モータ制御回路
【課題】断線の発生箇所を所定の範囲で特定し得るモータ制御回路を提供する。
【効果】本実施の形態に係るモータ制御回路100によると、検出された供給電流に対するゲインが適宜に設定されるので、供給電流の一部区間の解像度を向上させ、検出すべき区間での供給電流の認識が容易となる。具体的には、供給電流の微小な区間のゲインを高く設定することで、IC回路における電力の消費状態が判明するため、電源ライン等の断線箇所を特定することが可能となる。また、制御マイコンでは、IC回路における電力の消費状態を正確に認識できるので、断線判定に係る情報処理の判定精度が向上する。更に、ゲインの設定はアナログ回路で実現されるため、制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【効果】本実施の形態に係るモータ制御回路100によると、検出された供給電流に対するゲインが適宜に設定されるので、供給電流の一部区間の解像度を向上させ、検出すべき区間での供給電流の認識が容易となる。具体的には、供給電流の微小な区間のゲインを高く設定することで、IC回路における電力の消費状態が判明するため、電源ライン等の断線箇所を特定することが可能となる。また、制御マイコンでは、IC回路における電力の消費状態を正確に認識できるので、断線判定に係る情報処理の判定精度が向上する。更に、ゲインの設定はアナログ回路で実現されるため、制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ電源を用いて制御モータを駆動させるモータ制御回路に関し、特に、当該モータ制御回路に設けられる電流検出回路に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車載装置は、アクチュエータとして制御モータを用いた装置が多く、この制御モータは、マイコン又はIC回路等から成るモータ制御回路によって駆動される。また、制御モータは、車両と共に過酷な環境下で使用されるため、内部コイルの断線や、接続端子等での断線といった不具合が生じる。車載装置用の電源ラインでは、当該電源ラインにヒューズが設けられ、過電流が生じた場合に其のヒューズを切断させることで、発熱又は火災等の被害を回避させている。
【0003】
このため、近年のモータ制御回路では、制御モータに流れる電流を検出し、その電流値を解析することにより、制御モータの故障又は電源ラインのヒューズ切れ等の断線異常を判定している。
【0004】
特開平11−008992号公報(特許文献1)では、3相制御モータのコイル異常検出装置が紹介されている。図8に示す如く、モータ制御回路3は、制御モータの動作制御を行う回路であって、その一機能として、コイルにおける断線異常を診断する処理を行う。モータ制御回路3は、リレー駆動回路LCNとマイコン用レギュレータReg1と制御マイコンCNTとシャント抵抗Rsとドライブ回路DRVと電圧検出回路INSと電流検出回路4とから構成される。尚、同公報にあっては、電流検出回路4はドライブ回路DRVに内蔵される回路とされているが、説明の便宜上、モータ制御回路3の外部に図示することとする。
【0005】
かかる構成を具備するモータ制御回路3は、操縦者によってイグニッションスイッチIGがオンされると、マイコン用レギュレータReg1では、マイコン駆動用の定電圧を発生させ制御マイコンCNTへ電源を供給する。このため、制御マイコンCNTは、電源ポートに定電圧が印加され、これに応じて、各種の制御プログラムが起動させることとなる。このとき、ドライブ回路DRVには、電源ラインL2を介してバッテリ電圧Vbが供給されている。その後、制御マイコンCNTの起動処理が進行すると、バッテリ電圧値等の種々のチェックが行われ、この処理結果に基づいてリレー駆動回路LCNがリレーLyを導通状態へ切換える。リレーLyが導通状態となると、ドライブ回路DRVには、シャント抵抗Rsを具備する電源ラインL1を介して、バッテリ電圧Vbが供給される。そして、スタンバイ動作が完了すると、制御マイコンCNTは、車両制御用上位ECUの指令に従ってドライブ回路DRBを制御させ、制御モータIMを適宜に駆動させる。また、モータ制御回路3は、制御モータにおける各相(U相,V相,W相)の印加電圧を検出し、この検出電圧に基づいてモータ内外の断線状態を診断する。
【0006】
図9は、モータ制御回路3に設けられるドライブ回路DRVの構成が示されている。図示の如く、ドライブ回路DRVは、IC用レギュレータReg2とパルス合成IC(IC1)と過電流保護IC(IC2)とトランジスタ駆動回路DR3及びDR4とパワートランジスタから成るインバータ回路DR5とから構成される。ここで、IC用レギュレータReg2は、電源ラインL1から供給されるバッテリ電圧(特許請求の範囲における電源電圧)を変換し当該バッテリ電圧の電圧値よりも低い制御素子用電圧Vrを生成する。また、パルス合成IC(IC1)及び過電流保護IC(DR2)は制御素子用電圧Vrを電源とし、トランジスタ駆動回路DR3及びDR4は電源ラインL2を介して印加されるバッテリ電圧Vbを電源とし、インバータ回路DR5のハイサイド側にはシャント抵抗Rsを介してバッテリ電圧Vbが印加される。かかる構成を具備するドライブ回路DRVでは、上述の如く、制御マイコンCNTから送られる切換信号Sa及びSb,PWM信号Scに基づいて、制御モータIMを適宜に駆動させる。
【0007】
ドライブ回路DRVでは、電源ラインL1に流れる電流値(以下、供給電流Isと呼ぶ)を電流検出回路4によって検出している。そして、供給電流Isが或る値以上に達すると、過電流保護ICまたはパルス合成ICの駆動を停止させ、過電流に対するフェールセーフが機能する。また、図示の如く、電源ラインL1には、ヒューズf1が設けられ、過電流に対する安全対策が施されている。尚、ヒューズf2及びf3についても、同様の目的で電源ラインL2の適宜の位置に設けられている(図8参照)。
【0008】
そして、制御マイコンCNTでは、電流検出回路4から出力される電流検出信号を受信し、供給電流Isが正常値の場合には制御モータの内部又はその周辺での断線が発生していないと診断する。一方、供給電流Isが所定の値を下回ると、電源ラインL1又は制御モータに関係する何れかの場所で断線異常が発生したと診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−008992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、特許文献1の技術によれば、断線異常が生じたか否かの診断を行なうことは可能であるものの、その断線異常が制御モータによるものなのか又はどの電源ラインでの断線によるものなのか等、断線異常を引き起こした場所の特定が困難であるとの問題が生じる。かかる如く断線箇所の特定が行なわれないと、修理作業の工数が増え、この修理作業に費やす時間も増えてしまうとの問題も招く。
【0011】
また、特許文献1の技術を用いるにあたっては、電源ラインL1に流れる電流値の大きさに基づいて、断線異常の発生箇所を特定することが考えられる。ここで、図10を参照し、電流検出回路4の一例について説明する。尚、同図では、電源ラインL2等、一部の回路構成が便宜的に図示省略されている。
【0012】
電流検出回路4は、電源ラインL1に流れる供給電流Isの電流値を1/1000程度の内部電流に変換出力させる電流検出部4aと、この内部電流に基づいて抵抗R1の両端電圧を増幅させ電流検出信号として出力させる増幅回路部4bとから構成される。かかる電流検出回路4では、制御マイコンCNTへ出力される電流検出信号のゲインが抵抗R1によって規定され、図11に示す如く、電源ラインL1に流れる供給電流Isの大きさに応じて電流検出信号Skの電圧値が定まる。このため、制御マイコンCNTでは、電流検出信号Skに応じて、電源ラインL1に流れる供給電流Isの電流値が認識される。
【0013】
ここで、ヒューズf1がショート(断線)を起こしている場合、電源ラインL1を流れる電流は0Aとなるので、電流検出信号Skも0Vとなる。また、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータIMの配線状態が正常の場合、バッテリから供給される電力の大半は制御モータIMで消費されるので、電源ラインL1に流れる供給電流及び制御マイコンCNTへ出力される電流検出信号Skは、比較的大きな値をとる。一方、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータIMで断線異常が発生している場合、バッテリはIC回路のみで電力が消費されることから電源ラインL1に微小な供給電流しか流れなくなり、この場合の電流検出信号Skは非常に小さい値を取る。ここで、IC回路のみで電力が消費されている場合の供給電流は、図11のΔIの範囲に現われるものとする。また、かかる場合の抵抗R1での両端電圧Vkは、ΔVの範囲に現われるものとする。
【0014】
上述した関係から、供給電流Isが電流区間ΔIより大きい場合には、配線状態が正常であることが解る。また、電流区間ΔIに属する場合には、IC回路にのみ電流が流れている状態とされるので、制御モータIMで断線異常が発生していることが解る。更に、0(A)の場合には、ヒューズf1が断線していることが解る。従って、制御マイコンCNTで実施される断線診断処理では、電流検出信号Skの値から供給電流Isを認識し、この供給電流Isの値に基づいて断線異常が診断されることとなる。
【0015】
しかしながら、バッテリ消費の殆どがIC回路で行なわれる故障モードの場合、検出される供給電流Isは非常に小さい電流値とされるため、電流検出信号Skの電圧値も非常に小さくなる。このとき、制御マイコンCNTにおける入力値の解像度がΔVの区間に対して十分確保されていないと、当該電流検出信号Vkの値を正確に認識することが出来なくなり、断線診断処理で得られる診断結果に誤りが生じてしまうとの問題が生じる。
【0016】
本発明は上記課題に鑑み、断線の発生箇所を特定することが可能なモータ制御回路の提供を第1の目的とする。また、断線箇所の特定を行なう診断処理が正確に実施されるモータ制御回路の提供を第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明では次のようなモータ制御回路の構成とする。即ち、直流の電源電圧を供給するバッテリと、シャント抵抗を具備し前記電源電圧を後段の回路へ印加させる電源ラインと、前記電源電圧を制御素子用電圧へ変換させるIC用レギュレータ及び前記IC用レギュレータに接続されるIC回路及び前記電源ラインに接続されるパワートランジスタを具備するドライブ回路と、前記ドライブ回路を直接的又は間接的に制御する制御回路と、前記ドライブ回路によって駆動される制御モータと、前記電源ラインに流れる供給電流を検出し内部信号を出力させる電流検出部及び前記内部信号に基づいてゲインを設定するゲイン設定回路部及び設定された前記ゲインに応じて電流検出信号を出力させる増幅回路部の各々を有する電流検出回路とを備え、
前記ゲイン設定回路部は、アナログ回路から成るものであって、前記供給電流が閾値電流に到達したか否かを判別する電流値判別部と、前記電流値判別部の判別結果に応じて第1の抵抗値又は第2の抵抗値へ切換えられる切換抵抗と、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値との差を低減させるオフセット回路とを備えることとする。
【0018】
好ましくは、前記オフセット回路は、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値とを略一致させることとする。
【0019】
好ましくは、前記閾値電流は、前記IC回路で定められている定格電流の近傍に設定されることとする。
【0020】
好ましくは、前記ゲイン設定回路部によって設定されるゲインは、前記閾値電流以下のとき大きい値に設定され、前記閾値電流以上のとき小さい値に設定されることとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るモータ制御回路によると、電流検出信号に対するゲインが適宜に設定されるので、供給電流の一部区間の解像度を向上させ、検出が困難な区間での供給電流の認識が容易となる。具体的には、供給電流の微小な区間のゲインを高く設定することで、IC回路での消費状態が正確に認識されるため、制御モータで断線した故障であるか又は電源ラインのヒューズで断線した故障であるのか等、断線箇所を特定することが可能となる。
【0022】
また、制御マイコンでは、IC回路における電力の消費状態を正確に認識できるので、断線判定に係る情報処理の判定精度が向上する。更に、ゲインの設定はアナログ回路で実現されるため、制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係るモータ制御回路の構成を示す図。
【図2】実施の形態に係るドライブ回路の構成を示す図。
【図3】実施の形態に係る電流検出回路の構成を示す図。
【図4】電流検出回路に流れる内部電流の経路と第1のゲイン関数を示す図
【図5】電流検出回路に流れる内部電流の経路と第2のゲイン関数を示す図
【図6】実施の形態に係るゲイン関数を示す図。
【図7】制御マイコンで実施される断線異常判定のフローチャート。
【図8】従来例に係るモータ制御回路の構成を示す図。
【図9】従来例に係るドライブ回路の構成を示す図。
【図10】従来例に係る電流検出回路の構成を示す図。
【図11】従来例に係るゲイン関数を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施の形態に係るモータ制御回路とその周辺構成が示されている。尚、本実施の形態に係るモータ制御回路100は、車載機器に用いられるものであって、その用途を特段に問うものではない。
【0025】
図示の如く、モータ制御回路100は、車載バッテリBと電源ラインL1及びL2と電子制御装置10とドライブ回路20と電流検出回路30と制御モータMとから構成される。このうち、電子制御装置10には、バスラインBUSを介して車両制御用上位ECUが接続されている。
【0026】
車載バッテリBは、直流(12V〜24V程度)のバッテリ電圧(特許請求の範囲における電源電圧)Vbを出力させるものであって、内燃機関自動車又は電気自動車(ハイブリッドを含む)を問わず、車両に搭載されるものである。
【0027】
電源ラインL1は、一端が車載バッテリBに接続され、他端がドライブ回路20に接続されている。また、電源ラインL1は、図示の如く、ヒューズf1とリレーLyとシャント抵抗Rsとが適宜の位置に介挿されている。
【0028】
電源ラインL2は、一端が車載バッテリBに接続され、他端が電源ラインL1と異なる経路を辿ってドライブ回路20に接続される。また、電源ラインL2は、ヒューズf2及びf3とイグニッションスイッチIgとが介挿されている。これらの電源ラインL1及び電源ラインL2は、ドライブ回路20にバッテリ電圧Vbを印加させる。
【0029】
電子制御装置10は、マイコン用レギュレータReg1と制御マイコンCNTとリレー駆動回路LCNと信号値変換回路SXCとから構成される。
【0030】
マイコン用レギュレータReg1は、入力ラインが電源ラインL2に接続され、出力ラインが制御マイコンCNTの電源ポートに接続されている。そして、マイコン用レギュレータReg1は、バッテリ電圧Vbを5V程度のマイコン用電圧へ変換させ、当該マイコン用電圧を制御マイコンCNTへ印加させる。
【0031】
制御マイコンCNTは、CPU,メモリ回路、クロック回路等、演算処理に必要な回路によって構成される。当該制御マイコンCNTは、マイコン用レギュレータReg1によって電源が与えられ、この電源投与に応じて起動プログラムを実行させる。当該起動プログラムでは、バッテリ電圧の値のチェック等、回路周辺の種々のチェックを行い、このチェック処理の結果が正常であれば、リレー駆動装置LCNにその旨の信号を送り、リレーLyを閉成させる。その後、制御マイコンCNTでは、車載制御用上位ECU1から種々の信号を受信し、これらの信号に基づいてドライブ回路を直接的又は間接的に制御する。また、本実施の形態に係る制御マイコンCNTでは、電源ラインL1に流れる電流値(以下、供給電流Isと呼ぶ)を電流検出信号Skに基づいて認識する。更に、当該制御マイコンCNTでは、認識した供給電流Isの電流値に基づいて断線箇所の特定を行なう。尚、制御マイコンCNTによる供給電流Isの認識処理、断線箇所の特定処理については、追って詳述することとする。
【0032】
信号値変換回路SXCは、制御マイコンSXCから受信した信号に基づいて、右回転を指令する信号Sa、又は、左回転を指令する信号Sbを出力させる。
【0033】
かかる構成を具備するモータ制御回路100は、操縦者によってイグニッションスイッチIgがオンされると、マイコン用レギュレータReg1では、マイコン駆動用の定電圧を発生させ制御マイコンCNTへ電源を供給する。このため、制御マイコンCNTは、電源ポートに定電圧が印加され、これに応じて、各種の制御プログラムを起動させることとなる。また、ドライブ回路20には、イグニッションキーIGが閉成動作されると、電源ラインL2を介して直接的にバッテリ電圧Vbが供給される。その後、制御マイコンCNTの起動処理が進行すると、バッテリ電圧値等の種々のチェックが行われ、この処理結果に基づいてリレー駆動回路LCNがリレーLyを導通状態へ切換える。このとき、ドライブ回路20には、シャント抵抗Rsを具備する電源ラインL1を介してバッテリ電圧Vbが供給される。かかる如くスタンバイ動作が完了した後、制御マイコンCNTは、車両制御用上位ECUの指令に従ってドライブ回路20を制御させ、制御モータMを適宜に駆動させる。また、電流検出回路30は、供給電流Isに基づいて電流検出信号Skを出力する。このとき、制御マイコンCNTでは、電流検出信号Skに基づいて供給電流Isを認識し、当該供給電流Isの電流値に基づいてモータ内外の断線状態を診断する。
【0034】
ドライブ回路20は、図2に示す如く、IC用レギュレータ24と制御IC21とトランジスタ駆動回路22a及び22bとフルブリッジ回路23とから構成される。
【0035】
IC用レギュレータ24は、電源ラインL1に接続され、車載バッテリBから供給されるバッテリ電圧Vbを制御素子用電圧Vrへ変換させる。例えば、制御IC21の定格電圧が5Vである場合、IC用レギュレータ24から出力される制御素子用電圧Vrも5Vに設定される。
【0036】
制御IC21は、IC用レギュレータ24に接続されるものであって、制御素子用電圧Vrを電源とするIC回路である。制御IC21は、信号Sa又はSbに基づいてPWM信号を生成させる。また、当該制御IC21は、電流検出信号Skを受信し、当該信号Skの電流値が適正範囲内のときPWM信号の出力を許可させ、当該信号Skが所定値より大きいときPWM信号の出力を停止させる。即ち、電源ラインL1に流れる供給電流Isが異常上昇したとき、制御IC21は、PWM信号の出力を断つことにより、後段に配置される回路の動作を停止させ、回路の保護を図る。
【0037】
トランジスタ駆動回路22aは、電源ラインL2に接続され、バッテリ電圧Vbを電源としている。トランジスタ駆動回路22aでは、PWM信号の電圧値を増幅させ、これによって調整されたPWM信号は、後段のパワートランジスタTr1〜Tr4を駆動させるに足る電力を得る。尚、トランジスタ駆動回路22bにあっても、トランジスタ駆動回路22aと同等の役割を担う回路である。
【0038】
フルブリッジ回路23は、パワートランジスタTr1〜Tr4から成り、シャント抵抗Rsを具備する電源ラインL1に接続される。また、パワートランジスタの接点部ta及びtbは、図示の如く、制御モータMの電極端子に接続されている。本実施の形態に係るフルブリッジ回路23では、正転向きのPWM信号が各パワートランジスタTr1〜Tr4へ入力されると、パワートランジスタTr2及びTr3が停止され、パワートランジスタTr1及びTr4のスイッチング動作によって、制御モータMを正転制御させる。一方、逆転向きのPWM信号が各パワートランジスタTr1〜Tr4へ入力されると、パワートランジスタTr1及びTr4が停止され、パワートランジスタTr2及びTr3のスイッチング動作によって、制御モータMを逆転制御させる。
【0039】
電流検出回路30は、電源ラインL1に設けられたシャント抵抗Rsに配線される。そして、電源ラインL1に供給電流Isが流れると、其の電流値に応じて複数のゲインを設定し、電流検出信号Skを出力させる。尚、電流検出回路30の詳細については、追って詳述することとする。
【0040】
かかる構成を具備するドライブ回路20は、PWM信号Sa又はSbが入力されると、その信号値を増幅させることでパワートランジスタTr1〜Tr4を駆動させ、後段に接続された制御モータを適宜に制御させる。また、供給電流Isが所定値以上に達すると、制御IC21にその旨を知らせて制御モータMを停止させる。これと併せて、制御マイコンCNTでは、電流値の上昇を認識し、ドライブ回路20の動作を停止させる。
【0041】
上述したように、ドライブ回路20では、ヒューズf1がショート(断線)を起こしている場合、電源ラインL1を流れる電流は0Aとなる(完全断線状態)。また、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータMの配線状態が正常の場合、バッテリから供給される電力の大半は制御モータIMで消費されるので、供給電流Isは、比較的大きな値をとる(非断線状態)。一方、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータIMで断線異常が発生している場合、バッテリはIC回路のみで電力が消費されるので、電源ラインL1には、微小な電流が流れることとなる(一部断線状態)。
【0042】
以下、電流検出回路30について詳述する。図3に示す如く、電流検出回路30は、電流検出部31と増幅回路部32とゲイン設定回路部33とから構成される。
【0043】
電流検出部31は、IC回路から成り、入力端がシャント抵抗Rsの出力端子に接続され、出力端が増幅回路部32とゲイン設定回路部33との接点Kに接続される。電流検出部31は、電源ラインL1に流れる電流値を1/100〜1/1000程度の電流値(以下、内部信号Ikと呼ぶ)に変換出力させる。
【0044】
増幅回路部33は、抵抗R1〜R5,コンデンサC1,オペアンプAMPから構成される。増幅回路部33では、内部信号Ikが流れると抵抗R1の両端電圧Vkが発生し、この両端電圧VkがオペアンプAMPへ入力されることにより、所定の増幅率で電流検出信号Skを出力させる。尚、本実施の形態にあっては、後術明らかとされるように、抵抗R1の両端電圧Vkがゲイン設定回路部33によって適宜に制御されることとなる。
【0045】
ゲイン設定回路部33は、抵抗R6〜R10,ダイオードD1,コンデンサC2,オープンコレクタ式のコンパレータCOMP(特許請求の範囲における電流判別部)から構成される。当該コンパレータCOMPの非反転入力端子(+)は、抵抗R7及びR8の分圧点が接続され、制御素子用電圧Vxを分圧させた基準電圧が印加される。一方、コンパレータCOMPの反転入力端子(−)は、抵抗R6及びコンデンサC2の接点が接続され、抵抗R6の端部は、信号ラインLkを介して接点Kに接続される。従って、当該反転入力端子(−)には、コンデンサC2へ電荷がチャージされると、これに応じた電圧が印加されることとなる。コンパレータCOMPの出力端子には、抵抗R9及びR10から成る直列回路が接続され、当該直列回路には、制御素子用電圧Vxが印加される。
【0046】
また、接点PにはダイオードD1のアノードが接続され、接点QにはダイオードD1のカソードが接続される。ダイオードD1は、制御素子用電圧Vxから反転入力端子(−)への電圧印加を阻止させ、これにより、反転入力端子(−)では、内部信号Ikのみによって印加電圧が制御されることとなる。
【0047】
かかる如く、本実施の形態に係るゲイン設定回路33は、アナログ回路から成るものであって、当該アナログ回路を用いて複数種類のゲイン設定を行なう回路である。尚、制御素子用電圧Vxは、上述した何れかのレギュレータReg1,レギュレータ24によって生成されるものであっても良く、他の図示されない構成から生成されるものであっても良い。
【0048】
ここで、同図のオープンコレクタ式のコンパレータCOMPは、非反転入力端子(+)の印加電圧が反転入力端子(−)の印加電圧より大きい場合、内蔵されるトランジスタをオフ状態とさせ、出力端子の電位をロジックレベルのHigh状態(以下、単にHigh状態と呼ぶ)とさせる。一方、非反転入力端子(+)の印加電圧が反転入力端子(−)の印加電圧より小さい場合、内蔵されるトランジスタをオン状態とさせ、出力端子の電位をロジックレベルのLow状態(以下、単にLow状態と呼ぶ)とさせる。コンパレータCOMPでは、コンデンサC2のチャージ電荷が上昇し入力端子(+)の基準電圧を上回る際、出力信号をHigh出力からLow出力へと切換え、一方、コンデンサC2のチャージ電荷が低下し入力端子(+)の基準電圧を下回る際、出力信号をLow出力からHigh出力へと切換える。このチャージ電荷は、信号ラインLkを介して供給される内部信号Ikの電流値に応じて定まるところ、供給電流Isに応じて規定されると言い換えることもできる。以下、コンパレータCOMPを切換動作させる際の電源ラインL1の供給電流を、閾値電流と呼ぶこととする。
【0049】
以下、説明の便宜として、「接点K→抵抗R1→グランド」を経由する内部信号の流れをルート1(Root1)とし、「接点K→抵抗R6→コンデンサC2→グランド」を経由する内部信号の流れをルート2(Root2)とし、「接点K→ダイオードD1→抵抗10→コンパレータCOMP→グランド」を経由する内部信号の流れをルート3(Root3)とする。ここで、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)は、コンパレータCOMPによって切換られる回路であって、この動作に応じて切換抵抗を成すものである。
【0050】
また、ルート2(Root2)によって定まる抵抗値を第1の抵抗値と呼び、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)によって定まる合成抵抗値を第2の抵抗値と呼ぶこととする。
【0051】
上述された動作を踏まえると、コンパレータCOMPは、出力信号がHigh状態のとき、内部信号の経路としてルート2(Root2)を選択し、ゲイン設定回路部33での抵抗値を第1の抵抗値に設定する。これに対し、コンパレータCOMPは、出力信号がLow状態のとき、内部信号の経路としてルート2(Root2)及びルート3(Root3)の双方を選択し、ゲイン設定回路部33での抵抗値を第2の抵抗値に設定する。そして、閾値電流の前後では、出力信号の切換動作が行なわれるところ、当該場面でのコンパレータCOMPは、第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換え、又は、第2の抵抗値から第1の抵抗値へ切換える動作を行なうこととなる。
【0052】
本実施の形態では、一部断線状態の供給電流を検出できるように、即ち、制御IC21に流れる微小な電流を検出できるように、上述した閾値電流が設定される。この閾値電流は、コンデンサC2の電気容量及び抵抗R7,R8の抵抗値によって設定されるものである。更に、この閾値電流は、制御IC21で定められる定格電流の近傍に設定されるのが好ましい。このように閾値電流が制御ICの定格電流に設定されることにより、供給電流が閾値電流を上回った場合、制御モータMへ電流が供給されているものと推定され、供給電流が閾値電流を下回っている場合、何らかの断線が生じているものと推定できる。以下、図4〜図7を参照して、かかる断線状態の判別方法について説明する。
【0053】
図4(a)は、電源ラインL1に流れる供給電流が閾値電流以下の場合を示している。かかる場合、信号ラインLkには内部信号Ikの一部が流れ、この内部信号Ikは、ルート2(Root2)に流れるため、抵抗R6を介してコンデンサC2をチャージさせる。この場合には、内部信号Ikが小さいので、反転入力端子(−)における印加電圧が基準電圧に到達できず、コンパレータCOMPの出力信号はHigh状態とされる。
【0054】
供給電流が閾値電流に到達していない場合、コンパレータCOMPでは、電源ラインL1での供給電流が閾値電流に到達していないものと判別し、内部信号Ikの経路としてルート2(Root2)を選択する。このとき、ルート3(Root3)を介した内部信号の経路がコンパレータによって断たれる。従って、上述した切換抵抗がルート2(Root2)のみによって設定される。このような切換状態で供給電流が増加する場合、抵抗R1に流れる電流(内部信号の一部)の増加率は、ルート2(Root2)における抵抗値によって制御される。また、抵抗R1の両端電圧Vkは、当該抵抗R1を流れる電流の増加率によって制御されることとなり、当該両端電圧Vkの増加率(ゲイン)がルート2(Root2)の抵抗値によって制御されることとなる。
【0055】
図4(b)は、電源ラインL1に流れる供給電流Isと抵抗R1の両端電圧Vkとの関係が示されている。同図では、閾値電流Isd以下の供給電流について示されている。図示の如く、両端電圧Vkは、供給電流Isの増加に応じて略線形に増加し、供給電流Isが閾値電流Isdに達すると、その電圧は閾値電圧Vkdに到達する。本実施の形態において、閾値電流Isd以下での両端電圧Vkは、傾きθ1とされる第1のゲイン関数f(Is)に基づいて定まり、増幅回路部31によって増幅され電流検出信号Skとして出力される。従って、供給電流Isが閾値電流以下とされる場合、電流検出信号Skは、第1のゲイン関数f(Is)の示すゲインに応じて変動する。即ち、電流検出信号Skのゲインは、ルート2(Root2)における抵抗値によって規定されることとなる。
【0056】
図5(a)は、電源ラインL1に流れる供給電流が閾値電流以上とされる場合を示している。かかる場合にあっても、信号ラインLkに流れる内部信号Ikは、抵抗R6を介してコンデンサC2をチャージさせる。但し、内部信号Ikが増加するため、反転入力端子(−)における印加電圧が基準電圧を上回り、コンパレータCOMPの出力信号はLow状態に切換えられる。
【0057】
上述の如く、コンパレータCOMPでは、入力端子における電圧値の大小が逆転するので、電源ラインL1での供給電流が閾値電流に到達したものと判別し、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)を内部信号Ikの経路として設定する。従って、コンパレータCOMPの出力端子がLow状態に切換えられると、切換抵抗がルート2(Root2)とルート3(Root3)とによって形成される。このような切換状態で供給電流が増加する場合、切換抵抗がルート3(Root3)の追加によって低下するので、抵抗R1に流れる電流(内部信号の一部)の増加率が低下する。このため、抵抗R1の両端電圧Vkも、当該電流の増加率の低下に伴い、当該両端電圧Vkの増加率(ゲイン)が低下することとなる。
【0058】
図5(b)は、電源ラインL1に流れる供給電流Isと抵抗R1の両端電圧Vkとの関係が示されている。同図では、閾値電流Isd以上の供給電流について示されている。図示の如く、両端電圧Vkは、供給電流Isの増加に応じて略線形に増加し、その境界点は、閾値電圧Vkdとされる。本実施の形態において、閾値電流Isd以上での両端電圧Vkは、傾きθ2(θ2>θ1)とされる第2のゲイン関数g(Is)に基づいて定まり、増幅回路部31によって増幅され電流検出信号Skとして出力される。従って、供給電流が閾値電流以上とされる場合、電流検出信号Skは、第2のゲイン関数g(Is)の示すゲインに応じて変動する。そして、そのゲインは、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)から成る合成抵抗の抵抗値によって規定されることとなる。
【0059】
ルート2(Root2)及びルート3(Root3)から成る合成抵抗の抵抗値は、ルート2(Root2)のみから成る抵抗値よりも低値とされる。このため、本実施の形態に係るゲイン設定回路部33は、信号検出信号Skについて、供給電流Isが閾値電流Isd以下の区間ではゲインを大きく設定させ、供給電流Isが閾値電流Isd以上の区間ではゲインを低く設定できる。このようにゲインが設定されることにより、制御マイコンCNTでは、閾値電流以下での解像度が高く設定され、IC回路に流れるような微小電流の有無を正確に判定することが可能となる。
【0060】
また、制御素子用電圧Vx及び抵抗R9(特許請求の範囲におけるオフセット回路)は、ルート3(Root3)に内部信号以外の電流を発生させる。このため、ルート3(Root3)への内部信号Ikの流れが減少し、これを補うように、ルート2(Root2)では、内部信号Ikの流れを大きくさせる。このため、制御素子用電圧Vx及び抵抗R9は、抵抗R1での両端電圧Vkを上昇させ、図5(b)に示す如く、両端電圧Vkの電圧値を正方向にオフセットさせる。本実施の形態では、図6に示す如く、第1のゲイン関数f(Is)と第2のゲイン関数g(Is)とが閾値電流Isdの点で連続となるよう、即ち、互いの関数の境界点が一致するように、制御素子用電圧Vx及び抵抗R9が設定される。このように電気的素子を適宜に設定することで、抵抗値R1の両端電圧Vkは、コンパレータCOMPでの切換動作時に一致し、これにより、信号検出信号Stについても、コンパレータCOMPでの切換動作時に一致することとなる。
【0061】
このように、抵抗R1の両端電圧Vkが連続な状態とされると、電流検出信号Skの電圧値も同様に連続な状態とされる。このため、電流検出信号Skは、或る特定の供給電流Isを唯一つ指し示すこととなる。
【0062】
本実施の形態に係る制御マイコンCNTでは、供給電流の値と電流検出信号の値との関係がメモリ回路にマップ化されている。具体的に説明すると、当該マップには、第1のゲイン関数f(Is)によって規定される関係と、第2のゲイン関数g(Is)によって規定される関係とが情報化されている。このうち、第1のゲイン関数f(Is)によるマップには、供給電流Isが0〜閾値電流Isdの範囲について、当該供給電流Isに対応する電流検出信号Skの電圧値が保存されている。一方、第2のゲイン関数g(Is)によるマップには、供給電流Isが閾値電流Isd以上の範囲について、当該供給電流Isに対応する電流検出信号Skの電圧値が保存されている。
【0063】
供給電流Isを認識する際、制御マイコンCNTでは、受信した電流検出信号Skに基づいて、その信号Skに対応する供給電流Isを何れかのマップから抽出する。このとき、第1のゲイン関数f(Is)と第2のゲイン関数g(Is)との間には、抵抗R1の両端電圧Vkが重複する領域を持たないので、これらの情報を記録させた双方のマップも、一つの電流検出信号Skに対して供給電流Isを複数抽出させることはない。即ち、本実施の形態に基づいて作成されたマップによると、一つの電流検出信号Skに対して、供給電流Isが一義的に定まることとなる。
【0064】
上述したように、ゲイン設定回路33をはじめとする電流検出回路30は、全てがアナログ回路で構成されている。そして、ゲインの設定はアナログ回路で処理されるため、制御マイコンCNTでは、電流検出信号Skに関するゲインの設定が不要となり、当該制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【0065】
図7は、制御マイコンCNTで実施される断線診断処理のフローチャートが示されている。当該断線診断処理は、メモリ回路に格納された制御プログラムに基づいて行なわれる。尚、閾値電流Isdは、制御IC21の定格電流に設定されている。図示の如く、断線診断処理は、適宜の起動タイミングが到来すると、先ず、電源ラインL1に流れる供給電流Isと閾値電流Isdとを比較させる(S01)。
【0066】
ここで、供給電流Isは、閾値電流Isdより大きい場合、制御IC21の定格電流以上の電流とされる。このような場合、断線診断処理では、制御モータにおける配線は正常であると判定される(S02)。尚、かかる場合の供給電流Isは、第2のゲイン関数g(Is)によって解像度が低く設定されているが、其の電流値は大きいため十分に検出され得る。
【0067】
一方、供給電流Isが閾値電流Isdより小さい場合(S03)、本実施の形態では、詳細な診断が行なわれる。具体的に説明すると、断線診断処理では、供給電流Isが微少量(Isd>Is>0)流れている場合、制御モータMの周辺での配線に異常が生じたものと推定され、ドライブ回路20の制御IC21にのみ微小な消費電流が流れていると診断される(S04)。かかる場合の供給電流Isは、第1のゲイン関数f(Is)によって解像度が高く設定されるので、微小な電流値であっても十分に検出されることとなる。
【0068】
これに対し、供給電流Isが0Aで或る場合、ヒューズf1が断線したものと診断される(S05)。即ち、この処理S05では、IC回路に流れるような微小な電流の有無が処理S04によって正確に判定されるため、ヒューズf1が断線したか否かの診断結果は、格段に正確なものとされる。
【0069】
上述の如く、本実施の形態に係るモータ制御回路100によると、検出された供給電流に対するゲインが適宜に設定されるので、供給電流の一部区間の解像度を向上させ、検出困難な区間での供給電流の認識が容易となる。具体的には、供給電流の微小な区間のゲインを高く設定することで、IC回路での電力の消費状態が正確に認識されるため、制御モータで断線した故障であるか又は電源ラインのヒューズで断線した故障であるのか等、断線箇所を特定することが可能となる。
【0070】
また、制御マイコンでは、IC回路における電力の消費状態を正確に認識できるので、断線判定に係る情報処理の判定精度が向上する。更に、ゲインの設定はアナログ回路で実現されるため、制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【0071】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記された技術的思想の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態に係る電流検出信号Skは、閾値電流Isdの近傍で連続であるとされているが、本発明にあっては、第1のゲイン関数f(Is)と第2のゲイン関数g(Is)との接点の差を低減させるように、ゲイン設定回路部におけるオフセット回路が機能すれば足りる。
【0072】
また、本実施の形態では、制御モータが単相モータであるとして説明しているが、これに限らず、制御モータとして3相モータを用いても良い。
【符号の説明】
【0073】
B バッテリ
Reg レギュレータ
CNT 制御マイコン(制御回路)
M 制御モータ
20 ドライブ回路
30 電流検出回路部
32 増幅回路部
33 ゲイン設定回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ電源を用いて制御モータを駆動させるモータ制御回路に関し、特に、当該モータ制御回路に設けられる電流検出回路に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車載装置は、アクチュエータとして制御モータを用いた装置が多く、この制御モータは、マイコン又はIC回路等から成るモータ制御回路によって駆動される。また、制御モータは、車両と共に過酷な環境下で使用されるため、内部コイルの断線や、接続端子等での断線といった不具合が生じる。車載装置用の電源ラインでは、当該電源ラインにヒューズが設けられ、過電流が生じた場合に其のヒューズを切断させることで、発熱又は火災等の被害を回避させている。
【0003】
このため、近年のモータ制御回路では、制御モータに流れる電流を検出し、その電流値を解析することにより、制御モータの故障又は電源ラインのヒューズ切れ等の断線異常を判定している。
【0004】
特開平11−008992号公報(特許文献1)では、3相制御モータのコイル異常検出装置が紹介されている。図8に示す如く、モータ制御回路3は、制御モータの動作制御を行う回路であって、その一機能として、コイルにおける断線異常を診断する処理を行う。モータ制御回路3は、リレー駆動回路LCNとマイコン用レギュレータReg1と制御マイコンCNTとシャント抵抗Rsとドライブ回路DRVと電圧検出回路INSと電流検出回路4とから構成される。尚、同公報にあっては、電流検出回路4はドライブ回路DRVに内蔵される回路とされているが、説明の便宜上、モータ制御回路3の外部に図示することとする。
【0005】
かかる構成を具備するモータ制御回路3は、操縦者によってイグニッションスイッチIGがオンされると、マイコン用レギュレータReg1では、マイコン駆動用の定電圧を発生させ制御マイコンCNTへ電源を供給する。このため、制御マイコンCNTは、電源ポートに定電圧が印加され、これに応じて、各種の制御プログラムが起動させることとなる。このとき、ドライブ回路DRVには、電源ラインL2を介してバッテリ電圧Vbが供給されている。その後、制御マイコンCNTの起動処理が進行すると、バッテリ電圧値等の種々のチェックが行われ、この処理結果に基づいてリレー駆動回路LCNがリレーLyを導通状態へ切換える。リレーLyが導通状態となると、ドライブ回路DRVには、シャント抵抗Rsを具備する電源ラインL1を介して、バッテリ電圧Vbが供給される。そして、スタンバイ動作が完了すると、制御マイコンCNTは、車両制御用上位ECUの指令に従ってドライブ回路DRBを制御させ、制御モータIMを適宜に駆動させる。また、モータ制御回路3は、制御モータにおける各相(U相,V相,W相)の印加電圧を検出し、この検出電圧に基づいてモータ内外の断線状態を診断する。
【0006】
図9は、モータ制御回路3に設けられるドライブ回路DRVの構成が示されている。図示の如く、ドライブ回路DRVは、IC用レギュレータReg2とパルス合成IC(IC1)と過電流保護IC(IC2)とトランジスタ駆動回路DR3及びDR4とパワートランジスタから成るインバータ回路DR5とから構成される。ここで、IC用レギュレータReg2は、電源ラインL1から供給されるバッテリ電圧(特許請求の範囲における電源電圧)を変換し当該バッテリ電圧の電圧値よりも低い制御素子用電圧Vrを生成する。また、パルス合成IC(IC1)及び過電流保護IC(DR2)は制御素子用電圧Vrを電源とし、トランジスタ駆動回路DR3及びDR4は電源ラインL2を介して印加されるバッテリ電圧Vbを電源とし、インバータ回路DR5のハイサイド側にはシャント抵抗Rsを介してバッテリ電圧Vbが印加される。かかる構成を具備するドライブ回路DRVでは、上述の如く、制御マイコンCNTから送られる切換信号Sa及びSb,PWM信号Scに基づいて、制御モータIMを適宜に駆動させる。
【0007】
ドライブ回路DRVでは、電源ラインL1に流れる電流値(以下、供給電流Isと呼ぶ)を電流検出回路4によって検出している。そして、供給電流Isが或る値以上に達すると、過電流保護ICまたはパルス合成ICの駆動を停止させ、過電流に対するフェールセーフが機能する。また、図示の如く、電源ラインL1には、ヒューズf1が設けられ、過電流に対する安全対策が施されている。尚、ヒューズf2及びf3についても、同様の目的で電源ラインL2の適宜の位置に設けられている(図8参照)。
【0008】
そして、制御マイコンCNTでは、電流検出回路4から出力される電流検出信号を受信し、供給電流Isが正常値の場合には制御モータの内部又はその周辺での断線が発生していないと診断する。一方、供給電流Isが所定の値を下回ると、電源ラインL1又は制御モータに関係する何れかの場所で断線異常が発生したと診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−008992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、特許文献1の技術によれば、断線異常が生じたか否かの診断を行なうことは可能であるものの、その断線異常が制御モータによるものなのか又はどの電源ラインでの断線によるものなのか等、断線異常を引き起こした場所の特定が困難であるとの問題が生じる。かかる如く断線箇所の特定が行なわれないと、修理作業の工数が増え、この修理作業に費やす時間も増えてしまうとの問題も招く。
【0011】
また、特許文献1の技術を用いるにあたっては、電源ラインL1に流れる電流値の大きさに基づいて、断線異常の発生箇所を特定することが考えられる。ここで、図10を参照し、電流検出回路4の一例について説明する。尚、同図では、電源ラインL2等、一部の回路構成が便宜的に図示省略されている。
【0012】
電流検出回路4は、電源ラインL1に流れる供給電流Isの電流値を1/1000程度の内部電流に変換出力させる電流検出部4aと、この内部電流に基づいて抵抗R1の両端電圧を増幅させ電流検出信号として出力させる増幅回路部4bとから構成される。かかる電流検出回路4では、制御マイコンCNTへ出力される電流検出信号のゲインが抵抗R1によって規定され、図11に示す如く、電源ラインL1に流れる供給電流Isの大きさに応じて電流検出信号Skの電圧値が定まる。このため、制御マイコンCNTでは、電流検出信号Skに応じて、電源ラインL1に流れる供給電流Isの電流値が認識される。
【0013】
ここで、ヒューズf1がショート(断線)を起こしている場合、電源ラインL1を流れる電流は0Aとなるので、電流検出信号Skも0Vとなる。また、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータIMの配線状態が正常の場合、バッテリから供給される電力の大半は制御モータIMで消費されるので、電源ラインL1に流れる供給電流及び制御マイコンCNTへ出力される電流検出信号Skは、比較的大きな値をとる。一方、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータIMで断線異常が発生している場合、バッテリはIC回路のみで電力が消費されることから電源ラインL1に微小な供給電流しか流れなくなり、この場合の電流検出信号Skは非常に小さい値を取る。ここで、IC回路のみで電力が消費されている場合の供給電流は、図11のΔIの範囲に現われるものとする。また、かかる場合の抵抗R1での両端電圧Vkは、ΔVの範囲に現われるものとする。
【0014】
上述した関係から、供給電流Isが電流区間ΔIより大きい場合には、配線状態が正常であることが解る。また、電流区間ΔIに属する場合には、IC回路にのみ電流が流れている状態とされるので、制御モータIMで断線異常が発生していることが解る。更に、0(A)の場合には、ヒューズf1が断線していることが解る。従って、制御マイコンCNTで実施される断線診断処理では、電流検出信号Skの値から供給電流Isを認識し、この供給電流Isの値に基づいて断線異常が診断されることとなる。
【0015】
しかしながら、バッテリ消費の殆どがIC回路で行なわれる故障モードの場合、検出される供給電流Isは非常に小さい電流値とされるため、電流検出信号Skの電圧値も非常に小さくなる。このとき、制御マイコンCNTにおける入力値の解像度がΔVの区間に対して十分確保されていないと、当該電流検出信号Vkの値を正確に認識することが出来なくなり、断線診断処理で得られる診断結果に誤りが生じてしまうとの問題が生じる。
【0016】
本発明は上記課題に鑑み、断線の発生箇所を特定することが可能なモータ制御回路の提供を第1の目的とする。また、断線箇所の特定を行なう診断処理が正確に実施されるモータ制御回路の提供を第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明では次のようなモータ制御回路の構成とする。即ち、直流の電源電圧を供給するバッテリと、シャント抵抗を具備し前記電源電圧を後段の回路へ印加させる電源ラインと、前記電源電圧を制御素子用電圧へ変換させるIC用レギュレータ及び前記IC用レギュレータに接続されるIC回路及び前記電源ラインに接続されるパワートランジスタを具備するドライブ回路と、前記ドライブ回路を直接的又は間接的に制御する制御回路と、前記ドライブ回路によって駆動される制御モータと、前記電源ラインに流れる供給電流を検出し内部信号を出力させる電流検出部及び前記内部信号に基づいてゲインを設定するゲイン設定回路部及び設定された前記ゲインに応じて電流検出信号を出力させる増幅回路部の各々を有する電流検出回路とを備え、
前記ゲイン設定回路部は、アナログ回路から成るものであって、前記供給電流が閾値電流に到達したか否かを判別する電流値判別部と、前記電流値判別部の判別結果に応じて第1の抵抗値又は第2の抵抗値へ切換えられる切換抵抗と、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値との差を低減させるオフセット回路とを備えることとする。
【0018】
好ましくは、前記オフセット回路は、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値とを略一致させることとする。
【0019】
好ましくは、前記閾値電流は、前記IC回路で定められている定格電流の近傍に設定されることとする。
【0020】
好ましくは、前記ゲイン設定回路部によって設定されるゲインは、前記閾値電流以下のとき大きい値に設定され、前記閾値電流以上のとき小さい値に設定されることとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るモータ制御回路によると、電流検出信号に対するゲインが適宜に設定されるので、供給電流の一部区間の解像度を向上させ、検出が困難な区間での供給電流の認識が容易となる。具体的には、供給電流の微小な区間のゲインを高く設定することで、IC回路での消費状態が正確に認識されるため、制御モータで断線した故障であるか又は電源ラインのヒューズで断線した故障であるのか等、断線箇所を特定することが可能となる。
【0022】
また、制御マイコンでは、IC回路における電力の消費状態を正確に認識できるので、断線判定に係る情報処理の判定精度が向上する。更に、ゲインの設定はアナログ回路で実現されるため、制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係るモータ制御回路の構成を示す図。
【図2】実施の形態に係るドライブ回路の構成を示す図。
【図3】実施の形態に係る電流検出回路の構成を示す図。
【図4】電流検出回路に流れる内部電流の経路と第1のゲイン関数を示す図
【図5】電流検出回路に流れる内部電流の経路と第2のゲイン関数を示す図
【図6】実施の形態に係るゲイン関数を示す図。
【図7】制御マイコンで実施される断線異常判定のフローチャート。
【図8】従来例に係るモータ制御回路の構成を示す図。
【図9】従来例に係るドライブ回路の構成を示す図。
【図10】従来例に係る電流検出回路の構成を示す図。
【図11】従来例に係るゲイン関数を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施の形態に係るモータ制御回路とその周辺構成が示されている。尚、本実施の形態に係るモータ制御回路100は、車載機器に用いられるものであって、その用途を特段に問うものではない。
【0025】
図示の如く、モータ制御回路100は、車載バッテリBと電源ラインL1及びL2と電子制御装置10とドライブ回路20と電流検出回路30と制御モータMとから構成される。このうち、電子制御装置10には、バスラインBUSを介して車両制御用上位ECUが接続されている。
【0026】
車載バッテリBは、直流(12V〜24V程度)のバッテリ電圧(特許請求の範囲における電源電圧)Vbを出力させるものであって、内燃機関自動車又は電気自動車(ハイブリッドを含む)を問わず、車両に搭載されるものである。
【0027】
電源ラインL1は、一端が車載バッテリBに接続され、他端がドライブ回路20に接続されている。また、電源ラインL1は、図示の如く、ヒューズf1とリレーLyとシャント抵抗Rsとが適宜の位置に介挿されている。
【0028】
電源ラインL2は、一端が車載バッテリBに接続され、他端が電源ラインL1と異なる経路を辿ってドライブ回路20に接続される。また、電源ラインL2は、ヒューズf2及びf3とイグニッションスイッチIgとが介挿されている。これらの電源ラインL1及び電源ラインL2は、ドライブ回路20にバッテリ電圧Vbを印加させる。
【0029】
電子制御装置10は、マイコン用レギュレータReg1と制御マイコンCNTとリレー駆動回路LCNと信号値変換回路SXCとから構成される。
【0030】
マイコン用レギュレータReg1は、入力ラインが電源ラインL2に接続され、出力ラインが制御マイコンCNTの電源ポートに接続されている。そして、マイコン用レギュレータReg1は、バッテリ電圧Vbを5V程度のマイコン用電圧へ変換させ、当該マイコン用電圧を制御マイコンCNTへ印加させる。
【0031】
制御マイコンCNTは、CPU,メモリ回路、クロック回路等、演算処理に必要な回路によって構成される。当該制御マイコンCNTは、マイコン用レギュレータReg1によって電源が与えられ、この電源投与に応じて起動プログラムを実行させる。当該起動プログラムでは、バッテリ電圧の値のチェック等、回路周辺の種々のチェックを行い、このチェック処理の結果が正常であれば、リレー駆動装置LCNにその旨の信号を送り、リレーLyを閉成させる。その後、制御マイコンCNTでは、車載制御用上位ECU1から種々の信号を受信し、これらの信号に基づいてドライブ回路を直接的又は間接的に制御する。また、本実施の形態に係る制御マイコンCNTでは、電源ラインL1に流れる電流値(以下、供給電流Isと呼ぶ)を電流検出信号Skに基づいて認識する。更に、当該制御マイコンCNTでは、認識した供給電流Isの電流値に基づいて断線箇所の特定を行なう。尚、制御マイコンCNTによる供給電流Isの認識処理、断線箇所の特定処理については、追って詳述することとする。
【0032】
信号値変換回路SXCは、制御マイコンSXCから受信した信号に基づいて、右回転を指令する信号Sa、又は、左回転を指令する信号Sbを出力させる。
【0033】
かかる構成を具備するモータ制御回路100は、操縦者によってイグニッションスイッチIgがオンされると、マイコン用レギュレータReg1では、マイコン駆動用の定電圧を発生させ制御マイコンCNTへ電源を供給する。このため、制御マイコンCNTは、電源ポートに定電圧が印加され、これに応じて、各種の制御プログラムを起動させることとなる。また、ドライブ回路20には、イグニッションキーIGが閉成動作されると、電源ラインL2を介して直接的にバッテリ電圧Vbが供給される。その後、制御マイコンCNTの起動処理が進行すると、バッテリ電圧値等の種々のチェックが行われ、この処理結果に基づいてリレー駆動回路LCNがリレーLyを導通状態へ切換える。このとき、ドライブ回路20には、シャント抵抗Rsを具備する電源ラインL1を介してバッテリ電圧Vbが供給される。かかる如くスタンバイ動作が完了した後、制御マイコンCNTは、車両制御用上位ECUの指令に従ってドライブ回路20を制御させ、制御モータMを適宜に駆動させる。また、電流検出回路30は、供給電流Isに基づいて電流検出信号Skを出力する。このとき、制御マイコンCNTでは、電流検出信号Skに基づいて供給電流Isを認識し、当該供給電流Isの電流値に基づいてモータ内外の断線状態を診断する。
【0034】
ドライブ回路20は、図2に示す如く、IC用レギュレータ24と制御IC21とトランジスタ駆動回路22a及び22bとフルブリッジ回路23とから構成される。
【0035】
IC用レギュレータ24は、電源ラインL1に接続され、車載バッテリBから供給されるバッテリ電圧Vbを制御素子用電圧Vrへ変換させる。例えば、制御IC21の定格電圧が5Vである場合、IC用レギュレータ24から出力される制御素子用電圧Vrも5Vに設定される。
【0036】
制御IC21は、IC用レギュレータ24に接続されるものであって、制御素子用電圧Vrを電源とするIC回路である。制御IC21は、信号Sa又はSbに基づいてPWM信号を生成させる。また、当該制御IC21は、電流検出信号Skを受信し、当該信号Skの電流値が適正範囲内のときPWM信号の出力を許可させ、当該信号Skが所定値より大きいときPWM信号の出力を停止させる。即ち、電源ラインL1に流れる供給電流Isが異常上昇したとき、制御IC21は、PWM信号の出力を断つことにより、後段に配置される回路の動作を停止させ、回路の保護を図る。
【0037】
トランジスタ駆動回路22aは、電源ラインL2に接続され、バッテリ電圧Vbを電源としている。トランジスタ駆動回路22aでは、PWM信号の電圧値を増幅させ、これによって調整されたPWM信号は、後段のパワートランジスタTr1〜Tr4を駆動させるに足る電力を得る。尚、トランジスタ駆動回路22bにあっても、トランジスタ駆動回路22aと同等の役割を担う回路である。
【0038】
フルブリッジ回路23は、パワートランジスタTr1〜Tr4から成り、シャント抵抗Rsを具備する電源ラインL1に接続される。また、パワートランジスタの接点部ta及びtbは、図示の如く、制御モータMの電極端子に接続されている。本実施の形態に係るフルブリッジ回路23では、正転向きのPWM信号が各パワートランジスタTr1〜Tr4へ入力されると、パワートランジスタTr2及びTr3が停止され、パワートランジスタTr1及びTr4のスイッチング動作によって、制御モータMを正転制御させる。一方、逆転向きのPWM信号が各パワートランジスタTr1〜Tr4へ入力されると、パワートランジスタTr1及びTr4が停止され、パワートランジスタTr2及びTr3のスイッチング動作によって、制御モータMを逆転制御させる。
【0039】
電流検出回路30は、電源ラインL1に設けられたシャント抵抗Rsに配線される。そして、電源ラインL1に供給電流Isが流れると、其の電流値に応じて複数のゲインを設定し、電流検出信号Skを出力させる。尚、電流検出回路30の詳細については、追って詳述することとする。
【0040】
かかる構成を具備するドライブ回路20は、PWM信号Sa又はSbが入力されると、その信号値を増幅させることでパワートランジスタTr1〜Tr4を駆動させ、後段に接続された制御モータを適宜に制御させる。また、供給電流Isが所定値以上に達すると、制御IC21にその旨を知らせて制御モータMを停止させる。これと併せて、制御マイコンCNTでは、電流値の上昇を認識し、ドライブ回路20の動作を停止させる。
【0041】
上述したように、ドライブ回路20では、ヒューズf1がショート(断線)を起こしている場合、電源ラインL1を流れる電流は0Aとなる(完全断線状態)。また、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータMの配線状態が正常の場合、バッテリから供給される電力の大半は制御モータIMで消費されるので、供給電流Isは、比較的大きな値をとる(非断線状態)。一方、ヒューズf1でショートを起こさず且つ制御モータIMで断線異常が発生している場合、バッテリはIC回路のみで電力が消費されるので、電源ラインL1には、微小な電流が流れることとなる(一部断線状態)。
【0042】
以下、電流検出回路30について詳述する。図3に示す如く、電流検出回路30は、電流検出部31と増幅回路部32とゲイン設定回路部33とから構成される。
【0043】
電流検出部31は、IC回路から成り、入力端がシャント抵抗Rsの出力端子に接続され、出力端が増幅回路部32とゲイン設定回路部33との接点Kに接続される。電流検出部31は、電源ラインL1に流れる電流値を1/100〜1/1000程度の電流値(以下、内部信号Ikと呼ぶ)に変換出力させる。
【0044】
増幅回路部33は、抵抗R1〜R5,コンデンサC1,オペアンプAMPから構成される。増幅回路部33では、内部信号Ikが流れると抵抗R1の両端電圧Vkが発生し、この両端電圧VkがオペアンプAMPへ入力されることにより、所定の増幅率で電流検出信号Skを出力させる。尚、本実施の形態にあっては、後術明らかとされるように、抵抗R1の両端電圧Vkがゲイン設定回路部33によって適宜に制御されることとなる。
【0045】
ゲイン設定回路部33は、抵抗R6〜R10,ダイオードD1,コンデンサC2,オープンコレクタ式のコンパレータCOMP(特許請求の範囲における電流判別部)から構成される。当該コンパレータCOMPの非反転入力端子(+)は、抵抗R7及びR8の分圧点が接続され、制御素子用電圧Vxを分圧させた基準電圧が印加される。一方、コンパレータCOMPの反転入力端子(−)は、抵抗R6及びコンデンサC2の接点が接続され、抵抗R6の端部は、信号ラインLkを介して接点Kに接続される。従って、当該反転入力端子(−)には、コンデンサC2へ電荷がチャージされると、これに応じた電圧が印加されることとなる。コンパレータCOMPの出力端子には、抵抗R9及びR10から成る直列回路が接続され、当該直列回路には、制御素子用電圧Vxが印加される。
【0046】
また、接点PにはダイオードD1のアノードが接続され、接点QにはダイオードD1のカソードが接続される。ダイオードD1は、制御素子用電圧Vxから反転入力端子(−)への電圧印加を阻止させ、これにより、反転入力端子(−)では、内部信号Ikのみによって印加電圧が制御されることとなる。
【0047】
かかる如く、本実施の形態に係るゲイン設定回路33は、アナログ回路から成るものであって、当該アナログ回路を用いて複数種類のゲイン設定を行なう回路である。尚、制御素子用電圧Vxは、上述した何れかのレギュレータReg1,レギュレータ24によって生成されるものであっても良く、他の図示されない構成から生成されるものであっても良い。
【0048】
ここで、同図のオープンコレクタ式のコンパレータCOMPは、非反転入力端子(+)の印加電圧が反転入力端子(−)の印加電圧より大きい場合、内蔵されるトランジスタをオフ状態とさせ、出力端子の電位をロジックレベルのHigh状態(以下、単にHigh状態と呼ぶ)とさせる。一方、非反転入力端子(+)の印加電圧が反転入力端子(−)の印加電圧より小さい場合、内蔵されるトランジスタをオン状態とさせ、出力端子の電位をロジックレベルのLow状態(以下、単にLow状態と呼ぶ)とさせる。コンパレータCOMPでは、コンデンサC2のチャージ電荷が上昇し入力端子(+)の基準電圧を上回る際、出力信号をHigh出力からLow出力へと切換え、一方、コンデンサC2のチャージ電荷が低下し入力端子(+)の基準電圧を下回る際、出力信号をLow出力からHigh出力へと切換える。このチャージ電荷は、信号ラインLkを介して供給される内部信号Ikの電流値に応じて定まるところ、供給電流Isに応じて規定されると言い換えることもできる。以下、コンパレータCOMPを切換動作させる際の電源ラインL1の供給電流を、閾値電流と呼ぶこととする。
【0049】
以下、説明の便宜として、「接点K→抵抗R1→グランド」を経由する内部信号の流れをルート1(Root1)とし、「接点K→抵抗R6→コンデンサC2→グランド」を経由する内部信号の流れをルート2(Root2)とし、「接点K→ダイオードD1→抵抗10→コンパレータCOMP→グランド」を経由する内部信号の流れをルート3(Root3)とする。ここで、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)は、コンパレータCOMPによって切換られる回路であって、この動作に応じて切換抵抗を成すものである。
【0050】
また、ルート2(Root2)によって定まる抵抗値を第1の抵抗値と呼び、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)によって定まる合成抵抗値を第2の抵抗値と呼ぶこととする。
【0051】
上述された動作を踏まえると、コンパレータCOMPは、出力信号がHigh状態のとき、内部信号の経路としてルート2(Root2)を選択し、ゲイン設定回路部33での抵抗値を第1の抵抗値に設定する。これに対し、コンパレータCOMPは、出力信号がLow状態のとき、内部信号の経路としてルート2(Root2)及びルート3(Root3)の双方を選択し、ゲイン設定回路部33での抵抗値を第2の抵抗値に設定する。そして、閾値電流の前後では、出力信号の切換動作が行なわれるところ、当該場面でのコンパレータCOMPは、第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換え、又は、第2の抵抗値から第1の抵抗値へ切換える動作を行なうこととなる。
【0052】
本実施の形態では、一部断線状態の供給電流を検出できるように、即ち、制御IC21に流れる微小な電流を検出できるように、上述した閾値電流が設定される。この閾値電流は、コンデンサC2の電気容量及び抵抗R7,R8の抵抗値によって設定されるものである。更に、この閾値電流は、制御IC21で定められる定格電流の近傍に設定されるのが好ましい。このように閾値電流が制御ICの定格電流に設定されることにより、供給電流が閾値電流を上回った場合、制御モータMへ電流が供給されているものと推定され、供給電流が閾値電流を下回っている場合、何らかの断線が生じているものと推定できる。以下、図4〜図7を参照して、かかる断線状態の判別方法について説明する。
【0053】
図4(a)は、電源ラインL1に流れる供給電流が閾値電流以下の場合を示している。かかる場合、信号ラインLkには内部信号Ikの一部が流れ、この内部信号Ikは、ルート2(Root2)に流れるため、抵抗R6を介してコンデンサC2をチャージさせる。この場合には、内部信号Ikが小さいので、反転入力端子(−)における印加電圧が基準電圧に到達できず、コンパレータCOMPの出力信号はHigh状態とされる。
【0054】
供給電流が閾値電流に到達していない場合、コンパレータCOMPでは、電源ラインL1での供給電流が閾値電流に到達していないものと判別し、内部信号Ikの経路としてルート2(Root2)を選択する。このとき、ルート3(Root3)を介した内部信号の経路がコンパレータによって断たれる。従って、上述した切換抵抗がルート2(Root2)のみによって設定される。このような切換状態で供給電流が増加する場合、抵抗R1に流れる電流(内部信号の一部)の増加率は、ルート2(Root2)における抵抗値によって制御される。また、抵抗R1の両端電圧Vkは、当該抵抗R1を流れる電流の増加率によって制御されることとなり、当該両端電圧Vkの増加率(ゲイン)がルート2(Root2)の抵抗値によって制御されることとなる。
【0055】
図4(b)は、電源ラインL1に流れる供給電流Isと抵抗R1の両端電圧Vkとの関係が示されている。同図では、閾値電流Isd以下の供給電流について示されている。図示の如く、両端電圧Vkは、供給電流Isの増加に応じて略線形に増加し、供給電流Isが閾値電流Isdに達すると、その電圧は閾値電圧Vkdに到達する。本実施の形態において、閾値電流Isd以下での両端電圧Vkは、傾きθ1とされる第1のゲイン関数f(Is)に基づいて定まり、増幅回路部31によって増幅され電流検出信号Skとして出力される。従って、供給電流Isが閾値電流以下とされる場合、電流検出信号Skは、第1のゲイン関数f(Is)の示すゲインに応じて変動する。即ち、電流検出信号Skのゲインは、ルート2(Root2)における抵抗値によって規定されることとなる。
【0056】
図5(a)は、電源ラインL1に流れる供給電流が閾値電流以上とされる場合を示している。かかる場合にあっても、信号ラインLkに流れる内部信号Ikは、抵抗R6を介してコンデンサC2をチャージさせる。但し、内部信号Ikが増加するため、反転入力端子(−)における印加電圧が基準電圧を上回り、コンパレータCOMPの出力信号はLow状態に切換えられる。
【0057】
上述の如く、コンパレータCOMPでは、入力端子における電圧値の大小が逆転するので、電源ラインL1での供給電流が閾値電流に到達したものと判別し、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)を内部信号Ikの経路として設定する。従って、コンパレータCOMPの出力端子がLow状態に切換えられると、切換抵抗がルート2(Root2)とルート3(Root3)とによって形成される。このような切換状態で供給電流が増加する場合、切換抵抗がルート3(Root3)の追加によって低下するので、抵抗R1に流れる電流(内部信号の一部)の増加率が低下する。このため、抵抗R1の両端電圧Vkも、当該電流の増加率の低下に伴い、当該両端電圧Vkの増加率(ゲイン)が低下することとなる。
【0058】
図5(b)は、電源ラインL1に流れる供給電流Isと抵抗R1の両端電圧Vkとの関係が示されている。同図では、閾値電流Isd以上の供給電流について示されている。図示の如く、両端電圧Vkは、供給電流Isの増加に応じて略線形に増加し、その境界点は、閾値電圧Vkdとされる。本実施の形態において、閾値電流Isd以上での両端電圧Vkは、傾きθ2(θ2>θ1)とされる第2のゲイン関数g(Is)に基づいて定まり、増幅回路部31によって増幅され電流検出信号Skとして出力される。従って、供給電流が閾値電流以上とされる場合、電流検出信号Skは、第2のゲイン関数g(Is)の示すゲインに応じて変動する。そして、そのゲインは、ルート2(Root2)及びルート3(Root3)から成る合成抵抗の抵抗値によって規定されることとなる。
【0059】
ルート2(Root2)及びルート3(Root3)から成る合成抵抗の抵抗値は、ルート2(Root2)のみから成る抵抗値よりも低値とされる。このため、本実施の形態に係るゲイン設定回路部33は、信号検出信号Skについて、供給電流Isが閾値電流Isd以下の区間ではゲインを大きく設定させ、供給電流Isが閾値電流Isd以上の区間ではゲインを低く設定できる。このようにゲインが設定されることにより、制御マイコンCNTでは、閾値電流以下での解像度が高く設定され、IC回路に流れるような微小電流の有無を正確に判定することが可能となる。
【0060】
また、制御素子用電圧Vx及び抵抗R9(特許請求の範囲におけるオフセット回路)は、ルート3(Root3)に内部信号以外の電流を発生させる。このため、ルート3(Root3)への内部信号Ikの流れが減少し、これを補うように、ルート2(Root2)では、内部信号Ikの流れを大きくさせる。このため、制御素子用電圧Vx及び抵抗R9は、抵抗R1での両端電圧Vkを上昇させ、図5(b)に示す如く、両端電圧Vkの電圧値を正方向にオフセットさせる。本実施の形態では、図6に示す如く、第1のゲイン関数f(Is)と第2のゲイン関数g(Is)とが閾値電流Isdの点で連続となるよう、即ち、互いの関数の境界点が一致するように、制御素子用電圧Vx及び抵抗R9が設定される。このように電気的素子を適宜に設定することで、抵抗値R1の両端電圧Vkは、コンパレータCOMPでの切換動作時に一致し、これにより、信号検出信号Stについても、コンパレータCOMPでの切換動作時に一致することとなる。
【0061】
このように、抵抗R1の両端電圧Vkが連続な状態とされると、電流検出信号Skの電圧値も同様に連続な状態とされる。このため、電流検出信号Skは、或る特定の供給電流Isを唯一つ指し示すこととなる。
【0062】
本実施の形態に係る制御マイコンCNTでは、供給電流の値と電流検出信号の値との関係がメモリ回路にマップ化されている。具体的に説明すると、当該マップには、第1のゲイン関数f(Is)によって規定される関係と、第2のゲイン関数g(Is)によって規定される関係とが情報化されている。このうち、第1のゲイン関数f(Is)によるマップには、供給電流Isが0〜閾値電流Isdの範囲について、当該供給電流Isに対応する電流検出信号Skの電圧値が保存されている。一方、第2のゲイン関数g(Is)によるマップには、供給電流Isが閾値電流Isd以上の範囲について、当該供給電流Isに対応する電流検出信号Skの電圧値が保存されている。
【0063】
供給電流Isを認識する際、制御マイコンCNTでは、受信した電流検出信号Skに基づいて、その信号Skに対応する供給電流Isを何れかのマップから抽出する。このとき、第1のゲイン関数f(Is)と第2のゲイン関数g(Is)との間には、抵抗R1の両端電圧Vkが重複する領域を持たないので、これらの情報を記録させた双方のマップも、一つの電流検出信号Skに対して供給電流Isを複数抽出させることはない。即ち、本実施の形態に基づいて作成されたマップによると、一つの電流検出信号Skに対して、供給電流Isが一義的に定まることとなる。
【0064】
上述したように、ゲイン設定回路33をはじめとする電流検出回路30は、全てがアナログ回路で構成されている。そして、ゲインの設定はアナログ回路で処理されるため、制御マイコンCNTでは、電流検出信号Skに関するゲインの設定が不要となり、当該制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【0065】
図7は、制御マイコンCNTで実施される断線診断処理のフローチャートが示されている。当該断線診断処理は、メモリ回路に格納された制御プログラムに基づいて行なわれる。尚、閾値電流Isdは、制御IC21の定格電流に設定されている。図示の如く、断線診断処理は、適宜の起動タイミングが到来すると、先ず、電源ラインL1に流れる供給電流Isと閾値電流Isdとを比較させる(S01)。
【0066】
ここで、供給電流Isは、閾値電流Isdより大きい場合、制御IC21の定格電流以上の電流とされる。このような場合、断線診断処理では、制御モータにおける配線は正常であると判定される(S02)。尚、かかる場合の供給電流Isは、第2のゲイン関数g(Is)によって解像度が低く設定されているが、其の電流値は大きいため十分に検出され得る。
【0067】
一方、供給電流Isが閾値電流Isdより小さい場合(S03)、本実施の形態では、詳細な診断が行なわれる。具体的に説明すると、断線診断処理では、供給電流Isが微少量(Isd>Is>0)流れている場合、制御モータMの周辺での配線に異常が生じたものと推定され、ドライブ回路20の制御IC21にのみ微小な消費電流が流れていると診断される(S04)。かかる場合の供給電流Isは、第1のゲイン関数f(Is)によって解像度が高く設定されるので、微小な電流値であっても十分に検出されることとなる。
【0068】
これに対し、供給電流Isが0Aで或る場合、ヒューズf1が断線したものと診断される(S05)。即ち、この処理S05では、IC回路に流れるような微小な電流の有無が処理S04によって正確に判定されるため、ヒューズf1が断線したか否かの診断結果は、格段に正確なものとされる。
【0069】
上述の如く、本実施の形態に係るモータ制御回路100によると、検出された供給電流に対するゲインが適宜に設定されるので、供給電流の一部区間の解像度を向上させ、検出困難な区間での供給電流の認識が容易となる。具体的には、供給電流の微小な区間のゲインを高く設定することで、IC回路での電力の消費状態が正確に認識されるため、制御モータで断線した故障であるか又は電源ラインのヒューズで断線した故障であるのか等、断線箇所を特定することが可能となる。
【0070】
また、制御マイコンでは、IC回路における電力の消費状態を正確に認識できるので、断線判定に係る情報処理の判定精度が向上する。更に、ゲインの設定はアナログ回路で実現されるため、制御マイコンにおける演算処理の負担が軽減される。
【0071】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記された技術的思想の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態に係る電流検出信号Skは、閾値電流Isdの近傍で連続であるとされているが、本発明にあっては、第1のゲイン関数f(Is)と第2のゲイン関数g(Is)との接点の差を低減させるように、ゲイン設定回路部におけるオフセット回路が機能すれば足りる。
【0072】
また、本実施の形態では、制御モータが単相モータであるとして説明しているが、これに限らず、制御モータとして3相モータを用いても良い。
【符号の説明】
【0073】
B バッテリ
Reg レギュレータ
CNT 制御マイコン(制御回路)
M 制御モータ
20 ドライブ回路
30 電流検出回路部
32 増幅回路部
33 ゲイン設定回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の電源電圧を供給するバッテリと、シャント抵抗を具備し前記電源電圧を後段の回路へ印加させる電源ラインと、前記電源電圧を制御素子用電圧へ変換させるIC用レギュレータ及び前記IC用レギュレータに接続されるIC回路及び前記電源ラインに接続されるパワートランジスタを具備するドライブ回路と、前記ドライブ回路を直接的又は間接的に制御する制御回路と、前記ドライブ回路によって駆動される制御モータと、前記電源ラインに流れる供給電流を検出し内部信号を出力させる電流検出部及び前記内部信号に基づいてゲインを設定するゲイン設定回路部及び設定された前記ゲインに応じて電流検出信号を出力させる増幅回路部を具備する電流検出回路とを備え、
前記ゲイン設定回路部は、アナログ回路から成るものであって、前記供給電流が閾値電流に到達したか否かを判別する電流値判別部と、前記電流値判別部の判別結果に応じて第1の抵抗値又は第2の抵抗値へ切換えられる切換抵抗と、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値との差を低減させるオフセット回路とを備えることを特徴とするモータ制御回路。
【請求項2】
前記オフセット回路は、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値とを略一致させることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御回路。
【請求項3】
前記閾値電流は、前記IC回路で定められている定格電流の近傍に設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ制御回路。
【請求項4】
前記ゲイン設定回路部によって設定されるゲインは、前記閾値電流以下のとき大きい値に設定され、前記閾値電流以上のとき小さい値に設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のモータ制御回路。
【請求項1】
直流の電源電圧を供給するバッテリと、シャント抵抗を具備し前記電源電圧を後段の回路へ印加させる電源ラインと、前記電源電圧を制御素子用電圧へ変換させるIC用レギュレータ及び前記IC用レギュレータに接続されるIC回路及び前記電源ラインに接続されるパワートランジスタを具備するドライブ回路と、前記ドライブ回路を直接的又は間接的に制御する制御回路と、前記ドライブ回路によって駆動される制御モータと、前記電源ラインに流れる供給電流を検出し内部信号を出力させる電流検出部及び前記内部信号に基づいてゲインを設定するゲイン設定回路部及び設定された前記ゲインに応じて電流検出信号を出力させる増幅回路部を具備する電流検出回路とを備え、
前記ゲイン設定回路部は、アナログ回路から成るものであって、前記供給電流が閾値電流に到達したか否かを判別する電流値判別部と、前記電流値判別部の判別結果に応じて第1の抵抗値又は第2の抵抗値へ切換えられる切換抵抗と、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値との差を低減させるオフセット回路とを備えることを特徴とするモータ制御回路。
【請求項2】
前記オフセット回路は、前記第1の抵抗値から前記第2の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値と前記第2の抵抗値から前記第1の抵抗値へ切換わるときの前記電流検出信号の電圧値とを略一致させることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御回路。
【請求項3】
前記閾値電流は、前記IC回路で定められている定格電流の近傍に設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ制御回路。
【請求項4】
前記ゲイン設定回路部によって設定されるゲインは、前記閾値電流以下のとき大きい値に設定され、前記閾値電流以上のとき小さい値に設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のモータ制御回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−5152(P2012−5152A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134619(P2010−134619)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】
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