説明

ミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するためのシステムと方法

【課題】 ミルク試料を自動的に得るようにかつ浄化を自動的に実施するように操作可能なシステム(10)を提供する。
【解決手段】 このシステム(10)は:動物(14)の搾乳のために適合された搾乳装置(12);ミルク導管(38);浄化液を搾乳場所(16)に供給するために適合された浄化装置(82)を含む浄化液供給導管(56);浄化時に前記浄化装置(82)及び前記ミルク導管(38)に連結された、各搾乳場所(16)のための乳頭カップ(18);及び試料採取装置を含む。試料採取装置は:中間試料採取装置(24);ミルクを乳頭カップ(18)から中間試料採取装置(24)に偏向するように操作可能な偏向手段(22);及びミルク試料を中間試料採取装置(24)から得るように操作可能な搾乳場所(16)のためのミルク試料収集要素(64)を含む。このシステム(10)は、浄化液を搾乳装置(12)及び試料採取装置の両方を通して吸引するために、浄化時に吸引圧力を付与するために適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一態様では、ミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステムに関する。
【0002】
第二態様によれば、本発明は、ミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための方法に関する。
【0003】
第三態様によれば、本発明は、ミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための少なくとも一つのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0004】
特許文献DE−3502858は、送出ラインからミルク試料を抽出するための装置に関し、この装置は、ミルクを試料フラスコ中に計時パルスにより偏向するように使用される。この解決策の目的は、たとえ送出速度が試料採取操作中に変化しても、上述の装置により、代表的な実質的にキャリーオーバーなしの試料を達成することである。試料の代表性は、送出ラインの流速が連続的に測定され、かつマイクロプロセッサが時間毎に、ミルク送出の開始前に貯蔵された、ミルクの量、試料フラスコ充填容積、パルス当りに偏向される試料の量、及びパイプライン断面積を含むデータから、及び各ケースで測定された流速から、二つの偏向パルス間の間隔時間を計算することにより達成され、従ってラインを通って流れるミルクのほぼ等しい量について一部が試料フラスコ内に偏向される。送出工程の終りに、試料フラスコはそのとき必要な充填容積を含む。先の試料採取操作からの次の試料中へのミルクのキャリーオーバーは、ミルク偏向経路をどのような付着ミルク残留物もないように洗い流すために、送出ラインがミルクで満たされるとすぐに試料偏向を自動的に簡単に起動することにより、かつ洗い流すミルクを試料フラスコ中に通さずにそれを排出することにより防止される。
【0005】
特許文献CA−A1−2424629は、IRミルク分析のためのオンライン試料採取装置に関する。比例液体試料採取オンライン装置は、試料室に配置された截頭円錐形状偏向器を使用する。この偏向器は、主流流入角を180°だけ二度逆転し、実質的に泡を含まない流動液体の膜を発生する。予め決められた量の液体を含む第二流は、主流から偏向され、かつ同伴空気を持たない液体のスラッグを作るために測定付属物内で圧縮される。この装置はスロットを含み、その寸法は、主流速度または加速度にかかわりなく、常に所定量の液体、例えば主流の1.5%を偏向するように選ばれる。有利には、これらの液体スラッグは顕微鏡スライドに類似しており、最適IR検知を提供する。
【0006】
特許文献WO−A1−01/43534は、自動化搾乳システムの乳頭カップ浄化に関し、それは複数の乳頭カップを含み、それぞれは各ミルクラインの第一端に連結され、各ミルクラインの第二端は個々にかつ自動的に第一または第二容器にそれぞれ連結可能であり、さらに、搾乳動物の乳頭の搾乳時に、複数の乳頭カップが動物の乳頭に取付けられ、ミルクラインの第二端は前記第一容器に連結され、ミルクをミルクラインを通して前記第一容器中に吸引するために減圧が前記第一容器に付与される。浄化は、浄化流体を前記複数の乳頭カップの少なくとも第一のものに供給すること;第一乳頭カップに連結されたミルクラインの第二端を前記第二容器に連結すること;及び前記第一容器を実質的に大気圧に保ちながら、浄化流体をミルクラインを通して前記第二容器中に吸引するために前記第二容器に減圧を供給すること;を含む。
【0007】
上述の解決策の持つ主な不利は、それらが代表的なミルク試料を自動的に得、かつ自動的に所定場所で浄化を実施する問題に対する部分的解決策を与えるのみであることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題は、請求項1に記載のミルク試料を自動的に得、かつ浄化を自動的に実施するように操作可能なシステムにより解決される。このシステムは搾乳装置及び試料採取装置を含む。この搾乳装置は動物の搾乳のために適合されており、かつ各搾乳場所のための乳頭カップ、ミルク導管、及び浄化液供給導管を含む。浄化液供給導管は、搾乳場所に配置されかつ浄化液を供給するために適合された浄化装置を含む。試料採取装置は、偏向手段、中間試料採取装置、及び搾乳場所のためのミルク試料収集要素を含む。偏向手段は、ミルクを乳頭カップから中間試料採取装置に偏向するように操作可能である。ミルク試料収集要素は、ミルク試料を中間試料採取装置から得るように操作可能である。乳頭カップは、浄化時には浄化装置及びミルク導管に連結される。このシステムは、浄化時には、浄化液をシステムの搾乳装置及び試料採取装置の両方を通して吸引するために吸引圧力を付与するのに適合されている。
【0009】
本発明によるシステムの持つ主な利点は、浄化及びミルク試料を得ることの両方が同じシステムで自動的に実施されることである。
【0010】
本発明によるシステムの持つ別の利点は、ミルクと接触したシステムのあらゆる部分が浄化時に自動的に浄化されることである。
【0011】
本発明のさらなる利点は、もし前記中間試料採取装置が前記中間試料採取装置内のミルクの量を測定するように操作可能な測定手段を含むなら達成される。これにより、前記中間試料採取装置はミルク計量器として作動することができる。
【0012】
さらに、本発明において、もし前記偏向手段が前記乳頭カップを介して抽出されたミルクの一部を連続的に偏向するように配置されているなら有利である。これにより、代表的なミルク試料が自動的に得られることができる。
【0013】
本発明のさらなる利点は、もし前記システムがまた、前記偏向手段と前記中間試料採取装置の間に連結され、かつ前記ミルク導管と前記中間試料採取装置の間の圧力平衡化を確保するように配置された導管を含むなら達成される。これにより、中間試料採取装置のミルク計量器としての機能が確保される。
【0014】
さらに、本発明において、もし前記システムがまた、前記搾乳装置及び/または前記試料採取装置を洗い流す液体スラッグ(slug)が作られるように空気を前記浄化液に供給するように操作可能な空気注入器を含むなら有利である。これにより、浄化効率が高められる。
【0015】
上述の問題はまた、請求項11に記載のミルク試料を自動的に得かつ浄化を自動的に実施するための方法により解決される。この方法は、搾乳装置及び試料採取装置を含むシステムの助けにより実施される。搾乳装置は、動物の搾乳のために適合されており、かつ各搾乳場所のための乳頭カップを含む。この方法は:
− 搾乳される動物に前記乳頭カップを付ける;
− ミルクを抽出するために前記搾乳装置に吸引圧力を付与する;
− 前記試料採取装置に含まれた中間試料採取装置に圧力を付与する;
− 前記試料採取装置に含まれた偏向手段の助けにより、ミルクを前記乳頭カップから前記中間試料採取装置に偏向する;
− 各中間試料採取装置のための前記試料採取装置に含まれたミルク試料収集要素の助けにより、前記中間試料採取装置からミルク試料を得る;
− 前記搾乳場所に配置されかつ前記搾乳装置に含まれた浄化装置を含む浄化液供給導管の助けにより、浄化液を前記浄化装置、及び前記ミルク導管に連結されている前記乳頭カップに供給する;及び
− 前記システムの助けにより、前記浄化液を前記システムの前記搾乳装置及び前記試料採取装置の両方を通して吸引するために、前記浄化時に吸引圧力を付与する;
を含む。
【0016】
本発明による方法の持つ主な利点は、浄化及びミルク試料を得ることの両方が同じ方法により自動的に実施されることである。
【0017】
本発明による方法の持つ別の利点は、ミルクと接触したシステムのあらゆる部分が浄化時に自動的に浄化されることである。
【0018】
本発明のさらなる利点は、もし前記方法がさらに:
− 前記システムに含まれた空気注入器の助けにより、前記搾乳装置及び/または前記試料採取装置を洗い流す液体スラッグが作られるように前記浄化液に空気を供給する;
工程を含むなら達成される。これにより、浄化効率は高められる。
【0019】
上述の問題はまた、請求項17に記載の少なくとも一つのコンピュータプログラム製品により解決されることができる。少なくとも一つのコンピュータプログラム製品は、少なくとも一つのデジタルコンピュータの内部メモリー中に直接ロード可能である。少なくとも一つのコンピュータプログラム製品は、少なくとも一つの製品が少なくとも一つのコンピュータ上で実行されるときに本発明による方法の工程を実施するためのソフトウエアコード部分を含む。
【0020】
本発明による少なくとも一つのコンピュータプログラム製品の持つ主な利点は、浄化及びミルク試料を得ることの両方が同じ製品(単数または複数)により自動的に実施されることである。
【0021】
本発明による少なくとも一つのコンピュータプログラム製品の持つ別の利点は、ミルクと接触したシステムのあらゆる部分が浄化時に自動的に浄化されることである。
【0022】
この説明で使用される用語「含む/含んでいる」は、一つ以上の他の特徴、整数、工程、要素またはそれらの群の存在を排除することなく、与えられた特徴、工程または要素の存在を示すことを意図されていることは注目されるであろう。
【0023】
本発明の実施態様は、今や添付図面に関して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明によるミルク試料を自動的に得かつ浄化を自動的に実施するように操作可能なシステムのブロック図である。
【0025】
【図2】図2は、より詳細に図1に開示された前記システムの一部を概略的に示す。
【0026】
【図3】図3は、本発明によるシステムに含まれた偏向手段の第一実施態様の断面図である。
【0027】
【図4】図4は、本発明によるシステムに含まれた偏向手段の第二実施態様を概略的に示す。
【0028】
【図5】図5は、本発明によるミルク試料を自動的に得、かつ浄化を自動的に実施するための方法のフローチャートである。
【0029】
【図6】図6は、本発明によるシステムが使用されることができる回転矢はず形搾乳場を概略的に示す。
【0030】
【図7】図7は、本発明によるシステムが使用されることができる回転搾乳場を概略的に示す。
【0031】
【図8】図8は、本発明によるシステムが使用されることができる矢はず形搾乳場を概略的に示す。
【0032】
【図9】図9は、本発明によるシステムが使用されることができる平行搾乳場を概略的に示す。
【0033】
【図10】図10は、本発明による多数のコンピュータプログラム製品を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、本発明によるミルク試料を自動的に得、かつ浄化を自動的に実施するように操作可能なシステム10が開示されている。システム10は、搾乳装置12及び試料採取装置を含む。搾乳装置12は、動物14の搾乳のために適合しており、かつ各搾乳場所16のための乳頭カップ18、ミルク導管38、及び浄化液供給導管56を含む。浄化液供給導管56は、搾乳場所16に配置された浄化装置82を含み、かつ浄化液を供給するのに適合されている。試料採取装置は、偏向手段22、中間試料採取装置24、及び搾乳場所16のためのミルク試料収集要素64を含む。偏向手段22は、ミルクを乳頭カップ18から中間試料採取装置24に偏向するように操作可能である。ミルク試料収集要素64は、中間試料採取装置24からミルク試料を得るように操作可能である。浄化時に、乳頭カップ18は浄化装置82及びミルク導管38に連結される。システム10は、システム10の試料採取装置及び搾乳装置12の両方を通して浄化液を吸引するために吸引圧力を付与するために適合されている。
【0035】
システム10はまた、搾乳場所16内の動物14に乳頭カップ18を配置するように操作可能なロボット26を含むことができる。
【0036】
図1には、ミルク導管38に連結された中央ミルクタンク20もまた開示されている。中央ミルクタンク20はシステム10の一部でないことが指摘される。図1には、ロボット26に、及び浄化液を持つタンク23に連結された制御手段21もまた開示されている。浄化液を持つタンク23はまた、供給導管56に連結されている。制御手段21もタンク23も本発明によるシステム10の一部でないことが指摘される。
【0037】
システム10の一実施態様によれば、ミルク試料収集要素64は使い捨て可能なミルク試料収集要素64である。
【0038】
図1に開示されたシステム10により、浄化液は、浄化液供給導管56から直接に、または浄化装置82を介して、またはそれらの両方で、中間試料採取装置24に吸引される。
【0039】
システム10の一実施態様によれば、偏向手段22は、乳頭カップ18を介して抽出されたミルクの一部を連続的に偏向するように配置されている。これにより、代表的なミルク試料が自動的に得られることができる。
【0040】
図2には、図1に開示されたシステム10の一部がより詳細に概略的に開示されている。図2には開示されていないけれども、乳頭カップ18は、動物14の乳頭に連結されることが想定されている(図1参照)。乳頭カップ18は偏向手段22に連結される。偏向手段は、図3及び4を参照してより詳細に説明されるであろう。図1及び2の両方に開示されたシステム10の要素は、同様な参照記号により示される。
【0041】
以下に、図2に関連してミルク試料を自動的に得るとき、または浄化を自動的に実施するときに、システム10がどのように作動するかの説明を記載する。図2に開示された解決策は本発明によるシステム10を実施する一つの可能な方法であることが指摘される。
【0042】
ミルク試料の自動取得は、中間試料採取装置24を大気圧に連結することにより可能になり、それは、例えば弁54が開放状態にあるときに中間試料採取装置24を浄化液供給導管56に導管52を介して連結することにより達成されることができる。ミルクがミルク試料収集要素64に輸送されることになるときは弁62が閉じられ、ミルク試料収集要素64内に減圧が生じる。なぜならそれは導管70を介してミルク導管38内の減圧に連結されているからである。ミルクはそのとき導管66を介してミルク試料収集要素64に吸引される。もし中間試料採取装置24が中間試料採取装置24内のミルクの量を測定するように操作可能な測定手段34を備えており、かつミルク試料収集要素64の容積及び導管66の寸法が知られているなら、ミルク試料収集要素64をミルクで満たすためにどれくらいの時間、弁54を開くべきであるかを計算することが可能である。測定手段34は、例えば、図2のように、中間試料採取装置24の内側に配置された浮遊ゲージ34、及び中間試料採取装置24の外側に配置された送信器34を含むことができる。ミルク試料収集要素64の充填を確保するのに十分な時間の間、導管66を通してミルクを吸引させることにより中間試料採取装置24内に設けられた測定手段なしにミルク試料収集要素64を満たすことももちろん可能である。余分なミルクは、導管70を介してかつさらにミルク導管38を通して吸引される。
【0043】
搾乳時に、浄化液供給導管56内に大気圧があり、中間試料採取装置24内に大気圧を達成するために中間試料採取装置24を浄化液供給導管56に連結することによる一つの利点は、きれいな空気が浄化液供給導管56内に存在することである。もちろん大気圧を別の方法で達成することも可能であるが、中間試料採取装置24と浄化液供給導管56の間の連結は、試料採取装置の自動浄化を達成するために必要である。
【0044】
搾乳時に、弁62と54の両方は閉じられるが、導管44内の弁46は開かれる。搾乳減圧が、中間試料採取装置24内に導管44を介して存在する。
【0045】
搾乳時にミルクのスラッグが作られる。これによる問題は、導管44を介して輸送されるスラッグの部分が導管44の全断面を満たすことがありうることである。これにより、中間試料採取装置24内の減圧レベルは一時的により低くなり、偏向手段22により偏向される次のミルクスラッグは導管40を介してミルク導管38に吸引される。もしこれが起きると、ミルク計量器としての中間試料採取装置24の機能は損なわれることになるであろう。ミルクを中間試料採取装置24に吸引させるために、中間試料採取装置24内にミルク導管38と同様の圧力が存在しなければならない。これは、導管48、いわゆる減圧供給導管により達成される。導管48はまた、弁50を備えており、それは搾乳時に開放されるべきである。
【0046】
搾乳時に中間試料採取装置24中に偏向されたミルクは、中間試料採取装置24中にその上部で接線方向に偏向される。もしミルクが減圧供給導管48の存在にもかかわらず導管44の全断面を満たしているなら、ミルクは導管48を介してミルク導管38に吸引されることができる。
【0047】
浄化時に、浄化液供給導管56は浄化装置(開示せず)から浄化液を供給される。ミルクがないミルク導管38内には減圧がある。浄化液供給導管56は、浄化装置82(図1参照)を介して浄化液供給導管56に連結されている乳頭カップ18を介してミルク導管38に連結される。浄化液は減圧の使用により吸引される。浄化液の主流は、乳頭カップ18、偏向手段22、導管40及びミルク導管38を通して吸引される。
【0048】
弁62が開いているときに中間試料採取装置24は減圧に連結される。これにより、浄化液は、弁54が開いている状態で導管52を介して浄化液供給導管56から中間試料採取装置24中に吸引されることができる。
【0049】
弁46及び50は、浄化の時間中ずっと開かれることができる。浄化液は、弁46と62の両方が開いているときに導管44を介して中間試料採取装置24中に吸引されることができる。
【0050】
ミルク試料収集要素64が浄化されることになるとき、弁62がまず閉じられる。導管44内の弁46及び減圧供給導管48内の弁50は両方とも開かれる。これにより、中間試料採取装置24は導管44を介して浄化液で満たされることができる。別の選択は、浄化液供給導管56に連結された導管52を介して中間試料採取装置24を浄化液で満たすことである。その後、弁50が閉じられ、ミルク試料収集要素64に連結している弁装置68が開かれる。ミルク試料収集要素64内には、導管70を介してミルク導管38に連結しているという事実のために減圧がある。浄化液は、中間試料採取装置24から導管66を介してミルク試料収集要素64中に、その後さらに導管70及びミルク導管38を通して吸引されるであろう。浄化液をミルク試料収集要素64から排出するために、それは浄化時に、少なくとも浄化の終わりに、逆さまに回転されることができる。試料容器の底に排出管を配置すること、または乾燥のために空気を使用することも可能である。
【0051】
浄化液が浄化時に減圧供給導管48を通して吸引されることも重要である。これは、弁50,54及び42が開かれると同時に弁62と46の両方を閉じることにより実施されることができる。これにより、浄化液は、導管52を介してさらに導管48を通して導管40にかつ最後にさらにミルク導管38を通して吸引される。
【0052】
浄化時に、弁のいくつかは、浄化される導管及び/または空間内に減圧があることを確保するために二者択一的に開閉される。中間試料採取装置24への入口であっても病原菌の成長を避けるために適切に浄化されなければならない。中間試料採取装置24への入口は、減圧供給導管48が浄化されると同時に浄化されることができる。中間試料採取装置24への入口はまた、弁54,46及び42を開き、かつ弁50,62及び68を閉じることにより浄化されることができる。浄化液を異なる通路を通してかつ一回で一つの通路を通して吸引させることが有利である。これにより、効果的な浄化及び充分な流れが確保される。
【0053】
また、膜からなる撹拌手段36が図2に開示され、そこでは膜の一つの表面が中間試料採取装置24の下方部に隣接しており、他の表面が脈動手段に隣接している。中間試料採取装置24内に減圧があるとき、膜は脈動するであろうし、撹拌機として機能するであろう。撹拌機能は、浄化と、代表的なミルク試料を得るための両方で利点がある。ミルクは、中間試料採取装置24内でそれが大気圧に連結される前に攪拌され、ミルク試料はミルク試料収集要素64に吸引される。
【0054】
また、空気注入器84が図2に開示され、それは、システム10内に含まれ、搾乳装置12及び/または試料採取装置を洗い流す液体スラッグが作られるように浄化液に空気を供給するように操作可能である。
【0055】
図3には、本発明によるシステム10内に含まれた偏向手段22の可能な実施態様の断面図が開示されている。偏向手段22はドーム形状上部150及び漏斗形状下部170を含む。上部150はミルクを入口120を通して乳頭カップ18(図1及び2参照)から受ける。偏向手段22はまた、上部150の内側の中央に置かれかつ上部150に取付けられた偏向器200を含む。偏向器200は、主流の一部をスロット39中に向きを変えるために使用される。スロット39の寸法は、ミルクの所定量、例えば主流の3%(矢印C)を常に試料採取手段24に偏向するように選ばれる。主流の残り、例えば約97%(矢印B)は例えばミルク導管38(図2参照)に偏向されることができる。
【0056】
図4には、本発明によるシステム10内に含まれた偏向手段22の第二の可能な実施態様が概略的に開示されている。偏向手段22は、乳頭カップ18(図2参照)からの出口25と例えばミルク導管38に至るライン40(図2参照)の開口600の間に配置される。偏向手段22は、代表的なミルク試料を中間試料採取装置24(図2参照)に導く通路540を持つ尖頭の形を持つ。
【0057】
図5には、本発明によるミルク試料を自動的に得かつ浄化を自動的に実施するための方法のフローチャートが開示されている。この方法は、搾乳装置12及び試料採取装置を含むシステム10(図1参照)の助けにより実施される。搾乳装置12は、動物14の搾乳のために適合されており、かつ各搾乳場所16のための乳頭カップ18を含む。この方法はブロック200で始まる。その後、この方法はブロック202に続き、それは、搾乳される動物14に乳頭カップ18を付ける工程を持つ。この方法はブロック204に続き、それは、ミルクを抽出するために吸引圧力を搾乳装置12に付与する工程を持つ。その後、この方法はブロック206に続き、それは、試料採取装置に含まれた中間試料採取装置24内に圧力を付与する工程を持つ。この方法はブロック208に続き、それは、試料採取装置に含まれた偏向手段22の助けにより、乳頭カップ18から中間試料採取装置24にミルクを偏向する工程を持つ。その後、この方法はブロック210に続き、それは、各中間試料採取装置24のために試料採取装置に含まれたミルク試料収集要素64の助けにより、中間試料採取装置24からミルク試料を得る工程を持つ。この方法はブロック212に続き、それは、搾乳場所16に配置されかつ搾乳装置12に含まれた浄化装置82を含む浄化液供給導管56の助けにより、ミルク導管38及び浄化装置82に連結されている乳頭カップ18に浄化液を供給する工程を持つ。その後、この方法はブロック214に続き、それは、システム10の助けにより、浄化液を搾乳装置12及びシステム10の試料採取装置の両方を通して吸引するために、浄化時に、吸引圧力を付与する工程を持つ。この方法はブロック216で完了される。
【0058】
図6には、例えば搾乳される牛14のための多数の搾乳場所16を持つ回転矢はず形搾乳場12が概略的に開示されており、この搾乳場所16は回転軸7の周りに環状に配置されている。図6には、搾乳場所16に既に位置された5頭の牛14、及び回転矢はず形搾乳場12に入口ゲート30を介して入ろうとしている一頭の牛14が示されている。回転矢はず形搾乳場12はまた、出口ゲート32を持つ。ロボット26は搾乳場所16と回転軸7の間に配置されている。ロボット26は、円弧を規定するレール9に沿って可動であり、ロボット26は、乳頭カップ18を搾乳場所16内の牛14に配置するために配置されている。回転矢はず形搾乳場12は、矢印17により示されるように時計回りに回転される。
【0059】
図7には、回転搾乳場が概略的に開示されており、そこでは本発明によるシステム10が使用されることができる。この場合、搾乳場所16と牛14の両方が互いに平行にかつ放射状に配置される。
【0060】
図8には、矢はず形搾乳場が概略的に開示されており、そこでは本発明によるシステム10が使用されることができる。搾乳のための牛14は、矢はず形形状のピット340に沿って並んで置かれる。
【0061】
図9には、平行搾乳場が概略的に開示されており、そこでは本発明によるシステム10が使用されることができる。この場合、搾乳のための牛14は、ピット340に沿って互いに平行に置かれる。牛14は、ピット340の縦方向に対して直角の方向に配置される。
【0062】
図10には、本発明による幾つかのコンピュータプログラム製品の概略図が開示されている。n個の異なるデジタルコンピュータ100,‐‐‐,100nが開示されている。ここでnは整数である。また、ここではコンパクトディスクの形で示されたn個の異なるコンピュータプログラム製品102,‐‐‐,102nが開示されている。異なるコンピュータプログラム製品102,‐‐‐,102nは、n個の異なるデジタルコンピュータ100,‐‐‐,100nの内部メモリー中に直接ロード可能である。各コンピュータプログラム製品102,‐‐‐,102nは、製品102,‐‐‐,102nが前記コンピュータ(単数または複数)100,‐‐‐,100n上で実行されるときに図5の工程の幾つかまたは全てを実施するためのソフトウエアコード部分を含む。前記コンピュータプログラム製品102,‐‐‐,102nは、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、RAMディスク、磁気テープ、光磁気ディスクまたはいずれかの他の適当な製品の形であることができる。
【0063】
本発明は、先に述べられた実施態様に限定されない。多くの種々な変更が以下の請求項の範囲内で可能であることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)において、そのシステム(10)が:
動物(14)の搾乳のために適合された搾乳装置(12);
ミルク導管(38);
浄化液を搾乳場所(16)に供給するために適合された浄化装置(82)を含む浄化液供給導管(56);
前記浄化時に前記浄化装置(82)及び前記ミルク導管(38)に連結される、各搾乳場所(16)のための乳頭カップ(18)と、
中間試料採取装置(24)と、ミルクを前記乳頭カップ(18)から前記中間試料採取装置(24)に偏向するように操作可能な偏向手段(22)と、ミルク試料を前記中間試料採取装置(24)から得るために操作可能な、前記搾乳場所(16)のためのミルク試料収集要素(64)とを含む試料採取装置;
を含み、さらに前記システム(10)が、前記浄化液を前記システム(10)の前記搾乳装置(12)と前記試料採取装置の両方を通して吸引するために、前記浄化時に吸引圧力を付与するために適合されていることを特徴とするシステム(10)。
【請求項2】
前記ミルク試料収集要素(64)が使い捨て可能なミルク試料収集要素(64)であることを特徴とする、請求項1に記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項3】
前記システム(10)がさらに、前記搾乳場所(16)内の前記動物(14)に前記乳頭カップ(18)を配置するために操作可能なロボット(26)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項4】
前記浄化液が、前記浄化液供給導管(56)から直接に、または前記浄化装置(82)を介して、またはそれらの両方で、前記中間試料採取装置(24)に吸引されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項5】
前記中間試料採取装置(24)が、前記中間試料採取装置(24)中のミルクの量を測定するように操作可能な測定手段(34)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項6】
前記測定手段(34)が、前記中間試料採取装置(24)の内側に配置された浮遊ゲージ(34)、及び前記試料採取装置(24)の外側に配置された送信器(34)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項7】
前記偏向手段(22)が、前記乳頭カップ(18)を介して抽出されたミルクの一部を連続的に偏向するように配置されていることを特徴とする、請求項5または6に記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項8】
前記システム(10)がさらに、前記偏向手段(22)と前記中間試料採取装置(24)の間に連結されかつ前記ミルク導管(38)と前記中間試料採取装置(24)の間の圧力平衡を確保するように配置された導管(48)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項9】
前記ミルク試料収集要素(64)が前記中間試料採取装置(24)に連結されているとき、前記浄化液が前記中間試料採取装置(24)、前記ミルク試料収集要素(64)及び前記ミルク導管(38)を通して吸引されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項10】
前記システム(10)がさらに、前記搾乳装置(12)及び/または前記試料採取装置を洗い流す液体スラッグが作られるように空気を前記浄化液に供給するように操作可能な空気注入器(84)を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためにかつ浄化を自動的に実施するために操作可能なシステム(10)。
【請求項11】
ミルク試料を自動的に得るためのかつ搾乳装置(12)及び試料採取装置を含むシステム(10)の浄化を自動的に実施するための方法であって、前記搾乳装置(12)が、動物(14)の搾乳のために適合されており、かつ各搾乳場所(16)のための乳頭カップ(18)を含むものにおいて、この方法が:
− 搾乳される動物(14)に前記乳頭カップ(18)を付ける;
− ミルクを抽出するために前記搾乳装置(12)に吸引圧力を付与する;
− 前記試料採取装置に含まれた中間試料採取装置(24)内に圧力を付与する;
− 前記試料採取装置に含まれた偏向手段(22)の助けにより、ミルクを前記乳頭カップ(18)から前記中間試料採取装置(24)に偏向する;
− 各中間試料採取装置(24)のための前記試料採取装置に含まれたミルク試料収集要素(64)の助けにより、前記中間試料採取装置(24)からミルク試料を得る;
− 前記搾乳場所(16)に配置されかつ前記搾乳装置(12)に含まれた浄化装置(82)を含む浄化液供給導管(56)の助けにより、浄化液を前記浄化装置(82)及び前記ミルク導管(38)に連結されている前記乳頭カップ(18)に供給する;
− 前記システム(10)の助けにより、前記浄化液を前記システム(10)の前記搾乳装置(12)及び前記試料採取装置の両方を通して吸引するために、前記浄化時に吸引圧力を付与する;
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記ミルク試料収集要素(64)が使い捨て可能なミルク試料収集要素(64)であること、及び前記方法がさらに:
− 使用された使い捨て可能なミルク試料収集要素(64)を未使用の使い捨て可能なミルク試料収集要素(64)に交換する;
工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載のミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための方法。
【請求項13】
前記乳頭カップ(18)を付ける前記工程がロボット(26)の助けにより実施されることを特徴とする、請求項11または12に記載のミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための方法。
【請求項14】
前記方法がさらに:
− 前記浄化液を、前記浄化液供給導管(56)から直接に、または前記浄化装置(82)を介して、またはそれらの両方で、前記中間試料採取装置(24)に吸引する;
工程を含むことを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための方法。
【請求項15】
前記方法がさらに:
− 前記ミルク試料収集要素(64)を前記中間試料採取装置(24)に連結する;及び
− 前記浄化液を、前記中間試料採取装置(24)、前記ミルク試料収集要素(64)及び前記ミルク導管(38)を通して吸引する;
工程を含むことを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための方法。
【請求項16】
前記方法がさらに:
− 前記システム(10)に含まれた空気注入器(84)の助けにより、前記搾乳装置(12)及び/または前記試料採取装置を洗い流す液体スラッグが作られるように空気を前記浄化液に供給する;
工程を含むことを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一つに記載のミルク試料を自動的に得るためのかつ浄化を自動的に実施するための方法。
【請求項17】
少なくとも一つのデジタルコンピュータ(100,‐‐‐,100n)の内部メモリー中に直接ロード可能な少なくとも一つのコンピュータプログラム製品(102,‐‐‐,102n)であって、前記少なくとも一つのコンピュータプログラム製品(102,‐‐‐,102n)が前記少なくとも一つのデジタルコンピュータ(100,‐‐‐,100n)上で実行されるときに請求項11に記載の工程を実施するためのソフトウエアコード部分を含む、少なくとも一つのコンピュータプログラム製品(102,‐‐‐,102n)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−527895(P2011−527895A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517883(P2011−517883)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058853
【国際公開番号】WO2010/007007
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)