説明

マルチスプレイ装置の作動装置のオーバーキャップ

複数の散布パターンを生成するための作動装置のオーバーキャップは、ソケットを規定する下面とソケットと流体的に連通するチェンバーを規定する上面とを備えるキャップを含む。第一のおよび第二のバレルが、第一および第二の流路を規定するように、ハブとキャップの側壁との間を延長する。トリガーがキャップに旋回軸的に結合され、シールサポートを含む。セレクタがトリガーに結合され、ユーザがはめ込み可能なパッドとシールを含む。シールはハブのチェンバー内にぴったりとはまるように構成され、ハブのチェンバーと流体的に連通する中央開口部と、中央開口部から径方向に外側に延長し、中央開口部と流体的に連通する第一のノッチを規定する。トリガーおよびセレクタはキャップに対して、第一のノッチを第一と第二の流路の一つと流体連通させるように旋回軸的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般には流体供給デバイス、より詳細には、このような供給デバイスと共に用いる作動装置のオーバーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
制御された量の流体をある散布(スプレイ)パターンで供給するための様々なタイプの流体供給デバイスが知られている。これらデバイスの多くは、内部に加圧された貯蔵流体を有するエアゾール容器を含む。スプレイヘッドをこの容器のステムバルブのアウトレットに接続しても良く、所望の散布パターンを提供するように構成された散布孔を含んでも良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これら公知の流体供給デバイスの幾つかは、複数の異なる散布パターンを生成することができる。幾つかのこれらマルチ散布デバイスは、散布孔に配置される散布ノズルを変えることで、散布パターンを調節する。他のマルチ散布デバイスは、散布パターンを変えるために専用の散布ノズルを備える複数のバレル(円筒部)および/またはソケットを使用する。一般には、しかしながら、従来のマルチ散布デバイスはバルブステムとソケットとの間を確実に密封するものではない。この問題は、オーバーキャップの位置が散布パターンを変えるために調節されるマルチバレルデバイスでは特に深刻になる。さらに、従来のオーバーキャップは、使用後にソケットから確実に外すことができず、このためにオーバーキャップが外された後に、ノズルから不用意な漏れの原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施形態によると、作動装置のオーバーキャップは複数の散布通路を規定し、これら散布通路の間を確実に密閉するためのシールを含む。オーバーキャップはステムバルブを有するキャニスタと共に用いても良く、キャニスタと係合するように構成された底縁を有するキャップを含んでも良い。キャップは、さらに下面と上面を有するハブを含んでも良く、ハブの下面はステムバルブと係合するように構成されたソケットを規定し、ハブの上面はこのソケットと流体的に連通するチェンバーを規定する。第一のバレルがハブとキャップの側壁との間を延長し、第一の流路および第一の流路と流体的に連通する第一の排出孔を規定し、第二のバレルがハブとキャップのサイド側壁との間を延長し、第二の流路および第二の流路と流体的に連通する第二の排出孔を規定しても良い。トリガーがキャップに旋回軸的に結合され、側壁と、上壁と、トリガーの上壁を貫通して延長するボスとを有しても良く、ボスはシールサポートを規定する下側の縁を有してもよい。セレクタをトリガーに結合しても良く、トリガーの上壁の上方に配置されたユーザがはめ込み可能なパッドと、トリガーの上壁の下方に配置されたシールを含んでも良い。シールはハブのチェンバー内にぴったりとはまるように構成し、シールはさらにハブのチェンバーと流体的に連通する中央開口部を規定し、中央開口部から径方向の外側に延長し、中央開口部と流体的に連通する第一のノッチを有しても良い。トリガーおよびセレクタはキャップに対して、この第一のノッチを第一および第二の流路の一つと流体連通させるように旋回軸的であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本開示によって構成された作動装置のオーバーキャップを有する流体供給デバイスの側面図である。
【図2】図1の流体供給デバイスの、断面の側面図である。
【図3】図1の流体供給デバイスと共に提供される作動装置のオーバーキャップの拡大した背面の斜視図である。
【図4】図3の作動装置のオーバーキャップ内で用いられるキャップの斜視図である。
【図5】図4の作動装置のオーバーキャップの、断面の斜視図である。
【図6】図3の作動装置のオーバーキャップ内で用いられるトリガーの平面図である。
【図7】図6のトリガーの底面の斜視図である。
【図8】図3の作動装置のオーバーキャップ内で用いられるセレクタ1の斜視図である。
【図9】図3の作動装置のオーバーキャップの、断面の側面図である。
【図10】本開示によって構成された作動装置のオーバーキャップの第二の実施形態を含む流体供給デバイスの斜視図である。
【図11】図10の流体供給デバイスと共に提供される作動装置のオーバーキャップの拡大した背面の斜視図である。
【図12】図11の作動装置のオーバーキャップ内で用いられるキャップの断面の斜視図である。
【図13】図11の作動装置のオーバーキャップ内で用いられるトリガーの底面の斜視図である。
【図14】図11の作動装置のオーバーキャップ内で用いられるセレクタ1の斜視図である。
【図15】従来技術の流体供給デバイスの断面の側面図である。
【図16】オーバーキャップが通常位置にあるときの、スプリングリブを有するオーバーキャップのさらなる一実施形態の断面の側面図である。
【図17】作動位置にあるときの図16のオーバーキャップの断面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示をより完全に理解するためには、添付の図面上により詳細に図解されている実施形態を参照すべきである。
【0007】
図面は必ずしも実寸ではないこと、および開示されている実施形態はしばしば簡略的に、部分図にて、図解されていることを理解されるべきである。幾つかの例では、本開示を理解するために必要ではない、もしくは他の細部を見ることを困難にさせる細部は省かれているかもしれない。勿論、この開示は、ここで解説される特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されるべきである。
【0008】
ここでは少なくとも二つの異なる散布パターンを生成することができる供給デバイスの多様な実施形態が開示される。供給デバイスは複数の散布ノズルを有する調節可能な作動装置のオーバーキャップを含んでも良く、各々の散布ノズルは製品の流路を規定する関連するバレルを有する。作動装置のオーバーキャップはさらにユーザが加圧するシールを含んでも良い。このユニークなシールは作動装置のオーバーキャップを異なる位置に調節可能にすると同時に、バルブステムと選択されたバレルとの間の密封通路を確実に構築する。幾つかの実施形態によると、作動装置のオーバーキャップはさらに、セレクタ1(selector1)を外した後に、ここでは「使用後の漏れ(post−use drool)」とも呼ばれる製品の不用意な漏れを防止するために、バルブステムを作動装置のオーバーキャップのソケットから外すためのスプリングリブを含んでも良い。
【0009】
ここで用いられる「散布ジェット(spray jet)」なる用語は出口孔と標的表面との間の物質の三次元形状を指し、他方、「散布パターン(spray pattern)」なる用語はノズルが固定して保持されたときに物質によって覆われる標的表面の二次元の領域を指す。
【0010】
流体供給デバイスは多様な異なる容器を使用しても良い。これら容器は多様な成分の一つもしくは組合せを保持しても良く、典型的には、容器の内容物を排出するために、永久的もしくは一時的な圧力を使用する。容器が、例えば、エアゾール缶であるときは、供給されるべき一つもしくは複数の化学物質もしくは他の活性成分は、通常は溶剤内に混合され、典型的にはさらに缶を加圧するための推進剤と混合される。公知の推進剤には、二酸化炭素、選択された炭化水素ガス、もしくは炭化水素ガスの混合物、例えば、プロパン/ブタン混合物が含まれる。ここでは便宜的に、供給されるべき物質は、それらの化学的性質もしくは意図される機能とは無関係に、単に「活性物質(actives)」と呼ばれることがある。活性物質/推進剤の混合物は、エアゾール缶内に一定の、しかしながら持続的である必要はない圧力下で保存しても良い。散布される活性物質は、エマルジョン状態で存在しても、あるいは単相、複相、および/または部分的に気相で存在しても良い。これに限定されるものではないが、活性物質には、昆虫制御剤(例えば、高圧ガス、殺虫剤、あるいは成長調節剤)、芳香剤、清浄剤、洗浄剤、ワックスもしくは他の表面処理剤、および/または脱臭剤が含まれる。
【0011】
一実施形態の流体供給デバイス10が図1においてエアゾール容器の環境で示されている。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、他のタイプの容器および供給手段、例えば、セレクタ1ポンプ(selector1 pump)を用いても良いことを理解できよう。
【0012】
示されているディスペンサー10は容器12、例えば、従来のエアゾール金属(例えば、アルミニウムあるいはスチール)缶を含み、供給されるべき物質を加圧下で収容できる内部チェンバー15を規定する。容器12は、その上側の縁をドーム16(図2)によって閉じられている円筒状の壁14を含む。缶の壁14の上側の縁はドームに缶のチャイム(図示せず)を介して結合しても良い。
【0013】
ディスペンサー10は従来のエアゾールバルブ41を含む(もう一つのこのようなバルブについては、例えば、米国特許第5,068,099号を参照)。エアゾールバルブ41は中空であり、バルブカップ20から軸方向に上方に延長するバルブステム34を有する。ここに説明される例示的な実施形態においては、バルブ41はステム34を下方に押すことによって作動させるが、しかしながら、他のタイプのバルブ、例えば、ステムが横方向に湾曲されたとき作動するバルブや非エアゾール用途において用いられるバルブを用いても良い。このようにして作動されると、加圧された物質が容器からのバルブステムを通じて解放される。
【0014】
後に詳細に説明されるように、オーバーキャップ50が容器12に、バルブ41を作動するため、並びに所望の散布パターンを選択するために結合される。図2に示されているように、オーバーキャップ50は3つの構成要素、キャップ52、トリガー54、およびセレクタ1 56を含んでも良い。図3は組み立てられたオーバーキャップ50の背面の斜視図を与える。
キャップ52が図4および図5においてより詳細に示されている。示された実施形態においては、キャップ52はキャニスタ12の上端と係合するように構成された底縁62を有する側壁60を含む。第一および第二の排出孔63、64が側壁60内に形成される。キャップ52はさらにその内部に形成された弓状のスロット68、69を有する環状の上壁66を含んでも良い。ハブ70をキャップ52上の中央に配置し、第一および第二のバレル72、74により側壁60に接続しても良い。バレル72、74は各々の排出孔63、64と流体的に連通する流路76、77を規定する。示された実施形態においては、第一のバレル72は第二のバレル74に対して鋭角に配置されている。
ハブ70はバルブステム34と係合するように構成されたソケット80として形成される下面を有する。ハブ80の上面はチェンバー82を規定する。チェンバー82の底は中央のフロー開口部84を通じてソケット80と流体的に連通する。第一のバレル開口部86をハブの上面内にチェンバー82と第一の流路76との間の流体連通を提供するために形成しても良い。同様に、第二のバレル開口部88をハブの上面内にチェンバー82と第二の流路78との間の流体連通を提供するために形成しても良い。ノズルインサートを第一および第二の排出孔63、64内に所望の散布パターンを得るために挿入しても良い。例えば、図1は第一の排出孔63内に配置された広い散布パターン用のノズルインサート65を示す。第二の排出孔64もノズルインサートを有しても良い(図示せず)。
【0015】
キャップ52は好ましくは組立および動作を容易にするために弾性材から形成される。動作の際に、例えば、ハブ70は、バルブステム34を作動させるために下方に変位させても良い。キャップ52を弾性材から形成することで、バレル72、74が弾性的に変形することが許容され、バルブ41を動作するためにハブ70を十分に変位させることが可能になる。
【0016】
図6および7はトリガー54をより詳細に示す。トリガー54は概ねキャップ52の上部に位置し、キャップ52に対して旋回軸的である。トリガー54は、その中にキャップ内に形成された第一および第二の排出孔63、64の選択された一つへのアクセスを提供するために形成された散布開口部92を有する側壁90を含んでも良い(図1および2に最も良く示されている)。トリガー54はさらに上壁96を有しても良い。
【0017】
二つのセットのタブ93、94をトリガー54がキャップ52に対して回転することを制限するために提供しても良い。図6および7に最も良く示されているように、セットのタブ93、94は側壁90からぶら下がり、キャップのスロット68、69とスライド式に係合するように構成しても良い。セットのタブ93、94は、トリガー54がキャップ52に対して所定の量だけ回転するような寸法および構成にされる。示された実施形態においては、セットのタブ93、94はトリガー54が少なくとも第一および第二の位置の間で回転することを可能にする。第一の位置においては、トリガーの散布開口部92は第一の排出孔63と一直線になる。同様に、トリガー54が第二の位置にあるときは、散布開口部92は第二の排出孔64と一直線になる。キャップ52はトリガー54がどの位置にあるかを示す標識を含んでも良い。例えば、図3に示されているように、キャップ52はトリガー56が第一の位置にあることを示す第一の標識44およびトリガーが第二の位置にあることを示す第二の標識46を有しても良い。標識44、46はユーザに対して関連するトリガー位置において得られるタイプの散布パターンに関する情報を提供しても良い。示された実施形態においては、第一の標識44は、ディスペンサー10が作動されたときに、高い領域、すなわち広い散布を生成することを示すための「スプレイ(SPRAY)」なる単語であり、他方、第二の標識46は、ディスペンサー10は低い領域、すなわち集中的なストリームを生成することを示すための「ストリーム(STREAM)」なる単語である。
【0018】
後により詳細に説明されるように、ボス98がセレクタ1 56との組み立てを容易にするため、およびセレクタ1 56の部分に対するサポートを提供するために、上壁96を貫通して延長しても良い。ボス98は外壁97および複数のウェブ99a−eを含んでも良い。ウェブ99a−dは立体、実質的に同一の形状であっても良い。ウェブ99eは、しかしながら、二つの間隔をあけた側壁110a、110bを有するように形成しても良い。外壁97およびウェブ99a−eの底面はシールサポートを形成する。ウェブ99a−eの間に提供されているギャップ102はトリガー54をセレクタ1 56に組み立てることを容易にする。上壁96はさらにセレクタ1 56をトリガー54に対して固定するための係合スロット104を含んでも良い。
【0019】
セレクタ1 56はトリガー54に結合され、これと共に回転する。図8に最も良く示されているように、セレクタ1 56は、トリガーの上壁96(図3)上に配置されるユーザがはめ込み可能なパッド110を含んでも良い。係合スロット104にはまり、こうしてパッド110をトリガー54に固定して一致させるように構成されたパッド110からアンカー112がぶら下がっても良い。
【0020】
セレクタ56はさらに活性生成物が所望の排出孔63、64を通ってのみ流れることを確保するシール114を含んでも良い。シール114はアーム116によってパッド110に結合される。示された実施形態においては、シール114は、ハブチェンバー82を規定するハブの上面ときっちりと係合するように構成されたシール表面118を有する。シール114はさらに後壁115も有しても良い。中央開口部119がシール114の底を貫通して、シール114がチェンバー82内に配置されたときに、ソケット80との流体連通を提供するために形成される。ノッチ120がシールの表面118内に、中央開口部119と所望のバレル開口部86、88との間の流体連通を提供するために形成される。ノッチ120は直径方向に対向する横方向の側縁112a、112bを含んでも良い。
【0021】
オーバーキャップ50が組み立てられたとき、トリガー54はセレクタシール114に対するサポートを提供しても良い。外壁97およびトリガーボス98のウェブ99a−eはシールの後壁115にぴったりは係合するように構成され、こうしてシール114に対してこれがハブのチェンバー82内で回転するときにサポートを提供する(図9)。ウェブ99eの間隔をあけた側壁100a、100bはノッチ120の横方向の側縁122a、122bに隣接して後壁115と係合するように構成され、こうしてサポートを提供する。従って、シール114はチェンバー82内で、動きを失うことなく、より良好に回転でき、こうして選択されてないバレル開口部をより確実に密封する。
【0022】
トリガー54およびセレクタ56に対する材料は、組み立ておよび動作が容易になるように選択しても良い。トリガー54はそれが提供するシールサポート特性を向上させるために比較的硬い材料から形成しても良い。トリガー材は作動の際にトリガーの上壁96が下方に移動することを許容されるようにいくぶん弾力的であっても良い。セレクタ56は、しかしながら、より柔らかな、より弾力的な材料から形成しても良い。このようなセレクタ材はハブ70と係合するように押されたときに、シール114の品質を改善させ、パッド110を押すときのユーザに対する快適性を向上させるかも知れない。従って、ユーザはパッド110に力を加えることで、シール114を加圧しても良いと理解される。これに限定することを望むものではないが、出願人は、適当なセレクタ材には、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TPR)、ブナN(Buna−N)、ネオプレン(登録商標)、およびシリコーンが含まれることを確認した。トリガー54およびセレクタ56に対する上述の選択は、ツー・ショット成形過程での製造を容易にし、こうして製造コストおよび時間を削減する。
【0023】
シール材を選択するとき、シール114の厚さを考慮しても良い。シールの厚さはトリガーサポートの表面(つまり、外壁97およびトリガーボス98のウェブ99a−e)の位置に直接に影響し、これは順次シール114に提供されるサポートの量に影響を与える。シールの厚さが比較的小さなときは、サポートの表面がシーリング表面の近くに置かれるために(従ってより多くのサポートを提供するために)、シール材はより柔らかくても良い。反対に、シールの厚さがより大きなときは、サポートの表面はより遠くなり、従って、シールが所望の位置に回転することを確保するために、より硬いシール材が必要となる。
【0024】
図10から14は流体供給デバイスの異なる実施形態200を示す。流体供給デバイス200は複数の散布パターンを生成できる点では上述のデバイス10と類似する。デバイス200は、しかしながら、異なるバレル配列および変更されたシールを有する。
【0025】
図10を参照すると、流体供給デバイス200は一般にキャニスタ202およびオーバーキャップ204を含む。キャニスタ202は前述の実施形態のキャニスタ12と類似しても良く、従ってここでは詳細には説明されない。オーバーキャップ204は、3つの主要な構成要素、すなわち、キャップ206、トリガー208、およびセレクタ210を含んでも良い。
【0026】
図11および12にキャップ206がより詳細に示されている。キャップ206はキャニスタ202と係合するように構成された底縁214を有する側壁212を含んでも良い。第一および第二の排出孔215、216を側壁212内に形成しても良く、ノズルインサート217、218をこれら排出孔に挿入しても良い。排出エンクロージャ220が側壁212から径方向に外側に延長し、そこを通じてノズルインサート217、218が周囲と流体的に連通する排出開口部222を規定しても良い。特定の設定に対する散布パターンのタイプを示すために、排出エンクロージャ220上に第一および第二の標識224、226を提供しても良い。
【0027】
キャップ206はキャニスタバルブと接続するハブ230を含んでも良い。図12に最も良く示されているように、ハブ230はキャップ206上の中央に配置し、第一および第二のバレル232、234によって側壁212に接続しても良い。バレル232、234は各々の排出孔215、216と流体的に連通する流路236、238を規定する。示された実施形態においては、第一のバレル232は第二のバレル234と概ね平行に配置されている。ハブ230はバルブステムと係合するように構成されたソケット240として形成される下面を有する。ハブ240の上面はチェンバー242を規定する。チェンバー242の底は中央フロー開口部244を通じてソケット240と流体的に連通する。第一のバレル開口部246をハブの上面内に、チェンバー242と第一の流路236との間の流体連通を提供するために形成しても良い。同様に、第二のバレル開口部248をハブの上面内に、チェンバー242と第二の流路238との間の流体連通を提供するために形成しても良い。
【0028】
トリガー208は概ねキャップ206の最上部に位置し、キャップ206に対して旋回軸的である。図13に最も良く示されているように、トリガー204は側壁250および上壁252を含んでも良い。トリガー208はさらにこれをキャップ206に旋回軸的に接続するための構造を含んでも良い。例えば、トリガー208はキャップ206内に形成されたスロット255、256とスライド式に係合する上壁252からぶら下がる2つのセットのタブ253、254を有しても良い。
【0029】
ボス260がトリガーの上壁252を貫通して、セレクタ210との組み立てを容易にするため、およびセレクタ210の部分に対するサポートを提供するために延長しても良い。ボス260は外壁262および複数のウェブ264を含んでも良い。二つのウェブ264は二つの間隔をあけた側壁266a、266bを有するように形成しても良い。外壁262およびウェブ264の底面はシールサポートを形成する。ウェブ264の間に提供される間隙はトリガー208をセレクタ210に組み立てるのを容易にする。上壁252はさらにセレクタ210をトリガー208に固定するための係合スロット268を含んでも良い。
【0030】
セレクタ210はトリガー208に結合され、これと共に回転する。図14に最も良く示されているように、セレクタ210はトリガーの上壁252(図11)の上方に配置されたユーザがはめ込み可能なパッド270を含んでも良い。セレクタ210はさらに活性生成物が所望の排出孔215、216のみを通って流れることを確保するためのシール274を含んでも良い。シール274はパッド270にアーム276によって結合される。示された実施形態においては、シール274はハブチェンバー242を規定するハブの上面とぴったり係合するように構成されたシール表面278を有する。シール274はさらに後壁275を有しても良い。シール274の底を貫通して中央開口部279は、シール274がチェンバー242内に配置されたときにソケット240との流体連通を提供するために形成される。シール表面278内に二つのノッチ280が中央開口部279と所望のバレル開口部246、248との間の流体連通を提供するために形成される。ノッチ280は、直径方向に対向する横方向の側縁282a、282bを含んでも良い。
【0031】
オーバーキャップ204が組み立てられたとき、トリガー208はセレクタシール274に対するサポートを提供しても良い。外壁262およびトリガーボス260のウェブ264はシールの後壁275にぴったり係合するように構成され、こうしてこれがハブのチェンバー242内で回転するときにシールに対するサポートを提供する。選択されたウェブ264の間隔をあけた側壁266a、266bはノッチ280の横方向の側縁282a、282bに隣接して後壁275と係合し、こうしてサポートを提供するように構成される。従って、シール274はチェンバー242内で、動きを失うことなく、より良好に回転でき、こうして選択されてないバレル開口部をより確実に密封する。
【0032】
平行なバレル232、234および2つのシールノッチ280を提供することで、オーバーキャップ204を2つの動作位置の間で調節するために必要とされる回転の程度がより少なくなり、こうしてユーザは所望の散布パターンをより速く、より簡単に選択することが可能になる。
【0033】
上述の異なるシールの実施形態は従来技術によるマルチ散布デバイスと比較して大きな改善を提供する。図15に例示的な従来技術によるマルチ散布デバイスが示されている。このデバイスは上側部分がオーバーキャップ302内の開口部を貫通して上方に延長する散布ヘッド300を含む。オーバーキャップ302は容器304の最上部をバルブステム306も含めて取り囲む。散布ヘッド300はバルブステム306を受けるような寸法にされた複数のインレットポート308を含む。各インレットポート308は関連するノズルアウトレット開口部312を有するそれぞれの通路310と流体的に連通する。注目すべきことに、従来技術によるデバイスはユーザが加圧するシールを有さず、このために製品が容器304の上部とオーバーキャップ302の底との間の空間内に漏れることがある。漏れた製品が図15において参照番号314により示されている。加えて、より少ない製品がノズルアウトレット開口部312に到達するために、デバイスは要求される散布パターンおよび容積を達成することができず、代わりに、これは低減された散布パターン316を生成し、低減された容積の製品を供給する。上で開示されたユーザが加圧するシールは、しかしながら、オーバーキャップと容器バルブとの間の接続の所での漏れの量を最小にし、こうしてより確実に所定の散布パターンを生成する。
【0034】
図16および17にオーバーキャップのさらなる一実施形態402が示されている。以下により詳細に説明されるようにオーバーキャップ402は使用後の垂れを最小限に抑えるように構成されたスプリングリブ404を有する。
【0035】
オーバーキャップ402は活性生成物の容器、例えば上述の容器10と係合するように構成された底縁408を備える側壁406を含む。オーバーキャップ402はさらに側壁406に、例えばヒンジ414によって柔軟に結合される上壁412を含んでも良い。上壁412の上面は、ユーザがそれに対して作動力を加えても良いパッド416を規定する。上壁の底面からソケット418がぶら下がり、これはバルブステム(図示ぜず)と係合するような寸法にされる。バレル420はソケット418と流体的に連通し、そこを通じて製品を排出し得るノズルアウトレット422を規定する。シュラウド(囲い板)424が側壁406から径方向に延長し、ノズルアウトレット422を取り囲む。上壁412は通常の位置(図16)から、そこではソケット418がバルブステムと係合し、これを作動させる作動位置(図17)へと移動可能である。
【0036】
スプリングリブ404はソケット418をバルブステムから外すための戻し力を提供しても良い。示された実施形態においては、スプリングリブ404は側壁406に弾性的に結合されているベース端426および自由端428を有する。自由端428はバレル420の下面と係合しても良い。スプリングリブ404は、バレル420を上方に押しやる初期の、直立位置に向けてバイアスされている。上壁412が作動位置に押されると、スプリングリブ404は図17に示されているように湾曲する。上壁412がその後外されると、スプリングリブ404はバレル420を上方に推しやる追加の力を提供し、こうしてソケット418がバルブステムから外される。こうすることで、ソケット418およびバレル420内にまだある少量の製品がソケット418を通じて逆流することを許容され、オーバーキャップ402の下側の領域が、ノズルアウトレット422から垂れ落ちるのではなく、排液され、こうして使用後の垂れが最小に抑えられる。バレル420を通じての逆流をさらに促進するために、バレルは、上壁412が図16に示されているような通常の位置にあるとき、ノズルアウトレット422に近いバレルの端がソケット418に近い反対の端に対して少し持ち上がるように構成しても良い。
【0037】
このような実施形態が示されたが、当業者においては上の説明から代替および変更が明白であろう。これらおよび代替もこの開示および添付のクレームの精神および範囲内の均等物であるとみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ここに開示された流体供給デバイスの様々な実施形態は活性物質を複数の散布パターンにて排出させる能力を有しても良い。このデバイスは香料、洗浄剤、防虫剤、あるいは他のタイプの活性物質を供給するために用いても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムバルブを有するキャニスタと用いるための作動装置のオーバーキャップであって、前記作動装置のオーバーキャップは、
前記キャニスタと係合するように構成された底縁を有するキャップであって、前記キャップは、下面と上面を有するハブであって、前記ハブの下面は前記ステムバルブと係合するように構成されたソケットを規定し、前記ハブの上面は前記ソケットと流体的に連通するチェンバーを規定するハブと、前記ハブと前記キャップの側壁との間を延長し、第一の流路および前記第一の流路と流体的に連通する第一の排出孔を規定する第一のバレルと、前記ハブと前記キャップのサイド側壁との間を延長し、第二の流路および前記第二の流路と流体的に連通する第二の排出孔を規定する第二のバレルとを含むキャップと、
前記キャップに旋回軸的に結合されたトリガーであって、側壁と、上壁と、前記トリガーの上壁を貫通して延長するボスとを有し、前記ボスはシールサポートを規定する下側の縁を有するトリガーと、
前記トリガーに結合されたセレクタであって、前記セレクタは前記トリガーの上壁の上に配置されたユーザがはめ込み可能なパッドと前記トリガーの上壁の下に配置されたシールとを含み、前記シールは前記ハブのチェンバー内にぴったりとはまるように構成され、前記シールはさらに前記ハブのチェンバーと流体的に連通する中央開口部と前記中央開口部から径方向に外側に延長し、前記中央開口部と流体的に連通する第一のノッチとを規定するセレクタと、を含み、
前記トリガーおよびセレクタは前記キャップに対して、前記第一のノッチを前記第一と第二の流路の一つと流体連通させるように旋回軸的である作動装置のオーバーキャップ。
【請求項2】
前記セレクタパッドに加えられる下向きの圧力が前記トリガーの上壁を湾曲させるように、前記シールサポートは前記シールの少なくとも一部分と係合し、順次、前記シールが前記ハブの上面と係合して、前記シールを加圧する請求項1の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項3】
前記第一のノッチは直径方向に対向する横方向の縁部を含み、前記シールサポートは前記シールと前記第一のノッチの横方向の縁部と隣接して係合するように配置された第一の対のサポート表面を含む請求項1の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項4】
前記第一のバレルは前記第二のバレルに対して鋭角に配置される請求項1の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項5】
前記セレクタはさらに前記中央開口部から径方向に外側に延長し、前記中央開口部と流体的に連通する第二のノッチを含み、前記トリガーおよび前記セレクタは前記第二のノッチを前記第一と第二の流路の一つと流体連通させるために前記キャップに対して旋回軸的である請求項1の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項6】
前記第二のノッチは直径方向に対向する横方向の縁部を含み、前記シールサポートは前記シールと前記第二のノッチの横方向の縁部と隣接して係合するように配置された第二の対のサポート表面を含む請求項5の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項7】
前記第一のバレルは前記第二のバレルに対して実質的に平行に配置される請求項5の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項8】
前記セレクタは熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TPR)、ブナN(Buna−N)、ネオプレン(登録商標)、およびシリコーンから成る一群のセレクタ材から選択された材料から形成される請求項1の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項9】
前記第一の排出孔に結合されるノズルインサートをさらに含む請求項1の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項10】
ステムバルブを有するキャニスタと共に用いるための作動装置のオーバーキャップであって、前記作動装置のオーバーキャップは、
前記キャニスタと係合するように構成された底縁を有するキャップであって、前記キャップは、下面と上面を有するハブであって、前記ハブの下面は前記ステムバルブと係合するように構成されたソケットを規定し、前記ハブの上面は前記ソケットと流体的に連通するチェンバーを規定するハブと、前記ハブと前記キャップの側壁との間を延長し、第一の流路および前記第一の流路と流体的に連通する第一の排出孔を規定する第一のバレルと、前記ハブと前記キャップのサイド側壁との間を延長し、第二の流路および前記第二の流路と流体的に連通する第二の排出孔を規定する第二のバレルとを含み、前記第一のバレルは前記第二のバレルに対して鋭角に配置されているキャップと、
前記キャップに旋回軸的に結合されたトリガーであって、側壁と、上壁と、前記トリガーの上壁を貫通して延長するボスとを有し、前記ボスはシールサポートを規定する下側の縁を有するトリガーと、
前記トリガーに結合されたセレクタであって、前記セレクタは前記トリガーの上壁の上に配置されたユーザがはめ込み可能なパッドと前記トリガーの上壁の下に配置されたシールとを含み、前記シールは前記ハブのチェンバー内にぴったりとはまるように構成され、前記シールはさらに前記ハブのチェンバーと流体的に連通する中央開口部と前記中央開口部から径方向に外側に延長し、前記中央開口部と流体的に連通する第一および第二のノッチとを規定するセレクタと、を含み、
前記トリガーおよびセレクタは前記キャップに対して、前記第一および第二のノッチの一方を前記第一と第二の流路の対応する一つと流体連通させるように旋回軸的である作動装置のオーバーキャップ。
【請求項11】
前記セレクタパッドに加えられる下向きの圧力が前記トリガーの上壁を湾曲させるように、前記シールサポートは前記シールの少なくとも一部分と係合し、順次、前記シールが前記ハブの上面と係合して、前記シールを加圧する請求項10の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項12】
前記第一のノッチは直径方向に対向する横方向の縁部を含み、前記シールサポートは前記シールと前記第一のノッチの横方向の縁部と隣接して係合するように配置された第一の対のサポート表面を含む請求項10の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項13】
前記第二のノッチは直径方向に対向する横方向の縁部を含み、前記シールサポートは前記シールと前記第二のノッチの横方向の縁部と隣接して係合するように配置された第二の対のサポート表面を含む請求項12の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項14】
前記セレクタは熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TPR)、ブナN(Buna−N)、ネオプレン(登録商標)、およびシリコーンから成る一群のセレクタ材から選択された材料から形成される請求項10の作動装置のオーバーキャップ。
【請求項15】
前記第一の排出孔に結合されるノズルインサートをさらに含む請求項1の作動装置のオーバーキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−533484(P2012−533484A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521626(P2012−521626)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/002089
【国際公開番号】WO2011/011087
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】