メモ台付き椅子
【課題】メモ台を適切な大きさで適切な位置に配置することができるメモ台付き椅子を提供する。
【解決手段】
椅子1は、脚体10と、座体20と、背もたれ30と、アーム40と、メモ台50と、からなる。アーム40の先端には連結部41が配置されている。連結部41は、メモ台50を、第1回動軸43と第2回動軸45とを中心として回動可能に支持する。第1回動軸43は、水平から所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て前記椅子の前後方向に略平行となる位置関係となっている。また、第2回動軸45は、メモ台50の主面51と直交する位置関係となっている。
【解決手段】
椅子1は、脚体10と、座体20と、背もたれ30と、アーム40と、メモ台50と、からなる。アーム40の先端には連結部41が配置されている。連結部41は、メモ台50を、第1回動軸43と第2回動軸45とを中心として回動可能に支持する。第1回動軸43は、水平から所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て前記椅子の前後方向に略平行となる位置関係となっている。また、第2回動軸45は、メモ台50の主面51と直交する位置関係となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着座可能な座体と、メモ台と、前記メモ台を支持する支持体と、からなるメモ台付き椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、会議室などで用いる椅子として、メモ台付きの椅子が利用されている。このメモ台付き椅子は、一般的に、椅子の脚部などに連結して保持されたメモ台を、着席者の前方で水平とした水平位置と、着席者の側方にて起立させた収納位置と、の間で移動可能に構成されている。メモ台を水平位置とすることで、使用者はノートやメモなどを広げて筆記したり、ノート型のパーソナルコンピュータを置いて使用したりすることができるようになる。
【0003】
会議室等で使用される椅子は、互いに重ね合わせることができると、不使用時に小さいスペースで多数の椅子を収納できるため都合がよい。しかしながら、メモ台が備えられている椅子は、メモ台が邪魔となるため重ね合わせることができず、重ねて収納することが困難となる場合があった。
【0004】
そこで、従来、メモ台付き椅子を前後方向に重ねる(いわゆるネスティングする)ため、上述した収納位置においてメモ台の主たる面が前後方向に対して傾斜を有するように配置される椅子が提案されている(特許文献1参照)。この椅子では、椅子同士が前後方向に接近していてもメモ台(ライティングテーブル)同士が接触することを回避できるため、ネスティングを行なうことが可能となる。
【特許文献1】特開2003−79451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の椅子に備えられたメモ台は、メモ台が上述した収納位置となったときに前後方向に対して傾斜を持たせるために、前後方向に対して傾斜した回転軸を中心としてメモ台が回転するように構成されている。これにより、メモ台は、収納位置において、前後方向に対して傾斜を有する位置に移動することとなる。
【0006】
しかしながら、上記回転軸が前後方向に対して傾斜を有していると、次のような問題点がある。
図9に示すように、回転軸61の前方が椅子の中心方向を向くように傾斜している場合、メモ台60上に荷重を掛けることができない領域62が発生する。この領域62に物をおいたり手を着いたりして荷重を掛けると、メモ台60が図9の矢印D方向に回転してしまう危険があるため、上記領域62にはメモ台を形成することができない。
【0007】
メモ台60はA4サイズのノートを開いて置けるように、A3サイズに形成されることが望まれる場合があるが、上記領域62を除いてメモ台60を形成した場合、図10に示すようにその領域62に隣接する領域63もA3サイズの領域確保に使用できないため、メモ台60を必要以上に大きく形成する必要があった。
【0008】
一方、図11に示すように、回転軸64の前方が椅子の外側方向を向くように傾斜している場合、上述した図9の領域62に相当する領域はほとんど生じなくなる。しかし、メモ台60を収納位置(図11における破線で示すメモ台60の位置)に移動可能とするためには、メモ台60を支持する連結点65から椅子の中心までの距離Eが大きくなる。その結果、椅子全体の重心が大きくメモ台60の回転軸64側によってしまい、椅子のバランスが悪くなり横転しやすくなるほか、使用者の前方の左右方向に関して適切な位置までメモ台60を到達させようとすると、メモ台60の左右方向の長さFが大きくなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされており、メモ台を適切な大きさで適切な位置に配置することができるメモ台付き椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、使用者が着座可能な座体と、メモ台と、上記メモ台を支持する支持体と、からなるメモ台付き椅子であって、上記メモ台は、第1回動軸を中心として、上記メモ台の主たる面が略水平となる水平位置と、上記メモ台の主たる面が略鉛直となる鉛直位置と、の間で回動可能に上記支持体に取り付けられており、上記第1回動軸は、水平から所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て上記座体の前後方向に略平行となる位置関係にて配置されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成されたメモ台付き椅子では、第1回動軸が水平に対して傾斜しているため、メモ台の主たる面が略水平な水平位置にあるとき、図2に示すように、第1回動軸43とメモ台の主たる面51とは、側方から見て角度αを有する位置関係となっている。そのため、メモ台を回動させて鉛直位置としたとき、メモ台の主たる面51は、上方向から見て、図5(a)および図6(a)に示すように、第1回動軸43に対して上述した角度α分、傾斜した位置関係となる。
【0012】
つまり、第1回動軸43が上方向からみて椅子の前後方向に略平行な位置関係となっているにもかかわらず、メモ台の主たる面は、鉛直位置においてはネスティングに必要な前後方向に対する傾斜角度αを得ることができる。
【0013】
このように、本発明のメモ台付き椅子であれば、上述した水平位置と上述した鉛直位置との間の回動の中心となる第1回動軸を、座体の前後方向に略平行となる位置関係で配置することができる。
【0014】
それにより、従来のメモ台付き椅子のうち、第1回動軸の前方が椅子の中心方向を向いて傾斜しているもののように、メモ台上に荷重を掛けられない領域が存在しなくなる。また、従来のメモ台付き椅子のうち、第1回動軸の前方が外側を向いて傾斜しているもののように、大きく外側に上述した連結点を設定する必要が無くなる。
【0015】
よって、本発明のメモ台付き椅子であれば、メモ台を適切な大きさで適切な位置に配置することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のメモ台付き椅子であって、上記メモ台が、上記メモ台の主たる面と直交する第2回動軸を中心として回動可能に上記支持体に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
このように構成されたメモ台付き椅子であれば、メモ台が第2回動軸を中心として回動する。この第2回動軸は、メモ台の主たる面と直交しているため、メモ台がこの第2回動軸を中心に回動すると、メモ台の座体の前後方向に関する傾斜角度は維持しつつ、メモ台の位置を変更できる。よって、ネスティングの機能をそのままに、メモ台を使用しないときにはメモ台が邪魔にならない位置に収納させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)椅子の構成
本実施形態の椅子1は、図1および図2に示すように、脚体10と、使用者が着席可能な座体20と、使用者が着座中にもたれかかる背もたれ30と、アーム40と、アーム40により支持されるメモ台50と、からなり、前後方向に重ねて収納するいわゆるネスティングが可能に形成されている。
【0018】
脚体10は、座体20の左右方向の両側に配置される一対の前脚11および一対の後脚12と、これら前脚11および後脚12を、それぞれの上端において接続する左右方向の両側に配置される一対の接続部13と、左右方向に延びる柱状の部材であって、左右の前脚11を連結する連結部材14と、前脚11および後脚12の下端部に取り付けられたキャスター15と、を有している。
【0019】
前脚11は後傾するように配置されており、後脚12は前傾するように配置されている。後脚12は、前脚11よりも左右方向に関して外側に配置されている。
座体20は、使用者が着席する着座面21を有しており、前脚11に対し、図示しない回転軸を中心として、着座面21が略水平となる着座位置(図2参照)と、着座面21が略鉛直となる起立位置(図3参照)と、の間で回転可能に取り付けられている。この座体20は、着座位置においては、連結部材14に下方向から支持されている。ネスティングを行う際には、座体20を起立位置に移動させる。
【0020】
背もたれ30は、座体20の後方において、やや後傾した角度で左右の接続部13に固定されており、着座する使用者の背中を支持する。
アーム40は、上方向から見て前後方向に略平行であり、かつ、ネスティングが可能となるように水平から所定の角度傾斜を有するように接続部13の左右いずれか一方(本実施形態においては左側)に取り付けられている。また、後述するスタッキングが可能となるように、このアーム40は後脚12よりも左右方向に関して外側に配置されている。
【0021】
アーム40の先端には連結部41が配置されている。連結部41付近の拡大図を図4に示す。連結部41は、アーム40に固定された基部42と、基部42に対して第1回動軸43を中心に回動自在な第1回転部44と、を備える。メモ台50は、第2回動軸45を中心に回動自在に第1回転部44に取り付けられる。第1回動軸43は、水平に対して前方が高くなるように所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て椅子1の前後方向に略平行となる位置関係となっている。また、第2回動軸45は、後述するメモ台50の主面51と直交する位置関係となっており、第1回転部44の回動に伴って変位する。
【0022】
メモ台50は、上述した第1回転部44を第1回動軸43を中心に回動させることにより、第1回動軸43を中心として回動する。また、メモ台50は、第2回動軸45を中心として回動する。
【0023】
また、メモ台50は、ノートやメモなどを広げて筆記したり、ノート型のパーソナルコンピュータを置いて使用したりするための主面51を有している。この主面51は、図1に示すように、左右の端部が前後方向に対して略平行であり、前方の端部が左右方向に略平行であり、後方の端部が左右方向に関して連結部41から遠い側が前方となるように傾斜して形成されている。また、このメモ台50は、連結部41により、アーム40が取り付けられている側(本実施形態においては左側)かつ後方の下側面において支持されている。
(2)メモ台の動作
メモ台50は、図1および図2に示す水平位置から、連結部41の第1回動軸43を中心として矢印Aの方向に回動させると、図5(a)、(b)に示す鉛直位置となる。この鉛直位置において、主面51は、上方向から見て、前後方向に対して所定の角度αを有する。この角度αは、図2に示す第1回動軸43と主面51との成す角度αと同じ角度である。なお、連結部41の内部に配置された図示しないストッパにより、メモ台50の第1回動軸43を中心とした回動は、上述した水平位置と鉛直位置との間に制限されている。
【0024】
さらに、上述した鉛直位置から、連結部41の第2回動軸45を中心として図5(b)に示す矢印Bの方向に回動させると、図6(a)、(b)に示す収納位置となる。この収納位置は、いすの側面に沿っており、また起立位置よりも下側かつ後方側にである位置であるから、メモ台50を使用しないときには収納位置に移動させることで、メモ台50が邪魔にならなくなる。
【0025】
第2回動軸45は主面51と直交するものであるため、鉛直位置から収納位置へ回動しても、主面51の前後方向に対する角度αは維持される。なお、連結部41の内部に配置された図示しないストッパにより、メモ台50の第2回動軸45を中心とした回動は、上述した鉛直位置と収納位置との間に制限されている。
【0026】
なお、上述した水平位置から鉛直位置、鉛直位置から収納位置への回動する動作を逆に行うことで、収納位置から水平位置へ移動させることができる。
(3)ネスティング動作
ネスティングを行う際には、図7(a)に示すように、まず、メモ台50を収納位置に移動させ、かつ座体20を起立位置に移動した状態とする。そして、椅子1を前後方向から重ねる。その結果、図7(b)に示すように、椅子1同士が重なる。このとき、メモ台50同士は、図7(c)に示すように、上方向からみて前後方向に対して角度αにて傾斜しているため、メモ台50同士が接触してネスティングの妨げとなることがない。なお、図7(a)〜(c)では、2台の椅子1がネスティングした状態を示しているが、3台以上であっても同様にネスティングが可能である。
【0027】
さらに、本実施例の椅子1は、椅子1同士を上下方向に重ねるいわゆるスタッキングも可能に構成されている。スタッキングを行う際には、図8(a)に示すように、まず、メモ台50を収納位置に移動させ、かつ座体20を着座位置に移動した状態とし、そして椅子1を上下方向から重ねることで、椅子1同士が重なる。このとき、メモ台50は、図8(b)に示すように、第1回動軸43により矢印C方向への回動が可能である。そのため、上から積まれた椅子1のメモ台50は、下に配置された椅子1のメモ台50を避けることができるので、メモ台50同士が接触してスタッキングの妨げとなることがない。なお、予めメモ台50の鉛直位置および収納位置を、鉛直方向から所定の角度傾斜を有する位置に設定しておくことで、スタッキングする際のメモ台50同士の接触を防止する構成であってもよい。
(4)効果
このように構成された椅子1は、第1回動軸43を前後方向に対して略平行に配置しているにもかかわらず、メモ台50が収納位置となったときには、その主面51が前後方向に対して傾斜を有するように構成されている。
【0028】
よって、従来のメモ台付き椅子のように、要求される広さの領域を確保するためにメモ台が必要以上に大きくなってしまうことや、連結部41を大きく外側に配置することによって、椅子1のバランスを悪くしたり、適切な位置までメモ台を到達させるためにメモ台が不要に長くなるという問題が起きにくくなる。
【0029】
このように、本実施形態の椅子1であれば、ネスティングの機能を備えつつ、メモ台50を適切な大きさで適切な位置に配置することができる。
また、本実施形態の椅子1は、アーム40を後脚12よりも外側に配置することで、スタッキングによる収納も実現することができる。
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上記実施形態においては、メモ台50が第1回動軸43および第2回動軸45を中心として回動し、水平位置から鉛直位置を経由して収納位置に移動する構成を例示した。しかしながら、メモ台50の主面51が、ネスティングに必要な前後方向に関して傾斜を有する位置関係に移動できれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、連結部41は第1回動軸43のみを有しており、主面51が水平な水平位置から、主面51が略鉛直となる位置まで回動可能となっている構成とすることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】椅子の平面図
【図2】椅子の側面図
【図3】座体を起立位置としたときの椅子の側面図
【図4】連結部を示す側面図
【図5】メモ台を鉛直位置としたときの椅子を示す図
【図6】メモ台を収納位置としたときの椅子を示す図
【図7】ネスティングした状態を示す図
【図8】スタッキングした状態を示す図
【図9】回転軸が椅子の中心方向を向いて傾斜した従来の椅子を示す平面図
【図10】従来の椅子のメモ台を示す平面図
【図11】回転軸が椅子の外側方向を向いて傾斜した従来の椅子を示す平面図
【符号の説明】
【0032】
1…椅子、10…脚体、11…前脚、12…後脚、13…接続部、14…連結部材、15…キャスター、20…座体、21…着座面、30…背もたれ、40…アーム、41…連結部、42…基部、43…第1回動軸、44…第1回転部、45…第2回動軸、50…メモ台、51…主面、60…メモ台、61…回転軸、62…領域、63…領域、64…回転軸、65…連結点
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着座可能な座体と、メモ台と、前記メモ台を支持する支持体と、からなるメモ台付き椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、会議室などで用いる椅子として、メモ台付きの椅子が利用されている。このメモ台付き椅子は、一般的に、椅子の脚部などに連結して保持されたメモ台を、着席者の前方で水平とした水平位置と、着席者の側方にて起立させた収納位置と、の間で移動可能に構成されている。メモ台を水平位置とすることで、使用者はノートやメモなどを広げて筆記したり、ノート型のパーソナルコンピュータを置いて使用したりすることができるようになる。
【0003】
会議室等で使用される椅子は、互いに重ね合わせることができると、不使用時に小さいスペースで多数の椅子を収納できるため都合がよい。しかしながら、メモ台が備えられている椅子は、メモ台が邪魔となるため重ね合わせることができず、重ねて収納することが困難となる場合があった。
【0004】
そこで、従来、メモ台付き椅子を前後方向に重ねる(いわゆるネスティングする)ため、上述した収納位置においてメモ台の主たる面が前後方向に対して傾斜を有するように配置される椅子が提案されている(特許文献1参照)。この椅子では、椅子同士が前後方向に接近していてもメモ台(ライティングテーブル)同士が接触することを回避できるため、ネスティングを行なうことが可能となる。
【特許文献1】特開2003−79451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の椅子に備えられたメモ台は、メモ台が上述した収納位置となったときに前後方向に対して傾斜を持たせるために、前後方向に対して傾斜した回転軸を中心としてメモ台が回転するように構成されている。これにより、メモ台は、収納位置において、前後方向に対して傾斜を有する位置に移動することとなる。
【0006】
しかしながら、上記回転軸が前後方向に対して傾斜を有していると、次のような問題点がある。
図9に示すように、回転軸61の前方が椅子の中心方向を向くように傾斜している場合、メモ台60上に荷重を掛けることができない領域62が発生する。この領域62に物をおいたり手を着いたりして荷重を掛けると、メモ台60が図9の矢印D方向に回転してしまう危険があるため、上記領域62にはメモ台を形成することができない。
【0007】
メモ台60はA4サイズのノートを開いて置けるように、A3サイズに形成されることが望まれる場合があるが、上記領域62を除いてメモ台60を形成した場合、図10に示すようにその領域62に隣接する領域63もA3サイズの領域確保に使用できないため、メモ台60を必要以上に大きく形成する必要があった。
【0008】
一方、図11に示すように、回転軸64の前方が椅子の外側方向を向くように傾斜している場合、上述した図9の領域62に相当する領域はほとんど生じなくなる。しかし、メモ台60を収納位置(図11における破線で示すメモ台60の位置)に移動可能とするためには、メモ台60を支持する連結点65から椅子の中心までの距離Eが大きくなる。その結果、椅子全体の重心が大きくメモ台60の回転軸64側によってしまい、椅子のバランスが悪くなり横転しやすくなるほか、使用者の前方の左右方向に関して適切な位置までメモ台60を到達させようとすると、メモ台60の左右方向の長さFが大きくなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされており、メモ台を適切な大きさで適切な位置に配置することができるメモ台付き椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、使用者が着座可能な座体と、メモ台と、上記メモ台を支持する支持体と、からなるメモ台付き椅子であって、上記メモ台は、第1回動軸を中心として、上記メモ台の主たる面が略水平となる水平位置と、上記メモ台の主たる面が略鉛直となる鉛直位置と、の間で回動可能に上記支持体に取り付けられており、上記第1回動軸は、水平から所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て上記座体の前後方向に略平行となる位置関係にて配置されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成されたメモ台付き椅子では、第1回動軸が水平に対して傾斜しているため、メモ台の主たる面が略水平な水平位置にあるとき、図2に示すように、第1回動軸43とメモ台の主たる面51とは、側方から見て角度αを有する位置関係となっている。そのため、メモ台を回動させて鉛直位置としたとき、メモ台の主たる面51は、上方向から見て、図5(a)および図6(a)に示すように、第1回動軸43に対して上述した角度α分、傾斜した位置関係となる。
【0012】
つまり、第1回動軸43が上方向からみて椅子の前後方向に略平行な位置関係となっているにもかかわらず、メモ台の主たる面は、鉛直位置においてはネスティングに必要な前後方向に対する傾斜角度αを得ることができる。
【0013】
このように、本発明のメモ台付き椅子であれば、上述した水平位置と上述した鉛直位置との間の回動の中心となる第1回動軸を、座体の前後方向に略平行となる位置関係で配置することができる。
【0014】
それにより、従来のメモ台付き椅子のうち、第1回動軸の前方が椅子の中心方向を向いて傾斜しているもののように、メモ台上に荷重を掛けられない領域が存在しなくなる。また、従来のメモ台付き椅子のうち、第1回動軸の前方が外側を向いて傾斜しているもののように、大きく外側に上述した連結点を設定する必要が無くなる。
【0015】
よって、本発明のメモ台付き椅子であれば、メモ台を適切な大きさで適切な位置に配置することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のメモ台付き椅子であって、上記メモ台が、上記メモ台の主たる面と直交する第2回動軸を中心として回動可能に上記支持体に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
このように構成されたメモ台付き椅子であれば、メモ台が第2回動軸を中心として回動する。この第2回動軸は、メモ台の主たる面と直交しているため、メモ台がこの第2回動軸を中心に回動すると、メモ台の座体の前後方向に関する傾斜角度は維持しつつ、メモ台の位置を変更できる。よって、ネスティングの機能をそのままに、メモ台を使用しないときにはメモ台が邪魔にならない位置に収納させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)椅子の構成
本実施形態の椅子1は、図1および図2に示すように、脚体10と、使用者が着席可能な座体20と、使用者が着座中にもたれかかる背もたれ30と、アーム40と、アーム40により支持されるメモ台50と、からなり、前後方向に重ねて収納するいわゆるネスティングが可能に形成されている。
【0018】
脚体10は、座体20の左右方向の両側に配置される一対の前脚11および一対の後脚12と、これら前脚11および後脚12を、それぞれの上端において接続する左右方向の両側に配置される一対の接続部13と、左右方向に延びる柱状の部材であって、左右の前脚11を連結する連結部材14と、前脚11および後脚12の下端部に取り付けられたキャスター15と、を有している。
【0019】
前脚11は後傾するように配置されており、後脚12は前傾するように配置されている。後脚12は、前脚11よりも左右方向に関して外側に配置されている。
座体20は、使用者が着席する着座面21を有しており、前脚11に対し、図示しない回転軸を中心として、着座面21が略水平となる着座位置(図2参照)と、着座面21が略鉛直となる起立位置(図3参照)と、の間で回転可能に取り付けられている。この座体20は、着座位置においては、連結部材14に下方向から支持されている。ネスティングを行う際には、座体20を起立位置に移動させる。
【0020】
背もたれ30は、座体20の後方において、やや後傾した角度で左右の接続部13に固定されており、着座する使用者の背中を支持する。
アーム40は、上方向から見て前後方向に略平行であり、かつ、ネスティングが可能となるように水平から所定の角度傾斜を有するように接続部13の左右いずれか一方(本実施形態においては左側)に取り付けられている。また、後述するスタッキングが可能となるように、このアーム40は後脚12よりも左右方向に関して外側に配置されている。
【0021】
アーム40の先端には連結部41が配置されている。連結部41付近の拡大図を図4に示す。連結部41は、アーム40に固定された基部42と、基部42に対して第1回動軸43を中心に回動自在な第1回転部44と、を備える。メモ台50は、第2回動軸45を中心に回動自在に第1回転部44に取り付けられる。第1回動軸43は、水平に対して前方が高くなるように所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て椅子1の前後方向に略平行となる位置関係となっている。また、第2回動軸45は、後述するメモ台50の主面51と直交する位置関係となっており、第1回転部44の回動に伴って変位する。
【0022】
メモ台50は、上述した第1回転部44を第1回動軸43を中心に回動させることにより、第1回動軸43を中心として回動する。また、メモ台50は、第2回動軸45を中心として回動する。
【0023】
また、メモ台50は、ノートやメモなどを広げて筆記したり、ノート型のパーソナルコンピュータを置いて使用したりするための主面51を有している。この主面51は、図1に示すように、左右の端部が前後方向に対して略平行であり、前方の端部が左右方向に略平行であり、後方の端部が左右方向に関して連結部41から遠い側が前方となるように傾斜して形成されている。また、このメモ台50は、連結部41により、アーム40が取り付けられている側(本実施形態においては左側)かつ後方の下側面において支持されている。
(2)メモ台の動作
メモ台50は、図1および図2に示す水平位置から、連結部41の第1回動軸43を中心として矢印Aの方向に回動させると、図5(a)、(b)に示す鉛直位置となる。この鉛直位置において、主面51は、上方向から見て、前後方向に対して所定の角度αを有する。この角度αは、図2に示す第1回動軸43と主面51との成す角度αと同じ角度である。なお、連結部41の内部に配置された図示しないストッパにより、メモ台50の第1回動軸43を中心とした回動は、上述した水平位置と鉛直位置との間に制限されている。
【0024】
さらに、上述した鉛直位置から、連結部41の第2回動軸45を中心として図5(b)に示す矢印Bの方向に回動させると、図6(a)、(b)に示す収納位置となる。この収納位置は、いすの側面に沿っており、また起立位置よりも下側かつ後方側にである位置であるから、メモ台50を使用しないときには収納位置に移動させることで、メモ台50が邪魔にならなくなる。
【0025】
第2回動軸45は主面51と直交するものであるため、鉛直位置から収納位置へ回動しても、主面51の前後方向に対する角度αは維持される。なお、連結部41の内部に配置された図示しないストッパにより、メモ台50の第2回動軸45を中心とした回動は、上述した鉛直位置と収納位置との間に制限されている。
【0026】
なお、上述した水平位置から鉛直位置、鉛直位置から収納位置への回動する動作を逆に行うことで、収納位置から水平位置へ移動させることができる。
(3)ネスティング動作
ネスティングを行う際には、図7(a)に示すように、まず、メモ台50を収納位置に移動させ、かつ座体20を起立位置に移動した状態とする。そして、椅子1を前後方向から重ねる。その結果、図7(b)に示すように、椅子1同士が重なる。このとき、メモ台50同士は、図7(c)に示すように、上方向からみて前後方向に対して角度αにて傾斜しているため、メモ台50同士が接触してネスティングの妨げとなることがない。なお、図7(a)〜(c)では、2台の椅子1がネスティングした状態を示しているが、3台以上であっても同様にネスティングが可能である。
【0027】
さらに、本実施例の椅子1は、椅子1同士を上下方向に重ねるいわゆるスタッキングも可能に構成されている。スタッキングを行う際には、図8(a)に示すように、まず、メモ台50を収納位置に移動させ、かつ座体20を着座位置に移動した状態とし、そして椅子1を上下方向から重ねることで、椅子1同士が重なる。このとき、メモ台50は、図8(b)に示すように、第1回動軸43により矢印C方向への回動が可能である。そのため、上から積まれた椅子1のメモ台50は、下に配置された椅子1のメモ台50を避けることができるので、メモ台50同士が接触してスタッキングの妨げとなることがない。なお、予めメモ台50の鉛直位置および収納位置を、鉛直方向から所定の角度傾斜を有する位置に設定しておくことで、スタッキングする際のメモ台50同士の接触を防止する構成であってもよい。
(4)効果
このように構成された椅子1は、第1回動軸43を前後方向に対して略平行に配置しているにもかかわらず、メモ台50が収納位置となったときには、その主面51が前後方向に対して傾斜を有するように構成されている。
【0028】
よって、従来のメモ台付き椅子のように、要求される広さの領域を確保するためにメモ台が必要以上に大きくなってしまうことや、連結部41を大きく外側に配置することによって、椅子1のバランスを悪くしたり、適切な位置までメモ台を到達させるためにメモ台が不要に長くなるという問題が起きにくくなる。
【0029】
このように、本実施形態の椅子1であれば、ネスティングの機能を備えつつ、メモ台50を適切な大きさで適切な位置に配置することができる。
また、本実施形態の椅子1は、アーム40を後脚12よりも外側に配置することで、スタッキングによる収納も実現することができる。
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上記実施形態においては、メモ台50が第1回動軸43および第2回動軸45を中心として回動し、水平位置から鉛直位置を経由して収納位置に移動する構成を例示した。しかしながら、メモ台50の主面51が、ネスティングに必要な前後方向に関して傾斜を有する位置関係に移動できれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、連結部41は第1回動軸43のみを有しており、主面51が水平な水平位置から、主面51が略鉛直となる位置まで回動可能となっている構成とすることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】椅子の平面図
【図2】椅子の側面図
【図3】座体を起立位置としたときの椅子の側面図
【図4】連結部を示す側面図
【図5】メモ台を鉛直位置としたときの椅子を示す図
【図6】メモ台を収納位置としたときの椅子を示す図
【図7】ネスティングした状態を示す図
【図8】スタッキングした状態を示す図
【図9】回転軸が椅子の中心方向を向いて傾斜した従来の椅子を示す平面図
【図10】従来の椅子のメモ台を示す平面図
【図11】回転軸が椅子の外側方向を向いて傾斜した従来の椅子を示す平面図
【符号の説明】
【0032】
1…椅子、10…脚体、11…前脚、12…後脚、13…接続部、14…連結部材、15…キャスター、20…座体、21…着座面、30…背もたれ、40…アーム、41…連結部、42…基部、43…第1回動軸、44…第1回転部、45…第2回動軸、50…メモ台、51…主面、60…メモ台、61…回転軸、62…領域、63…領域、64…回転軸、65…連結点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座可能な座体と、メモ台と、前記メモ台を支持する支持体と、からなるメモ台付き椅子であって、
前記メモ台は、第1回動軸を中心として、前記メモ台の主たる面が略水平となる水平位置と、前記メモ台の主たる面が略鉛直となる鉛直位置と、の間で回動可能に前記支持体に取り付けられており、
前記第1回動軸は、水平から所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て前記座体の前後方向に略平行となる位置関係にて配置されている
ことを特徴とするメモ台付き椅子。
【請求項2】
前記メモ台は、前記メモ台の主たる面と直交する第2回動軸を中心として回動可能に前記支持体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のメモ台付き椅子。
【請求項1】
使用者が着座可能な座体と、メモ台と、前記メモ台を支持する支持体と、からなるメモ台付き椅子であって、
前記メモ台は、第1回動軸を中心として、前記メモ台の主たる面が略水平となる水平位置と、前記メモ台の主たる面が略鉛直となる鉛直位置と、の間で回動可能に前記支持体に取り付けられており、
前記第1回動軸は、水平から所定の角度傾斜すると共に、上方向から見て前記座体の前後方向に略平行となる位置関係にて配置されている
ことを特徴とするメモ台付き椅子。
【請求項2】
前記メモ台は、前記メモ台の主たる面と直交する第2回動軸を中心として回動可能に前記支持体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のメモ台付き椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−46397(P2010−46397A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215401(P2008−215401)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000116596)愛知株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000116596)愛知株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
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