説明

ポリエチレン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物を備えた通信ケーブル

【課題】リサイクルポリエチレン系樹脂の接着力の低下や経時的な劣化を抑制でき、通信ケーブルのクローズドリサイクルにも適するポリエチレン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物を備えた通信ケーブルを提供すること。
【解決手段】本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、樹脂組成物全体の50〜90質量%をバージンポリエチレン系樹脂としてリサイクルポリエチレン系樹脂を希釈し、樹脂組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量を0.5質量%以下にしているので、光ファイバケーブル1のスロットロッド10や、通信ケーブルの外被等に適用した場合であっても、接着力の低下や経時的な劣化、及び接着力の低下等に起因する伝送損失等を抑制することができ、通信ケーブルのクローズドリサイクルに適するポリエチレン系樹脂組成物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物を備えた通信ケーブルに関する。さらに詳しくは、通信ケーブルから回収したリサイクルポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物を備えた通信ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長期間にわたり使用された通信ケーブルは、撤去、回収され、切断されて産業廃棄物として土壌に埋め立てられる等の処理がなされてきた。一方、近年のリサイクル技術の発展に伴い、回収された通信ケーブルに用いられているポリエチレン系樹脂をリサイクル(再生、再製)して、通信ケーブルの構成材料として再度適用する、いわゆる「クローズドリサイクル」が行われている。
【0003】
撤去、回収される光ファイバケーブルやメタルケーブル等の通信ケーブルに用いられているポリエチレン系樹脂としては、例えば、光ファイバケーブルのスロットロッドとして、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体がある。スロットロッドとして適用されているこれらのポリエチレン系樹脂には、押出成形時の酸化劣化の抑制や加工安定性、表面平滑性向上の観点より、酸化防止剤であるブチルヒドロキシトルエン(BHT)が添加されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、通信ケーブルの外被(シース)に使用される低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレンや中密度ポリエチレンにも、酸化防止剤であるブチルヒドロキシトルエンが添加されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−258473号公報
【特許文献2】特開2000−329979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信ケーブルの構成材料として用いられていたポリエチレン系樹脂に添加されるブチルヒドロキシトルエンは、ポリエチレン系樹脂との相溶性が悪いためブリードし易いことに加え、飽和脂肪酸であるため、金属との密着性が良好ではなかった。そのため、例えば、光ファイバケーブル等の通信ケーブルに使用されているポリエチレン系樹脂を回収して再度通信ケーブルに適用した場合、温度の高低が激しい過酷なケーブル布設環境にあっては光ファイバの伝送損失が生じたり、ケーブルの中心に配設されるテンションメンバがスロットロッドから突き出したり、外被と金属ラミネートテープの接着強度が低下するという、ポリエチレン系樹脂の接着力の低下や経時的な劣化等に起因する問題が発生していた。
【0006】
本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、リサイクルポリエチレン系樹脂の接着力の低下や経時的な劣化を抑制でき、通信ケーブルのクローズドリサイクルにも適するポリエチレン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物を備えた通信ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るポリエチレン系樹脂組成物は、バージンポリエチレン系樹脂とリサイクルポリエチレン系樹脂を混合してなるポリエチレン系樹脂組成物であって、前記バージンポリエチレン系樹脂の含有量が樹脂組成物全体に対して50〜90質量%であり、ブチルヒドロキシトルエンの含有量が樹脂組成物全体に対して0.5質量%以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係るポリエチレン系樹脂組成物は、前記請求項1において、前記リサイクルポリエチレン系樹脂に含まれるブチルヒドロキシトルエンが、当該リサイクルポリエチレン系樹脂全体の1.0質量%以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係るポリエチレン系樹脂組成物は、前記請求項1または請求項2において、前記バージンポリエチレン系樹脂がブチルヒドロキシトルエンを含有していないことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係るポリエチレン系樹脂組成物は、前記請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記リサイクルポリエチレン系樹脂が、光ファイバケーブルのスロットロッドから回収されたものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係るポリエチレン系樹脂組成物は、前記請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記リサイクルポリエチレン系樹脂が、通信ケーブルの外被から回収されたものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係る通信ケーブルは、前記した請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係るポリエチレン系樹脂組成物は、樹脂組成物の50〜90質量%をバージンポリエチレン系樹脂とし、リサイクルポリエチレン系樹脂中のブチルヒドロキシトルエンを希釈して、組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量を0.5質量%以下となるようにしているので、光ファイバケーブルのスロットロッドや、光ファイバケーブルやメタルケーブル等の通信ケーブルの外被等に適用した場合であっても、当該スロットロッドとテンションメンバ、あるいは外被と金属ラミネートテープとの接着力の低下や経時的な劣化、及び接着低下等に起因する光ファイバケーブルの伝送損失等を抑制することできる。よって、本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、通信ケーブルのクローズドリサイクルに適するポリエチレン系樹脂組成物を提供することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係るポリエチレン系樹脂組成物は、当該樹脂組成物を構成するリサイクルポリエチレン系樹脂に含まれるブチルヒドロキシトルエンが、当該リサイクルポリエチレン系樹脂全体の1.0質量%以下であるので、所定量のバージンポリエチレン系樹脂で希釈されたポリエチレン系樹脂組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量が確実に0.5質量%以下となり、通信ケーブルの構成材料として再度適用した場合における接着力の低下や経時的な劣化、及び接着力の低下等に起因する光ファイバケーブルの伝送損失等を抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項3に係るポリエチレン系樹脂組成物は、当該樹脂組成物を構成するバージンポリエチレン系樹脂がブチルヒドロキシトルエンを含有しないので、ポリエチレン系樹脂組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量が0.5質量%を超えることもなく、通信ケーブルの構成材料として再度適用した場合における接着力の低下や経時的な劣化、及び接着力の低下等に起因する光ファイバケーブルの伝送損失等を抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係るポリエチレン系樹脂組成物は、当該樹脂組成物を構成するリサイクルポリエチレン系樹脂が光ファイバケーブルのスロットロッドから回収されたものであるので、光ファイバケーブルのスロットロッド用途へのリサイクル材料として好適に使用することができる。
【0017】
本発明の請求項5に係るポリエチレン系樹脂組成物は、当該樹脂組成物を構成するリサイクルポリエチレン系樹脂が、通信ケーブルの外被から回収されたものであるので、通信ケーブルの外被(外被シース)用途へのリサイクル材料として好適に使用することができる。
【0018】
本発明の請求項6に係る通信ケーブルは、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を備えているので、リサイクルポリエチレン系樹脂を構成材料として備えつつ、構成材料の接着力の低下や経時的な劣化もなく、長期的に安定な通信ケーブルとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のポリエチレン系樹脂組成物の一態様について説明する。本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、バージンポリエチレン系樹脂とリサイクルポリエチレン系樹脂を混合してなり、バージンポリエチレン系樹脂の含有量が樹脂組成物全体に対して50〜90質量%であり、ブチルヒドロキシトルエンの含有量が樹脂組成物全体に対して0.5質量%以下であることを基本構成とする。なお、本発明者らは、リサイクルポリエチレン系樹脂をそのまま適用した場合に、接着力の低下や経時的な劣化の問題が生じる原因は、リサイクルポリエチレン系樹脂に含有されるブチルヒドロキシトルエンに由来することを突き止め、本発明を完成させた。
【0020】
本発明のポリエチレン系樹脂組成物を構成するバージンポリエチレン系樹脂としては、通常、光ファイバケーブル、メタルケーブル等の通信ケーブルに適用される高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂を使用することができる。これらのポリエチレン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0021】
前記したバージンポリエチレン系樹脂にあっては、ブチルヒドロキシトルエンを含有しないようにすることが好ましい。バージンポリエチレン系樹脂がブチルヒドロキシトルエンを含有してしまうと、樹脂組成物全体のブチルヒドロキシトルエンが0.5質量%を超え、依然としてブチルヒドロキシトルエン由来の接着低下や経時劣化が発生してしまう場合がある。
【0022】
また、リサイクルポリエチレン系樹脂としては、スロットロッドや外被等、通信ケーブルの構成材料に使用されているポリエチレン系樹脂を回収して用いればよい。一般に、通信ケーブルの構成材料として使用されるポリエチレン系樹脂は、前記したバージンポリエチレン系樹脂と共通するポリエチレン系樹脂からなるものであり、本発明におけるリサイクルポリエチレン系樹脂も、当該ポリエチレン系樹脂からなるようにすればよい。
【0023】
また、かかるリサイクルポリエチレン系樹脂は、通信ケーブルの構成材料として使用される際に酸化防止剤であるブチルヒドロキシトルエンを含む場合が多く、通常は、リサイクルポリエチレン系樹脂全体に対して1.0質量%以下のブチルヒドロキシトルエンを含有している。本発明においても、リサイクルポリエチレン系樹脂全体に対して1.0質量%以下のブチルヒドロキシトルエンを含有するリサイクルポリエチレン系樹脂を使用することが好ましい。リサイクルポリエチレン系樹脂におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量が1.0質量%を超えると、バージンポリエチレン系樹脂で希釈しても、ポリエチレン系樹脂組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量が0.5質量%を超えてしまう場合があり、バージンポリエチレン系樹脂と混合しても依然としてブチルヒドロキシトルエン由来の接着力の低下や経時的な劣化が発生してしまう場合がある。
【0024】
また、例えば、光ファイバケーブルのスロットロッドから回収されたリサイクルポリエチレン系樹脂を所定量のバージンポリエチレン系樹脂と混合して本発明のポリエチレン系樹脂組成物とした場合には、再度光ファイバケーブルのスロットロッドとして適用することが好ましい。同様に、通信ケーブルの外被から回収されたリサイクルポリエチレン系樹脂を所定量のバージンポリエチレン系樹脂と混合して本発明のポリエチレン系樹脂組成物とした場合には、再度通信ケーブルの外被として適用することが好ましい。
【0025】
本発明のポリエチレン系樹脂組成物において、バージンポリエチレン系樹脂とリサイクルポリエチレン系樹脂の配合比は、バージンポリエチレン系樹脂を樹脂組成物全体の50〜90質量%とする。樹脂組成物中のバージンポリエチレン系樹脂の含有量をかかる範囲とすることにより、リサイクルポリエチレン系樹脂に含まれるブチルヒドロキシトルエンがバージンポリエチレン系樹脂により十分に希釈され、組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量が0.5質量%以下となる。本発明のポリエチレン系樹脂組成物にあっては、このように、リサイクルポリエチレン系樹脂中のブチルヒドロキシトルエンを、所定量のバージンポリエチレン系樹脂で希釈して、組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量を0.5質量%以下となるようにしているので、通信ケーブルの構成材料として再度適用した場合であっても、接着力の低下や経時的な劣化、及び接着力の低下等に起因する光ファイバケーブルの伝送損失等を抑制することができる。なお、リサイクルポリエチレン系樹脂は、ブチルヒドロキシトルエンを含んだ状態で、樹脂組成物全体の50〜10質量%とすればよい。
【0026】
なお、本発明のポリエチレン系樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、前記した以外の各種の樹脂成分や各種の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。添加剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物等からなる難燃剤、滑剤、改質剤、ブチルヒドロキシトルエン以外の酸化防止剤、光安定剤、プロセスオイル、シリコンオイル、紫外線吸収剤、紫外線防止剤、カーボンブラック、耐光剤、分散剤、顔料、染料、ブロッキング防止剤、架橋剤、架橋助剤等が挙げられ、また、用途によっては、従来から慣用されている難燃助剤としての赤リン、ポリリン酸化合物、ヒドロキシ錫酸亜鉛、錫酸亜鉛、ほう酸亜鉛、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン等の難燃助剤を添加してもよい。
【0027】
添加剤の適用例としては、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を通信ケーブルの外被に適用する場合には、樹脂組成物に対しては、必要に応じて耐候性を向上させる目的でカーボンブラックや紫外線防止剤、紫外線吸収剤や耐光剤、カラーバッチ、ブチルヒドロキシトルエン以外の酸化防止剤等を適宜添加することができる。また、ケーブルに難燃性を付与する目的で、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムや難燃助剤である赤リン(有機や無機)等を適宜添加することができる。
【0028】
そして、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を、光ファイバケーブルを構成するスロットロッドに適用する場合には、加工性を向上する目的で、本発明の特性を損なわない範囲で、滑剤等の加工助剤や前記した難燃剤、難燃助剤、またはブチルヒドロキシトルエン以外の酸化防止剤や熱的安定剤等を適宜添加することができる。
【0029】
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、前記した各成分及び必要により添加した添加剤をドライブレンドするようにしてもよいが、例えば、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ローラー等の従来公知の混練装置で溶融混練することによりペレット化して簡便に製造することができる。なお、二軸混練押出機を使用した場合には、工程を連続的に実施することができる。
【0030】
次に、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を通信ケーブルに適用した例として、スロットロッドを備えた光ファイバケーブルを挙げて説明する。図1は、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を適用した、スロットロッド10を備えた光ファイバケーブル1の一態様を示した断面図である。
【0031】
図1に示した構成の光ファイバケーブル1に配設されるスロットロッド10は、中心にテンションメンバ11を配設し、その外周に中芯12、及び溝14が形成された外層13が配設されている。また、図1に示す態様の光ファイバケーブル1において、スロットロッド10の溝14には、4本の光ファイバ単心線21からなるテープ心線(4心テープ心線)20を各溝14に5枚積層した態様を示している。また、スロットロッド10の外周には、押巻テープ4が施され、更に熱可塑性の接着剤がラミネートされた金属ラミネートテープ3を、外被2で被覆することにより構成される。本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、光ファイバケーブル1を構成する樹脂材料、例えば、スロットロッド10を構成する中芯12、及び外層13の構成材料として適用することができ、加えて、外被2の構成材料として適用することができる。
【0032】
スロットロッド10は、テンションメンバ11の外周に本発明のポリエチレン系樹脂組成物等の所定の樹脂材料を押出成形して中芯12として、その後、かかる中芯12に所定の樹脂材料を、溝14が形成されるように押出成形して外層13とすることにより得ることができる。なお、スロットロッド10を構成する外層13に形成される溝14の数、幅、深さ、撚りピッチ等の詳細については、求められる特性等により適宜決定することができる。
【0033】
本発明の光ファイバケーブル1を構成するテンションメンバ11としては、亜鉛メッキ鋼線等の鋼線、鋼撚り線等の金属製線材や、ガラス繊維や樹脂(有機)繊維を含む繊維強化プラスチック(FRP)等の非金属製線材からなる非導電性の材料から構成することができる。また、テンションメンバ11の外径については、求められる特性等により適宜決定することができる。
【0034】
スロットロッド10の溝14に配設、積層されるテープ心線20を構成する光ファイバ単心線21としては、従来公知の光ファイバ単心線21を使用すればよく、例えば、石英製ガラス光ファイバの外周に、ポリエーテルウレタンアクリレート等の紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂を被覆したものを使用することができる。なお、光ファイバ単心線21の外径については、求められる特性等により適宜決定することができる。
【0035】
スロットロッド10の外周に施される押巻テープ4としては、例えば、ポリエチレン系テープ、ポリエステル系テープ、ポリプロピレン系テープや有機繊維をテープ状とした、例えば、ポリエステル不織布や吸水性ポリマーをコーティングした吸水性の不織布や上記テープを複数枚貼り合わせたテープ等を使用することができる。また、金属ラミネートテープ3としては、例えば、EEA系(エチレン−アクリル酸エステル)、EVA系(エチ
レン−酢酸ビニル)等の熱可塑性樹脂の接着剤がラミネートされたアルミニウムテープ、ステンレステープ(SUSテープ)、鉄テープを使用することができる。なお、押巻テープ4や金属ラミネートテープ3の厚さについては、求められる特性等により適宜決定することができる。
【0036】
前記した図1の構成の光ファイバケーブル1を得るには、スロットロッド10に形成された溝14にテープ心線20を載置し、周囲に押巻テープ4及び金属ラミネートテープ3を巻き付けたり、または縦添えした後、外被2となる本発明のポリエチレン系樹脂組成物等の所定の樹脂材料を、従来公知の押出成形法、例えば、タンデム押出法やコモン押出法を用いて押出被覆することにより簡便に製造することができる。
【0037】
以上説明したように、本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、リサイクルポリエチレン系樹脂中のブチルヒドロキシトルエンを、所定量のバージンポリエチレン系樹脂で希釈して、組成物全体におけるブチルヒドロキシトルエンの含有量を0.5質量%以下となるようにしている。よって、例えば、図1に示した構成の光ファイバケーブル1のスロットロッド10や、光ファイバケーブル1やメタルケーブル等の通信ケーブルの外被等に適用した場合であっても、当該スロットロッド10のテンションメンバ11との接着低下や経時劣化、外被2と金属ラミネートテープ3との接着力の低下や経時的な劣化、及び接着力の低下等に起因する光ファイバケーブル1の伝送損失等を抑制することでき、通信ケーブルのクローズドリサイクルに適するポリエチレン系樹脂組成物を提供することができる。
【0038】
そして、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を備えた通信ケーブルは、リサイクルポリエチレン系樹脂を構成材料として備えつつ、構成材料の接着力の低下や経時的な劣化もなく、長期的に安定な通信ケーブルを提供可能とする。
【0039】
なお、リサイクルポリエチレン系樹脂をそのまま(バージンポリエチレン系樹脂と混合せずに)使用することで接着強度が低下したり、経時的に劣化したりするのは、以下の理由が考えられる。まず、リサイクルポリエチレン系樹脂が通信ケーブルの構成材料として長期間にわたって屋外などに布設、使用されることで起こるスロットロッドや外被の経年劣化や、回収されたケーブルを再生ペレット化する際に受ける押出加工時の熱劣化や押出機スクリュウと押出機シリンダー内で発生するポリエチレン系樹脂の剪断、次いで、スロットロッドや外被を押出成形する際に受ける熱や剪断により、再生されたスロットロッド材やシース材のポリマーが熱劣化、或いは押出加工時の剪断による劣化でポリエチレンが低分子量化していることが考えられる。
【0040】
そして、リサイクルポリエチレン系樹脂に含有されている酸化防止剤であるブチルヒドロキシトルエンが、低分子量化したポリマー内で動き易くなり、バージンポリエチレン系樹脂に比較して、押出加工時に発生していると推察されるウィークレイヤー現象が顕著になるものと考えられる。加えて、このようなブチルヒドロキシトルエンが経時的にテンションメンバや金属ラミネート側へ移行し易くなっていることから、ポリエチレンと相溶性が悪いブチルヒドロキシトルエンが要因で密着性を阻害したり、密着後の接着を劣化させているものと考えられる。
【0041】
また、図1で製造した光ファイバケーブルの外被2の厚さ方向の最外層部、中間層部、最内表面部、及びスロットロッド10の中芯12の厚さ方向の最外層部、中間層部、最内表面部のブチルヒドロキシトルエンの分布を調査した結果、ブチルヒドロキシトルエンの分布は、スロットロッド10の中芯12、及び外被2のいずれにおいても、最外層部と最内表面部に多く分布していることが分かった。これは、押出成形加工時に押出機ヘッド内のニップル外表面とダイス内表面を溶融した樹脂が通過する際に、分子量が小さいブチルヒドロキシトルエンが、いわゆるウィークレイヤー現象を発生して、ニップル表面とダイス表面近傍に多く分布しながら押し出されて形成されたためと考えられる。
【0042】
このように、リサイクルポリエチレン系樹脂をそのまま通信ケーブルの構成材料として適用した場合には、ブチルヒドロキシトルエン由来の接着低下や経時劣化等が発生するため、本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、リサイクルポリエチレン系樹脂中のブチルヒドロキシトルエンを、所定量のバージンポリエチレン系樹脂で希釈して、当該ブチルヒドロキシトルエンの影響が現れないようにしているのである。
【0043】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0044】
例えば、前記した実施形態では、図1に示す構成の中芯12を有するスロットロッド10を挙げて説明したが、スロットロッド10の構成はこれには限定されず、中芯12を配設せず、テンションメンバ11と外層13が接する構成のスロットロッド10を用いるようにしてもよい。また、中芯12を有する場合であっても、中芯12は1層だけでなく、多層からなるようにしてもよい。
【0045】
前記した実施形態では、図1に示す態様の光ファイバケーブル1において、スロットロッド10の溝14には、4心のテープ心線20を各溝14に5枚積層した態様を示したが、スロットロッド10の溝14の数やテープ心線20を構成する光ファイバ単心線21の本数等はこれらに限定されず、求められる特性や仕様に応じて適宜決定することができる。
【0046】
また、前記した実施形態では、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を、図1に示す構成の光ファイバケーブル1のスロットロッド10及び外被2に適用した例を示したが、当該ポリエチレン系樹脂組成物は、スロットロッドを備えない光ファイバケーブル(例えば、光ファイバドロップケーブル等)やメタルケーブル、ラミネートケーブル等の通信ケーブル全般の外被等の構成材料として適用するようにしてもよい。
【0047】
なお、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を構成するリサイクルポリエチレン系樹脂としては、ブチルヒドロキシトルエンを含有する(含有量が概ねリサイクルポリエチレン系樹脂全体の0質量%を超えて1.0質量%以下、樹脂組成物全体としては0質量%を超えて0.5質量%。)ものを想定しているが、リサイクルポリエチレン系樹脂としてブチルヒドロキシトルエンを含有しないもの(ブチルヒドロキシトルエン含有量が0質量%)を適用することも、本発明の範囲に含むものとする。また、本発明は、リサイクルポリエチレン系樹脂にブチルヒドロキシトルエンが0.5質量%以上含まれている場合に特に効果的である。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
【0049】
[実施例1ないし実施例3、比較例1ないし比較例4、及び参考例1]
表1に示す実施例1ないし実施例3、比較例1ないし比較例4、及び参考例1の構成のポリエチレン系樹脂組成物を用いて、下記の方法により、スロットロッド10を備えた図1に示す構成の光ファイバケーブル1を製造した。
【0050】
なお、ポリエチレン系樹脂組成物は、光ファイバケーブル1の中芯12、及び外被2に適用し、外層13はバージンポリエチレン樹脂(高密度ポリエチレン 密度:956kg/m、メルトフローレート(MFR):0.13g/10分、融点:134℃)を使用した。また、リサイクルポリエチレン系樹脂としては、図1と同様な構成の光ファイバケーブル1の中芯12と外層13から回収した、リサイクルポリエチレン系樹脂全体に対してブチルヒドロキシトルエン(BHT)を1.0質量%含有するポリエチレン系樹脂を使用した。なお、実施例1等について、本発明のポリエチレン系樹脂組成物が適用される中芯12と外被2は、同じ構成の材料(同じバージンポリエチレン系樹脂及びリサイクルポリエチレン系樹脂からなる。)を使用した。
【0051】
外径が1.4mmの単鋼線テンションメンバ11を中心に配し、その外周に、表1に示した構成のポリエチレン系樹脂組成物を、押出成形にて外径5.2mmとなる中芯12を形成するようにした。次いで、形成された中芯12の周囲に、最終仕上がり外径が14.0mmとなるように、バージンポリエチレン系樹脂からなる外層13を、押出される樹脂温度が190℃程度になるよう設定した回転ダイス(図示しない)を通過させ、幅2.7mm、深さ4.2mm、撚りピッチ500mmの溝14を5個有したスロットロッド10を形成した。
【0052】
得られたスロットロッド10の溝14に、光ファイバ単心線21として、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standard Sector)G.652準拠の一般的なシングルモード光ファイバを4本用いた、幅1.1mm、厚さ0.3mmの4心テープ心線20を各溝14に5枚積層した。次いで、その外周に押巻4を施し、更に熱可塑性の接着材がラミネートされた金属ラミネートテープ3を、ポリエチレン系樹脂組成物からなる外被2を厚さ2.0mmとし、仕上がり外径18.5mmとなるように押出成形して、スロットロッド10を備えた図1に示す構成の光ファイバケーブル1を得た。
【0053】
[試験例1]
実施例1ないし実施例3、比較例1ないし比較例4及び参考例1で得られた光ファイバケーブル1を用いて、以下の(1)〜(6)の試験を実施して、比較・評価した。結果を表1に示す。
【0054】
(1)温度特性試験:
長さが1000mの光ファイバケーブル1について、−30℃で保持時間が2時間、+70℃で保持時間が2時間で、3サイクル繰り返されるようにセットされたヒートサイクル槽に入れ、スロットロッド10の各溝14に5枚積層した4心テープ心線20の最下層のテープ心線20と最上層のテープ心線20の1番心線と4番心線のそれぞれを、測定波長1550nmでOTDR(横河電機(株)製)を用いて連続的に損失変動を測定した。
【0055】
評価は、損失変動が0.1dB/km未満の場合を合格(「○」と表示)とした。一方、損失変動が0.1dB/km以上では、情報の伝送エラーを発生させるおそれがあることから不合格(「×」と表示)とした。
【0056】
(2)テンションメンバの引き抜き強度測定(温度特性試験前):
光ファイバケーブル1を構成するスロットロッド10を長さ100mmに切り出し、切り出したスロットロッド10の片端部25mmのポリエチレン系樹脂部分を完全に除去してテンションメンバ11を露出させた。次いで、スロットロッド10の残り片端部50mmも同様にポリエチレン系樹脂部分を完全に除去して、ポリエチレン樹脂部分が25mm長さ残るようにして、引き抜き強度測定用の試験サンプルXを作成した。
【0057】
図2は、テンションメンバの引き抜き強度測定に使用される装置(引き抜き強度測定装置6)の一態様を示した正面図である。前記のようにして作成した試験サンプルXを、穴径1.45mmの金属ダイス61に差し込み、金属ダイス61に差し込んだ側のテンションメンバ11がテンシロン型引張試験のチャック部62に固定できるように、ダイス固定治具63にセットした。セット後、引張速度50mm/分の条件でポリエチレン系樹脂部分の25mmを図2の矢印の方向に引き抜き、引き抜ける際の最大荷重をロードセル64で測定した。
【0058】
評価は、引き抜ける際の最大荷重が300N以上の場合を合格(「○」と表示)とした。一方、300N未満では、ケーブル布設時等での張力負荷や布設後のケーブルが受ける環境温度変化等によるケーブル構成部材の伸縮で、スロットロッド10の溝14内部に収納されている光ファイバ心線20の長さとケーブル1本体の長さの設計バランスが崩れてしまい、情報の伝送エラーの発生や、最悪の場合は、光ファイバ心線20の断心のおそれがあることから不合格(「×」と表示)とした。
【0059】
(3)テンションメンバの引き抜き強度測定(温度特性試験後):
前記した(1)温度特性試験を実施した光ファイバケーブル1を構成するスロットロッド10を用いて、(2)と同様な方法を用いて引抜強度試験を実施した。
【0060】
評価は、前記した(2)と同様に、引き抜ける際の最大荷重が300N以上の場合を合格(「○」と表示)とし、当該最大荷重が300N未満の場合を不合格(「×」と表示)とした。
【0061】
(4)テンションメンバ突き出し量測定:
光ファイバケーブル1を構成するスロットロッド10を長さ500mm強に切り出し、試験サンプル長さが500mmとなるように両端を平滑に研磨して試験用サンプルを作製した。作製した試験サンプルを、温度100℃雰囲気の恒温槽内に24時間放置し、次いで、24時間放置後の試験サンプルを室温に2時間以上放置して常温度に戻した後のテンションメンバ11の突き出し量を、10倍に拡大可能な万能投影機((株)ニコンインステック製)にて測定した。
【0062】
評価は、テンションメンバ11の両端の突き出し量の合計が2mm未満の場合を合格(「○」と表示)とした。一方、突き出し量の合計が2mm以上では、布設後のケーブル1が受ける環境温度変化等によるケーブル構成部材の伸縮で、スロットロッド10の溝14内部に収納されている光ファイバ心線20の長さとケーブル1本体の長さの設計バランスが崩れてしまい、情報の伝送エラーの発生や最悪の場合は、光ファイバ心線20の断心のおそれがあることから、不合格(「×」と表示)とした。
【0063】
(5)金属ラミネートテープ剥離強度測定(温度特性試験前):
光ファイバケーブル1のコア内への水分の透湿を防止する目的で配設している金属ラミネートテープ3が外被2と十分に接着(融着)しているかを、剥離強度を測定することにより評価した。光ファイバケーブル1の長手方向に対して、幅10mm、長さ200mmの金属ラミネートテープ剥離試験用のサンプル(金属ラミネートテープ3と外被2が接着している状態)の短冊試験片Yを切り出した。
【0064】
図3は、金属ラミネートテープ剥離強度測定に使用される装置(剥離強度測定装置7)の一態様を示した側面図である。切り出した短冊試験片Yの片端部の金属ラミネートテープ3を外被2より長手方向に130mm程度剥がし、剥がした金属ラミネートテープ3の端をテンシロン型引張試験機の下部チャック部71に固定した。また、外被2の背側を金属製の添え板73に添わせ、短冊試験片Yのもう一方の端末(外被2)を金属性の添え板73とともにテンシロン型引張試験機の上部チャック部72に固定した。そして、当該下部チャック部71を図3の矢印方向に引張速度50mm/分の速度で引き下げ、金属ラミネートテープ3を外被2より長さ50mm部分を引き剥がし、引き剥がされる際の剥離強度を測定した。なお、短冊試験片Yの背側を金属製の添え板73に添わせているのは、引き剥がす際の剥離角度が180°となるようにするためである。
【0065】
評価は、50mm剥離した際の剥離強度が、40N/10mm以上の場合を合格(「○」と表示)とした。一方、40N/10mm未満では、ケーブル1が布設時や布設後に何らかの理由で受けた外力(例えば、曲げや捻回等)により、金属ラミネートテープ3が剥がれてしまい、剥がれた金属ラミネートテープ3の部分に応力が集中して、金属ラミネートテープが破損(例えば、亀裂や切断など)するなどのおそれがある。また、布設後の外被2に何らかの理由で傷が生じた際、外被の傷より進入した水(雨や雪解け水、排水等)が、破損した金属ラミネートテープ3より進入して、光ファイバ単心線21に悪影響を与えたり、メタルケーブルの絶縁線に絶縁不良や混線等の不具合を発生させてしまうおそれがあることから不合格(「×」と表示)とした。
【0066】
(6)金属ラミネートテープ剥離強度測定(温度特性試験後):
金属ラミネートテープ3が水の存在下により、外被2との接着が劣化しないかを、(5)と同様に剥離強度を測定することにより評価した。光ファイバケーブル1の長手方向に対して、幅10mm、長さ200mmの金属ラミネートテープ剥離試験用のサンプル(金属ラミネートテープ3と外被2が接着(融着)している状態)の短冊試験片Yを切り出した。切り出した短冊試験片Yを、40℃の温水槽に5日間浸漬した。5日間浸漬後に短冊試験片Yを取り出し、前記の(5)と同様な方法を用いて、金属ラミネートテープ3と外被2の剥離強度を測定した。
【0067】
評価は、50mm剥離した際の剥離強度が、30N/10mm以上を合格(「○」と表示)とした。一方、50mm剥離した際の剥離強度が30N/10mm未満の場合を不合格(「×」と表示)とした。
【0068】
(測定結果)
【表1】

【0069】
表1に示すように、実施例1ないし実施例3の光ファイバケーブル1は、全ての評価項目について問題のない結果であり、本発明のポリエチレン系樹脂組成物がスロットロッド10を備えた光ファイバケーブル1のクローズドリサイクルとして適する樹脂材料であることが確認できた。このように、本発明は、リサイクルポリエチレン系樹脂にブチルヒドロキシトルエンが0.5質量%以上含まれている場合に特に効果的である。
【0070】
一方、本発明のポリエチレン系樹脂組成物の構成と比較してバージンポリエチレン系樹脂の含有量が少なく、組成物全体に対するブチルヒドロキシトルエンの含有量が0.5質量%を超える比較例の光ファイバケーブルは、全ての評価項目を満足する結果とならなかった。また、ブチルヒドロキシトルエン及びリサイクルポリエチレン系樹脂全体の含有量が高くなるほど、満足できない評価項目は増加し、比較例3及び比較例4に至っては、全ての評価項目について不合格であった。
【0071】
なお、参考例1は、バージンポリエチレン系樹脂99.4質量%、ブチルヒドロキシトルエンを0.6質量%添加した例であるが、ポリエチレン系樹脂がバージン材のみであるので、長期間の布設による劣化、リサイクル時の熱劣化、押出剪断劣化を受けておらず、ブチルヒドロキシトルエンをポリエチレン系樹脂組成物全体の0.5質量%を超えて含有しても、各評価項目を満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のポリエチレン系樹脂組成物を備えた光ファイバケーブルの構成の一実施形態を示した断面図である。
【図2】試験例1において、テンションメンバの引き抜き強度測定に使用される装置の一態様を示した正面図である。
【図3】試験例1において、金属ラミネートテープ剥離強度測定に使用される装置の一態様を示した側面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光ファイバケーブル
2 外被
3 金属ラミネートテープ
4 押巻テープ
10 スロットロッド
11 テンションメンバ
12 中芯
13 外層
14 溝
20 テープ心線
21 光ファイバ単心線
6 引き抜き強度測定装置
61 金属ダイス
62 チャック部
63 ダイス固定治具
64 ロードセル
7 剥離強度測定装置
71 下部チャック部
72 上部チャック部
73 添え板
X 試験サンプル
Y 短冊試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バージンポリエチレン系樹脂とリサイクルポリエチレン系樹脂を混合してなるポリエチレン系樹脂組成物であって、
前記バージンポリエチレン系樹脂の含有量が樹脂組成物全体に対して50〜90質量%であり、
ブチルヒドロキシトルエンの含有量が樹脂組成物全体に対して0.5質量%以下であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記リサイクルポリエチレン系樹脂に含まれるブチルヒドロキシトルエンが、当該リサイクルポリエチレン系樹脂全体の1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記バージンポリエチレン系樹脂がブチルヒドロキシトルエンを含有していないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記リサイクルポリエチレン系樹脂が、光ファイバケーブルのスロットロッドから回収されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記リサイクルポリエチレン系樹脂が、通信ケーブルの外被から回収されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物を備えたことを特徴とする通信ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−235367(P2009−235367A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87447(P2008−87447)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】