説明

マッドガードの捲れ上がり防止構造

【課題】 本発明は、マッドガードの捲れ上がりを防止するためのマッドガードの捲れ上がり防止構造に関し、マッドガードの長さを長くした場合にもマッドガードの捲れ上がりを容易,確実に防止することを目的とする。
【解決手段】 車輪の外側に配置されるフェンダの後端に固定されるマッドガードの捲れ上がりを防止するためのマッドガードの捲れ上がり防止構造において、前記マッドガードの後面に、捲れ上がり防止部材を配置し、前記捲れ上がり防止部材を車体側のブラケットに固定してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の外側に配置されるフェンダの後端に固定されるマッドガードの捲れ上がりを防止するためのマッドガードの捲れ上がり防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック等の車両では、車輪の外側にフェンダを配置し、このフェンダの後端に、泥除けのためのマッドガードを固定することが行われている。
図3は、従来のマッドガードの取付構造を示すもので、車輪1の外側に配置される樹脂製のフェンダ3の下端に、鋼板製の延長フェンダ5が固定されている。そして、この延長フェンダ5の下端に、ラバー製のマッドガード7が固定されている。
【0003】
また、マッドガード7の後方には、リレーボックス9,バッテリブラケット11,リザーバタンク13等が配置されている。
このような取付構造では、フェンダ3の下端に延長フェンダ5を介してマッドガード7を固定したので、マッドガード7の長さを短くすることが可能になり、走行風によるマッドガード7の捲れ上がりにより、マッドガード7がリレーボックス9等に衝突することを防止することができる。
【0004】
なお、従来、マッドガードの取付構造として、例えば、特開平8−207831号公報,特開平8−216929号公報に開示されるものが知られている。
【特許文献1】特開平8−207831号公報
【特許文献2】特開平8−216929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図3に示したマッドガードの取付構造では、樹脂製のフェンダ3の下端に、金属製の延長フェンダ5を介してマッドガード7を固定しているため、金属製の延長フェンダ5の重量により、樹脂製のフェンダ3に亀裂等が発生するおそれがあるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、マッドガードの長さを長くした場合にもマッドガードの捲れ上がりを容易,確実に防止することができるマッドガードの捲れ上がり防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のマッドガードの捲れ上がり防止構造は、車輪の外側に配置されるフェンダの後端に固定されるマッドガードの捲れ上がりを防止するためのマッドガードの捲れ上がり防止構造において、前記マッドガードの後面に、捲れ上がり防止部材を配置し、前記捲れ上がり防止部材を車体側のブラケットに固定してなることを特徴とする。
請求項2のマッドガードの捲れ上がり防止構造は、請求項1記載のマッドガードの捲れ上がり防止構造において、前記ブラケットは、前記マッドガードの後方近傍に配置されるリレーボックスを支持するブラケットを兼ねていることを特徴とする。
【0007】
請求項3のマッドガードの捲れ上がり防止構造は、請求項1または請求項2記載のマッドガードの捲れ上がり防止構造において、前記ブラケットは、前記マッドガードの後方に配置されるバッテリを車体側に支持するバッテリブラケットに支持されていることを特徴とする。
(作用)
請求項1のマッドガードの捲れ上がり防止構造では、車輪の外側に配置されるフェンダの後端にマッドガードが固定される。そして、マッドガードの後面に、捲れ上がり防止部材が車体側のブラケットを介して固定され、捲れ上がり防止部材によりマッドガードの捲れ上がりが防止される。
【0008】
請求項2のマッドガードの捲れ上がり防止構造では、捲れ上がり防止部材が、マッドガードの後方近傍に配置されるリレーボックスを支持するブラケットに固定される。
請求項3のマッドガードの捲れ上がり防止構造では、捲れ上がり防止部材を支持するブラケットが、マッドガードの後方に配置されるバッテリを車体側に支持するバッテリブラケットに支持される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のマッドガードの捲れ上がり防止構造では、マッドガードの後面に、捲れ上がり防止部材を配置し、捲れ上がり防止部材を車体側のブラケットに固定したので、マッドガードの長さを長くした場合にもマッドガードの捲れ上がりを容易,確実に防止することができる。
請求項2のマッドガードの捲れ上がり防止構造では、捲れ上がり防止部材を、マッドガードの後方近傍に配置されるリレーボックスを支持するブラケットに固定するようにしたので、別途ブラケットを追加することなく捲れ上がり防止部材を容易,確実に支持することができる。
【0010】
請求項3のマッドガードの捲れ上がり防止構造では、捲れ上がり防止部材を支持するブラケットを、マッドガードの後方に配置されるバッテリを車体側に支持するバッテリブラケットに支持するようにしたので、別途ブラケットを追加することなく捲れ上がり防止部材を容易,確実に支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明のマッドガードの捲れ上がり防止構造の一実施形態を示している。この実施形態では、本発明が、キャブオーバ型のトラクタに適用される。
図1および図2において、符号21は、車輪(前輪)23の後部上方に配置される樹脂製のフェンダ21を示している。このフェンダ21は、図2に示すように、車体のフレーム25にボルト27により固定されている。
【0012】
フェンダ21の下端には、図1に示すように、ラバー製のマッドガード29の上端が、ボルト31とナット33により固定されている。
マッドガード29の後面には、マッドガード29の捲れ上がりを防止するための捲れ上がり防止部材35が配置されている。この捲れ上がり防止部材35は、リレーボックス支持ブラケット37に固定されている。
【0013】
捲れ上がり防止部材35は、断面L字状の本体部35aと、本体部35aを支持する支持部35bとを有している。本体部35aは、水平方向に長尺状に形成されており、その前面がマッドガード29の背面に略当接して位置されている。また、本体部35aは、図3で示した延長フェンダ5の略下端となる位置に位置されている。
この実施形態では、マッドガード29の後方近傍で、かつ、捲れ上がり防止部材35の上方となる位置に、リレーボックス39が配置されている。また、リレーボックス39の後方には、バッテリ41を車体のフレーム25側に支持するバッテリブラケット43が配置されている。バッテリブラケット43の下方には、リザーバタンク45が配置されている。このリザーバタンク45は、ブラケット47により車体のフレーム25側に支持されている。
【0014】
そして、捲れ上がり防止部材35が、リレーボックス39を支持するリレーボックス支持ブラケット37により支持されている。このリレーボックス支持ブラケット37は、バッテリブラケット43の下面に支持されている。
リレーボックス支持ブラケット37は、リレーボックス39の下方まで延存される垂直部37aと、この垂直部37aの先端からマッドガード29側に折曲される折曲部37bとを有している。垂直部37aには、ボルト49によりリレーボックス39が固定されている。そして、折曲部37bに、捲れ上がり防止部材35の支持部35bがボルト51とナット53により固定されている。
【0015】
上述したマッドガードの捲れ上がり防止構造では、マッドガード29の後面に、捲れ上がり防止部材35を配置し、捲れ上がり防止部材35をリレーボックス支持ブラケット37に固定したので、マッドガード29の長さを長くした場合にもマッドガード29の捲れ上がりを容易,確実に防止することができる。従って、走行風によるマッドガード29の捲れ上がりにより、マッドガード29がリレーボックス39等に衝突することを有効に防止することができる。
【0016】
そして、上述したマッドガードの捲れ上がり防止構造では、図3に示したように、フェンダ3の下端に金属製の延長フェンダ5を介してマッドガード7を固定する必要がなくなるため、金属製の延長フェンダ5の重量により、樹脂製のフェンダ3に亀裂等が発生するおそれを解消することができる。
また、上述したマッドガードの捲れ上がり防止構造では、捲れ上がり防止部材35を、マッドガード29の後方近傍に配置されるリレーボックス39を支持するリレーボックス支持ブラケット37に固定するようにしたので、別途ブラケットを追加することなく捲れ上がり防止部材35を容易,確実に支持することができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0017】
(1)上述した実施形態では、車輪23の後部上方に配置されるフェンダ21にマッドガード29を固定した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば車輪の上部を全体的に覆って配置されるフェンダ21にマッドガード29を固定する場合にも同様に適用することができる。
(2)上述した実施形態では、捲れ上がり防止部材35をリレーボックス支持ブラケット37に固定した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、リレーボックス支持ブラケット37以外のブラケットに固定しても良い。
【0018】
(3)上述した実施形態では、本発明をキャブオーバ型のトラクタに適用した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、トラック,特殊車両等に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のマッドガードの捲れ上がり防止構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】従来のマッドガードの支持構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
21 フェンダ
23 車輪
29 マッドガード
35 捲れ上がり防止部材
37 リレーボックス支持ブラケット
39 リレーボックス
43 バッテリブラケット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の外側に配置されるフェンダの後端に固定されるマッドガードの捲れ上がりを防止するためのマッドガードの捲れ上がり防止構造において、
前記マッドガードの後面に、捲れ上がり防止部材を配置し、前記捲れ上がり防止部材を車体側のブラケットに固定してなることを特徴とするマッドガードの捲れ上がり防止構造。
【請求項2】
請求項1記載のマッドガードの捲れ上がり防止構造において、
前記ブラケットは、前記マッドガードの後方近傍に配置されるリレーボックスを支持するブラケットを兼ねていることを特徴とするマッドガードの捲れ上がり防止構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のマッドガードの捲れ上がり防止構造において、
前記ブラケットは、前記マッドガードの後方に配置されるバッテリを車体側に支持するバッテリブラケットに支持されていることを特徴とするマッドガードの捲れ上がり防止構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15789(P2006−15789A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192942(P2004−192942)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】