説明

ミラーシステム及びエントランスポールシステム

【課題】悪意の侵入者に対してはその警戒心を高め、善意の訪問者に対して不快感を与えない。
【解決手段】ミラーシステムは、住宅1の戸外であって住宅1に隣接する道路2に面する箇所に設置されるエントランスポール11を備えるエントランスポールシステムであって、このエントランスポール11が、筐体21と、筐体21の少なくとも一側面に設けられたハーフミラー22a、22bと、筐体21に収納された第1の光源24とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の戸外であって住宅に隣接する道路に面する箇所に設置されるミラーシステム及びエントランスポールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの玄関先や庭先に設置される、訪問者が戸内に案内を請うための呼び鈴やドアホン装置を備えるエントランスポールが知られている。このエントランスポールは、例えば、柱状の筐体の頂部に照明ランプを備え付け、夜間の訪問者のために周囲をライトアップする。
【0003】
しかし、この照明ランプはエントランスポール自体を照明しないので、筐体の側面に備え付けたドアホン装置や呼び鈴の位置を訪問者が確認しづらいという問題があった。
【0004】
そこで、頂部に照明ランプを備え、壁面にドアホン装置を設けたエントランスポールにおいて、裏面が反射面である反射板がドアホン装置よりも上方に固定され、照明ランプの光が反射板で反射してドアホン装置に照射されるものが提案されている(特許文献1参照)。これにより、ドアホン装置の位置や操作盤などを容易に確認することが可能となる。
【特許文献1】特開平08−260757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅の戸外に設置された鏡は、人目を気にしながら侵入しようとする者の警戒心を高め、侵入を思い留まらせる一定の効果(侵入抑止効果)を有する。しかし、上記のエントランスポールが有する反射板の表面には反射面は形成されていないので、上記の効果が得られない。また、住宅の戸外に設置された鏡は、その一方で、家人や善意の訪問者に対しては監視されているという意識が高まり不快感を与えてしまうというデメリットも有している。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、悪意の侵入者に対してはその警戒心を高め、善意の訪問者に対して不快感を与えないミラーシステム及びエントランスポールシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、住宅の戸外であって住宅に隣接する道路に面する箇所に設置されるミラーシステムであって、このミラーシステムが、筐体と、筐体の少なくとも一側面に設けられたハーフミラーと、筐体に収納された第1の光源とを備えることである。
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、第1の光源の点灯及び消灯によって筐体の内から外へ透過する光の強度と調整することができるので、ハーフミラーを鏡として使用する場合とそうではない場合とを使い分けることができる。よって、悪意の侵入者に対してはその警戒心を高め、善意の訪問者に対して隣接道路を照明して不快感を与えないミラーシステムを提供することができる。
【0009】
本発明の第1の特徴において、筐体の総ての側面にハーフミラーを設けてもよい。これにより、反射面が増えるので侵入者の警戒心を更に高めることができる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、住宅への往来に使用する通路に面して設置された上記のミラーシステムと、筐体の側面に設けられた表札板を備えるエントランスポールシステムであって、第1の光源が放つ光の一部がハーフミラーを透過することにより通路を照明することである。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば、住宅への往来に使用する通路が照明されるので、例えば夜間において家人や善意の訪問者の足下が明るくなり、安全に往来することができる。
【0012】
本発明の第2の特徴において、第1の光源が放つ光の一部がハーフミラーを透過することにより表札板に記載された画像がハーフミラー上に映写され、第1の光源の点灯状態と消灯状態を切換えることにより表札板に記載された画像を表示するか否かを制御してもよい。これにより、第1の光源の点灯及び消灯を制御すれば、表札の画像(表札名)をハーフミラー上に映し出し、或いは表札名を伏せて鏡として機能させることができる。
【0013】
本発明の第2の特徴において、エントランスポールシステムが、第1の光源の点灯状態と消灯状態を切換える第1の電源スイッチを更に備えていてもよい。第1のスイッチを切換えることにより、ハーフミラーを鏡として使用する状態と、往来時の照明として使用する状態とを切換えることができる。
【0014】
本発明の第2の特徴において、第1の電源スイッチを手動によって動作可能とすれば、家人などは、第1のスイッチを操作することにより、ハーフミラーを鏡として使用する状態と、往来時の照明として使用する状態とを使い分けることができる。
【0015】
本発明の第2の特徴において、エントランスポールシステムは、時間又は時刻を計時する計時部と、所定の時間又は時刻を計時した時に第1の電源スイッチを切換えるスイッチ操作部とを更に備えていてもよい。所定の時間又は時刻を計時すれば、家人などが操作することなく、ハーフミラーを鏡として使用する状態と、往来時の照明として使用する状態とが切り替わり、ユーザの利便性が向上する。
【0016】
本発明の第2の特徴において、エントランスポールシステムは、筐体内の空間を第1の光源が配置された第1の空間と第2の空間に分割する仕切壁と、第2の空間に配置された第2の光源とを更に備え、仕切壁は、第1の空間と第2の空間の間で光を遮蔽し、第2の光源が放つ光の一部がハーフミラーを透過することにより表札板に記載された画像がハーフミラー上に映写されるようにしてもよい。これにより、第1の光源の点灯/消灯とは無関係に、第2の光源の点灯及び消灯を制御すれば、表札の画像(表札名)をハーフミラー上に映し出し、或いは表札名を伏せて鏡として機能させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、悪意の侵入者に対してはその警戒心を高め、善意の訪問者に対して不快感を与えないミラーシステム及びエントランスポールシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
(第1の実施の形態)
先ず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係わるエントランスポールシステムが備えるエントランスポール11の設置例を説明する。エントランスポール11は、住宅1の戸外であって住宅1に隣接する道路2(前面道路)に面する箇所に設置される。具体的には、敷地3内に住宅1が建築され、敷地3の一端が道路2に面している。住宅の出入り口(玄関)に玄関扉4が取り付けられ、住宅1への往来に使用する通路6が玄関扉4と道路2とを繋ぐように敷地3内に形成されている。
【0019】
エントランスポール11は、住宅1の戸外であって道路2に面する敷地3の一端に設置されている。また同時に、エントランスポール11は通路6にも面している。このように、エントランスポール11は、住宅1の戸外であって、敷地3に隣接する道路2及び住宅1への往来に使用する通路6に同時に面する敷地3の一端に設置されている。
【0020】
道路2に面する敷地3の一端のうち、通路6及びエントランスポール11が設けられていない部分には生垣5が設置されている。
【0021】
次に、図2を参照して、図1のエントランスポール11の概略構成を説明する。エントランスポール11は、道路2に面する第1の側面及び通路6に面する第2の側面を有する筐体21と、筐体21の第1の側面に設けられた道路側ハーフミラー22と、筐体21の第2の側面に設けられた通路側ハーフミラー23とを備える。
【0022】
なお、ここでは、筐体21の二側面各々にハーフミラー(22、23)が設けられている場合について説明するが、ハーフミラーは少なくとも道路側又は通路側のいずれか一方の側面に設けられていればよい。また、筐体21の総ての側面(四側面)各々にハーフミラーが設けられているエントランスポールについては図5を参照して後述する。
【0023】
また、筐体21が正方形の底面及び上面と、底面と上面に垂直に交わる4つの側面を有する直方体の形状を有する場合について説明するが、筐体の形状はこれに限定されない。筐体は、ハーフミラーが設けられた少なくとも1つの平坦な側面を有していれば、その他の多角柱又は多面体、或いは一部に曲面を有する多角柱や多面体であっても構わない。
【0024】
次に、図3(a)を参照して、図2のA−A切断面におけるエントランスポール11の内部構成を説明する。エントランスポール11の筐体21は柱状であり、エントランスポール11は、筐体21に収納された第1の光源24を備える。また、エントランスポール11は、筐体21内の空間を第1の光源24が配置された第1の空間SP1と第2の空間SP2に分割する仕切壁28と、第2の空間SP2に配置された第2の光源25とを更に備える。仕切壁28は、筐体21内の空間を高さ方向に二分割し、第1の空間SP1と第2の空間SP2の間で光を遮蔽する。
【0025】
道路側ハーフミラー22は、第1の空間SP1に面する第1の道路側ハーフミラー22aと、第2の空間SP2に面する第2の道路側ハーフミラー22bとからなる。なお、道路側ハーフミラー22は、仕切壁28を境にして上下方向に2つの部材に分割されているが、これに限らず、道路側ハーフミラーを一体物として構成しても構わない。
【0026】
第1の道路側ハーフミラー22aは、第1の光源24が放つ光の一部反射し、他の一部を透過する機能を備えるので、第1の道路側ハーフミラー22aを透過する一部の光によってエントランスポール11の周囲を照明することができる。
【0027】
同様に、第2の道路側ハーフミラー22bは、第2の光源25が放つ光の一部反射し、他の一部を透過する機能を備えるので、第2の道路側ハーフミラー22bを透過する一部の光によってエントランスポール11の周囲を照明することができる。更に、第2の道路側ハーフミラー22bと第2の光源25との間には、光の透過率を変化させることにより居住者の名の画像を表示可能な表札板26が設置されている。ここでは、第2の道路側ハーフミラー22bの内面に表札板26が貼り付けられている場合を示しているが、両者は離間していても構わない。
【0028】
表札板26は、第2の光源25が放つ光を透過し、透過する際に光を拡散する半透過性の板である。例えば、表札板26のうち居住者の名の画像部分だけを黒色にして光の透過率を下げれば、居住者の名の画像部分が暗くなり、その他の下地部分が明るくなる。よって、第2の光源25が放つ光の一部が表札板26及び第2の道路側ハーフミラー22bを透過することにより表札板26に記載された画像が第2の道路側ハーフミラー22b上に映写される。
【0029】
第2の空間SP2の上部には訪問者が戸内に案内を請うために使用するインターホン子機27が備え付けられている。
【0030】
次に、図3(b)〜図3(d)を参照して、第1の光源24及び第2の光源25をオン状態とオフ状態でそれぞれ切換えた場合における図2の道路側ハーフミラー(22a、22b)の外観の変化を説明する。
【0031】
図3(b)は、第1の光源24をオフ状態とし、第2の光源25をオン状態とした場合を示す。第1の光源24をオフすることにより、例えば日中において第1の空間SP1内が外部よりも暗くなれば、第1の道路側ハーフミラー22aを筐体21の内側から外側へ透過する光の強度が、外側から外側へ反射する光の強度よりも弱くなる。よって、第1の道路側ハーフミラー22aは、筐体21の外部に居る人や物を映し出すことができる。
【0032】
また、第2の光源25をオンすることにより、例えば日中において第2の空間SP2内が外部よりも明るくなれば、第2の道路側ハーフミラー22bを筐体21の内側から外側へ透過する光の強度が、外側から外側へ反射する光の強度よりも強くなる。よって、第2の道路側ハーフミラー22bは、第2の光源25が放つ光を透過させてエントランスポール11の周囲を照明することができ、同時に、表札板26に記載された画像(例えば、居住者の名「鈴木」)を映写することができる。
【0033】
なお、表札板26に記載された画像を映写する第2の道路側ハーフミラー22bと同じ側面(第1の側面)には、インターホン子機27の構成部材としてのマイク付スピーカ31及び呼び鈴32が設置されている。訪問者は、表札板26に記載された居住者の名を確認した上で戸内に案内を請うことができる。
【0034】
図3(c)は、第1の光源24及び第2の光源25を共にオフ状態とした場合を示す。この場合、第1の道路側ハーフミラー22aは、筐体21の外部に居る人や物を映し出す。そして、第2の道路側ハーフミラー22bは、第1の道路側ハーフミラー22aと同様にして、筐体21の外部に居る人や物を映し出すが、表札板26に記載された画像を映写しない。このように、第2の光源25のオン/オフを切換えることにより、表札板26に記載された居住者の名を表示させたり、伏せたりを自由に制御することができる。
【0035】
図3(d)は、第1の光源24及び第2の光源25を共にオン状態とした場合を示す。第1の光源24をオンすることにより、例えば夜間において第1の空間SP1内が外部よりも明るくなれば、第1の道路側ハーフミラー22aを筐体21の内側から外側へ透過する光の強度が、外側から外側へ反射する光の強度よりも強くなる。よって、第1の道路側ハーフミラー22aは、第1の光源24が放つ光を透過させてエントランスポール11の周囲を照明することができる。そして、第2の道路側ハーフミラー22bは、第1の道路側ハーフミラー22aと同様にして、第2の光源25が放つ光を透過させてエントランスポール11の周囲を照明することができ、同時に、表札板26に記載された画像(例えば、居住者の名「鈴木」)を映写することができる。
【0036】
なお、図3(b)〜図3(d)では、図2の道路側ハーフミラー(22a、22b)の外観の変化を説明したが、同様な外観の変化は、図2の通路側ハーフミラー23においても生じる。すなわち、通路側ハーフミラー23は、光源(24、25)が放つ光の一部反射し、他の一部を透過する機能を備えるので、光源(24、25)がオン状態であれば、光源(24、25)が放つ光を透過させてエントランスポール11の周囲を照明し、光源(24、25)がオフ状態であれば、筐体21の外部に居る人や物を映し出す鏡となる。
【0037】
次に、図4の全体構成を参照して、第1の実施の形態に係わるエントランスポールシステムが備える他の構成部材について説明する。第1の実施の形態に係わるエントランスポールシステムは、戸内に設置されたインターホン親機35、表札スイッチ(第2の電源スイッチ)36及び足下灯スイッチ(第1の電源スイッチ)37を更に備える。インターホン親機35、表札スイッチ36及び足下灯スイッチ37の各々は、戸外に設置されたエントランスポール11に電気的に接続されている。接続配線を地面(G.L.)よりも低い位置を設置すれば、地上に露出させずに接続することができる。
【0038】
インターホン親機35はインターホン子機27との間で音声信号及び映像信号の送受信を行い、訪問者と家人は、インターホン親機35及びインターホン子機27を介して通話することができる。表札スイッチ36は、第2の光源25のオン/オフを切換えるスイッチであり、足下灯スイッチ37は、第1の光源24のオン/オフを切換えるスイッチである。表札スイッチ36及び足下灯スイッチ37は、手動により操作される。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0040】
光源(24、25)の点灯(オン)及び消灯(オフ)によって筐体21の内側から外側へハーフミラー(22a、22b、23)を透過する光の強度を調整することができるので、ハーフミラー(22a、22b、23)を鏡として使用する場合とそうではない場合(例えば、照明部材或いは表札表示部)とを使い分けることができる。よって、悪意の侵入者に対してはその警戒心を高め、善意の訪問者に対して不快感を与えないことができる。更に、鏡として使用する場合、訪問者及び外出する家人は、身だしなみのチェックにハーフミラー(22a、22b、23)を用いることができる。
【0041】
エントランスポール11は住宅1への往来に使用する通路6に面して設置され、光源(24、25)が放つ光の一部が通路側ハーフミラー23を透過することにより通路6を照明する。これにより、例えば夜間において家人や善意の訪問者の足下が明るくなり、安全に往来することができる。
【0042】
足下灯スイッチ37のオン/オフを切換えることにより、第1の光源24の点灯(オン)状態と消灯(オフ)状態が変化し、ハーフミラー(22a、22b、23)を鏡として使用する状態と、往来時の足下照明として使用する状態とを切換えることができる。
【0043】
足下灯スイッチ37は手動によって操作可能であるので、家人などは、足下灯スイッチ37を操作することにより、ハーフミラー(22a、22b、23)を鏡として使用する状態と、往来時の足下照明として使用する状態とを使い分けることができる。
【0044】
仕切壁28により第1の空間SP1と第2の空間SP2の間で光が遮蔽されるので、第1の光源24の点灯/消灯とは無関係に、第2の光源25の点灯及び消灯を制御すれば、表札の画像(表札名)を第2の道路側ハーフミラー22b上に映し出し、或いは表札名を伏せて鏡として機能させることができる。
(第1の変形例)
第1の変形例では、図5を参照して、筐体21の総ての側面(四側面)各々にハーフミラーが設けられているエントランスポール11bについて説明する。エントランスポール11bは、エントランスポール11に比べて、筐体21の第1及び第2の側面の各々に対向する二側面に設置された2つのハーフミラー45、46を更に備える点で相違する。その他、敷地3内における配置場所、内部構成、接続配線は、図1、図3及び図4のエントランスポールシステムと同じである。
【0045】
このように、筐体21の総ての側面にハーフミラーがそれぞれ設けられていることにより、反射面が増えるので侵入者の警戒心を更に高めることができる。また、エントランスポール11b周囲のより広い範囲を照明することができる。
(第2の変形例)
図4の例では、手動により操作される表札スイッチ36及び足下灯スイッチ37を示したが、これらのスイッチは、所定の時間や時刻に応じて自動でオン/オフを切換えてもよい。この場合、エントランスポールシステムは、図6に示すように、例えば、時間又は時刻を計時する計時部39と、所定の時間又は時刻を計時した時に足下灯スイッチ37b及び表札スイッチ36bを切換えるスイッチ操作部38とを更に備える。
【0046】
計時部39は、現在時刻や予め設定された時間を計時し、所定の時刻又は設定された時間を計時した時点で、スイッチ切換え信号をスイッチ操作部38へ送信し、スイッチ操作部38は、スイッチ切換え信号にしたがって、表札スイッチ36b又は足下灯スイッチ37bを切換える。
【0047】
これにより、所定の時間又は時刻を計時すれば、家人などが操作することなく、エントランスポール11が備えるハーフミラーを鏡として使用する状態と、往来時の足下照明として使用する状態とが切り替わり、ユーザの利便性が向上する。
【0048】
なお、計時部39は足下灯スイッチ37b及び表札スイッチ36bのそれぞれについて異なるスイッチ切換え信号を送信し、スイッチ操作部38は、表札スイッチ36b及び足下灯スイッチ37bを個別に切換えることができる。よって、第1の光源24と第2の光源25とを個別にオン/オフ制御することができる。また、計時部39が計時する所定の時刻や時間は、予めユーザによって設定すればよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、人が住宅1へ往来する回数をカウントし、その回数を表示することができるエントランスポール11cについて説明する。
【0049】
エントランスポール11cは、図1のエントランスポール11と同様に、住宅1の戸外であって、敷地3に隣接する道路2及び住宅1への往来に使用する通路6に同時に面する敷地3の一端に設置されている。
【0050】
また、エントランスポール11cは、図2のエントランスポール11と同様に、道路2に面する第1の側面及び通路6に面する第2の側面を有する筐体21と、筐体21の第1の側面に設けられた道路側ハーフミラー22と、筐体21の第2の側面に設けられた通路側ハーフミラー23とを備える。
【0051】
次に、図7(a)を参照して、図2のB−B切断面におけるエントランスポール11cの内部構成を説明する。エントランスポール11cは、図3(a)のエントランスポール11と比べて、第1の空間SP1と仕切壁28の間に設置された表示装置41及び往来カウント部42と、筐体21の頂部に設置された人感センサ43とを更に備える。また、通路側ハーフミラー23は、第1の空間SP1に面する第1の通路側ハーフミラー23aと、第2の空間SP2に面する第2の通路側ハーフミラー23bとからなる。
【0052】
人感センサ43は通路6方向に感度領域を有し、通路6を通過する人を検出する度に検出信号を往来カウント部42へ送信する。往来カウント部42は、検出信号を受信する度に、自らが備えるカウンターをインクリメントし、カウンター値のデータ信号を表示装置41へ送信する。表示装置41は、受信したカウンター値のデータ信号に従ってカウンター値を表示する。
【0053】
図7(b)は、エントランスポール11cの通路側ハーフミラー23a、23bが設置された側面を示す。ここでは、第1の光源24及び第2の光源25を共に点灯されている状態を示している。表示装置41には、往来カウント部42から受信したカウンター値のデータ信号に従ってカウンター値、例えば「COUNT 3」と表示する。このように、住宅1への往来回数をエントランスポール11cに表示することにより、人目を気にしながら侵入しようとする者の警戒心を高め、侵入を思い留まらせる侵入抑止効果が得られる。
【0054】
表示装置41には、現在時刻及び外部の気温やCO2濃度や地域内の連絡事項など他の情報を併せて表示してもよい。このような他の情報を表示すれば、近隣住民とのコミュニケーション手段としても使用できるので防犯に役立つ。また、当該コミュニケーションの活発さを外部にアピールすることができるので、人目を気にしながら侵入しようとする者の警戒心を高め、侵入を思い留まらせる侵入抑止効果が得られる。
【0055】
なお、人感センサ43の感度領域を通路6側に有している場合を説明したが、筐体21の頂部に設置される人感センサの感度方向は、その他の方向(例えば道路2方向)であってもよい。また、エントランスポールとは離間した位置(例えば玄関先など)に人感センサを設置すれば、エントランスポールから離れた場所への人の往来回数を検出し、エントランスポールに表示することができる。
【0056】
また、往来回数を表示装置41に表示して人の視覚を通じて周囲に報知する場合を説明したが、往来回数をその他の手段(例えば、音声/聴覚など)によって周囲に報知しても構わない。
【0057】
また、往来回数をカウントする場合に限らず、人の往来を検知してから一定時間毎にカウンター値を初期値からデクリメントしていく、いわゆるカウントダウンを行うようにしても構わない。これによっても、人の往来が検知されれば、カウントダウンが開始されることにより、人目を気にしながら侵入しようとする者の警戒心を高め、侵入を思い留まらせる侵入抑止効果が得られる。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、筐体21内に仕切壁28が配置され、仕切壁28で分割された筐体21内の各空間に配置された複数の光源(24、25)を有するエントランスポール(11、11b、11c)について説明したが、筐体21内の空間を2以上の空間に分割せずに単一の光源を配置しても構わない。
【0058】
第3の実施の形態に係わるエントランスポール11dは、図1のエントランスポール11と同様に、住宅1の戸外であって、敷地3に隣接する道路2及び住宅1への往来に使用する通路6に同時に面する敷地3の一端に設置されている。
【0059】
また、エントランスポール11dは、図2のエントランスポール11と同様に、道路2に面する第1の側面及び通路6に面する第2の側面を有する筐体21と、筐体21の第1の側面に設けられた道路側ハーフミラー22と、筐体21の第2の側面に設けられた通路側ハーフミラー23とを備える。
【0060】
次に、図8(a)を参照して、図2のA−A切断面におけるエントランスポール11dの内部構成を説明する。エントランスポール11dは、図3(a)のエントランスポール11に比べて、筐体21内の空間を仕切る仕切壁28や第2の光源25を備えていない。また、道路側ハーフミラー22も一体物として形成されている。その他、表札板26及びインターホン子機27は、エントランスポール(11、11b、11c)と同じである。第1の光源24cは、筐体21の底面からインターホン子機27まで、筐体21内の空間全体に配置されている。
【0061】
次に、図8(b)及び図8(c)を参照して、第1の光源24をオン状態(点灯状態)とオフ状態(消灯状態)でそれぞれ切換えた場合における道路側ハーフミラー22の外観の変化を説明する。
【0062】
図8(b)は、第1の光源24をオフ状態とした場合を示す。この場合、道路側ハーフミラー22は、例えば日中において筐体21の外部に居る人や物を映し出し、表札板26に記載された画像を映写しない。
【0063】
図8(c)は、第1の光源24をオン状態とした場合を示す。この場合、道路側ハーフミラー22は、例えば夜間において第1の光源24が放つ光を透過させてエントランスポール11の周囲を照明することができる。また同時に、表札板26に記載された画像(例えば、居住者の名「鈴木」)を映写することができる。このように、第1の光源24のオン/オフを切換えることにより、道路側ハーフミラー22を鏡として使用したり、照明装置の一部として使用したりすることを自由に制御し、且つ、表札板26に記載された居住者の名を表示させたり、伏せたりすることを自由に制御することができる。
【0064】
第3の実施の形態においては、仕切壁28や第2の光源25を備えていないので、表札板26の非表示/表示と、鏡/照明装置との制御を単一の光源24のオン/オフによって同時に実施することができる。
【0065】
なお、図8(b)及び図8(c)では、道路側ハーフミラー22の外観変化を説明したが、通路側ハーフミラー23についても同様な外観変化が生じる。
【0066】
また、図8に示したエントランスポールの構成から、表札板26及びインターホン子機27などを取り除いても構わない。この場合、エントランスポールとしてのみならず、筐体21内の光源の点灯/消灯によって、筐体21側面に設置されたハーフミラー22、23を鏡/照明装置として切換えて使用することができるミラーシステムとしても使用が可能である。すなわち、住宅1への往来に使用する通路6に面した位置に限らず、住宅1の戸外であって住宅1に隣接する道路2に面する敷地3の一端にミラーシステムを設置しても構わない。これにより、ミラーシステムは、第1の光源24cの点灯及び消灯によって筐体21の内から外へ透過する光の強度と調整することができるので、ハーフミラー22、23を鏡として使用する場合とそうではない場合(例えば、照明部材)とを使い分けることができる。よって、悪意の侵入者に対してはその警戒心を高め、善意の訪問者に対して周囲を照明して不快感を与えないミラーシステムを提供することができる。
【0067】
更に、図5に示したように、筐体21の総ての側面にハーフミラーを設けてもよい。これにより、反射面が増えるので侵入者の警戒心を更に高めることができる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、3つの実施形態及びその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0068】
総てのハーフミラーの内側に拡散部材を設けてもよい。これにより、光源からの強い光が緩和され、ミラー全体が明るく見える。
【0069】
例えば、筐体21の頂部など筐体21の外部に、他の照明装置を備え付けてもよい。外部の照明装置を点灯することにより、例えば夜間において筐体21の内部が外部よりも暗くなるので、ハーフミラーを筐体21の内側から外側へ透過する光の強度が、外側から外側へ反射する光の強度よりも弱くなる。よって、ハーフミラーは、筐体21の外部に居る人や物を映し出す鏡として使用することができる。また同時に、他の照明装置によって、周囲を照明することもできる。よって、夜間であっても、足下を照明しながら、ハーフミラーを鏡として使用することが可能となる。
【0070】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるエントランスポールシステムが備えるエントランスポール11の設置例を示す平面図である。
【図2】図1のエントランスポール11及びその周辺を部分的に拡大した平面図である。
【図3】図3(a)は、図2のエントランスポール11のA−A切断面に沿った断面図である。図3(b)〜図3(d)は、図2の道路側ハーフミラー22が設置されたエントランスポール11の第1の側面を示す側面図であって、図3(b)は第1の光源24がオフ、第2の光源25がオンの状態を示し、図3(c)は第1の光源24及び第2の光源25がオフの状態を示し、図3(d)は第1の光源24及び第2の光源25がオンの状態を示す。
【図4】第1の実施の形態に係わるエントランスポールシステムの全体構成を示す模式図である。
【図5】第1の変形例に係わるエントランスポール11bの構成を示す平面図である。
【図6】第2の変形例に係わるエントランスポールシステムの全体構成を示す模式図である。
【図7】図7(a)は、図2のB−B切断面に沿ったエントランスポール11cの断面図である。図7(b)は、図2の通路側ハーフミラー23が設置されたエントランスポール11cの第2の側面を示す側面図であって、第1の光源24及び第2の光源25を共にオン状態にした場合を示す。
【図8】図8(a)は、図2のA−A切断面に沿ったエントランスポール11dの断面図である。図8(b)及び図8(c)は、図2の道路側ハーフミラー22が設置されたエントランスポール11dの第1の側面を示す側面図であって、(b)は第1の光源24cをオフ状態にした場合を示し、(c)は第1の光源24cをオン状態にした場合を示す。
【符号の説明】
【0072】
1…住宅
2…道路
3…敷地
4…玄関扉
5…生垣
6…通路
11、11b、11c、11d…エントランスポール
21…筐体
22…道路側ハーフミラー
22a…第1の道路側ハーフミラー
22b…第2の道路側ハーフミラー
23…通路側ハーフミラー
23a…第1の通路側ハーフミラー
23b…第2の通路側ハーフミラー
24、24b、24c…第1の光源
25…第2の光源
26…表札板
27…インターホン子機
28…仕切壁
31…マイク付スピーカ
32…呼び鈴
35…インターホン親機
36、36b…表札スイッチ
37、37b…足下灯スイッチ(第1の電源スイッチ)
38…スイッチ操作部
39…計時部
41…表示装置
42…往来カウント部
43…人感センサ
45、46…ハーフミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の戸外であって前記住宅に隣接する道路に面する箇所に設置されるミラーシステムであって、
筐体と、
前記筐体の少なくとも一側面に設けられたハーフミラーと、
前記筐体に収納された第1の光源と
を備えることを特徴とするミラーシステム。
【請求項2】
前記筐体の総ての側面に前記ハーフミラーが設けられていることを特徴とする請求項1記載のミラーシステム。
【請求項3】
前記住宅への往来に使用する通路に面して設置された請求項1又は2に記載のミラーシステムと、
前記筐体の側面に設けられた表札板とを備え、
前記第1の光源が放つ光の一部が前記ハーフミラーを透過することにより前記通路を照明する
ことを特徴とするエントランスポールシステム。
【請求項4】
前記第1の光源が放つ光の一部が前記ハーフミラーを透過することにより前記表札板に記載された画像が前記ハーフミラー上に映写され、前記第1の光源の点灯状態と消灯状態を切換えることにより前記表札板に記載された画像を表示するか否かを制御することを特徴とする請求項3に記載のエントランスポールシステム。
【請求項5】
前記第1の光源の点灯状態と消灯状態を切換える第1の電源スイッチを更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のエントランスポールシステム。
【請求項6】
前記第1の電源スイッチは、手動によって動作することを特徴とする請求項5に記載のエントランスポールシステム。
【請求項7】
時間又は時刻を計時する計時部と、
所定の時間又は時刻を計時した時に前記第1の電源スイッチを切換えるスイッチ操作部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載のエントランスポールシステム。
【請求項8】
前記筐体内の空間を前記第1の光源が配置された第1の空間と第2の空間に分割する仕切壁と、
前記第2の空間に配置された第2の光源とを更に備え、
前記仕切壁は、第1の空間と第2の空間の間で光を遮蔽し、
第2の光源が放つ光の一部が前記ハーフミラーを透過することにより前記表札板に記載された画像が前記ハーフミラー上に映写される
ことを特徴とする請求項3又は5から7のいずれか一項に記載のエントランスポールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−235721(P2009−235721A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81606(P2008−81606)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】