ミスト発生装置
【課題】使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止することができるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを備える。 液体送給手段が、ポンプモーター26と、同モーター26で駆動される送液ポンプ23を含んでいる。使用開始時に、モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動する。使用終了時に、ポンプモーター26を停止してから所定時間が経過したのち、モーター3を停止する。
【解決手段】モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを備える。 液体送給手段が、ポンプモーター26と、同モーター26で駆動される送液ポンプ23を含んでいる。使用開始時に、モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動する。使用終了時に、ポンプモーター26を停止してから所定時間が経過したのち、モーター3を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水または化粧水などの液体を微細なミストにして送出するミスト発生装置に関する。ミスト発生装置は、肌を潤いのある状態にする加湿器として、あるいは喉や口腔を湿らせる吸入器として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るミスト発生装置は、回転基板上に送給された液体を遠心力で跳ね飛ばすことで液体を微細化するが、この種のミスト発生装置は例えば特許文献1に公知である。そこでは、対向する一対の円盤の間に、中心から放射状に伸びる8枚の羽根と、多数の邪魔部材とが、円盤と一体に設けてあり、回転する円盤の間に液体を送給すると、液体が遠心力で跳ね飛ばされてミスト化され、邪魔部材に衝突することによってさらに微細化されて、円盤の間から外方へ放出される。
【0003】
同様のミスト発生装置は、特許文献2にも開示されている。そこでは、上下一対の円板の間に、径方向に伸びる多数の案内路を有する環状壁と、案内路の出口に臨む多数のコロとが設けてある。回転する一対の円板の間に液体を送給すると、液体が遠心力で跳ね飛ばされてミスト化され、案内路を通ってコロに衝突することによりさらに液体が微細化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第98/05432号パンフレット(第15頁第5〜19行、第8図)
【特許文献2】実開昭62−179052号のマイクロフィルム(第8頁第6〜8行、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2のミスト発生装置では、使用開始時に大径のミストが形成される虞れがある。
【0006】
本発明の目的は、使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止することができるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを備えている。液体送給手段が、ポンプモーター26と、同モーター26で駆動される送液ポンプ23を含んでいる。使用開始時に、モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動することを特徴とする。
【0008】
使用開始時に、モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動し、使用終了時に、ポンプモーター26を停止してから所定時間が経過したのち、モーター3を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、回転基板4上に送給された液体を遠心力で跳ね飛ばすことで液体をミスト化できる。モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動することにより、使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。
【0010】
モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動することにより、使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。さらに、ポンプモーター26を停止してから所定時間が経過したのち、モーター3を停止することにより、液体の残留を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図2】ミスト発生装置の概略構造を示す縦断側面図である。
【図3】図1の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1の一部を拡大して示す図である。
【図5】回転基板の平面図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す図である。
【図7】図6におけるC−C線断面図である。
【図8】回転基板の製造法の概略を示す断面図である。
【図9】図1におけるA−A線断面図である。
【図10】図4におけるB−B線断面図である。
【図11】モーターの動作を示すタイミングチャートである。
【図12】ミスト発生装置の使用例を示す説明図である。
【図13】本発明の別実施例に係る回転基板の衝突壁の平面図である。
【図14】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図15】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図16】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図17】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図18】図17の一部を拡大して示す図である。
【図19】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の縦断側面図である。
【図20】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例) 図1ないし図12は本発明に係るミスト発生装置の実施例を示す。図2において符号1は本体ケース、符号2は本体ケース1に対して着脱されるキャップである。本体ケース1の内部には、メインモーター(モーター)3で回転駆動される円盤状の回転基板4と、ミスト生成用の水(液体)を収容するタンク5と、タンク5に収容した水を回転基板4に送給する液体送給手段などが配置してある。メインモーター3は、本体ケース1の外面に設けたスイッチボタン8をオン操作することにより起動する。符号9は電池、符号10はミスト発生装置の制御部である。電池9は、メインモーター3および制御部10と、後述するポンプモーター26に電力を供給する。
【0013】
回転基板4は、メインモーター3で回転駆動されることにより、液体送給手段から送給された水を跳ね飛ばして微細ミストを生成するが、その詳細については後述する。本体ケース1の上部には、回転基板4で生成した微細ミストが周囲に飛散するのを防ぐフード14と、フード14で案内された微細ミストを含む気流を斜め上向きに変向して送出するノズル15とが設けてある。フード14は、後述する翼片70で発生された気流の導風筒を兼ねており、その内部の下半側に回転基板4が配置してある。回転基板4の上面中央に臨むフード14の内面には、後述する水の吐出通路25を支持する支持壁16と、同壁16を支持する4個の放射枠17とが設けてある。これら両者16・17はフード14と一体に成形してある。
【0014】
タンク5は、本体ケース1の下部の装填部20に対して着脱自在に装着してあり、その上部中央に水の出入口21が開口してある。符号22はシールリングである。タンク5の満水時の水量は2mlである。液体送給手段は、出入口21の上方に配置された送液ポンプ23と、送液ポンプ23を駆動するポンプモーター26と、送液ポンプ23の吸込口からタンク5の内底に向かって伸びる吸込通路24と、送液ポンプ23の吐出口と回転基板4との間に配置される吐出通路25とで構成される。吐出通路25は、送液ポンプ23の吐出口からフード14の支持壁16にわたって配置される送液チューブ27と、送液チューブ27に連通して回転基板4に向かって下方へ伸びる給液管28とで構成される。送液ポンプ23は低圧仕様のギヤポンプからなり、毎秒0.01mlの水を吐出通路25へ送出する。
【0015】
図1に示すように、メインモーター3の上方には、メインモーター3で回転駆動される丸皿状の支持ベース32が配置してあり、支持ベース32の下面に設けた連結ボス33が、メインモーター3の出力軸34に連結してある。支持ベース32の内面中央に、回転基板4が固定してある。図5に示すように回転基板4は、円盤状のベース部36と、ベース部36の上面に立設された多数の衝突壁37とを備える。ベース部36の上面に水を送給して回転基板4を回転駆動させると、遠心力で水を跳ね飛ばして衝突壁37に衝突させて、水を微細化しミスト化することができる。符号38は、衝突壁37の上面を覆う天板である。天板38は、ベース部36と同径の円盤状に形成されて、各衝突壁37の上面で支持される。回転基板4および天板38は、ニッケルなどの金属を素材として形成してある。
【0016】
図3に示すように、天板38の中央には円形の開口43が形成してあり、開口43の周縁部にリング状の導入体44が装着してある。導入体44は樹脂成形品からなり、例えば天板38の開口43に対してアウトサート成形を行うことにより作製する。導入体44には、回転基板4に水を送給する給液管28が挿通してあり、給液管28の下端の給液口45が、僅かな隙間を介して回転基板4のベース部36と近接対向している。給液口45に臨むベース部36の上面中央には、円柱状の流動促進突起46が上向きに突設してあり、流動促進突起46の上端部は給液口45の開口面よりも上方に配置されている。流動促進突起46は、給液口45に達した水を積極的に流下案内して、ベース部36の上面に流れ込む連続的な水流を形成する。流動促進突起46と衝突壁37の突出寸法は同じである。
【0017】
導入体44の内周面には、下拡がりテーパー状の案内面47が形成してあり、案内面47の下端よりも下方に、給液管28の給液口45が配置されている。案内面47に付着した水は、外向きの遠心力を受けて、案内面47に沿って下向きに案内されて、回転基板4と天板38の間の空間に向かって跳ね飛ばされる。
【0018】
図4に示すように、回転基板4および天板38は、支持ベース32の内面に立設された係止突起51を介して支持ベース32に固定してある。詳しくは、回転基板4と天板38のそれぞれに、係止突起51に対応する貫通孔52・53を形成し、貫通孔52・53に挿通した係止突起51の上端を熱かしめすることにより、両板4・38を支持ベース32に固定している。係止突起51は、支持ベース32の内面の3個所に設けてある(図9参照)。
【0019】
図5に示すように衝突壁37は、ベース部36の中央近傍を除く上面全体に設けてあり、ベース部36の周方向に所定間隔で列設されて、環状の衝突壁列56を構成している。衝突壁列56において隣接する衝突壁37の間に、遠心力で跳ね飛ばされる液体が通過する液体通路57が形成してある。衝突壁列56は、回転基板4の径方向へ少なくとも二重に設ければよいが、衝突壁列56を多重(三重以上)に設けると、水の微細化をより促進できて好ましい。本実施例では、衝突壁列56が十重に設けてあり、外側の衝突壁列56の衝突壁37の大半が、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向している。
【0020】
具体的には、内側から1番目の衝突壁列56(第1衝突壁列)が、16個の衝突壁37および液体通路57で構成してある。内側から2番目の衝突壁列56(第2衝突壁列)も、16個の衝突壁37および液体通路57で構成してあり、第2衝突壁列の各衝突壁37は、第1衝突壁列の液体通路57の出口に臨むように配置してある。これによれば、回転基板4の中央に送給されて遠心力で跳ね飛ばされた水が、第1衝突壁列あるいは第2衝突壁列を構成する衝突壁37に必ず衝突する。
【0021】
内から3番目の衝突壁列56(第3衝突壁列)は、第2衝突壁列よりも多くの衝突壁37および液体通路57で構成してある。同様に、第3衝突壁列より外側の第4〜第10衝突壁列も、径方向内側に位置する衝突壁列56よりも多くの衝突壁37および液体通路57で構成してある。このように、外周側の衝突壁列56に多くの液体通路57を設けると、水の進行方向を多様化させて、回転基板4の面全体に広がるように水を分散させることができ、水の微細化を促進できる。
【0022】
なお、第1衝突壁列の各液体通路57の出口に臨ませる衝突壁37は、第2衝突壁列の衝突壁37である必要は無く、それより外周側の衝突壁列56の衝突壁37であってもよい。第1衝突壁列の各液体通路57の出口に、第2〜第10衝突壁列のいずれかの衝突壁37を臨ませておけば、水が最外周の衝突壁列56の外方へ飛び出るまでの間に、少なくとも一度は水を衝突壁37に衝突して微細化することができる。
【0023】
図6に示すように衝突壁37は、回転基板4の中心に臨む内面58と、回転基板4の径方向外側に臨む外面59と、内面58と外面59とを繋ぐ一対の側面60とを備え、外面59が内面58よりも長い略台形柱状に形成してある。遠心力で跳ね飛ばされた水は、内面58に衝突して粉砕される。内面58は、水の粉砕効果を向上するために、僅かに内方へ膨出する湾曲面で形成してある。この湾曲面は、該湾曲面の中心を通る回転基板4の径方向の直線に対して対称である。また、内面58の曲率半径R2は、回転基板4の外周縁の曲率半径(回転基板4の半径)R1よりも十分に大きく設定してある。外面59と側面60は平坦面で形成してある。隣接する衝突壁37の側面60の間に形成される液体通路57の通路幅は、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成してある。
【0024】
液体通路57の出口の通路幅lは、衝突壁37の幅寸法(外面59の幅寸法)Lよりも小さく設定してある。また、回転基板4の径方向に係る衝突壁37の厚み寸法Tは、上記通路幅lよりも小さく設定してある。つまり、T<l<Lである。衝突壁37の厚み寸法Tを小さく設定すると、回転基板4の小径化を実現してミスト発生装置の全体を小型化できる。図7に示すように、衝突壁37の突出寸法Hは、ベース部36の厚み寸法H1、および、衝突壁37の厚み寸法Tよりも小さく設定してある。衝突壁37の突出寸法Hを小さく設定すると、回転基板4全体の上下寸法を小さくして、ミスト発生装置の小型化を実現することができる。
【0025】
図8に示すように回転基板4は、一次電鋳工程と二次電鋳工程とを経て作製される。一次電鋳工程においては、導電性の母型64の表面に、ベース部36の形状に対応する一次パターンレジストを形成した後、母型64を電鋳槽に入れて、一次パターンレジストで覆われていない母型64の表面に電着金属を電鋳して、ベース部36に相当する一次電鋳層65を形成する。次に、一次パターンレジストを除去して、一次電鋳層65の表面に研磨処理を施す。なお、一次パターンレジストは、例えば母型64の表面に感光性樹脂層を形成し、その表面にパターンフィルムを密着させたのち露光し、露光部を除去することにより形成される。後述する二次パターンレジスト66も同様の方法で形成できる。
【0026】
二次電鋳工程においては、次電鋳層65の表面に、衝突壁37および流動促進突起46の形状に対応する二次パターンレジスト66を形成した後、これを電鋳槽に入れて、二次パターンレジスト66で覆われていない一次電鋳層65の表面に電着金属を電鋳して、衝突壁37および流動促進突起46に相当する二次電鋳層67を形成する。次に、二次パターンレジスト66を除去して、二次電鋳層67の高さを揃える研磨処理を施すと、ベース部36、衝突壁37および流動促進突起46を一体に備える回転基板4が得られる。
【0027】
図1、図9および図10に示すように、最外周の衝突壁列56の周囲に臨む支持ベース32の上面には、周辺の空気およびミストを強制的に送出する翼片70が設けてある。翼片70は、支持ベース32と一体に設けられる三角ブロック状の突起で構成されて、支持ベース32の内面周縁部の8個所に、支持ベース32の周方向に等間隔に配置してある。翼片70は、支持ベース32の回転方向(図9および図10の矢印方向)下手側へ向かって下り傾斜する翼面71を有しており、支持ベース32を矢印方向に回転させると、翼面71に沿う上向きの気流が発生する。
【0028】
翼片70で発生させた気流を確実に上向きにして、ミストを上方へ送出するために、支持ベース32の周縁部に、翼片70の回転領域の外周面を囲む導風筒72が上向きに立設してある。導風筒72の立設方向は、支持ベース32の回転軸方向に一致している。図4に示すように、導風筒72の高さ寸法(支持ベース32の内面から導風筒72の上端までの上下寸法)h1は、翼片70の上下方向の高さ寸法h2よりも大きく設定してある。また、導風筒72の高さ寸法h1は、翼片70の高さ寸法h1の2倍を超えない値に設定してある。つまり、h2<h1<2×h2である。このように、導風筒72の高さ寸法h1を、翼片70の高さ寸法h2よりも大きく設定し、さらに、該高さ寸法h2の2倍よりも小さく設定すると、支持ベース32の回転による軸ぶれが起こりにくく、かつ気流を効率良く上方へ案内できる。
【0029】
各翼片70の回転方向下手側には、支持ベース32を上下に貫通する一対の通気口73が形成してある。一対の通気口73は、支持ベース32の径方向に並べて配置してあり、外側の通気口73は翼面71の下端に連通している。通気口73を設けることにより、翼片70に対して下方から空気を供給して、ミストを送出するための上向きの気流をスムーズに形成できる。
【0030】
スイッチボタン8が操作されたときの、メインモーター3およびポンプモーター26の動作を、図11のタイミングチャートを用いて説明する。制御部10(図2参照)は、スイッチボタン8がオン操作されると、まずメインモーター3を起動し、それから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動する。このように、ポンプモーター26に対してメインモーター3を先行して起動し、送液ポンプ23よりも回転基板4を先に駆動させると、回転基板4上に水が残留していたとしても、送液ポンプ23から水が送給されてくるまでの間に、残留した水をミスト化できるので、ミスト発生装置の使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。
【0031】
一方、スイッチボタン8がオフ操作されると、制御部10は、まずポンプモーター26を停止し、それから所定時間が経過したのち、メインモーター3を停止する。このように、ポンプモーター26に対してメインモーター3を遅れて停止し、送液ポンプ23が停止した後に回転基板4を停止すると、送液ポンプ23から送給された水を、回転基板4上に残すことなくミスト化して放出できるので、回転基板4上に水が残留したまま放置されるのを解消できる。したがって、次にミスト発生装置を使用するときに、大径のミストが形成されるのを防止できる。
【0032】
以上のように構成したミスト発生装置は、例えば図12に示すように、顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給して、顔の肌面に潤いを与えるために使用することができる。ノズル15から送出されるミストの径は30〜50μmとごく小さいので、ミストが肌面に付着しても肌面が濡れることはない。また、雨粒が肌面に当たる場合のような衝撃や接触感を生じることもなく、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。
【0033】
超音波振動による微細化方式を採用した従来のミスト発生装置においては、液体の粘度が水よりも大きくなると、液体の微細化能力が著しく低下していた。これに対し、液体を遠心力で跳ね飛ばして衝突壁37に衝突させて微細化する本発明のミスト発生装置によれば、液体の粘度が比較的大きい場合にも、液体を効果的に微細化することができ、微細化できる液体の粘度の範囲を従来に比べて拡大できる。
【0034】
図13以下は、本発明に係るミスト発生装置の別実施例であるが、そこでは、上記の実施例と異なる内容を主に説明し、上記の実施例と同じ部材には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図13のミスト発生装置は、衝突壁37の形態が上記のミスト発生装置と異なる。具体的には、外面59を内凹み状に形成して、外面59の両側に、側面60に向かって内周側から外周側へ傾斜する傾斜面81を形成した。側面60と傾斜面81に挟まれる角部の角度は、上記の実施例における側面60と外面59に挟まれる角部の角度よりも小さい。
【0036】
以上のように構成した衝突壁37によれば、液体通路57を側面60に沿って流れる水が、外面59の表面側に回り込むのを抑制できる。水が側面60から傾斜面81へ回り込むには、遠心力に逆らう必要があるためである。したがって、液体通路57の出口における水切りを良くして、液体通路57の出口に臨む衝突壁37に水を効率良く衝突させて、水の微細化を促進できる。さらに、回転方向下手側の傾斜面81で、衝突壁列の間を流れる気流を外向きに案内して、液体通路57の出口における水切りを良くするとともに、外面59の表面に液溜まりが生じるのを防止できる。なお、外面59の全体を、円弧状の内凹み面で構成することもでき、その場合にも上記と同様の作用効果を奏する。
【0037】
図14のミスト発生装置は、導風筒72の外周面に複数のファンブレード83を設ける点が、上記のミスト発生装置と異なる。ここでの導風筒72はファンボスを兼ねる。翼片70に加えてファンブレード83を設けることにより、より強い上向きの気流を発生させて、生成したミストを確実に送出できる。
【0038】
図15のミスト発生装置は、導入体44の形態が上記のミスト発生装置と異なる。ここでの導入体44は、回転基板4および天板38と同様に、係止突起51を介して支持ベース32に固定される。具体的には、導入体44の外周面に、天板38の上面に沿うフランジ85が一体に形成してあり、係止突起51に対応する貫通孔86がフランジ85に形成してある。回転基板4、天板38およびフランジ85の貫通孔52・53・86に挿通した係止突起51の上端を熱かしめすることにより、回転基板4、天板38および導入体44の三者が支持ベース32に固定してある。
【0039】
図16のミスト発生装置は、天板38を樹脂で形成して、天板38と導入体44を一体に形成する点と、案内面47を下拡がりのベルマウス状に形成する点が、上記のミスト発生装置と異なる。
【0040】
図17および図18のミスト発生装置は、上下に重ねた2枚の回転基板4A・4Bを備えており、上記のミスト発生装置の2倍の量のミストを生成することができる。下側の回転基板4Aは、上記のミスト発生装置における回転基板4と同一に形成してあり、上側の回転基板4Bは、中央に円形の通口88を有し、流動促進突起46が省略してあること以外は、上記回転基板4と同一に形成してある。下側の回転基板4Aの各衝突壁37の上面に、上側の回転基板4Bのベース部36が載置され、上側の回転基板4Bの各衝突壁37の上面に、天板38が載置してある。
【0041】
送液ポンプ23による水の送出量は、上記のミスト発生装置の2倍に設定してあり、給液管28は内外二重構造に形成してある。内側の給液管28Aは、上側の回転基板4Bの通口88を挿通し、給液管28Aの下端の給液口45Aが、上下の回転基板4A・4Bのベース部36の間に配置してある。外側の給液管28Bの下端の給液口45Bは、上側の回転基板4Bのベース部36と、導入体44の案内面47の下端との間に配置してある。給液口45Bは通口88よりも大径に形成してある。以上の構成によれば、内側の給液管28Aで下側の回転基板4Aに水を送給し、外側の給液管28Bで上側の回転基板4Bに水を送給できる。上下の回転基板4A・4Bに送給された水は、遠心力を受けて跳ね飛ばされて、衝突壁37に衝突して微細化される。
【0042】
図19のミスト発生装置は、本体ケース1が上ケース1aと下ケース1bとで構成されて、全体として略球状に形成してある。本体ケース1の内部に、メインモーター3、回転基板4、タンク5、液体供給手段としての揚水軸90などが配置してある。下ケース1bの内面上部には、メインモーター3を支持する円盤状の支持壁91と、同壁91を支持する複数個の放射枠92とが配置してある。メインモーター3は、上下端のそれぞれに出力軸34A・34Bを備えた両軸型のモーターからなる。支持壁91の上面には、メインモーター3を覆う容器状のフード93が装着してある。
【0043】
メインモーター3の上側の出力軸34Aは、フード93を貫通して、フード93の上面側に配置された送風ファン94に連結してある。送風ファン94は、円筒状のファンボス95と、ファンボス95の外周面に設けられる複数のファンブレード96とを備える。送風ファン94が回転駆動すると、フード93の外周面および本体ケース1の内周面に沿う上向きの気流が発生する。
【0044】
メインモーター3の下側の出力軸34Bは、支持壁91を貫通して、支持壁91の下面側に配置された揚水軸90に連結してある。揚水軸90は、頂点部分が下を向く円錐状に形成してある。下ケース1bの内部にはタンク5が組み付けてあり、タンク5内の水に揚水軸90が浸漬してある。タンク5の底部には、揚水軸90の下端部を僅かな隙間を介して囲む円錐形状の凹部98が形成してある。この凹部98を設けることにより、タンク5内の水の残量が少なくなったときにも、水を揚水軸90の外周面に接触させることができ、したがって、タンク5内の水を揚水軸90でほぼ残さず汲み上げることができる。タンク5の下面と下ケース1bの内底面との間には、電池9と回路基板99とが組み込んである。回路基板99には、本体ケース1の外面に設けたスイッチボタン8で切り換えられるスイッチや、電源回路を構成する電子部品などが実装してある。
【0045】
回転基板4は、下面側に衝突壁列56(衝突壁37・液体通路57)を備えており、揚水軸90の上端に組み付けられて、揚水軸90と一体に回転する。タンク5の上端には、回転基板4の周囲を囲む衝突筒100が、タンク5と一体に設けてある。衝突筒100は上拡がりのテーパー状に形成してあり、その内周面は凹凸面で構成してある。先述の放射枠92は、衝突筒100の上端面で支持される。上ケース1aの下部には、タンク5に水を供給するための給水口101が開設してあり、給水口101を塞ぐキャップ102が装着してある。給水口101から本体ケース1内に注がれた水は、放射枠92の間を通ってタンク5に流れ込む。
【0046】
上ケース1aの上面には、生成したミストを本体ケース1の外へ送出するための送出口104が開設してあり、この送出口104を囲むようにノズル15が装着してある。上ケース1aの上面と送風ファン94との間には、上面でボール105を支持する円盤状のボール支持体106が配置してある。ボール支持体106には、送風ファン94のファンボス95と対向する部分を除く全体に、生成したミストを通過させる多数の通口107が開設してある。
【0047】
ボール105は、送出口104の最狭部である上端縁よりもやや大径に形成してある。常態におけるボール105は、ボール支持体106の上面中央に設けた収容筒部108に収容されて、通口107から送出口104へ向かう気流を妨げないが、ミスト発生装置の全体が下向きにされたときには、ボール105が送出口104に向かって落下して、想像線で示すように送出口104を塞いで、本体ケース1の内部の水が送出口104から漏れ出るのを防止する。
【0048】
スイッチボタン8をオン操作すると、メインモーター3が起動して、揚水軸90および回転基板4が回転駆動され、さらに送風ファン94が回転駆動される。揚水軸90が回転すると、遠心力の作用で、タンク5内の水が揚水軸90の外周面に沿って這い上がって、回転基板4のベース部36の下面に到る。回転基板4に到った水は、遠心力によって径方向外側へ跳ね飛ばされて、衝突壁37に何度か衝突して微細化され、次いで衝突筒100の凹凸面に衝突してさらに微細化される。こうして生成されたミストは、送風ファン94が形成する上向きの気流に乗って、放射枠92の間、ボール支持体106の通口107、および送出口104を順に通過して、ノズル15の先端から送出される。
【0049】
図20のミスト発生装置は、テーブルなどの水平面上に載置した状態で使用するものであって、有底状に形成した本体ケース1の内部が、区分壁111で上下に区画してある。区分壁111の上側のミスト生成室112には、ミストを生成するための回転基板4が収容してある。回転基板4は、天板38とともに、区分壁111の上面中央に配置した支持ベース32に固定してある。区分壁111の下側には、メインモーター3、タンク5、電池9、および制御部10などが収容してある。
【0050】
回転基板4で生成したミストは、図20に破線で示すように遠心方向に飛び出し、やがて上向きに変向して本体ケース1の上面開口へ向かう。本体ケース1の上面開口に顔を近付けると、顔の全体にミストを送給して肌面に潤いを与えることができる。
【0051】
遠心方向に飛び出したミストが途中で上向きに変向するのは、ミストの遠心方向の運動エネルギーが空気抵抗を受けて徐々に失われ、やがて支持ベース32の翼片70および導風筒72が形成する上向きの気流に吸い寄せられるためである。ミスト生成室112の周囲を囲む本体ケース1の周囲壁は、上記のミスト発生装置のフード14よりも大径に形成してあり、遠心方向に飛ばされたミストは、周囲壁に衝突するよりも先に遠心方向の運動エネルギーを失って、上向きの気流に吸い寄せられる。一方、上記のミスト発生装置においては、ミストがフード14の内面に一度は衝突してから上方へ送出される。
【0052】
その他、衝突壁列56は正円状に限られず、楕円状に形成することができる。回転基板4の上下両面に衝突壁列56を設けることができる。ポンプモーター26を省略して、メインモーター3を両軸型のモーターで構成し、送液ポンプ23をメインモーター3で駆動することができる。導風筒72を支持ベース32と別体に形成して、フード14や本体ケース1に固定することができる。給液管28の給液口45の位置は特に限定されないが、上記の実施例のように案内面47の下方に配置するか、あるいは周囲を案内面47に囲まれる導入体44の内側の領域に配置することが望ましい。
【0053】
衝突壁37の内面58を平坦面で構成することができる。このときの平坦面は、該平坦面の中心を通る回転基板4の径方向の直線に対して直交する。衝突壁37の側面60を湾曲面で形成することができる。この場合にも、液体通路57の通路幅を回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成することにより、外周側へ向かって液体通路57を流れる水を集束して、流速を大きくすることができる。内面58と側面60の区別を無くして、全体を1つの内凸状の円弧面で構成してもよい。
【0054】
回転基板4と天板38を支持ベース32に固定する際に、係止突起51の上端をかしめる固定構造に代えて、係止突起51にねじ込んだビスで回転基板4と天板38を締結固定する構造を採ることができる。なお、係止突起51の上端をかしめる方法と、係止突起51にビスをねじ込む方法とのいずれを採る場合でも、係止突起51は、支持ベース32の内面の少なくとも2個所に設けていれば足りる。
【符号の説明】
【0055】
1 本体ケース
3 メインモーター(モーター)
4 回転基板
5 タンク
23 送液ポンプ
26 ポンプモーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、水または化粧水などの液体を微細なミストにして送出するミスト発生装置に関する。ミスト発生装置は、肌を潤いのある状態にする加湿器として、あるいは喉や口腔を湿らせる吸入器として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るミスト発生装置は、回転基板上に送給された液体を遠心力で跳ね飛ばすことで液体を微細化するが、この種のミスト発生装置は例えば特許文献1に公知である。そこでは、対向する一対の円盤の間に、中心から放射状に伸びる8枚の羽根と、多数の邪魔部材とが、円盤と一体に設けてあり、回転する円盤の間に液体を送給すると、液体が遠心力で跳ね飛ばされてミスト化され、邪魔部材に衝突することによってさらに微細化されて、円盤の間から外方へ放出される。
【0003】
同様のミスト発生装置は、特許文献2にも開示されている。そこでは、上下一対の円板の間に、径方向に伸びる多数の案内路を有する環状壁と、案内路の出口に臨む多数のコロとが設けてある。回転する一対の円板の間に液体を送給すると、液体が遠心力で跳ね飛ばされてミスト化され、案内路を通ってコロに衝突することによりさらに液体が微細化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第98/05432号パンフレット(第15頁第5〜19行、第8図)
【特許文献2】実開昭62−179052号のマイクロフィルム(第8頁第6〜8行、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2のミスト発生装置では、使用開始時に大径のミストが形成される虞れがある。
【0006】
本発明の目的は、使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止することができるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを備えている。液体送給手段が、ポンプモーター26と、同モーター26で駆動される送液ポンプ23を含んでいる。使用開始時に、モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動することを特徴とする。
【0008】
使用開始時に、モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動し、使用終了時に、ポンプモーター26を停止してから所定時間が経過したのち、モーター3を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、回転基板4上に送給された液体を遠心力で跳ね飛ばすことで液体をミスト化できる。モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動することにより、使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。
【0010】
モーター3を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動することにより、使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。さらに、ポンプモーター26を停止してから所定時間が経過したのち、モーター3を停止することにより、液体の残留を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図2】ミスト発生装置の概略構造を示す縦断側面図である。
【図3】図1の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1の一部を拡大して示す図である。
【図5】回転基板の平面図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す図である。
【図7】図6におけるC−C線断面図である。
【図8】回転基板の製造法の概略を示す断面図である。
【図9】図1におけるA−A線断面図である。
【図10】図4におけるB−B線断面図である。
【図11】モーターの動作を示すタイミングチャートである。
【図12】ミスト発生装置の使用例を示す説明図である。
【図13】本発明の別実施例に係る回転基板の衝突壁の平面図である。
【図14】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図15】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図16】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図17】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図18】図17の一部を拡大して示す図である。
【図19】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の縦断側面図である。
【図20】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例) 図1ないし図12は本発明に係るミスト発生装置の実施例を示す。図2において符号1は本体ケース、符号2は本体ケース1に対して着脱されるキャップである。本体ケース1の内部には、メインモーター(モーター)3で回転駆動される円盤状の回転基板4と、ミスト生成用の水(液体)を収容するタンク5と、タンク5に収容した水を回転基板4に送給する液体送給手段などが配置してある。メインモーター3は、本体ケース1の外面に設けたスイッチボタン8をオン操作することにより起動する。符号9は電池、符号10はミスト発生装置の制御部である。電池9は、メインモーター3および制御部10と、後述するポンプモーター26に電力を供給する。
【0013】
回転基板4は、メインモーター3で回転駆動されることにより、液体送給手段から送給された水を跳ね飛ばして微細ミストを生成するが、その詳細については後述する。本体ケース1の上部には、回転基板4で生成した微細ミストが周囲に飛散するのを防ぐフード14と、フード14で案内された微細ミストを含む気流を斜め上向きに変向して送出するノズル15とが設けてある。フード14は、後述する翼片70で発生された気流の導風筒を兼ねており、その内部の下半側に回転基板4が配置してある。回転基板4の上面中央に臨むフード14の内面には、後述する水の吐出通路25を支持する支持壁16と、同壁16を支持する4個の放射枠17とが設けてある。これら両者16・17はフード14と一体に成形してある。
【0014】
タンク5は、本体ケース1の下部の装填部20に対して着脱自在に装着してあり、その上部中央に水の出入口21が開口してある。符号22はシールリングである。タンク5の満水時の水量は2mlである。液体送給手段は、出入口21の上方に配置された送液ポンプ23と、送液ポンプ23を駆動するポンプモーター26と、送液ポンプ23の吸込口からタンク5の内底に向かって伸びる吸込通路24と、送液ポンプ23の吐出口と回転基板4との間に配置される吐出通路25とで構成される。吐出通路25は、送液ポンプ23の吐出口からフード14の支持壁16にわたって配置される送液チューブ27と、送液チューブ27に連通して回転基板4に向かって下方へ伸びる給液管28とで構成される。送液ポンプ23は低圧仕様のギヤポンプからなり、毎秒0.01mlの水を吐出通路25へ送出する。
【0015】
図1に示すように、メインモーター3の上方には、メインモーター3で回転駆動される丸皿状の支持ベース32が配置してあり、支持ベース32の下面に設けた連結ボス33が、メインモーター3の出力軸34に連結してある。支持ベース32の内面中央に、回転基板4が固定してある。図5に示すように回転基板4は、円盤状のベース部36と、ベース部36の上面に立設された多数の衝突壁37とを備える。ベース部36の上面に水を送給して回転基板4を回転駆動させると、遠心力で水を跳ね飛ばして衝突壁37に衝突させて、水を微細化しミスト化することができる。符号38は、衝突壁37の上面を覆う天板である。天板38は、ベース部36と同径の円盤状に形成されて、各衝突壁37の上面で支持される。回転基板4および天板38は、ニッケルなどの金属を素材として形成してある。
【0016】
図3に示すように、天板38の中央には円形の開口43が形成してあり、開口43の周縁部にリング状の導入体44が装着してある。導入体44は樹脂成形品からなり、例えば天板38の開口43に対してアウトサート成形を行うことにより作製する。導入体44には、回転基板4に水を送給する給液管28が挿通してあり、給液管28の下端の給液口45が、僅かな隙間を介して回転基板4のベース部36と近接対向している。給液口45に臨むベース部36の上面中央には、円柱状の流動促進突起46が上向きに突設してあり、流動促進突起46の上端部は給液口45の開口面よりも上方に配置されている。流動促進突起46は、給液口45に達した水を積極的に流下案内して、ベース部36の上面に流れ込む連続的な水流を形成する。流動促進突起46と衝突壁37の突出寸法は同じである。
【0017】
導入体44の内周面には、下拡がりテーパー状の案内面47が形成してあり、案内面47の下端よりも下方に、給液管28の給液口45が配置されている。案内面47に付着した水は、外向きの遠心力を受けて、案内面47に沿って下向きに案内されて、回転基板4と天板38の間の空間に向かって跳ね飛ばされる。
【0018】
図4に示すように、回転基板4および天板38は、支持ベース32の内面に立設された係止突起51を介して支持ベース32に固定してある。詳しくは、回転基板4と天板38のそれぞれに、係止突起51に対応する貫通孔52・53を形成し、貫通孔52・53に挿通した係止突起51の上端を熱かしめすることにより、両板4・38を支持ベース32に固定している。係止突起51は、支持ベース32の内面の3個所に設けてある(図9参照)。
【0019】
図5に示すように衝突壁37は、ベース部36の中央近傍を除く上面全体に設けてあり、ベース部36の周方向に所定間隔で列設されて、環状の衝突壁列56を構成している。衝突壁列56において隣接する衝突壁37の間に、遠心力で跳ね飛ばされる液体が通過する液体通路57が形成してある。衝突壁列56は、回転基板4の径方向へ少なくとも二重に設ければよいが、衝突壁列56を多重(三重以上)に設けると、水の微細化をより促進できて好ましい。本実施例では、衝突壁列56が十重に設けてあり、外側の衝突壁列56の衝突壁37の大半が、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向している。
【0020】
具体的には、内側から1番目の衝突壁列56(第1衝突壁列)が、16個の衝突壁37および液体通路57で構成してある。内側から2番目の衝突壁列56(第2衝突壁列)も、16個の衝突壁37および液体通路57で構成してあり、第2衝突壁列の各衝突壁37は、第1衝突壁列の液体通路57の出口に臨むように配置してある。これによれば、回転基板4の中央に送給されて遠心力で跳ね飛ばされた水が、第1衝突壁列あるいは第2衝突壁列を構成する衝突壁37に必ず衝突する。
【0021】
内から3番目の衝突壁列56(第3衝突壁列)は、第2衝突壁列よりも多くの衝突壁37および液体通路57で構成してある。同様に、第3衝突壁列より外側の第4〜第10衝突壁列も、径方向内側に位置する衝突壁列56よりも多くの衝突壁37および液体通路57で構成してある。このように、外周側の衝突壁列56に多くの液体通路57を設けると、水の進行方向を多様化させて、回転基板4の面全体に広がるように水を分散させることができ、水の微細化を促進できる。
【0022】
なお、第1衝突壁列の各液体通路57の出口に臨ませる衝突壁37は、第2衝突壁列の衝突壁37である必要は無く、それより外周側の衝突壁列56の衝突壁37であってもよい。第1衝突壁列の各液体通路57の出口に、第2〜第10衝突壁列のいずれかの衝突壁37を臨ませておけば、水が最外周の衝突壁列56の外方へ飛び出るまでの間に、少なくとも一度は水を衝突壁37に衝突して微細化することができる。
【0023】
図6に示すように衝突壁37は、回転基板4の中心に臨む内面58と、回転基板4の径方向外側に臨む外面59と、内面58と外面59とを繋ぐ一対の側面60とを備え、外面59が内面58よりも長い略台形柱状に形成してある。遠心力で跳ね飛ばされた水は、内面58に衝突して粉砕される。内面58は、水の粉砕効果を向上するために、僅かに内方へ膨出する湾曲面で形成してある。この湾曲面は、該湾曲面の中心を通る回転基板4の径方向の直線に対して対称である。また、内面58の曲率半径R2は、回転基板4の外周縁の曲率半径(回転基板4の半径)R1よりも十分に大きく設定してある。外面59と側面60は平坦面で形成してある。隣接する衝突壁37の側面60の間に形成される液体通路57の通路幅は、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成してある。
【0024】
液体通路57の出口の通路幅lは、衝突壁37の幅寸法(外面59の幅寸法)Lよりも小さく設定してある。また、回転基板4の径方向に係る衝突壁37の厚み寸法Tは、上記通路幅lよりも小さく設定してある。つまり、T<l<Lである。衝突壁37の厚み寸法Tを小さく設定すると、回転基板4の小径化を実現してミスト発生装置の全体を小型化できる。図7に示すように、衝突壁37の突出寸法Hは、ベース部36の厚み寸法H1、および、衝突壁37の厚み寸法Tよりも小さく設定してある。衝突壁37の突出寸法Hを小さく設定すると、回転基板4全体の上下寸法を小さくして、ミスト発生装置の小型化を実現することができる。
【0025】
図8に示すように回転基板4は、一次電鋳工程と二次電鋳工程とを経て作製される。一次電鋳工程においては、導電性の母型64の表面に、ベース部36の形状に対応する一次パターンレジストを形成した後、母型64を電鋳槽に入れて、一次パターンレジストで覆われていない母型64の表面に電着金属を電鋳して、ベース部36に相当する一次電鋳層65を形成する。次に、一次パターンレジストを除去して、一次電鋳層65の表面に研磨処理を施す。なお、一次パターンレジストは、例えば母型64の表面に感光性樹脂層を形成し、その表面にパターンフィルムを密着させたのち露光し、露光部を除去することにより形成される。後述する二次パターンレジスト66も同様の方法で形成できる。
【0026】
二次電鋳工程においては、次電鋳層65の表面に、衝突壁37および流動促進突起46の形状に対応する二次パターンレジスト66を形成した後、これを電鋳槽に入れて、二次パターンレジスト66で覆われていない一次電鋳層65の表面に電着金属を電鋳して、衝突壁37および流動促進突起46に相当する二次電鋳層67を形成する。次に、二次パターンレジスト66を除去して、二次電鋳層67の高さを揃える研磨処理を施すと、ベース部36、衝突壁37および流動促進突起46を一体に備える回転基板4が得られる。
【0027】
図1、図9および図10に示すように、最外周の衝突壁列56の周囲に臨む支持ベース32の上面には、周辺の空気およびミストを強制的に送出する翼片70が設けてある。翼片70は、支持ベース32と一体に設けられる三角ブロック状の突起で構成されて、支持ベース32の内面周縁部の8個所に、支持ベース32の周方向に等間隔に配置してある。翼片70は、支持ベース32の回転方向(図9および図10の矢印方向)下手側へ向かって下り傾斜する翼面71を有しており、支持ベース32を矢印方向に回転させると、翼面71に沿う上向きの気流が発生する。
【0028】
翼片70で発生させた気流を確実に上向きにして、ミストを上方へ送出するために、支持ベース32の周縁部に、翼片70の回転領域の外周面を囲む導風筒72が上向きに立設してある。導風筒72の立設方向は、支持ベース32の回転軸方向に一致している。図4に示すように、導風筒72の高さ寸法(支持ベース32の内面から導風筒72の上端までの上下寸法)h1は、翼片70の上下方向の高さ寸法h2よりも大きく設定してある。また、導風筒72の高さ寸法h1は、翼片70の高さ寸法h1の2倍を超えない値に設定してある。つまり、h2<h1<2×h2である。このように、導風筒72の高さ寸法h1を、翼片70の高さ寸法h2よりも大きく設定し、さらに、該高さ寸法h2の2倍よりも小さく設定すると、支持ベース32の回転による軸ぶれが起こりにくく、かつ気流を効率良く上方へ案内できる。
【0029】
各翼片70の回転方向下手側には、支持ベース32を上下に貫通する一対の通気口73が形成してある。一対の通気口73は、支持ベース32の径方向に並べて配置してあり、外側の通気口73は翼面71の下端に連通している。通気口73を設けることにより、翼片70に対して下方から空気を供給して、ミストを送出するための上向きの気流をスムーズに形成できる。
【0030】
スイッチボタン8が操作されたときの、メインモーター3およびポンプモーター26の動作を、図11のタイミングチャートを用いて説明する。制御部10(図2参照)は、スイッチボタン8がオン操作されると、まずメインモーター3を起動し、それから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動する。このように、ポンプモーター26に対してメインモーター3を先行して起動し、送液ポンプ23よりも回転基板4を先に駆動させると、回転基板4上に水が残留していたとしても、送液ポンプ23から水が送給されてくるまでの間に、残留した水をミスト化できるので、ミスト発生装置の使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。
【0031】
一方、スイッチボタン8がオフ操作されると、制御部10は、まずポンプモーター26を停止し、それから所定時間が経過したのち、メインモーター3を停止する。このように、ポンプモーター26に対してメインモーター3を遅れて停止し、送液ポンプ23が停止した後に回転基板4を停止すると、送液ポンプ23から送給された水を、回転基板4上に残すことなくミスト化して放出できるので、回転基板4上に水が残留したまま放置されるのを解消できる。したがって、次にミスト発生装置を使用するときに、大径のミストが形成されるのを防止できる。
【0032】
以上のように構成したミスト発生装置は、例えば図12に示すように、顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給して、顔の肌面に潤いを与えるために使用することができる。ノズル15から送出されるミストの径は30〜50μmとごく小さいので、ミストが肌面に付着しても肌面が濡れることはない。また、雨粒が肌面に当たる場合のような衝撃や接触感を生じることもなく、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。
【0033】
超音波振動による微細化方式を採用した従来のミスト発生装置においては、液体の粘度が水よりも大きくなると、液体の微細化能力が著しく低下していた。これに対し、液体を遠心力で跳ね飛ばして衝突壁37に衝突させて微細化する本発明のミスト発生装置によれば、液体の粘度が比較的大きい場合にも、液体を効果的に微細化することができ、微細化できる液体の粘度の範囲を従来に比べて拡大できる。
【0034】
図13以下は、本発明に係るミスト発生装置の別実施例であるが、そこでは、上記の実施例と異なる内容を主に説明し、上記の実施例と同じ部材には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図13のミスト発生装置は、衝突壁37の形態が上記のミスト発生装置と異なる。具体的には、外面59を内凹み状に形成して、外面59の両側に、側面60に向かって内周側から外周側へ傾斜する傾斜面81を形成した。側面60と傾斜面81に挟まれる角部の角度は、上記の実施例における側面60と外面59に挟まれる角部の角度よりも小さい。
【0036】
以上のように構成した衝突壁37によれば、液体通路57を側面60に沿って流れる水が、外面59の表面側に回り込むのを抑制できる。水が側面60から傾斜面81へ回り込むには、遠心力に逆らう必要があるためである。したがって、液体通路57の出口における水切りを良くして、液体通路57の出口に臨む衝突壁37に水を効率良く衝突させて、水の微細化を促進できる。さらに、回転方向下手側の傾斜面81で、衝突壁列の間を流れる気流を外向きに案内して、液体通路57の出口における水切りを良くするとともに、外面59の表面に液溜まりが生じるのを防止できる。なお、外面59の全体を、円弧状の内凹み面で構成することもでき、その場合にも上記と同様の作用効果を奏する。
【0037】
図14のミスト発生装置は、導風筒72の外周面に複数のファンブレード83を設ける点が、上記のミスト発生装置と異なる。ここでの導風筒72はファンボスを兼ねる。翼片70に加えてファンブレード83を設けることにより、より強い上向きの気流を発生させて、生成したミストを確実に送出できる。
【0038】
図15のミスト発生装置は、導入体44の形態が上記のミスト発生装置と異なる。ここでの導入体44は、回転基板4および天板38と同様に、係止突起51を介して支持ベース32に固定される。具体的には、導入体44の外周面に、天板38の上面に沿うフランジ85が一体に形成してあり、係止突起51に対応する貫通孔86がフランジ85に形成してある。回転基板4、天板38およびフランジ85の貫通孔52・53・86に挿通した係止突起51の上端を熱かしめすることにより、回転基板4、天板38および導入体44の三者が支持ベース32に固定してある。
【0039】
図16のミスト発生装置は、天板38を樹脂で形成して、天板38と導入体44を一体に形成する点と、案内面47を下拡がりのベルマウス状に形成する点が、上記のミスト発生装置と異なる。
【0040】
図17および図18のミスト発生装置は、上下に重ねた2枚の回転基板4A・4Bを備えており、上記のミスト発生装置の2倍の量のミストを生成することができる。下側の回転基板4Aは、上記のミスト発生装置における回転基板4と同一に形成してあり、上側の回転基板4Bは、中央に円形の通口88を有し、流動促進突起46が省略してあること以外は、上記回転基板4と同一に形成してある。下側の回転基板4Aの各衝突壁37の上面に、上側の回転基板4Bのベース部36が載置され、上側の回転基板4Bの各衝突壁37の上面に、天板38が載置してある。
【0041】
送液ポンプ23による水の送出量は、上記のミスト発生装置の2倍に設定してあり、給液管28は内外二重構造に形成してある。内側の給液管28Aは、上側の回転基板4Bの通口88を挿通し、給液管28Aの下端の給液口45Aが、上下の回転基板4A・4Bのベース部36の間に配置してある。外側の給液管28Bの下端の給液口45Bは、上側の回転基板4Bのベース部36と、導入体44の案内面47の下端との間に配置してある。給液口45Bは通口88よりも大径に形成してある。以上の構成によれば、内側の給液管28Aで下側の回転基板4Aに水を送給し、外側の給液管28Bで上側の回転基板4Bに水を送給できる。上下の回転基板4A・4Bに送給された水は、遠心力を受けて跳ね飛ばされて、衝突壁37に衝突して微細化される。
【0042】
図19のミスト発生装置は、本体ケース1が上ケース1aと下ケース1bとで構成されて、全体として略球状に形成してある。本体ケース1の内部に、メインモーター3、回転基板4、タンク5、液体供給手段としての揚水軸90などが配置してある。下ケース1bの内面上部には、メインモーター3を支持する円盤状の支持壁91と、同壁91を支持する複数個の放射枠92とが配置してある。メインモーター3は、上下端のそれぞれに出力軸34A・34Bを備えた両軸型のモーターからなる。支持壁91の上面には、メインモーター3を覆う容器状のフード93が装着してある。
【0043】
メインモーター3の上側の出力軸34Aは、フード93を貫通して、フード93の上面側に配置された送風ファン94に連結してある。送風ファン94は、円筒状のファンボス95と、ファンボス95の外周面に設けられる複数のファンブレード96とを備える。送風ファン94が回転駆動すると、フード93の外周面および本体ケース1の内周面に沿う上向きの気流が発生する。
【0044】
メインモーター3の下側の出力軸34Bは、支持壁91を貫通して、支持壁91の下面側に配置された揚水軸90に連結してある。揚水軸90は、頂点部分が下を向く円錐状に形成してある。下ケース1bの内部にはタンク5が組み付けてあり、タンク5内の水に揚水軸90が浸漬してある。タンク5の底部には、揚水軸90の下端部を僅かな隙間を介して囲む円錐形状の凹部98が形成してある。この凹部98を設けることにより、タンク5内の水の残量が少なくなったときにも、水を揚水軸90の外周面に接触させることができ、したがって、タンク5内の水を揚水軸90でほぼ残さず汲み上げることができる。タンク5の下面と下ケース1bの内底面との間には、電池9と回路基板99とが組み込んである。回路基板99には、本体ケース1の外面に設けたスイッチボタン8で切り換えられるスイッチや、電源回路を構成する電子部品などが実装してある。
【0045】
回転基板4は、下面側に衝突壁列56(衝突壁37・液体通路57)を備えており、揚水軸90の上端に組み付けられて、揚水軸90と一体に回転する。タンク5の上端には、回転基板4の周囲を囲む衝突筒100が、タンク5と一体に設けてある。衝突筒100は上拡がりのテーパー状に形成してあり、その内周面は凹凸面で構成してある。先述の放射枠92は、衝突筒100の上端面で支持される。上ケース1aの下部には、タンク5に水を供給するための給水口101が開設してあり、給水口101を塞ぐキャップ102が装着してある。給水口101から本体ケース1内に注がれた水は、放射枠92の間を通ってタンク5に流れ込む。
【0046】
上ケース1aの上面には、生成したミストを本体ケース1の外へ送出するための送出口104が開設してあり、この送出口104を囲むようにノズル15が装着してある。上ケース1aの上面と送風ファン94との間には、上面でボール105を支持する円盤状のボール支持体106が配置してある。ボール支持体106には、送風ファン94のファンボス95と対向する部分を除く全体に、生成したミストを通過させる多数の通口107が開設してある。
【0047】
ボール105は、送出口104の最狭部である上端縁よりもやや大径に形成してある。常態におけるボール105は、ボール支持体106の上面中央に設けた収容筒部108に収容されて、通口107から送出口104へ向かう気流を妨げないが、ミスト発生装置の全体が下向きにされたときには、ボール105が送出口104に向かって落下して、想像線で示すように送出口104を塞いで、本体ケース1の内部の水が送出口104から漏れ出るのを防止する。
【0048】
スイッチボタン8をオン操作すると、メインモーター3が起動して、揚水軸90および回転基板4が回転駆動され、さらに送風ファン94が回転駆動される。揚水軸90が回転すると、遠心力の作用で、タンク5内の水が揚水軸90の外周面に沿って這い上がって、回転基板4のベース部36の下面に到る。回転基板4に到った水は、遠心力によって径方向外側へ跳ね飛ばされて、衝突壁37に何度か衝突して微細化され、次いで衝突筒100の凹凸面に衝突してさらに微細化される。こうして生成されたミストは、送風ファン94が形成する上向きの気流に乗って、放射枠92の間、ボール支持体106の通口107、および送出口104を順に通過して、ノズル15の先端から送出される。
【0049】
図20のミスト発生装置は、テーブルなどの水平面上に載置した状態で使用するものであって、有底状に形成した本体ケース1の内部が、区分壁111で上下に区画してある。区分壁111の上側のミスト生成室112には、ミストを生成するための回転基板4が収容してある。回転基板4は、天板38とともに、区分壁111の上面中央に配置した支持ベース32に固定してある。区分壁111の下側には、メインモーター3、タンク5、電池9、および制御部10などが収容してある。
【0050】
回転基板4で生成したミストは、図20に破線で示すように遠心方向に飛び出し、やがて上向きに変向して本体ケース1の上面開口へ向かう。本体ケース1の上面開口に顔を近付けると、顔の全体にミストを送給して肌面に潤いを与えることができる。
【0051】
遠心方向に飛び出したミストが途中で上向きに変向するのは、ミストの遠心方向の運動エネルギーが空気抵抗を受けて徐々に失われ、やがて支持ベース32の翼片70および導風筒72が形成する上向きの気流に吸い寄せられるためである。ミスト生成室112の周囲を囲む本体ケース1の周囲壁は、上記のミスト発生装置のフード14よりも大径に形成してあり、遠心方向に飛ばされたミストは、周囲壁に衝突するよりも先に遠心方向の運動エネルギーを失って、上向きの気流に吸い寄せられる。一方、上記のミスト発生装置においては、ミストがフード14の内面に一度は衝突してから上方へ送出される。
【0052】
その他、衝突壁列56は正円状に限られず、楕円状に形成することができる。回転基板4の上下両面に衝突壁列56を設けることができる。ポンプモーター26を省略して、メインモーター3を両軸型のモーターで構成し、送液ポンプ23をメインモーター3で駆動することができる。導風筒72を支持ベース32と別体に形成して、フード14や本体ケース1に固定することができる。給液管28の給液口45の位置は特に限定されないが、上記の実施例のように案内面47の下方に配置するか、あるいは周囲を案内面47に囲まれる導入体44の内側の領域に配置することが望ましい。
【0053】
衝突壁37の内面58を平坦面で構成することができる。このときの平坦面は、該平坦面の中心を通る回転基板4の径方向の直線に対して直交する。衝突壁37の側面60を湾曲面で形成することができる。この場合にも、液体通路57の通路幅を回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成することにより、外周側へ向かって液体通路57を流れる水を集束して、流速を大きくすることができる。内面58と側面60の区別を無くして、全体を1つの内凸状の円弧面で構成してもよい。
【0054】
回転基板4と天板38を支持ベース32に固定する際に、係止突起51の上端をかしめる固定構造に代えて、係止突起51にねじ込んだビスで回転基板4と天板38を締結固定する構造を採ることができる。なお、係止突起51の上端をかしめる方法と、係止突起51にビスをねじ込む方法とのいずれを採る場合でも、係止突起51は、支持ベース32の内面の少なくとも2個所に設けていれば足りる。
【符号の説明】
【0055】
1 本体ケース
3 メインモーター(モーター)
4 回転基板
5 タンク
23 送液ポンプ
26 ポンプモーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター(3)で回転駆動される回転基板(4)と、ミスト生成用の液体を収容するタンク(5)と、タンク(5)に収容した液体を回転基板(4)に送給する液体送給手段とを備え、
液体送給手段が、ポンプモーター(26)と、同モーター(26)で駆動される送液ポンプ(23)を含み、
使用開始時に、モーター(3)を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター(26)を起動することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
使用開始時に、モーター(3)を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター(26)を起動し、使用終了時に、ポンプモーター(26)を停止してから所定時間が経過したのち、モーター(3)を停止することを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項1】
モーター(3)で回転駆動される回転基板(4)と、ミスト生成用の液体を収容するタンク(5)と、タンク(5)に収容した液体を回転基板(4)に送給する液体送給手段とを備え、
液体送給手段が、ポンプモーター(26)と、同モーター(26)で駆動される送液ポンプ(23)を含み、
使用開始時に、モーター(3)を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター(26)を起動することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
使用開始時に、モーター(3)を起動してから所定時間が経過したのち、ポンプモーター(26)を起動し、使用終了時に、ポンプモーター(26)を停止してから所定時間が経過したのち、モーター(3)を停止することを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−245365(P2012−245365A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175822(P2012−175822)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2011−117644(P2011−117644)の分割
【原出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2011−117644(P2011−117644)の分割
【原出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]