ミニクリプトンランプ型LED電球
【課題】ダウンライト照明器具に適したミニクリプトンランプ型LED電球を提供する。
【解決手段】このミニクリプトンランプ型LED電球10は、天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いるものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、例えば、LED11Aを実装した複数の長方形の側面基板11Bを多角柱状に配設し、その一方の端部に、LED11Aを実装した天井基板11Cを配設した多面体LEDユニット11を有している。多面体LEDユニット11の他方の端部には、例えば、底面基盤12及び口金接続部13を介して口金14が配設されている。
【解決手段】このミニクリプトンランプ型LED電球10は、天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いるものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、例えば、LED11Aを実装した複数の長方形の側面基板11Bを多角柱状に配設し、その一方の端部に、LED11Aを実装した天井基板11Cを配設した多面体LEDユニット11を有している。多面体LEDユニット11の他方の端部には、例えば、底面基盤12及び口金接続部13を介して口金14が配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源に使用したミニクリプトンランプ型LED電球に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの発光効率の向上に伴い、白熱電球や電球型蛍光ランプの代替品としてLEDを光源とした電球型のLED電球が知られている。このようなLED電球としては、例えば、LEDを有する平面状基盤を配設すると共に、外郭部の内部に、絶縁部材を介してLED点灯用の点灯回路を収容した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、LEDは、温度が上昇するに従い、光出力が低下し、寿命も短くなることが知られている。そのため、発熱を抑制することが求められており、その解決手段として、例えば、外郭部材を金属材料にしてLEDの発熱を熱伝導により周部に放熱する方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−313717号公報(第5頁から第6頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のLEDの場合、LEDを実装した平面状の基板が口金に対して垂直に搭載されているので、搭載面の前方側照度は十分に確保することができるが、口金側の180度における照度は乏しいという問題があった。よって、ダウンライト照明器具のように、電球全体から放射される光を器具の反射板によって真下方向に照射する場合、LED電球の取り付け角度が天井に対して垂直であれば照度は確保される場合はあるが、それ以外の場合には、従来の照明範囲及び高い光束を確保することができなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載のLED電球の場合、LEDを実装した光源用基盤と、LED点灯用の点灯回路基板とを別個に設けているので、それぞれのスペースが必要となると共に、外郭部のLEDの放熱対策構造を必要とするため、小型化が容易にできないという問題もあった。
【0007】
更に、外郭部にLEDの放熱対策構造を設けているLED電球の場合、LED電球自体が発熱しなくとも、周辺温度が36℃以上になりうる環境、例えば、断熱材施工照明器具SB形、SGI形、SG形等のいわゆるダウンライト照明器具に用いると、外郭部を介してLEDに周辺の熱が伝達されてしまい、LEDの性能及び寿命が低下してしまうという問題があった。そのため、従来のLED電球は使用条件が多く、汎用性に乏しかった。
【0008】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、ダウンライト照明器具に適したミニクリプトンランプ型LED電球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のミニクリプトンランプ型LED電球は、複数のLEDが実装された複数の側面基板を多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLEDが実装された天井基板を配設した多面体LEDユニットを有し、この多面体LEDユニットの他方の端部には、口金接続部を介して口金が配設され、天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のミニクリプトンランプ型LED電球によれば、複数のLEDが実装された複数の側面基板を多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLEDが実装された天井基板を配設した多面体LEDユニットを有するようにしたので、口金方向への配光を80度以上広げることができる。よって、ダウンライト照明器具への取り付け角度等の使用条件がなく、ダウンライト照明器具用として広く用いることができる。特に、口金の取り付け角度が垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内であるダウンライト照明器具に高い効果を得ることができる。
【0011】
また、多面体LEDユニット及び口金接続部の内部に点灯回路を備えるようにすれば、小型化することができ、ダウンライト照明器具用としてより適したものとすることができる。
【0012】
更に、点灯回路に限流素子を用い、LEDの自己発熱を抑制する電流値で給電するようにすれば、放熱部が不要となり、ダウンライト照明器具に用いても、温度の上昇を抑制することができ、特性の低下を抑制することができる。
【0013】
加えて、点灯回路に、ダイオードブリッジと、ダイオードブリッジとLEDとの間においてLEDと並列に接続された第1コンデンサと、ダイオードブリッジと電源との間に直列に接続される第2コンデンサとを備えるようにすれば、ノイズを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球の構成を表す斜視図である。
【図2】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球にカバーを装着した斜視図である。
【図3】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球の内部構造を表す断面図である。
【図4】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球をダウンライト照明器具に取り付けた状態を説明する図である。
【図5】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球をダウンライト照明器具に取り付ける取り付け角度を示す図である。
【図6】特許文献1に記載のLED電球の構成を表す図である。
【図7】特許文献1のLED電球をダウンライト照明器具に取り付けることができない例を説明する図である。
【図8】特許文献1のLED電球をダウンライト照明器具に取り付けることができた例を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球の点灯回路の構成を表す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球についてノイズを測定した結果を表す図である。
【図11】市販のLED電球についてノイズを測定した結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1及び図2は、第1の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球1の外観構成を表すものであり、図3は、図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球1の内部構造を表すものである。
【0017】
このミニクリプトンランプ型LED電球10は、天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いるものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、例えば、LED11Aを実装した複数の長方形の側面基板11Bを多角柱状に配設し、その一方の端部に、LED11Aを実装した天井基板11Cを配設した多面体LEDユニット11を有している。
【0018】
なお、図1では、5枚の側面基盤11Bを5角柱状に配設した場合について示したが、6枚以上の側面基盤11Bを配設するようにしてもよく、4枚以下の側面基盤11Bを配設するようにしてもよい。また、図1では、1枚の側面基盤11B及び1枚の天井基盤11Cに3個のLEDをそれぞれ実装する場合について示したが、1個又は2個でもよく、4個以上でもよい。更に、光源には、LED11Aに替えてEL(エレクトリックルミネッセンス)を用いることも可能である。
【0019】
多面体LEDユニット11の他方の端部には、例えば、底面基盤12及び口金接続部13を介して口金14が配設されている。口金14は、通常は、例えば、E17と称されるねじ込みタイプが用いられるが、一般照明用電球が装着されるソケットに取り付け可能であれば、これに限定されない。
【0020】
多面体LEDユニット11及び口金接続部13の内部は中空状であり、それらの内部には、例えば、点灯回路15が配設され、口金14を介して電源から給電されるようになっている。点灯回路15は、例えば、回路部品15A、ダイオードブリッジ15B、コンデンサ15C、及び限流素子15Dを有している。口金14から供給される商用交流電源は、点灯回路14に搭載されたダイオードブリッジ15B、コンデンサ15C、及び限流素子15Dによって整流平滑された定電圧、定電流でLED11Aの点灯を行う。
【0021】
なお、限流素子15Dというのは、例えば、抵抗素子あるいは定電流ダイオードにより構成され、LED11Aに供給する電流値を制限するものである。この限流素子15Dを用いた点灯回路15により、LED11Aには、自己発熱を抑制する電流値で給電されるように構成されている。
【0022】
多面体LEDユニット11の外側は、例えば、透光性カバー16により覆われている。透光性カバー16は、例えば、口金接続部13の凹部13Aに一端部が差し込まれることにより配設されている。透光性カバー16及び口金接続部13は、例えば、ポリカーボネートにより構成することが好ましい。金属材料に比べて熱を伝達しにくいので、外の熱がLED11Aに伝わりにくく、LED11Aの近傍温度が上昇することを抑制することができると共に、透光性及び難燃性を兼ね備えているからである。なお、これらの条件を満たすかそれ以上の材料があればそれを用いることも可能である。
【0023】
このミニクリプトンランプ型LED電球10の寸法は、例えば、ミニクリプトンランプの寸法規格に対応し、長手寸法を67mm以下、幅寸法を35mm以下とすることが好ましい。これによりミニクリプトンランプが装着されるダウンライト照明器具にそのまま装着することが可能となる。
【0024】
図4は、ミニクリプトンランプ型LED電球10をダウンライト照明器具20に取り付けた状態を表すものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、例えば、天井21に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具20のソケット22に口金14を取り付けて用いられる。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、ダウンライト照明器具209の中心に光源中心が位置するように構成されることが好ましく、ミニクリプトンランプ型LED電球10から多方向に放射される光が反射板23で反射することで、矢印で示したように、真下方向に照射し、照射範囲24では高い光束を得ることができるようになっている。
【0025】
図5は、ミニクリプトンランプ型LED電球10の取り付け角度を説明するものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、口金14の取り付け角度、すなわちソケット22の取り付け角度が、垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内のダウンライト照明器具20に対して好ましく用いられる。図4で説明したように、このミニクリプトンランプ型LED電球10では、多方向に光を照射することができるので、垂直方向に対して角度を持たせて斜めに取り付ける場合であっても、真下方向において高い光束を得ることができるからである。なお、このように口金14の取り付け角度を垂直ではなく、垂直方向に対して角度を持たせるようにすれば、ダウンライト照明器具20の高さを低くすることができるので好ましい。
【0026】
図6は、特許文献1に記載のLED電球110の構成を表すものである。このLED電球110は、複数のLED111が平面状の基板に実装されており、透光性カバー112を通して、LED111の搭載面の前方側に、矢印で示したように光が照射される。よって、前方側の照度は十分に確保されるが、口金方向側の照度はほとんどない。また、LED111と口金113との間に設けられたベース114は、放熱構造を備えているので、放熱効率を高くするために長さが必要であり、小型化が難しい。
【0027】
図7は、特許文献1に記載のLED電球110をダウンライト照明器具20に装着する場合を示したものである。このように、特許文献1に記載のLED電球110では、大きさが大きいので、口金113とダウンライト照明器具20のソケット22とが同サイズであっても、LED電球110がダウンライト照明器具20に接触してしまい、装着することができない。
【0028】
図8は、特許文献1に記載のLED電球110をダウンライト照明器具20に装着できたとした場合の照射範囲を示すものである。このように、特許文献1に記載のLED電球110では、ダウンライト照明器具20に装着できたとしても、LED111を実装した平面状の基板を口金113に対して垂直に配設しているので、光の照射方向が限定され、照射範囲22は本実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球10とは大きく異なり(図4参照)、高い光束も確保できない。よって、ダウンライト照明器具20に用いることは難しい。
【0029】
このように本実施の形態によれば、複数のLED11Aが実装された複数の側面基板11Bを多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLED11Aが実装された天井基板11Cを配設した多面体LEDユニット11を有するようにしたので、口金方向への配光を80度以上広げることができる。よって、ダウンライト照明器具20への取り付け角度等の使用条件がなく、ダウンライト照明器具用として広く用いることができる。特に、口金14の取り付け角度が垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内であるダウンライト照明器具20に高い効果を得ることができる。
【0030】
また、多面体LEDユニット11及び口金接続部13の内部に点灯回路15を備えるようにすれば、小型化することができ、ダウンライト照明器具用としてより適したものとすることができる。
【0031】
更に、点灯回路15に限流素子15Dを用い、LED11Aの自己発熱を抑制する電流値で給電するようにすれば、放熱部が不要となり、ダウンライト照明器具20に用いても、温度の上昇を抑制することができ、特性の低下を抑制することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球30は、点灯回路35の構成が異なることを除き、他は第1の実施の形態と同一の構成を有している。よって、同一部分の説明は省略する。
【0033】
図9は点灯回路35の構成を表すものである。点灯回路35は、例えば、整流回路であるダイオードブリッジ35Aと、ダイオードブリッジ35AとLED11Aとの間においてLED11Aと並列に接続された平滑回路としての第1コンデンサ35Bと、第1コンデンサ35Bと並列に接続された第1抵抗35Cとを備えている。これにより、点灯回路35では、ダイオードブリッジ35Aにより交流電圧を直流電圧とし、第1コンデンサ35Bにより直流電圧を平滑化し、ノイズを小さくすることができるようになっている。
【0034】
また、点灯回路35は、例えば、ダイオードブリッジ35Aと電源40との間に直列に接続される第2コンデンサ35D及び第2抵抗35Eを備えている。第2コンデンサ35Dは複数設けるようにしてもよく、各第2コンデンサ35Dは互いに並列に接続される。この第2コンデンサ35Dによりノイズを小さくすることができるようになっている。第2抵抗35Eは、突入電流を抑制するためのものである。点灯回路35は、更に、電力ヒューズ35Fを備えていることが好ましい。
【0035】
このようにノイズの少ない電子部品を用いて点灯回路35を構成すれば、ノイズを小さくすることができるので好ましい。図10に本実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球30のノイズ(雑音端子電圧)を測定した結果を示す。また、図11に市販されている他のLED電球のノイズ(雑音端子電圧)を測定した結果を示す。なお、図10及び図11では、2回の測定した結果をそれぞれ示した。図10と図11とを比較すると、本実施の形態によれば、ノイズを非常に少なくすることができることが分かる。
【0036】
このように本実施の形態によれば、点灯回路35に、ダイオードブリッジ35Aと、ダイオードブリッジ35AとLED11Aとの間においてLED11Aと並列に接続された第1コンデンサ35Bと、ダイオードブリッジと電源との間に直接に接続された第2コンデンサ35Dとを備えるようにすれば、ノイズを少なくすることができる。
【0037】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ダウンライト照明器具用の電球として用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
10,30…ミニクリプトンランプ型LED電球、11…多面体LEDユニット、11A…LED、11B…側面基板、11C…天井基板、12…底面基板、13…口金接続部、13A…凹部、14…口金、15,35…点灯回路、15A…回路部品、15B…ダイオードブリッジ、15C…コンデンサ、15D…限流素子、16…透光性カバー、20…ダウンライト照明器具、21…天井、22…ソケット、23…反射板、24…照射範囲、35A…ダイオードブリッジ、35B…第1コンデンサ、35C…第2抵抗、35D…第2コンデンサ、35E…第2抵抗、35F…電力ヒューズ、40…電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源に使用したミニクリプトンランプ型LED電球に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの発光効率の向上に伴い、白熱電球や電球型蛍光ランプの代替品としてLEDを光源とした電球型のLED電球が知られている。このようなLED電球としては、例えば、LEDを有する平面状基盤を配設すると共に、外郭部の内部に、絶縁部材を介してLED点灯用の点灯回路を収容した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、LEDは、温度が上昇するに従い、光出力が低下し、寿命も短くなることが知られている。そのため、発熱を抑制することが求められており、その解決手段として、例えば、外郭部材を金属材料にしてLEDの発熱を熱伝導により周部に放熱する方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−313717号公報(第5頁から第6頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のLEDの場合、LEDを実装した平面状の基板が口金に対して垂直に搭載されているので、搭載面の前方側照度は十分に確保することができるが、口金側の180度における照度は乏しいという問題があった。よって、ダウンライト照明器具のように、電球全体から放射される光を器具の反射板によって真下方向に照射する場合、LED電球の取り付け角度が天井に対して垂直であれば照度は確保される場合はあるが、それ以外の場合には、従来の照明範囲及び高い光束を確保することができなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載のLED電球の場合、LEDを実装した光源用基盤と、LED点灯用の点灯回路基板とを別個に設けているので、それぞれのスペースが必要となると共に、外郭部のLEDの放熱対策構造を必要とするため、小型化が容易にできないという問題もあった。
【0007】
更に、外郭部にLEDの放熱対策構造を設けているLED電球の場合、LED電球自体が発熱しなくとも、周辺温度が36℃以上になりうる環境、例えば、断熱材施工照明器具SB形、SGI形、SG形等のいわゆるダウンライト照明器具に用いると、外郭部を介してLEDに周辺の熱が伝達されてしまい、LEDの性能及び寿命が低下してしまうという問題があった。そのため、従来のLED電球は使用条件が多く、汎用性に乏しかった。
【0008】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、ダウンライト照明器具に適したミニクリプトンランプ型LED電球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のミニクリプトンランプ型LED電球は、複数のLEDが実装された複数の側面基板を多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLEDが実装された天井基板を配設した多面体LEDユニットを有し、この多面体LEDユニットの他方の端部には、口金接続部を介して口金が配設され、天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のミニクリプトンランプ型LED電球によれば、複数のLEDが実装された複数の側面基板を多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLEDが実装された天井基板を配設した多面体LEDユニットを有するようにしたので、口金方向への配光を80度以上広げることができる。よって、ダウンライト照明器具への取り付け角度等の使用条件がなく、ダウンライト照明器具用として広く用いることができる。特に、口金の取り付け角度が垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内であるダウンライト照明器具に高い効果を得ることができる。
【0011】
また、多面体LEDユニット及び口金接続部の内部に点灯回路を備えるようにすれば、小型化することができ、ダウンライト照明器具用としてより適したものとすることができる。
【0012】
更に、点灯回路に限流素子を用い、LEDの自己発熱を抑制する電流値で給電するようにすれば、放熱部が不要となり、ダウンライト照明器具に用いても、温度の上昇を抑制することができ、特性の低下を抑制することができる。
【0013】
加えて、点灯回路に、ダイオードブリッジと、ダイオードブリッジとLEDとの間においてLEDと並列に接続された第1コンデンサと、ダイオードブリッジと電源との間に直列に接続される第2コンデンサとを備えるようにすれば、ノイズを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球の構成を表す斜視図である。
【図2】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球にカバーを装着した斜視図である。
【図3】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球の内部構造を表す断面図である。
【図4】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球をダウンライト照明器具に取り付けた状態を説明する図である。
【図5】図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球をダウンライト照明器具に取り付ける取り付け角度を示す図である。
【図6】特許文献1に記載のLED電球の構成を表す図である。
【図7】特許文献1のLED電球をダウンライト照明器具に取り付けることができない例を説明する図である。
【図8】特許文献1のLED電球をダウンライト照明器具に取り付けることができた例を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球の点灯回路の構成を表す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球についてノイズを測定した結果を表す図である。
【図11】市販のLED電球についてノイズを測定した結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1及び図2は、第1の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球1の外観構成を表すものであり、図3は、図1に示したミニクリプトンランプ型LED電球1の内部構造を表すものである。
【0017】
このミニクリプトンランプ型LED電球10は、天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いるものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、例えば、LED11Aを実装した複数の長方形の側面基板11Bを多角柱状に配設し、その一方の端部に、LED11Aを実装した天井基板11Cを配設した多面体LEDユニット11を有している。
【0018】
なお、図1では、5枚の側面基盤11Bを5角柱状に配設した場合について示したが、6枚以上の側面基盤11Bを配設するようにしてもよく、4枚以下の側面基盤11Bを配設するようにしてもよい。また、図1では、1枚の側面基盤11B及び1枚の天井基盤11Cに3個のLEDをそれぞれ実装する場合について示したが、1個又は2個でもよく、4個以上でもよい。更に、光源には、LED11Aに替えてEL(エレクトリックルミネッセンス)を用いることも可能である。
【0019】
多面体LEDユニット11の他方の端部には、例えば、底面基盤12及び口金接続部13を介して口金14が配設されている。口金14は、通常は、例えば、E17と称されるねじ込みタイプが用いられるが、一般照明用電球が装着されるソケットに取り付け可能であれば、これに限定されない。
【0020】
多面体LEDユニット11及び口金接続部13の内部は中空状であり、それらの内部には、例えば、点灯回路15が配設され、口金14を介して電源から給電されるようになっている。点灯回路15は、例えば、回路部品15A、ダイオードブリッジ15B、コンデンサ15C、及び限流素子15Dを有している。口金14から供給される商用交流電源は、点灯回路14に搭載されたダイオードブリッジ15B、コンデンサ15C、及び限流素子15Dによって整流平滑された定電圧、定電流でLED11Aの点灯を行う。
【0021】
なお、限流素子15Dというのは、例えば、抵抗素子あるいは定電流ダイオードにより構成され、LED11Aに供給する電流値を制限するものである。この限流素子15Dを用いた点灯回路15により、LED11Aには、自己発熱を抑制する電流値で給電されるように構成されている。
【0022】
多面体LEDユニット11の外側は、例えば、透光性カバー16により覆われている。透光性カバー16は、例えば、口金接続部13の凹部13Aに一端部が差し込まれることにより配設されている。透光性カバー16及び口金接続部13は、例えば、ポリカーボネートにより構成することが好ましい。金属材料に比べて熱を伝達しにくいので、外の熱がLED11Aに伝わりにくく、LED11Aの近傍温度が上昇することを抑制することができると共に、透光性及び難燃性を兼ね備えているからである。なお、これらの条件を満たすかそれ以上の材料があればそれを用いることも可能である。
【0023】
このミニクリプトンランプ型LED電球10の寸法は、例えば、ミニクリプトンランプの寸法規格に対応し、長手寸法を67mm以下、幅寸法を35mm以下とすることが好ましい。これによりミニクリプトンランプが装着されるダウンライト照明器具にそのまま装着することが可能となる。
【0024】
図4は、ミニクリプトンランプ型LED電球10をダウンライト照明器具20に取り付けた状態を表すものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、例えば、天井21に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具20のソケット22に口金14を取り付けて用いられる。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、ダウンライト照明器具209の中心に光源中心が位置するように構成されることが好ましく、ミニクリプトンランプ型LED電球10から多方向に放射される光が反射板23で反射することで、矢印で示したように、真下方向に照射し、照射範囲24では高い光束を得ることができるようになっている。
【0025】
図5は、ミニクリプトンランプ型LED電球10の取り付け角度を説明するものである。このミニクリプトンランプ型LED電球10は、口金14の取り付け角度、すなわちソケット22の取り付け角度が、垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内のダウンライト照明器具20に対して好ましく用いられる。図4で説明したように、このミニクリプトンランプ型LED電球10では、多方向に光を照射することができるので、垂直方向に対して角度を持たせて斜めに取り付ける場合であっても、真下方向において高い光束を得ることができるからである。なお、このように口金14の取り付け角度を垂直ではなく、垂直方向に対して角度を持たせるようにすれば、ダウンライト照明器具20の高さを低くすることができるので好ましい。
【0026】
図6は、特許文献1に記載のLED電球110の構成を表すものである。このLED電球110は、複数のLED111が平面状の基板に実装されており、透光性カバー112を通して、LED111の搭載面の前方側に、矢印で示したように光が照射される。よって、前方側の照度は十分に確保されるが、口金方向側の照度はほとんどない。また、LED111と口金113との間に設けられたベース114は、放熱構造を備えているので、放熱効率を高くするために長さが必要であり、小型化が難しい。
【0027】
図7は、特許文献1に記載のLED電球110をダウンライト照明器具20に装着する場合を示したものである。このように、特許文献1に記載のLED電球110では、大きさが大きいので、口金113とダウンライト照明器具20のソケット22とが同サイズであっても、LED電球110がダウンライト照明器具20に接触してしまい、装着することができない。
【0028】
図8は、特許文献1に記載のLED電球110をダウンライト照明器具20に装着できたとした場合の照射範囲を示すものである。このように、特許文献1に記載のLED電球110では、ダウンライト照明器具20に装着できたとしても、LED111を実装した平面状の基板を口金113に対して垂直に配設しているので、光の照射方向が限定され、照射範囲22は本実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球10とは大きく異なり(図4参照)、高い光束も確保できない。よって、ダウンライト照明器具20に用いることは難しい。
【0029】
このように本実施の形態によれば、複数のLED11Aが実装された複数の側面基板11Bを多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLED11Aが実装された天井基板11Cを配設した多面体LEDユニット11を有するようにしたので、口金方向への配光を80度以上広げることができる。よって、ダウンライト照明器具20への取り付け角度等の使用条件がなく、ダウンライト照明器具用として広く用いることができる。特に、口金14の取り付け角度が垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内であるダウンライト照明器具20に高い効果を得ることができる。
【0030】
また、多面体LEDユニット11及び口金接続部13の内部に点灯回路15を備えるようにすれば、小型化することができ、ダウンライト照明器具用としてより適したものとすることができる。
【0031】
更に、点灯回路15に限流素子15Dを用い、LED11Aの自己発熱を抑制する電流値で給電するようにすれば、放熱部が不要となり、ダウンライト照明器具20に用いても、温度の上昇を抑制することができ、特性の低下を抑制することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球30は、点灯回路35の構成が異なることを除き、他は第1の実施の形態と同一の構成を有している。よって、同一部分の説明は省略する。
【0033】
図9は点灯回路35の構成を表すものである。点灯回路35は、例えば、整流回路であるダイオードブリッジ35Aと、ダイオードブリッジ35AとLED11Aとの間においてLED11Aと並列に接続された平滑回路としての第1コンデンサ35Bと、第1コンデンサ35Bと並列に接続された第1抵抗35Cとを備えている。これにより、点灯回路35では、ダイオードブリッジ35Aにより交流電圧を直流電圧とし、第1コンデンサ35Bにより直流電圧を平滑化し、ノイズを小さくすることができるようになっている。
【0034】
また、点灯回路35は、例えば、ダイオードブリッジ35Aと電源40との間に直列に接続される第2コンデンサ35D及び第2抵抗35Eを備えている。第2コンデンサ35Dは複数設けるようにしてもよく、各第2コンデンサ35Dは互いに並列に接続される。この第2コンデンサ35Dによりノイズを小さくすることができるようになっている。第2抵抗35Eは、突入電流を抑制するためのものである。点灯回路35は、更に、電力ヒューズ35Fを備えていることが好ましい。
【0035】
このようにノイズの少ない電子部品を用いて点灯回路35を構成すれば、ノイズを小さくすることができるので好ましい。図10に本実施の形態に係るミニクリプトンランプ型LED電球30のノイズ(雑音端子電圧)を測定した結果を示す。また、図11に市販されている他のLED電球のノイズ(雑音端子電圧)を測定した結果を示す。なお、図10及び図11では、2回の測定した結果をそれぞれ示した。図10と図11とを比較すると、本実施の形態によれば、ノイズを非常に少なくすることができることが分かる。
【0036】
このように本実施の形態によれば、点灯回路35に、ダイオードブリッジ35Aと、ダイオードブリッジ35AとLED11Aとの間においてLED11Aと並列に接続された第1コンデンサ35Bと、ダイオードブリッジと電源との間に直接に接続された第2コンデンサ35Dとを備えるようにすれば、ノイズを少なくすることができる。
【0037】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ダウンライト照明器具用の電球として用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
10,30…ミニクリプトンランプ型LED電球、11…多面体LEDユニット、11A…LED、11B…側面基板、11C…天井基板、12…底面基板、13…口金接続部、13A…凹部、14…口金、15,35…点灯回路、15A…回路部品、15B…ダイオードブリッジ、15C…コンデンサ、15D…限流素子、16…透光性カバー、20…ダウンライト照明器具、21…天井、22…ソケット、23…反射板、24…照射範囲、35A…ダイオードブリッジ、35B…第1コンデンサ、35C…第2抵抗、35D…第2コンデンサ、35E…第2抵抗、35F…電力ヒューズ、40…電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが実装された複数の側面基板を多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLEDが実装された天井基板を配設した多面体LEDユニットを有し、
この多面体LEDユニットの他方の端部には、口金接続部を介して口金が配設され、
天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いる
ことを特徴とするミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項2】
前記口金の取り付け角度が垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内であるダウンライト照明器具に用いることを特徴とする請求項1記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項3】
前記多面体LEDユニット及び口金接続部の内部に点灯回路を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項4】
前記点灯回路に限流素子を用い、LEDの自己発熱を抑制する電流値で給電することを特徴とする請求項3記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項5】
前記点灯回路は、ダイオードブリッジと、ダイオードブリッジとLEDとの間においてLEDと並列に接続された第1コンデンサと、ダイオードブリッジと電源との間に直列に接続される第2コンデンサとを備えたことを特徴とする請求項3記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項1】
複数のLEDが実装された複数の側面基板を多角柱状に配設し、その一方の端部に、複数のLEDが実装された天井基板を配設した多面体LEDユニットを有し、
この多面体LEDユニットの他方の端部には、口金接続部を介して口金が配設され、
天井に埋め込んで取り付けるダウンライト照明器具に用いる
ことを特徴とするミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項2】
前記口金の取り付け角度が垂直方向に対して30度以上90度以下の範囲内であるダウンライト照明器具に用いることを特徴とする請求項1記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項3】
前記多面体LEDユニット及び口金接続部の内部に点灯回路を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項4】
前記点灯回路に限流素子を用い、LEDの自己発熱を抑制する電流値で給電することを特徴とする請求項3記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【請求項5】
前記点灯回路は、ダイオードブリッジと、ダイオードブリッジとLEDとの間においてLEDと並列に接続された第1コンデンサと、ダイオードブリッジと電源との間に直列に接続される第2コンデンサとを備えたことを特徴とする請求項3記載のミニクリプトンランプ型LED電球。
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−55043(P2013−55043A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171856(P2012−171856)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(309043643)有限会社サイカツ建設 (2)
【出願人】(310000956)新屋工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(309043643)有限会社サイカツ建設 (2)
【出願人】(310000956)新屋工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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