとブレーキ等)を実行する複数で一組のボタンを有するボタンスイッチは、一本の指でプッシュできるようにそのプッシュ面が小面積でかつ近接配置されていることが望まれる。
さらに、そのようなボタンスイッチは、他のボタンスイッチとの誤操作を防止したり、遊技者に操作を示唆したり、または装飾的効果を得るためにいずれか一つのボタンのプッシュ面が発光及び点滅して照光装飾されることが望ましい。
そのような、省スペース型の従来の照光式ボタンスイッチは、プッシュ面が小面積の照光式シングルボタンスイッチ(例えば、特許文献1参照)を複数並べて配置することにより実現されていた。
【特許文献1】特開平9−35573号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そのような小面積のボタンスイッチを近接させて並べてパネル面に配置することは、取付部分の機械的強度の低下が避けられず、過激な殴打が繰り返し与えられる遊技機用のボタンスイッチにとって、耐久性低下の問題がある。
また、そのような特有な事情を有する遊技機のボタンスイッチにおいては、それ自身の耐久性も高いことが望まれるところ、省スペース化を目的とする従来のボタンスイッチにおいては、配慮に欠ける問題がある。
そして、構成部品の大部分がモジュール化され、フレームにこれらモジュールが嵌めこまれるようにして構成される遊技機においては、ボタンスイッチが多数配置されて各ボタン毎に電源や信号を処理する電子部品及び配線引き回しが伴うことは、設計レイアウトの自由度が制限される問題がある。
また、遊技機のメンテナンスは、ボタンスイッチを取り外して行う場合が多いところ、小面積で省スペースの従来のボタンスイッチにおいては、その着脱が容易でない問題がある。
【0005】
本発明は、以上の問題点を解決することを課題としてなされたものであり、小面積でかつ近接する二つのプッシュ面のうち少なくとも一つが照光可能に構成された遊技機用のボタンスイッチにおいて、省スペース、耐久性、メンテナンス性に優れるボタンスイッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記した課題を達成するために創案されたものであり、遊技機のパネル面の開口に係合し第1ボタン及び第2ボタンを少なくとも備えるボタンスイッチにおいて、前記第1ボタン及び前記第2ボタンのそれぞれの第1プッシュ面及び第2プッシュ面が上面から露出するようにこれらを弾発支持する筐体と、前記筐体の下面を形成するとともに前記第1ボタン及び前記第2ボタンのそれぞれのオン状態/オフ状態を検知する電装部と、前記パネル面の前記開口に係止するよう前記筐体の上面の外周に鍔状に設けられている鍔部位とを、備えることを特徴とする。
【0007】
このような手段から発明が構成されることにより、遊技機の操作パネル面に複数のボタンのレイアウトに対応する開口を設ければ、この開口に対して挿抜することにより容易に着脱できメンテナンス性に優れるボタンスイッチが提供される。さらに遊戯機の外部から視認されないパネル面下においても占有領域の小さな省スペースのボタンスイッチが提供される。
【0008】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記筐体は前記第1ボタンを弾発する第1弾発部材及びこの第1ボタンを収納する第1収納室を有し、前記第1ボタンは、前記第1収納室に摺接する移動子と、前記移動子に設けられ前記第1収納室の第1係止部位に係止することをもって前記第1ボタンの上死点を規定する第1係止片と、前記移動子に設けられ前記第1収納室の第1当接面に当接することをもって前記第1ボタンの下死点を規定する当接鍔とを、備えることを特徴とする。
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記筐体は前記第2ボタンを弾発する第2弾発部材及びこの第2ボタンを収納する第2収納室を有し、前記第2ボタンは、前記第2収納室に摺接する案内片と、前記第2収納室の第2係止部位に係止することをもって前記第2ボタンの上死点を規定する第2係止片とを備え、その第2プッシュ面の裏面が前記第2収納室に設けられている第2当接面に当接することをもって前記第2ボタンの下死点が規定されることを特徴とする。
【0009】
このような手段から発明が構成されることにより、筐体、第1ボタン及び第2ボタンのそれぞれを一体成形品として構成し、第1ボタン及び第2ボタンを筐体の第1収納室及び第2収納室にそれぞれ嵌め合わせることにより、第1ボタン及び第2ボタンの弾発変位が実現される。これにより、別個に分離する二以上の部材を接合した部分は一般に耐久性が低下するところ、そのような構造を含まない耐久性の高いボタンスイッチが提供される。さらに、嵌め合わされて一体化した筐体、第1ボタン及び第2ボタンは、可逆的に分解できるのでメンテナンス性に優れたボタンスイッチが提供される。
【0010】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記電装部には、前記第1プッシュ面を照光させる光源が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このような手段から発明が構成されることにより、ボタンスイッチのプッシュ面が小面積に構成されても、照光するので、他のボタンスイッチとの誤操作を防止し、遊技者に操作を示唆することができ、さらに装飾的効果をもたせたボタンスイッチが提供される。
【0012】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記移動子は、前記光源の出力光を前記第1プッシュ面の方向に反射させる反射面が設けられている上筒体と、前記出力光が通過するとともに前記上筒体よりも絞られた外周に前記第1弾発部材が配置される下筒体とを、有することを特徴とする。
【0013】
このような手段から発明が構成されることにより、第1ボタンの主要構成品である移動子とこれを弾発させる第1弾発部材との配置が最適化して省スペース化に寄与するとともに、第1ボタンのプッシュ面が高光度でむらなく照光するボタンスイッチが提供される。
【0014】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記電装部は、前記収納部から延出する保持片に係合するとともに外部配線が接続される基板と、前記保持片に係合し前記基板を前記筐体の下面から保持する保持部材とを備え、前記基板は、前記光源と、前記移動子に設けられる第1シャッタを検出することにより前記第1ボタンのオン状態/オフ状態を検知する第1検出器と、前記案内片に設けられている第2シャッタを検出することにより前記第2ボタンのオン状態/オフ状態を検知する第2検出器とを、有することを特徴とする。
【0015】
このような手段から発明が構成されることにより、オン状態/オフ状態が非接触で検出されることにより、高寿命でかつ周囲を汚染することがないボタンスイッチが提供される。さらに、通常、電子部品やプリント配線が形成されている基板を保持部材によって基板に嵌め合わせて固定し、さらに可逆的に分解することもできるので、メンテナンス性に優れたボタンスイッチが提供される。
【0016】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記電装部は、前記基板に当接するとともに前記光源と前記第2検出器との間を仕切る遮光壁を、有することを特徴とする。
【0017】
このような手段から発明が構成されることにより、基板が安定して筐体に固定されるとともに、第1ボタンのオン状態/オフ状態の切り替わりに伴って移動子に遮られてちらつく光源の光が、第2検出器に到達しない。これにより、第2ボタンのオン状態/オフ状態の検出動作の信頼性が向上し省スペースであるボタンスイッチが提供される。
【0018】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記筐体の側周面に設けられている螺刻面に挿入され前記パネル面の開口を前記鍔部位と挟持するナットを、備えることを特徴とする。
【0019】
このような手段から発明が構成されることにより、前記ナットを回して、パネル面に挿入された筐体の固定が容易にでき、さらに逆回転させれはその固定の解除も容易にできるので、メンテナンス性に優れたボタンスイッチが提供される。
【0020】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記パネル面とナットとの間に介在する台座を有し、前記パネル面に対向する前記台座の周縁には二つの切欠により両端が形成されこのパネル面に当接する弾接片が設けられていることを特徴とする。
【0021】
このような手段から発明が構成されることにより、ナットの締め付けによりパネル面に当接する前記弾接片が弾性変形し、この弾性変形に伴い発生した応力が、ナットと前記螺刻面に作用してナットの逆回転が防止される。これにより、繰り返し殴打に対しても固定が弛みにくく、パネル面に対する着脱容易性を犠牲にすることもない、メンテナンス性に優れたボタンスイッチが提供される。
【0022】
さらに前記ボタンスイッチの発明において、前記鍔部位の外周は楕円形状を有し、前記第2プッシュ面よりも大きい前記第1プッシュ面は円形であることを特徴とする。
【0023】
このような手段から発明が構成されることにより、幾何学的に、第1プッシュ面と第2プッシュ面とを小面積でかつ密接させて配置するとともに占有領域を小さく構成される省スペース性に優れたボタンスイッチが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、小面積でかつ近接する二つのプッシュ面のうち少なくとも一つが照光可能に構成された遊技機用のボタンスイッチにおいて、省スペース、高耐久性、メンテナンス性に優れるボタンスイッチが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1から図3を参照して本発明の実施形態に係るボタンスイッチ(以下、単に「スイッチ1」という)について説明する。
図1(a)の斜視図は、スイッチ1が遊技機の操作パネルに組み込まれている部分を拡大し透視して示している。このように、スイッチ1は、筐体30の上面に配置される第1ボタン10及び第2ボタン20をパネル面2から露出させ、パネル面2の下の視認できない位置にて外部配線3に接続されている。
このように構成されることによりスイッチ1は、遊戯者により第1ボタン10及び第2ボタン20がプッシュされて、この遊戯機を操作するものである。
【0026】
また筐体30の上面の露出部分の外周は楕円形状を有し、照光する第1プッシュ面板11は円形であって、第2プッシュ面21(図2参照)よりも面積が大きく構成されている。
このようにスイッチ1の露出面が構成されることにより、幾何学的に、第1ボタン10と第2ボタン20とを小面積でかつ密接させて配置するとともに、これらを収納する筐体30のパネル面2の内側における占有領域を小さくすることができ、省スペース性がもたらされる。
【0027】
外部配線3は、その先端部分がスイッチ1に接続されるとともに、基端部分(図示略)が遊戯機の制御装置(図示略)に接続され、第1ボタン10を照光させる電力を供給したり、第1ボタン10及び第2ボタン20のオン状態/オフ状態を示す信号をこの制御装置に伝送させるものである。
このように第1ボタン10が照光することによって、スイッチ1のボタン10,20が小面積に構成されても、他のスイッチ(図示略)との誤操作を防止し、遊技者に操作を示唆することができ、さらに装飾的効果がもたらされる。また、照光式のボタンスイッチ1であるのにもかかわらず、外部配線3は1本ですむので、遊戯機のメンテナンス性の向上をもたらす。
【0028】
図1(b)の斜視図はパネル面2からスイッチ1を取り外した状態を示している。
図示されるようにスイッチ1は、筐体30が、パネル面2の開口2aに係合し、締結部材50により固定されている。このように構成されるスイッチ1は、パネル面2に対して着脱が容易であり、遊戯機のメンテナンス性が向上する。
【0029】
筐体30は、スイッチ1の本体を構成するものであって、外観視において鍔部位31、収納部32、螺刻面33、電装部40に区分される。このように構成される筐体30は、第1ボタン10及び第2ボタン20をその内部に収納し、これらの露出面(プッシュ面)が遊戯者の指によりプッシュ操作されるように、これらを弾発支持する。
【0030】
鍔部位31は、パネル面2の開口2aを図中上側から係止するように、筐体30の上面の外周に鍔状(フランジ状)に設けられているものである。
収納部32は、後に詳述するように、第1ボタン10及び第2ボタン20をその内部に変位自在に収容するものである。さらにこの収納部32は、鍔部位31に連結する部分の外周の水平断面はパネル面2の開口2aに略一致し、その他の部分の水平断面はこの開口2aよりも絞られた形状になっている。これにより、スイッチ1は、パネル面2の外側から開口2aに向かって挿入するだけで係合させることができる。
【0031】
さらに、収納部32の側周面には、螺刻面33が設けられており、ナット52が挿入されることにより、開口2aを鍔部位31と挟持してスイッチ1を固定することになる。
これにより、ナット52を順方向/逆方向に回すことにより、パネル面2に挿入されたスイッチ1の固定/解除を容易にすることができ、スイッチ1のメンテナンス性の向上に貢献する。
【0032】
電装部40は、筐体30の下面に形成され、第1ボタン10及び第2ボタン20のそれぞれのオン状態/オフ状態を検知し、第1ボタン10を照光させる光源44(図2参照)が発光し、さらに外部配線3の先端に設けられている接続端子4が着脱自在に接続される部位である。このように電装部40が構成されていることにより、電子部品、電気回路系が集約されることになり、省スペース、メンテナンス性の向上に貢献する。
【0033】
締結部材50は、ナット52と台座51とから構成されている。
台座51は、パネル面2とナット52との間に介在するものであって、平面視における楕円の長軸がその周縁と交わる位置に、対向するように一対の弾接片53が設けられている。
この弾接片53は、図1(c)に台座51の側面図が示されているように、パネル面2に対向する台座51の周縁に設けられている二つの切欠により側端が形成されるとともに、上側を向く先端がこのパネル面2に当接するようその周縁よりも高く形成されている。
【0034】
このように台座51が構成されることにより、ナット52の締め付けによりパネル面2に当接する弾接片53が弾性変形し、この弾性変形に伴い発生した応力が、ナット52と螺刻面33に作用してナット52の逆回転が防止される。これにより、遊戯者がスイッチ1を繰り返し殴打してもスイッチ1のパネル面2に対する固定が弛みにくく、またそれにもかかわらず着脱容易性が犠牲になることもない。
【0035】
また、スイッチ1をパネル面2に固定するためにナット52を締めこむ過程において、パネル面2から弾接片53の先端が浮いている状態から当接状態に移行し、さらに台座51の周縁の全体がパネル面2に当接する状態に移行するにあたり、ナット52の回転トルクが段階的に変化することになる。これにより、実際の遊戯機では、スイッチ1のパネル面2の下部分は死角になる場合が多いが、作業者は、目視確認することなくナット52を回転させる指先の触感でスイッチ1のパネル面2に対する固定を確認することができる。これにより、遊戯機のメンテナンス性の向上に貢献する。
【0036】
なお、本発明において、スイッチ1をパネル面2に対して固定する方法は、図1に示されるような締結部材50と螺刻面33との連携により達成されるものに限定されることはなく、現時点の遊戯機に適用されているスイッチの固定方法を適宜採用することができる。
例えば、図示略とするが、図1(b)の収納部32の側周面に、弾性的に出没する突起を設け、スイッチ1を開口2aに挿入すると同時に、この突起が開口2aの図中下面に係合するような固定方法を採用してもよい。
【0037】
図2の分解斜視図は、図1(b)中に示される筐体30(スイッチ1の本体部分)がさらに構成部品毎に分解された状態を示している。
筐体30には、すでに前記したものに加えて、第1収納室70、第2収納室80、保持片34が設けられている。この第1収納室70は、第1ボタン10とともにこれを筐体30から弾発させる第1弾発部材14を収納する空間である。また第2収納室80は、第2ボタン20とともにこれを筐体30から弾発させる第2弾発部材25を収納する空間である。そして、保持片34は、電装部40における基板45を保持部材46により保持する部位である。
【0038】
第1ボタン10は、第1プッシュ面板11と、光拡散板13と、移動子60とが設けられている。このように構成される第1ボタン10は、筐体30に向かってプッシュする方向とは逆方向に向かう弾発を第1弾発部材14から受け、遊戯者の指先操作によってオン状態/オフ状態が切り替えられるとともに、面全体が照光するものである。
第1プッシュ面板11は、遊戯者の指先で直接的にプッシュされる部分であって、光源44からの可視光に対して透明な部材から構成されているために面全体が照光するものである。そして、第1プッシュ面板11は、キャップ状に成形され、側周面に設けられている孔12が移動子60の側周面に設けられている突起62に係合することにより、この移動子60と一体化する。
光拡散板13は、第1プッシュ面板11と移動子60との間に挟持され、光源44からの可視光を拡散して第1プッシュ面板11の面全体を均等に照光させるものである。
【0039】
移動子60は、上筒体65と、下筒体67と、一対の係止片64,64とから構成されている。
上筒体65の外周面には、鍔状の当接鍔63が設けられている。この当接鍔63は、その側周面において第1収納室70の内周面に摺接して移動子60の移動を案内するとともに、その下面において筐体30の第1当接面71(図3(d)参照)に当接して移動子60の下死点を規定するものである。
また、上筒体65の内周面には、反射面61がすり鉢状に設けられている(適宜図3(d)参照)。この反射面61は、光源44の出力光を第1プッシュ面板11の方向に拡散して反射させるものである。
【0040】
第1係止片64は、上筒体65の外周面の一部を形成しつつ、板状体の基端が当接鍔63の近傍に固定され先端が鍵状の自由端になっている。このように構成される第1係止片64は、その鍵状の先端が第1収納室70の内周面に向かう方向に弾発し、第1ボタン10を第1収納室70に挿入するだけで筐体30に組み付けることができるようになっている。さらに、筐体30に組み付けられた後の第1係止片64は、その鍵状の先端が第1収納室70の第1係止部位73,74(図3(c)参照)に係止することをもって第1ボタン10の上死点を規定する。
【0041】
下筒体67は、上筒体65よりも外径が絞られて構成され、その内周面を光源44の出力光が通過するとともにその外周面をソレノイド状の第1弾発部材14が配置されている。
この第1弾発部材14は、その上端が、上筒体65と下筒体67との境界に位置するバネ当接面66に当接するとともに、その下端が、第1収納室70の内周面から延出する第1案内片72(図3参照)の上面に当接する。このように構成される第1弾発部材14は、第1ボタン10を、筐体30に対し、指先がプッシュする方向とは逆方向に向かって弾発するものである。
【0042】
さらに、下筒体67の外周面は、第1収納室70の内周面から延出する第1案内片72の内側端に摺接し、図中上下方向に移動する移動子60が揺動しないように作用する。
また、下筒体67の内周面からは、板状の第1シャッタ68が、その先端を中心軸方向に向けて設けられている。この第1シャッタ68は、第1ボタン10がプッシュされ下死点に到達するのに応じて、第1検出器41に検知されオン状態とするものである。一方、プッシュを開放して第1ボタン10が上死点に到達するのに応じて、第1検出器41に非検知となりオフ状態とするものである。
【0043】
第2ボタン20には、第2プッシュ面21と、第2係止片22と、案内片23と、第2シャッタ24と、が設けられている。このように構成される第2ボタン20は、指先がプッシュする方向とは逆方向に向かう弾発を第2弾発部材25から受けつつ、第2ボタン20のオン状態/オフ状態を切り替えるものである。
【0044】
第2プッシュ面21は、遊戯者の指先からプッシュ操作を受ける面である。そして、第2プッシュ面21の裏面は、第2弾発部材25の一端に当接して弾発力を受けるとともに、第2収納室80に設けられている第2当接面81(図3(a)(d)参照)に当接することをもって第2ボタン20の下死点を規定する。
【0045】
第2係止片22は、二本の対をなす棒状体の基端が、第2プッシュ面21の裏面に固定され先端が鍵状の自由端になっている。このように構成される第2係止片22は、その鍵状の先端が第2収納室80の内周面に向かう方向に弾発し、第2ボタン20を第2収納室80に挿入するだけで筐体30に組み付けることができるようになっている。さらに、筐体30に組み付けられた後の第2係止片22は、その鍵状の先端が第2収納室80の第2係止部位82,82(図3(a)(c)参照)に係止することをもって第2ボタン20の上死点を規定するものである。
【0046】
案内片23は、第2プッシュ面21の裏面に剛に固定された板状体であって、第2収納室80の案内孔83(図3(a)参照)に摺接するものである。そして、案内片23の長手方向が第2ボタン20の変位方向になる。さらに案内片23の先端には第2シャッタ24が設けられている。そして、この第2シャッタ24は、第2ボタン20がプッシュされ下死点に到達するのに応じて、第2検出器42に検知されオン状態とするものである。一方、プッシュを開放して第2ボタン20が上死点に到達するのに応じて、第2検出器42に非検知となりオフ状態とするものである。
【0047】
第2弾発部材25は、図3(a)に示されるように、第2収納室80の第2当接面81に開口を有するバネ収容孔85の底に、その下端を接して収容されている。そして、第2弾発部材25の上端が、第2プッシュ面21の裏面に当接する。このように構成される第2弾発部材25は、第2ボタン20を、筐体30に対して指先がプッシュする方向とは逆方向に向かって弾発するものである。
【0048】
図2に戻って説明を続ける。
電装部40は、基板45と、保持部材46と、収納部32から延出する保持片34及び遮光壁75(図3(b)(c)参照)と、から構成される。
【0049】
保持片34,34は、収納部32から筐体30の底面方向に延出し、切欠35を有するように対向配置される一対(二枚)の湾曲面片である。
基板45は、その外周の形状が保持片34に内接するように形成されており、さらに切欠35にその張出部位48が係合して筐体30に対する回転方向の相対位置が固定される。さらに、基板45は、その上に光源44と、第1検出器41と、第2検出器42と、コネクタ43とを、備えている。
【0050】
第1検出器41は、二本のロッドが並列に直立するU字形状の電子部品であって、基板45上のプリント配線に直接ハンダ付されている。そして、第1検出器41は、一方のロッドに配置された発光素子(図示略)の発光する光線が、他方のロッドに配置された受光素子(図示略)に受光されているオフ状態と、ロッドの間にシャッタが介在して光線が遮断されるオン状態とに対応する信号を出力するものである。
このように構成される、第1検出器41は、上下方向に変位する移動子60に設けられる第1シャッタ68の検出/非検出に対応させて第1ボタン10のオン状態/オフ状態を検知するものである。
【0051】
第2検出器42も、第1検出器41と同一の電子部品であって、案内片23に設けられている第2シャッタ24を検出/非検出に対応させて第2ボタン20のオン状態/オフ状態を検知するものである。
光源44も、基板45上のプリント配線に直接ハンダ付されている電子部品であって、第1プッシュ面板11を照光させるものである。
コネクタ43は、接続端子4を、物理的に着脱自在に接続するとともに、基板45上のプリント配線に電気的に接続させるものである。
【0052】
保持部材46は、平面視において基板45と略同一形状を有し、その側周面には一対の突起47,47が設けられている。そして、保持部材46は、保持片34に内接するとともに切欠35に係合し、さらに突起47,47が保持孔34a,34aに係合することにより、基板45を筐体30の下面から保持するものである。
【0053】
遮光壁75は、図3(b)(c)に示されるように、筐体30における第1収納室70及び第2収納室80を仕切る隔壁が底部に向かってさらに延出したものであって、その先端が基板45に当接するとともに光源44と第2検出器42との空間を仕切るものである。
このように遮光壁75が構成されることにより、基板45が安定して筐体30に固定されるとともに、第1ボタン10のオン状態/オフ状態の切り替わりに伴って移動子60に遮られてちらつく光源44の光が、第2検出器42に到達しない。これにより、第2ボタン20のオン状態/オフ状態の検出動作の信頼性が向上することになる。
【0054】
以上説明したようにスイッチ1の本体部分は、その要素部品である筐体30、第1ボタン10及び第2ボタン20等も含め、一体成形品の嵌め合わせにより全てが構成される。すなわち、別個に分離する二以上の部材を接着材やロウ付等による接合した接合部分を含まないことになる(電子部品を除く)。一般に、そのような接合部分は耐久性が低下するところ、本実施形態のスイッチ1は、そのような接合部分を含まない構造であるので耐久性が高いといえる。さらに、嵌め合わせた筐体、第1ボタン及び第2ボタン等の要素部品は、可逆的に分解できるのでメンテナンス性に優れたボタンスイッチが提供される。また、本発明のスイッチ1が取り付けられている遊戯機を多数設置する遊技場においても、このスイッチ1は、要素部品単位で細かく分解できるので、部品単位で交換する補修を容易に実施でき、またそのために在庫しておく修理部品の点数を減らすことができる。
【0055】
次に、図3(c)(d)を参照してスイッチ1の動作説明を行う。ここで図3(c)は(a)のX−X断面において二つのボタンがともにオフ状態を示している縦断面図であり、図3(d)は二つのボタンがともにオン状態を示している縦断面図である。
【0056】
(第1ボタンの動作)
まず、図3(c)に示される、第1プッシュ面板11がブッシュされていないオフ状態においては、第1弾発部材14は、弾発して、その両端が接するバネ当接面66と第1案内片72に対して、これらの間隔を広げる方向に応力が作用する。そして、この第1弾発部材14の作用力は、第1係止片64が当接する第1係止部位73の反力により打ち消され、第1プッシュ面板11は、鍔部位31から若干突出した位置で静止する。この状態で、第1検出器41は、第1シャッタ68を検出することはないので、オフ状態の信号を出力する。
【0057】
次に、図3(d)に示される、第1弾発部材14の弾発とは反対方向に第1プッシュ面板11が指先でブッシュされているオン状態においては、この第1プッシュ面板11に作用する作用力は、当接鍔63が当接する第1当接面71の反力により打ち消され、第1プッシュ面板11は、鍔部位31と面が揃った位置で静止する。この状態で、第1検出器41は、第1シャッタ68を検出して、オン状態の信号を出力する。
また、光源44の発光により照光する第1プッシュ面板11の光度は、オン状態/オフ状態のいずれであっても、光源44、反射面61及び第1プッシュ面板11の相対位置関係に大きな変動がないので、安定している。
【0058】
(第2ボタンの動作)
まず、図3(c)に示される、第2プッシュ面21がブッシュされていないオフ状態においては、第2弾発部材25は、弾発して、その両端が接する第2プッシュ面21の裏面とバネ収容孔85(図3(a))の底に対して、これらの間隔を広げる方向に応力が作用する。そして、この第2弾発部材25の作用力は、第2係止片22が当接する第2係止部位82の反力により打ち消され、第2プッシュ面21は、鍔部位31と面が揃った位置で静止する。この状態で、第2検出器42は、第2シャッタ24を検出することはないので、オフ状態の信号を出力する。
【0059】
次に、図3(d)に示される、第2弾発部材25の弾発とは反対方向に第2プッシュ面21が指先でブッシュされているオン状態においては、この第2プッシュ面21に作用する指先の作用力は、第2プッシュ面21の裏面が当接する第2当接面81の反力により打ち消され、第2プッシュ面21は、鍔部位31から若干陥没した位置で静止する。この状態で、第2検出器42は、第2シャッタ24を検出して、オン状態の信号を出力する。
また、遮光壁75により、光源44の発光は、遮蔽されて第2検出器42に到達しない。これにより、隣接する第1プッシュ面板11がオン状態/オフ状態を繰り返すことに伴い、光源44から漏洩する光がちらついても第2検出器42が誤動作することはない。
【0060】
以上の説明において、ボタンスイッチ1は、一つの筐体30に2個のボタン(第1ボタン10及び第2ボタン20)が収納されているものを例示したが、これに限定されるものではなく、一つの筐体30に3個以上のボタンが収納される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るボタンスイッチが遊技機の操作パネルに組み込まれている状態を示す斜視図であり、(b)は操作パネルからボタンスイッチを取り外した状態を示す斜視図であり、(c)は台座の側面図である。
【図2】本実施形態に係るボタンスイッチの本体部分の分解斜視図である。
【図3】(a)は本実施形態のボタンスイッチに適用される筐体の上面図であり、(b)はその下面図であり、(c)は(a)のX−X断面において二つのボタンがともにオフ状態を示している縦断面図であり、(d)は二つのボタンがともにオン状態を示している縦断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 スイッチ
2 パネル面
2a 開口
3 外部配線
10 第1ボタン
11 第1プッシュ面板
14 第1弾発部材
20 第2ボタン
21 第2プッシュ面
22 第2係止片
23 案内片
24 第2シャッタ
25 第2弾発部材
30 筐体
31 鍔部位
32 収納部
33 螺刻面
34 保持片
40 電装部
41 第1検出器
42 第2検出器
44 光源
45 基板
46 保持部材
50 締結部材
51 台座
53 弾接片
60 移動子
61 反射面
63 当接鍔
64 第1係止片
65 上筒体
67 下筒体
68 第1シャッタ
70 第1収納室
71 第1当接面
72 第1案内片
73 第1係止部位
75 遮光壁
80 第2収納室
81 第2当接面
82 第2係止部位
83 案内孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機のパネル面の開口に係合し第1ボタン及び第2ボタンを少なくとも備えるボタンスイッチにおいて、
前記第1ボタン及び前記第2ボタンそれぞれの第1プッシュ面及び第2プッシュ面が上面から露出するようにこれらを弾発支持する筐体と、
前記筐体の下面を形成するとともに前記第1ボタン及び前記第2ボタンのそれぞれのオン状態/オフ状態を検知する電装部と、
前記パネル面の開口に係止するよう前記筐体の上面の外周に鍔状に設けられている鍔部位とを、備えることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のボタンスイッチにおいて、
前記筐体には前記第1ボタンを弾発する第1弾発部材及びこの第1ボタンを収納する第1収納室が設けられ、
前記第1ボタンは、
前記第1収納室に摺接する移動子と、
前記移動子に設けられ前記第1収納室の第1係止部位に係止することをもって前記第1ボタンの上死点を規定する第1係止片と、
前記移動子に設けられ前記第1収納室の第1当接面に当接することをもって前記第1ボタンの下死点を規定する当接鍔とを、備えることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のボタンスイッチにおいて、
前記筐体には前記第2ボタンを弾発する第2弾発部材及びこの第2ボタンを収納する第2収納室が設けられ、
前記第2ボタンは、
前記第2収納室に摺接する案内片と、
前記第2収納室の第2係止部位に係止することをもって前記第2ボタンの上死点を規定する第2係止片とを備え、
その第2プッシュ面の裏面が前記第2収納室に設けられている第2当接面に当接することをもって前記第2ボタンの下死点が規定されることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載のボタンスイッチにおいて、
前記電装部には、前記第1プッシュ面を照光させる光源が設けられていることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のボタンスイッチにおいて、
前記移動子には、
前記光源の出力光を前記第1プッシュ面の方向に反射させる反射面が設けられている上筒体と、
前記出力光が通過するとともに前記上筒体よりも絞られた外周に前記第1弾発部材が配置される下筒体とが、設けられていることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のボタンスイッチにおいて、前記電装部は、
前記収納部から延出する保持片に係合するとともに外部配線が接続される基板と、
前記保持片に係合し前記基板を前記筐体の下面から保持する保持部材とを備え、
前記基板は、
前記光源と、
前記移動子に設けられる第1シャッタを検出することにより前記第1ボタンのオン状態/オフ状態を検知する第1検出器と、
前記案内片に設けられている第2シャッタを検出することにより前記第2ボタンのオン状態/オフ状態を検知する第2検出器とを、有することを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載のボタンスイッチにおいて、前記電装部は、
前記基板に当接するとともに前記光源と前記第2検出器との間を仕切る遮光壁を、有することを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボタンスイッチにおいて、
前記筐体の側周面に設けられている螺刻面に挿入され前記パネル面の開口を前記鍔部位と挟持するナットを、備えることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項9】
請求項8に記載のボタンスイッチにおいて、
前記パネル面とナットとの間に介在する台座を有し、
前記パネル面に対向する前記台座の周縁には切欠により側端が形成されるとともに先端がこのパネル面に当接する弾接片が設けられていることを特徴とするボタンスイッチ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のボタンスイッチにおいて、
前記鍔部位の外周は楕円形状を有し、前記第2プッシュ面よりも大きい前記第1プッシュ面は円形であることを特徴とするボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−50362(P2009−50362A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218220(P2007−218220)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000114271)ミヤマ電器株式会社 (5)
【Fターム(参考)】