説明

マットレス及びマットレスの製造方法

【課題】物性の多様性が向上されたマットレスを提供する。
【解決手段】本マットレスは、熱可塑性樹脂を原料又は主原料として、押し出し成形によってループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着する複数の中空線条6から形成されるスプリング構造を備える三次元網状構造体5により構成され、中空線条6の押出しを継続しながら押出し方向と直交する三次元網状構造体5の両端面を溶着するとともに形成される中空部に気体、液体もしくは固体を封入し、さらに該中空線条の押出しを継続しつつ、該中空部への気体、液体もしくは固体の供給を中断して該中空部を縮径させて区切ることにより、該中空部の気密性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱可塑性樹脂からなる中空線条をループ状にして不規則に熱接着した三次元網状構造体により構成されたマットレス及びにマットレスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂からなる中空線条をループ状にして不規則に熱接着した三次元網状構造体によるマットレスについて様々な技術が開発されてきた。ここにおいて、弾性力や反発力などのマットレスとしての物性を左右する要素としては、線条径や嵩密度が注目されていた。その他のマットレスとしての物性を左右する要素としては、中空線条を用いる技術がある。この中空線条を用いることに関する先行技術として特許文献1が挙げられる。特許文献1に記載の発明は、中実線条でなく中空線条を使用することにより、マットレスの軽量化、樹脂使用量を減少による製品のコストダウンを図るものである。特許文献2に記載の発明は、中空線条を用いて内部に圧力空気や液体を封入することにより、クッション性の向上を図ったものである。
【0003】
【特許文献1】特開平7−60861号公報
【特許文献2】特開2007−130059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三次元網状構造体により構成されたマットレスは、弾力性、適度な反発力、良好なメインテナンス性などの観点から優れている。しかし、この従来のマットレスは比較的重量が大きいという欠点やマットレスの物性の変更手段に乏しいという欠点がある。特許文献1に記載の技術は、このうちマットレスの軽量化に焦点を当てたものであって、マットレスの物性の多様性を向上させるものではない。特許文献2に記載の技術は、クッション性の向上などマットレスの物性の多様性に貢献するものであるが、マットレスの物性の多様性について依然として開発の余地があり、また、発明を実施するため、および効率的に生産するために製造方法をより具体化する必要がある。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、中空線条を用いた三次元網状構造体により構成されたマットレスにおいて、反発力や弾力性などの寝心地に関するマットレスの物性をより多彩に調整したものを生産すること、およびその方法をより具体的にして効率化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる目的を達成するため、三次元網状構造体を中空線条により構成するものとし、中空部の気密性確保の手段を備えることにより、中空部の圧力調整をし、もしくは中空部に液体等を封入したマットレス、または中空部に液体等を封入して製造されるマットレスの製造方法である。より具体的には以下の通りである。
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に圧縮気体が封入されたことを特徴とするマットレスである。
【0008】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に減圧気体が封入されたことを特徴とするマットレスである。
【0009】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に液体が封入されたことを特徴とするマットレスである。
【0010】
溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に固体が封入されたことを特徴とするマットレスである。
【0011】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、前記三次元網状構造体を、容器内雰囲気を大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力に設定した圧力容器内に収めて、前記中空部開口端面から前記中空線条の各々の中空部に前記容器内雰囲気を取り込むステップと、前記圧力容器内にて2つの前記中空部開口端面を溶着することにより、前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力を持つ気体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0012】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、2つの前記中空部開口端面のうち、1つの前記中空部開口端面を溶着により前記中空線条の各々の前記中空部の一方を閉塞するステップと、前記三次元網状構造体を、容器内雰囲気を大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力に設定した圧力容器内に収めて、前記中空部開口端面から前記中空線条の各々の中空部に前記容器内雰囲気を取り込むステップと、開口したままの前記中空部開口端面を溶着することにより前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力を持つ気体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0013】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出して、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることによりスプリング構造を有する略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、2つの前記中空部開口端面のうち、1つの前記中空部開口端面を溶着により前記中空線条の各々の前記中空部の一方を閉塞するステップと、該三次元網状構造体を密閉容器内に入れた液体に浸し、該密閉容器内を真空引きすることにより、前記中空線条の各々の前記中空部に前記液体を取り込むステップと、開口したままの前記中空部開口端面を溶着することにより前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に前記液体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0014】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出して、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることによりスプリング構造を有する略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、2つの前記中空部開口端面のうち、1つの前記中空部開口端面を溶着により前記中空線条の各々の前記中空部の一方を閉塞するステップと、該三次元網状構造体を密閉容器内に入れた発泡樹脂の原料である液体に浸し、該密閉容器内を真空引きすることにより、前記中空線条の各々の前記中空部に前記液体を取り込むステップと、開口したままの前記中空部開口端面を溶着することにより前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、前記発泡樹脂の原料を発泡させるステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に前記発泡樹脂を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0015】
本発明は、溶融した第一の熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に第二の熱可塑性樹脂を線条として押し出すステップと、前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、を有し、前記第一の熱可塑性樹脂による前記中空線条の前記中空部に、前記第二の熱可塑性樹脂による線条を有することを特徴とするマットレスの製造方法と、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に前記液体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0016】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面から所定範囲においてシーリング材を注入することより、前記中空線条同士の間隙を埋めるステップと、前記三次元網状構造体を、前記シーリング材により間隙が埋められた範囲における前記両端面と平行な面で切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、該中空部開口端面のうち一方から気体を供給し、同時に他方の該中空部開口端面から前記中空線条の各々の前記中空部を減圧することにより、前記液体を前記中空部に取り入れるステップと、前記シーリング材が注入された範囲の前記三次元網状構造体を切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着することにより、2つの前記中空部開口端面にある前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に前記気体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0017】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面から所定範囲においてシーリング材を注入することより、前記中空線条同士の間隙を埋めるステップと、前記三次元網状構造体を、前記シーリング材により間隙が埋められた範囲における前記両端面と平行な面で切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、該中空部開口端面のうち一方から液体を供給し、同時に他方の該中空部開口端面から前記中空線条の各々の前記中空部を減圧することにより、前記液体を前記中空部に取り入れるステップと、前記シーリング材が注入された範囲の前記三次元網状構造体を切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着することにより、2つの前記中空部開口端面にある前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に前記液体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0018】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面から所定範囲においてシーリング材を注入することより、前記中空線条同士の間隙を埋めるステップと、前記三次元網状構造体を、前記シーリング材により間隙が埋められた範囲における前記両端面と平行な面で切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、該中空部開口端面のうち一方から発泡樹脂の原料を供給し、同時に他方の該中空部開口端面から前記中空線条の各々の前記中空部を減圧することにより、前記液体を前記中空部に取り入れるステップと、前記シーリング材が注入された範囲の前記三次元網状構造体を切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着することにより、2つの前記中空部開口端面にある前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、前記発泡樹脂の原料を発泡させるステップと、を有することにより、前記中空線条の前記中空部に発泡樹脂を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0019】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に圧力気体を供給するステップと、前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への圧力気体の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、を有することにより、前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に圧力気体が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0020】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に圧力気体を供給するステップと、前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への圧力気体の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、を有し、前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に圧力気体が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0021】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に固体を供給するステップと、前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への固体の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に前記発泡樹脂が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0022】
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に発泡樹脂の原料を供給するステップと、前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への前記発泡樹脂の原料の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、前記発泡樹脂の原料を発泡させるステップと、を有し、前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に前記発泡樹脂が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法である。
【0023】
本発明における溶着として、熱溶着、高周波溶着、超音波溶着が好適であるが、これらに限らず中空部を閉塞させることができる限りにおいて、その他の方法も使用することができる。前記中空線条に中実線条を絡合させることも可能である。前記中空線条を押し出しながら、引取機により前記中空線条を引き取り、前記引取機による前記中空線条の引取を一時的に止め、前記中空部を畳み込むことで、その端部を閉塞することも可能である。
【0024】
中空部に所望の気体、液体、固体を引き入れた後、中空部開口端面の中空部を閉塞する際において、三次元網状構造体を切り離すことが必要な場合には、この方法として溶断が好適である。また、これに限られず三次元網状構造体を切断後、間髪いれずに中空部開口端面を溶着する方法を採用してもよい。上記でいう溶断とは、中空線条の原料である熱可塑性樹脂を溶かすことにより三次元網状構造体を切断し、同時に溶けた熱可塑性樹脂により中空部を閉塞することをいう。その他、引取機による引取を一時的に停止することにより、端部を閉塞することもできる。
【0025】
本発明における中空部に封入される気体とは、第一義的に空気が挙げられるが、これに限られずその他の単一気体、混合気体を含むものである。
【0026】
本発明における中空部に封入される液体とは、水や各種溶液の他、コロイドを有することにより粘度の高まったゾルを含むものである。
【0027】
本発明における中空部に封入される固体とは、中空線条の原料である熱可塑性樹脂とは別の種類の熱可塑性樹脂の凝固物や、発泡樹脂、ゾルよりさらに粘度が高まり流動性を失ったゲル、粒状物、粉体を含むものである。
【0028】
本発明における中空部に封入される発泡樹脂とは、スチレンフォームやウレタンフォーム等のプラスチック、その他の樹脂を発泡させたものをいう。原料の発泡剤は粒状のペレットであったり液体であったりするため、本発明の実施においては適当な製造方法を選択するものとする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、三次元網状構造体の両端面を溶着して中空線条の各々の中空部が閉塞されることにより、中空線条の中空部の気密性を確保することができる。ここにおいて、両端面として中空線条の押出し方向と直行する二つの面を選択することにより、押出される全ての中空線条を溶着し、この中空部の気密性を確保することが可能となるものである。
【0030】
また、本発明によれば、押出す中空線条の各々において、所定間隔で中空部を縮径させて閉塞させることにより、中空部の気密性を確保することが可能となる。
【0031】
中空線条の中空部の気密性を確保することから、この中空部に圧力気体や液体、固体物を封入することが可能となる。これにより、この中空線条からなる三次元網状構造体により構成されるマットレスに新たな物性を付加すること、すなわち、マットレスの弾性、熱交換性、保温性等の表現力を向上させて従来にない寝具としての快適性を実現することや、船舶等の特殊条件下における浮力の確保が可能となる。また、本発明により、中空線条の中空部に圧力気体や液体、固体物を封入することを効率的に行うことができる。中空形状は円形とは限らず、角形、楕円形等の非円形形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明実施例1によるマットレス1の斜視図である。
【図2】同実施例によるマットレス1の中空線条6の断面図である。
【図3】同実施例における三次元網状構造体5の製造工程を示す図である。
【図4】同実施例によるマットレス1の製造工程を示す図である。(a)は三次元網状構造体5の長さ方向を切断し、2つの中空部開口端面9を有している状態の図である。(b)は1つの中空部開口端面9を閉塞して中空部閉口端面10とした状態の図である。(c)は中空部6aに圧力気体7を満たした後、残る中空部開口端面9を閉塞して中空部閉口端面10とした状態のマットレス1の側面図である。
【図5】本発明実施例2によるマットレス100の中空線条106の断面図である。
【図6】同実施例によるマットレス100の製造工程を示す図である。(a)は1つの中空部開口端面109を閉塞して中空部閉口端面110とした状態の図である。(b)は三次元網状構造体105を液体107に浸して、中空部106aに液体107を取り込んだ状態の図である。(c)は残る中空部開口端面109を閉塞して中空部閉口端面110とした状態のマットレス100の側面図である。
【図7】本発明実施例3によるマットレス200の中空線条206の断面図である。
【図8】同実施例によるマットレス200の製造工程を示す図である。(a)は三次元網状構造体205の長さ方向を切断し、2つの中空部開口端面209を有している状態の図である。(b)は両端面202にシーリング材212を注入した状態の図である。(c)はシーリング材212を注入した範囲で切断して2つの中空部開口端面209を形成した状態の図である。
【図9】同実施例によるマットレス200の図8におけるものに続く製造工程を示す図である。(a)は一方の中空部開口端面209から発泡樹脂の原料である発泡剤213を供給し、他方から中空部206aを真空引きして、発泡剤213を中空部206aに取り入れた状態の図である。(b)は両端面202を溶着しつつ切断した状態の図である。
【図10】本発明実施例4によるマットレス300の製造工程を示す図である。
【図11】同実施例における口金320を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態として実施例1を以下に示す。まず、実施例1によるマットレス1について図1〜図4を参照して説明する。マットレス1は、一定の厚みが認められる略平板状であり、短手方向にある2つの側面を両側面2、長手方向にある2つの側面を左右側面3、広い2つの平面を主平面4とする(図1参照)。マットレス1は熱可塑性樹脂からなる三次元網状構造体5により構成される。三次元網状構造体5は、中空線条6がループ状に不規則に絡まり合って適度な間隙を有することからスプリング構造となる。中空線条6の中空部6aには圧力気体7が封入されている(図2参照)。
【0034】
マットレス1の製造方法を説明する。まず、溶融した熱可塑性樹脂を口金20から複数の中空線条6として押し出す(図3参照)。押し出された中空線条6はループ状に不規則に絡まり合って、それぞれの接触部分が熱溶着されて集合体8を形成する。この集合体8を引取機21で引き取り、集合体8の形成を連続的に行う。この引取機21の引き取り速度を調整することにより、中空線条6の絡まり具合、すなわち中空線条6の嵩密度を調整することとなる。引き取る過程を経て、この集合体8を冷却固化させることにより三次元網状構造体5を得る。この製造方法は、特公昭50−39185号公報、特開昭55−17527号公報、特開昭58−149362号公報、特開平1−207463号公報、特開平1−314771号公報等に記載されているので、この点の詳しい説明は省略する。なお、図示は略すが、引取機21と口金20の間にシューターを設け、水を流して、線条を引取機21に誘導してもよい。詳細は特許第4181878号公報を参照されたい。
【0035】
三次元網状構造体5は、中空線条6の押出し方向と直交する面で2回切断して略平板状とする(図4(a)参照)。この2つの切断面が中空部開口端面9となる。いずれの中空部開口端面9においても、三次元網状構造体5を構成する全ての中空線条6の中空部6aが開口することとなる。
【0036】
2つの中空部開口端面9のうち、1つの中空部開口端面9はあらかじめ溶着しておく(図4(b)参照)。この溶着面では、開口していた中空部6aの各々が閉塞されて中空部閉口端面10が形成されることとなる。溶着は熱溶着、高周波溶着、超音波溶着などを用いることができる。
【0037】
上記工程を経た三次元網状構造体5を圧力容器(図示略)に収める。圧力容器を密閉した後に容器内雰囲気を所望の圧力にする。三次元網状構造体5を構成する全ての中空線条6は、残る中空部開口端面9において開口しているため、中空部6aは容器内雰囲気と同じ圧力気体7で満たされることとなる。
【0038】
中空部6aに圧力気体7を取り込んだ状態のままで、残る中空部開口端面9についても上記と同様に溶着して中空部閉口端面10とすれば、中空部6aに所望の圧力を封入したマットレス1を得ることができる(図4(c)参照)。このとき、2つの中空部閉口端面10は図1でいう両端面2にあたることとなる。
【0039】
取り込む圧力気体7は、大気圧より大きな圧縮気体でもよいし、大気圧より小さな減圧気体でもよい。
【0040】
実施例1の製造方法の変形例として、中空部開口端面9を2つとも溶着させることなく、圧力気体7を同様の方法でもって中空部6aに取り入れ、その後に2つの中空部開口端面9を同時に溶着してもよい。
【0041】
熱可塑性樹脂として例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン66などのポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂が挙げられる。また、上記樹脂をベースとして共重合したコポリマーやエラストマー、上記樹脂をブレンドしたもの等が挙げられる。例えば、酢酸ビニル樹脂、ゴムを混合したポリエチレン樹脂が好適である。また、PETボトル等のフレーク状又はチップ状を使用してもよい。PETボトルをそのまま粉砕しそれを溶融させてフレーク形状にしたものが例示できる。再生以外の熱可塑性樹脂等においてもバージン樹脂等を適用可能である。
【0042】
さらに、前記の熱可塑性樹脂に、酢酸ビニル樹脂(以下VACと記す)、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下EVAと記す)又は、スチレンブタジエンスチレン(以下SBSと記す)等を混合したものでもよい。例えば、ポリオレフィン系樹脂に、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、又はスチレンブタジエンスチレンを混合したものを原料としてもよい。PE、PP等のポリオレフィン系樹脂と、VAC、EVA又はSBSとの混合物(例えば、熱可塑性エラストマー)を原料としてもよい。
【0043】
本発明の実施形態として実施例2を以下に示す。実施例2によるマットレス100について図1、図3、図5、図6を参照して説明する。マットレス1と共通する構成についてはこれを援用し、異なる構成についてのみ説明する。共通または対応する部品等の符合はマットレス1におけるものに10または1を接頭して説明する。
【0044】
マットレス100を構成する中空線条106の中空部106aには液体107が封入される(図5参照)。液体107としては、水や各種溶液を用いることができる。その他、コロイドを有することにより粘度の高まったゾルを用いてもよい。
【0045】
マットレス100の製造方法を説明する。マットレス100を構成する三次元網状構造体105の製造方法は、マットレス1におけるものと同様なため説明を省略する。さらに、三次元網状構造体105を切断して略平板状のものとし、この切断面である2つの中空部開口端面109のうち、1つの中空部開口端面109はあらかじめ溶着して中空部閉口端面110としておくところまでマットレス1と同様である(図6(a)参照)。
【0046】
上記工程の後は、三次元網状構造体105を密閉容器111に一定高さまで入れた液体107に完全に浸す(図6(b)参照)。密閉容器111の中における液体107の上方の空間を真空引きすることにより、中空線条106の各々の中空部106aに液体107を取り込む。
【0047】
液体107を中空部106aに保った状態で、開口したままの1つの中空部開口端面109を溶着して中空部閉口端面110とすれば、各々の中空部106aに液体107を封入することとなる(図6(c)参照)。
【0048】
実施例2の変形例として、中空部106aに発泡樹脂を封入することが挙げられる。液体を発泡剤とする発泡樹脂を、液体107と同様にして中空部106aに封入し、その後に発泡樹脂を発泡させれば、中空部106aに発泡樹脂を封入したマットレス200を得ることとなる。発泡樹脂は、発泡の際に与える圧力や温度等の発泡条件を加味して選定するものとする。
【0049】
本発明の実施形態として実施例3を以下に示す。実施例3によるマットレス200について図1、図3、図7、図8、図9を参照して説明する。マットレス1と共通する構成についてはこれを援用し、異なる構成についてのみ説明する。共通または対応する部品等の符合はマットレス1におけるものに20または2を接頭して説明する。
【0050】
マットレス200を構成する中空線条206の中空部206aには発泡樹脂207が封入される(図7参照)。
【0051】
マットレス200の製造方法を説明する。マットレス200を構成する三次元網状構造体205の製造方法は、マットレス1におけるものと同様なため説明を省略する。さらに、三次元網状構造体205を切断して略平板状のものとするところまでマットレス1と同様である(図8(a)参照)。
【0052】
上記工程の後は、三次元網状構造体205の両端面202から所定範囲にシーリング材212を注入して中空線条206同士の間隙を埋める(図8(b)参照)。つぎに、三次元網状構造体205を、シーリング材212を注入した範囲における両端面202と平行な面で切断し、中空線条206の各々の中空部206aが開口した2つの中空部開口端面209を形成する(図8(c)参照)。中空部開口端面209は、中空線条206同士の間隙が埋められているため、中空部206aの他に開口する空間がないものである。シーリング材212は中空線条206同士の間隙を充填することを目的とし、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、その他のエラストマーを用いることができる。
【0053】
1つの中空部開口端面209から発泡樹脂の原料である発泡剤213を供給し(図9における矢印A)、同時にもう1つの中空部開口端面209から中空線条206の各々の中空部206aを真空引きして(図9(a)における矢印B)、発泡剤213を中空部206aに取り入れる。
【0054】
中空部206aに発泡剤213を取り入れたら、その状態を保持しつつ、シーリング材212が注入された範囲の三次元網状構造体205を両端ともに切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着する。これにより2つの中空部開口端面209にある中空部206aの各々が閉塞されて、中空部閉口端面210が形成される(図9(b)参照)。
【0055】
つぎに、中空部206aに封入された発泡剤213を発泡させる。発泡は発泡剤213の性質に合わせた条件において行う。この発泡を経て、中空部206aに発泡樹脂207が封入されたマットレス200を得ることとなる。
【0056】
実施例3の変形例として、発泡剤213の代わりに気体や液体を中空部206aに封入することもできる。
【0057】
本発明の実施形態として実施例4を以下に示す。実施例4によるマットレス300について図1、図3、図10、図11を参照して説明する。マットレス1と共通する構成についてはこれを援用し、異なる構成についてのみ説明する。共通または対応する部品等の符合はマットレス1におけるものに30または3を接頭して説明する。
【0058】
マットレス300はマットレス全体としての形状はマットレス1と同様であるが、中空線条306の形状が相異するものである。マットレス300を構成する中空線条306は、中空部306aの他、縮径部306bを有し、これにより中空部306aを所定間隔で区切っている。中空部306aには圧力気体307が封入されている(図10参照)。
【0059】
マットレス300の製造方法を説明する。マットレス300を構成する中空線条306は、口金320から吐出される(図10参照)。口金320は環状の原料ノズル321と気体ノズル322とを有する二重筒構造である(図10、図11参照)。原料ノズル321は原料通路323と接続し、気体ノズル322は気体通路324と接続している。原料通路323から溶融した熱可塑性樹脂を中空線条306の原料として供給し、気体通路324から所望の圧力気体307を供給する構造である。
【0060】
原料ノズル321からは原料を一定の速度で押し出し続ける。一方、気体通路324では圧力気体307の供給と中断を一定の間隔で繰り返す。圧力気体307が供給されているときは、中空線条306の中空部306aに圧力気体307が取り入れられ、圧力気体307の供給が中断されているとき、中空部306aは真空となり、大気との圧力差により縮径部306bが形成され、これにより中空部306aが分断される。1つの中空線条306において隣り合う縮径部306bの間が中空部306aの最小単位となる。中空線条306の押し出し後は、マットレス1と同様に三次元網状構造体305として適度な長さに切断すれば圧力気体307を中空線条306の中空部306aに封入したマットレス300を得ることとなる。
【0061】
実施例4の変形例として圧力気体307の代わりに液体や粒状物、粉体等の固体を用いることができる。また、圧力気体307の代わりに発泡剤を用いて三次元網状構造体305を形成後、これを発泡させて中空線条306の中空部306aに発泡樹脂を封入することもできる。
【0062】
実施例4の別の変形例として、圧力気体307の代わりに中空線条306の原料とは別の熱可塑性樹脂を用いることもできる。すなわち、中空線条306の原料を第一の熱可塑性樹脂、中空部306aに供給するものを第二の熱可塑性樹脂とすると、出来上がったマットレス300を構成する中空線条306は、第二の熱可塑性樹脂を芯材としてその周囲に筒状に第一の熱可塑性樹脂を有する構造となる。
【0063】
本発明による実施例の効果は、中空線条の中空部に圧力気体や液体、固体物を封入することにより、マットレスに新たな物性を付加することができることである。より具体的には以下の通りである。
【0064】
実施例1またはこの変形例によると中空線条の中空部に圧縮気体または減圧気体を封入することができる。中空部に気体を封入することから、マットレスを軽量化することができる。これによりマットレスの輸送が効率的になったり取り扱いが容易になったりする。また、このマットレスを船舶における宿泊設備に用いれば、船の事故等の緊急時において海に浮かぶ救命用具ともなる。マットレスの原料としていずれを選択しても、その比重は水より少し小さい程度のものであるが、気密性を保った中空部を設けることにより、マットレスは安定して水に浮くこととなるからである。
【0065】
中空部に圧縮気体を封入すれば、マットレスを軽量化しつつ圧縮強度を向上させることができる。また、マットレスを高反発なものとすることができる。さらに、中空部の気圧が大気圧と同程度である場合と比較すると圧縮残留歪試験による歪み残留率が低減されることから、製品の耐久性が向上すると考えられる。中空部に減圧気体を封入すれば、マットレスを低反発なものとすることができる。また、中空部の内部圧力が低いことから、若干の断熱効果が得られることも考えられる。
【0066】
中空線条の押出し方向と直交する面に中空部開口端面を設けるため、全ての中空線条を確実に開口させることができる。仮に中空部開口端面を左右側面に設けたとしたら、中空線条の押出し方向との関係から、全ての中空線条を開口させることは考えられないものとなる。本実施例によれば、全ての中空線条に圧力気体を封入することができることとなる。
【0067】
実施例2またはこの変形例によると、中空線条の中空部に液体を封入することができる。中空部に液体を封入すれば、液体の吸熱効果によりマットレスの冷感を向上させることができる。また、積載荷重による応力を液体によって負担することにより、マットレスの圧縮強度が向上する。さらに、液体を粘性等の様々な観点に立って選択することによりマットレスの物性をさらに多様化なものとすることができる。液体として発泡剤を封入し、その後に発泡過程を経れば中空線条の中空部に発泡樹脂を封入したマットレスをつくることができる。
【0068】
実施例3またはこの変形例によると、気体や液体のみならず、粉体等の流動性のある固形物を中空部に封入することができる。シーリング材を注入して中空線条同士の間隙を埋め、ここに中空部開口端面を設けることにより、中空部のみに圧力をかけることができるからである。また、実施例1または実施例2によっても、空気以外の気体を中空部に取り入れることは難しいが、この方法ならば中空部内の雰囲気を所望の気体に入れ替えることができる。
【0069】
実施例4またはこの変形例によると、気体や液体、さらに流動的に供給できる固体を中空部に取り入れたマットレスをつくることができる。これは、口金に供給する気体等の注入速度の制御のみによって、中空部の閉塞状態を作り出すことができて簡便な方法である。
【0070】
実施例5は、中空線条と中実線条を絡合させる例である。中空線条用の貫通穴と、中実線条用の貫通穴を備えた口金を用いたものである。中実線条の直径が0.5〜3mm、例えば、1mm、中空線状の直径が6〜25mm、好ましくは6〜10mmである。それぞれの中空線条用の貫通穴は円筒形状の貫通穴が複数個(例えば3分割)に分割されて、分離部により円弧形状端部が分離されたものである。これにより、ベッドであれば寝心地がよくなり、感触もよい。また、浮力が10〜15%程度増加し、浮きなどに利用できる。中空形状は円形とは限らず、角形、楕円形等の非円形形状であってもよいので、前記貫通穴も円形に限らず、非円形であってもよい。
【0071】
上記各実施形態の中空線条の端部の閉塞方法に変えて、引取機による中空線条の引取を一時的に停止することにより、中空線条を畳み込んで、中空線状の内周面を溶着することで閉塞することもできる。そして、閉塞された領域で切断成形することができる。
【0072】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改良、変更、追加等を加えることができる。それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のマットレスは、自宅、宿泊施設、病院等で幅広く活用できる。
【符号の説明】
【0074】
1、100、200、300・・・マットレス
2、202・・・両端面
5、105、205、305・・・三次元網状構造体
6、106、206、306・・・中空線条
6a、106a、206a、306a・・・中空部
7、307・・・圧力気体 107・・・液体 207・・・発泡樹脂
9、109、・・・中空部開口端面
10、110、210・・・中空部閉口端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に大気圧より高い圧力の圧縮気体が封入されたことを特徴とするマットレス。
【請求項2】
溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に大気圧より低い圧力の減圧気体が封入されたことを特徴とするマットレス。
【請求項3】
溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に液体が封入されたことを特徴とするマットレス。
【請求項4】
溶融した熱可塑性樹脂が中空線条として押し出され、複数本の該中空線条がループ状に不規則に絡まり合いそれぞれが部分的に熱溶着された該中空線条から構成されるスプリング構造の三次元網状構造体により構成され、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面が溶着して閉塞されることにより、前記中空線条の中空部に固体が封入されたことを特徴とするマットレス。
【請求項5】
溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、
該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
前記三次元網状構造体を、容器内雰囲気を大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力に設定した圧力容器内に収めて、前記中空部開口端面から前記中空線条の各々の中空部に前記容器内雰囲気を取り込むステップと、
前記圧力容器内にて2つの前記中空部開口端面を溶着することにより、前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力を持つ気体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項6】
溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、
該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
2つの前記中空部開口端面のうち、1つの前記中空部開口端面を溶着により前記中空線条の各々の前記中空部の一方を閉塞するステップと、
前記三次元網状構造体を、容器内雰囲気を大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力に設定した圧力容器内に収めて、前記中空部開口端面から前記中空線条の各々の中空部に前記容器内雰囲気を取り込むステップと、
開口したままの前記中空部開口端面を溶着することにより前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力を持つ気体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項7】
溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出して、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることによりスプリング構造を有する略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
2つの前記中空部開口端面のうち、1つの前記中空部開口端面を溶着により前記中空線条の各々の前記中空部の一方を閉塞するステップと、
該三次元網状構造体を密閉容器内に入れた液体に浸し、該密閉容器内を真空引きすることにより、前記中空線条の各々の前記中空部に前記液体を取り込むステップと、
開口したままの前記中空部開口端面を溶着することにより前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に前記液体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項8】
溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出して、該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることによりスプリング構造を有する略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面を切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
2つの前記中空部開口端面のうち、1つの前記中空部開口端面を溶着により前記中空線条の各々の前記中空部の一方を閉塞するステップと、
該三次元網状構造体を密閉容器内に入れた発泡樹脂の原料である液体に浸し、該密閉容器内を真空引きすることにより、前記中空線条の各々の前記中空部に前記液体を取り込むステップと、
開口したままの前記中空部開口端面を溶着することにより前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、
前記発泡樹脂の原料を発泡させるステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に前記発泡樹脂を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項9】
溶融した第一の熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に第二の熱可塑性樹脂を線条として押し出すステップと、
前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、を有することにより、
前記第一の熱可塑性樹脂による前記中空線条の前記中空部に、前記第二の熱可塑性樹脂による線条を有することを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項10】
溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、
該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面から所定範囲においてシーリング材を注入することより、前記中空線条同士の間隙を埋めるステップと、
前記三次元網状構造体を、前記シーリング材により間隙が埋められた範囲における前記両端面と平行な面で切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
該中空部開口端面のうち一方から気体を供給し、同時に他方の該中空部開口端面から前記中空線条の各々の前記中空部を減圧することにより、前記液体を前記中空部に取り入れるステップと、
前記シーリング材が注入された範囲の前記三次元網状構造体を切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着することにより、2つの前記中空部開口端面にある前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に前記気体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項11】
溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、
該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面から所定範囲においてシーリング材を注入することより、前記中空線条同士の間隙を埋めるステップと、
前記三次元網状構造体を、前記シーリング材により間隙が埋められた範囲における前記両端面と平行な面で切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
該中空部開口端面のうち一方から液体を供給し、同時に他方の該中空部開口端面から前記中空線条の各々の前記中空部を減圧することにより、前記液体を前記中空部に取り入れるステップと、
前記シーリング材が注入された範囲の前記三次元網状構造体を切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着することにより、2つの前記中空部開口端面にある前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に前記液体を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項12】
溶融した熱可塑性樹脂が複数本の中空線条として押し出すステップと、
該中空線条の各々がループ状に不規則に絡まり合い、部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の押出し方向と直交する前記三次元網状構造体の両端面から所定範囲においてシーリング材を注入することより、前記中空線条同士の間隙を埋めるステップと、
前記三次元網状構造体を、前記シーリング材により間隙が埋められた範囲における前記両端面と平行な面で切断し、前記中空線条の各々の中空部が開口した2つの中空部開口端面を形成するステップと、
該中空部開口端面のうち一方から発泡樹脂の原料を供給し、同時に他方の該中空部開口端面から前記中空線条の各々の前記中空部を減圧することにより、前記液体を前記中空部に取り入れるステップと、
前記シーリング材が注入された範囲の前記三次元網状構造体を切り離すと同時に、これにより形成される新たな端面を溶着することにより、2つの前記中空部開口端面にある前記中空線条の各々の前記中空部を閉塞するステップと、
前記発泡樹脂の原料を発泡させるステップと、を有することにより、
前記中空線条の前記中空部に発泡樹脂を封入したことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項13】
溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に圧力気体を供給するステップと、
前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への圧力気体の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、
上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、を有することにより、
前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に圧力気体が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項14】
溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に液体を供給するステップと、
前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への前記液体の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、
上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、を有することにより、
前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に前記液体が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項15】
溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に固体を供給するステップと、
前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への固体の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、
上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に前記発泡樹脂が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項16】
溶融した熱可塑性樹脂を複数本の中空線条として押し出し、これと同時に該中空線条の中空部に発泡樹脂の原料を供給するステップと、
前記中空線条の押出しを継続しつつ、前記中空部への前記発泡樹脂の原料の供給を中断して前記中空部を縮径させて区切るステップと、
上記ステップを交互に繰り返して押し出された前記中空線条の各々が、ループ状に不規則に絡まり合い部分的に熱溶着されることにより、スプリング構造を有する集合体とするステップと、
該集合体を冷却固化することにより、略薄板状の三次元網状構造体を成形するステップと、
前記発泡樹脂の原料を発泡させるステップと、を有することにより、
前記中空線条の長さ方向において任意の間隔で区切られた前記中空部に前記発泡樹脂が封入されたことを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項17】
前記中空線条に中実線条を接触絡合させている請求項1乃至4いずれかのマットレス。
【請求項18】
前記中空線条に中実線条を接触絡合させている請求項5乃至16いずれかのマットレスの製造方法。
【請求項19】
前記中空線条を押し出しながら、引取機により前記中空線条を引き取り、前記引取機による前記中空線条の引取を一時的に止め、前記中空部を畳み込むことで、中空線条の内周面を溶着して閉塞する請求項1乃至19いずれかのマットレスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−245287(P2011−245287A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102627(P2011−102627)
【出願日】平成23年4月30日(2011.4.30)
【出願人】(500037735)株式会社ジャテックス (7)
【出願人】(300054206)株式会社シーエンジ (15)
【Fターム(参考)】