説明

ポイント管理装置およびポイント管理プログラム

【課題】顧客が実質的に保有しているポイントを的確に管理可能とする。
【解決手段】実施形態のポイント管理装置は、付与数算出手段は、全ての顧客に対して規定期間内に付与したポイントの総数として付与ポイント数を算出する。使用数算出手段は、規定期間内に使用されたポイント券のポイント数の総数として使用ポイント数を算出する。失効数算出手段は、規定期間内に期限切れとなったポイント券のポイント数の総数として失効ポイント数を算出する。残数算出手段は、規定期間の開始時点において全ての顧客が保有するポイント数の総数に付与ポイント数を加算するとともに、使用ポイント数および失効ポイント数を減算して規定期間の終了時点における残ポイント数を算出する。生成手段は、付与ポイント数、使用ポイント数、失効ポイント数および残ポイント数をそれぞれ表す画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポイント管理装置およびポイント管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商取引毎にポイントを顧客に対して付与し、前記顧客が保有するポイント数の少なくとも一部に関する期限付きのポイント券を発行し、前記ポイント券が使用されたことに応じて当該ポイント券のポイント数に応じたサービスを提供するポイントサービスが知られている。
【0003】
このようなポイントサービスにおいては、ポイント券を発行したことに応じて、そのポイント券のポイント数を顧客が保有するポイント数から差し引く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−227200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポイント券が発行後すぐに使用されるとは限らず、ポイント券が使用されるまでは、そのポイントを実質的に顧客が保有していることになる。
【0006】
このため、上記のように管理されるポイント数と、顧客が実質的に保有するポイント数とに誤差が生じてしまうことがあった。
【0007】
このような事情から、顧客が実質的に保有しているポイントを的確に管理できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のポイント管理装置は、商取引毎にポイントを顧客に対して付与し、顧客が保有するポイント数の少なくとも一部に関する期限付きのポイント券を発行し、ポイント券が使用されたことに応じて当該ポイント券のポイント数に応じたサービスを提供するポイント処理システムに適用されるものであって、付与数算出手段、使用数算出手段、失効数算出手段、残数算出手段および生成手段を含む。付与数算出手段は、全ての顧客に対して規定期間内に付与したポイントの総数として付与ポイント数を算出する。使用数算出手段は、規定期間内に使用されたポイント券のポイント数の総数として使用ポイント数を算出する。失効数算出手段は、規定期間内に期限切れとなったポイント券のポイント数の総数として失効ポイント数を算出する。残数算出手段は、規定期間の開始時点において全ての顧客が保有するポイント数の総数に付与ポイント数を加算するとともに、使用ポイント数および失効ポイント数を減算して規定期間の終了時点における残ポイント数を算出する。生成手段は、付与ポイント数、使用ポイント数、失効ポイント数および残ポイント数をそれぞれ表す画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係るPOSシステムのブロック図。
【図2】ポイント管理ファイルの構造図。
【図3】使用履歴データの構造図。
【図4】失効履歴データの構造図。
【図5】月計データの構造図。
【図6】図1中のCPUのフローチャート。
【図7】図1中のCPUのフローチャート。
【図8】図1中のCPUのフローチャート。
【図9】図1中のCPUのフローチャート。
【図10】一覧表画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、ポイント処理システムとしてPOS(point-of-sale)システムを、ポイント処理装置としてサーバ装置を例に説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係るPOSシステム100のブロック図である。
【0012】
POSシステム100は、サーバ装置1、複数の端末2および管理端末3を含む。
【0013】
サーバ装置1は、複数の端末2および管理端末3のそれぞれと、通信ネットワーク4を介して通信可能である。なお通信ネットワーク4は、典型的にはインターネットであるが、企業内通信網やPSTN(public switched telephone network)などの他の様々なネットワークを利用できる。
【0014】
サーバ装置1は、POS端末2が設置されているのと同じ店舗に備えられたいわゆる店舗サーバや、POS端末2が設置されているのと同じ店舗を含んだ複数の店舗を総括する本部に備えられたいわゆる本部サーバである。サーバ装置1は、POS端末2でそれぞれ生成された販売データを集計したり、各POS端末2で使用するデータを管理する。サーバ装置1はさらに、POSシステム100でのポイントサービスの提供のためのポイント管理を行う。
【0015】
ここで、POSシステム100で提供するポイントサービスの概要について説明する。
【0016】
商品購入などの商取引に関する処理がPOS端末2で行われる際に、その商取引の内容に応じた数のポイントを顧客のポイント口座に付与する。顧客は、ポイント口座に貯留されているポイントを、任意のタイミングでポイント券として発行することができる。そして、顧客がポイント券を使用するときに、例えば割引きサービスなどのようなサービスを提供する。
【0017】
サーバ装置1は、CPU(central processing unit)11、ROM(read-only memory)12、RAM(random-access memory)13、補助記憶デバイス14、通信デバイス15を含む。そして、CPU11、ROM12、RAM13、補助記憶デバイス14および通信デバイス15は、バス16にそれぞれ接続されている。
【0018】
CPU11は、ROM12およびRAM13に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、上記の各種の動作を実現するべく処理を行う。
【0019】
ROM12は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM12は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM12は、CPU11が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0020】
RAM13は、CPU11が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM13は、CPU11が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM14は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0021】
補助記憶デバイス14は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU11が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU11での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス14が記憶するデータには、ポイント管理ファイル、使用履歴データ、失効履歴データおよび月計データを含む。補助記憶デバイス14は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0022】
ROM12、RAM13または補助記憶デバイス14が記憶するアプリケーションプログラムには、ポイント管理プログラムを含む。ポイント管理プログラムは、CPU11に後述する処理を実行させるように記述されている。
【0023】
サーバ装置1としては、例えば汎用のサーバ用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。このときにサーバ装置1は、上記のポイント管理プログラムがコンピュータ装置に予めインストールされて実現されても良いし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記のポイント管理プログラムを配布し、このポイント管理プログラムをコンピュータ装置に適宜インストールして実現されても良い。
【0024】
通信デバイス15は、通信ネットワーク4を介してPOS端末2および管理端末3と通信する。
【0025】
図2はポイント管理ファイルの構造図である。
【0026】
ポイント管理ファイルは、複数の顧客口座データを含む。これら複数の顧客口座データは、ポイントサービスを利用する顧客に対してそれぞれ設定されたポイント口座にそれぞれ対応する。
【0027】
顧客口座データはさらに、口座管理データ、付与履歴データおよび発行履歴データを含む。
【0028】
口座管理データは、口座番号、顧客情報および保有ポイント数の各項目のデータを含む。口座番号は、該当するポイント口座を識別可能に割り当てた番号を表す。顧客情報は、顧客についての氏名などの情報を表す。保有ポイント数は、該当するポイント口座のポイント在高を表す。
【0029】
付与履歴データは、付与日とポイント数の各項目のデータを関連付けたデータレコードを複数含み得る。付与日は、該当するポイント口座にポイントが付与された日付を表す。ポイント数は、付与されたポイント数を表す。
【0030】
発行履歴データは、発行日、ポイント数、券番号および使用期限の各項目のデータを関連付けたデータレコードを複数含み得る。発行日は、該当するポイント口座に貯留されたポイントを使用してポイント券を発行した日付を表す。ポイント数は、該当するポイント券のポイント数を表す。券番号は、該当するポイント券を識別可能に割り当てた番号を表す。使用期限は、該当するポイント券を使用可能な期限日を表す。
【0031】
図3は使用履歴データの構造図である。
【0032】
使用履歴データは、使用日、券番号およびポイント数の各項目のデータを関連付けたデータレコードを複数含み得る。使用日は、ポイント券を使用した日付を表す。券番号は、使用されたポイント券に割り当てられた番号を表す。ポイント数は、使用されたポイント券のポイント数を表す。
【0033】
図4は失効履歴データの構造図である。
【0034】
失効履歴データは、失効日、券番号およびポイント数の各項目のデータを関連付けたデータレコードを複数含み得る。失効日は、ポイント券が使用期限切れにより失効した日付を表す。券番号は、失効したポイント券に割り当てられた番号を表す。ポイント数は、失効したポイント券のポイント数を表す。
【0035】
図5は月計データの構造図である。
【0036】
月計データは、年月、付与ポイント数、発行ポイント数、使用ポイント数、失効ポイント数および残ポイント数の各項目のデータを関連付けたデータレコードを複数含み得る。年月は、集計の対象となる月を年月を表す。付与ポイント数は、該当月に全てのポイント口座に関して発行された総ポイント数を表す。発行ポイントは、該当月に発行された全てのポイント券の総ポイント数を表す。使用ポイント数は、該当月に使用された全てのポイント券の総ポイント数を表す。失効ポイント数は、該当月に失効した全てのポイント券の総ポイント数を表す。残ポイント数は、該当月の月末において全てのポイント口座に関して未使用となっている総ポイント数を表す。
【0037】
次に以上のように構成されたPOSシステム100の動作について説明する。
【0038】
買い上げ商品の登録処理、精算処理、あるいは決済処理などのようなPOSシステムにおける一般的な処理は、既存のPOSシステムと同様にして行われて良い。POSシステム100は、ポイントの管理に関わるサーバ装置1の動作に特徴があるので、その点について以下に詳細に説明する。
【0039】
図6乃至図9はCPU11のフローチャートである。CPU11は、ROM12、RAM13または補助記憶デバイス14が記憶するアプリケーションプログラムに基づいて図6乃至図9に示す各処理を実行する。なお、図6乃至図9に示す各処理のうちの複数が1つのアプリケーションプログラムに記述されていても良いし、各処理のそれぞれが個別のアプリケーションプログラムに記述されていていも良い。
【0040】
POS端末2のいずれかまたは管理端末3がサーバ装置1に何らかの処理を要求情報を送信すると、この要求情報を通信ネットワーク4がサーバ装置1へと伝送する。サーバ装置1では、伝送された要求情報を通信デバイス15が受信する。そして要求情報は、CPU11または通信デバイス15の制御の下にRAM13または補助記憶デバイス14に保存される。
【0041】
(ポイント付与)
ポイントの付与に関する要求情報が到来した場合にCPU11は、図6に示す処理を開始する。なお、ポイントの付与に関する要求情報は、ポイント付与の対象となるポイント口座(以下、付与口座と称する)の口座番号と、付与すべきポイント数(以下、付与ポイント数と称する)とを少なくとも表す。
【0042】
ステップSa1においてCPU11は、付与口座が存在するか否かを確認する。具体的にCPU11は、要求情報に表された口座番号を含む口座管理データがポイント管理ファイルに含まれているか否かを確認する。そして付与口座がなかった場合にCPU11は、ステップSa1からステップSa2へ進む。
【0043】
ステップSa2においてCPU11は、エラー応答を行う。具体的にCPUは、付与口座が存在しない旨を表すエラーコードなどを含んだ応答情報を生成し、これを通信デバイス15から要求元のPOS端末2に宛てて通信ネットワーク4へと送信する。そしてエラー応答を完了したならば、CPU11は図6に示す処理を終了する。
【0044】
一方、付与口座がある場合には、CPU11はステップSa1からステップSa3へ進む。
【0045】
ステップSa3においてCPU11は、付与口座の保有ポイント数に付与ポイント数を加算する。
【0046】
ステップSa4においてCPU11は、付与口座に関する付与履歴データを更新する。具体的にCPU11は、付与口座の口座番号を含んだ口座管理データとともに顧客口座データに含まれた付与履歴データに、現在の日付と付与ポイント数とを関連付けたデータレコードを追加する。
【0047】
ステップSa5においてCPU11は、完了応答を行う。具体的にCPUは、ポイントの付与を完了したことを表す完了コードなどを含んだ応答情報を生成し、これを通信デバイス15から要求元のPOS端末2に宛てて通信ネットワーク4へと送信する。そして完了応答を完了したならば、CPU11は図6に示す処理を終了する。
【0048】
(ポイント券発行)
ポイント券の発行に関する要求情報が到来した場合にCPU11は、図7に示す処理を開始する。なお、ポイント券の発行に関する要求情報は、ポイント券の発行の対象となるポイント口座(以下、発行口座と称する)の口座番号を少なくとも表す。
【0049】
ステップSb1においてCPU11は、発行口座が存在するか否かを確認する。具体的にCPU11は、要求情報に表された口座番号を含む口座管理データがポイント管理ファイルに含まれているか否かを確認する。そして発行口座がなかった場合にCPU11は、ステップSb1からステップSb2へ進む。
【0050】
ステップSb2においてCPU11は、エラー応答を行う。具体的にCPUは、発行口座が存在しない旨を表すエラーコードなどを含んだ応答情報を生成し、これを通信デバイス15から要求元のPOS端末2に宛てて通信ネットワーク4へと送信する。そしてエラー応答を完了したならば、CPU11は図7に示す処理を終了する。
【0051】
一方、発行口座がある場合には、CPU11はステップSb1からステップSb3へ進む。
【0052】
ステップSb3においてCPU11は、発行口座の保有ポイント数を要求元のPOS端末2に通知する。
【0053】
この通知を受けるとPOS端末2は、保有ポイント数の範囲内で、1枚または複数枚のポイント券を発行する。この際にPOS端末2は、ポイント券のそれぞれに券番号を付与する。そしてPOS端末は、発行したポイント券の券番号、ポイント数および使用期限を関連付けて表した発行通知をサーバ装置1に対して行う。
【0054】
ステップSb4においてCPU11は、要求元のPOS端末2から発行通知がなされるのを待ち受ける。そして発行通知がなされたならば、CPU11はステップSb4からステップSb5へ進む。
【0055】
ステップSb5においてCPU11は、発行口座の保有ポイント数から発行ポイント数を減算する。なお、一枚のみのポイント券を発行しているときには、CPU11はその1枚のポイント券のポイント数を発行ポイント数とする。複数枚のポイント券を発行しているときには、CPU11はそれら複数のポイント券のそれぞれのポイント数の総和を発行ポイント数とする。
【0056】
ステップSb6においてCPU11は、発行口座に関する発行履歴データを更新する。具体的にCPU11は、発行口座の口座番号を含んだ口座管理データとともに顧客口座データに含まれた発行履歴データに、現在の日付に、ポイント券のポイント数、券番号および使用期限をそれぞれ関連付けたデータレコードを追加する。なお、一枚のみのポイント券を発行しているときには、CPU11はその1枚のポイント券に関する1つのみのデータレコードを発行履歴データに追加する。複数枚のポイント券を発行しているときには、CPU11はそれら複数のポイント券のそれぞれに関する複数のデータレコードを発行履歴データに追加する。
【0057】
ステップSb7においてCPU11は、完了応答を行う。具体的にCPUは、ポイント券の発行に関わる処理を完了したことを表す完了コードなどを含んだ応答情報を生成し、これを通信デバイス15から要求元のPOS端末2に宛てて通信ネットワーク4へと送信する。そして完了応答を完了したならば、CPU11は図7に示す処理を終了する。
【0058】
なお、ポイント券の発行を、POS端末2とは別の発行端末により行うこともできる。そしてこの場合には、図7における情報のやり取りは、POS端末2とではなく発行端末との間で行われる。
【0059】
また、ポイント券の使用期限は、発行日から一定の期間にする場合もある。そしてこの場合には、ポイント券の発行時における使用期限の設定や、発行履歴データにおける使用期限の記述を省略できる。
【0060】
(ポイント券使用)
ポイント券の使用に関する要求情報が到来した場合にCPU11は、図8に示す処理を開始する。なお、ポイント券の使用に関する要求情報は、ポイント券の券番号を少なくとも表す。
【0061】
ステップSc1においてCPU11は、ポイント券の使用が可能であるか否かを確認する。具体的にCPU11は、要求情報に表された券番号が使用履歴データに含まれるか否かを確認する。そして該当する券番号が使用履歴データに含まれない場合に、CPU11はポイント券の使用が可能であると判定する。なお、該当する券番号が発行履歴データに含まれ、かつ該当する券番号が使用履歴データに含まれない場合に、CPU11がポイント券の使用が可能であると判定するように変更することも可能である。さらには、ポイント券を使用する顧客のポイント口座の口座番号を要求情報に表すようにし、当該口座番号に関連付けられた発行履歴データに該当する券番号が含まれ、かつ該当する券番号が使用履歴データに含まれない場合に、CPU11がポイント券の使用が可能であると判定するように変更することも可能である。そしてポイント券の使用が不可であると判定した場合にCPU11は、ステップSc1からステップSc2へ進む。
【0062】
ステップSc2においてCPU11は、エラー応答を行う。具体的にCPUは、ポイント券が使用不可である旨を表すエラーコードなどを含んだ応答情報を生成し、これを通信デバイス15から要求元のPOS端末2に宛てて通信ネットワーク4へと送信する。そしてエラー応答を完了したならば、CPU11は図8に示す処理を終了する。
【0063】
一方、ポイント券の使用が可能であると判定した場合にCPU11は、ステップSc1からステップSc3へ進む。
【0064】
ステップSc3においてCPU11は、使用許可を要求元のPOS端末2に通知する。
【0065】
この通知を受けるとPOS端末2は、ポイント券のポイントに応じたサービスを提供する。そしてPOS端末は、ポイント券を使用した使用通知をサーバ装置1に対して行う。
【0066】
ステップSc4においてCPU11は、要求元のPOS端末2から使用通知がなされるのを待ち受ける。そして使用通知がなされたならば、CPU11はステップSc4からステップSc5へ進む。
【0067】
ステップSc5においてCPU11は、使用履歴データを更新する。具体的にCPU11は、使用履歴データに、現在の日付に、ポイント券のポイント数および券番号をそれぞれ関連付けたデータレコードを追加する。なお、一枚のみのポイント券を使用したときには、CPU11はその1枚のポイント券に関する1つのみのデータレコードを使用履歴データに追加する。複数枚のポイント券を使用したときには、CPU11はそれら複数のポイント券のそれぞれに関する複数のデータレコードを使用履歴データに追加する。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき使用履歴更新手段として機能する。
【0068】
ステップSc6においてCPU11は、完了応答を行う。具体的にCPUは、ポイント券の使用に関わる処理を完了したことを表す完了コードなどを含んだ応答情報を生成し、これを通信デバイス15から要求元のPOS端末2に宛てて通信ネットワーク4へと送信する。そして完了応答を完了したならば、CPU11は図8に示す処理を終了する。
【0069】
(定期管理)
CPU11は、予め定められた管理タイミングとなる毎に図9に示す処理を開始する。管理タイミングをどのようなタイミングとするかは、この図9に示す処理の開始を管理する処理をCPU11に行わせるプログラムの作成者によって任意に定められて良い。あるいは、サーバ装置1の利用者が指定するタイミングを管理タイミングとしても良い。管理タイミングは、典型的には毎日一度、POSシステム100が導入されている店舗等の営業が終了したタイミングであり、以下においてはこの例を説明する。ただし管理タイミングは、使用期限と一致していることが望ましい。すなわち、本実施形態では使用期限を日単位で管理することとしているため、管理タイミングとしては上記の典型例となる。
【0070】
ステップSd1においてCPU11は、使用期限を過ぎた未使用のポイント券(以下、失効券と称する)を検索する。具体的にCPU11は、全ての顧客口座データに含まれた全ての発行履歴データに記述された全ての券番号について、使用期限を過ぎており、かつ失効履歴データにまだ記述されていないものを、失効券の券番号として検索する。
【0071】
ステップSd2においてCPU11は、失効履歴データを更新する。具体的にCPU11は、現在の日付に上記の検索により得られた失効券の券番号およびポイント数を関連付けたデータレコードを失効履歴データに追加する。なお、失効券が複数見つかった場合には、CPU11はその複数の失効券のそれぞれに関する複数のデータレコードを失効履歴データに追加する。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき失効履歴更新手段として機能する。
【0072】
ステップSd3においてCPU11は、現時点が集計タイミングに相当するか否かを確認する。集計タイミングをどのようなタイミングとするかは、この図9に示す処理をCPU11に行わせるプログラムの作成者によって任意に定められて良い。あるいは、サーバ装置1の利用者が指定するタイミングを集計タイミングとしても良い。集計タイミングは、典型的には毎月末にPOSシステム100が導入されている店舗等の営業が終了したタイミングであり、以下においてはこの例を説明する。
【0073】
現時点が集計タイミングではない場合にCPU11は、以降の処理を何ら行うことなく図9に示す処理を終了する。しかしながら、現時点が集計タイミングである場合にCPU11は、ステップSd3からステップSd4へ進む。
【0074】
ステップSd4においてCPU11は、付与ポイント数を算出する。付与ポイント数は、前回の集計タイミングから今回の集計タイミングまでの期間(以下、集計期間と称する)において全てのポイント口座に対して付与された総ポイント数である。CPU11は、ポイント管理ファイルに含まれた全ての付与履歴データから付与日が集計期間内であるデータレコードを全て検索し、該当するデータレコードにそれぞれ表されたポイント数の総和として付与ポイント数を算出する。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき付与数算出手段として機能する。
【0075】
ステップSd5においてCPU11は、発行ポイント数を算出する。発行ポイント数は、集計期間においてポイント券として発行された総ポイント数である。CPU11は、ポイント管理ファイルに含まれた全ての発行履歴データから発行日が集計期間内であるデータレコードを全て検索し、該当するデータレコードにそれぞれ表されたポイント数の総和として発行ポイント数を算出する。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき発行数算出手段として機能する。
【0076】
ステップSd6においてCPU11は、使用ポイント数を算出する。使用ポイント数は、集計期間において使用されたポイント券の総ポイント数である。CPU11は、使用履歴データから使用日が集計期間内であるデータレコードを全て検索し、該当するデータレコードにそれぞれ表されたポイント数の総和として使用ポイント数を算出する。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき使用数算出手段として機能する。
【0077】
ステップSd7においてCPU11は、失効ポイント数を算出する。失効ポイント数は、集計期間において期限切れとなったポイント券の総ポイント数である。CPU11は、失効履歴データから失効日が集計期間内であるデータレコードを全て検索し、該当するデータレコードにそれぞれ表されたポイント数の総和として失効ポイント数を算出する。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき失効数算出手段として機能する。
【0078】
ステップSd8においてCPU11は、残ポイント数を算出する。残ポイント数は、これからサービス提供に使用可能であるポイント数である。CPU11は、集計期間の開始タイミングにける残ポイント数にステップSd4で算出した付与ポイント数を加算するとともに、ステップSd6およびステップSd7で算出した使用ポイント数および失効ポイント数を減算して求まるポイント数として残ポイント数を算出する。なおCPU11は、集計期間の開始タイミングにける残ポイント数を、月計データにおいて最も新しい月日に関連付けて記述された残ポイント数として得ることができる。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき残数算出手段として機能する。
【0079】
ステップSd9においてCPU11は、月計データを更新する。具体的にCPU11は、現在の年月に、ステップSd4乃至ステップSd8でそれぞれ算出した付与ポイント数、発行ポイント数、使用ポイント数、失効ポイント数および残ポイント数を関連付けたデータレコードを月計データに追加する。
【0080】
そして、月計データを更新し終えたならばCPU11は、図9に示す処理を終了する。
【0081】
(一覧表示)
さて、一覧の表示を要求する要求情報が到来した場合にCPU11は、月計データが表す各種のポイント数の全てまたは一部を一覧表で表す一覧表画像の画像データを生成し、この画像データを上記の要求情報への応答として要求元の端末に宛てて送信する。なお、ここでの画像データの送信先は、POS端末2および管理端末3の双方としても良いし、管理端末3のみに制限しても良い。また画像データの送信先にPOS端末2を含む場合でも、複数のPOS端末2の一部のみに制限しても良い。かくしてCPU11は、アプリケーションプログラムに基づき生成手段として機能する。
【0082】
図10は一覧表画像の一例を示す図である。
【0083】
この一覧表画像は、上記のようにサーバ装置1が送信した画像データを受信した端末によって、その端末に備えられた表示デバイスに表示されたり、プリントデバイスによりプリントされたりする。
【0084】
かくして、POSシステム100のユーザが付与ポイント数、発行ポイント数、使用ポイント数、失効ポイント数および残ポイント数を認識できる。
【0085】
以上のようにサーバ装置1によれば、使用ポイント数および失効ポイント数を考慮して残ポイント数を算出する。このため残ポイント数は、ポイント管理ファイルに記述された保有ポイント数の総和とは異なる数となり、ポイントサービスの提供者にとっての債務を保有ポイント数よりも適切に表す情報となる。従って、ポイントサービスの提供者は、残ポイント数に基づいて、ポイントサービスの提供に関わる債務の大きさを、これまでよりも的確に把握することが可能になる。
【0086】
さらに、使用ポイント数および失効ポイント数は、それらを比較することにより、ポイントサービスの提供によるサービス提供者側の経営的な負担の大きさを的確に表す情報となる。そしてポイントサービスの提供者は、使用ポイント数および失効ポイント数に基づいて、ポイントの付与率を調整するなどの措置を講ずることが可能となる。
【0087】
さらにサーバ装置1は、発行ポイント数も一覧表に含める。このため使用ポイント数および失効ポイント数は、ポイントサービスの提供によるサービス提供者側の経営的な負担の大きさをより的確に表す情報となる。つまり、発行ポイント数が明らかになることにより、ポイント券として発行されたポイント数のうちで実際に使用されるポイントおよび失効するポイントのそれぞれの比率が明らかになり、使用ポイント数および失効ポイント数を単純に比較するよりも、サービス提供者側の経営的な負担の大きさをより的確に把握することが可能である。
【0088】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0089】
使用ポイント数および失効ポイント数は、ポイント券が使用される毎または失効する毎に、該当するポイント券のポイント数を積算してゆく処理によって算出することも可能である。そしてこのような処理を採用するならば、使用履歴データおよび失効履歴データは使用しなくても良い。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…サーバ装置、2…POS端末、3…管理端末、4…通信ネットワーク、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…補助記憶デバイス、15…通信デバイス、100…POSシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商取引毎にポイントを顧客に対して付与し、前記顧客が保有するポイント数の少なくとも一部に関する期限付きのポイント券を発行し、前記ポイント券が使用されたことに応じて当該ポイント券のポイント数に応じたサービスを提供するポイント処理システムに適用されるポイント管理装置であって、
全ての顧客に対して規定期間内に付与したポイントの総数として付与ポイント数を算出する付与数算出手段と、
前記規定期間内に使用されたポイント券のポイント数の総数として使用ポイント数を算出する使用数算出手段と、
前記規定期間内に期限切れとなったポイント券のポイント数の総数として失効ポイント数を算出する失効数算出手段と、
前記規定期間の開始時点において全ての顧客が保有するポイント数の総数に前記付与ポイント数を加算するとともに、前記使用ポイント数および前記失効ポイント数を減算して前記規定期間の終了時点における残ポイント数を算出する残数算出手段と、
前記付与ポイント数、前記使用ポイント数、前記失効ポイント数および前記残ポイント数をそれぞれ表す画像を生成する生成手段とを具備するポイント管理装置。
【請求項2】
前記規定期間内に発行したポイント券のポイント数の総数として発行ポイント数を算出する発行数算出手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記付与ポイント数、前記使用ポイント数、前記失効ポイント数および前記残ポイント数に加えて前記発行ポイント数を表すものとして前記画像を生成する請求項1に記載のポイント管理装置。
【請求項3】
使用された前記ポイント券の使用タイミングとポイント数とを関連付けて表す使用履歴データと、期限切れとなった前記ポイント券の失効タイミングとポイント数とを関連付けて表す失効履歴データとを記憶する記憶デバイスと、
前記ポイント処理システムで前記ポイント券が発行されたことに応じて前記使用履歴データを更新する使用履歴更新手段と、
前記ポイント券が期限切れとなったことに応じて前記失効履歴データを更新する失効履歴更新手段とをさらに具備し、
前記使用数算出手段は、前記規定期間内である前記使用タイミングに関連付けて前記使用履歴データに表されたポイント数の総和として前記使用ポイント数を算出し、
前記失効数算出手段は、前記規定期間内である前記失効タイミングに関連付けて前記失履歴データに表されたポイント数の総和として前記失効ポイント数を算出する請求項1に記載のポイント管理装置。
【請求項4】
商取引毎にポイントを顧客に対して付与し、前記顧客が保有するポイント数の少なくとも一部に関する期限付きのポイント券を発行し、前記ポイント券が使用されたことに応じて当該ポイント券のポイント数に応じたサービスを提供するポイント処理システムに適用されるポイント管理装置としてコンピュータを機能させるポイント管理プログラムであって、
前記コンピュータを、
全ての顧客に対して規定期間内に付与したポイントの総数として付与ポイント数を算出する付与数算出手段と、
前記規定期間内に使用されたポイント券のポイント数の総数として使用ポイント数を算出する使用数算出手段と、
前記規定期間内に期限切れとなったポイント券のポイント数の総数として失効ポイント数を算出する失効数算出手段と、
前記規定期間の開始時点において全ての顧客が保有するポイント数の総数に前記付与ポイント数を加算するとともに、前記使用ポイント数および前記失効ポイント数を減算して前記規定期間の終了時点における残ポイント数を算出する残数算出手段と、
前記付与ポイント数、前記使用ポイント数、前記失効ポイント数および前記残ポイント数をそれぞれ表す画像を生成する生成手段として機能させるポイント管理プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、前記規定期間内に発行したポイント券のポイント数の総数として発行ポイント数を算出する発行数算出手段としてさらに機能させるとともに、
前記生成手段は、前記付与ポイント数、前記使用ポイント数、前記失効ポイント数および前記残ポイント数に加えて前記発行ポイント数を表すものとして前記画像を生成するものとする請求項4に記載のポイント管理プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータは、使用された前記ポイント券の使用タイミングとポイント数とを関連付けて表す使用履歴データと、期限切れとなった前記ポイント券の失効タイミングとポイント数とを関連付けて表す失効履歴データとを記憶する記憶デバイスにアクセスが可能であり、
前記コンピュータを、
前記ポイント処理システムで前記ポイント券が発行されたことに応じて前記使用履歴データを更新する使用履歴更新手段と、
前記ポイント券が期限切れとなったことに応じて前記失効履歴データを更新する失効履歴更新手段としてさらに機能させるとともに、
前記使用数算出手段は、前記規定期間内である前記使用タイミングに関連付けて前記使用履歴データに表されたポイント数の総和として前記使用ポイント数を算出するものとし、
前記失効数算出手段は、前記規定期間内である前記失効タイミングに関連付けて前記失履歴データに表されたポイント数の総和として前記失効ポイント数を算出するものとする請求項4に記載のポイント管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−80337(P2013−80337A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219393(P2011−219393)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)