説明

ボトルのキャップ構造

【課題】 簡単な構造にして誤操作を抑制するとともに、誤操作された場合にもキャップ本体の変形や内容物の漏出を防止できるボトルのキャップ構造を提供する。
【解決手段】 口部11に嵌着した中栓本体部41に薄肉部Tを介して一体に成形された分離部42を、環状リップ部44の先端部の上下投影面A内にほぼ収まる形状に形成する。環状リップ部44は、キャップ本体2に設けたストッパー部6が中栓4に当接した際に、環状リップ部44の先端がキャップ本体2の内側天面22aに当接する高さhに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルのキャップ構造に関し、とりわけ、ボトルの口部とキャップ本体との間に、このキャップ本体の押し込みにより開栓される中栓を備えたボトルのキャップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボトルの口部には、一般に知られるプルリングに代えて、キャップ本体の押し込みにより開栓される中栓を備えたキャップ構造が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このキャップ構造は、口部の先端部に嵌着された中栓本体部(嵌合部)から突出された環状リップ部(注出筒部)が、この環状リップ部に薄肉部を介して連設された分離部によって閉塞されており、この分離部がキャップ本体のねじ込みによる押し込みで薄肉部から分断されて開栓されるようになっている。
【0004】
そして、分断された分離部はキャップ本体の天井壁内側に係止されて、キャップ本体を口部から取り外した場合にも、分離部がキャップ本体と一体となって脱落されないようになっている。
【0005】
このように分離部がキャップ本体と一体化されることにより、一旦開栓した後にキャップ本体を口部に取り付けて閉塞すると、環状リップ部の先端部が分離部に嵌合することでシール機能を発揮してボトルの内容物が漏出されるのを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再公表特許WO2007/126062号公報(図10−図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来のボトルのキャップ構造にあっては、一旦開栓した後にキャップ本体で口部を再度閉栓した場合、環状リップ部の先端が分離部に嵌合することになるが、この状態でキャップ本体は更に若干の締め込みが可能となっている。
【0008】
このため、より強く密閉しようとして、キャップ本体を環状リップ部の先端が分離部に嵌合した状態から更に締め込むと、PPやPEなどの可撓性の樹脂材で形成されたキャップ本体の天井壁が上方に撓んで膨出された状態となる。そして、この膨出状態でキャップ本体から手を離すと、天井壁は自身の弾発力で元に戻りネジが緩むことになるが、このように天井壁が膨出したりネジが緩む挙動は、消費者にとって違和感を生じてしまうことになる。
【0009】
また、中栓を開栓するためには、一度キャップ本体を締め込み方向に回転して押し込む必要があるが、誤ってキャップ本体を押し込むことなく、通常の開栓方向に回転して取り外してしまうことが考えられる。
【0010】
この場合、口部には破断されていない分離部が残存することになり、また、その分離部にはキャップ本体に係止するために環状リップ部の外周よりも外方に突出するフランジ部が設けられている。このため、消費者は、残存した分離部をプルリングと勘違いして、フランジ部に指を引っ掛けて取り外してしまうことが考えられる。
【0011】
キャップ本体を環状リップ部の先端が分離部に嵌合した状態から更に締め込まれないようにキャップ本体を締めこんだときに中栓本体部と当接するストッパーを設ける事が出来るが、この場合、消費者が、残存した分離部をプルリングと勘違いして、フランジ部に指を引っ掛けて取り外してしまった場合、中栓の環状リップ部の先端部とキャップ本体の内側天面との間がフランジの厚さ分、隙間が開いてしまうため、キャップ本体で閉栓した場合に、そのキャップ本体と環状リップ部の先端部との間から内容物が簡単に漏出してしまうことになる。
【0012】
そこで、本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造にして誤操作を抑制するとともに、キャップ本体に設けられたストッパーを有効に機能させ、誤操作された場合にもキャップ本体の変形や内容物の漏出を防止できるボトルのキャップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために本発明の第1の構成は、内容物を取り出す口部を有するボトルと、前記口部の外側にねじ部を介して螺合され、一方向の回転により押し込みと他方向の回転により取り外しとが可能になったキャップ本体と、前記口部の先端部に嵌着されて前記口部と前記キャップ本体との間に設置され、前記口部から前記キャップ本体の天井壁に向かって筒状の環状リップ部が突設された中栓本体部と、前記環状リップ部の先端部内側に薄肉部を介して連設されて前記環状リップ部を閉塞する閉塞部を有し、前記キャップ本体の押し込みにより前記薄肉部で分断されてキャップ本体に係止部を介して保持される分離部と、前記キャップ本体の内側に設けられ、前記キャップ本体の最大押し込み時に前記中栓に当接して、それ以上のキャップ本体の押し込みを阻止するストッパー部と、を備えたボトルのキャップ構造において、前記分離部を、前記環状リップ部の上端部の上下投影面内にほぼ収まる形状とするとともに、前記環状リップ部を、前記ストッパー部が中栓に当接した際に前記環状リップ部の先端がキャップ本体の内側天面に当接する高さに設定したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第2の構成は、第1の構成のボトルのキャップ構造において、前記分離部は、前記閉塞部の外周部に、前記環状リップ部の先端部から上方に断面逆U字状に突設される環状凸部が設けられ、前記環状凸部の外周径が前記環状リップ部の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されるとともに、前記環状凸部の内周部に前記係止部が設けられたことを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の第3の構成は、第1の構成のボトルのキャップ構造において、前記分離部は、前記閉塞部の外周部に、前記環状リップ部の先端部から上方に立ち上がる環状壁が設けられ、前記環状壁の外周径が前記環状リップ部の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されるとともに、前記閉塞部の上面に前記係止部が設けられたことを特徴とする。
【0016】
更にまた、本発明の第4の構成は、第1の構成のボトルのキャップ構造において、前記キャップ本体の内側天面に、前記分離部と前記環状リップ部との間に挿入される環状挿入壁を設け、前記環状挿入壁の外周径が前記環状リップ部の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されるとともに、前記環状挿入壁の内周と前記分離部との間に前記係止部が設けられたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第5の構成は、第1から第4の構成のボトルのキャップ構造において、前記環状リップ部は、少なくとも前記口部から突出する上部が、全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の構成にかかるボトルのキャップ構造によれば、キャップ本体の最大押し込み時に中栓本体部に当接するストッパー部が設けられていることにより、キャップ本体は予め設定された最大押し込み量以上の押し込みが阻止される。これにより、環状リップ部でキャップ本体の天井壁を押し上げてしまうことが無くなり、誤操作でキャップ本体を必要以上に押し込んだ場合にもキャップ本体の変形を防止できる。
【0019】
また、環状リップ部を閉塞する分離部が環状リップ部の上端部の上下投影面内にほぼ収まる形状となっているので、誤操作によりキャップ本体を取り外して分離部を露出させてしまった場合にも、その分離部に指を引っ掛ける部分が無いことから、分離部がプルリングのように簡単に取り外されてしまうのを抑制することができる。
【0020】
更に、露出された分離部が何らかの手段で強制的に取り外されてしまった場合、キャップ本体は分離部が無い状態で口部を閉塞することになるが、この場合にあっても、環状リップ部は、ストッパー部が中栓に当接した際に先端がキャップ本体の内側天面に当接する高さに設定されている。これにより、分離部が無くても環状リップ部の先端とキャップ本体の内側天面との間でシールできるため、内容物が漏出されてしまうのを防止できる。
【0021】
本発明の第2の構成にかかるボトルのキャップ構造によれば、第1の構成の作用効果に加えて、正規の操作で分離部を中栓本体部から分断した後、キャップ本体で口部を閉塞した際に、環状リップ部の先端とキャップ本体の内側天面との間のシールに加えて、分離部に設けた環状凸部の外周と環状リップ部の先端部内周との間でもシールできる。これにより、シール部分が2箇所となり、口部の密封効率をより高めて内容物の漏出をより確実に防止できる。
【0022】
また、環状凸部の内周に係止部が設けられたことにより、この環状凸部を有効利用して係止部を設けることができるため、構造の簡素化を図ることができる。
【0023】
本発明の第3の構成にかかるボトルのキャップ構造によれば、第1の構成の作用効果に加えて、分離部の閉塞部の外周部に設けられた環状壁の外周と環状リップ部の先端部内周との間でシールできるようになっている。これにより、第2の構成と同様に、正規の操作で分離部を中栓本体部から分断した後にキャップ本体で口部を閉塞した際に、シール部分を2箇所設けることができるため、口部の密封効率をより高めて内容物の漏出をより確実に防止できる。
【0024】
また、係止部は、キャップ本体の内側天面に近接した閉塞部の上面に設けられたことにより、係止部のコンパクト化を図りつつ簡単な構造とすることができる。
【0025】
本発明の第4の構成にかかるボトルのキャップ構造によれば、第1の構成の作用効果に加えて、キャップ本体の内側天面に設けられた環状挿入壁の外周と環状リップ部の先端部内周との間でシールできるようになっている。これにより、第2の構成と同様に、正規の操作で分離部を中栓本体部から分断した後にキャップ本体で口部を閉塞した際に、シール部分を2箇所設けることができるため、口部の密封効率をより高めて内容物の漏出をより確実に防止できる。
【0026】
また、キャップ本体に設けた環状挿入壁の内周と分離部との間に係止部が設けられたことにより、この環状挿入壁を有効利用して係止部を設けることができるため、構造の簡素化を図ることができる。
【0027】
本発明の第5の構成にかかるボトルのキャップ構造によれば、第1から第5の構成の作用効果に加えて、環状リップ部が、少なくとも口部から突出する上部が、全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されたことにより、この環状リップ部の先端部内周と分離部との間の圧接力をより増大して、シール性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明にかかるボトルのキャップ構造の第1の実施形態を示す初期状態の要部断面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態で中栓を開栓する途中状態の要部断面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態で中栓を開栓した状態の要部断面図である。
【図4】図4は、第1の実施形態でキャップ本体を取り外した状態のボトル上部の断面図である。
【図5】図5は、本発明にかかるボトルのキャップ構造の第2の実施形態を示す初期状態の要部断面図である。
【図6】図6は、第2の実施形態で中栓を開栓する途中状態の要部断面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態で中栓を開栓した状態の要部断面図である。
【図8】図8は、本発明にかかるボトルのキャップ構造の第3の実施形態を示す初期状態の要部断面図である。
【図9】図9は、第3の実施形態で中栓を開栓する途中状態の要部断面図である。
【図10】図10は、第3の実施形態で中栓を開栓した状態の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1から図4は、本発明にかかるボトルのキャップ構造の第1の実施形態を示し、本実施形態のキャップ構造は、図1および図4に示すように、ボトル1の口部11がキャップ本体2および中栓4によって閉栓されるようになっている。
【0030】
口部11は、図4に示すように、ボトル1の上端部をほぼ筒状に縮径して一体成形されており、このとき、口部11は、ボトル1の一般部分よりも厚肉に形成される。ボトル1は、たとえば、PETやPCなどの合成樹脂材料で形成されるが、ガラスなどの硬質材料で形成されていてもよく、内容物の種類に応じてボトル1の材質が選択されればよい。内容物としては、たとえば、ジュースやドレッシングなどの液体やマヨネーズやケチャップなどの流動体などがある。
【0031】
口部11の外周には、ねじ部3を介してキャップ本体2が螺合されるとともに、口部11の先端部は、ねじ部3の形成部分よりも薄肉に形成され、その薄肉部分が中栓4の嵌着部12となっている。ねじ部3は、口部11の外周部に形成される雄ねじ部31と、キャップ本体2に形成される雌ねじ部32とによって形成される。
【0032】
キャップ本体2は、図1に示すように、口部11を覆うように側壁21と天井壁22とによって断面逆U字状のカップ状に形成され、側壁21の内周部に上述の雌ねじ部32が形成されている。なお、本実施形態では、側壁21の外側面にはキャップ本体2を回転させる際の滑り止め用としてローレット状の凹凸部23が施されている。
【0033】
そして、キャップ本体2の雌ねじ部32を口部11の雄ねじ部31に螺合した状態で、キャップ本体2を一方向(一般的には右方向)に回転することによりねじ込まれて、キャップ本体2がボトル1の下方に向かって押し込まれる。また、キャップ本体2をそれとは反対の他方向に回転することにより緩められて、口部11からキャップ本体2を取り外すことができる。
【0034】
中栓4は、図1および図4に示すように、中栓本体部41と、この中栓本体部41に薄肉部Tを介して一体に成形される分離部42とを備えて構成される。そして、中栓4は、ボトル1よりも軟質の材料、たとえば、ポリオレフィン(PE、PP)などの合成樹脂材料で形成される。
【0035】
中栓本体部41は、図中下方に位置する基部に設けられた二股部43が、口部11の先端部に設けられた嵌着部12に嵌着されて固定されるとともに、中栓本体部41の上端部には、口部11からキャップ本体2の天井壁22に向かって筒状の環状リップ部44が突設されている。
【0036】
このとき、二股部43は、口部11の内側に位置する内側部43aと、口部11の外側に位置する外側部43bと、これら内側部43aと外側部43bの上端部間を繋ぐ上側部43cと、によって断面逆U字状に形成されている。そして、二股部43を嵌着部12に嵌着した際には、中栓4が容易に取り外せないように強固に固定される。
【0037】
また、環状リップ部44は、内側部43aから上方に連続して口部11から突出するようにして形成されており、その突出する上部が、全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されている。
【0038】
分離部42は、環状リップ部44の先端部内側に上述の薄肉部Tを介して連設されるようになっており、この分離部42は環状リップ部44を閉塞する閉塞部45を有している。
【0039】
また、分離部42は、図2および図3に示すように、キャップ本体2を一方向に回転して押し込むことにより、このキャップ本体2の天井壁22の裏面、つまり内側天面22aで押圧されて薄肉部Tから分断されるようになっている。そして、このように分断された分離部42は、係止部5を介してキャップ本体2に保持されるようになっている。
【0040】
このとき、係止部5は、キャップ本体2側に形成される係止突起51と、分離部42側に形成されて係止突起51に係合される被係止突起52とによって構成される。
【0041】
更に、キャップ本体2の天井壁22には、それの内側天面22aから筒状のストッパー部6が、側壁21と環状リップ部44との間に位置して垂設されている。このストッパー部6は、キャップ本体2の最大押し込み時に、先端(下端)6aが二股部43の上側部の上面に当接(図3参照)し、それ以上にキャップ本体2が押し込まれる(ねじ込まれる)のが阻止されるようになっている。
【0042】
ここで、本実施形態では、図4に示すように、分離部42が環状リップ部44の先端部の上下投影面A内にほぼ収まる形状に形成されている。すなわち、本実施形態では、分離部42は、閉塞部45の外周部に、環状リップ部44の先端部から上方に向かって断面逆U字状に突設される環状凸部7が設けられ、この環状凸部7の外周径が、環状リップ部44の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されている。
【0043】
このように、環状凸部7の外周が環状リップ部44の内周に嵌合可能となることにより、分離部42が上述の上下投影面A内にほぼ収まる形状となっている。なお、分離部42が上下投影面Aにほぼ収まる形状とは、分離部42の外周部に、環状リップ部44の外周よりも突出して人の指を引っ掛けることができる程度の突出部分が無い形状をいうものとする。
【0044】
また、環状凸部7の外周には、環状リップ部44の内周との間の密閉性をより確実にするために、周方向に連続して環状の小突起7aが設けられている。したがって、環状の小突起7aによって分離部42と環状リップ部44とは、小突起7aがある程度潰れつつほぼ線接触されることになるが、必ずしもこれに限ることなく、小突起7aを無くして面接触させてもよい。
【0045】
このとき、本実施形態では、環状凸部7の内周部に上述の被係止突起52が設けられるようになっている。もちろん、この被係止突起52を係止する係止突起51は、キャップ本体2の内側天面22aの被係止突起52に対応した位置に係脱自在に設けられる。
【0046】
また、本実施形態では、図3に示すように、環状リップ部44は、ストッパー部6が中栓4(本実施形態では二股部43)に当接した際に、環状リップ部44の先端がキャップ本体2の内側天面22aに当接する高さhに設定されている。
【0047】
このように構成された本実施形態のキャップ構造を備えたボトル1の流通段階では、図1に示すように、中栓4は、環状リップ部44が分離部42によって閉塞されるとともに、口部11にキャップ本体2が所定量ねじ込まれて閉塞された状態で販売される。
【0048】
そして、消費者が購入後にボトル1の口部11を開栓するには、まず最初に口部11に所定量ねじ込まれているキャップ本体2を更にねじ込む。つまり、口部1に対してキャップ本体2を更に押し込む状態とすることにより、図2に示すように、分離部42が係止部5を介してキャップ本体2に係止される。 この状態からキャップ本体2を更にねじ込んで押し込むことにより、図3に示すように、キャップ本体2の内側天面22aで分離部42を押し下げて、この分離部42と環状リップ部44とを繋いでいる薄肉部Tを分断する。これにより、環状リップ部44を閉塞していた分離部42が分離される。
【0049】
そして、このように分離部42が分離された後は、図示は省略したが、キャップ本体2を緩めて中栓4の分離部42から取り外すことにより、分離部42はそのキャップ本体2に係止された状態で取り除かれ、中栓4の分離部42を開栓することができる。
【0050】
次に、ボトル1内の内容物を中栓4の分離部42から所定量取り出した後にキャップ本体2で中栓4の分離部42を閉栓する場合は、通常のボトルキャップと同様にキャップ本体2を口部11にねじ込んで締め付けることになる。このとき、キャップ本体2のねじ込みは、図3に示すように、ストッパー部6が二股部43の上側部の上面に当接した段階で停止され、これがキャップ本体2の最大押し込み状態となる。この最大押し込み状態では、環状リップ部44の先端がキャップ本体2の内側天面22aに当接するとともに、中栓4の分離部42の外周が環状リップ部44の先端部内周に圧入されて密封性を確保された状態となる。なお、図3に示すようにキャップ天面から伸びるストッパーを例に記したが、同様の目的でキャップ本体の側壁から位置決めのストッパー部を設けることも出来る。
【0051】
以上の構成により第1の実施形態のボトル1のキャップ構造によれば、ボトル1の中栓4の分離部42を開栓した後、その中栓4の分離部42をキャップ本体2で再度閉栓する際、キャップ本体2をねじ込んで押し込んでいくと、図3に示すように、環状リップ部44の先端が、キャップ本体2の内側天面22aに当接されることになる。このとき、キャップ本体2には、中栓4の二股部43の上側部の上面に当接するストッパー部6が設けられているので、キャップ本体2はそれ以上のねじ込み(押し込み)が阻止される。
【0052】
したがって、キャップ本体2は、ストッパー部6が中栓4の二股部43の上側部の上面に当接した状態から更に押し込まれるのが阻止されるため、環状リップ部44でキャップ本体2の天井壁22を押し上げてしまうことが無くなる。これにより、過度にキャップ本体2を締め込むという誤操作が防止されて、キャップ本体2の天井壁22が膨出したり戻ったりする不快な挙動を無くすことができる。
【0053】
また、環状リップ部44を閉塞している分離部42が、その環状リップ部44の上端部の上下投影面A内にほぼ収まる形状となっている。これにより、誤操作によりキャップ本体2を取り外して分離部42を露出させてしまった場合にも、その分離部42に指を引っ掛ける部分が無いことから、分離部42がプルリングのように簡単に取り外されてしまうのを抑制することができる。
【0054】
更に、このように露出された分離部42の取り外しが抑制された場合にも、何らかの手段でその分離部42が強制的に取り外されてしまうことが考えられる。この場合、キャップ本体2は分離部42が無い状態で中栓4の分離部42を閉塞することになるが、この場合にあっても、ストッパー部6が中栓4の二股部43の上側部の上面に当接した際に、環状リップ部44の先端がキャップ本体2の内側天面22aに当接した状態となる。これにより、図3に示すように、分離部42が無くても、環状リップ部44の先端とキャップ本体2の内側天面22aとの間でシール(S1)できるため、内容物が漏出されてしまうのを防止できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、分離部42がキャップ本体2に係止されて取り外される正規の状態である場合に、そのキャップ本体2で中栓4の分離部42を閉栓した際に、分離部42に設けた環状凸部7の外周が、環状リップ部44の先端部内周に密接して嵌合される(図3参照)。これにより、環状リップ部44の先端とキャップ本体2の内側天面22aとの間のシール(S1)に加えて、環状凸部7の外周と環状リップ部44の内周との間でもシール(S2)できるため、シール部分が2箇所(S1、S2)となり、中栓4の分離部42の密封効率をより高めて内容物の漏出をより確実に防止できる。
【0056】
このとき、環状リップ部44の先端とキャップ本体2の内側天面22aとのシール(S1)部分は、内側天面22aに環状リップ部44の先端に沿って環状に連続した小突起を設けておくことが好ましい。このことは、次に述べる第2・第3の実施形態にあっても同様とする。
【0057】
更に、環状凸部7の内周に係止部5の被係止突起52を設けたので、環状凸部7を有効利用してその係止部5を設けることができるため、構造の簡素化を図ることができる。
【0058】
更にまた、本実施形態によれば、環状リップ部44の上部が全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されているので、分離部42の環状凸部7の外周が環状リップ部44に嵌合された際に、その密接力を高めてより高いシール効果を発揮することができる。
[第2の実施形態]
図5から図7は、本発明の第2の実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0059】
本実施形態のボトルのキャップ構造が、第1の実施形態と主に異なる点は、図5に示すように、分離部42の閉塞部45の外周部に、環状リップ部44の先端部から上方に立ち上がる環状壁8が設けられたことにある。この場合にあっても、環状壁8の外周径は環状リップ部44の先端部内周に嵌合可能に形成されて密封性を確保している。
【0060】
また、環状壁8の外周には環状の小突起8aが設けられて、環状リップ部44の内周との間の密閉性をより確実にするようになっている。したがって、本実施形態にあっても分離部42と環状リップ部44は小突起8aによってほぼ線接触されることになるが、必ずしもこれに限ることなく、小突起8aを無くして面接触させてもよい。なお、本実施形態では、環状リップ部44と分離部42とを繋ぐ薄肉部Tは、環状壁8の下端部に設けられている。
【0061】
このように閉塞部45の外周部に環状壁8を設けた場合に、分離部42をキャップ本体2に係止させる係止部5Aは、これの被係止突起54が閉塞部45の上面の外周部近傍に設けられるようになっている。このとき、被係止突起54に対応した位置でキャップ本体2の天井壁22の中央部を段差状に上方に突出させ、その段差部分内側に、図6に示すように、被係止突起54を係止する係止突起53が設けられるようになっている。
【0062】
もちろん、本実施形態にあっても、図7に示すように、キャップ本体2の最大押し込み時に、二股部43の上側部の上面に当接するストッパー部6が設けられ、このストッパー部6が当接した状態で環状リップ部44の先端がキャップ本体2の内側天面22aに当接してシール(S3)できるようになっている。
【0063】
以上の構成により第2の実施形態のボトルのキャップ構造によれば、分離部42の閉塞部45の外周部に環状壁8が設けられ、この環状壁8が環状リップ部44の先端部内周に密接して嵌合可能となっている。これにより、分離部42がキャップ本体2に係止されて取り外される正規の状態である場合に、環状壁8と環状リップ部44との間でシール(S4)することができる。
【0064】
したがって、第1の実施形態と同様に、正規の操作で分離部42を中栓本体部41から分断した後にキャップ本体2で中栓4の分離部42を閉塞した際に、シール部分を2箇所(S3、S4)設けることができるため、中栓4の分離部42の密封効率をより高めて内容物の漏出をより確実に防止できる。
【0065】
また、係止部5Aの被係止突起54がキャップ本体2の内側天面22aに近接した閉塞部45の上面に設けられたことにより、係止部5Aのコンパクト化を図りつつ簡単な構造とすることができる。
【0066】
更に、本実施形態にあっても、第1の実施形態と同様に、環状リップ部44は、口部11から突出する上部が全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されている。これにより、分離部42の環状壁8の外周が環状リップ部44に嵌合された際に、その密接力を高めてより高いシール効果を発揮することができる。
[第3の実施形態]
図8から図10は、本発明の第3の実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0067】
本実施形態のボトルのキャップ構造が、第1の実施形態と主に異なる点は、図8に示すように、キャップ本体2の内側天面22aに、分離部42と環状リップ部44との間に挿入される環状挿入壁9が設けられたことにある。この場合にあっても、環状挿入壁9の外周径は環状リップ部44の先端部内周径に嵌合可能に形成されて密封性を確保している。
【0068】
また、本実施形態では、分離部42の外周には環状に垂設される外周壁10が設けられおり、この外周壁10と環状リップ部44との間に上述した環状挿入壁9が挿入される。また、環状リップ部44と分離部42とを繋ぐ薄肉部Tは、環状挿入壁9の下端部に設けられている。
【0069】
そして、分離された分離部42をキャップ本体2に係止しておく係止部5Bは、環状挿入壁9の内周と外周壁10の外周との間に設けられるようになっている。この場合、係止部5Bは、環状挿入壁9の内周に設けた係合凹部55と、外周壁10の外周に設けた係止突起56とで構成され、図9に示すように、係合凹部55に係止突起56が係合される。
【0070】
もちろん、本実施形態にあっても、図10に示すように、キャップ本体2の最大押し込み時に、二股部43の上側部上面に当接するストッパー部6が設けられ、このストッパー部6が当接した状態で環状リップ部44の先端がキャップ本体2の内側天面22aに当接してシール(S5)できるようになっている。
【0071】
以上の構成により第3の実施形態のボトルのキャップ構造によれば、キャップ本体2の内側天面22aに環状挿入壁9を設け、この環状挿入壁9が環状リップ部44の先端部内周に密接して嵌合可能となっている。これにより、分離部42がキャップ本体2に係止されて取り外される正規の状態である場合に、環状挿入壁9と環状リップ部44との間でシール(S6)することができる。
【0072】
したがって、本実施形態にあっても、正規の操作で分離部42を中栓本体部41から分断した後にキャップ本体2で中栓4の分離部42を閉塞した際に、シール部分を2箇所(S5、S6)設けることができるため、中栓4の分離部42の密封効率をより高めて内容物の漏出をより確実に防止できる。なお、本実施形態では環状挿入壁9の外周と環状リップ部44の内周とは面接触されるが、第1・第2の実施形態と同様に環状挿入壁9の外周に環状の小突起を設けてほぼ線接触させることもできる。
【0073】
また、本実施形態によれば、係止部5Bが、キャップ本体2に設けた環状挿入壁9の内周と分離部42の外周壁10との間に設けられたことにより、この環状挿入壁9を有効利用して係止部5Bの係合凹部55を設けることができるため、構造の簡素化を図ることができる。
【0074】
更に、本実施形態にあっても、環状リップ部44は、口部11から突出する上部が全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されている。これにより、環状挿入壁9の外周が環状リップ部44に嵌合された際に、その密接力を高めてより高いシール効果を発揮することができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 ボトル
11 口部
2 キャップ本体
22 天井壁
22a 内側天面
3 ねじ部
4 中栓
41 中栓本体部
42 分離部
43 二股部
44 環状リップ部
45 閉塞部
5、5A、5B 係止部
6 ストッパー部
7 環状凸部
8 環状壁
9 環状挿入壁
T 薄肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を取り出す口部を有するボトルと、
前記口部の外側にねじ部を介して螺合され、一方向の回転により押し込みと他方向の回転により取り外しとが可能になったキャップ本体と、
前記口部の先端部に嵌着されて前記口部と前記キャップ本体との間に設置され、前記口部から前記キャップ本体の天井壁に向かって筒状の環状リップ部が突設された中栓本体部と、
前記環状リップ部に薄肉部を介して連設されて前記環状リップ部を閉塞する閉塞部を有し、前記キャップ本体の押し込みにより前記薄肉部で分断されてキャップ本体に係止部を介して保持される分離部と、
前記キャップ本体の内側に設けられ、前記キャップ本体の最大押し込み時に前記中栓に当接して、それ以上のキャップ本体の押し込みを阻止するストッパー部と、を備えたボトルのキャップ構造において、
前記分離部を、前記環状リップ部の先端部の上下投影面内にほぼ収まる形状とするとともに、
前記環状リップ部を、前記ストッパー部が中栓に当接した際に先端がキャップ本体の内側天面に当接する高さに設定したことを特徴とするボトルのキャップ構造。
【請求項2】
前記分離部は、前記閉塞部の外周部に、前記環状リップ部の先端部から上方に向かって断面逆U字状に突設される環状凸部が設けられ、前記環状凸部の外周径が前記環状リップ部の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されるとともに、前記環状凸部の内周部に前記係止部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のボトルのキャップ構造。
【請求項3】
前記分離部は、前記閉塞部の外周部に、前記環状リップ部の先端部から上方に向かって立ち上がる環状壁が設けられ、前記環状壁の外周径が前記環状リップ部の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されるとともに、前記閉塞部の上面に前記係止部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のボトルのキャップ構造。
【請求項4】
前記キャップ本体の内側天面に、前記分離部と前記環状リップ部との間に挿入される環状挿入壁を設け、前記環状挿入壁の外周径が前記環状リップ部の先端部内周径よりも嵌合可能に大きく形成されるとともに、前記環状挿入壁の内周と前記分離部との間に前記係止部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のボトルのキャップ構造。
【請求項5】
前記環状リップ部は、少なくとも前記口部から突出する上部が、全体的に先端に向かって僅かに縮径されるテーパ状に形成されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のボトルのキャップ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−106773(P2012−106773A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257999(P2010−257999)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】