説明

メールアドレス管理装置

【課題】サイト毎に異なる登録用メールアドレスを管理し、登録用メールアドレスに対応する登録先サイトを特定することを可能とする。
【解決手段】登録先であるサービス提供者へユーザがユーザ登録を行う際、メールアドレス管理装置によって、登録先ごとの登録用メールアドレスを生成し、登録先と登録用メールアドレスと本当のメールアドレスとを一意に対応させ、それを管理する。登録先から登録用メールアドレス宛てに送付されたメールは、メールアドレス管理装置上の管理情報から、ユーザの本当のメールアドレスに転送される。この際、識別IDを付与し、識別IDを登録用メールアドレスと対応付けて管理し、ユーザから識別IDに対応する登録先の問い合わせがあったときには管理情報から登録先の情報を取得してユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターネット上での各種サービスサイトに対して登録されるメールアドレスを管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット上でユーザに対してサービスを提供するサービス提供者の各種のサイトでは、サービス提供にあたってユーザによりメールアドレスが登録される場合が多い。サービス提供者側ではユーザのメールアドレスを保管するが、サービス提供者側のセキュリティが十分でない場合等には登録されたメールアドレスが第三者に漏洩することも考えられる。
【0003】
このようなメールアドレスの漏洩が生じた場合に備えてのユーザによる対応策としては、(1)漏洩元(メールアドレスの登録先)を特定できるようにしておき、その漏洩元に必要に応じて適切な対処を求めるという方法や、(2)複数のメールアドレスを用意し、各メールアドレス毎に予め利用条件を設定しておき、条件を満たさないメールは受信しないようにする方法等が存在する。
【0004】
(1)の方法を実現するためには、登録先ごとに異なるメールアドレスを登録し、登録先とメールアドレスとを対応付けて管理すればよいが、ユーザは異なるメールアドレスを登録先数に応じて複数用意する必要がある。通常、メールアドレスは、プロバイダ等との契約や、既存のフリーメールサービスを利用するための手続きを行うことで取得できるが、個人が複数の異なるメールアドレスを取得するには、これらの契約や手続きをその都度行わなければならず、手間やアドレス使用の費用がかかるという問題がある。
【0005】
また、ユーザは、メールアドレスごとにメールソフトの設定を行う必要があるため、複数のメールアドレスを使い分けるためには、メールソフトの設定に手間がかかり、更にそれらのメールアドレスと登録先との対応付けをユーザ自身が行わなければならず、メールアドレスの管理が煩雑となる。
【0006】
さらに、(1)の方法によれば、登録先でのメールアドレスの漏洩等により、身に覚えの無い発信元からスパムメール等が届いた場合、その宛先となっているメールアドレスから、そのメールアドレスの登録先を特定することはできるが、ユーザ自身もそのメールアドレスを管理しているため、自らの過失等によりメールアドレスが漏洩した可能性を否定することが困難になるという問題がある。
【0007】
(2)の方法を採用したシステムの具体例として非特許文献1に記載されているメールシステムがある。このメールシステムは、サービス利用とは別個にユーザが保有しているメールアドレス(以下では、「ユーザメールアドレス」又は「本当のメールアドレス」という。)やサービス提供者情報等を用いてサービス提供者に知らせる「登録用メールアドレス」を別個の装置で複数生成し管理するシステムである。このメールシステムにおける動作概要を図1、2を参照して説明する。
【0008】
図1は、ユーザ端末及びサービス提供者の登録先サーバとネットワークを介して接続しているセンタ装置で、ユーザのメールアドレスとして登録先サーバに通知するメールアドレスである登録用メールアドレスを生成し、登録先サーバに登録するシステムにおけるメールアドレス登録動作を示す図である。
【0009】
まず、ユーザはセンタ装置に対して、有効期限や登録相手先等を含む利用条件とユーザがセンタ装置からメールを受信するためのメールアドレスとなる「ユーザメールアドレス」とを通知する(ステップ1)。センタ装置は、ユーザ端末から受信した利用条件等を暗号化して埋め込んだ条件付きメールアドレスを生成し(ステップ2)、ユーザ端末に発行する(ステップ3)。ユーザは条件付きメールアドレス(登録用メールアドレス)を自身のメールアドレスとして登録先サーバに登録する(ステップ4)。
【0010】
図2は、登録先サーバからユーザにメールを送信する場合に、メールがユーザ端末まで届くまでの動作を示す図である。登録先サーバが条件付きメールアドレス(登録用メールアドレス)宛てにメールを送信すると、メールは条件付メールアドレスのメールサーバであるセンタ装置で受信される(ステップ5)。センタ装置は、条件付メールアドレス宛のメールであることを識別すると、条件付きメールアドレスからユーザメールアドレスや条件付メールアドレスに関わる利用条件等を復号し(ステップ6)、当該メールが利用条件を満たしていればユーザメールアドレス宛に登録先サーバから受信したメールを転送する。当該メールが利用条件を満たしていない場合、メールはユーザ端末には転送されず、破棄或いは登録先サーバへのエラー通知など所定の処理が実施される(ステップ7)。
【0011】
この(2)の方法によれば、登録先に対して本当のメールアドレス(ユーザメールアドレス)を隠蔽することができるとともに、センタ装置では利用条件に反したメールが送られてきた場合、ユーザメールアドレスへの転送を遮断する、一部のスパムメールを排除することができるという利点がある。また、登録用メールアドレス自体(アドレスの文字列自体)に、本当のメールアドレスの情報や利用条件が暗号化して埋め込まれているため、センタ装置はそれらの対応情報を持つ必要がないという利点もある。
【0012】
しかしながら、登録先サーバでメールアドレスの漏洩があった場合、センタ装置に登録されている利用条件によっては、ユーザにスパムメールなどが届いてしまう。この場合、ユーザ自身が登録用メールアドレスと登録先の対応を管理していない限り、当該メールアドレスの漏洩元(登録先)を特定することができず、漏洩元に対して適切な対処を求めることができないため、ユーザは登録先に応じた登録用メールアドレスの管理から完全に開放されないという問題がある。また、登録用メールアドレスが漏洩した場合、(1)の方法と同様に、その登録用メールアドレスはユーザ自身も知っているため、それがユーザ自身から漏洩した可能性を否定できないという問題もある。
【非特許文献1】[平成18年1月20日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt.co.jp/news/news04/0411/041129.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、サービス提供を受けるためにメールアドレスの登録を必要とするインターネット上のサイト毎に異なる登録用メールアドレスを生成するが、ユーザ側でそれらの登録用メールアドレスを管理することなく、ユーザに送信されてきたメールで使用された登録用メールアドレスに対応する登録先サイトを特定でき、且つ登録用メールアドレスが漏洩した場合ユーザ自身に過失がないことを示すことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、インターネット上でサービス提供装置を介してサービス提供者が提供するサービスを利用するユーザのメールアドレスを管理するメールアドレス管理装置であって、
前記メールアドレス管理装置から前記ユーザ宛にメール送信するためのユーザメールアドレスと、前記サービスの提供を受けるユーザとして前記サービス提供装置が特定できる情報(例えば、サービス提供者が払いだした利用者IDでもよいし、ユーザの氏名住所などサービス提供者に登録する情報でもよい)と、前記ユーザメールアドレス若しくはユーザと提供サービス、サービス提供者若しくはサービス提供装置のいずれかとの組合せに対応付けられ且つ前記ユーザメールアドレスとは異なる登録メールアドレスとを含む情報を対にして記録保持する登録情報記録部と、
前記登録情報記録部から前記ユーザメールアドレスを含まず且つ前記登録メールアドレスを含む所定の情報(サービス提供装置でユーザ登録に必要な当該ユーザに関する全ての情報であってもよいし、また、氏名、住所などの情報は利用者端末から直接サービス提供サイトで入力し、入力時に払いだされたIDを利用者特定情報として登録メールアドレスと対にしてメールアドレス管理装置からサービス提供装置に所定の情報として送信してもよい。)をユーザ情報として読み出し、前記サービス提供装置に向けて出力するユーザ情報通知部と、
前記登録メールアドレスを宛先とするメールを受信したら、当該受信した登録メールアドレスに対応する前記ユーザメールアドレスを前記登録情報記録部から読み出し、当該受信したメールの宛先を当該読み出したユーザメールアドレスに置換すると共に、前記受信したメールを特定できるメール識別情報(ID,SP、利用サービス)を該受信したメールの一部(本文、送信元、タイトルなど)に付加して前記ユーザ宛てメールとして編集する転送メール編集部と、
当該メール識別情報と前記受信したメールで宛先として指定されていた登録メールアドレスとを対応付けて転送履歴記録部に格納するとともに、前記編集したユーザメールアドレス宛てメールを送出するメール転送部とを備えたことを特徴とするメールアドレス管理装置により解決できる。
【0015】
また、上記のメールアドレス管理装置において、前記ユーザ端末から前記メール識別情報と前記ユーザメールアドレス情報を受信し、前記メール識別情報に対応する前記登録メールアドレスの提供先情報の請求を受信する請求受付け手段と、前記請求受付け手段で受信したメール識別情報とユーザメールアドレス情報により、転送履歴記録部と登録情報記録部を検索して、登録メールアドレスの提供先を特定する手段と、該特定した提供先に関する情報をユーザ端末に向けて送信する手段とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが通常利用するユーザメールアドレスとは別に、サービス提供者毎或いはサービス提供者の個々のサービス毎にメールアドレスがメールアドレス管理装置で生成され、生成された登録用メールアドレスがユーザに知らされないようにメールアドレス管理装置で管理されるため、ユーザ自身が、メールアドレスを通知しなければならないサービス提供者或いは提供サービス毎に、サービス提供者に登録するメールアドレスを使い分ける必要が無くなる。
【0017】
また、サービス提供者側からメールアドレスが漏洩し、その結果、第三者からのスパムメールなどを受信したことが疑われる場合、受信したメールの内容又はメールアドレス管理装置への問合せにより、当該受信したメールに対応する登録メールアドレスの提供先のサービス提供者を特定でき、且つユーザ自身はメールアドレス管理装置から当該登録メールアドレスの内容及び当該登録メールアドレスと提供先のサービス提供者との関係も知らされていないため、ユーザ自身からの漏洩の可能性を否定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
(システム概要)
まず、図3、4を参照して本発明の実施形態のシステムの動作概要を説明する。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態の概要を説明するための図である。
【0021】
ユーザはパソコンなどのユーザ端末92を利用して、利用契約しているメールサーバが識別できるメールアドレス(例えば、ABC@origin.jp)を使ってメールサーバ94を介して一般メールの授受を行っている。
【0022】
また、サービス提供装置93を使ってユーザ向けのサービスを提供しているサービス提供業者は、ユーザメールアドレスの提供をメールアドレス管理装置91から受けるため、サービス提供装置93などに関する情報やユーザからの登録手続きを実施する手続きプログラムをメールアドレス管理装置91に登録しておく。
【0023】
ユーザがサービス提供装置93で提供されているサービスを利用する場合、図示していないネットワークを経由してサービス提供装置93からユーザ登録のための情報(利用登録のためのアクセス先(本例の場合、メールアドレス管理装置91のアドレス)、アクセス方法、入力情報など)を取得する。
【0024】
メールアドレス管理装置91の登録受付け部911では、サービス提供装置93から事前に登録されているプログラムの実行等により、ユーザ端末92からユーザメールアドレスを含むユーザ情報を受信し、登録アドレス生成部912に供給する。
【0025】
登録アドレス生成部912では、当該登録に対応するメールアドレスを登録用メールアドレスとして生成し、ユーザメールアドレスを含むユーザ情報と、生成した登録用メールアドレスを含むサービス提供者情報とを対にして、登録情報記録部913に記録保持する。
【0026】
なお、登録アドレス生成部912で生成される登録用メールアドレスは、このアドレス宛のメールが、メールアドレス管理装置91で受信されるように生成される。
【0027】
また、登録情報記録部913では登録用メールアドレス、ユーザ情報の送信先となるサービス提供装置のネットワーク上のアドレスも当然に対応付けられるよう記録保持されている。
【0028】
また、本発明の説明では、登録用メールアドレスを、予め複数生成しておき、その都度生成せずに、生成されているメールアドレスから選択する場合も、「生成」と表記している。
【0029】
図4は、登録情報記録部913に記録保持されるデータの一例である。本実施例ではユーザに関わる詳細情報(ユーザ名称、ユーザの住所、年齢等々のユーザ属性情報)は図示していないが、利用者識別情報とリンクして、記録保持される。サービス提供者の詳細情報についても同様である。
【0030】
登録用メールアドレスが生成され、サービス提供者(装置、サービス内容)との連携がとれ登録情報記録部913に記録保持されたら、登録用メールアドレス及びサービス提供装置93側で必要とされるユーザ情報(必要な情報項目は、予めサービス提供装置93からメールアドレス管理装置91で受信し保持しておいても良いし、ユーザ端末92から受信したユーザに関する全データを必要な利用者情報としても良い。)を、ユーザ情報通知部914からネットワークを介してサービス提供装置93に送信する。
【0031】
サービス提供装置93は、受信したユーザ情報(登録用メールアドレスが含まれる)を提供サービス内容等と対にして、ユーザ情報記録部932に記録保存する。ユーザ名など当該ユーザにサービス提供するために必要な情報は、メールアドレス管理装置91からのユーザ情報の一部として受信してもよいし、登録用メールアドレスを除く一部のユーザ情報については、ユーザ端末92からネットワークを介して直接取得しても良い。
【0032】
以上により、サービス提供装置93にサービス提供を受けるユーザの登録が行われる。
【0033】
次に、サービス提供装置93からユーザ端末92のユーザに、サービス案内などの情報を電子メールで送信するする場合の動作を説明する。
【0034】
サービス提供装置93は、ユーザ情報記録部932から情報送信の目的に適合するユーザを選択するともに、そのユーザのメールアドレス(登録用メールアドレス)を読み出し、送信メールを組み立て(メールタイトル、本文、送信先メールアドレス、送信元情報など)、ネットワークに送信する。
【0035】
送信されたメールは、メールアドレス管理装置91により受信される(例えば、図4の例にあるように、登録用メールアドレスのドメイン名をメールアドレス管理装置91のドメイン名と一致させ、メールアドレス管理装置91が読み出し可能なメールサーバにメールが受信されるようにすればよい)。
【0036】
メールアドレス管理装置91のメール転送部915では、登録用メールアドレスを宛先(送信先)とするメールを受信すると、メール送信先のアドレス(登録用メールアドレス)に対応するユーザメールアドレスを登録情報記録部913から読み出し、受信したメールの送信先アドレス(登録用メールアドレス)をユーザメールアドレスに置き換える。さらに、当該メールを特定できる識別情報(管理情報)をメールに埋め込み、埋め込んだ識別情報、メールの送信先として指定されていた登録用メールアドレス及びユーザメールアドレスの相互の対応が取れるように転送履歴記録部916に保存する。
【0037】
メール転送部915は、メールアドレスの書き換え、書き換え記録の保存が正常に終了したら、書き換えられたメール(宛先:ユーザメールアドレス)をネットワークに送信する。
【0038】
この書き換え、送信されたメールはユーザ宛の一般のメールと同様に、ユーザがサービス提供装置93でのサービスとは関係なく利用しているメールサーバ94を経由して、ユーザ端末92により読み出され、サービス提供装置93からの情報がユーザに伝達される。
【0039】
サービス提供装置93からユーザ情報が漏洩し、ユーザ情報の不正取得者がユーザ宛てにスパムメールを送出した場合も、不正取得者からのメールは、漏洩されたアドレスが登録用メールアドレスである限りは上記と同様に、メールアドレス管理装置91を経由して、ユーザに伝達される。
【0040】
ユーザは、受信したメールがスパムメールである場合、どのサービス提供者からメールアドレスが不正取得者に漏洩されたのかを次の様にして知ることが出来る。
【0041】
まず、ユーザはユーザ端末92からメールアドレス管理装置91に宛てて、メールアドレス漏洩問合せのため予め定められた手順(例えば、メールアドレス管理装置91の特定メールアドレス宛てに、所定の形式のメールを送信する手順、或いは、メールアドレス管理装置91のサービスホームページにアクセスする手順など)により、ユーザメールアドレス及びメールアドレス管理装置91から付与された識別情報を含む情報をメールアドレス管理装置91に送信する。送信された情報は登録メールアドレス問合わせ対応部917で解釈され、ユーザメールアドレスと識別情報とにより(識別情報がメールアドレス管理装置91で管理する全ユーザの全メールにユニークに付与されている場合は、ユーザメールアドレスは不要にできる)、送信元の登録用メールアドレスを特定し、登録情報記録部913から、ユーザから問合せのあったメールについて登録用メールアドレスに対応付けられているサービス提供者を読み出す。メールアドレス管理装置91は読み出されたサービス提供者の情報を所定の手段によりユーザ端末92に返信する。
【0042】
このように、ユーザメールアドレスと登録用メールアドレスをメールアドレス管理装置91で対応付けし、ユーザ端末92(サービス提供装置のサービス利用者)には登録用メールアドレスが、サービス提供装置93(サービス提供者)にはユーザメールアドレスが知らされないため、及び、サービス提供装置若しくはサービス提供者又は提供サービス毎に個別のメールアドレスが割り当てられるため、さらには、ユーザからの問合せで元になっているメールの送信先(登録用メールアドレス)との対応付けがメールアドレス管理装置91で行えるため、ユーザは自らの過失でメールアドレスが漏洩したものではないことをサービス提供者に説明でき、また、サービス提供者に提供されたメールアドレス(登録用メールアドレス)が不正取得されたことによりスパムメールが送信されたことを説明することが出来る。
【0043】
(システムの詳細構成)
次に図5を参照して本実施形態の詳細構成の一例について説明する。図5に示すように、本実施の形態のシステムは、メールアドレス管理サーバ1、ユーザ端末3、登録先サーバ(ユーザが利用登録して利用しようとするサービスを提供する装置)2、登録先端末(登録先サーバが提供するサービスを実現するために一部機能を実現する端末)21がインターネット等のネットワーク4に接続された構成を有している。
【0044】
メールアドレス管理サーバ1は、メールアドレス生成部11、登録先管理部12、登録情報管理部13、転送履歴管理部14、データ記録部15、及び外部インタフェース部16を備えている。データ記録部15は、登録情報管理テーブル151、転送履歴管理テーブル152、登録先管理テーブル153、及びユーザ登録用ページ蓄積部154を備えている。外部インタフェース部16は各種ページ表示部161とメール送受信部162を備えている。
【0045】
メールアドレス生成部11は本当のメールアドレス、及び登録先のID等に対応する登録先サーバへの登録用メールアドレスを生成する。登録先管理部12は登録先管理テーブル153に対して、登録先から入力された情報やメールアドレス管理サーバ1が生成した情報の登録、検索を行う。登録情報管理部13は登録情報管理テーブル151に対して、登録先のID、登録用メールアドレス、本当のメールアドレス(ユーザメールアドレス)の登録、検索を行う。転送履歴管理部14は転送履歴管理テーブルに対して、メール識別IDや登録用メールアドレスの登録、検索を行う。
【0046】
データ記録部15内の登録情報管理テーブル151は、登録用メールアドレスと、登録先IDと、本当のメールアドレスとを対応付けて格納している。図6(a)に登録情報管理テーブルの例を示す。転送履歴管理テーブル152は、ユーザからの登録先照会に対応するため、登録用メールアドレス宛メール(転送するメール)を一意に識別するIDと、登録用メールアドレスとを対応付けて格納する。図6(b)に転送履歴管理テーブルの例を示す。
【0047】
また、登録先管理テーブル153は、登録先から入力された情報やメールアドレス管理サーバが生成した情報を格納する。図6(c)に登録先管理テーブルの例を示す。ユーザ登録用ページ蓄積部154は、メールアドレス管理サーバによって登録先毎に生成されたユーザ登録用ページを、登録先に対応付けられた場所に格納する。
【0048】
外部インタフェース部16の各種ページ表示部161は、登録先登録用ページ、ユーザ登録用ページ、登録先照会ページの表示等を行う機能を有している。また、メール送受信部162は登録用メールアドレス宛メールの受信、受信したメールへの識別IDの付与、本当のメールアドレスへの転送等を行う機能を有している。
【0049】
なお、メールアドレス管理サーバ1は、通信機能を有するコンピュータを用いることにより実現される。上記の各機能部は当該コンピュータに本実施の形態で説明する処理を実行するプログラムを搭載することにより実現される。
【0050】
図5に示す機能部の構成は一例である。例えば、メールアドレス管理サーバ1を、登録用メールアドレスを登録する登録先のサービス提供者を識別するための情報を含む登録ページ要求をユーザ端末から受信し、当該サービス提供者に対応する登録ページをユーザ端末に送信する登録ページ提供部と、ユーザ端末から送信されたユーザの真のメールアドレス(ユーザメールアドレス)を受信し、前記サービス提供者に対する登録用メールアドレスを生成し、生成した登録用メールアドレスと、当該サービス提供者の識別情報と、ユーザの真のメールアドレスとを対応付けて記憶手段に格納するメールアドレス生成管理部と、メールアドレス生成管理部により生成された登録用メールアドレスを前記サービス提供者のサービス提供者サーバに登録する登録用メールアドレス登録部と、登録用メールアドレス宛てに送信されたメールを受信し、当該登録用メールアドレスに対応付けられた真のメールアドレスを記憶手段から取得し、当該メールを識別するための識別IDを付与した前記メールの送信先アドレスを真のメールアドレス(ユーザメールアドレス)に書き換えて、ユーザメールアドレス宛てに送信するとともに、当該識別IDを登録用メールアドレスと対応付けて記憶手段に格納するメール転送部と、識別IDをユーザ端末から受信し、受信した識別IDに対応する登録用メールアドレスの登録先のサービス提供者を識別するための情報をユーザ端末に送信する登録先通知部とを備えて構成することとしてもよい。
【0051】
(システムの動作詳細)
次に、図7〜図10を参照して本実施の形態のシステムの動作を詳細に説明する。まず図7を参照してユーザ登録先となるサービス提供者の登録時のシーケンスを説明する。なお、図7で説明する処理は、ユーザ端末からのサービス提供者宛てユーザ登録の受付けをメールアドレス管理サーバ1で行うための一例であり、ユーザ向けのサービス実施に先立って、サービス提供者側装置(サーバ、端末)とメールアドレス管理サーバ間で行われる準備処理である。
【0052】
登録先端末21が各種ページ表示部161に対して登録先登録用ページの表示要求を送信すると(ステップ31)、各種ページ表示部161は登録先登録用ページを登録先端末21に送信し、登録先端末21が登録先登録用ページの表示を行う(ステップ32)。次に登録先端末21は登録先名、及び登録先サーバ上のユーザ登録プログラムパスをメールアドレス管理サーバ1に送信する(ステップ33)。なお、登録先サーバ2上のユーザ登録プログラムパスとは登録先サーバ2上のユーザ登録プログラムの場所のことである。
【0053】
登録先名、登録先サーバ上のユーザ登録プログラムパスは各種ページ表示部161から登録先管理部12に渡される(ステップ34)。登録先管理部12は、登録先のID、メールアドレス生成部11のパス、ユーザ登録用ページ格納場所を払い出すとともに、ユーザ登録用ページを生成する(ステップ35)。このユーザ登録用ページは当該登録先に対応するものであり、例えば、複数の登録用ページのパターンを用意しておき、ステップ32、33で登録先に希望のものを選択してもらい、選択されたページをユーザ登録用ページとすることができる。
【0054】
そして登録先管理部12は、登録先のID、登録先名、メールアドレス生成部11のパス、ユーザ登録用ページ格納場所、登録先サーバ2上のユーザ登録プログラムパスを登録先管理テーブル153に格納する(ステップ36)。また、登録先管理部12はユーザ登録用ページをユーザ登録用ページ蓄積部154に格納する(ステップ37)。このユーザ登録用ページにはメールアドレス生成部11のパスが埋め込まれている。
【0055】
続いて、登録先管理部12はユーザ登録用ページ格納場所を各種ページ表示部161に通知し(ステップ38)、各種ページ表示部161はユーザ登録用ページ格納場所を登録先端末21に通知する(ステップ39)。登録先端末21に通知されたユーザ登録用ページ格納場所は登録先サーバ2渡され、ユーザ端末3からのアクセスをユーザ登録用ページにリダイレクトさせるために使用される。ユーザ登録用ページは登録先毎に格納されるので、ユーザ登録用ページ格納場所は登録先を識別するための情報に相当する。
【0056】
次に図8を参照して登録先へのメールアドレス登録時のシーケンスを説明する。
【0057】
ユーザ端末3から登録先サーバ2に対してユーザ登録要求が送信されると(ステップ40)、登録先サーバ2はユーザ端末3にリダイレクト要求を送る(ステップ41)。リダイレクト要求にはユーザ登録用ページ格納場所が含まれる。ユーザ端末3はリダイレクト要求に基づきメールアドレス管理サーバ1に対してリダイレクトを行う(ステップ42)。リダイレクトにはユーザ登録用ページ格納場所を含む登録ページ要求が含まれている。ユーザ端末3からのアクセスを受けた各種ページ表示部161は、ユーザ登録用ページ蓄積部154から対象となっている登録先に対応するユーザ登録用ページを取得する(ステップ43)。ステップ37で説明したとおり、このユーザ登録用ページにはこの登録先用のメールアドレス生成部11のパスが埋め込まれている。
【0058】
各種ページ表示部161はユーザ登録用ページをユーザ端末3に出力する(ステップ44)。ユーザ端末3ではユーザにより、ユーザ識別情報、及び本当のメールアドレスが入力され、メールアドレス生成部11のパスとともに各種ページ表示部161に送信される(ステップ45)。本当のメールアドレスは各種ページ表示部161から該当するメールアドレス生成部11に送られる(ステップ46)。
【0059】
そしてメールアドレス生成部11はメールアドレス生成部11のパスを登録先管理部12に送り(ステップ47)、登録先管理部12はそのメールアドレス生成部11のパスの情報を用いて登録先管理テーブル153を検索することにより登録先のID、登録先サーバ上のユーザ登録プログラムパスを取得してメールアドレス生成部11に送る(ステップ48、49)。
【0060】
メールアドレス生成部11は登録用メールアドレスを生成し(ステップ50)、登録先のID、生成した登録用メールアドレス、登録先サーバ上のユーザ登録プログラムパスを各種ページ表示部161に送信する(ステップ51)。
【0061】
ステップ50において登録用メールアドレスを生成する方法の一例としては、本当のメールアドレスのハッシュ値、乱数、登録先を示すID、及びサーバが付与するシーケンシャルな番号を連結し、ユニークな登録用メールアドレスとする方法がある。
【0062】
ステップ52において、各種ページ表示部161は登録先サーバ2上のユーザ登録プログラムにユーザ識別情報と登録用メールアドレスを渡すとともに、登録用メールアドレス、登録先のID、本当のメールアドレス(ユーザメールアドレス)を登録情報管理部13に送り(ステップ53)、登録情報管理部13は登録用メールアドレス、登録先のID、本当のメールアドレスを登録情報管理テーブル151に格納する(ステップ54)。なお、ステップ53において、上記情報に加えて登録日時を登録情報管理部13に送り、ステップ54において、登録情報管理部13が登録日時を登録情報管理テーブル151に格納してもよい。
【0063】
各種ページ表示部161はユーザ端末3に対してリダイレクト要求を行い(ステップ55)、ユーザ端末3は登録先サーバ2にリダイレクトを行い(ステップ56)、登録先サーバ2からユーザ端末3に登録先ページの表示が行われる(ステップ57)。登録先ページには、例えば登録が完了した旨が記載されている。
【0064】
次に、図9を参照して、登録用メールアドレスを送信先として、登録先(サービス提供者)或いは、登録先からアドレスを取得した者から送信されたメールを、メールアドレス管理サーバ1が受信し、ユーザ端末3に転送するシーケンスについて説明する。
【0065】
登録先の端末もしくはアドレス不正取得者等の端末から登録用メールアドレスを送信先とするメールが送信されると、メールアドレス管理サーバ1のメール送受信部162がそのメールを受信する(ステップ58)。メール送受信部162は登録用メールアドレスを登録情報管理部13に送り(ステップ59)、登録情報管理部13は登録用メールアドレスに基づき登録情報管理テーブル151から本当のメールアドレスを取得し(ステップ60)、本当のメールアドレスをメール送受信部162に送る(ステップ61)。
【0066】
メール送受信部162はこの受信メールに対してメール識別IDを付与し(ステップ62)、メールの送信先アドレスを登録用メールアドレスから本当のメールアドレス(ユーザメールアドレス)に書き換え、メール識別IDを付加したメールをユーザ端末3に向けて送信(転送)する(ステップ63)。また、メール送受信部162は付加したメール識別ID、受信したメールの送信先として指定されていた登録用メールアドレスを転送履歴管理部14に送り(ステップ64)、転送履歴管理部14がメール識別ID、登録用メールアドレスを転送履歴管理テーブル152に格納する(ステップ65)。なお、ステップ64で送る情報に転送日時を含め、ステップ65において転送日時を転送履歴管理テーブル152に格納してもよい。
【0067】
次に、メールを受信したユーザによる登録先照会時のシーケンスを、図10を参照して説明する。ここでは、例えば登録した覚えのない送信元からのメールを受信した場合、ユーザはメール識別IDが付加されている等から当該メールがメールアドレス管理サーバ1から送信されたメールであると判定する。この判定は、メール識別IDの付与規則がメールアドレス管理サーバ1とユーザ端末3間でネゴシエーションされていれば、ユーザ端末3でプログラム処理により自動判定させることも出来る。メールアドレス管理サーバ1から送信(転送)されてきたメールと判定された場合には、ユーザ端末3からメールアドレス管理装置1に対して、受信したメールに付与されていた識別IDにより登録先の照会を行う。メールアドレス管理サーバ1は照会を受けると、宛先に指定された登録用メールアドレスを転送履歴管理テーブル152から割り出し、当該登録用メールアドレスの登録先である登録先を特定し、ユーザに通知する。
【0068】
図10において、ユーザ端末3から登録先照会ページ表示要求が各種ページ表示部161に送られると(ステップ66)、各種ページ表示部161からユーザ端末3に対して登録先照会ページ表示が行われる(ステップ67)。ユーザが登録先照会ページにメール識別IDを入力することにより、メール識別IDが各種ページ表示部161に送られ(ステップ68)、各種ページ表示部161から転送履歴管理部14に渡される(ステップ69)。転送履歴管理部14は転送履歴管理テーブル152からメール識別IDに対応付けられた登録用メールアドレスを取得し(ステップ70)、それを登録情報管理部13に送る(ステップ71)。
【0069】
登録情報管理部13は登録情報管理テーブル153から登録用メールアドレスに対応する登録先のIDを取得し(ステップ72)、それを登録先管理部12に渡し(ステップ73)、登録先管理部12が登録先管理テーブル153から登録先名を取得し(ステップ74)、それを各種ページ表示部161に渡す(ステップ75)。各種ページ表示部161は登録先名をユーザ端末3に送信する(ステップ76)。これによりユーザはメールがどの登録先の登録用メールアドレスを用いて送信されたものかを知ることができる。
【0070】
上記のように本実施の形態で説明したシステムによれば、漏洩した個人情報(ユーザメールアドレス)が、本実施の形態のシステムによって管理されるメールアドレスであった場合、漏洩元が特定可能となる。また、メールアドレスを漏洩させる可能性がある企業/個人に対する抑止力としての効果が期待できる。また、登録用メールアドレスと登録先の対応をユーザ自身が管理する負担がなくなるとともに、漏洩元がユーザ自身である可能性を否定することができる。
【0071】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来技術を説明するための図である。
【図2】従来技術を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態のシステム構成を示す図である。
【図6】メールアドレス管理サーバが保持するテーブルの例を示す図である。
【図7】登録先となるサービス提供者の登録時のシーケンス図である。
【図8】登録先へのメールアドレス登録時のシーケンス図である。
【図9】メール転送時のシーケンス図である。
【図10】登録先照会時のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0073】
1、91 メールアドレス管理装置
2 登録先サーバ
21 登録先端末
3、92 ユーザ端末
4 ネットワーク
11 メールアドレス生成部
12 登録先管理部
13 登録情報管理部
14 転送履歴管理部
15 データ記録部
16 外部インタフェース部
93 サービス提供装置
94 メールサーバ
151 登録情報管理テーブル
152 転送履歴管理テーブル
153 登録先管理テーブル
154 ユーザ登録用ページ蓄積部
161 各種ページ表示部
162 メール送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット上でサービス提供装置を介してサービス提供者が提供するサービスを利用するユーザのメールアドレスを管理するメールアドレス管理装置であって、
前記メールアドレス管理装置から前記ユーザ宛にメール送信するためのユーザメールアドレスと、前記サービスの提供を受けるユーザとして前記サービス提供装置が特定できる情報と、前記ユーザメールアドレス若しくはユーザと、提供サービス、サービス提供者若しくはサービス提供装置のいずれかとの組合せに対応付けられ且つ前記ユーザメールアドレスとは異なる登録メールアドレスとを含む情報を対にして記録保持する登録情報記録部と、
前記登録情報記録部から前記ユーザメールアドレスを含まず且つ前記登録メールアドレスを含む所定の情報をユーザ情報として読み出し、前記サービス提供装置に向けて出力するユーザ情報通知部と、
前記登録メールアドレスを宛先とするメールを受信したら、当該受信した登録メールアドレスに対応する前記ユーザメールアドレスを前記登録情報記録部から読み出し、当該受信したメールの宛先を当該読み出したユーザメールアドレスに置換すると共に、前記受信したメールを特定できるメール識別情報を該受信したメールの一部に付加して前記ユーザ宛てメールとして編集する転送メール編集部と、
当該メール識別情報と前記受信したメールで宛先として指定されていた登録メールアドレスとを対応付けて転送履歴記録部に格納するとともに、
前記編集したユーザメールアドレス宛てメールを送出するメール転送部と
を備えたことを特徴とするメールアドレス管理装置。
【請求項2】
前記ユーザ端末から前記メール識別情報と前記ユーザメールアドレス情報を受信し、前記メール識別情報に対応する前記登録メールアドレスの提供先情報の請求を受信する請求受付け手段と、
前記請求受付け手段で受信したメール識別情報とユーザメールアドレス情報により、転送履歴記録部と登録情報記録部を検索して、登録メールアドレスの提供先を特定する手段と、
該特定した提供先に関する情報をユーザ端末に向けて送信する手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のメールアドレス管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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