説明

マスク洗浄装置及びマスク洗浄方法

【課題】本発明は、レジスト剥離後に、静電気で引き寄せられて再付着したゴミを洗浄するためのマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、プラズマアッシャーでマスクからレジストを剥離するドライ洗浄機と、前記ドライ洗浄機でレジストを剥離した後、マスクにオゾン水をかけながら222nmUV光を照射してレジストを除去するオゾン水洗浄機と、前記オゾン水洗浄機で洗浄した後、薬剤とブラシによりパーティクルを除去するSC−1洗浄機と、前記SC−1洗浄機で洗浄した後、172nmUV光を照射してレジスト残渣及びフッ素樹脂のパーティクルを除去するUV洗浄機と、前記UV洗浄機で洗浄した後、オゾン水と純水でマスクを濯ぐ最終洗浄機と、前記最終洗浄機で洗浄した後、加温又は冷却することによりマスクを乾燥させる乾燥機とからなることを特徴とするマスク洗浄装置の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト剥離後に静電気により再付着したゴミを洗浄するマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用済みのフォトマスクの洗浄方法としては、酸素等のガスをプラズマ化したり、高濃度のオゾン水を利用したりして、マスクの表面や端面などに付着したフォトレジストを剥離している。
【0003】
特許文献1に記載されているように、ドライエッチング後に、基板に残留するレジストをドライアッシングする工程と、ドライアッシングによって基板に残留するレジストを紫外線で励起されたオゾン水によってウェット剥離する工程を具備したレジスト剥離方法及び剥離装置の発明も公開されている。
【特許文献1】特開2002−353196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドライアッシングやウェット剥離の工程を経た後でも、洗浄に伴うバルブ動作が繰り返されると、一旦離れたゴミが静電気で引き寄せられて再度付着してしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、レジスト剥離後に、静電気で引き寄せられて再付着したゴミを洗浄するためのマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、プラズマアッシャーでマスクからレジストを剥離するドライ洗浄機7と、前記ドライ洗浄機でレジストを剥離した後、マスクにオゾン水をかけながら222nmUV光を照射してレジストを除去するオゾン水洗浄機8と、前記オゾン水洗浄機で洗浄した後、薬剤とブラシによりパーティクルを除去するSC−1洗浄機9と、前記SC−1洗浄機で洗浄した後、172nmUV光を照射してレジスト残渣及びフッ素樹脂のパーティクルを除去するUV洗浄機10と、前記UV洗浄機で洗浄した後、オゾン水と純水でマスクを濯ぐ最終洗浄機11と、前記最終洗浄機で洗浄した後、加温又は冷却することによりマスクを乾燥させる乾燥機12とからなることを特徴とするマスク洗浄装置1の構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、波長が172nmのUV光を照射することにより、フッ素樹脂のパーティクルを除去することができる。
【0008】
第2に、純水に二酸化炭素を添加することにより抵抗を減らし、バルブ動作に伴って発生するパーティクルを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、レジスト剥離後に静電気で引き寄せられて再付着したゴミを洗浄するという目的を、プラズマアッシャーでマスクからレジストを剥離するドライ洗浄機と、前記ドライ洗浄機でレジストを剥離した後、マスクにオゾン水をかけながら222nmUV光を照射してレジストを除去するオゾン水洗浄機と、前記オゾン水洗浄機で洗浄した後、薬剤とブラシによりパーティクルを除去するSC−1洗浄機と、前記SC−1洗浄機で洗浄した後、172nmUV光を照射してレジスト残渣及びフッ素樹脂のパーティクルを除去するUV洗浄機と、前記UV洗浄機で洗浄した後、オゾン水と純水でマスクを濯ぐ最終洗浄機と、前記最終洗浄機で洗浄した後、加温又は冷却することによりマスクを乾燥させる乾燥機とからなることを特徴とするマスク洗浄装置により実現した。
【実施例1】
【0010】
以下に、添付図面に基づいて、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法について詳細に説明する。図1は、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法における装置の構成を示す図である。
【0011】
マスク洗浄装置1は、導入部2、反転機3、搬送機4、中継部5、移送機6、ドライ洗浄機7、オゾン水洗浄機8、APM洗浄機9、UV洗浄機10、最終洗浄機11、乾燥機12、反転機13、及び排出部14等からなる。
【0012】
導入部2は、ロードポートに洗浄を行うマスクが搬入される。尚、マスクは、表面を下に向けた状態で搬入される。
【0013】
反転機3は、表面が上を向くように反転させるマスクフリッパーを備えており、ロードポートのマスクを掴み、反転させて搬送機4に渡す。
【0014】
搬送機4は、EFEM(フロントエンドモジュール装置)により制御され、反転したマスクを中継部5に送る。また、中継部5に帰ってきた洗浄済みマスクを反転機13に送る作業も行う。
【0015】
中継部5は、搬送機4から移送機6へマスクをロードしたり、移送機6から搬送機4へマスクをアンロードするためのバッファーである。即ち、搬送機4と移送機6の間でマスクをスムーズに中継するための緩衝装置である。
【0016】
移送機6は、EFEMにより、中継部5からドライ洗浄機7、オゾン水洗浄機8、APM洗浄機9、UV洗浄機10、最終洗浄機11、乾燥機12の順にマスクを送り、中継部5に返す。
【0017】
ドライ洗浄機7は、プラズマガスを用いたプラズマアッシャーによる洗浄を行う装置である。
【0018】
オゾン水洗浄機8は、オゾンと純水を用いた洗浄、及び波長が222nmのUV(紫外)光を照射する洗浄を行う装置である。
【0019】
SC−1洗浄機9は、水酸化アンモニウム、過酸化水素及び水の薬液を使用するAPM洗浄、水素と純水による洗浄、加温した純水による洗浄、及びブラシによる洗浄を行う装置である。
【0020】
UV洗浄機10は、波長が172nmのUV(紫外)光を照射する洗浄を行う装置である。
【0021】
最終洗浄機11は、オゾンと純水を用いた洗浄、及び純水による洗浄を行う装置である。
【0022】
乾燥機12は、加熱による乾燥、及び冷却による乾燥を行う装置である。
【0023】
反転機13は、表面が下を向くように反転させるマスクフリッパーを備えており、搬送機4から受け取ったマスクを、反転させてアンロードポートに置く。
【0024】
排出部14は、アンロードポートから洗浄済みのマスクが搬出される。
【実施例2】
【0025】
図2は、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法における工程の流れを示す図である。
【0026】
マスク洗浄方法15は、導入工程16、ドライ洗浄工程17、オゾン水洗浄工程18、APM洗浄工程19、UV洗浄工程20、最終洗浄工程21、乾燥工程22、及び排出工程23からなる。
【0027】
導入工程16は、搬送手段により、各洗浄工程にマスクを送る工程である。即ち、導入部2のマスクを反転機3で反転させて搬送機4に渡し、中継部5を介して移送機6に送る。移送機6は、各洗浄機に対しマスクの受け渡しを行う。
【0028】
ドライ洗浄工程17は、水及び酸素によるプラズマアッシングにより、マスクの表面及び端面のレジストを剥離する。マスク上のクロムの反射率変動を抑えつつ、高いレジスト除去率を実現することができる。
【0029】
オゾン水洗浄工程18は、オゾン水によりアッシングした残渣を洗い流す。また、波長が222nmのUV(紫外)光を照射して、SOなども除去する。
【0030】
尚、222nmのUV(紫外)光を組み合わせると、エッチングレートがFEPレジストで33から147nm/minと5倍になり、IPレジストで109から236nm/minと2倍になり、ZEPレジストで6から90nm/minと15倍になり、NEBレジストで7から46nm/minと7倍になる。
【0031】
SC−1洗浄工程19は、薬液によりパーティクルやNHなどを除去する。また、水素水洗浄、温水洗浄、ブラシ洗浄なども組み合わせる。
【0032】
UV洗浄工程20は、波長が172nmのUV(紫外)光を照射して、レジスト残渣やフッ素樹脂などのパーティクルを除去する。
【0033】
最終洗浄工程21は、オゾン水をかけた後、純水で濯ぐ。
【0034】
乾燥工程22は、加熱又は冷却することによりマスクを乾燥させる。
【0035】
排出工程23は、乾燥工程22まで終えたマスクを回収して排出する工程である。即ち、移送機6から中継部5を介して搬送機4まで送られたマスクを反転機13で受け取り、反転させて排出部14から搬出する。
【0036】
図3は、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、レジストの分解に要するエネルギーの量を示す図である。
【0037】
洗浄後のマスクに残っているNEBレジストの成分は、主として、CHN、CHOR、Cなどである。尚、CHNの結合エネルギーは212KJ/mol、CHORの結合エネルギーは378KJ/mol、Cの結合エネルギーは464KJ/molである。
【0038】
NEBレジストの残渣については、結合エネルギー以上のエネルギーを与えれば、分解され、容易に落とすことが可能となる。
【0039】
また、バルブ動作に伴い、PFAやPTFEなどのテフロン(登録商標)系のフッ素樹脂の粒子がマスクに付着してしまう。尚、フッ素樹脂の結合エネルギーは、487KJ/molである。
【0040】
即ち、洗浄後のマスク上に残ったゴミは、500KJ以上のエネルギーを与えれば、分解することが可能である。波長が172nmのUV(紫外)光は、エネルギーが696KJ/molであり、ゴミの洗浄に適する。
【0041】
図4は、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、172nmのUV光を照射したときのレジスト残渣のパーティクル数を示した図である。
【0042】
図4に示すように、NEBレジスト剥離後のマスクに対し、40mWの波長が172nmのUV光を照射すると、残渣が633個から95個に減少し、85%の残渣が除去されたことが分かる。
【0043】
また、IPレジスト剥離後の基板に対し、40mWの波長が172nmのUV光を10分間照射し水洗いすると、残渣が97個から45個に減少し、54%の残渣を除去することができる。
【0044】
図5は、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、純水のみでバルブ動作させた場合のパーティクル数を時系列で示した図である。
【0045】
図に示すように、バルブのON/OFFを切り替えたり、バルブ振動を与えたりすると、パーティクル数が大きく増加する。
【実施例3】
【0046】
図6は、本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、純水に二酸化炭素を添加した状態でバルブ動作させた場合のパーティクル数を時系列で示した図である。
【0047】
純水は抵抗が高いので、パーティクルも多くなる傾向にある。そこで、純水に二酸化炭素を添加し、抵抗を17.6MΩから0.1MΩまで下げる。
【0048】
図に示すように、バルブのON/OFFを切り替えたり、バルブ振動を与えたりすると、パーティクル数が若干増加するが、洗浄によりほぼ除去することが可能である。即ち、純水に二酸化酸素を添加することにより、バルブ動作等による影響はほとんどなくなり、安定した状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法における装置の構成を示す図である。
【図2】本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法における工程の流れを示す図である。
【図3】本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、レジストの分解に要するエネルギーの量を示す図である。
【図4】本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、172nmのUV光を照射したときのレジスト残渣のパーティクル数を示した図である。
【図5】本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、純水のみでバルブ動作させた場合のパーティクル数を時系列で示した図である。
【図6】本発明であるマスク洗浄装置及びマスク洗浄方法において、純水に二酸化炭素を添加した状態でバルブ動作させた場合のパーティクル数を時系列で示した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 マスク洗浄装置
2 導入部
3 反転機
4 搬送機
5 中継部
6 移送機
7 ドライ洗浄機
8 オゾン水洗浄機
9 SC−1洗浄機
10 UV洗浄機
11 最終洗浄機
12 乾燥機
13 反転機
14 排出部
15 マスク洗浄方法
16 導入工程
17 ドライ洗浄工程
18 オゾン水洗浄工程
19 SC−1洗浄工程
20 UV洗浄工程
21 最終洗浄工程
22 乾燥工程
23 排出工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマアッシャーでマスクからレジストを剥離するドライ洗浄機と、
前記ドライ洗浄機でレジストを剥離した後、マスクにオゾン水をかけながら222nmUV光を照射してレジストを除去するオゾン水洗浄機と、
前記オゾン水洗浄機で洗浄した後、薬剤とブラシによりパーティクルを除去するSC−1洗浄機と、
前記SC−1洗浄機で洗浄した後、172nmUV光を照射してレジスト残渣及びフッ素樹脂のパーティクルを除去するUV洗浄機と、
前記UV洗浄機で洗浄した後、オゾン水と純水でマスクを濯ぐ最終洗浄機と、
前記最終洗浄機で洗浄した後、加温又は冷却することによりマスクを乾燥させる乾燥機とからなることを特徴とするマスク洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマスク洗浄装置を用いて、レジスト残渣及びパーティクルを除去することを特徴とするマスク洗浄方法。
【請求項3】
純水に二酸化炭素を添加して抵抗を減らすことにより、パーティクルの発生を抑えたことを特徴とする請求項2に記載のマスク洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−145827(P2009−145827A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325851(P2007−325851)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(301028325)株式会社つくばセミテクノロジー (15)
【Fターム(参考)】