説明

マンホール蓋受枠の撤去方法及びそれに用いるボルト位置探索用テンプレート並びにボルト固定位置削孔用テンプレート

【課題】大掛かりな装置を必要とせず、マンホールの蓋を開けることなく、マンホール蓋受枠を固定する固定用ボルトの位置を簡便かつ確実に検索し、路面の破砕や削孔に要する工数を低減して短時間で安全にマンホール蓋受枠の撤去作業を行うことができる静音性、施工性に優れたマンホール蓋受枠の撤去方法。
【解決手段】ボルト挿通孔の位置に対応した複数のボルト位置検索ガイド部を有するボルト位置探索用テンプレートを基準に合わせて路面上に載置する探索用テンプレート載置工程と、1本目の固定用ボルトの位置が見つかるまでボルト位置検索ガイド部の位置に選択的にボルト確認孔を削孔するボルト位置探索工程と、ボルト位置探索工程で見つかった1本目の固定用ボルトの位置と使用されている固定用ボルトの本数を基に他の固定用ボルトの位置を特定するボルト固定位置特定工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下水道等のマンホールにおいて、マンホール蓋受枠がマンホールの上端部に等角度間隔で植設された固定用ボルトで固定されている場合のマンホール蓋受枠の撤去方法及びそれに用いるボルト位置探索用テンプレート並びにボルト固定位置削孔用テンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年使用されている組立式のマンホールにおいては、マンホール蓋受枠がマンホールの上端部に植設された固定用ボルトで固定されているため、該ボルトからナットを取り外してマンホール蓋受枠を撤去する必要があるが、ボルトが舗装で覆われており、ボルト位置を外から特定することが困難で、簡単に取り外すことができないという問題点があった。また、ボルトで固定されているマンホール蓋受枠と周囲の舗装を一体に引き上げようとすると、極めて大きな力を必要とし、また、マンホール自体に過大な荷重がかかり破壊や変形の恐れがあるという問題点があった。
これらの問題点を解決するために、例えば、(特許文献1)には、「マンホール蓋受枠の固定ボルト位置の舗装を撤去してボルトを露出させ、マンホール蓋受枠の固定を解除してから撤去するマンホール蓋受枠の撤去方法。」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「回転軸心方向の推進によって削孔する切断機のドリルの回転軸心をマンホールの径方向に向けた状態で、当該ドリルをマンホール内の蓋受枠固定用ボルトの位置に合わせて位置決めし、切断機をドリルの回転軸心方向に移動させることによって、マンホールの内周面から蓋受枠固定用ボルトに向けてドリルを推進させ、マンホールに径方向の孔をあけながら蓋受枠固定用ボルトを切断することを特徴とするマンホールにおける蓋受枠固定用ボルトの切断方法。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−172995号公報
【特許文献2】特開2009−133104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術は、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)は、マンホール蓋受枠の内周面に沿って超音波を放射し、その反射時間によって固定用ボルト位置を特定するものであるが、超音波による探索で、ボルトのマンホール周方向の位置は特定できても、径方向の位置を精度よく特定することは困難であり、ボルトを露出させるために、埋設された蓋受枠の路面上から垂直方向に削孔しても、ボルトからずれた位置を削孔してしまう可能性があり、ボルト位置検出の正確性、削孔作業の効率性、施工性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)は、マンホール内の構造物、例えば、ステップ等の位置を基準として削孔作業を繰り返し、蓋受枠固定用ボルトの位置を特定するものであるため、マンホールの蓋を取り外して作業を行わなければならず、削孔によって発生する切り屑や作業で使用する工具などがマンホール内に落下しないように落下防止部材などを設置する必要があり、施工性に欠けるという課題を有していた。また、大掛かりで複雑な専用の切断装置が必要であり、汎用性、操作性、取扱い性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の要望に応えるもので、大掛かりな装置を必要とせず、マンホールの蓋を開けることなく、マンホール蓋受枠を固定する固定用ボルトの位置を簡便かつ確実に検索し、路面の破砕や削孔に要する工数を低減して短時間で安全にマンホール蓋受枠の撤去作業を行うことができる静音性、施工性に優れたマンホール蓋受枠の撤去方法の提供、及びマンホールの蓋に形設された蓋開閉用の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準にマンホール蓋受枠のフランジ上に等角度間隔で配置されるボルト挿通孔の位置を路面上で特定することができ、ドリルなどを案内してボルト挿通孔の位置を確実に削孔し、固定用ボルトの有無を確認することによって最小限の削孔作業で全ての固定用ボルトの位置を特定することができる手軽で省力性、作業効率性に優れたボルト位置探索用テンプレートの提供、並びに特定された固定用ボルトの位置にホルソーなどを案内し、固定用ボルトの周辺を削孔して固定用ボルトを露出させることができ、簡便にナットを除去してマンホール蓋受枠の固定を解除することができる施工性、作業効率性に優れたボルト固定位置削孔用テンプレートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明のマンホール蓋受枠の撤去方法及びそれに用いるボルト位置探索用テンプレート並びにボルト固定位置削孔用テンプレートは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法は、マンホールの蓋に形設された蓋開閉用の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準としてフランジの同一円周上に等角度間隔で穿設された3箇所以上のボルト挿通孔を有し、前記マンホールの上端部に等角度間隔で植設された少なくとも3本の固定用ボルトが前記ボルト挿通孔に挿通されて固定されたマンホール蓋受枠の撤去方法であって、前記ボルト挿通孔の位置に対応した複数のボルト位置検索ガイド部を有するボルト位置探索用テンプレートを前記基準に合わせて路面上に載置する探索用テンプレート載置工程と、1本目の前記固定用ボルトの位置が見つかるまで前記ボルト位置検索ガイド部の位置に選択的にボルト確認孔を削孔するボルト位置探索工程と、前記ボルト位置探索工程で見つかった1本目の前記固定用ボルトの位置と使用されている前記固定用ボルトの本数を基に他の前記固定用ボルトの位置を特定するボルト固定位置特定工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ボルト挿通孔の位置に対応した複数のボルト位置検索ガイド部を有するボルト位置探索用テンプレートを基準に合わせて路面上に載置する探索用テンプレート載置工程と、1本目の固定用ボルトの位置が見つかるまでボルト位置検索ガイド部の位置に選択的にボルト確認孔を削孔するボルト位置探索工程と、ボルト位置探索工程で見つかった1本目の固定用ボルトの位置と使用されている固定用ボルトの本数を基に他の固定用ボルトの位置を特定するボルト固定位置特定工程を有することにより、地中に埋まったマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の位置を路面上から容易に検出することができ、最小限の削孔作業でマンホール蓋受枠を固定している全ての固定用ボルトの位置を簡便かつ確実に特定することが可能で、作業工数を大幅に削減して短時間でマンホール蓋受枠の撤去作業を行うことができ、静音性、施工性に優れる。
【0007】
ここで、マンホールの上端部には少なくとも3本の固定用ボルトが等角度間隔で植設されており、マンホール蓋受枠のフランジには同一円周上に等角度間隔で3箇所以上のボルト挿通孔が穿設されているので、ボルト挿通孔に選択的に固定用ボルトが挿通され、ナットが螺着されることにより、マンホールの上端部にマンホール蓋受枠が固定される。このとき固定用ボルトはマンホール蓋受枠の水平を出すために少なくとも3本必要である。固定用ボルトの本数は3本が最も一般的であるが、4本或いは6本の場合もある。また、マンホール蓋受枠のボルト挿通孔の数は固定用ボルトの本数に合わせて選択することができるが、固定用ボルトとボルト挿通孔との位置合わせを容易にすると共に、固定用ボルトの本数が異なる場合でも、1種類のマンホール蓋受枠で対応できるように、ボルト挿通孔を多め(固定用ボルトの本数の2〜4倍)に設けることが一般的である。特に、3,4,6の公倍数である12箇所のボルト挿通孔を等角度間隔で配置した場合、固定用ボルトの数に関わらず全て1種類のマンホール蓋受枠で対応することができ、汎用性、施工性に優れるので、多用されている。
【0008】
一方、マンホールの蓋には蓋開閉用にバールなどを差し込むための丸孔、長孔若しくはその他の形状の孔或いは切り欠きや蝶番(裏側)が形設されているが、これらはマンホールの蓋の中心を通る放射線上にそれぞれ位置し、その中心から所定の方向(角度)に規則的に配置されている。そして、前述のマンホール蓋受枠のボルト挿通孔はマンホールの蓋の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準として配置されている。よって、各々のボルト挿通孔の位置はマンホールの蓋の孔或いは切り欠きや蝶番の位置と同じ方向(角度)若しくはこれらから所定の角度だけずれた方向にあり、マンホールの蓋の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基に簡単に求めることができる。そこで、ボルト挿通孔の位置に対応した複数のボルト位置検索ガイド部を有するボルト位置探索用テンプレートを予め作製し、マンホールの蓋の基準に合わせて路面上に載置することにより、地中に埋まったボルト挿通孔の位置を路面上で確認することができる。
【0009】
ボルト位置探索用テンプレートは、マンホールの蓋の基準に合わせて路面上に載置した時に、ボルト位置検索ガイド部によりマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の位置を正しく確認できるものであればよく、探索用テンプレート本体やボルト位置検索ガイド部の形状は適宜、選択することができる。例えば、ボルト位置検索ガイド部としては、矢印や目盛などでボルト挿通孔の中心位置などを指し示すものや、ボルト挿通孔に対応させた切り欠きや孔を有するものが好適に用いられる。矢印や目盛などに従って路面上に印を付け、ボルト位置探索用テンプレートを取り除いた後からドリルなどを用いてボルト確認孔を削孔してもよいし、切り欠きや孔に沿ってドリルなどを案内してボルト確認孔を削孔してもよい。探索用テンプレート本体をマンホール蓋受枠のフランジの形状に合わせて環状に形成した場合、ボルト挿通孔との位置合わせが容易で施工性に優れる。また、ボルト位置検索ガイド部の数や配置はマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の数に応じて適宜、選択することができるが、必ずしもボルト挿通孔と同じ数のボルト位置検索ガイド部を備えている必要はない。ボルト位置検索ガイド部の数がボルト挿通孔の数より少なくても、ボルト位置検索ガイド部の位置を各々のボルト挿通孔の位置に合わせて移動させることにより、順次、ボルト位置探索工程を行うことができるからである。尚、ボルト位置探索用テンプレートがボルト挿通孔と同じ数のボルト位置検索ガイド部を備えていれば、一度、ボルト位置探索用テンプレートを載置した後は、ボルト位置探索用テンプレートを移動させることなく連続してボルト位置探索工程を行うことができ、施工性に優れる。
【0010】
ボルト位置探索工程では、1本目の固定用ボルトの位置が見つかるまで繰り返し位置を変えながらボルト確認孔を削孔する。例えば、ボルト挿通孔が12箇所で固定用ボルトが3本の場合、ボルト挿通孔は30度間隔で存在し、固定用ボルトは120度間隔で存在することになるので、最多でも4箇所のボルト確認孔を削孔すれば、1本目の固定用ボルトの位置が見つかる。尚、ボルト確認孔では目視で固定用ボルトを確認できる必要はない。マンホール蓋受枠のフランジの位置(深さ)は予め分かっており、その場所に固定用ボルトが無ければ、フランジの位置(深さ)までボルト確認孔を削孔することができ、固定用ボルトがあれば、ドリルなどの刃の先端が固定用ボルトの先端やナットに当たって、フランジの位置(深さ)までボルト確認孔を削孔することができないためである。これにより、ボルト確認孔の孔径を極めて小さくすることができ、施工性、省力性、低騒音性に優れ、作業効率を向上できる。
1本目の固定用ボルトの位置が分かれば、ボルト固定位置特定工程において、使用されている固定用ボルトの本数を基に、他の固定用ボルトの位置を簡便に特定することができる。
全ての固定用ボルトの位置が特定できれば、固定用ボルトの周辺を斫ったり、ホルソーでコア抜きしたりして固定用ボルト及びナットを露出させ、ナットを除去したり、マンホールの内周面から固定用ボルトを切断したりして、マンホール蓋受枠の固定を解除することができ、その後は従来と同様の方法によってマンホール蓋受枠の撤去、交換作業を行うことができる。固定用ボルトの位置を特定できることにより、斫りや切断の範囲を最小限に絞って、騒音を低減でき、作業時間を短縮することが可能で、省力性にも優れる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法であって、削孔用位置決め部を有するボルト固定位置削孔用テンプレートを前記ボルト固定位置特定工程で特定された前記固定用ボルトの位置に対応させて路面上に載置する削孔用テンプレート載置工程と、前記削孔用位置決め部に沿って前記固定用ボルトの位置にナット除去用孔を削孔して前記固定用ボルトに螺着されたナットを露出させるボルト固定位置削孔工程と、前記固定用ボルトに螺合された前記ナットを除去して前記マンホール蓋受枠の固定を解除する蓋受枠固定解除工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)削孔用位置決め部を有するボルト固定位置削孔用テンプレートをボルト固定位置特定工程で特定された固定用ボルトの位置に対応させて路面上に載置する削孔用テンプレート載置工程と、削孔用位置決め部に沿って固定用ボルトの位置にナット除去用孔を削孔して固定用ボルトに螺着されたナットを露出させるボルト固定位置削孔工程と、固定用ボルトに螺合されたナットを除去してマンホール蓋受枠の固定を解除する蓋受枠固定解除工程を有することにより、固定用ボルトの位置を確実に削孔して短時間でマンホール蓋受枠の固定を解除することができ、作業効率性、施工性、省力性に優れる。
【0012】
ここで、ボルト固定位置削孔用テンプレートの削孔用位置決め部の数や配置は、使用される固定用ボルトの数に応じて適宜、選択することができるが、必ずしも固定用ボルトと同じ数の削孔用位置決め部を備えている必要はない。削孔用位置決め部の位置を各々の固定用ボルトの位置に合わせて移動させることにより、順次、ボルト固定位置削孔工程を行うことができるからである。尚、ボルト固定位置削孔用テンプレートが固定用ボルトと同じ数の削孔用位置決め部を備えていれば、一度、ボルト固定位置削孔用テンプレートを載置した後は、ボルト固定位置削孔用テンプレートを移動させることなく連続してボルト固定位置削孔工程を行うことができ、施工性に優れる。
ボルト固定位置削孔工程で削孔するナット除去用孔は、人が工具や手を入れてナットの除去作業ができる程度の大きさであればよい。尚、ナット除去用孔の削孔に用いる工具は適宜、選択することができるが、ホルソーを用いた場合、固定用ボルトの周辺を簡便にくり抜いて固定用ボルトに螺着されたナットを確実に露出させることができ、施工性に優れる。
ナットを除去する際に、路面からナット位置まで届くロングタイプのラチェットレンチを用いることにより、ナットを簡便に緩めて取り外すことができ、施工性に優れる。また、錆び付き等によりナットを緩めることが困難な場合は、ナットを切断して除去しても良い。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法であって、前記ボルト固定位置特定工程で特定された各々の前記固定用ボルトの位置に向けて前記マンホールの内周面から前記固定用ボルトを切断するボルト切断工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ボルト固定位置特定工程で特定された各々の固定用ボルトの位置に向けてマンホールの内周面から固定用ボルトを切断するボルト切断工程を備えることにより、固定用ボルトに螺着されたナットを取り外すことなく、マンホール蓋受枠の固定を解除することができるので、路面を切断或いは破砕して直ちにマンホール蓋受枠を持ち上げて撤去することができ、作業工数を低減して施工性に優れる。
ここで、ボルト切断工程ではマンホールの内周面から固定用ボルトを切断できればよく、ダイヤモンドコアホルソー(ダイヤモンドコアドリル)やダイヤモンドカッターなどの従来公知の工具を用いることができる。
【0014】
請求項4に記載のボルト位置探索用テンプレートは、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト位置探索用テンプレートであって、環状に形成された探索用テンプレート本体と、前記探索用テンプレート本体の同一円周上に等角度間隔で形設された12箇所のボルト位置検索ガイド部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)環状に形成された探索用テンプレート本体を有することにより、マンホールの蓋と同心円上に路面上に載置して簡便に中心位置合わせを行うことができ、使用性に優れる。
(2)探索用テンプレート本体の同一円周上に等角度間隔で形設された12箇所のボルト位置検索ガイド部を有するので、マンホールの蓋に形設された蓋開閉用の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準として、ボルト位置検索ガイド部とマンホール蓋受枠のボルト挿通孔との位置合わせを簡便に行うことができ、施工性に優れる。
(3)探索用テンプレート本体の同一円周上に12箇所のボルト位置検索ガイド部が等角度間隔で形設されることにより、マンホール蓋受枠が等角度間隔で植設された3本、4本若しくは6本の固定用ボルトで固定されている場合に、全ての固定用ボルトの位置にボルト位置検索ガイド部の位置を合わせることができ、短時間で固定用ボルトの位置を検索することが可能で、汎用性、省力性に優れる。
【0015】
ここで、ボルト位置探索用テンプレートの探索用テンプレート本体の内径はマンホールの蓋の外径と同等かやや大きめに形成したものが好適に用いられる。探索用テンプレート本体の内径とマンホールの蓋の外径を同心円上に配置し易く、簡便に両者の中心を位置合わせできるためである。
12箇所のボルト位置検索ガイド部が30度間隔で配置されるので、120度間隔、90度間隔若しくは60度間隔で配置される固定用ボルトの位置を検索することができる。
尚、ボルト位置検索ガイド部の形状については請求項1で説明した通りであるので説明を省略する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のボルト位置探索用テンプレートであって、前記ボルト位置検索ガイド部が、筒状のドリルガイド部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ボルト位置検索ガイド部が、筒状のドリルガイド部を有することにより、削孔時の位置ずれを抑え、ドリルの刃をマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の中心部に向かって案内することができ、固定用ボルトの有無を確実に検索することが可能で、ボルト位置検索の確実性に優れる。
【0017】
ここで、ボルト確認孔を削孔するためのドリルは、適宜、選択することができる。ドリル自体がドリルの刃を案内する機構などを備えている場合は、ドリルガイド部を不要とすることができる。また、ボルト位置検索ガイド部によって路面上に印を付けるなどして、ボルト位置探索用テンプレートを取り除き、ボルト確認孔を削孔してもよい。
【0018】
請求項6に記載のボルト固定位置削孔用テンプレートは、請求項2に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト固定位置削孔用テンプレートであって、削孔用テンプレート本体と、前記削孔用テンプレート本体に形設された削孔用位置決め部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)削孔用テンプレート本体と、削孔用テンプレート本体に形設された削孔用位置決め部を有するので、特定された固定用ボルトの位置に削孔用位置決め部を対応させて路面上に載置することにより、固定用ボルトの位置に確実にナット除去用孔を削孔し、固定用ボルトに螺着されたナットを露出させて除去することができ、施工性に優れる。
【0019】
ここで、ボルト固定位置削孔用テンプレートの削孔用位置決め部の数や配置は、請求項2で説明した通り、適宜、選択することができ、削孔用テンプレート本体の形状も、削孔用位置決め部の数や配置に応じて、適宜、選択することができる。尚、削孔用テンプレート本体を環状に形成した場合は、マンホールの蓋と同心円上に路面上に載置して簡便に中心位置合わせを行うことができ、使用性に優れる。特に、削孔用テンプレート本体の内径をマンホールの蓋の外径と同等かやや大きめに形成することにより、両者の中心位置合わせを容易に行うことができ、施工性に優れる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のボルト固定位置削孔用テンプレートであって、前記削孔用位置決め部が、筒状のホルソーガイド部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項6で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)削孔用位置決め部が、筒状のホルソーガイド部を有することにより、削孔時の位置ずれを抑え、ホルソーの刃を固定用ボルトの位置に合わせて案内することができ、固定用ボルトの周辺をくり抜いて固定用ボルトに螺着されたナットを確実に露出させることが可能で、ナット除去用孔の削孔作業性に優れる。
【0021】
ここで、削孔用位置決め部が筒状のホルソーガイド部を有することにより、手持ち式のコアホルソーを用いて手軽に削孔作業を行うことができるが、スタンド式のコアホルソーやフットベース(台車)付きのコアホルソーを用いる場合は、ホルソーガイド部は不要であり、板状の削孔用テンプレート本体に、円弧状の切り欠きや円形の貫通孔を削孔用位置決め部として形設すればよい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のマンホール蓋受枠の撤去方法及びそれに用いるボルト位置探索用テンプレート並びにボルト固定位置削孔用テンプレートによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような有利な効果が得られる。
(1)地中に埋まったマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の位置を路面上から容易に検出することができ、最小限の削孔作業でマンホール蓋受枠を固定している全ての固定用ボルトの位置を簡便かつ確実に特定することが可能で、作業工数を大幅に削減して短時間でマンホール蓋受枠の撤去作業を行うことがでる静音性、施工性に優れたマンホール蓋受枠の撤去方法を提供することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)固定用ボルトの位置を確実に削孔してナットを除去することができ、短時間でマンホール蓋受枠の固定を解除することができる作業効率性、施工性、省力性に優れたマンホール蓋受枠の撤去方法を提供することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)固定用ボルトに螺着されたナットを取り外すことなく、マンホール蓋受枠の固定を解除することができ、路面を切断或いは破砕して直ちにマンホール蓋受枠を持ち上げて撤去することが可能で、作業工数を低減できる施工性に優れたマンホール蓋受枠の撤去方法を提供することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、以下のような有利な効果が得られる。
(1)マンホールの蓋に形設された蓋開閉用の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準として、ボルト位置検索ガイド部とマンホール蓋受枠のボルト挿通孔との位置合わせを簡便に行うことができ、短時間で固定用ボルトの位置を検索することが可能な施工性、汎用性、省力性に優れたボルト位置探索用テンプレートを提供することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)ドリルの刃をマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の中心部に向かって案内することができ、位置ずれが発生し難く、固定用ボルトの有無を確実に検索することが可能なボルト位置検索の確実性に優れたボルト位置探索用テンプレートを提供することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、以下のような有利な効果が得られる。
(1)特定された固定用ボルトの位置に確実にナット除去用孔を削孔し、固定用ボルトに螺着されたナットを露出させて除去することができ、施工性に優れたボルト固定位置削孔用テンプレートを提供することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)ホルソーの刃を固定用ボルトの位置に合わせて案内することができ、位置ずれを防止して、固定用ボルトの周辺をくり抜いて固定用ボルトに螺着されたナットを確実に露出させることができるナット除去用孔の削孔作業性に優れたボルト固定位置削孔用テンプレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法が適用されるマンホール蓋受枠とマンホールの蓋を示す平面模式図
【図2】図1のA−A線断面模式図
【図3】(a)実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法の探索用テンプレート載置工程を示す平面模式図 (b)実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト位置探索工程を示す要部断面模式図
【図4】実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト位置探索工程で穿設されたボルト確認孔を示す要部断面模式図
【図5】(a)実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法の削孔用テンプレート載置工程を示す平面図 (b)実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト固定位置削孔工程を示す要部断面模式図
【図6】実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法の蓋受枠固定解除工程を示す要部断面模式図
【図7】実施の形態2におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト切断工程を示す要部断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態におけるマンホール蓋受枠の撤去方法及びそれに用いるボルト位置探索用テンプレート並びにボルト固定位置削孔用テンプレートについて、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法が適用されるマンホール蓋受枠とマンホールの蓋を示す平面透視模式図であり、図2は図1のA−A線断面模式図である。
図1及び図2中、1はマンホールの蓋、1a,1bはマンホールの蓋1の縁に120度間隔で形設された合計3箇所の蓋開閉用の切り欠き(図1)、1cはマンホールの蓋1の裏側に形設された蝶番の位置を示す矩形状の表面模様(図1)、2は開口部2aにマンホールの蓋1が覆設されるマンホール蓋受枠、2bはマンホール蓋受枠2のフランジ、3はマンホールの蓋1に形設された蓋開閉用の切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cを基準としてフランジ2bの同一円周上に30度間隔で穿設された12箇所のボルト挿通孔(図1)、4は上端部にマンホール蓋受枠2が設置されたマンホール(図2)、5はマンホール4の上端部に120度間隔で植設されマンホール蓋受枠2のボルト挿通孔3に挿通された3本の固定用ボルト、6は固定用ボルト5の先端に螺着された固定用ナット、7はワッシャ、20は路面である。
【0031】
図2に示すように、マンホール蓋受枠2のフランジ2bは舗装で覆われており、路面20上からはフランジ2bやボルト挿通孔3を見ることができない。しかし、マンホール蓋受枠2のボルト挿通孔3はマンホールの蓋1の切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cを基準として配置されているので、各々のボルト挿通孔3の位置はマンホールの蓋1の切り欠き1a,1bや蝶番1cと同じ方向(角度)若しくはこれらから所定の角度だけずれた方向(角度)にあり、マンホールの蓋1の切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cを基に簡単に求めることができる。
尚、切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cの数、形状、配置は一例であり、マンホールの蓋1の中心に対して規則的に形設される様々な形状の孔や切り欠き、模様を基準として用いることができる。
また、固定用ボルト5は等角度(3本の場合は120度)間隔で配置されていればよく、本実施の形態に限定されるものではない。
【0032】
図3(a)は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法の探索用テンプレート載置工程を示す平面模式図であり、図3(b)は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト位置探索工程を示す要部断面模式図であり、図4は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト位置探索工程で穿設されたボルト確認孔を示す要部断面模式図である。
図3中、10は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト位置探索用テンプレート、10aは環状に形成された探索用テンプレート本体、11は探索用テンプレート本体10aの同一円周上に等角度間隔で形設された12箇所の丸孔状のボルト位置検索ガイド部、12はボルト位置検索ガイド部11の外周に立設された筒状のドリルガイド部、13は探索用テンプレート本体10aの内周側に固設されマンホールの蓋1に着磁する3箇所の固定用磁石、13aは固定用磁石13のオン/オフを切り替えるスイッチである。
【0033】
探索用テンプレート載置工程では、ボルト挿通孔3の位置に対応したボルト位置検索ガイド部11を有するボルト位置探索用テンプレート10をマンホールの蓋1に形設された蓋開閉用の切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cを基準として路面20上に載置する。このとき、路面20上からはボルト挿通孔3の位置は分からないが、ボルト挿通孔3がマンホールの蓋1の切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cを基準に配置されているので、マンホールの蓋1の中心と切り欠き1a,1bや表面模様(蝶番の位置)1cを結んだ線上にボルト位置検索ガイド部11が位置するように角度を調整すればよい。
固定用磁石13のスイッチ13aをオンにすることにより、鉄製のマンホールの蓋1に着磁して固定することができるが、探索用テンプレート本体10aを足で踏んで固定することもできるので、固定用磁石13は省略してもよい。
【0034】
図3(b)中、21はボルト位置探索工程で使用するドリル、21aはボルト位置探索用テンプレート10のボルト位置検索ガイド部11の孔径及びドリルガイド部12の内径よりもやや小さめの外径を有するドリル刃である。
図4中、20aはボルト位置探索工程で穿設されたボルト確認孔である。
ボルト位置探索工程では、1本目の固定用ボルト5の位置が見つかるまでボルト位置検索ガイド部11の位置に選択的にボルト確認孔20aを削孔していく。1つ目のボルト確認孔20aを削孔する際には、12箇所のボルト位置検索ガイド部11の中から任意のボルト位置検索ガイド部11を選択することができる。
マンホール蓋受枠2のフランジ2bの位置(深さ)は予め分かっており、その場所に固定用ボルト5が無ければ、フランジ2bの位置(深さ)までボルト確認孔20aを削孔することができ、固定用ボルト5があれば、ドリル刃21aの先端が固定用ボルト5の先端や固定用ナット6に当たって、フランジ2bの位置(深さ)までボルト確認孔20aを削孔することができないので、容易に固定用ボルト5の有無を確認することができる。
【0035】
1つ目のボルト確認孔20aの位置に固定用ボルト5が無かった場合は、異なるボルト位置検索ガイド部11を選択してボルト確認孔20aを穿設するが、このとき、1つ目のボルト確認孔20aの位置から120度ずつずれた位置にも固定用ボルト5が無いことは明らかなので、それらを除いた残りの9箇所のボルト位置検索ガイド部11の中から任意のボルト位置検索ガイド部11を選択する。12箇所のボルト挿通孔3に対して、3本の固定用ボルト5を使用する場合の固定用ボルト5の配置は4通りなので、最多でも4箇所のボルト確認孔20aを削孔すれば、1本目の固定用ボルト5の位置を見つけることができる。
同様に、4本の固定用ボルト5を使用する場合の固定用ボルト5の配置は3通りなので、最多で3箇所のボルト確認孔20aを削孔すれば、1本目の固定用ボルト5の位置を見つけることができ、6本の固定用ボルト5を使用する場合の固定用ボルト5の配置は2通りであるので、最多で2箇所のボルト確認孔20aを削孔すれば、1本目の固定用ボルト5の位置を見つけることができる。
1本目の固定用ボルト5の位置が分かれば、ボルト固定位置特定工程において、使用されている固定用ボルト5の本数を基に、他の固定用ボルト5の位置を簡便に特定することができる。つまり、3本の固定用ボルト5を使用していれば、1本目の固定用ボルト5の位置から120度ずつずれた位置に残りの固定用ボルト5が配置され、4本の固定用ボルト5を使用していれば、1本目の固定用ボルト5の位置から90度ずつずれた位置に残りの固定用ボルト5が配置されていることがわかる。
【0036】
尚、ボルト位置探索用テンプレート10は、マンホールの蓋1の基準に合わせて路面20上に載置した時に、ボルト位置検索ガイド部11によりマンホール蓋受枠2のボルト挿通孔3の位置を正しく確認できるものであればよく、探索用テンプレート本体10aやボルト位置検索ガイド部11の形状は適宜、選択することができる。例えば、ボルト位置検索ガイド部11として、矢印や目盛などでボルト挿通孔3の中心位置などを指し示すものを用いることもできる。その場合、矢印や目盛などに従って路面20上に印を付け、ボルト位置探索用テンプレート10を取り除いた後からドリル21などを用いてボルト確認孔20aを削孔することができる。
本実施の形態のように、探索用テンプレート本体10aをマンホール蓋受枠2のフランジ2bの形状に合わせて環状に形成した場合、ボルト挿通孔3との位置合わせが容易で施工性に優れる。
【0037】
また、ボルト位置検索ガイド部11の数や配置はマンホール蓋受枠2のボルト挿通孔3の数に応じて適宜、選択することができるが、必ずしもボルト挿通孔3と同じ数のボルト位置検索ガイド部11を備えている必要はない。ボルト位置検索ガイド部11の数がボルト挿通孔3の数より少なくても、ボルト位置検索ガイド部11の位置を各々のボルト挿通孔3の位置に合わせて移動させることにより、順次、ボルト位置探索工程を行うことができるからである。尚、本実施の形態のように、ボルト位置探索用テンプレート10がボルト挿通孔3と同じ数のボルト位置検索ガイド部11を備えていれば、一度、ボルト位置探索用テンプレート10を載置した後は、ボルト位置探索用テンプレート10を移動させることなく連続してボルト位置探索工程を行うことができ、施工性に優れる。
【0038】
図5(a)は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法の削孔用テンプレート載置工程を示す平面図であり、図5(b)は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト固定位置削孔工程を示す要部断面模式図であり、図6は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法の蓋受枠固定解除工程を示す要部断面模式図である。
図5中、15は実施の形態1におけるマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト固定位置削孔用テンプレート、15aは環状に形成された削孔用テンプレート本体、16は削孔用テンプレート本体15aの同一円周上に等角度間隔で形設された3箇所の丸孔状の削孔用位置決め部、17は削孔用位置決め部16の外周に立設された筒状のホルソーガイド部、18は削孔用テンプレート本体15aの内周側に固設されマンホールの蓋1に着磁する3箇所の固定用磁石、18aは固定用磁石18のオン/オフを切り替えるスイッチである。
削孔用テンプレート載置工程では、ボルト位置探索用テンプレート10に代えて、ボルト固定位置削孔用テンプレート15を路面20上に載置する。このとき、路面20には1乃至複数のボルト確認孔20aが穿設されているが、固定用ボルト5の位置に対応したボルト確認孔20aと1箇所の削孔用位置決め部16が対応するように角度を調整すればよい。
固定用磁石18のスイッチ18aをオンにすることにより、鉄製のマンホールの蓋1に着磁して固定することができるが、削孔用テンプレート本体15aを足で踏んで固定することもできるので、固定用磁石18は省略してもよい。
【0039】
図5(b)中、21bはボルト固定位置削孔工程で使用するホルソーである。ホルソー21bはボルト固定位置削孔用テンプレート15の削孔用位置決め部16の孔径及びホルソーガイド部17の内径よりもやや小さめの外径を有している。
図6中、20bはボルト固定位置削孔工程で穿設されたナット除去用孔、21Aは固定用ナット6(図5(b)参照)を緩めるためのラチェットレンチ、21cはラチェットレンチ21Aのソケット、21dはラチェットレンチ21Aのハンドルである。
ボルト固定位置削孔工程では、ボルト固定位置特定工程で特定された全ての固定用ボルト5の位置にナット除去用孔20bを削孔して固定用ボルト5に螺着された固定用ナット6を露出させる。
そして、蓋受枠固定解除工程において、固定用ボルト5に螺合された固定用ナット6をラチェットレンチ21A等の工具を用いて緩めて取り外し、マンホール蓋受枠2の固定を解除する。ラチェットレンチ21Aのソケット21cが、路面20から固定用ナット6の位置まで届くロングタイプであることにより、固定用ナット6を簡便に緩めることができ、施工性、省力性に優れる。尚、ラチェットレンチ21A等の工具で固定用ナット6を緩める代わりに、固定用ナット6を切断して除去してもよい。
その後は、従来と同様に、リフターなどの装置を用いてマンホール蓋受枠2の撤去、交換作業を行うことができる。
【0040】
ボルト固定位置削孔用テンプレート15の削孔用位置決め部16の数や配置は、使用される固定用ボルト5の数に応じて適宜、選択することができるが、必ずしも固定用ボルト5と同じ数の削孔用位置決め部16を備えている必要はない。削孔用位置決め部16の位置を各々の固定用ボルト5の位置に合わせて移動させることにより、順次、ボルト固定位置削孔工程を行うことができるからである。尚、本実施の形態のように、ボルト固定位置削孔用テンプレート15が固定用ボルト5と同じ数の削孔用位置決め部16を備えていれば、一度、ボルト固定位置削孔用テンプレート15を載置した後は、ボルト固定位置削孔用テンプレート15を移動させることなく連続してボルト固定位置削孔工程を行うことができ、施工性に優れる。
【0041】
実施の形態1のマンホール蓋受枠の撤去方法は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)ボルト挿通孔の位置に対応した複数のボルト位置検索ガイド部を有するボルト位置探索用テンプレートを基準に合わせて路面上に載置する探索用テンプレート載置工程と、1本目の固定用ボルトの位置が見つかるまでボルト位置検索ガイド部の位置に選択的にボルト確認孔を削孔するボルト位置探索工程と、ボルト位置探索工程で見つかった1本目の固定用ボルトの位置と使用されている固定用ボルトの本数を基に他の固定用ボルトの位置を特定するボルト固定位置特定工程を有することにより、地中に埋まったマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の位置を路面上から容易に検出することができ、最小限の削孔作業でマンホール蓋受枠を固定している全ての固定用ボルトの位置を簡便かつ確実に特定することが可能で、作業工数を大幅に削減して短時間でマンホール蓋受枠の撤去作業を行うことができ、静音性、施工性に優れる。
(2)削孔用位置決め部を有するボルト固定位置削孔用テンプレートをボルト固定位置特定工程で特定された固定用ボルトの位置に対応させて路面上に載置する削孔用テンプレート載置工程と、削孔用位置決め部に沿って固定用ボルトの位置にナット除去用孔を削孔して固定用ボルトに螺着されたナットを露出させるボルト固定位置削孔工程と、固定用ボルトに螺合されたナットを除去してマンホール蓋受枠の固定を解除する蓋受枠固定解除工程を有することにより、固定用ボルトの位置を確実に削孔して短時間でマンホール蓋受枠の固定を解除することができ、作業効率性、施工性、省力性に優れる。
【0042】
実施の形態1のマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト位置探索用テンプレートは以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)環状に形成された探索用テンプレート本体を有することにより、マンホールの蓋と同心円上に路面上に載置して簡便に中心位置合わせを行うことができ、使用性に優れる。
(2)探索用テンプレート本体の同一円周上に等角度間隔で形設された12箇所のボルト位置検索ガイド部を有するので、マンホールの蓋に形設された蓋開閉用の切り欠きや表面模様(蝶番の位置)を基準として、ボルト位置検索ガイド部とマンホール蓋受枠のボルト挿通孔との位置合わせを簡便に行うことができ、施工性に優れる。
(3)探索用テンプレート本体の同一円周上に12箇所のボルト位置検索ガイド部が等角度間隔で形設されることにより、マンホール蓋受枠が等角度間隔で植設された3本、4本若しくは6本の固定用ボルトで固定されている場合に、全ての固定用ボルトの位置にボルト位置検索ガイド部の位置を合わせることができ、短時間で固定用ボルトの位置を検索することが可能で、汎用性、省力性に優れる。
(4)ボルト位置検索ガイド部が、筒状のドリルガイド部を有することにより、削孔時の位置ずれを抑え、ドリルの刃をマンホール蓋受枠のボルト挿通孔の中心部に向かって案内することができ、固定用ボルトの有無を確実に検索することが可能で、ボルト位置検索の確実性に優れる。
【0043】
実施の形態1のマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト固定位置削孔用テンプレートは以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)削孔用テンプレート本体と、削孔用テンプレート本体に形設された削孔用位置決め部を有するので、特定された固定用ボルトの位置に削孔用位置決め部を対応させて路面上に載置することにより、固定用ボルトの位置に確実にナット除去用孔を削孔し、固定用ボルトに螺着された固定用ナットを露出させることができ、その後、ラチェットレンチ等の工具で簡便に固定用ナットを固定用ボルトから外すことができ、施工性に優れる。
(2)削孔用位置決め部が、筒状のホルソーガイド部を有することにより、削孔時の位置ずれを抑え、ホルソーの刃を固定用ボルトの位置に合わせて案内することができ、固定用ボルトの周辺をくり抜いて固定用ボルトに螺着された固定用ナットを確実に露出させることが可能で、ナット除去用孔の削孔作業性に優れる。
【0044】
(実施の形態2)
図7は実施の形態2におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト切断工程を示す要部断面模式図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態2におけるマンホール蓋受枠の撤去方法が実施の形態1と異なる点は、削孔用テンプレート載置工程、ボルト固定位置削孔工程、蓋受枠固定解除工程の代わりに、ボルト切断工程を有する点であり、探索用テンプレート載置工程、ボルト位置探索工程、ボルト固定位置特定工程は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0045】
図7中、22は本発明の実施の形態2におけるマンホール蓋受枠の撤去方法のボルト切断工程に用いる切断装置、23は固定用ボルト5を切断する切断機、24はマンホール蓋受枠2に載置され切断機23を支持する支持体、25は切断機23を所定の方向に移動させる移動機構、26は内蔵した電動モータ(図示略)によってドリル27を回転駆動すると共に回転軸心X方向の往復運動によって打撃を与えることができるハンマードリルとして構成された切断機本体、29は支持体24の本体フレーム、30は本体フレーム29の先端部に設けられた支持体24のローラユニット(旋回機構)、34,35は本体フレーム29の先端部に形設された取付ブラケット33を介して取り付けられた第1,第2のローラ、36は取付ブラケット33の上面に取り付けられ第1,第2のローラ34,35を回転させ支持体24を旋回させる旋回ハンドル、44はドリル27の回転軸心Xと平行に配置されフレーム部材32の下面に支持部材47を介して回転自在に支持された移動機構25のネジ軸、45は固定ブラケット48を介して切断機23に固定されネジ軸44に螺合されたナット部材、46はネジ軸44を回転させる回転操作部、49は本体フレーム29に支持された回転操作部46の上下方向の操作軸、50は操作軸49とネジ軸44との間に設けられた回転操作部46の歯車機構(連動機構)、51は操作軸49の上端に設けられた回転操作部46の操作ハンドル、52はネジ軸44の一端部に固定された歯車機構50の第1の傘歯車、53は操作軸49の下端部に固定され第1の傘歯車52に噛み合う歯車機構50の第2の傘歯車、55は本体フレーム29に固設された前後2つの取付板、56は取付板55の下面両側にそれぞれ渡設されナット部材45を左右から挟むように配置されて切断機23がネジ軸44回りに回転するのを規制する一対の規制部材である。
【0046】
ボルト切断工程では、図7に示すように、切断装置22の支持体24をマンホール蓋受枠2に載置し、切断機23のドリル27を固定用ボルト5の方向に合わせるため、ドリル27の回転軸心X上に固定用ボルト5が位置するように、支持体24を旋回させて位置決め固定する。切断機23を駆動し、移動機構25の操作ハンドル51を操作することによって、ドリル27を回転軸心X方向に推進させる。そして、ドリル27によって、マンホール4の径方向に削孔し、固定用ボルト5を切断する。1箇所の固定用ボルト5を切断したあと、支持体24を旋回させ、ドリル27を他の固定用ボルト5の位置に合わせて、上記と同様の操作を繰り返し行い、全ての固定用ボルト5を切断する。
全ての固定用ボルト5を切断すると、マンホール4とマンホール蓋受枠2の間の固定が解かれ、マンホール蓋受枠2の取り外しを容易に行うことができる。
尚、切断装置22は従来公知のものであるが、これに限定されるものではなく、マンホール4の内周面から固定用ボルト5を切断できるものであればよい。例えばダイヤモンドコアホルソー(ダイヤモンドコアドリル)やダイヤモンドカッターなどを用いることができる。また、マンホール蓋受枠2を取り外すには、実施の形態1と同様に、従来公知のリフター等の蓋受枠引き抜き装置を用い、マンホール蓋受枠2を周囲の舗装とともに上方へ引き抜くことができる。
【0047】
実施の形態2のマンホール蓋受枠の撤去方法は以上のように構成されているので、実施の形態1の(1)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)ボルト固定位置特定工程で特定された各々の固定用ボルトの位置に向けてマンホールの内周面から削孔して固定用ボルトを切断するボルト切断工程を備えることにより、固定用ボルトに螺着されたナットを取り外すことなく、マンホール蓋受枠の固定を解除することができるので、路面を切断或いは破砕して直ちにマンホール蓋受枠を持ち上げて撤去することができ、作業工数を低減して施工性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、大掛かりな装置を必要とせず、マンホールの蓋を開けることなく、マンホール蓋受枠を固定する固定用ボルトの位置を簡便かつ確実に検索し、路面の破砕や削孔に要する工数を低減して短時間で安全にマンホール蓋受枠の撤去作業を行うことができる静音性、施工性に優れたマンホール蓋受枠の撤去方法の提供及びマンホールの蓋に形設された蓋開閉用の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準にマンホール蓋受枠のフランジ上に等角度間隔で配置されるボルト挿通孔の位置を路面上で特定することができ、ドリルなどを案内してボルト挿通孔の位置を確実に削孔し、固定用ボルトの有無を確認することによって最小限の削孔作業で全ての固定用ボルトの位置を特定することができる手軽で省力性、作業効率性に優れたボルト位置探索用テンプレートの提供並びに特定された固定用ボルトの位置にホルソーなどを案内し、固定用ボルトの周辺を削孔して固定用ボルトを露出させることができ、簡便にナットを除去してマンホール蓋受枠の固定を解除することができる施工性、作業効率性に優れたボルト固定位置削孔用テンプレートの提供を行うことにより、安価で手軽な既存の各種工具を有効に利用して、作業の効率化、工期の短縮化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 蓋
1a,1b 切り欠き
1c 表面模様(蝶番の位置)
2 マンホール蓋受枠
2a 開口部
2b フランジ
3 ボルト挿通孔
4 マンホール
5 固定用ボルト
6 固定用ナット
7 ワッシャ
10 ボルト位置探索用テンプレート
10a 探索用テンプレート本体
11 ボルト位置検索ガイド部
12 ドリルガイド部
13,18 固定用磁石
13a,18a スイッチ
15 ボルト固定位置削孔用テンプレート
15a 削孔用テンプレート本体
16 削孔用位置決め部
17 ホルソーガイド部
20 路面
20a ボルト確認孔
20b ナット除去用孔
21 ドリル
21a ドリル刃
21b ホルソー
21A ラチェットレンチ
21c ソケット
21d ハンドル
22 切断装置
23 切断機
24 支持体
25 移動機構
26 切断機本体
29 本体フレーム
30 ローラユニット(旋回機構)
33 取付ブラケット
34,35 第1,第2のローラ
36 旋回ハンドル
44 ネジ軸
45 ナット部材
46 回転操作部
47 支持部材
49 操作軸
50 歯車機構(連動機構)
51 操作ハンドル
52 第1の傘歯車
53 第2の傘歯車
55 取付板
56 規制部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの蓋に形設された蓋開閉用の孔或いは切り欠きや蝶番の位置を基準としてフランジの同一円周上に等角度間隔で穿設された3箇所以上のボルト挿通孔を有し、前記マンホールの上端部に等角度間隔で植設された少なくとも3本の固定用ボルトが前記ボルト挿通孔に挿通されて固定されたマンホール蓋受枠の撤去方法であって、
前記ボルト挿通孔の位置に対応した複数のボルト位置検索ガイド部を有するボルト位置探索用テンプレートを前記基準に合わせて路面上に載置する探索用テンプレート載置工程と、1本目の前記固定用ボルトの位置が見つかるまで前記ボルト位置検索ガイド部の位置に選択的にボルト確認孔を削孔するボルト位置探索工程と、
前記ボルト位置探索工程で見つかった1本目の前記固定用ボルトの位置と使用されている前記固定用ボルトの本数を基に他の前記固定用ボルトの位置を特定するボルト固定位置特定工程と、
を備えたことを特徴とするマンホール蓋受枠の撤去方法。
【請求項2】
削孔用位置決め部を有するボルト固定位置削孔用テンプレートを前記ボルト固定位置特定工程で特定された前記固定用ボルトの位置に対応させて路面上に載置する削孔用テンプレート載置工程と、
前記削孔用位置決め部に沿って前記固定用ボルトの位置にナット除去用孔を削孔して前記固定用ボルトに螺着されたナットを露出させるボルト固定位置削孔工程と、
前記固定用ボルトに螺合された前記ナットを除去して前記マンホール蓋受枠の固定を解除する蓋受枠固定解除工程と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法。
【請求項3】
前記ボルト固定位置特定工程で特定された各々の前記固定用ボルトの位置に向けて前記マンホールの内周面から前記固定用ボルトを切断するボルト切断工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト位置探索用テンプレートであって、
環状に形成された探索用テンプレート本体と、
前記探索用テンプレート本体の同一円周上に等角度間隔で形設された12箇所のボルト位置検索ガイド部と、
を備えたことを特徴とするボルト位置探索用テンプレート。
【請求項5】
前記ボルト位置検索ガイド部が、筒状のドリルガイド部を備えたことを特徴とする請求項4に記載のボルト位置探索用テンプレート。
【請求項6】
請求項2に記載のマンホール蓋受枠の撤去方法に用いるボルト固定位置削孔用テンプレートであって、
削孔用テンプレート本体と、前記削孔用テンプレート本体に形設された削孔用位置決め部と、
を備えたことを特徴とするボルト固定位置削孔用テンプレート。
【請求項7】
前記削孔用位置決め部が、筒状のホルソーガイド部を備えたことを特徴とする請求項6に記載のボルト固定位置削孔用テンプレート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−21322(P2012−21322A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160051(P2010−160051)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(503430016)
【Fターム(参考)】