説明

ミスト機能付き浴室空調装置

【課題】換気ファンが常時換気運転されていても、加湿暖房運転終了後に入浴者が脱衣室に出てきたときの冷風感を抑えるとともに、一定の換気風量を確保する。
【解決手段】加湿暖房ユニットと、浴室及び脱衣室から浴室用連通路及び脱衣室用連通路を介して空気を吸引し、外部に排気するために常時換気運転される共通換気ファンを有する換気ユニットと、制御手段とを備えたミスト機能付き浴室空調装置であって、浴室用連通路及び脱衣室用連通路にはそれぞれ第1の開閉手段及び第2の開閉手段が設けられており、制御手段は、加湿暖房運転が開始すると、第1の開閉手段により浴室用連通路の開度を減少させ、加湿暖房運転が終了すると、第1の開閉手段により浴室用連通路の開度を増加させるとともに、第2の開閉手段により脱衣室用連通路の開度を減少させるように第1の開閉手段及び第2の開閉手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト機能付き浴室空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内に温風のみを送風するドライ暖房機能とともに、ミストサウナ入浴を楽しめるようにするため、浴室内にミストを噴霧するミスト機能を備えたミスト機能付き浴室空調装置が知られている。この種のミスト機能付き浴室空調装置は、浴室内の空気を循環させるための循環ファン、空気を加熱するための浴室用熱交換器、及び湯水を浴室内にミスト状に噴霧させるミスト噴霧部を有する加湿暖房ユニットと、浴室使用後に浴室内を換気するための換気ユニットとを備えている。
【0003】
また、浴室に隣接する脱衣室も、浴室からの湿気による結露、カビ等の発生を防止するために換気を行う必要があるが、浴室用の換気ユニットと別に脱衣室用の換気ユニットを設けることは空調装置の構成が複雑になるとともに、施工の手間も多くかかり、全体設備のコストも高くなる。このため、浴室の換気ユニットと浴室とを浴室用連通路により連通させるとともに、該換気ユニットと脱衣室の吸い込み口とを脱衣室用連通路により連通させて、1台の共通換気ファンにより浴室及び脱衣室の複数室の換気を行うことができるミスト機能付き浴室空調装置が提案されている(例えば、特許文献1の図6)。
【特許文献1】特開2005−204713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなミスト機能付き浴室空調装置においては、浴室内にミストを噴霧する加湿暖房運転中に浴室の換気を行ってしまうと、噴霧されたミストが外部に排出されてしまい加湿暖房の効率が低下することから、一般に、加湿暖房運転中には浴室用連通路を浴室と換気ユニットとを連通する浴室用連通路に設けた開閉手段で閉鎖し、ミストが外部に排出されないようにしている。
【0005】
一方、最近の空調装置では、換気ファンを常時換気運転させて住居内を24時間換気することが主流となりつつあり、良好な室内環境を維持するためには、単に換気を行うだけでなく、その換気風量をある程度確保することが求められている。従って、加湿暖房運転中に浴室用連通路だけでなく、脱衣室用連通路も開閉手段により閉鎖されると、総換気風量が低下するため、同時に両室の換気を停止することは好ましくない。このため、加湿暖房運転中でも通常脱衣室と換気ユニットとを連通する脱衣室用連通路を開放し、脱衣室の換気を行なうようにしている。
【0006】
しかしながら、常時換気運転により脱衣室の換気が行なわれると、換気によって冷風が脱衣室に吸気されて脱衣室の温度が低下するため、冬期において加湿暖房運転の終了後に入浴者が脱衣室に出てきたとき、入浴者は浴室と脱衣室との温度差から寒さを感じやすいという問題がある。また、脱衣室の換気が行なわれていると、加湿暖房運転を終了し、入浴者が脱衣室に出てきたとき、浴室内のミストが脱衣室に流れやすい。常時換気運転では換気風量が一定に保たれているため、脱衣室に流れ出たミストを一気に排出することが難しく、そのため脱衣室が湿りやすくなるという問題がある。この場合、加湿暖房運転終了後に手動操作により換気ファンの回転数を増加することも考えられるが、さらに脱衣室に冷風が吸気されて温度が低下するため、冷風感を強めることとなる。また、手動操作による換気運転の切り換え操作は煩雑であり、しかも、手動操作による換気ファンの運転を忘れた場合には、脱衣室の結露、カビの発生等の不利を回避できないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、浴室と脱衣室とを換気する共通換気ファンを有する換気ユニットを備えたミスト機能付き浴室空調装置において、共通換気ファンが常時換気運転されていても、加湿暖房運転終了後に入浴者が脱衣室に出てきたときの冷風感を低減できるだけでなく、浴室及び脱衣室の換気を十分に行うことができ、さらに一定の換気風量を確保することができるミスト機能付き浴室空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、浴室内の空気を循環させるための循環ファン、前記空気を加熱するための浴室用熱交換器、及び湯水を浴室内にミスト状に噴霧させるミスト噴霧部を有する加湿暖房ユニットと、
浴室及び脱衣室とそれぞれ浴室用連通路及び脱衣室用連通路によって連通されているケーシング内に、前記浴室及び脱衣室から前記浴室用連通路及び脱衣室用連通路を介して空気を吸引し、外部に排気するための共通換気ファンを有する換気ユニットと、
前記加湿暖房ユニット及び換気ユニットの動作制御を行う制御手段とを備えたミスト機能付き浴室空調装置であって、
前記共通換気ファンは、常時換気運転されており、
前記浴室用連通路には、前記浴室用連通路の開度を調整する第1の開閉手段が、前記脱衣室用連通路には、前記脱衣室用連通路の開度を調整する第2の開閉手段が設けられており、
前記制御手段は、湯水を浴室内にミスト状に噴霧させる加湿暖房運転が開始すると、前記第1の開閉手段により前記浴室用連通路の開度を減少させ、前記加湿暖房運転が終了すると、前記第1の開閉手段により前記浴室用連通路の開度を増加させるとともに、前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を減少させるように前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を制御する、ミスト機能付き浴室空調装置である。
上記ミスト機能付き浴室空調装置によれば、加湿暖房運転が開始すると、浴室用連通路の開度が第1の開閉手段により減少される。これにより、浴室内のミストが外部に排出されることが防止される。また、加湿暖房運転が終了すると、第1の開閉手段により浴室用連通路の開度が増加されるとともに、第2の開閉手段により脱衣室用連通路の開度が減少される。これにより、浴室の換気風量が増加され、脱衣室の換気風量が低減されるため、共通換気ファンが常時換気運転されていても、浴室内のミストが脱衣室に流れ出にくくなり、脱衣室内の湿気の増加を抑制できるとともに、換気による脱衣室への冷風の吸気が抑えられ、入浴者の冷風感を低減することができる。そして、上記浴室及び脱衣室の換気風量の増減は、加湿暖房運転が終了すると制御手段によって自動的に行われるので、手動操作による煩わしい換気操作が不要となるとともに、換気運転の忘れによる脱衣室の湿気の増加を防止することができる。さらに、共通換気ファンが常時換気運転されているため、加湿暖房運転中には脱衣室から、加湿暖房運転終了後には浴室からの換気を確保できる。これにより、換気ファンの回転数を大きくすることなく、一定の換気風量を確保することができる。
【0009】
前記制御手段は、前記加湿暖房運転終了から所定時間経過した後に前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を増加させるように前記第2の開閉手段を制御してもよい。上記ミスト機能付き浴室空調装置によれば、加湿暖房運転終了後に入浴者が脱衣室にいる間の脱衣室の換気が停止され、入浴者が脱衣室を出た後に、脱衣室の換気が行われるため、入浴者が脱衣室を使用するときの冷風感を低減できるとともに、使用後には脱衣室の換気を十分に行うことができる。
【0010】
また、前記脱衣室は、人感知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記人感知手段が前記脱衣室内に人を感知しない場合、前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を増加させ、前記人感知手段が前記脱衣室内に人を感知する場合、前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を減少させるように前記第2の開閉手段を制御するようにしてもよい。上記ミスト機能付き浴室空調装置によれば、人感知手段の感知の有無により入浴者が脱衣室を使用しているときの換気を抑えることができるため、例えば、複数人がミスト入浴を行い、加湿暖房運転の中途でその一部の人が脱衣室に出てきた場合、加湿暖房運転を終了することなく脱衣室への冷風の吸気を低減することができる。また、脱衣室の換気の制御をタイマ設定によることなく行うことができるとともに、加湿暖房運転前に入浴者が脱衣室に入ったときの冷風感も低減することができる。
【0011】
さらに、前記共通換気ファンは、前記常時換気運転中、前記加湿暖房運転中、及び前記加湿暖房運転終了後のいずれでも、同回転数で運転されてもよい。上記ミスト機能付き浴室空調装置によれば、第1の開閉手段及び第2の開閉手段を制御することにより一定の換気風量が確保されるから、いずれの運転時においても共通換気ファンの回転数を増減させる必要がない。このため、簡便な制御で換気を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浴室と脱衣室とを換気する共通換気ファンを有する換気ユニットを備えたミスト機能付き浴室空調装置において、24時間換気のため共通換気ファンが常時換気運転されていても、加湿暖房運転終了後に入浴者が脱衣室に出てきたときの冷風感を低減できるだけでなく、浴室及び脱衣室の換気を十分に行うことができ、さらに一定の換気風量を確保することができるミスト機能付き浴室空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1において、BR、DR及びTRはそれぞれ浴室、脱衣室及びトイレであり、浴室BRの天井にミスト機能付き浴室空調装置1が設置されている。この装置1は、加湿暖房ユニット2と換気ユニット3とを備えており、加湿暖房ユニット2による浴室BRの加湿暖房と、換気ユニット3による浴室BR、脱衣室DR及びトイレTRの換気とを行い得るようにしている。なお、トイレTRは他の空調装置により独立して換気を行うことも可能であるが、トイレTRの換気も換気ユニット3で行うことにより、浴室BRまたは脱衣室DRの換気を停止したときの換気風量の減少を1台の装置1のみの制御で補償することができる。
【0014】
加湿暖房ユニット2は、図2に示すように、浴室BRに連通する図示省略した吸い込み口と吹き出し口とを有するケーシング4内に、循環ファン5と、熱源機6からの温水が循環される浴室用熱交換器7とを収納して構成されている。また、この加湿暖房ユニット2には、ケーシング4の下方に隣接して、温水をミスト状に噴霧するノズルNが配設されている。そして、加湿暖房ユニット2は、循環ファン5の作動により浴室BR内の空気を循環させつつ空気を浴室用熱交換器7により加熱して、浴室BRの暖房を行うとともに、ノズルNから温水をミスト状に噴霧させることにより、加湿暖房運転が行われるように構成されている。なお、ミスト用の湯水は、液−液熱交換器である図示省略したミスト用熱交換器と配管接続されたノズルNから直接浴室BR内に噴霧されてもよいし、ミスト用熱交換器と配管接続されたノズルNを浴室用熱交換器7の上部に配設し、ノズルNから温水を浴室用熱交換器7に放散してミストを発生させ、これを循環ファンにより形成される搬送空気で搬送することにより、浴室BR内にミストを噴霧してもよい。ケーシング4の吹き出し口には、ステッピングモータ8aで駆動される可変ルーバ8が設けられており、加湿暖房ユニット2からの送風方向を可変ルーバ8によって変更できるようにしている。また、熱源機6と浴室用熱交換器7との間の温水循環路9には、浴室用熱交換器7への温水の供給を断続する熱動弁10が介設されている。そして、循環ファン5のモータ5a、ステッピングモータ8a及び熱動弁10はマイクロコンピュータを備えた制御手段であるコントローラ11で制御される。
【0015】
換気ユニット3は、加湿暖房ユニット2のケーシング4に隣接するケーシング12と、このケーシング12内に収納した、モータ13a(コントローラ11により制御される)で駆動される共通換気ファン13とを備えている。ケーシング12には、加湿暖房ユニット2のケーシング4を介して浴室BRに連通する浴室用吸気口14と、脱衣室DRとトイレTRとに各連通する脱衣室用とトイレ用の吸気口15,16と、ダクト17aとを介して外部に連通する排気口17とが形成されている。そして、共通換気ファン13の作動で浴室用、脱衣室用、及びトイレ用の各吸気口14,15,16から空気が吸引され、排気口17を介して外部に排気される。脱衣室用とトイレ用の各吸気口15,16には、脱衣室DRとトイレTRとに各連通するダクト18,19がケーシング12の外面に取り付けた各管継手20,21を介して接続されている。上記構成により、ケーシング4の吸い込み口と浴室用吸気口14とで浴室BRと換気ユニット3とを連通する浴室用連通路Pb、脱衣室DRの吸い込み口とダクト18と管継手20と脱衣室用吸気口15とで脱衣室DRと換気ユニット3とを連通する脱衣室用連通路Pd、及びトイレTRの吸い込み口とダクト19と管継手21とトイレ用吸気口16とでトイレTRと換気ユニット3とを連通するトイレ用連通路Ptが形成される。
【0016】
本実施の形態において、浴室BRと換気ユニット3とを連通する浴室用連通路Pbには、その下流端の浴室用吸気口14に第1の開閉手段である浴室用可変ダンパ22が設けられており、この浴室用可変ダンパ22により浴室用連通路Pbは開閉及び開度調整自在になっている。また、脱衣室用とトイレ用の連通路Pd及びPtにも、その下流端の各吸気口15,16に第2及び第3の開閉手段である脱衣室用とトイレ用の可変ダンパ23,24とがそれぞれ設けられており、これら可変ダンパ23,24により各連通路Pd,Ptは開閉及び開度調整自在になっている。そして、これら各可変ダンパ22,23,24は、コントローラ11により制御される各ステッピングモータ22a,23a,24aで駆動されるようになっている。これにより、浴室用、脱衣室用、及びトイレ用の各可変ダンパ22,23,24の開度、すなわち、浴室用、脱衣室用、及びトイレ用の各連通路Pb,Pd,Ptの開度はコントローラ11からの指令信号に応じて調整される。
【0017】
コントローラ11には、浴室BRに設置されたリモコン25及び脱衣室DRに設置されたリモコン26からの信号やトイレスイッチ27からの信号が入力される。リモコン25,26には、常時換気スイッチ、加湿暖房スイッチ、乾燥スイッチ、浴室換気スイッチ、脱衣室換気スイッチ等の各種スイッチが設けられており、これらスイッチの操作に応じコントローラ11が加湿暖房ユニット2と換気ユニット3との運転を制御する。例えば、常時換気スイッチをオンすると、浴室用、脱衣室用、及びトイレ用の各可変ダンパ22,23,24を所定開度に開いた状態で共通換気ファン13を所定回転数で継続作動させる常時換気運転が行われる。加湿暖房スイッチをオンすると、熱源機6を作動させ、熱動弁10を開弁して浴室用熱交換器7に温水が供給されるとともに循環ファン5が作動される。そして、浴室用熱交換器7内を循環する温水が所定温度まで加熱されると、ノズルNから温水がミスト状に噴霧されて、加湿暖房運転が行われる。浴室換気スイッチや脱衣室換気スイッチをオンすると、浴室用可変ダンパ22や脱衣室用可変ダンパ23が所定開度で開かれるとともに共通換気ファン13が作動され、浴室BRや脱衣室DRの換気が行われる。トイレスイッチ27をオンすると、トイレTRの照明が点灯し、同時にトイレ用可変ダンパ24が所定開度で開かれるとともに共通換気ファン13が作動され、トイレTRの換気が行われる。
【0018】
次に、常時換気運転中に加湿暖房スイッチがオンされたときの換気ユニット3における制御について説明する。なお、常時換気運転中には、コントローラ11からの制御信号により共通換気ファン13を作動させるとともに、一定の換気風量を確保するように各可変ダンパ22,23,24の開度を調整して、各連通路Pb,Pd,Ptを介して各室の換気が行われる。
【0019】
常時換気運転中に加湿暖房スイッチがオンされ、加湿暖房運転が開始されると、図3のフロー図に示すように、ステッピングモータ22aを作動させて浴室用可変ダンパ22により浴室用連通路Pbを閉鎖する(S1)。そして、換気ユニット3による換気風量が設定値以上になっているか否かを判別し(S2)、換気風量が設定値未満であれば、ステッピングモータ23a,24aを作動させて脱衣室用可変ダンパ23とトイレ用可変ダンパ24とにより脱衣室用連通路Pd及びトイレ用連通路Ptの開度を増加する(S3)。従って、浴室用可変ダンパ22で浴室用連通路Pbが閉鎖されることによる換気風量の減少が脱衣室用可変ダンパ23とトイレ用可変ダンパ24とによる脱衣室用連通路Pd及びトイレ用連通路Ptの開度増加で補償され、共通換気ファン13の回転数を増加しなくても換気風量を設定値以上に維持することができる。なお、換気ユニット3による換気風量は、共通換気ファン13の回転数とモータ13aの電流とをパラメータとしてマップ検索で求めてもよいし、風量センサを排気口17に設けて、換気風量を直接検出してもよい。
【0020】
そして、各連通路Pb,Pd,Ptの開度が調整されると、熱源機6の運転を開始させ、熱動弁10を開弁させて浴室用熱交換器7へ温水を供給し、温水が所定温度にまで加熱されると、循環ファン5を作動させるとともに、ノズルNから湯水をミスト状に噴霧させる(S4)。このとき、上記のように浴室用可変ダンパ22により浴室用連通路Pbは閉鎖されているため、ミストが外部に排出されることが防止される。
【0021】
次に、浴室BR内のリモコン25の加湿暖房スイッチがオフされ(S5)、加湿暖房運転が終了すると、熱源機6の運転を停止させ、熱動弁10を閉弁させて浴室用熱交換器7への温水の供給を停止させるとともに、循環ファン5を停止させ、ノズルNからのミストの噴霧を停止させる(S6)。また、浴室BR内のミストが脱衣室DRに流れ出ないようにするとともに、早期に浴室BR内のミストを排出するため、ステッピングモータ22aを作動させて浴室用可変ダンパ22により浴室用連通路Pbを開放するとともに、ステッピングモータ23aを作動させて脱衣室用可変ダンパ23により脱衣室用連通路Pdを閉鎖する(S7)。そして、換気ユニット3による換気風量が設定値以上になっているか否かを判別し(S8)、換気風量が設定値未満であれば、ステッピングモータ24aを作動させてトイレ用可変ダンパ24によりトイレ用連通路Ptの開度を増加する(S9)。従って、脱衣室用可変ダンパ23で脱衣室用連通路Pdが閉鎖されることにより、脱衣室DRの換気が停止されるため、脱衣室DRへの冷風の吸気が減少し、入浴者が脱衣室DRに出てきたときの冷風感を低減できるとともに、浴室からのミストの流出を防止することができる。そして、脱衣室用可変ダンパ23の閉鎖による換気風量の減少が浴室用可変ダンパ22とトイレ用可変ダンパ24の開度増加で補償されるため、共通換気ファン13の回転数を増加しなくても換気風量を設定値以上に維持することができる。
【0022】
各可変ダンパ22,23,24の開度が調整されると、コントローラ11内のタイマをスタートさせるとともに、脱衣室内のリモコン26のタイマ表示部を点灯し、所定時間脱衣室の換気が停止されることが表示される(S10)。この脱衣室DRの換気停止時間は、加湿暖房運転終了後に入浴者が通常脱衣室DRを使用するのに十分な時間とすることができる。このとき、入浴者によって、タイマ設定スイッチにより、脱衣室DRの換気停止時間を任意に変更できるようにしてもよい。
【0023】
所定時間が経過すると(S11)、タイマ表示を消灯し(S12)、ステッピングモータ23aを作動させて脱衣室用可変ダンパ23で脱衣室用連通路Pdの開度を増加することにより、脱衣室DRの換気が行われる(S13)。このとき、換気ユニット3は常時換気運転されるため、各可変ダンパ22,23,24の開度は常時換気運転での開度に戻される(S14)。
【0024】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、加湿暖房運転終了から所定時間が経過するまで脱衣室DR内の換気が停止されるが、脱衣室DR内に人感知センサ等の人感知手段を設け、該人感知手段が脱衣室DR内に人を感知しない場合、第2の開閉手段である脱衣室用可変ダンパ23により脱衣室用連通路Pdの開度を増加させ、人感知手段が脱衣室DR内に人を感知する場合、脱衣室用可変ダンパ23により脱衣室用連通路Pdの開度を減少させるように脱衣室用可変ダンパ23を制御してもよい。これによれば、人感知手段の感知の有無により入浴者が脱衣室DRを使用しているときの換気を抑えることができるため、複数人がミスト入浴を行い、加湿暖房運転の中途でその一部の人が脱衣室DRに出てきた場合、加湿暖房運転を終了することなく脱衣室DRへの冷風の吸気を低減することができる。また、タイマ設定を行うことなく、脱衣室DRの換気運転を制御することができるとともに、加湿暖房運転前に入浴者が脱衣室DRに入ったときの冷風感も低減することができる。さらに、脱衣室DRの換気運転の停止をタイマ及び人感知手段の両方で制御してもよい。
(2)上記実施の形態では、浴室用可変ダンパ22は換気ユニット3の浴室用吸気口14に、脱衣室用可変ダンパ23は脱衣室用吸気口15に、トイレ用可変ダンパ24はトイレ用吸気口16にそれぞれ設けられているが、必ずしも上記構成に限定されず、開閉手段は浴室用連通路Pb、脱衣室用連通路Pd、トイレ用連通路Ptの各連通路内に設けられていればよい。例えば、脱衣室用可変ダンパ23を管継手20内に設けてもよく、あるいは脱衣室DRの吸い込み口に隣接した位置に設けてもよい。
(3)上記実施の形態では、開閉手段として開度調整自在な可変ダンパが用いられているが、可変ダンパの代わりに各連通路の開閉のみを行うシャッタ機構を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係るミスト機能付き浴室空調装置の設置状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る加湿暖房ユニットと換気ユニットの内部構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るミスト機能付き浴室空調装置の制御動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ミスト機能付き浴室空調装置
2 加湿暖房ユニット
3 換気ユニット
5 循環ファン
6 熱源機
7 浴室用熱交換器
11 コントローラ
13 共通換気ファン
22 浴室用可変ダンパ
23 脱衣室用可変ダンパ
24 トイレ用可変ダンパ
BR 浴室
DR 脱衣室
N ノズル
Pb 浴室用連通路
Pd 脱衣室用連通路
Pt トイレ用連通路
TR トイレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を循環させるための循環ファン、前記空気を加熱するための浴室用熱交換器、及び湯水を浴室内にミスト状に噴霧させるミスト噴霧部を有する加湿暖房ユニットと、
浴室及び脱衣室とそれぞれ浴室用連通路及び脱衣室用連通路によって連通されているケーシング内に、前記浴室及び脱衣室から前記浴室用連通路及び脱衣室用連通路を介して空気を吸引し、外部に排気するための共通換気ファンを有する換気ユニットと、
前記加湿暖房ユニット及び換気ユニットの動作制御を行う制御手段とを備えたミスト機能付き浴室空調装置であって、
前記共通換気ファンは、常時換気運転されており、
前記浴室用連通路には、前記浴室用連通路の開度を調整する第1の開閉手段が、前記脱衣室用連通路には、前記脱衣室用連通路の開度を調整する第2の開閉手段が設けられており、
前記制御手段は、湯水を浴室内にミスト状に噴霧させる加湿暖房運転が開始すると、前記第1の開閉手段により前記浴室用連通路の開度を減少させ、前記加湿暖房運転が終了すると、前記第1の開閉手段により前記浴室用連通路の開度を増加させるとともに、前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を減少させるように前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を制御する、ミスト機能付き浴室空調装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加湿暖房運転終了から所定時間経過した後に前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を増加させるように前記第2の開閉手段を制御する、請求項1に記載のミスト機能付き浴室空調装置。
【請求項3】
前記脱衣室は、人感知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記人感知手段が前記脱衣室内に人を感知しない場合、前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を増加させ、前記人感知手段が前記脱衣室内に人を感知する場合、前記第2の開閉手段により前記脱衣室用連通路の開度を減少させるように前記第2の開閉手段を制御する、請求項1または2に記載のミスト機能付き浴室空調装置。
【請求項4】
前記共通換気ファンは、前記常時換気運転中、前記加湿暖房運転中、及び前記加湿暖房運転終了後のいずれでも、同回転数で運転される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のミスト機能付き浴室空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−52777(P2009−52777A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218150(P2007−218150)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】