説明

ポンプユニット、ポンプ及びポンプ装置

【課題】内筒及び外筒が膨張するだけでなく、筒軸心方向の長さが短くなることにより流体等を輸送するポンプユニットと、このポンプユニットを用いたポンプ及びポンプ装置を提供する。
【解決手段】ポンプユニット1は、外筒2と、該外筒2の内周面に沿って同軸的に設けられた膨張可能な内筒3とを有する。外筒2及び内筒3は、ゴム又はエラストマー中に筒軸心方向に配向するように高弾性繊維を配材して筒軸心方向に非伸長性としたものである。内筒3には、筒軸心方向に延在する拘束体4が複数本、周方向に均等な間隔をあけて埋設されている。ポンプユニット1を複数個同軸に連結することによりポンプが構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外筒及び内筒を備え、該外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給して内筒を求心方向に膨張させると共に外筒を放射方向に膨張させて液体やスラリー等の流体や固体、又は固液混合物を輸送するためのポンプユニットに関する。また、本発明は、このポンプユニットを用いたポンプ及びポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給して内筒を収縮させ、液体等を輸送するポンプは、特開昭49−804、特開平5−321842などに記載されている。
【0003】
特開昭49−804では、外筒の内周面に沿って設けたゴム製内管を空気によって求心方向に膨張させるようにした弁を3個直列に接続し、3個の弁のゴム製内管を順次に膨張させて液体を移送するよう構成している。
【0004】
特開平5−321842も、同様の構成及び作動を行うものであり、内筒としてシリコンゴムチューブを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49−804
【特許文献2】特開平5−321842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
I. 上記従来のポンプは、内筒を順次に求心方向に膨張させることにより、筒状ポンプ内の閉め切り部分を段階的に移動させて液体等を輸送するものである。
【0007】
本発明は、このような閉め切り部分の移動による輸送作用に対し、ポンプの長手方向の長さを短くすることによる輸送作用を重畳させたポンプユニット、ポンプ及びポンプ装置を提供することを第1の目的とする。
【0008】
II. 上記従来のポンプの内筒は、ゴム又は軟質の合成樹脂よりなるものである。この内筒の場合、外筒との間に加圧用媒体が圧入されたときに周方向にわたって均等に求心方向に膨張することは稀であり、多くの場合、一部が大きく求心方向に膨らみ、局部的に座屈状に屈曲するようになる。このように内筒が非均等に膨らむと、流路断面が十分には閉塞されず、液体等の輸送効率が低いものとなる。
【0009】
本発明は、その一態様において、外筒及び内筒を備えたポンプユニットに対して加圧用媒体を供給したときに、内筒が流路断面を十分に閉塞するように膨張するポンプユニットと、このポンプユニットを用いたポンプ及びポンプ装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のポンプは、外筒と、該外筒の内周面に沿って設けられた内筒と、該内筒と外筒との間に加圧用媒体を供給するための通路とを有し、該内筒は、加圧用媒体の圧力によって求心方向に膨張可能であるポンプユニットにおいて、該外筒は、加圧用媒体の圧力によって放射方向に膨張可能であり、該外筒及び内筒の少なくとも一方は、筒軸心方向に実質的に非伸長性であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2のポンプは、請求項1において、該外筒及び内筒が筒軸心方向に実質的に非伸長性であり、該外筒及び内筒は、ゴム又はエラストマーよりなるマトリックスと、該マトリックス中に埋設され、筒軸心方向に配向された高弾性繊維とで構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3のポンプユニットは、請求項2において、前記内筒の軸心線方向に延在した、該内筒の変形を拘束する拘束体が、該内筒の周方向に間隔をあけて複数個設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4のポンプユニットは、請求項3において、該拘束体は、前記内筒体中に埋設されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5のポンプユニットは、請求項3又は4において、前記拘束体は、内筒の周方向に等間隔にて4〜6個設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6のポンプは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポンプユニットを複数個連結した連結体よりなるものである。
【0016】
請求項7のポンプは、請求項6において、少なくとも一部のポンプユニットにあっては、他のポンプユニットへ加圧用媒体を給排するためのチューブが内筒と外筒との間に引き通されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項8のポンプ装置は、請求項6又は7に記載のポンプと、各ポンプユニットの外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給及び排出する加圧用媒体給排手段とを備えてなるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポンプユニットの外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給すると、内筒が求心方向に膨張するだけでなく、外筒が放射方向に膨張する。この外筒及び内筒の少なくとも一方は、筒軸心方向に対し非伸長性となっている。そのため、外筒及び内筒が膨張するとポンプユニットの筒軸心方向の長さが短くなる。これにより、ポンプ内に存在していた被輸送体がポンプから押し出される方向に付勢される。このように、内筒が求心方向に膨張することに起因した輸送作用と、ポンプ長さが短くなることに起因した輸送作用とが重畳し、輸送効率が向上する。
【0019】
内筒又は外筒を筒軸心方向に非伸長性とするには、請求項2のように、高弾性繊維を内筒又は外筒中に筒軸心方向に配向するように存在させるのが好適である。
【0020】
請求項3〜5のポンプユニットの内筒にあっては、その筒軸心線方向に延在する拘束体が複数個設けられている。この内筒と外筒との間に加圧用媒体が供給されると、内筒のうち拘束体同士の間の部分が求心方向に膨張する。この拘束体同士の間の部分が小チャンバーの如く分画されており、加圧用媒体の圧力により各小チャンバー状部分がそれぞれ均等に求心方向に膨張する。そして、各小チャンバー状部分がポンプユニットの軸心付近に到達するように膨張し、流路がほぼ完全に閉塞されるため、液体やスラリー等の流体や固体、又は固液混合物の輸送効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係るポンプユニットの筒軸心方向の断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】内筒の斜視図である。
【図5】内筒の一部の拡大断面図である。
【図6】外筒及び内筒膨張時のポンプユニットの断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】ポンプユニットを連結したポンプの断面図である。
【図9】ポンプユニットの連結部の断面図である。
【図10】ポンプユニットの連結部における通気構造を示す断面図である。
【図11】図8のポンプユニット1B付近の側面図である。
【図12】通気用チューブの別の構成例を示す、図11と同様部分の側面図である。
【図13】ポンプの作動を説明する断面図である。
【図14】外筒の膨張前後の形状を示す図である。
【図15】内筒の膨張前後の形状を示す図である。
【図16】別の実施の形態に係るポンプユニットの斜視図である。
【図17】図16のポンプユニットの内筒を省略した斜視図である。
【図18】図16のポンプユニットの連結方法を示す斜視図である。
【図19】図16のポンプユニットを連結したポンプの模式的な展開図である。
【図20】異なる実施の形態に係るポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態では加圧用媒体として空気を用いているが、その他の気体であってもよく、水、油などの液体であってもよい。
【0023】
[第1の実施の形態]
第1図〜第13図を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0024】
第1図は第1の実施の形態に係るポンプユニットの筒軸心方向の断面図である。第2図は第1図のII−II線断面図である。第3図は第1図のIII−III線断面図である。第4図はこのポンプユニットの内筒の斜視図である。第5図はこの内筒の一部の拡大断面図である。第6図は外筒及び内筒膨張時のポンプユニットの断面図である。第7図は第6図のVII−VII線断面図である。第8図はこのポンプユニットを連結したポンプの断面図である。第9図はポンプユニットの連結部の断面図である。第10図はポンプユニットの連結部における通気構造を示す断面図である。第11図は通気用チューブの構成例を示す、第8図のポンプユニット1B付近の側面図である。第12図は通気用チューブの別の構成例を示す、第11図と同様部分の側面図である。第13図はポンプの作動を説明する断面図である。第14図は外筒の膨張前後の形状を示す図である。第15図は内筒の膨張前後の形状を示す図である。
【0025】
なお、第11図及び第12図は、それぞれ、外筒を透視した透視図である。第11図(a)及び第12図(a)は外筒及び内筒の膨張前を示し、第11図(b)及び第12図(b)は外筒及び内筒が膨張した状態を示している。第14図(a)は外筒の膨張前の側面図であり、第14図(b)は第14図(a)のB−B線矢視図である。また、第14図(c)は外筒の膨張後の側面図であり、第14図(d)は第14図(c)のD−D線矢視図である。第15図(a)は内筒の膨張前の側面図であり、第15図(b)は第15図(a)のB−B線矢視図である。また、第15図(c)は内筒の膨張後の側面図であり、第15図(d)は第15図(c)のD−D線断面図である。第15図(e)は第15図(d)を模式的に描いた断面図である。第15図(f)は、内筒がポンプユニットの中心部を完全に塞ぐように膨張した状態を示す、第15図(c)と同様部分の側面図である。
【0026】
第1図〜第3図の通り、ポンプユニット1は、外筒2と、該外筒2の内周面に沿って同軸的に設けられた膨張可能な内筒3とを有する。外筒2及び内筒3は、例えば0.2〜5mm程度の厚さのゴム、エラストマーなどの膨張可能なマトリックス材料と、筒軸心方向に配向した多数の高弾性繊維(図示略)との複合材料よりなる。この高弾性繊維としては炭素繊維、グラスファイバー、アラミド繊維等が好適である。この高弾性繊維を配向させて設けたことにより、外筒2及び内筒3は筒軸心方向には実質的に伸長しないものとなっている。高弾性繊維は、マトリックス中に高密度で配合されており、これにより、外筒2及び内筒3が膨張時に割れにくいものとなっている。
【0027】
なお、外筒2及び内筒3は、加圧用媒体の圧力によって膨張可能であればよく、その材料や厚さは上記のものに限定されない。
【0028】
内筒3には、筒軸心方向に延在する拘束体4が複数本(この実施の形態では4本)、周方向に均等な間隔をあけて埋設されている。
【0029】
拘束体4は、例えば炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の繊維のロービング(繊維を引き揃えたもの)、ヤーン(撚りをかけたもの)、コード(合糸したもの)や、金属のワイヤなど、引張弾性率が内筒3のマトリックス材料の弾性率以上のものよりなる。
【0030】
拘束体4は、内筒3の筒軸心方向の一端から他端にまで延設されている。
【0031】
内筒3は、例えばマンドレルの外周にゴムラテックスを塗布し、次いで高弾性繊維及び拘束体4を配材し、さらにその上からゴムラテックスを塗布し、架橋させ、その後、マンドレルを引き抜くことなどによって成形することができる。ただし、内筒の成形方法はこれに限定されるものではなく、ゴム、エラストマー等のマトリックス材料と、炭素繊維などの高弾性繊維と、拘束体とを共押し出しして成形することも可能である。
【0032】
ポンプユニット1の筒軸心方向の両端に環状のエンドリング5が設けられている。外筒2はエンドリング5の外周面に重ね合わされ、押えリング2a(第9,10図参照)によって固定されている。内筒3の両端は、エンドリング5の端面に回り込んでいる。各ポンプユニット1は、外筒2、内筒3及び1対のエンドリング5によって囲まれた空室8を有している。
【0033】
第9,10図の通り、ポンプユニット1の一端側のエンドリング5の内周の外向きの角縁には周回凹段部5aが設けられている。ポンプユニット1の他端側のエンドリング5の内周の外向きの角縁には、筒軸心方向の外方に突出する周回凸部5bが突設されている。ポンプユニット1,1同士を同軸状に配置して突き合わせると、一方のポンプユニット1の周回凸部5bが他方のポンプユニット1の周回凹段部5aに係合する。
【0034】
内筒3の両端は、それぞれこの凸部5b及び凹段部5aによって挟持されてエンドリング5に強固に固定される。
【0035】
エンドリング5には、筒軸心方向に孔6が貫設されている。この孔6は、周方向に間隔をおいて複数個設けられている。第9図のように、一部の孔6にボルト7を通してポンプユニット1同士を連結する。他の孔6には、第10図のように、通気管9を通し、ポンプユニット1の空室8同士を連通するか、又はこの通気管9にチューブ10を接続する。
【0036】
このポンプユニット1を第8図の如く複数個同軸に連結することによりポンプが構成される。ポンプユニット1同士を連結する場合、隣接するポンプユニット1の拘束体4の周方向の位置が互いに合致していてもよく(即ち、各ポンプユニット1の拘束体4が一直線状に揃っていてもよく)、周方向にずれていてもよい。
【0037】
第8図の左側のポンプユニット1Aの通気管9に対し耐圧ホース等を介してシリンダ装置などを接続することによってポンプ装置が構成される。
【0038】
第8図に示すように、3個のポンプユニット1を連結してポンプを構成した場合、図の左端のポンプユニット1(1A)の空室8は、その左端の通気管9を介してシリンダ装置等の空気給排装置(図示略)に接続される。中央のポンプユニット1(1B)の空室8は、ポンプユニット1A内を引き回されたチューブ10(10A)を介して空気給排装置に接続される。右端のポンプユニット1(1C)の空室8は、ポンプユニット1A、1B内に引き回されたチューブ10(10B)を介して空気給排装置に接続される。なお、ポンプユニット1A,1B内のチューブ10A,10Bは、それぞれ両端が通気管9に接続されている。チューブ10A,10Bはシリコーンゴムなど、柔軟に変形可能な材料よりなると共に、所要の肉厚を有し、空気圧によっては実質的に膨張、収縮しないものとなっている。
【0039】
このように通気用のチューブ10A,10Bを各ポンプユニット1A,1Bの空室8内に引き回したことにより、各ポンプユニット1A〜1Cの外部にこれらのチューブ10A,10Bが露出しないため、各ポンプユニット1A〜1Cの外観がすっきりとしたものとなる。また、ポンプの搬送時等にこれらのチューブ10A,10Bが引っ掛かることが防止されるため、ポンプの取り扱い性も良好である。
【0040】
第8図及び第11図に明示の通り、この実施の形態では、各チューブ10A,10B(第11図ではチューブ10Bのみ図示。)は、各ポンプユニット1A,1Bの空室8内において、その延在方向の途中部がループ状に巻かれている。符号10rは、このチューブ10A,10Bのループ状部分を示している。
【0041】
第11図(a)の通り、各ポンプユニット1A,1Bの非膨張時において、各チューブ10A,10Bのループ状部分10rの直径tは、各チューブ10A,10Bを座屈させることなく湾曲させることができる最小の径と同等かそれよりも大きなものとなっている。
【0042】
第11図(b)に示すように、各ポンプユニット1A,1Bが膨張したときには、各ポンプユニット1A,1Bの長さが短くなるため、各チューブ10A,10Bに弛みが生じるが、各チューブ10A,10Bは、ループ状部分10rの径が大きくなるように変形してこの弛みを該ループ状部分10rに吸収する。また、各ポンプユニット1A,1Bが収縮し、各ポンプユニット1A,1Bの長さが長くなった場合には、各チューブ10A,10Bは、このループ状部分10rの径が小さくなるように変形して各ポンプユニット1A,1Bの筒軸心方向に伸び出す。
【0043】
このように、各チューブ10A,10Bにループ状部分10rを設けることにより、各ポンプユニット1A,1Bの膨張・収縮に伴い各ポンプユニット1A,1Bの長さが変動しても、各チューブ10A,10Bは、座屈することなく、各ポンプユニット1A,1Bの長さの変動に追従してスムーズに変形することができる。
【0044】
なお、本発明においては、この通気用チューブ自体がポンプユニットの長さの変動に追従して長くなったり短くなったりするよう構成されていてもよい。第12図は、このようなチューブの一例を示す、第11図と同様部分の側面図である。
【0045】
第12図においては、各ポンプユニット1A,1Bの空室8内に、前述のループ状部分10rを有するチューブ10A,10Bの代わりに、それぞれ蛇腹管状のチューブ10’が配設されている。各ポンプユニット1A,1B内のチューブ10’の両端は、それぞれ、各ポンプユニット1A,1Bの筒軸心方向一端側の通気管9と他端側の通気管9とにそれぞれ接続されている。チューブ10’は、少なくともその筒軸心方向の途中部分(第12図では該チューブ10’の筒軸心方向の略全体)が該筒軸心方向に伸縮自在な蛇腹状部分10jとなっている。チューブ10’のうち少なくともこの蛇腹状部分10jは、シリコーンゴムなどの柔軟に変形可能な材料よりなる。
【0046】
このチューブ10’は、第12図(b)に示すように、各ポンプユニット1A,1Bが膨張して各ポンプユニット1A,1Bの長さが短くなったときには、この蛇腹状部分10jが押し縮められて長さが短くなる。また、第12図(a)に示すように、各ポンプユニット1A,1Bが収縮して各ポンプユニット1A,1Bの長さが長くなったときには、この蛇腹状部分10jが引き伸ばされて長さが長くなる。
【0047】
これにより、各ポンプユニット1A,1Bの膨張・収縮に伴い各ポンプユニット1A,1Bの長さが変動しても、チューブ10’は、座屈することなく、各ポンプユニット1A,1Bの長さの変動に追従してスムーズに変形することができる。
【0048】
なお、上記の各チューブ10,10’はいずれも一例であり、通気用チューブの構成及び配置はこれに限定されない。例えば、本発明においては、通気用チューブは、ポンプユニットの外部を引き回されて直接的に各ポンプユニットに接続されてもよい。
【0049】
左側のポンプユニット1Aの空室8内に対し、その左端側の通気管9を介して空気を供給又は排出すると、その外筒2及び内筒3が膨張又は収縮する。
【0050】
中央のポンプユニット1Bの空室8内に対し、ポンプユニット1Aのチューブ10Aを介して空気を供給又は排出すると、その外筒2及び内筒3が膨張又は収縮する。右側のポンプユニット1Cの空室8内に対し、ポンプユニット1A,1Bのチューブ10Bを介して空気を供給又は排出すると、その外筒2及び内筒3が膨張又は収縮する。
【0051】
なお、通気管やボルトの挿通に用いない孔6はブラインド13によって閉塞する。
【0052】
なお、この実施の形態では、内筒3に拘束体4が設けられているため、空室8に空気を供給した場合、内筒3のうち拘束体4同士の間の部分が第6,7図の如く求心方向に膨張する。また、内筒3が膨張した後、加圧用媒体を孔6から排出させることにより、内筒3が収縮して第1図〜第3図のように元の筒形状に復帰する。
【0053】
第13図(a)〜(e)を参照して、このポンプの作動について説明する。
【0054】
第13図では第8図と同じく3個のポンプユニット1が接続されている。(a)図ではいずれのポンプユニット1の外筒2及び内筒3も収縮している。(b)図では左側のポンプユニット1Aの外筒2及び内筒3のみが膨張し、(c)図では左側及び中央のポンプユニット1A,1Bの外筒2及び内筒3が膨張し、(d)図では中央及び右側のポンプユニット1B,1Cの外筒2及び内筒3が膨張し、(e)図では右側のポンプユニット1Cの外筒2及び内筒3のみが膨張している。
【0055】
このように順次に各外筒2及び内筒3を膨張させることにより、第13図の左側から右方向に液体、気液混合流体、スラリーなどの流体や固体、又は固液混合物(以下、流体等と略すことがある。)が輸送される。
【0056】
この実施の形態では、外筒2及び内筒3が筒軸心方向には実質的に伸長しない材料にて構成されている。従って、外筒2及び内筒3が膨張した場合、ポンプユニット1の筒軸心方向の長さが短くなる。そうすると、各ポンプユニット1の内筒3が順次に収縮することにより流体等が送り出される作用に加えて、ポンプの全長が(c),(d)図のように短くなることによっても、ポンプから液体を往送する作用が生じる。これらの作用が重畳することにより、効率よく流体等を輸送することができる。なお、各ポンプユニット1A〜1Cの長さが順次に短くなることにより、流体以外の固形物体例えば棒状物体であっても往送することができる。
【0057】
また、この実施の形態では、内筒3が4本の拘束体4によって周方向に4個に区画されている。従って、空室8内に空気を供給すると4個の各区画部分がそれぞれ第7図の通り均等に求心方向に膨張し、膨張方向の先端部はポンプユニット1の中心付近に到達する。このため、内筒3の内周側の流路は実質的に全閉状態となる。従って、膨張する内筒3を第13図の如く順番に切り替えることにより、流体等が効率よく輸送される。なお、第7図の如く、膨張した各区画の先端にはごく微かな隙間が生じるが、この隙間の流路断面積はごく微かであり、実質的には全閉状態と同様となる。
【0058】
第13図では、3個のポンプユニット1を連結しているが、4個以上であってもよいことは明らかである。
【0059】
上記実施の形態では、内筒3を4本の拘束体4によって4区画に区画しているが、5又は6区画としてもよい。本発明者が種々実験を重ねた結果、2又は3区画では、各小区画が求心方向に均等に膨張しないことがあった。また7区画以上では、各区画をポンプユニットの中心付近まで膨張させるための加圧用媒体の圧力がかなり高くなる。そのため区画数すなわち拘束体4の数は4〜6程度とくに4又は5が好適である。
【0060】
上記実施の形態では、内筒3に拘束体4を設けているが、本発明では拘束体4を省略してもよい。
【0061】
[好適な外筒2及び内筒3の諸元値並びに拘束体4の個数の算定方法について]
以下に、第14,15図を参照して、外筒2及び内筒3の非膨張時における筒軸心方向の長さ(以下、単に長さという。)及び直径、並びに拘束体4の個数の算定方法について説明する。なお、外筒2及び内筒3の厚さは、これらの長さ及び直径に対してごく小さいので、以下、この外筒2及び内筒3の厚さは無視できるものとする。
【0062】
<拘束体4の個数(本数)について>
第15図(a)の通り、内筒3の非膨張時における長さをLとし、直径をDとする。第15図(d)の通り、i本の拘束体4(4,4,4,…………,4)が内筒3の周方向に略等間隔にて配設されている。第15図(d),(e)において、二点鎖線は膨張前の内筒3を示し、実線は膨張時の内筒3を示し、一点鎖線(第15図(d)のみ図示)は内筒3の最終膨張形状(内筒3がポンプユニットの中心部を完全に塞ぐように膨張した状態)を示している。
【0063】
第15図(d)の幾何学的な考察より、内筒3がポンプユニットの中心部を完全に塞ぐように膨張する条件は、次式の通りである。
iD≧πD
即ち、
i≧π
である。ここで、iは整数であるから、
i≧4(本) (1)
が導かれる。
【0064】
<外筒2について>
第14図(a)の通り、外筒2の非膨張時における長さをLとし、直径をDとした場合、この外筒2の長さLと直径Dとの比Nは次式で表される。
N=L/D (2)
【0065】
第14図(b)の通り、外筒2は球形に膨張すると仮定すると、この外筒2の最大膨張径Dmについて、第14図(b)の幾何学的な考察より、次式が成り立つ。
Dm=(2N/π+1)D (3)
【0066】
また、第14図(b)の通り、外筒2の膨張時における筒軸心方向の収縮量をXとすると、外筒2の筒軸心方向の収縮率X/Lについて、以下の近似式が成り立つ。
/L=α((Dm−D)/L (4)
なお、αは近似定数である。
【0067】
上記式(2),(3),(4)よりXについて解くと、次式が得られる。
=4αND/π (5)
【0068】
<内筒3について>
内筒3の長さをLと直径をDとの比nは次式で表される。
n=L/D (6)
【0069】
第15図(c)の通り、内筒3の膨張時において、該内筒3のうち最も細くなった部分の内径をDとする。内筒3の膨張時には、第15図(e)のように、この内筒3の外周面の筒軸心方向と直交方向の断面形状は円形となると仮定すると共に、第15図(c),(f)のように、この内筒3の外周面の筒軸心方向の断面形状は、真円に沿う形状となると仮定する。なお、第15図(e)は、i=4とした例を示している。第15図(c)において一点鎖線にて示されるように、この膨張した内筒3の外周面を筒軸心側と反対側に反転させて得られる仮想球体の最大直径(以下、これを内筒3の最大膨張径と称する。)をDmとする。内筒3の膨張時における筒軸心方向の収縮量をXとする。
【0070】
第15図(e)の幾何学的な考察より、内筒3の膨張時に、この内筒3の内周面同士が接触して内筒3の内側が閉じた状態となるには、次式を満たす必要がある。
iD≧πD
この式から次式が導かれる。
≧πD/i (7)
【0071】
内筒3の膨張時の収縮量Xが最大となるのは、上記式(7)において等号が成り立つとき即ちD=πD/iである。よって、このときのDを用いることにより、内筒3の最大膨張径Dmは次式で表される。
Dm=(2−π/i)D (8)
【0072】
第15図(c)の通り、内筒3の筒軸心方向の収縮率X/Lについては、以下の近似式が成り立つ。
/L=α((Dm−D)/L (9)
なお、αは近似定数である。
【0073】
上記式(6),(8),(9)よりXについて解くと、次式が得られる。
=(1−π/i)αD/n (10)
【0074】
また、第15図(f)より、内筒3の膨張時に該内筒3の内側が閉じた状態となるには、次式を満たす必要がある。
−X≧D (11)
【0075】
この式(11)に上記式(10)を代入すると、次式が得られる。
≧D{1+α(1−π/i)/n} (12)
【0076】
さらに、この式(12)に前記式(6)(n=L/D)を代入すると、次式が得られる。
−n−α(1−π/i)≧0 (13)
【0077】
この式(13)をnについて解くと、n>0より、次式が得られる。
n≧(1+{1+4α(1−π/i)1/2)/2 (14)
なお、α>0より、n>1は確定。
【0078】
上記式(14)において、近似定数αの値が分かれば、後述の式(23)のnの値を絞り込むことができる。
【0079】
第15図(d)のように、内筒3が膨張時に正しく変形する(即ち、内筒3のうち各拘束体4によって区画された各区間に折れ目等が生じること無く、各区間が全体的にポンプユニットの中心部に向かって膨張する)ためには、次式を満たす必要がある。
−X≧πD/i (15)
特に、経験則から、
(L−X)/(πD/i)=1.5
が好適である。
【0080】
この式(15)に上記式(10)を代入すると、次式が得られる。
≧D{π/i+α(1−π/i)/n} (16)
【0081】
さらに、この式(16)に前記式(6)(n=L/D)を代入すると、次式が得られる。
−πn/i−α(1−π/i)≧0 (17)
【0082】
この式(17)をnについて解くと、n>0より、次式が得られる。
n≧(π/i+{(π/i)+4α(1−π/i)1/2)/2 (18)
なお、α>0より、n>π/iは確定。
【0083】
上記式(18)において、近似定数αの値が分かれば、後述の式(23)のnの値を絞り込むことができる。
【0084】
外筒2と内筒3との膨張時の収縮量X,Xが等しくなるとき、前記式(5),(10)を等置してDについて解くと、次式が得られる。
=π(1−π/i)/4nN (19)
【0085】
ここで、外筒2と内筒3との長さの比L/Lをkとすると、
k=L/L (20)
となる。
【0086】
上記式(2),(6),(20)を用いて式(19)のnを消去すると、次式が得られる。
=π(1−π/i)k1/2/2N (21)
【0087】
ここで、D>Dより、
N<π(1−π/i)k1/2/2 (22)
となる。
【0088】
また、上記式(2),(6),(20)を用いて式(19)のNを消去すると、次式が得られる。
n=π(1−π/i)/2k1/2 (23)
【0089】
上記式(1),(14),(18)を全て満たすように内筒3の長さL及び直径D並びに拘束体4の本数iを決定することにより、内筒3の膨張時に、ポンプユニットの中心部がこの膨張した内筒3によって実質的に完全に塞がれるように構成することができる。
【0090】
[第2の実施の形態]
第16図〜第19図を参照して第2の実施の形態について説明する。
【0091】
第16図及び第17図は第2の実施の形態に係るポンプユニットの斜視図である。第18図はこのポンプユニットの連結方法を示す斜視図である。第19図(a)はこのポンプユニットを連結したポンプの模式的な展開図、第19図(b)は、第19図(a)において各ポンプユニットの通気孔同士が通気用チューブによってどのように接続されているかを示すブロック図である。
【0092】
なお、第16図及び第18図は、それぞれ、外筒を透視した透視図である。第17図は、第16図から内筒を省略した図である。第19図(a)は、第17図のXIX線からポンプユニットを周方向に展開した模式的な展開図である。以下、第16〜19図の右側を上流側といい、左側を下流側という。
【0093】
この実施の形態のポンプユニット20においては、各エンドリング5に、通気管10が接続される複数個の通気孔21と、ボルト7が通される複数個のボルト挿通孔22とが設けられている。なお、前述の第1の実施の形態では、これらの通気孔21とボルト挿通孔22とを総称して孔6と呼んでいる。これらの通気孔21及びボルト挿通孔22は、それぞれ、各エンドリング5をポンプユニット20の筒軸心方向に貫通している。
【0094】
この実施の形態では、各エンドリング5に、通気孔21とボルト挿通孔22とが6個ずつ設けられている。これらの通気孔21とボルト挿通孔22とは、各エンドリング5の周方向に略等間隔にて交互に配設されている。一方のエンドリング5の各通気孔21と、他方のエンドリング5の各通気孔21とは、互いにポンプユニット20の筒軸心方向と略平行に対面するように、即ちポンプユニット20の筒軸心回りに同位相上にそれぞれ位置するように配置されている。以下、単に位相という場合には、ポンプユニット20の筒軸心回りの位相である。一方のエンドリング5の各ボルト挿通孔22と、他方のエンドリング5の各ボルト挿通孔21とも、同位相上にそれぞれ位置するように配置されている。なお、通気孔21及びボルト挿通孔22の個数及び配置はこれに限定されない。
【0095】
以下、第16〜19図においてポンプユニット20の左端側に配置されたエンドリング5を下流側エンドリング5Dと呼び、右端側に配置されたエンドリング5を上流側エンドリング5Uと呼ぶことがある。第16〜18図において下流側エンドリング5Dの中心の下方に配置された通気孔21を通気孔21aと呼び、この通気孔21aから図の反時計回りに各通気孔21を順に通気孔21b、通気孔21c、通気孔21d、通気孔21e及び通気孔21fと呼ぶことがある。また、第16〜18図において上流側エンドリング5Uの中心の下方に配置された通気孔21を通気孔21pと呼び、この通気孔21pから図の反時計回りに各通気孔21を順に通気孔21q、通気孔21r、通気孔21s、通気孔21t及び通気孔21uと呼ぶことがある。
【0096】
即ち、下流側の通気孔21aと上流側の通気孔21pとが同位相上に配置され、下流側の通気孔21bと上流側の通気孔21qとが同位相上に配置され、下流側の通気孔21cと上流側の通気孔21rとが同位相上に配置され、下流側の通気孔21dと上流側の通気孔21sとが同位相上に配置され、下流側の通気孔21eと上流側の通気孔21tとが同位相上に配置され、下流側の通気孔21fと上流側の通気孔21uとが同位相上に配置されている。
【0097】
下流側エンドリング5Dの各通気孔21の周縁部から、それぞれ、上流側エンドリング5Uと反対方向に向って円筒状の凸部23が突設されている。また、上流側エンドリング5Uの下流側エンドリング5Dと反対側の板面には、各通気孔21をそれぞれ取り囲むように環形の凹段部24が設けられている。ポンプユニット20,20同士を同軸状に配置して突き合わせると、上流側のポンプユニット20の各筒状凸部23がそれぞれ下流側のポンプユニット20の各環形凹段部24に係合する。これにより、上流側のポンプユニット20と下流側のポンプユニット20との通気孔21同士が連通したものとなる。
【0098】
このポンプユニット20においては、第16,17図のように、外筒2と内筒3との間の空室8内に、各エンドリング5の通気孔21の数よりも1本少ない(即ちこの実施の形態では5本)の通気用チューブ10が配設され、これらの通気用チューブ10によって下流側エンドリング5Dの各通気孔21と上流側エンドリング5Uの各通気孔21とがそれぞれ接続されている。即ち、このポンプユニット20においては、各エンドリング5D,5Uには、チューブ10が接続されていない通気孔21が1個ずつ存在している。
【0099】
この実施の形態では、第17,19図の通り、下流側エンドリング5Dの通気孔21a,21b,21c,21d,21eにそれぞれチューブ10の一端が接続され、上流側エンドリング5Uの通気孔21q,21r,21s,21t,21uにそれぞれチューブ10の他端が接続されている。これらのチューブ10は、それぞれ、下流側エンドリング5D及び上流側エンドリング5Uの同位相上に位置する通気孔21同士ではなく、該下流側エンドリング5Dから見て反時計方向に1個ずつずれた通気孔21同士を接続している。
【0100】
詳しくは、一端が通気孔21aに接続されたチューブ10の他端は通気孔21qに接続され、一端が通気孔21bに接続されたチューブ10の他端は通気孔21rに接続され、一端が通気孔21cに接続されたチューブ10の他端は通気孔21sに接続され、一端が通気孔21dに接続されたチューブ10の他端は通気孔21tに接続され、一端が通気孔21eに接続されたチューブ10の他端は通気孔21uに接続されている。
【0101】
この実施の形態では、下流側エンドリング5Dの通気孔21fと、上流側エンドリング5Uの通気孔21pとには、チューブ10が接続されていない。
【0102】
なお、チューブ10によって接続されない通気孔21の位置はこれに限定されない。
【0103】
この実施の形態では、各チューブ10にはループ状部分10rを設けていないが、前述の第11図の如く各チューブ10にループ状部分10rを設けてもよい。あるいは、このチューブ10に代えて第12図の蛇腹管状のチューブ10’を用いてもよい。
【0104】
このポンプユニット20のその他の構成は、前述の第1の実施の形態のポンプユニット1と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0105】
このポンプユニット20を第18,19図の如く複数個同軸に連結することによりポンプが構成される。ポンプユニット20を連結する場合、上流側のポンプユニット20と下流側のポンプユニット20との間で同一符号の通気孔21a〜21f同士及び21p〜21u同士がそれぞれ同一位相上に位置するように配置してこれらのポンプユニット20,20同士を突き合わせ、上流側のポンプユニット20の各筒状凸部23及び周回凸部5bを下流側のポンプユニット20の各環形凹段部24及び周回凹段部5aにそれぞれ係合させる。
【0106】
これにより、第19図(b)の通り、上流側のポンプユニット20の通気孔21aが下流側のポンプユニット20の通気孔21pと連通し、上流側のポンプユニット20の通気孔21bが下流側のポンプユニット20の通気孔21qと連通し、上流側のポンプユニット20の通気孔21cが下流側のポンプユニット20の通気孔21rと連通し、上流側のポンプユニット20の通気孔21dが下流側のポンプユニット20の通気孔21sと連通し、上流側のポンプユニット20の通気孔21eが下流側のポンプユニット20の通気孔21tと連通し、上流側のポンプユニット20の通気孔21fが下流側のポンプユニット20の通気孔21uと連通したものとなる。
【0107】
ポンプユニット20を所定個数突き合わせた後、これらのポンプユニット20の各ボルト挿通孔22にそれぞれボルト7(図示略)を挿通してポンプユニット20同士を結合する。
【0108】
このポンプの最上流側のポンプユニット20の通気孔21p〜21uに対し、シリンダ装置(図示略)等からの耐圧ホース25をポンプユニット20の数だけ接続する。この際、耐圧ホース25を通気孔21p,21q,21r,21s,21t,21uの順に接続していき、余った通気孔21はブラインド13で閉塞する。また、各ポンプユニット20の通気孔21fもブラインド13で閉塞する。これにより、ポンプ装置が構成される。
【0109】
即ち、この実施の形態では、1個のポンプは最大6個(即ち各エンドプレート5に設けられた通気孔21の数と同数)のポンプユニット20を連結してなる。第19図は、ポンプユニット20を4個連結した例を示している。以下、第19図において右端側(最上流側)に配置されたポンプユニット20から順にポンプユニット20A,20B,20C,20Dと呼ぶ。ポンプユニット20Aの通気孔21p〜21sにそれぞれ耐圧ホース25(25a〜25d)が接続されている。なお、ポンプユニット20を複数個連結してなるポンプをさらに複数個連結し、各ポンプにそれぞれ耐圧ホース25を接続してポンプ装置を構成するようにしてもよい。これにより、全体として6個以上のポンプユニット20が連結されたポンプ装置を構築することができる。
【0110】
第19図に示すように、ポンプユニット20Aの通気孔21pは、このポンプユニット20Aの空室8内に連通している。従って、このポンプユニット20Aの通気孔21pに接続された耐圧ホース25aを介してポンプユニット20Aの空室8の給排気が行われる。
【0111】
ポンプユニット20Aの通気孔21qは、これに接続されたチューブ10、ポンプユニット20Aの通気孔21a及びポンプユニット20Bの通気孔21pを介して該ポンプユニット20Bの空室8内に連通している。従って、このポンプユニット20Aの通気孔21qに接続された耐圧ホース25bを介してポンプユニット20Bの空室8の給排気が行われる。
【0112】
ポンプユニット20Aの通気孔21rは、これに接続されたチューブ10、ポンプユニット20Aの通気孔21b、ポンプユニット20Bの通気孔21q、これに接続されたチューブ10、ポンプユニット20Bの通気孔21a、及びポンプユニット20Cの通気孔21pを介して該ポンプユニット20Cの空室8内に連通している。従って、このポンプユニット20Aの通気孔21rに接続された耐圧ホース25cを介してポンプユニット20Cの空室8の給排気が行われる。
【0113】
ポンプユニット20Aの通気孔21sは、これに接続されたチューブ10、ポンプユニット20Aの通気孔21c、ポンプユニット20Bの通気孔21r、これに接続されたチューブ10、ポンプユニット20Bの通気孔21b、ポンプユニット20Cの通気孔21q、これに接続されたチューブ10、ポンプユニット20Cの通気孔21a、及びポンプユニット20Dの通気孔21pを介して該ポンプユニット20Dの空室8内に連通している。従って、このポンプユニット20Aの通気孔21sに接続された耐圧ホース25dを介してポンプユニット20Dの空室8の給排気が行われる。
【0114】
第19図の通り、各ポンプユニット20A〜20Dの空室8の給排気に使用しないポンプユニット20Aの通気孔21t,21uと、各ポンプユニット20A〜20Dの通気孔21fとは、それぞれ、ブラインド13によって閉塞されている。
【0115】
なお、ポンプユニット20Dの下流側にもう1個(即ち5個目の)ポンプユニット20を連結した場合には、ポンプユニット20Aの通気孔21tがこの5個目のポンプユニット20の空室8に連通する。そこで、このポンプユニット20Aの通気孔21tにも耐圧ホース25を接続する。この場合、この通気孔21tに接続された耐圧ホース25を介して5個目のポンプユニット20の空室8の給排気が行われる。また、この5個目のポンプユニット20の下流側にさらにもう1個(即ち6個目の)ポンプユニット20を連結した場合には、ポンプユニット20Aの通気孔21uがこの6個目のポンプユニット20の空室8に連通する。そこで、さらに、このポンプユニット20Aの通気孔21uにも耐圧ホース25を接続する。この場合、この通気孔21uに接続された耐圧ホース25を介して6個目のポンプユニット20の空室8の給排気が行われる。
【0116】
ポンプユニット20を3個だけ連結した場合には、ポンプユニット20Aの通気孔21p,21q,21rにのみ耐圧ホース25を接続し、残りの通気孔21s〜21uをブラインド13で閉塞する。
【0117】
このポンプ装置の作動は、ポンプユニット20が4個連結されていること以外は、前述の第1の実施の形態のポンプ装置と同様である。即ち、ポンプユニット20A〜20Dをこの順に膨張させることにより、第19図の右側から左方向に流体等の被輸送体が輸送される。なお、ポンプユニット20D〜20Aの順に膨張させることにより、第19図の左側から右方向に輸送が行われる。このポンプユニット20からなるポンプ装置にあっても、第1の実施の形態のポンプ装置と同様の作用効果が奏される。
【0118】
かかる構成のポンプユニット20にあっては、このポンプユニット20を複数個、各々の通気孔21a〜21f同士及び21p〜21u同士の位置を合わせて連結してボルト7で固定し、不要な通気孔21をブラインドで閉塞するだけでポンプを構築することができる。また、このポンプユニット20は、ポンプの上流側から下流側まで全て共通品である。そのため、ポンプのどの位置に配置されるかによってポンプユニットの種類を変えたり、各ポンプユニット20の空室8内に別途通気用チューブ10を引き直したりする必要がないので、ポンプユニット20が1種類で足り、合理的であると共に、ポンプの組立作業も容易である。
【0119】
[第3の実施の形態]
第20図を参照して第3の実施の形態について説明する。
【0120】
第20図は第3の実施の形態に係るポンプユニットを連結したポンプの断面図である。
【0121】
この実施の形態のポンプにおいては、各ポンプユニット1(1A,1B)の空室8内に通気用チューブ10又は10’を配置していない。この実施の形態では、各ポンプユニット1の一端側又は他端側の少なくとも一方のエンドリング5の外周面に、耐圧ホース25の接続口26が設けられている。第20図の通り、この接続口26は、各ポンプユニット1の空室8に連通している。
【0122】
この実施の形態では、3個のポンプユニット1を連結してポンプを構成した後、各ポンプユニット1の接続口26にそれぞれシリンダ装置(図示略)等からの耐圧ホース25を接続することにより、ポンプ装置が構成されている。
【0123】
この実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0124】
この実施の形態のポンプ装置の作動は、各耐圧ホース25から直接的に各ポンプユニット1の空室8に対し給排気が行われること以外は、前述の第1の実施の形態のポンプ装置と同様である。この実施の形態のポンプ装置にあっても、第1の実施の形態のポンプ装置と同様の作用効果が奏される。
【0125】
この実施の形態にあっては、各ポンプユニット1の空室8内に通気用チューブ10又は10’が配設されていないので、各ポンプユニット1を、構成が簡易で且つ低コストなものとすることができる。
【0126】
なお、この実施の形態でもポンプユニット1が3個連結されているが、4個以上連結されてもよい。各ポンプユニット1に接続口26が2個以上(例えば給気用と排気用)設けられてもよい。
【0127】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0128】
例えば、上記の第1及び第2の実施の形態において、各ポンプユニット内に吸気用チューブと排気用チューブとが別々に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1,20 ポンプユニット
2 外筒
3 内筒
4 拘束体
5 エンドリング
5a 周回凹段部
5b 周回凸部
6 孔
7 ボルト
8 空室
9 通気管
10,10’ チューブ
21 通気孔
22 ボルト挿通孔
23 筒状凸部
24 環形凹段部
25 耐圧ホース
26 接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、該外筒の内周面に沿って設けられた内筒と、該内筒と外筒との間に加圧用媒体を供給するための通路とを有し、
該内筒は、加圧用媒体の圧力によって求心方向に膨張可能であるポンプユニットにおいて、
該外筒は、加圧用媒体の圧力によって放射方向に膨張可能であり、
該外筒及び内筒の少なくとも一方は、筒軸心方向に実質的に非伸長性であることを特徴とするポンプ。
【請求項2】
請求項1において、該外筒及び内筒が筒軸心方向に実質的に非伸長性であり、
該外筒及び内筒は、ゴム又はエラストマーよりなるマトリックスと、該マトリックス中に埋設され、筒軸心方向に配向された高弾性繊維とで構成されていることを特徴とするポンプ。
【請求項3】
請求項2において、前記内筒の軸心線方向に延在した、該内筒の変形を拘束する拘束体が、該内筒の周方向に間隔をあけて複数個設けられていることを特徴とするポンプユニット。
【請求項4】
請求項3において、該拘束体は、前記内筒体中に埋設されていることを特徴とするポンプユニット。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記拘束体は、内筒の周方向に等間隔にて4〜6個設けられていることを特徴とするポンプユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポンプユニットを複数個連結した連結体よりなるポンプ。
【請求項7】
請求項6において、少なくとも一部のポンプユニットにあっては、他のポンプユニットへ加圧用媒体を給排するためのチューブが内筒と外筒との間に引き通されていることを特徴とするポンプ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のポンプと、各ポンプユニットの外筒と内筒との間に加圧用媒体を供給及び排出する加圧用媒体給排手段とを備えてなるポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−203400(P2010−203400A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52188(P2009−52188)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(599011687)学校法人 中央大学 (110)
【Fターム(参考)】