説明

ポリ(エチレンオキシド)を含む低光沢水性コーティング組成物

【課題】フロアポリッシャー、仕上げ剤およびシーラー、並びに壁および床用塗料等として好適に用いることのできる、低光沢な水性コーティング組成物の提供。
【解決手段】A)水を含む水系溶媒を1〜95重量%;B)ポリマーバインダーを5〜80重量%;およびC)一般式[−CH2CH2O−]n(式中、n=1,000〜200,000)を有する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を0.05〜10重量%;含む、床上に使用するためのコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロアポリッシュ、仕上げ剤、およびシーラー、並びに壁および床用塗料およびシーラーのための低光沢を有する水性コーティング組成物に関する。この水性コーティング組成物は1種以上の水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂および1種以上のポリマーバインダーを含む。
【背景技術】
【0002】
光沢の制御は多くの基材、例えば、皮革、木材、ガラス、メーソンリー、ビニルおよびビニル組成物フローリング、リノリウムフローリングおよび壁などのための保護および/または装飾コーティングのデザインおよび用途において重要であり得る。
【0003】
床用コーティングのような特定の用途においては、基材の保護の程度を維持しつつ光沢を制御することが望ましい。例えば、老人マネージドケア施設に関連する場合におけるような、いくつかの例においては、過剰な光沢は望まれる特徴ではない。光沢の床はその施設の高齢患者に滑りやすいと受け取られる(たとえそうでなくても)傾向がある。耐スリップ性を影響しないが、基材の保護のための膜も維持しつつ、このコーティングの光沢を低減させることが望まれる。
【0004】
光沢を低くする方法の一つは艶消し剤を添加することであり、この艶消し剤は無機粒子、例えば、シリカもしくは炭酸カルシウム粒子など、もしくは有機粒子、例えば、ポリウレタン分散物などであり、これらは膜の表面を粗化することにより機能し、または、水に分散されたアクリル酸分散剤であって、これは凝集して膜形成を邪魔するように機能する。光沢を低減させるのに効果的であるが、これら艶消し粒子は多くの場合膜の一体性を破壊し、かつ耐水性および耐摩耗性、スリップなどの重要な膜特性の喪失を引き起こしうる。さらに、艶消し粒子はこすった後で、滑らかになるかまたはつやを出して、時間の経過によって光沢の増大を導く傾向がある。無機艶消し粒子も、ひいては、溶液から沈降する傾向もある。
【0005】
粒子サイズの制御、ランダム光散乱を最小限にすること、粒子とマトリックスとの間の屈折率の注意深い選択、またはマトリックスもしくは膜形成性ポリマーを変更することによる艶消し粒子の使用に関連する問題を克服するために、他のことが不成功ながらも試みられてきた。しかし、このようなアプローチは、艶消し効果のために透明性もしくは膜特性を犠牲にし、かつ有用な組成物の範囲を著しく制限する場合がある。
【0006】
例えば、米国特許出願公開第2004/0062913号は、退色に耐性の合成皮革物品を形成するジェットブラック材料を提供する有機もしくは無機多孔質微粒子艶消し粒子を含む水系または溶媒系熱硬化性樹脂組成物を記載する。コーティングもしくは膜組成物において使用される場合には、米国特許出願公開第2004/0062913号に記載されるこの艶消し粒子は低下した品質および可撓性、さらには粉を吹いたもしくはかすんだ外観を有する膜を生じさせる傾向を有する。さらに、このシステムが溶媒系である場合には、許容できない量の揮発性有機化合物(VOC)が存在し、これは健康、環境および安全の観点から望ましくない。
【0007】
国際公開第2011/008631号は光沢低減剤を含み、そして様々な仕上げ組成物、例えば、フロアケア組成物に有用であるポリマー組成物を記載する。国際公開第2011/008631号に記載される光沢低減剤はポリマーおよび脂肪酸の金属塩を含み、これは炭化水素(すなわち、一価ヒドロカルビル)鎖、カルボン酸および会合した金属イオンを含む化学配合物として記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0062913号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/008631号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、他の有益な特徴を喪失することなく、低光沢を有するコーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般式[−CHCHO−](式中、n=1,000〜200,000)を有する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を含む、床上に使用するためのコーティング組成物を提供する。より具体的には、このコーティング組成物は、A)水を含む水系溶媒を20〜95重量%;B)ポリマーバインダーを5〜80重量%;およびC)前記水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を0.05〜10重量%含む。
【0011】
この水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂はエチレンオキシドから生じる重合単位を含む。この水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから生じる重合単位を含むことができる。水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂は50,000〜8,000,000の重量平均分子量を有する。
【0012】
ポリマーバインダーは、1種以上のエチレン性不飽和モノマーから生じる重合単位を含むポリマーである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂および水不溶性ポリマーバインダーを含み、耐艶出し性(burnish resistance)、耐スリップ性を有する(静止摩擦係数に合格する)艶消し(低光沢)床用コーティングとして有用である水性コーティング組成物に関する。水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂成分および水不溶性ポリマーバインダー成分は、この組成物が溶液中に沈殿物およびゲルを含まないままであるように互いに相溶性であるが、基材への適用および乾燥後はこの組成物は艶消しもしくは不透明な外観を有する。
【0014】
以下の説明において、範囲の端点は明確であると見なされかつその許容範囲内に、当業者の知識の範囲内の他の値、例えば、これに限定されないが、本発明に関連するそのそれぞれの端点とは有意性なく異なっている他の値を組み込んでいると認識される(言い換えれば、端点はそれぞれの端点についての「約」もしくは「近く」もしくは「付近」の値を組み込むものと解釈される)ことに留意されたい。本明細書において言及される範囲および比率の境界は組み合わせ可能である。例えば、1〜20および5〜15の範囲が特定のパラメータについて示されている場合には、1〜5、1〜15、5〜20または15〜20の範囲もそれによって企図されかつ包含されると理解される。
【0015】
本明細書において示される全てのパーセンテージは、他に示されない限りは、重量パーセンテージである。本明細書において使用される場合、「ポリマー」とは、同じかまたは異なる種類かには関わらず、モノマーを重合することにより製造される高分子化合物を意味する。総称的な用語「ポリマー」には、用語「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」並びに「インターポリマー」が含まれる。また、本明細書において使用される場合、用語「樹脂」および「ポリマー」は同義語である。
【0016】
本明細書において、重合技術に従って合成されるポリマー分子を言及するのに用語「から生じる重合単位」が使用される場合には、生成物ポリマーは重合反応の出発材料である構成モノマー「から生じる重合単位」を含む。
【0017】
典型的には、本発明における使用に適しており、そしてさらに以下で詳述されるポリ(エチレンオキシド)(PEO)樹脂はエチレンオキシドから生じる重合単位を含む。この樹脂は、エチレンオキシドに加えて、プロピレンオキシドのような他のモノマーから生じる単位を含むこともできる。ポリ(エチレンオキシド)(PEO)樹脂は水に可溶性であり、かつ水に分散される場合に本質的に透明で、均質な組成物を提供する。驚くべきことに、基材に適用されるこれら樹脂を含む膜形成性組成物のようなコーティング組成物が配合される場合には、乾燥塗膜は艶消しもしくは不透明に見える。
【0018】
より具体的には、本発明における使用に適する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂は、一般式[−CHCHO−]、式中、n=1,000〜200,000、例えば、1,000〜100,000、またはさらには1,000〜50,000を有する。このポリ(エチレンオキシド)樹脂は20℃および大気圧で0.1%〜100%の水中溶解度を有しうる。さらに、適する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂成分は50,000〜8,000,0000グラム/モル(g/モル)、例えば、75,000〜4,000,000g/モル、またはさらには100,000〜1,000,000g/モルの重量平均分子量(MW)を有する。
【0019】
本発明の水性コーティング組成物における使用に適する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を製造する方法は、当業者によく知られておりかつ特に限定されない。例えば、触媒の存在下での、非溶媒希釈剤中でのエチレンオキシドの不均一配位アニオン重合は、水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂の製造に適するであろう。このアニオン重合を容易にすることで知られる触媒には、塩基、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または他の化合物、またはさらには亜鉛をベースにしたそれらのものが挙げられる。さらに、水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を得るために、触媒、例えば、プロトン酸(HClO、HCl)、ルイス酸(SnCl、BFなど)、有機金属化合物、またはより複雑な試薬の存在下で、エチレンオキシドのカチオン重合が行われうる。有機金属触媒を用いる開環重合プロセスによってエチレンオキシドから水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を製造することも可能である。もちろん、エチレンオキシドおよび他のモノマー、例えば、プロピレンオキシドから生じる重合単位を含む樹脂が望まれる場合には、重合を受ける反応混合物中にこれら両方の種類のモノマーが存在すべきである。
【0020】
水性コーティング組成物の光沢/外観を変えるのに成功するのが認められたポリ(エチレンオキシド)樹脂には、ポリオックス(POLYOX(商標))水溶性樹脂が挙げられ、これは米国、ミシガン州、ミッドランドのザダウケミカルカンパニーから商業的に入手可能な非イオン性高分子量水溶性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーである。異なる種類および濃度の適するポリオックス化合物には、限定されないが、ポリオックスWSR N−10、ポリオックスWSR N−80、ポリオックスWSR N−750、ポリオックスWSR N−3000、ポリオックスWSR−205、ポリオックスWSR−1105、ポリオックスWSR N−12K、ポリオックスWSR−301、ポリオックスWSRコアギュラント、ポリオックスWSR−303、ポリオックスWSR−308、ユーカーフロック(UCARFLOC(商標))ポリマー300、ユーカーフロックポリマー302、ユーカーフロックポリマー304、ユーカーフロックポリマー309が挙げられる。例えば、代表的なポリオックス樹脂は以下の表1にその重量平均分子量と共に列挙される。
【0021】
【表1】

レオロジー測定に基づく。
【0022】
コーティング組成物に配合される場合に光沢制御特性を増強させるのに適しうる他の市販のポリ(エチレンオキシド)樹脂材料には、限定されないが、日本国、京都の明成化学工業株式会社からのアルコックス(ALKOX(登録商標))樹脂が挙げられる。このアルコックス(登録商標)樹脂は100,000〜8,000,000の分子量範囲を有する。適すると考えられるアルコックス(登録商標)樹脂の具体例は、例えば、アルコックスR−150、アルコックスR−400、アルコックスR−1000、アルコックスE−30、アルコックスE−45、アルコックスE−60、アルコックスE−75、アルコックスE−100、アルコックスE−130、アルコックスE−160、アルコックスE−240、アルコックスE−300、アルコックスL−6、アルコックスL−8、アルコックスL−11である。さらに、日本国、大阪の住友精化株式会社から入手可能な、PEO(登録商標)水溶性熱可塑性樹脂、例えば、PEO−27、PEO−18Z、PEO−15Z、PEO−8Z、PEO−4、PEO−3Z、PEO−2、PEO−1Zなどが、本発明のコーティング組成物中に使用するのに適する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂であると考えられる。
【0023】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーである水溶性PEO樹脂材料も本発明のコーティング組成物中で光沢制御特性を増大させるために適しうることにさらに留意されたい。エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのこのコポリマーには、限定されないが、アルコックスEP−10およびアルコックスEP−20のようなアルコックス樹脂が挙げられ、これらは日本国、京都の明成化学工業株式会社から市販されている。
【0024】
本発明における使用に適するポリマーバインダーは1種以上のエチレン性不飽和モノマーから生じる水不溶性エマルションポリマーである。この水不溶性エマルションポリマーは以下の成分のうちの1種以上を含むことも可能である:酸官能性残基、多価金属イオンおよび錯体架橋剤(complex crosslinking agent)。このようなポリマーバインダーは、例えば、米国特許第2,795,564号、第3,328,325号、第3,467,610号、第3,554,790号、第3,573,329号、第3,711,436号、第3,808,036号、第4,150,005号、第4,517,330号、第5,149,745号、第5,319,018号、第5,574,090号、第5,676,741号、および第6,548,596号に記載されている。
【0025】
本発明における使用に適する水不溶性ポリマーバインダーは−1〜120℃、例えば、25℃〜90℃、または40℃〜80℃、またはさらには50℃〜75℃のガラス転移温度(T)を有する。この「ガラス転移温度」すなわち「T」は本明細書において使用される場合、その温度以上の温度でガラス状のポリマーがポリマー鎖のセグメント運動を受けるであろう温度を意味する。ポリマーのガラス転移温度は以下のようなフォックス式(Bulletin of American Physics Society,1(3)、123ページ、1956)によって推定されうる:
【数1】

【0026】
2種類のモノマーを含むコポリマーについては、wおよびwはこの2種類のモノマーの重量分率を表し、かつTg,1およびTg,2はこれらモノマーから製造される2種類の対応するホモポリマーのガラス転移温度を表す。3種以上のモノマーを含むポリマーについては、追加の項が加えられる(w/Tg,n)。ポリマーのTは、例えば、示差走査熱量測定(DSC)をはじめとする様々な技術によっても測定されうる。
【0027】
本発明のコーティング組成物における使用に適する水不溶性ポリマーバインダーの製造方法は当該技術分野において知られており、特に限定されない。この製造方法は溶液、分散および乳化重合方法から選択されうる。有用なポリマーバインダーを製造するのに乳化重合が特に有用である。乳化重合の実施は周知であり、文献において、例えば、D.C.Blackley(ブラックレイ)、乳化重合(Emulsion Polymerization)(ウイリー(Wiley)、1975)に詳細に論じられている。重合温度は典型的には周囲温度から90℃であり、分散剤、開始剤、促進剤、乳化剤、連鎖移動剤の使用も伴うことができる。当業者に容易に理解されるであろうように、分散剤にはアニオン性または非イオン性分散剤が挙げられることができ、重合開始剤はフリーラジカル型のもの、例えば、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムでありうる。開始剤は単独でまたは促進剤、例えば、メタ重亜硫酸カリウムもしくはチオ硫酸ナトリウムと共に使用されることができる。適する乳化剤の例には、例えば、アルキル、アリール、アルカリールおよびアラルキルスルホナート、スルファート、ポリエーテルスルファートのアルカリ金属およびアンモニウム塩、並びに脂肪酸、エステル、アルコール、アミン、アミドおよびアルキルフェノールのアルコキシ化誘導体が挙げられる。ポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤、例えば、メルカプタン、ポリメルカプタンおよびポリハロゲン化合物などが重合混合物中に使用されうる。
【0028】
適する水不溶性ポリマーバインダーは、重合単位として、カルボキシル基、スルホン基およびホスホン基の1種以上から選択される酸性官能基を含む1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを5%〜90%、例えば、5%〜80%、5%〜50%、またはさらには10〜20%含むことができる。例えば、適するカルボン酸モノマーには、限定されないが、モノエチレン性不飽和(C−C)カルボン酸モノマー、例えば、不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸モノマーが挙げられる。例えば、不飽和モノカルボン酸には、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、アルファ−エタクリル酸、ベータ−ジメタクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、アクリルオキシプロピオン酸、並びにこれらのアルカリおよび金属塩が挙げられる。適する不飽和ジカルボン酸モノマーには、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、並びにこれらのアルカリおよび金属塩が挙げられる。
【0029】
追加の適するスルホン酸もしくはホスホン基を含むモノエチレン性不飽和モノマーには、例えば、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリル−アミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレン−スルホン酸、ビニルスルホン酸、2−スルホエチルメタクリラート、3−スルホプロピルアクリラート、3−スルホプロピルメタクリラート、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミドおよびホスホエチルメタクリラートが挙げられる。
【0030】
さらなる例として、1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーは、ヒドロキシ、チオールおよびアミノ基から選択される1以上のペンダント反応性官能基を含む1種以上の(メタ)アクリルモノマーを含むことができる。適するヒドロキシ官能性(メタ)アクリルモノマーには、例えば、ヒドロキシル(C−C)アルキル(メタ)アクリラート、例えば、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラートおよびヒドロキシプロピルアクリラートが挙げられる。適するアミノ官能性(メタ)アクリルモノマーには、例えば、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチル−アミノプロピルメタクリラート、およびジメチルアミノプロピルアクリラートが挙げられる。適するチオール官能性(メタ)アクリルモノマーには、例えば、2−メルカプトプロピルメタクリラートが挙げられる。
【0031】
さらなる例として、1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーは1種以上の(C−C20)アルキル(メタ)アクリラートエステルモノマー、例えば、限定されないが、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、セカンダリーブチルアクリラート、ターシャリー−ブチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、イソプロピルメタクリラート、シクロプロピルメタクリラート、ブチルメタクリラートおよびイソブチルメタクリラート、ヘキシルおよびシクロヘキシルメタクリラート、シクロヘキシルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート(EHA)、2−エチルヘキシルメタクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、イソデシル(メタ)アクリラート、ウンデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート(ラウリル(メタ)アクリラートとしても知られている)、トリデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート(ミリスチル(メタ)アクリラートとしても知られている)、ペンタデシル(メタ)アクリラート、ヘキサデシル(メタ)アクリラート(セチル(メタ)アクリラートとしても知られている)、ヘプタデシル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート(ステアリル(メタ)アクリラートとしても知られている)、ノナデシル(メタ)アクリラート、エイコシル(メタ)アクリラート、並びにこれらの組み合わせを含むことができる。典型的には、(C−C20)アルキル(メタ)アクリラートエステルは、(C−C)アルキル(メタ)アクリラートエステル、および好ましくは(C−C)アルキルアクリラートエステルであり;より好ましくは、(C−C20)アルキル(メタ)アクリラートエステルは、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラートおよび2−エチルヘキシルアクリラートから選択され;最も好ましくは、このアクリラートエステルはブチルアクリラートおよび2−エチルヘキシルアクリラートから選択される。
【0032】
水不溶性ポリマーバインダーを製造するのに使用される1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーは、1種以上のビニル芳香族モノマー、例えば、スチレン、アルファ−メチルスチレンおよび置換スチレン、例えば、ビニルトルエン、2−ブロモスチレン、4−クロロスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、アルファ−シアノスチレン、アリルフェニルエーテルおよびアリルトリルエーテルを含むことができる。水不溶性ポリマー樹脂が重合単位として、0〜50%、例えば、0〜25%の1種以上の他の共重合性モノマーを含むことも可能である。適する他の共重合性モノマーには、例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトニトリル、アルファ−クロロアクリロニトリル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチレン、メチルビニルチオエーテルおよびプロピルビニルチオエーテル、ビニルアルコールのエステル、並びにエチレン性不飽和(C−C)カルボン酸のアミド、窒素の位置で1もしくは2つの(C−C)アルキル基で置換されているエチレン性不飽和(C−C)カルボン酸のアミド、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−メチロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0033】
本発明の水性コーティング組成物は水を含む水系溶媒を1〜95重量%;ポリマーバインダーを5〜80重量%;および水溶性ポリ(エチレンオキシド)を0.05〜10重量%含み、全ての重量パーセントはこの水性コーティング組成物の全重量を基準にする。本発明の水性コーティング組成物は10,000センチポアズ未満の粘度を有する。
【0034】
ある実施形態においては、水性コーティング組成物は水を含む水系溶媒を50〜95重量%、またはさらには75〜95重量%含むことができる。
【0035】
ある実施形態においては、水性コーティング組成物は10〜60重量%、またはさらには25〜60重量%のポリマーバインダーを含むことができる。
【0036】
ある実施形態においては、水性コーティング組成物は水溶性ポリ(エチレンオキシド)を0.05〜8重量%、またはさらには0.1〜5重量%、またはさらには0.1〜2.5重量%含むことができる。
【0037】
他の既知の水性コーティング組成物におけるように、本発明の組成物は、水を含む水系溶媒、ポリマーバインダーおよび水溶性ポリ(エチレンオキシド)以外の追加の成分を含むことができる。例えば、コーティング組成物は、とりわけ、溶媒、防腐剤、湿潤剤、平滑化剤、ワックスエマルション、脱泡剤および粘度調節剤の1種以上を含むことも可能である。全てではなくても、ほとんどのそのような追加の成分は当業者に周知であり、かつその使用は本発明に関連して特に限定されない。以下の情報は一般的な案内のためだけであり、当業者はそれをすでに充分に備えており、かつそれを評価するのに最も良いポジションにいると考えられるので、現在もしくは将来において知られているそのような追加の成分は、もしあれば、具体的なコーティング組成物およびその意図される用途に応じて有利であり得る。
【0038】
例えば、限定されないが、適する溶媒には、例えば、造膜溶媒(coalescing solvent)および可塑化溶媒が挙げられる。適する造膜溶媒は、例えば、とりわけ、ブトキシエチルプロパゾル(PROPASOL(商標))、ブチルカルビトール(CARBITOL(商標))、ブチルセロソルブ(CELLOSOLVE(商標))アセタート、ブチルセロソルブ(商標)、ブチルジプロパゾル(DIPROPASOL(商標))、ブチルプロパゾル(商標)、カルビトール(商標)PM−600、カルビトール(商標)低重力、セロソルブ(商標)アセタート、セロソルブ(商標)、エステルEEP(商標)、フィルマー(FILMER)IBT(商標)、ヘキシルカルビトール(商標)、ヘキシルセロソルブ(商標)、メチルカルビトール(商標)、メチルセロソルブ(商標)アセタート、メチルセロソルブ(商標)、メチルジプロパゾル(商標)、メチルプロパゾル(商標)アセタート、メチルプロパゾル(商標)、プロピルカルビトール(商標)、プロピルセロソルブ(商標)、プロピルジプロパゾル(商標)、およびプロピルプロパゾル(商標)から選択されることができ、これらの全ては米国、ミシガン州、ミッドランドのダウケミカルカンパニーから入手可能である。
【0039】
適する可塑化溶媒は、例えば、とりわけ、エチレングリコールフェニルエーテル(ダウケミカルカンパニーから「ダウアノール(DOWANOL(商標))EPh」として市販)、プロピレングリコールフェニルエーテル(ダウケミカルカンパニーからダウアノール(商標)PPhとして市販);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート;トリブトキシエチルホスファート;二塩基エステル、ジメチルアジパート、ジメチルスクシナート、ジメチルグルタラート、ジメチルマロナート、ジエチルアジパート、ジエチルスクシナート、ジエチルグルタラート、ジブチルスクシナート、およびジブチルグルタラート(米国、デラウエア州、ウィルミントンのE.I.du Pont(デュポン)de Nemorus and Companyからの取引記号DBE、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IBおよびDBE−MEで市販されている製品など);ジアルキルカルボナート、例えば、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、ジプロピルカルボナート、ジイソプロピルカルボナートおよびジブチルカルボナート;フタラートエステル、例えば、ジブチルフタラート、ジエチルヘキシルフタラートおよびジエチルフタラートから選択されうる。
【0040】
適する防腐剤には、ケーソン(KATHON(登録商標))CG/ICP、コラロン(KORALONE(商標))BIT、ネオロン(NEOLONE(商標))M−10、ロシマ(ROCIMA(商標))586、ウカルシド(UCARCIDE(商標))25、ウカルシド(商標)50、ビオバン(BIOBAN(商標))BP、ビオバン(商標)DXN、ビオバン(商標)CS−1135、ビオバン(商標)CS−1246、ダウイサイド(DOWICIDE(商標))OPP、ダウイシル(DOWICIL(商標))75およびダウイシル(商標)150が挙げられ、これらの全てはザダウケミカルカンパニーから入手可能であり、他のものも当業者に知られている。
【0041】
本発明のコーティング組成物における使用に適する樹脂およびエマルションには、これに限定されないが、水性ポリエチレンワックス分散物、例えば、米国、ニュージャージー州、モリスタウンのハネウエルコーポレーションから市販されている、A−C(登録商標)ポリエチレンおよびアキュミスト(Acumist(登録商標))ポリエチレンをベースのするもの;エポレン(Epolene(登録商標))ポリエチレンポリマー、水性ポリプロピレンワックス分散物、例えば、ハネウェルコーポレーションから市販されているアキュミスト(登録商標)ポリプロピレンもベースにしたもの、および米国、テキサス州、ヒューストンのウェストレイクケミカルからのエポレン(登録商標)マレアート化ポリプロピレン;水性ポリオレフィン分散物、例えば、ハネウェルコーポレーションから入手可能なA−C(登録商標)ポリオレフィンおよびマレアート化ポリオレフィンをベースにしたもの;アクリゾル(Acrysol(登録商標))およびロープレックス(Rhoplex(登録商標))エマルションをベースにしたアルカリ可溶性樹脂、ASR PLUS S25、全てはダウケミカルカンパニーから市販されている;米国、ニュージャージー州、フローラムパークのBASFから市販されているジョンクリル(Joncryl(登録商標))ポリマー;水性スチレン無水マレイン酸樹脂、例えば、米国、ペンシルベニア州、エクストンのサルトマーからのもの;並びに、ロジンエステルの水性分散物、例えば、米国、ノースカロライナ州、セバーンのレジナール(Resinall)コーポレーションから市販されているもの;アピフジャティック(apiphjatic)ポリエステルおよびポリカーボナートベースのポリウレタン分散物(U410、U615、U801、U910、U915、U933)、ひまし油および亜麻仁油ベースのポリウレタン分散物(CUR21、CUR69、CUR99、CUR991、CUR3)、全ては米国、ノースカロライナ州、グリーンスボロのアルバーディングボレイインコーポレーティド(Alberdingk Boley,Inc.)から市販されている;並びに米国、オハイオ州、ウィックリフのルブリゾールから市販されているサンキュア(SANCURE(登録商標))ポリウレタン分散物が挙げられる。
【0042】
脱泡剤は、例えば、限定されないが、現在または将来において当業者に知られているもの、例えば、米国、ケンタッキー州、カルバートシティーのワッカー(Wacker)ケミカルコーポレーションから市販されているシルフォーム(SILFOAM(商標))SE−21;米国、ニュージャージー州、パターソンのマンジグ(Munzig)コーポレーションから入手可能なDEE FO PI−35;米国、ミシガン州、ミッドランドのダウコーニングから市販されているダウコーニング(登録商標)73添加剤;並びに、米国、コネチカット州、ウォリンフォードのバイク(BYK)アディティブズ&インスツルメンツから市販されているBYKデフォーマーBYK−024から選択されうる。
【0043】
本発明の使用、用途および利点は、以下の本発明の混合物および洗濯配合物の典型的な実施形態および用途の論述および記載によって明確にされるであろう。
【実施例】
【0044】
フロアポリッシュ配合物
ビニル組成物フローリング基材上の光沢制御を試験するために、表1および表2に提供される詳細に従ってサンプル配合物が調製された。(30分間にわたって)完全に混合した後で、#38ワイヤ巻きロッドを用いて、PEO含有配合物がビニル組成物基材[12インチ(305mm)×12インチ(305mm)×1/8インチ(3.2mm)アームストロング(Armstrong(登録商標))エクセロン(Excelon(登録商標))ビニル組成物タイルパターン56790、アームストロングワールドインダストリーズインコーポレーティド、ペンシルベニア州、ランカスター17604]に適用された。この塗膜は1時間にわたって乾燥させられた。行われた評価の種類について特定されるように後続の塗層が適用された(すなわち、光沢を決定するための2〜4塗層)、耐スリップ性、耐スカッフマーク性、および耐ブラックヒールマーク性を決定するための2塗層(アームストロング(登録商標)エクセロン(登録商標)ビニル組成物タイルパターン56830が使用された)。
【0045】
このビニル基材にコーティングが適用された2日後に除去性についての試験が行われた。これら試験については、コーティングされた基材は、そのコーティングが基材に適用されたときから試験が行われる直前まで42°Fに設定されたオーブン内で貯蔵された。
【0046】
塗膜除去性を決定する方法は、乾燥膜の除去を再現性良く決定する手段としての摩耗試験装置(米国、メリーランド州、シルバースプリングのパシフィックサイエンティフィック ガードナー/ネオテック(登録商標)インスツルメント部門からの、モデル番号AG−8100;これは米国メリーランド州、コロンビアのバイクアディティブス&インスツルメンツからのPB−8112ナイロンブラシを装備していた)と共に、市販のフロア剥離液を用いた。様々な塗膜の相対的な除去性能を区別するために、コーティングされた表面上をブラシが前後に動いて膜の完全な除去を達成するサイクルの数が除去性の指標として採用された。使用された市販のフロア剥離剤はフリーダム(FREEDOM(登録商標))(米国、ウイスコンシン州53177、スターテバントのダイバーセイ(Diversey)インコーポレーティド)であり、これは、溶媒、例えば、ジエチレングリコールフェニルエーテル、およびエチレングリコールフェニルエーテル、アミン、例えば、モノエタノールアミン、並びに界面活性剤、例えば、キシレンスルホン酸ナトリウムをはじめとするポリマー膜を膨潤させる複数の試薬を含んでいた。この市販のフロア剥離剤は清浄な水道水で希釈されて、1部のフリーダム(登録商標)剥離剤および4部の清浄な水道水の希釈液を生じさせた。ブラシが乾燥膜の長辺に対して直角に移動するように、コーティングされた基剤は摩耗試験装置に配置された。5mLの希釈された剥離液がこのパネル上に配置され、次いで摩耗試験装置が起動されて、ブラシをパネル上で前後に振らせた。以下の評価システムが使用された:全除去に必要なサイクル数:10未満(除去がきわめて容易)、10より大きいが20より小さい(良好)、20より大きいが50より小さい(良)、50より大きい(劣る)。
【0047】
コーティングされたVCTタイルの耐スリップ性を決定するためにASTM D−2047が使用された。PEO、TS−100およびACUSOL添加剤が試験配合物に添加され、並びに水はこれら材料の全重量が100グラムとなるように調節された。オーバーヘッドミキサーを用いて配合物は30分間混合され、そしてコーティングは#38ワイヤ巻きロッドでビニルコンポジットフロアタイル上にドローダウンすることによって適用された。膜性能データは表3に示される。膜が24時間にわたって乾燥させられた後で光沢測定値が採られた。光沢を決定するための方法は「ASTM標準の年鑑(Annual Book of ASTM Standards)」セクション15、第15.04巻、試験手順ASTM D 1455(2000)に記載されている。ガードナーバイク(Gardner BYK)マイクロ−トリ−グロスメータ、カタログ番号4520が使用されて、60°および20°光沢を記録した。耐水性は、膜が24時間乾燥させられた後で評価された。耐水性を決定する方法は「ASTM標準の年鑑(Annual Book of ASTM Standards)」セクション15、第15.04巻、試験手順ASTM D 1793(2000)に記載されている。1時間にわたって水滴に曝露されそして拭い取った後の膜に以下の評価が適用された。
Ex=影響なし
TrWh=わずかな白化
Wh=白化
Hwh=重度の白化
Bl=膨れ。
【0048】
配合物をガラスジャー内に30日間周囲温度で置いておいた後で、配合物を収容しているこのガラス容器の底を視覚的に観察し、そして「無し」、「わずか」、「中程度」または「重度」の等級で評価することにより、沈殿物/ゲルの存在が定量的に評価された。
【0049】
「耐艶出し性(burnish resistance)」は、柔らかい布からのサイクル数の後で、塗膜外観(光沢)の変化を評価する。所望の結果は外観(光沢)を変化させないことである。使用された布は、米国ウィスコンシン州、ニーナー54956のベンチャー(VENTURE)TIDIプロダクツからの12層2インチ(5.1cm)×2インチ(5.1cm)ガーゼスポンジNo.908294であった。コーティングされたパネル(黒色VCTアームストロングパターン56790上の2塗層)が平らな面上に配置され、ガーゼパッドを付けた人差し指を用いて手作業で、3インチにおよぶ上下運動で、5回の前後サイクルで擦られた。結果は擦った後に測定された85°光沢と擦る前に測定された85°光沢との間の差として報告され、この差がより小さいほど、より良好である。
【0050】
「擦った後の85°光沢」−「擦る前の85°光沢」=「艶出しされた」光沢
【0051】
実験のフロアポリッシュ組成物は以下の表1に列挙された成分を示された量で共通して有して配合された。
【0052】
【表2】

【0053】
水の添加量は、添加剤が添加された場合に100重量%の配合物を提供するように調節された。
**フロアポリッシュポリマービヒクルは米国特許第6,548,596号(これは、参照によって本明細書に組み込まれる)に記載される乳化方法に従って製造されたポリマーであった。このポリマービヒクルは71.1℃のTを有していて、かつ
33%のブチルメタクリラート、
10%のイソブチルメタクリラート、
45%のスチレン、
12%のメタクリル酸、
1.5%の亜鉛
から構成されていた(Tg(Fox)=71.1℃)。
【0054】
このサンプルフロア組成物は上述の標準の試験配合成分並びに以下の表2に示される様々な種類および量の艶消し剤を用いて製造された。
【0055】
【表3】

【0056】
Comp=比較例
エースマット(ACEMATT)TS−100は米国ニュージャージー州パーシパニー07054のエボニクデグサコーポレーションから市販されている二酸化ケイ素ベースの(CAS No.112945−52−5)艶消し剤である。
アキュゾール(ACUSOL)810A、アキュゾール842、アキュゾール830は非会合性増粘剤である。より具体的には、これらは、ポリアクリル酸をベースにしたアルカリ可溶性エマルションであり、米国、ミシガン州、ミッドランドのダウケミカルカンパニーから市販されている。
【0057】
試験結果が以下の表3に提示される。
【0058】
【表4】

【0059】
塗料配合物
典型的な壁基材上での光沢制御を試験するために、サンプル配合物は表4に提供される詳細に従って調製された。
【0060】
【表5】

【0061】
水の量はポリオックスの添加に従って調節された。
**このサンプル塗料組成物のポリマーバインダービヒクルは米国特許第2,795,564号(これは、参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるアクリルエマルション方法に従って製造された。このポリマーバインダービヒクルは28.8%のメチルメタクリラート、
50%のブチルアクリラート、
14%のアクリロニトリル、
5%のアセトアセトキシエチルメタクリラート、
0.2%のアリルメタクリラート
2%のメタクリル酸
から構成されていた(Tg(Fox)=−0.5℃)。
【0062】
表4のサンプル塗料配合物は、次いで、以下のような対照(サンプルA)および3種の特定の塗料実施例を製造するためのベースとして使用された:
塗料サンプルA:光沢制御剤添加無し(対照);
塗料サンプルB:1.0グラムのポリオックスWSR N−10;
塗料サンプルC:0.5グラムのポリオックスWSR N−12K;および
塗料サンプルD:1.0グラムのポリオックスWSR N−205。
【0063】
充分に混合した後に、ASTM D−523−89に従って、3milバード膜アプリケータを用いて、サンプル塗料配合物はレネタ5Cチャート紙上にドローダウンされた。このドローダウンは77°F/50%相対湿度で7日間にわたって乾燥させられた。これらサンプルは、フロアポリッシュ実施例に関連して上述されたように光沢および沈殿物について評価された。上記試験の結果は以下の表5に提示される。
【0064】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)水を含む水系溶媒を1〜95重量%;
B)ポリマーバインダーを5〜80重量%;および
C)一般式[−CHCHO−](式中、n=1,000〜200,000)を有する水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂を0.05〜10重量%;
含む、床上に使用するためのコーティング組成物。
【請求項2】
前記水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂がエチレンオキシドから生じる重合単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂がエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから生じる重合単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記水溶性ポリ(エチレンオキシド)を0.1〜5重量%含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記ポリマーバインダーを10〜60重量%含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記水を含む水系溶媒を75〜95重量%含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記水溶性ポリ(エチレンオキシド)樹脂が50,000〜8,000,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記ポリマーバインダーが、1種以上のエチレン性不飽和モノマーから生じる重合単位を含むポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
以下の追加の成分:溶媒、防腐剤、湿潤剤、平滑化剤、ワックスエマルション、脱泡剤および粘度調節剤の1種以上をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
請求項1の前記コーティング組成物の1以上の層を床または壁に適用し、および別の層の適用もしくは使用前に各層を乾燥させることを含む、床もしくは壁上に低光沢塗膜を提供する方法。

【公開番号】特開2013−64112(P2013−64112A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−181701(P2012−181701)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】