説明

ミクロゲル調製プロセス

【課題】核に付着した多数のポリマーアームに架橋ポリマーの核を有するミクロゲル組成物粒子を製造するプロセスを提供する。
【解決手段】核に付着した多数のポリマーアームにおいて架橋ポリマーの該核を有するミクロゲル組成物粒子の製造方法であって、該プロセスは、リビングプレポリマー成分をモノマー成分と反応させることを含み、該モノマー成分は多オレフィンモノマーを含むミクロゲル組成物粒子の製造方法。リビングプレポリマーが、モノオレフィンモノマーと開始剤との反応により、所望により触媒の存在下で製造されるミクロゲル組成物粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロゲルの調製プロセスおよび該プロセスで使用する組成物に関する。
【0002】
ミクロゲルは、非常に高い分子量、並びに比較的低分子量の線状または分枝ポリマーに類似した溶解度および粘度の組合せを有する、高分子である。ミクロゲルは、ポリエチレンまたはポリカーボネートなどの慣用的な線状または分枝ポリマーと、加硫天然ゴムなどの網目との間の中間構造である。ミクロゲルの寸法は、高分子量線状ポリマーと一致するが、その内部構造は網目に似ている。
【0003】
ミクロゲルの特性から、それは、添加物、泡または繊維用の先進材料調製物、皮膜組成物、結合材および再分散性ラテックスなどの広範囲の適用に特に有用となっている。またミクロゲルはまた、プロセスし易さを向上させるために、および最終生成物の構造的強度および寸法安定性を向上させるために使用し得る。ミクロゲルのさらなる潜在的用途は、高衝撃ポリマーの添加物である。慣用的な線状ポリマーのマトリックスに包埋されたミクロゲルは、力学的張力を分布することにより全構造を安定化させるように作用し得る。ミクロゲルは、生物系に、および医薬的担体としても有用である。
【0004】
ミクロゲルの調製に多くの方法が使用されてきたが、これらの方法は、一般に、多くの深刻な欠陥がある。例えば、これらの系に存在する複数の二重結合が容易に分子間反応を受け、御しにくい網目となり得るために、ミクロゲルの調製には極度の注意が必要である。MACROMOLECULES、1990、23、2623−2628でのOkay,OおよびFunke,Wによる記載の手順などの他の手順は、高純度の溶媒および試薬並びに不活性雰囲気を必要とし、望ましくない副反応により複雑となる。ミクロゲルの独特の特性にも関わらず、それらの調製の困難さから、その潜在的および商業的使用は限定されていた。
【0005】
我々の同時係属中出願PCT/AU98/00015は、アルコキシアミンを架橋剤と反応させることを含むミクロゲル調製プロセスを開示する。
【0006】
(発明の要約)
我々は今回、ミクロゲルを一連のリビングラジカルまたはマクロモノマーを使用して調製し得、莫大な範囲のモノマーを用いて広範囲の条件下でミクロゲルの形成が可能であることを発見した。
【0007】
従って、我々は、リビングプレポリマー成分を、多オレフィンモノマーを含むモノマー成分と反応させることを含む、ミクロゲル組成物の製造プロセスを提供する。ミクロゲル生成物は、典型的に、架橋核、および架橋核に付着した多数の重合鎖を含む。核に付着した重合鎖は遊離末端を有し、溶媒と相互作用し得る。
【0008】
本明細書に使用したリビングプレポリマーなる語は、活性化条件下でポリマーから可逆的に切断されて、反応性プレポリマーラジカルを与えるに適したラジカル停止基を有するポリマーを意味する。
【0009】
リビングプレポリマーとモノマー成分の間の反応は、開始剤および/または触媒の存在下で実施し得る。
【0010】
ミクロゲル組成物中の架橋核の比率は、リビングプレポリマーとモノマー成分の比により決定する。好ましくは、リビングプレポリマーとモノマー成分のモル比は、約0.05/1から約5/1の範囲である。
【0011】
本発明のプロセスに使用するモノマー成分は、多オレフィンモノマーを含む。本発明の好ましい実施形態において、モノマー成分は追加的に、モノオレフィンモノマーを含む。多オレフィンモノマーのモル数とモノオレフィンモノマーのモル数の比は、架橋核の密度を決定する。モノオレフィンモノマーはスペーサとして働き、高比率では核の密度を減少させる。
【0012】
一連の既知の技術を使用して、リビングプレポリマー成分を調製し得る。典型的には、プロセスは、モノオレフィンモノマーと開始剤を、所望により触媒の存在下で反応させることを含む。リビングプレポリマー成分の調製に使用するモノオレフィンモノマーは、1つ以上の二重結合を含み、反応して架橋よりも鎖伸長を与えるモノマーを含み得る。該モノマーの例は、共役ジエンおよび1,5−ジエンを含む。
【0013】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」なる語、および「含んでいる」および「含む(comprises)」などのその語の変形は、他の添加物または成分または整数を排除するものではない。
【0014】
リビングプレポリマーの調製法
リビングプレポリマーは、活性化条件下でプレポリマーから可逆的に切断されて、反応性プレポリマーラジカルを与えるに適したラジカル停止基(terminating group)を有し得る。
【0015】
ラジカル停止基前駆体の例は、ルイス酸、メルカプタン、ジスルフィド、チオカルバメートおよびジチオカルバメート、ジチオエステル、遷移金属カルボニル、安定化炭素ラジカル、過酸化物およびアゾ開始剤を含む。
【0016】
ルイス酸ラジカル停止基前駆体の典型例は、CuX/2,2−ジピリジン、Mn(CO)6RuXx/PPh3、AR(OR)3、NiX/O,O'−(CH2Nme2)C63、NiX2/PPh3およびFeX2/N(n−Bu)3などの金属錯体を含み、ここでのXは、ハロゲンおよび好ましくは塩素または臭素である。ルイス酸停止プレポリマーラジカルは、後述する原子移動ラジカル重合法により調製し得る。
【0017】
原子移動ラジカル重合(ATRP)法は、以下のスキームで示したように表現され得る。
【0018】
開始:
【化1】

成長:
【化2】

【0019】
最初に、遷移金属種Mtnが、有機ハロゲン化物R−Xからハロゲン原子Xを引抜き、酸化種Mtn+1Xおよび中心炭素ラジカルR・を形成する。続く段階で、ラジカルR・が、不飽和モノマーMと反応し、中間ラジカル種R−M・を形成する。Mtn+1XとR−Mの間の反応により、標的生成物R−M−Xが得られ、還元遷移金属種Mtnが再生され、これはさらにR−Xと反応し、新規な酸化還元サイクルを促進する。重合ハロゲン化物R−M−Xが、Mtnに対して十分に活性で、モノマーが過剰にある場合、多くの原子移動ラジカル付加、すなわち「リビング」/制御ラジカル重合が起こる。さらに、この機序の詳細は、Macromolecules、1995、28、7901の文献に記載されている。
【0020】
ATRPの別の実施形態は、Macromolecules、1995、28、7970およびMacromolecules、1996、29、3665に記載されている。これらの文献は、アリールスルホニルクロリドと遷移金属化合物の組合せを使用した「リビング」ポリマーの形成を報告する。
【0021】
プロセスの重合系の一部は、式A1SO2Xのアリールスルホニルハロゲン化物またはアルキルスルホニルハロゲン化物であり、ここでのA1は、アリール、置換アリール基、アルキル基または置換アルキル基であり、Xは、塩素、臭素またはヨウ素である。アリールスルホニルハロゲン化物およびアルキルスルホニルハロゲン化物の意味に含まれるのは、アリールまたはアルキルスルホニルハロゲン化物と任意の重合可能なビニルモノマーの反応生成物である、1:1付加物などの任意の付加物である。実際に、該付加物は、重合プロセス自体の最初の生成物の1つである。
【0022】
ATRP系の別の成分は、低原子価遷移金属原子を含む化合物である。これにより、高原子価状態で存在できる少なくとも1つの遷移金属原子を含む化合物を意味する。低原子価状態の遷移金属原子を含む化合物の定義に含まれるものは、重合プロセス条件下、インサイツで、低原子価状態の遷移金属原子を含む所望の化合物を形成できる化合物または化合物の組合せである。これは、プロセス媒体中に溶けるか、または僅かに溶け得る、金属自体(または合金またはその金属酸化物)を含み得る場合もある。
【0023】
適切な低原子価金属は、Cu[I]、Ru[I]、Ni[II]、Re[II]、Pd[II]、Cu[0]、Ni[0]、Fe[0]、Pd[0]、およびRh[II]を含む。遷移金属化合物は、好ましくは、重合媒体に少なくとも僅かに溶ける。所望により、加える遷移金属化合物は、ある錯化剤の添加により可溶化してもよい。
【0024】
低原子価遷移金属化合物:アリールスルホニルハロゲン化物またはアルキルスルホニルハロゲン化物のモル比は重要ではないが、特にリビング重合が所望である場合、0.2以上が好ましく、より好ましくは0.5以上である。また、この比は、5を超えないことが好ましく、より好ましくは2以下である。
【0025】
本発明のプロセスに有用な多くのリビングポリマーが、2つのラジカル(一方は高い活性でモノマーと反応し、他方は比較的活性が低く成長ラジカルを可逆的に停止できる)を形成する開始剤である、イニファータ(iniferters)から形成され得る。好ましいイニファータは、成長炭素ラジカルに連鎖移動も与える。イニファータからの捕獲ラジカル付加物の調製は、以下に示したように表現され得る。
【0026】
開始:
【化3】

成長:
【化4】

停止:
【化5】

【0027】
チオカルバメート、ジチオカルバメート、ジチオエステルおよび安定化炭素ラジカルを含むリビングポリマーは、この方法により調製され得る。
【0028】
チオカルバメートまたはジチオカルバメートを含むリビングポリマーは、好ましくは、式IまたはII
【化6】

[式中、
6は、水素または開始剤フラグメント残基であり、R1およびR2は、独立的に、ヒドロカルビル、特にC1−C6アルキルであり、Aはモノマー単位である]で示される。
【0029】
チオカルバメートまたはジチオカルバメートを含むリビングポリマーの調製に使用し得るイニファータの例は、式IaおよびIIa
【化7】

【化8】

の化合物を含む。
【0030】
リビングプレポリマーは、チオカルボニルチオラジカル停止基を含み得る。該化合物の例は、式
【化9】

または
【化10】

[式中、Zは連鎖移動定数が所望の範囲内にあるように選択した基である]
で示される。適切なZ基は、水素、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキルチオ、塩素、所望により置換されたアルコキシカルボニル、所望により置換されたアリールオキシカルボニル、カルボキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたカルバモイル、シアノジアルキル−またはジアリールホスフェナト−、ジアルキルまたはジアリールホスフェナトおよびポリマー鎖であり、R7は、R・が重合条件下でフリーラジカル脱離基であり、フリーラジカル重合を開始できるような、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換された(飽和、不飽和または芳香族)炭素環/ヘテロ環、所望により置換されたアルキルチオ、または他の基である。R7はまた、任意の重合機序により調製されたポリマー鎖または有機金属種でもよい。
【0031】
式IIIaおよびIIIbのリビングプレポリマーは、ビニルモノマーと、式IV(a)、IV(b)またはIV(c)のいずれかのチオカルボキシルチオ連鎖移動化合物の反応により調製され得る。反応は、通常、フリーラジカル源から生成したフリーラジカルにより開始される。
【0032】
リビングポリマーの調製に使用するモノマーは、式CH2=CUVを有し得、この場合、式III(a)またはIII(b)の化合物の得られるモノマー単位「A」は、式:
【化11】

[式中、
Uは、水素、ハロゲン、所望により置換されたC1−C4アルキルからなる群から選択され、ここでの置換基は、独立的に、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ(OR'')、カルボキシ、アシルオキシ、アロイルオキシ(O2CR'')、アルコキシ−カルボニルおよびアリールオキシ−カルボニル(CO2R'')からなる群から選択され、
Vは、水素、R''、CO2H、CO2R''、COR''、CN、CONH2、CONHR''、CONR''2、O2CR''、OR''およびハロゲンからなる群から選択され、
R''は、所望により置換されたアルキル、所望により置換された飽和、不飽和または芳香族炭素環またはヘテロ環、所望により置換されたアルキルチオ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたジアルキルアミノ、有機金属種、および任意の重合機序により調製されたポリマー鎖からなる群から選択される]
を有する。
【0033】
モノマーはまた、無水マレイン酸、N−アルキルマレイミド、N−アリールマレイミド、ジアルキルフマレートおよび環化重合可能なモノマーからなる群から選択してもよい。
【0034】
式IIIaおよびIIIbのプレポリマーの調製に使用するに好ましいジチオエステル連鎖移動剤は、式IIIa−cにより表現される。
【化12】

式IVaにおいて、R7は、R・が重合条件下でフリーラジカル脱離基であり、フリーラジカル重合を開始できるような、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換された(飽和、不飽和または芳香族)炭素環/ヘテロ環、所望により置換されたアルキルチオ、または他の基である。R7はまた、任意の重合機序により調製されたポリマー鎖または有機金属種でもよい。
【0035】
式IVbにおいて、nは1以上の整数である。
【0036】
7は、R・が重合条件下でフリーラジカル脱離基であり、フリーラジカル重合を開始できるような、置換アルキル、置換アリールまたはポリマー鎖由来の基、または他の基であり、Zは、式IIIaで定義した通りである。
【0037】
式IVcにおいて、nは1以上の整数である。
【0038】
Z'は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアリールまたはポリマー鎖由来の基であり、接続部分は脂肪族炭素、芳香族炭素、酸素または硫黄から選択され、およびR7は、式IVaに定義した通りである。
【0039】
他の多官能チオエステルおよびジチオエステルは以下の通りである:
【化13】

より完全なジチオエステル化学の説明が、国際特許出願PCT/US97/12540(WO98/01478)に、E.I.Du Pont De Nemours and Companyの名称で含まれており、その内容を参考として本明細書に援用する。
【0040】
安定化炭素ラジカル−ラジカル停止基を含むリビングプレポリマーは、好ましくは、式V
【化14】

[式中、
2およびR4は、独立して、3級アルキルおよびアリールから選択され、最も好ましくはフェニルなどのアリールであり、R6は、3級アルキル、アリールおよび−C(R8910)基から好ましくは選択された開始剤フラグメント残基であり、R5、R8、R9およびR10は、独立的に、3級アルキル、アリール、ニトリル、アルコキシ、アリールオキシおよびトリメチルシロキシから選択される]
で示される。
【0041】
安定化炭素−ラジカル停止基を含む付加物は、式VIまたはVII
【化15】

[式中、
3、R4、R5およびR6は、前記で定義した通りである]
の化合物から調製され得る。
【0042】
式Vの化合物は、モノマーAの存在下で式VIの化合物を分解することにより調製され得る。
【0043】
最も好ましい式VIの化合物は、フェニルアゾトリフェニルメタン(PAT)である。
【0044】
イニファータの使用例は、OtsuおよびYoshisha、Makromol Chem、Rapid Commun.3:127(1982)および3:113(1982)により記載されている。
【0045】
アゾおよび過酸化物付加物の例は、式VIIIおよびIX
【化16】

[式中、
RおよびR1は、ヒドロカルビル、および好ましくはアルキルである]
の化合物を含む。
【0046】
式VIIIおよびIXのラジカル付加物の例は、式X
【化17】

の多官能化合物から、式Xの化合物の場合にはペルエステル基の活性化により、または式VIIIの化合物の場合にはアゾ基の活性化により調製され得る。ジ−t−ブチル−4,4−アゾビス(4−シアノペルオキシバレエート)などの多官能開始剤の例が、Piirmaら、J.Appl.Poly.Sci.24:2051(1979)、J.Appl.Polym.Sci.26:3013(1981)およびJ.Appl.Polym.Sci.33:717(1987)により開示されている。
【0047】
オリゴマー鎖間の連結としてアゾ基を含むリビングプレポリマーは、スキームに従って、アニオンオリゴマ−をアゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)と反応させることにより調製され得る。
【化18】

【0048】
該手順は、Reebら、Eur.Polym.J.12:317(1976)およびPoym.Prepr.,Am.Chem.Soc.,Div.Polym.,Chem.,21:55(1980)により開示されている。
【0049】
類似手順を使用して、ブチルリチウムなどの促進剤の存在下でアニオン性オリゴマーを、p,p'−ビス(ブロモメチル)ベンゾイルペルオキシドと反応させることによりペルオキシ含有リビングプレポリマーを調製し得る。該プロセスの例は、Riessら、Eur.Polym.J.11:301(1975)およびInf.Chim.116:117(1973)により開示されている。
【0050】
硫黄含有捕獲基を有するリビングプレポリマーは、式XIまたはXII
【化19】

[式中、
AおよびBは、モノマーであり、これは同一であっても異なっていてもよい]
のメルカプタンから得られ得る。
【0051】
該メルカプタンは、次に、当分野で既知の一連の方法により調製され得る。好ましい例において、式XIまたはXII(mは2である)の付加物は、アニオン性プレポリマー(A)-をチイランと反応させて開環し、式XIの2−チオールエチル置換プレポリマーを得、所望により、2−チオールエチル置換ポリマーをモノマー(B)(これはAと同一であってもAとは異なっていてもよい)と反応させて式XIIのプレポリマーを得ることにより調製される。
【0052】
式I−XIIの化合物の、モノマーAまたはBおよびモノマー単位−(A)−は、チオエステルIIIaおよびIIIbの、モノマーAおよびモノマー単位(A)で定義した式を有し得る。
【0053】
本発明のプロセスに有用な別のクラスのリビングプレポリマーは、式XIIIにより示されるマクロモノマーである。特に、1つのポリマー鎖あたり、最大で2つの二重結合、より好ましくは1つの二重結合を含むマクロモノマーである。
【化20】

ここでのXは、−CONR2、−COOR、OR1、−OCOR、−OCOOR1、−NRCOOR1、ハロ、シアノ、または置換或いは非置換フェニル若しくはアリールであり、ここでのRは、独立的に、水素、シリル、または置換或いは非置換アルキル、アルキルエーテル、フェニル、ベンジル、またはアリールの群から選択され、ここでの該基は、エポキシ、ヒドロキシ、イソシアナト、シアノ、アミノ、シリル、酸(−COOH)、ハロ、またはアシルで置換され得、ここでのR1は、H以外はRと同じである。
【0054】
この種のマクロモノマーは、多くの異なる方法により調製できる。説明のために含まれ制限する意図はない、2つの調製法は、
1)米国特許第5,362,826号、米国特許第5,324,879号およびWO9731030号に記載のような、Co+2またはCo+3を含む触媒連鎖移動剤、
2)PCT/US95/14428(WO960704)に記載のような、付加開裂重合である。
【0055】
マクロモノマーは、本発明のプロセスにリビングプレポリマーとして使用しても、または活性化条件下でプレポリマーから可逆的に切断されるに適したラジカル停止基を得るために修飾してもよい。1つの実施形態において、マクロモノマーの二重結合を転換し、使用するラジカル停止基の種類に応じて、一連の方法のいずれかにより、キャップをもつラジカルを得る。例えば、アルコキシアミン停止基は、ブトキシドなどの酸素活性化基と反応させ、次いで立体障害のあるニトロキシドと反応させることにより得られ得る。別法として、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムブロミドなどの適切な臭化剤と反応させて臭化物を形成することにより、ATRPに適切な基を取り込んでもよい。他の修飾マクロマーの例は、式I−XIIIの上記のプレポリマーから容易に理解されるだろう。
【0056】
捕獲ラジカル付加物のオリゴマー(A)n成分は、1つ以上のモノマーを含むが、リビングプレポリマーは、少なくとも3つのモノマー単位およびより好ましくは少なくとも5つのモノマー単位を含むオリゴマーであることが特に好ましい。リビングプレポリマーラジカルの分子量は、好ましくは500−100,000、より好ましくは1000−25,000、最も好ましくは3000−15,000である。
【0057】
上記のプレポリマーはまた、ヒドロキシ置換ポリマーなどの官能基化ポリマーの製造に使用し、活性化条件下でプレポリマーから可逆的に切断されるに適したラジカル停止基に変換し得る。次いで、この修飾プレポリマーは、別のモノマーにより鎖を伸長し、共重合アームを形成できる。2種類のモノマー単位の比を使用して、アームの親水性特性を制御できる。ヒドロキシ基などの官能基の比率を増加させることにより、得られたアームはより親水性となる。
【0058】
ヒドロキシ基などの官能基をもつモノマーは単独で使用しても、または上記の制御重合法の1つを使用してアームで他のモノマーと混合してもよい。官能基化モノマーと非官能基化モノマーの比は、アームの親水性および疎水性平衡を制御し、従って、最終ミクロゲルを制御する。
【0059】
ミクロゲルの調製
リビングプレポリマーが少なくとも3つのモノマー単位(好ましくは少なくとも5つ)を含む場合、得られたミクロゲルは、核を形成している架橋網目に連結した線形アームのプレポリマー形をとる。この種のミクロゲルは、慣用的には、星形ミクロゲルと呼ばれ得る。
【0060】
本発明のプロセスに使用した成分の比率は、一般に、ミクロゲルの所望の特性および目的の適用に依存する。一般に、ミクロゲルは、重合成分のモルに基づき60モル%までの架橋剤を使用して調製する。より好ましくは、架橋剤は、全重合成分の50モル%までを含む。典型的には、捕獲ラジカル付加物は、重合成分の約5−約95モル%を含む。
【0061】
本発明により、ミクロゲル組成物で以前に可能であったよりも高い比率の架橋剤が可能となる。従来技術のミクロゲルでは、一般に、架橋剤の使用は最大で数モル%以下に制限されていた。高濃度の架橋剤を使用できることにより、ミクロゲルを高密度で調製でき、レオロジー制御に有意な利点を付与する。従って、本発明のプロセスは、全重合成分に基づき少なくとも5モル%の架橋剤、最も好ましくは10−50%を使用することが好ましい。
【0062】
本発明のプロセスにおいて、リビングプレポリマーのオリゴマー部分のモノマー単位の平均数が、5以下のモノマー単位である場合、モノマー組成物は、モノ不飽和モノマーおよび共役ジエンモノマーから選択されたさらなるモノマーを含むことが特に好ましい。付加物のオリゴマー部分のモノマー単位の平均数が減少すると、モノマーの使用により得られる向上は、より有意になる。オリゴマーのモノマー単位数が1−3である場合、モノ不飽和モノマーが典型的に使用される。
【0063】
典型的には、不飽和モノマーは、重合成分の全モル数に基づき80モル%まで、より好ましくは10−80%で存在する。
【0064】
プレポリマーに存在するモノマー単位の数が5以下である場合、付加物は、好ましくは、5−60モル%の量で存在する。
【0065】
星形ミクロゲルは、好ましくは、50−95モル%の付加物および45モル%までのモノ不飽和モノマーを使用して調製する。
【0066】
本発明のプロセスに使用する場合の1つ以上のさらなるモノマーは、アルケン、アクリレート、メタクリレート、スチレンまたはスチレンモノマー、アクリロニトリルまたは置換アクリロニトリル、または共役ジエンモノマー、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、シクロペンタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニリデンおよびポリ二塩化ビニリデンなどの任意の公知のモノ不飽和モノマーであり得る。
【0067】
ミクロゲルの特性および続く適用におけるその反応性は、モノマーおよびその官能基の選択により制御され得る。モノマーの例は、C1−C10アルケン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ハロアルキルアクリレート、ハロアルキルメタクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アルコキシアルキルメタクリレート、所望によりモノ−N−置換またはジ−N−置換アミノアルキルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート、シクロアルキルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、アルキレングリコールアクリレート、アルキレングリコールメタクリレート、ポリアルキレングリコールアクリレート、ポリアルキレングリコールメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの誘導体、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸のエステル、およびマレイン酸、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレートのエステルを含む。
【0068】
プレポリマーの(A)n部分であるオリゴマーは、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。
【0069】
オリゴマーがコポリマーである場合、統計的コポリマーでもブロックコポリマーでもよい。オリゴマーの調製に使用するモノマーは、二重結合に加えて、1つ以上の官能基を含んでよい。これらの追加の官能基は、星型ミクロゲルのアームに所望の極性または反応性を付与するように選択し得る。追加の官能基の例は、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシル、メルカプト、置換アミノ、シラン基およびエポキシを含む。モノマーヒドロキシエチルメタクリレートなどにおけるヒドロキシ官能基が特に好ましい。追加の官能基または官能基群を含むモノマーは、ホモポリマーを形成していても、統計的コポリマーまたはブロックコポリマーのコモノマーを形成してもよい。
【0070】
プレポリマーに存在するモノマー単位は、同一であっても異なっていてもよい。統計的コポリマーは、モノマー混合物の使用により調製され得、ブロックコポリマーは、順にモノマーを導入し、第二モノマーを導入する前に第一モノマーのブロックを得ることにより調製され得る。
【0071】
本発明のプロセスに使用する多オレフィン化合物は、好ましくは、2つ以上の二重炭素−炭素結合を含む。ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アミド、アミノ、置換アミノ、メルカプト、シランおよびエポキシまたはその他などの他の官能基は、所望であれば存在し得る。適切な多オレフィン化合物の例は、ジビニルベンゼンおよびジビニルベンゼンの誘導体並びに2つ以上のアクリレートまたはメタクリレート官能基を含むモノマーを含む。該ポリアクリレート化合物の例は、アクリル酸またはメタクリル酸由来の2つ以上の二重結合で置換されたポリオールを含む。ジ−およびトリ−アクリレート化合物の例は、式XIV
【化21】

[式中、
7およびR8は、独立的に、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、好ましくはメチル、および置換C1−C6アルキル、例えばC1−C6ヒドロキシアルキルから選択され、
1およびY2は、独立的に、NR9およびOから選択され、ここでのR9は、独立的に、水素およびアルキルから選択され、および
Qは、連結基であり、これは当分野で公知の任意の連結基であり得る]
の化合物を含む。好ましい連結基は、アルキレン(好ましくは1−12炭素原子)、炭素環或いはヘテロ環基またはポリアルキレンオキシドを含み、ここでの基は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、シラン、エポキシ、アクリレートまたはメタクリレートから選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0072】
好ましくは、Qは、1−10炭素原子のアルキレンまたはポリアルキレンオキシドであり、所望により、ヒドロキシ、アミノ、シラン、エポキシ、およびアクリレートまたはメタクリレートから選択された置換基を含む。R7およびR8の一方または両方が、置換アルキルである場合、適切な置換基は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、置換アミノ、チオール、シランおよびエポキシを含む。
【0073】
好ましいポリアクリレート化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、アルキレングリコールジアクリレート、アルキレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールのジアクリレート、ポリアルキレングルコールのジメタクリレート、ポリオキシアルキレングリコールのジアクリレート、ポリオキシアルキレングリコールのジメタクリレート、2−シアノエチルアクリレート、アルキレングリコールアクリレートメタクリレート、ポリアルキレングリコールアクリレートメタクリレート、ポリオキシアルキレングリコールアクリレートメタクリレートを含む。多オレフィン化合物の具体例は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールアクリレートメタクリレートまたは他のポリオールアクリレートメタクリレートを含む。
【0074】
アリルおよび置換アリル誘導体、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、エーテルおよびアミンも、多オレフィン化合物として使用し得る。いくつかの例を以下に列挙する。
【0075】
【化22】

ここでR1=Hまたはアルキル
2=Hまたはアルキル
1およびR2は、官能基、すなわちヒドロキシを含み得る。
ここでR3=Hまたはメチル
【0076】
アリルアクリレート:
【化23】

ここでR1=R2=H R1=H R2=CH31=R2=CH3
【0077】
アリルメタクリレート:
【化24】

ここでR1=R2=H R1=H、R2=CH31=R2=CH3
【0078】
ジアリルエーテル:
【化25】

ここでR1=Hまたはアルキル
2=Hまたはアルキル
1およびR2は、官能基、すなわちヒドロキシを含み得る。
1およびR2はまた、不斉構造を形成できる。
【0079】
例:
【化26】

【0080】
ジアリルアミン:
【化27】

ここでR1=Hまたはアルキル
2=Hまたはアルキル
1およびR2は、官能基、すなわちヒドロキシを含み得る。
1およびR2はまた、不斉構造を形成できる。
【0081】
例:
【化28】

【化29】

【0082】
トリアリルアミン:
【化30】

ここでR1=Hまたはアルキル
2=Hまたはアルキル
1およびR2は、官能基、すなわちヒドロキシを含み得る。
1およびR2はまた、不斉構造を形成できる。
【0083】

【化31】

【0084】
他の非置換化合物:
【化32】

【0085】
架橋剤の選択を使用して、星型ミクロゲルの核を構成する架橋網目の構築および化学的特性を制御し得る。一般的な3種類の多オレフィン化合物を、必要な特性に応じて使用し得る。
【0086】
架橋モノマーの不飽和基が等価である場合、その相対反応性は、統計学的考察により決定する。不飽和基が異なる反応性を有する場合にはより大きな制御が得られる。理論で固めたくはないが、我々は、反応性の異なる不飽和基の使用により得られるより大きな制御は、架橋の完了前に二重結合の1つで鎖成長が起こるために生じると信じる。使用し得る他の種類の架橋剤は、追加の官能基を含み、これは溶媒または他の種との所望の相互作用またはミクロゲルの反応性が得られるように選択され得る。これらの3種類の架橋剤はより詳細に議論する。
【0087】
ビニル基が等価の反応性を示す多オレフィン化合物の例は、ジビニルベンゼンおよび式XIV(ここで、R7およびR8は同一であり、Qは、非置換であるか、または対称置換を有する)の化合物を含む。他の市販で入手できるこの種のモノマーは、アルキレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、例えば、ブタンジオールジアクリレートまたはブタンジオールジメタクリレートを含む。
【0088】
ビニル基の反応性が異なる多オレフィン化合物の例は、式XIV(ここで、R7およびR8は異なり、および/またはY1およびY2は異なる)の化合物を含む。該多オレフィン化合物は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドおよびメタクリルアミドから選択された2つの異なる不飽和基を含む。2つの異なる飽和基は、例えば、アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール連結基により連結し得る。別個のビニル基を有する特に好ましい多オレフィン化合物は、以下を含む。
【0089】
【化33】

【0090】
【化34】

【0091】
本発明で有用な別の群の多オレフィン化合物は、少なくとも2つの不飽和基に加えて、さらに、ヒドロキシ、メルカプト、アミン、ハロアミド、およびアルコキシカルボニルなどの1つ以上の他の官能基を含む化合物である。この一般的な種類の置換化合物は、親水性核、または反応性基を含む核を有する星型ミクロゲルの製造に特に有用である。該多オレフィン化合物の具体例は、ペンタエリトリトールトリアクリレートなどのヒドロキシ置換化合物および式XIV(ここで、Qは、ヒドロキシル、アミノ、置換アミノ、シラン、エポキシアクリレート、アルキレンアクリレート、メタクリレートおよびアルキレンメタクリレートから選択された1つ以上の置換基を含む)の化合物を含む。
【0092】
本発明は、多オレフィン化合物の混合物を使用してもよい。例えば、ジビニルベンゼンおよびジアクリレートまたはジメタクリレートなどの異なるクラス由来の多オレフィン化合物の使用により利点が得られることがある。さらに、対称多オレフィン化合物、並びに反応性の異なる二重結合を有する多オレフィン化合物の組合せを使用して、架橋密度を制御できる。
【0093】
アリルおよび置換アリル誘導体は、架橋剤として単独で使用しても、または形成された星形ポリマーの核の密度を制御するために他の架橋剤と組合せてもよい。
【0094】
本発明のプロセスは、所望であれば溶媒の存在下で実施し得る。例えば、プロセスは、溶液中、バルクで、または懸濁液中で実施し得る。
【0095】
星形ミクロゲルの調製において、反応は、好ましくは、オリゴマー用の適切な溶媒中で実施し、シータ溶媒が特に好ましい。我々は、架橋剤と、1つの不飽和基を含むモノマーの混合物を使用する場合に、架橋反応が非常に効率的になる場合があることを発見し、モノマーの役割は、スペース単位として働くことであると信じる。また、スペースモノマーは、オリゴマー由来の星型ミクロゲルのアームを可溶化することが好ましい。
【0096】
理論で固めたくはないが、我々は、モノマー希釈剤は、スペーサモノマーとして働き、架橋密度を制御し、架橋効率を向上させると信じる。ある系では、モノ不飽和モノマーなどの適切なモノマーの非存在下では、効率的な架橋およびミクロゲル形成を得ることは困難であり得る。
【0097】
スペーサモノマーは、ミクロゲルの反応性または化学的特性を制御する手段を与える、1つ以上の追加の官能基を有するモノマーを含み得る。例えば、1つの実施形態において、スペーサモノマーは、比較的不活性なモノマー単位を与えるモノマー、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミド、アミノ置換アミノ、チオール、シラン、エポキシまたはその他などの1つ以上の追加の官能基を取り込んだ官能基化モノマーを含む、少なくとも2種類のモノマーを含む。
【0098】
スペースモノマーは、オリゴマーの調製に使用したモノマーと同一であっても異なっていてもよい。しかし、多くの場合、同一のモノマーの使用が便利である。スペーサモノマーは、典型的には、重合成分の0−70モル%、好ましくは5−70モル%の範囲である。
【0099】
本発明のプロセスは、一般に、オリゴマーアームをはるかにより効率的に取り込むことを可能とし、よって得られるミクロゲル中の未反応残存モノマーの比率は減少する、従来技術のミクロゲル形成プロセスを超えた有意な利点を有する。
【0100】
本発明のプロセスに従って調製したミクロゲルは、一般に、平均分子量が少なくとも約104である。好ましくは、分子量は、約104から約107、最も好ましくは約105から約107の範囲である。
【0101】
本発明のプロセスに従って調製したミクロゲルは、一連の適用を有する。
【0102】
ミクロゲルは溶媒由来および水由来皮膜におけるレオロジー制御剤として特に有用である。
【0103】
皮膜組成物の調合において、最大固体含量の提供と良好な持続性の提供の間の妥協が必要であった。高い固体含量は、低分子量ポリマーの使用により最善に満たされるが、ポリマー持続性は、高分子量により最善に満たされる。本発明のミクロゲルにより、高分子量ポリマーの提供により、妥協をより効率的に合致させることが可能となり、従って、良好な持続性を与え、同時に高固体含量の達成を可能とする溶解度を与える。ミクロゲルはまた、低分子量レジンで生じる沈降の問題なく、溶媒含量の減少を達成できる。
【0104】
本発明のミクロゲルは、熱硬化性または照射硬化性組成物に使用し得る。該組成物は、一般に、吊り下がった官能基を含むミクロゲルを含み、これはヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、メルカプト、置換アミノ、シラン、カルバメートまたはエポキシ基などの適切な官能基を有する、モノマー、アルコキシアミンまたは架橋剤の使用により得られ得る。架橋剤は、硬化条件下でミクロゲンの吊り下がった官能基と反応性の官能基を含む。
【0105】
本発明のミクロゲルはまた、接着剤および化粧品にも使用し得る。
【0106】
本発明に従って調製したミクロゲルは、耐衝撃性の向上および内部潤滑の向上のための塑性添加物としても有用である。本発明に従って調製したミクロゲルはまた、特に、ミクロゲルと医薬の会合を容易にし得る極性官能基を使用して調製した場合に、医薬担体として有用である。
【0107】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供され、決して限定するものとは捉えない。
【0108】
実施例1
a)ATRP法によるCl原子で末端キャップしたPSアームの調製
開始
【化35】

【0109】
成長
【化36】

【0110】
スチレン(23.5mmol、2.7ml)、CuCl(0.553mmol、0.055g)、2,2'−ビピリジン(bpy、1.66mmol、0.259g)および1−フェニルエチルクロリド(1−PECl、0.553mmol、73μl)を乾燥シュレンクフラスコに加えた。混合物を、撹拌しながら130℃の油浴に浸す前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。5時間の重合の後、溶液をTHFで希釈した。その後、ろ過し、カラムでアルミナ(ブロックマン1、中性)を通過させて銅錯体を除去した。形成したポリスチレン(PS)をMeOHから沈殿(3回)させ、60℃で真空下で48時間乾燥させた。GPCにより測定した得られたポリマーのMWは、Mn=4696(PD=1.33)であり、23.61%の転換であった。
【0111】
b)ATRP法によるDVBを用いたミクロゲル形成
【化37】

【0112】
塩素原子で末端キャップしたポリスチレン(0.2g、Mn=4685、Mw/Mn=1.34)を、ベンゼン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.05gのジビニルベンゼン(DVB)を、1モル等量のCuCl(19mg)および3モル等量のbyp(89.9mg)(両方共、ポリスチレンに対して)の存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させる前にろ過した。次いで、これをGPC/MALL系でMWを決定する前に真空下で乾燥させた。
【0113】
実施例2
a)ATRP法によるBr原子で末端キャップしたPSアームの調製
FeBr2(34.0mg、0.6mmol)、スチレン(4.86g、46.7mmol)、o−キシレン(4.0ml)およびN(nBu)3(0.11ml、0.47mmol)を、アルゴンでパージした乾燥丸底シュレンクフラスコに加えた。この溶液を10分間室温で撹拌し、次いで、p−トルエン−スルホニルクロリド(30.0mg、0.16mmol)をo−キシレン(1.0ml)溶液として加えた。フラスコを封管し、3回脱気して酸素を除去した。次いで、フラスコを80℃の油浴に8時間浸した。重合後、溶液をTHFで希釈した。次いで、ろ過し、カラムでアルミナ(ブロックマン1、中性)を通過させて錯体を除去した。次いで、形成したポリマーをMeOHから沈殿(3回)させ、60℃で真空下で48時間乾燥させた。
【0114】
b)ATRP法によるDVBを用いたミクロゲル形成
上記の重合から得られた、臭素原子で末端をキャップした純粋なポリスチレンを、ガラスチューブ中でo−キシレンで溶かした。この溶液に、FeBr2、1−フェニルエチルブロミド(1−PEBr)およびDVBを適切な比で加えた。次いで、混合物を、110℃の油浴に入れる前に3回脱気した。12時間の重合後、次いで、ミクロゲルを白色固体としてメタノールから沈殿させた。
【0115】
実施例3
a)ATRP法によるCl原子で末端キャップしたPMMAアームの調製
開始
【化38】

【0116】
成長
【化39】

【0117】
メチルメタクリレート(MMA)(2.63g、26.25mmol)、CuCl(0.082g、0.853mmol)、2,2'−ビピリジン(bpy、0.389g、2.49mmol)および1−フェニルエチルクロリド(1−PECl、0.116g、0.83mmol)を乾燥シュレンクフラスコに加えた。混合物を、撹拌しながら130℃の油浴に浸す前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。18時間(一晩)の重合の後、溶液をTHFで希釈し、ろ過前に50℃に加熱した。次いで、THFを蒸発させ、残渣をMeOHから沈殿(3回)させ、60℃で真空下で48時間乾燥させた。
【0118】
b)ATRP法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
架橋
【化40】

【0119】
塩素原子で末端キャップした純粋なPMMA(0.2g、0.063mmol)をo−キシレン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.099g(0.5mmol)のEGDMAを、0.018g(0.063mmol)のCuClおよび0.06g(0.190mmol)のbpyの存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。
【0120】
実施例4
a)ATRP法によるBr原子で末端キャップしたPMMAアームの調製
FeBr2(34.0mg、0.16mmol)、MMA(5.0ml、46.7mmol)、o−キシレン(4.0ml)およびN(nBu)3(0.11ml、0.47mmol)を、アルゴンでパージした乾燥丸底シュレンクフラスコに加えた。この溶液を10分間室温で撹拌し、次いで、p−トルエン−スルホニルクロリド(30.0mg、0.16mmol)をo−キシレン(1.0ml)溶液に加えた。フラスコを封管し、3回脱気して全ての酸素を除去した。次いで、フラスコを80℃の油浴に15時間浸した。反応後、溶液をTHFで希釈し、ろ過した。次いで、アルミナ(中性で活性化されたブロックマン1)を通過させて錯体からイオンを除去した。得られたポリマーを石油エーテル(40℃−60℃)から沈殿させ、真空下で一晩乾燥させた。GPCにより測定した得られたポリマーのMWは、Mn=14707(PD=1.0767)であり、反応の転換は27.94%である。
【0121】
b)ATRP法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
ポリメチルメタクリレート(PMMA)(0.3g、Mn=7488)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)(0.119g)、FeBr2(9.8mg)、N(nBu)3(32.6μl)およびo−キシレン(5ml)をシュレンクフラスコに加えた。混合物を3回脱気した。次いで、撹拌しながら80℃の油浴に入れた。14時間後、溶液をTHFで希釈し、ろ過した。次いで、Al23を通過させ、形成したミクロゲルを石油エーテル(40℃−60℃)から沈殿させ、真空下で一晩乾燥させた。ミクロゲルの分子量は、GPC/MAPLLS系により決定した。Mn=6,585,200、PD=1.27。
さらなるミクロゲルを、実施例5−18に記載の方法により調製し得る。
【0122】
実施例5
a)ATRP法によるBr原子で末端キャップしたPMMAアームの調製
PMMAは、実施例4(a)に記載のように合成した。
【0123】
b)ATRP法によるDVBを用いたミクロゲル形成
臭素原子で末端キャップしたPMMAを、o−キシレン(10ml)に溶かした。この溶液に、0.1gのDVBを、1モル等量のCuClおよび3モル等量のbpy(両方共、ポリスチレンに対して)の存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルを、白色固体としてメタノールから沈殿させた。形成したミクロゲルは、強力な極性アームおよびより親水性の低い核を有する。
【0124】
実施例6
a)ATRP法によるCl原子で末端キャップしたPSアームの調製
ポリスチレン(PS)を、実施例1(a)に記載のように合成した。
【0125】
b)ATRP法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
Cl原子で末端キャップしたPSを、ガラスチューブ中でo−キシレンで溶かした。この溶液に、FeBr2、1−PEBrおよびEGDMAを前回と同じ比で加えた。次いで、混合物を、110℃の油浴に入れる前に3回脱気した。12時間の重合後、ミクロゲルを白色固体としてメタノールから沈殿させた。
形成したミクロゲルは、疎水性アームおよび親水性核を有する。
【0126】
実施例7
a)ATRP法によるBr原子で末端キャップしたPMMAアームの調製
PMMAは、実施例4(a)に記載のように合成した。
【0127】
b)ATRP法によるAMA/EGDMAを用いたミクロゲル形成
上記の段階から得られた臭素原子で末端キャップしたPMMA(0.3g、MW=15000)をシュレンクフラスコ中のo−キシレン(5ml)に溶かした。次いで、FeBr2(9.8mg)、76mgのアリルメタアクリレート(AMA)およびEGDMA混合物(モル比1:1)およびN(nBu)3(32.6μl)を加えた。混合物を10分間室温で撹拌した。次いで、フラスコを封管し、混合物を、80℃の油浴に入れる前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。14時間の重合の後、溶液をTHFで希釈し、ろ過し、カラムでアルミナ(ブロックマン1、中性)を通過させて金属錯体を除去した。形成したミクロゲルを石油エーテル(40℃−60℃)から白色固体として沈殿させ、真空下で24時間乾燥させた。
【0128】
実施例8
a)チオエステル法によるPMMAアームの調製
丸底シュレンクフラスコに、25.8g(0.01)モルの1−フェニルエチルジチオベンゾエートの2mlトルエン溶液、60g(0.6モル)の脱気MMAおよび3mmolのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の10mlトルエン溶液を加えた。さらに30mlのトルエンを、次いで混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気する前に加えた。次いで封管したフラスコを撹拌しながら80℃の油浴に24時間浸した。反応後、溶媒を蒸発させ、残渣を3回MeOHから沈殿させた。次いで、形成したPMMAを、60℃で真空下で48時間乾燥させた。GPCにより測定した得られたポリマーのMWは、PDが1.2以下でMn=20,000である。
【0129】
b)チオエステル法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
上記から得られた一端をチオエステルでキャップした純粋なPMMA(Mn=
20.000、2g)を、丸底シュレンクフラスコの20mlトルエンに溶かした。この溶液に、2gのEGDMAおよび0.5mgのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。次いで、混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。次いで、封管フラスコを24時間撹拌しながら80℃の油浴に浸した。反応後、溶媒を蒸発させ、残渣を3回MeOHから沈殿させた。次いで、かくして形成したミクロゲルを、60℃で真空下で48時間乾燥させた。
【0130】
実施例9
a)連鎖移動法によるマクロモノマーの調製
丸底シュレンクフラスコに、4mlのMMA、0.1mgのジアクアビス(ジフルオロジメチルグリオキシマトホウ素)コバルテートの6mlベンゼン溶液および20mgのAIBNを加えた。次いで、混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気し、60℃に加熱し、その温度で36時間維持した。形成したマクロモノマーをペンタン中での沈殿により精製し、PD1.5でMW5000を有する。
【0131】
b)ラジカル重合法によるマクロモノマーからのミクロゲル形成
丸底シュレンクフラスコ中に、上記から得られた2.63gの純粋なマクロモノマー、2.5gのEGDMA、0.5gのMMA、および10mgのAIBNの5mlミネラルスピリットおよび15mlヘプタン溶液を加えた。混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した後、60℃に加熱し、その温度で24時間維持した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。
【0132】
実施例10
a)連鎖移動法によるマクロモノマーの調製
マクロモノマーは、実施例9aに記載の通りに調製した。
【0133】
b)ATRP法による、マクロモノマーの、Cl原子で末端キャップしたアームへの転換
上記から得られた2.63gの純粋なマクロモノマーを、0.082gのCuCl、0.389gの2,2'−ビピリジンおよび0.116gの1−フェニルエチルクロリドと共にo−キシレンに溶かした。混合物を、撹拌しながら130℃の油浴に浸す前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。12時間の反応の後、溶液をTHFで希釈し、ろ過前に50℃に加熱した。次いで、THFを蒸発させ、残渣をMeOHから沈殿(3回)させ、60℃で真空下で48時間乾燥させた。
【0134】
c)ATRP法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
塩素原子で末端キャップした純粋なPMMAを使用して、実施例3bに記載の方法を用いてミクロゲルを製造した。
【0135】
実施例11
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
丸底シュレンクフラスコに、重量比8:2の4mlのヒドロキシエチルメタクリレート(HEA)およびMMA、0.1mgのジアクアビス(ジフルオロジメチルグリオキシマトホウ素)コバルテートの6mlメチルエチルケトン溶液および20mgのAIBNを加えた。次いで、混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気し、60℃で36時間加熱した。形成したヒドロキシル官能基化マクロモノマーをペンタンへの沈殿により精製した。
【0136】
b)ラジカル重合法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーからのミクロゲル形成
丸底シュレンクフラスコ中に、上記から得られた2.63gの純粋なヒドロキシル官能基化マクロモノマー、2.5gのEGDMA、0.5gのMMA、および10mgのAIBNの5mlミネラルスピリットおよび15mlヘプタン溶液を加えた。混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気し、60℃で24時間加熱した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、3回メタノールから沈殿させ白色固体を形成した。
【0137】
実施例12
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
ヒドロキシ官能基化マクロモノマーは、実施例11aに記載の通りに調製した

【0138】
b)ATRP法による、ヒドロキシ官能基化マクロモノマーの、Cl原子で末端キャップしたアームへの転換
上記から得られた3.5gの純粋なヒドロキシ官能基化マクロモノマーを、0.082gのCuCl、0.389gの2,2'−ビピリジンおよび0.116gの1−フェニルエチルクロリドと共にo−キシレンに溶かした。混合物を、撹拌しながら130℃の油浴に浸す前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。12時間の反応の後、溶液をTHFで希釈し、ろ過前に50℃に加熱した。次いで、THFを蒸発させ、残渣をMeOHから沈殿(3回)させ、60℃で真空下で48時間乾燥させた。
【0139】
c)ATRP法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
塩素原子で末端キャップした純粋なヒドロキシ官能基化ポリマーアーム(0.063mmol)をo−キシレン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.099g(0.5mmol)のEGDMAを、0.018g(0.063mmol)のCuClおよび0.06g(0.190mmol)のbpyの存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルは、そのアームに結合したヒドロシ官能基を有する。反応溶液をTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。
【0140】
実施例13
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
ヒドロキシ官能基化マクロモノマーを、実施例11aに記載の通りに調製した

【0141】
b)ATRP法による、MMAとヒドロキシ官能基化マクロモノマーの共重合での、塩素でキャップしたアームの形成
実施例13aから得られた3.5gの純粋なヒドロキシ官能基化マクロモノマーを、2.6gのMMA、0.082gのCuCl、0.389gの2,2'−ビピリジンおよび0.116gの1−フェニルエチルクロリドと共にo−キシレン(20ml)に溶かした。混合物を、撹拌しながら130℃の油浴に浸す前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。12時間の反応の後、溶液をTHFで希釈し、ろ過前に50℃に加熱した。次いで、THFを蒸発させ、残渣をMeOHから沈殿(3回)させ、60℃で真空下で48時間乾燥させた。得られたポリマーアームは、半分の長さのアーム上にヒドロキシ官能基を有し、他の半分の長さのアームは、末端をキャップしたCl原子により官能基化されていない。
【0142】
c)ATRP法によるヒドロキシ官能基化コポリマーアームからのEGDMAを用いたミクロゲル形成
塩素原子で末端キャップした純粋な半分の長さのヒドロキシ官能基化ポリマーアームを、o−キシレン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.099g(0.5mmol)のEGDMAを、0.018g(0.063mmol)のCuClおよび0.06g(0.190mmol)のbpyの存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。アームに結合した半分の長さのヒドロキシ官能基を用いて形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。
【0143】
実施例14
a)連鎖移動法によるマクロモノマーの調製
マクロモノマーは、実施例9aに記載の通りに調製した。
【0144】
b)ATRP法による、マクロモノマーの、Cl原子で末端キャップしたアームへの転換
塩素でキャップしたPMMアームを、実施例10bに記載した方法を使用してマクロモノマーから転換した。
【0145】
c)ATRP法によるDVB/スチレンを用いたミクロゲル形成
塩素原子で末端キャップした純粋なPMMAアーム(0.063mmol)を、o−キシレン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.5mmolのDVB/スチレン(モル比3:7)を、0.018g(0.063mmol)のCuClおよび0.06g(0.190mmol)のbpyの存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。
【0146】
実施例15
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
ヒドロキシ官能基マクロモノマーは、実施例11aに記載の通りに調製した。
【0147】
b)ATRP法による、ヒドロキシ官能基化マクロモノマーの、Cl原子で末端キャップしたアームへの転換
塩素でキャップしたヒドロキシ官能基化PMMアームを、実施例12bに記載の方法を使用してマクロモノマーから転換した。
【0148】
c)ATRP法によるDVB/スチレンを用いたミクロゲル形成
塩素原子で末端キャップした純粋なヒドロキシ官能基化PMMAアーム(0.063mmol)を、o−キシレン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.5mmolのDVB/スチレン混合物(モル比3:7)を、0.018g(0.063mmol)のCuClおよび0.06g(0.190mmol)のbpyの存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。これらのミクロゲルは、親水性アームおよび疎水性核を有する。
【0149】
実施例16
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
ヒドロキシ官能基化マクロモノマーを、実施例11aに記載の通りに調製した。
【0150】
b)ATRP法による、MMAとヒドロキシ官能基化マクロモノマーの共重合での、塩素でキャップしたアームの形成
塩素でキャップしたヒドロキシ官能基化PMMアームをMMAと共重合して、実施例13bに記載の方法を使用して塩素原子でキャップしたアームを形成した。
【0151】
c)ATRP法によるDVB/スチレンを用いたミクロゲル形成
塩素原子で末端キャップしたMMAと共重合した純粋なヒドロキシ官能基化PMMAアーム(0.063mmol)をo−キシレン(5ml)に溶かした。この溶液に、0.5mmolのDVB/スチレン(3:7比)を、0.018g(0.063mmol)のCuClおよび0.06g(0.190mmol)のbpyの存在下で加えた。得られた混合物を封管し、3回脱気し、130℃で24時間撹拌した。形成したミクロゲルをTHFで希釈し、白色固体として3回メタノールから沈殿させた。かくして形成したミクロゲルは、親水性アームおよび疎水性核を有する。
【0152】
実施例17
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
ヒドロキシ官能基化マクロモノマーを、実施例11aに記載の通りに調製した。
【0153】
b)付加反応によるヒドロキシ官能基化アームの形成
11aから得られた溶液をTHFで希釈し、ろ過し、カラムでアルミナ(ブロックマン1、中性)を通過させて金属錯体を除去した。次いで、マクロモノマーを白色固体としてメタノールから沈殿させた。次いで、固体をヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド(0.508g)およびHCl(37%、12.3ml)と共に丸底フラスコに加えた。混合物を撹拌し、115℃で90分間還流した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。溶媒を除去し、合わせた有機物質をTHFに溶かし、メタノール溶液からの沈殿により精製した。
【0154】
c)ATRP法によるEGDMAを用いたミクロゲル形成
上記の段階から得られた臭素原子で末端キャップした上記から得られたヒドロキシ官能基化アーム(0.3g)を、シュレンクフラスコのo−キシレン(5ml)に溶かした。次いで、FeBr2(9.8mg)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA、0.119g)およびN(nBu)3(32.6μl)を加えた。混合物を10分間室温で撹拌した。次いで、フラスコを封管し、混合物を、80℃の油浴に入れる前に、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気した。14時間の重合の後、溶液をTHFで希釈し、ろ過し、カラムでアルミナ(ブロックマン1、中性)を通過させて金属錯体を除去した。次いで、形成したミクロゲルを石油エーテル(40℃−60℃)から白色固体として沈殿させ、真空下で24時間乾燥させた。
【0155】
実施例18
a)連鎖移動法によるヒドロキシ官能基化マクロモノマーの調製
ヒドロキシ官能基化マクロモノマーを、実施例11aに記載のように合成した。
【0156】
B)TEMPOで末端キャップしたヒドロキシ官能基化アームの調製
11aから得られた溶液をTHFで希釈し、ろ過し、カラムでアルミナ(ブロックマン1、中性)を通過させて金属錯体を除去した。次いで、マクロモノマーを白色固体としてメタノールから沈殿させた。固体を、tert−ブチルペルオキシド(TBP)(4.96mmol)およびテトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル(TEMPO)(0.382g、2.45mmol)と共にベンゼンに加えた。混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気し、真空下で封管した。混合物を80℃で16時間加熱すると、ニトロオキシドでキャップしたヒドロキシ官能基化マクロモノマーが得られた。
【0157】
C)TEMPO法によるDVB/TBSを用いたミクロゲル形成
TBS(1.14g、7.1mmol)およびDVB(0.38g、2.9mmol)のベンゼン(7.6ml)溶液に、末端がニトロオキシドでキャップされた実施例18bから得られたヒドロキシ官能基アーム1.6重量%を加えた。得られた混合物を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱気し、真空下で封管し、130℃で72時間加熱した。混合物をメタノールから沈殿させると、白色固体としてミクロゲルが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核に付着した多数のポリマーアームにおいて架橋ポリマーの該核を有するミクロゲル組成物粒子の製造方法であって、該プロセスは、リビングプレポリマー成分をモノマー成分と反応させることを含み、該モノマー成分は多オレフィンモノマーを含むミクロゲル組成物粒子の製造方法。
【請求項2】
上記リビングプレポリマーが、モノオレフィンモノマーと開始剤との反応により、所望により触媒の存在下で製造される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記リビングプレポリマーが、活性化条件下で該プレポリマーから可逆的に開裂し、反応性プレポリマーラジカルを与えるラジカル停止基を含み、該ラジカル停止基が、ルイス酸、メルカプタン、ジスルフィド、チオカルボニルチオ、チオカルバメートおよびジチオカルバメート、ジチオエステル、遷移金属カルボニル、安定化炭素ラジカル、過酸化物およびアゾ開始剤からなる一群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記リビングプレポリマーが、原子移動ラジカル重合又はイニファータから製造される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記リビングプレポリマーが、
(i)ルイス酸触媒の存在下で式R(A)n−Xの化合物(式中、Rは、有機残基、好ましくは炭化水素、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルであり、Xはハロゲンである。)、
(ii)式
【化1】

または
【化2】

(式中、R6は、水素または開始剤フラグメント残基、例えば、ヒドロカルビルオキシドであり、R1およびR2は、独立してヒドロカルビルから選ばれる。)
で表されるチオカルバメートまたはジチオカルバメート、
(iii)式
【化3】

または
【化4】

(式中、R7は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換された(飽和、不飽和または芳香族)炭素環/ヘテロ環、所望により置換されたアルキルチオ、またはR・が重合条件下でフリーラジカル脱離基であり、フリーラジカル重合を開始できるような他の基であり、R7は、また、任意の重合機構により製造されたポリマー鎖または有機金属種でもよく、
Zは、水素、塩素、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたアルキルチオ、所望により置換されたアルコキシカルボニル、所望により置換されたアリールオキシカルボニル(−COOR'')、カルボキシ(−COOH)、所望により置換されたアシルオキシ(−O2CR'')、所望により置換されたカルバモイル(C−CONR''2)、シアノ(−CN)、ジアルキル−またはジアリール−ホスホナト[−P(=O)OR''2]、および任意の機構により形成されたポリマー鎖からなる一群から選ばれ、ここでR''は、所望により置換された炭素数1〜18のアルキル、炭素数2〜18のアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルクアリールからなる一群から選ばれ、ここでの置換基は、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ(および塩)スルホン酸(および塩)、アルコキシ−またはアリールオキシ−カルボニル、イソシアナート、シアノ、シリル、ハロおよびジアルキルアミノからなる一群から選ばれ、
Z'は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアリールおよびポリマー鎖からなる一群のメンバーから誘導されるm価部分であり、ここで該接続部分は、脂肪族炭素、芳香族炭素、および硫黄からなる一群から選ばれ、 R''は、所望により置換されたアルキル、所望により置換された飽和、不飽和または芳香族炭素環またはヘテロ環、所望により置換されたアルキルチオ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたジアルキルアミノ、有機金属種、および任意の重合機構により製造されたポリマー鎖からなる一群から選ばれ、
mおよびpは整数であり、好ましくは少なくとも2である。)
で示されるチオエステル、
(iv)式(V)
【化5】

(式中、R3、R4およびR5は、独立して、3級アルキルおよびアリールから選ばれ、R6は、3級アルキル、アリールおよび−C(R8910)基から好ましくは選ばれる開始剤フラグメント残基であり、R5、R8、R9およびR10は、独立して、3級アルキル、アリール、ニトレートアルコキシ、アリールオキシおよびトリメチルシロキシから選ばれる。)
で表される安定化炭素ラジカル付加物、
(v)式VIII
【化6】

(式中、Rは、ヒドロカルビル、好ましくはアルキルである。)
で表されるアゾ添加物、
(vi)式IX
【化7】

(式中、RおよびR1は、ヒドロカルビル、好ましくはアルキルである。)
で示される過酸化物添加物、および
(vi)式XIまたはXII
【化8】

(式中、AおよびBは、同一であっても異なっていてもよいモノマーであり、n、mおよびpは整数である。)
で表される硫黄捕獲付加物、
とからなる一群から選ばれ、式I、II、IIIa、IIIb、V、VIII、IX、XIおよびXIIにおいて、Aはモノマー単位であり、nは2以上であり、A基は独立的に選択され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Aは、独立して、式
【化9】

のモノマー単位、および無水マレイン酸、N−アルキルマレイミド、N−アリールマレイミド、ジアルキルフマレートおよび環化重合可能なモノマーからなる一群の繰り返し単位から選ばれ、
Uは、水素、ハロゲン、所望により置換された炭素数1〜4のアルキルからなる一群から選ばれ、該置換基は、独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ(OR'')、カルボキシ、アシルオキシ、アロイルオキシ(O2CR'')、アルコキシ−カルボニルおよびアリールオキシ−カルボニル(CO2R'')からなる一群から選ばれ、
Vは、水素、R''、CO2H、CO2R''、COR''、CN、CONH2、CONHR''、CONR''2、O2CR''、OR''およびハロゲンからなる一群から選ばれ、R''は上記で定義した通りである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記リビングプレポリマーが、式XIII
【化10】

(式中、Pは、ポリマー鎖であり、Xは、−CONR2、−COOR、OR1、−OCOR、−OCOOR1、−NRCOOR1、ハロ、シアノ、または置換もしくは非置換フェニルまたはアリールであり、ここでRは、独立して、水素、シリル、または置換もしくは非置換アルキル、アルキルエーテル、フェニル、ベンジル、またはアリールからなる一群か
ら選ばれ、ここで該基は、エポキシ、ヒドロキシ、イソシアナート、シアノ、アミノ、シリル、酸(−COOH)、ハロ、またはアシルで置換され得、ここでR1は、H以外はRと同じである。)
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記繰り返しモノマー単位(A)nの整数nが、少なくとも5である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
上記リビングプレポリマーが、1000〜25,000の分子量を有するラジカルを与える請求項5に記載の方法。
【請求項10】
上記架橋剤が、全ての重合可能な成分に基づき5〜60モル%の量で存在する請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
上記架橋モノマーが、ジビニルベンゼン、ジビニルベンゼンの誘導体および式XIV
【化11】

(式中、R7およびR8は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキルおよび炭素数1〜6のヒドロキシアルキルからなる一群から選ばれ、Y1およびY2は、独立して、NR9およびOから選ばれ、ここでR9は、独立して、水素およびアルキルから選ばれ、および
Xは、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、エポキシ、シラン、アクリレート、アルキレン、アクリレート、メタクリレートおよびアルキレンメタクリレートからなる一群から選ばれる一以上の置換基で所望により置換された架橋基である。)
の化合物からなる一群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記架橋モノマーが、式XIVで示され、R7、R8およびY1、Y2の置換基対の少なくとも一方における、対の置換基の一つが、該対の他の置換基とは異なる請求項5に記載の方法。
【請求項13】
上記リビングプレポリマーが、重合可能な組成物の全モル数に対して、5〜80モル%(好ましくは10〜80%)の範囲で存在する請求項5に記載の方法。
【請求項14】
上記リビングプレポリマーが、全重合可能な成分の50〜95%の範囲で存在し、上記モノマー組成物が、所望により、モノ不飽和モノマーおよび共役ジエンモノマーから選ばれるさらなるモノマーを45%まで含む請求項5に記載の方法。
【請求項15】
nが3以上であり、上記モノマー単位(A)が、アルケン、アクリレート、メタクリレート、スチレンまたはスチレンモノマー、アクリロニトリルまたは置換アクリルニトリル、および共役ジエンからなる一群から選ばれる一以上のモノマーから導かれ、ここでモノマーは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、メルカプト、置換アミノ、シランおよびエポキシから選ばれる一以上の官能基で置換されていてもよい、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
上記オリゴマー(A)nが、ブロックまたは統計的コポリマーであり、上記モノマー単位の少なくとも一つが、極性官能基を有する請求項5に記載の方法。
【請求項17】
上記ミクロゲルが、少なくとも104の分子量を有する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
上記ミクロゲルが、有機溶媒に可溶である請求項17に記載の方法。

【公開番号】特開2013−14768(P2013−14768A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−179858(P2012−179858)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2000−548390(P2000−548390)の分割
【原出願日】平成11年5月7日(1999.5.7)
【出願人】(590003283)コモンウェルス サイエンティフィック アンドインダストリアル リサーチ オーガナイゼーション (11)
【Fターム(参考)】