説明

モータ用端子箱

【課題】 端子台を装着した基板の向きを変えることで、端子台の位置を変えることが可能で、ケーブル引き出し口から端子台までの距離を長くすることによって、配線がしづらいという従来の問題点を解決することができるモータ用端子箱を提供する。
【解決手段】 モータハウジング外周面に取り付けられるとともに、モータ本体から引き出された内部リード線と、外部から引き込まれた外部ケーブルとを接続する端子台を内蔵したモータ用端子箱において、前記端子箱3を、前記モータハウジング10外周面に装着された台座部30と、この台座部30に着脱自在に組み付けられるとともに、ケーブル引き出し口44を設けた端子箱外枠31と、この端子箱外枠31に組み付けられ、内部を密閉する蓋体32とで構成し、前記台座部30に、前記端子台40を装着した基板41を着脱自在に組付け、この基板41の前後の向きを反転可能に、前記台座部30に対する該基板41の取付部を点対称に形成したことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用端子箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のモータ用端子箱としては、特開昭57−025133号公報(特許文献1)あるいは特開2004−056943号公報(特許文献2)が知られている。
特許文献1には、端子箱を正方形に形成するとともに、端子板を元の位置から90°回転した二方向に取り付け可能に形成したので、外部リード線をいずれの方向にも引き出すことができる旨記載されている。
特許文献2では、ベース3、電線挿通部材10、蓋13から構成される正方形の端子箱で、電線挿通穴を4つの方向に向けることが可能な端子箱が提案されている。
【特許文献1】特開昭57−025133号公報
【特許文献2】特開2004−056943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来のモータ用端子箱にあっては、端子台が端子箱の中央部に設置されているため、ケーブル引き出し口から端子台までの距離が短く配線作業がしづらいという問題があった。
また、モータの口出し線が端子台と同一面に固着されているため、配線のためのスペースが狭くなるという問題もあった。
さらに、ケーブル引き出し口の数が1つに限定されるという問題もあった。
またさらに、保護接地端子が無いという問題もあった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決し、端子台を装着した基板の向きを変えることで、端子台の位置を変えることが可能で、ケーブル引き出し口から端子台までの距離を長くすることによって、配線がしづらいという従来の問題点を解決することができるモータ用端子箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、モータハウジング外周面に取り付けられるとともに、モータ本体から引き出された内部リード線と、外部から引き込まれた外部ケーブルとを接続する端子台を内蔵したモータ用端子箱において、前記端子箱を、前記モータハウジング外周面に装着された台座部と、この台座部に着脱自在に組み付けられるとともに、ケーブル引き出し口を設けた端子箱外枠と、この端子箱外枠に組み付けられ、内部を密閉する蓋体とで構成し、前記台座部に、前記端子台を装着した基板を着脱自在に組付け、この基板の前後の向きを反転可能に、前記台座部に対する該基板の取付部を点対称に形成したことにある。
また、本発明は、前記モータ本体から引き出された内部リード線を、前記基板の端子台を配置する面と逆の面で前記端子台の端子に電気的に接続したことにある。
さらに、本発明は、前記基板の前後を反転させたとき、点対称になるように前記端子台を前記基板の一辺に沿って設けたことにある。
またさらに、本発明は、前記端子箱を正方形に形成し、該端子箱の外枠にケーブル引き出し口を設けるとともに、前記端子箱の外枠を四分の一回転ずつ回転可能に構成したことにある。
また、本発明は、前記端子箱の外枠にケーブル引き出し口を固定できるように、前記端子箱の外枠の内面にケーブル引き出し口の両側に対応してリブを設けたことにある。
さらに、本発明は、前記端子箱の外枠の一面に1つのケーブル引き出し口を固定できるように、前記端子箱の外枠の内面にケーブル引き出し口の両側に対応して2つのリブを設け、その向かい側の外枠の内面に2つのケーブル引き出し口を固定できるように、ケーブル引き出し口に対応して3つのリブを設けたことにある。
またさらに、本発明は、前記基板を前記台座部に基板固定用ネジを介してネジ止めするとともに、該基板固定用ネジのうちの1つが保護接地端子の機能を備えたことにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば次のような効果を奏する。
請求項1の発明によれば、端子箱を、前記モータハウジング外周面に装着された台座部と、この台座部に着脱自在に組み付けられるとともに、ケーブル引き出し口を設けた端子箱外枠と、この端子箱外枠に組み付けられ、内部を密閉する蓋体とで構成し、前記台座部に、前記端子台を装着した基板を着脱自在に組付け、この基板の前後の向きを反転可能に、前記台座部に対する該基板の取付部を点対称に形成したので、端子台を装着した基板の向きを変えることにより、端子台の位置を変えることが可能で、ケーブル引き出し口から端子台までの距離を長くすることによって、配線がしづらいという従来の問題点を解決することができる。
請求項2の発明によれば、モータ本体から引き出された内部リード線を、前記基板の端子台を配置する面と逆の面で前記端子台の端子に電気的に接続したので、配線スペースが狭くなるという従来の問題点を解決することができる。
請求項3の発明によれば、基板の前後を反転させたとき、点対称になるように前記端子台を前記基板の一辺に沿って設けたので、ケーブル引き出し口から端子台までの距離を長くすることによって、配線作業を容易に行なうことができる。
請求項4の発明によれば、端子箱を正方形に形成し、該端子箱の外枠にケーブル引き出し口を設けるとともに、前記端子箱の外枠を四分の一回転ずつ回転可能に構成したので、ケーブル引き出し口を任意の方向に向けることができる。
請求項5の発明によれば、端子箱の外枠にケーブル引き出し口を固定できるように、前記端子箱の外枠の内面にケーブル引き出し口の両側に対応してリブを設けたので、ケーブル引き出し口を補強することができる。
請求項6の発明によれば、前記端子箱の外枠の一面に1つのケーブル引き出し口を固定できるように、前記端子箱の外枠の内面にケーブル引き出し口の両側に対応して2つのリブを設け、その向かい側の外枠の内面に2つのケーブル引き出し口を固定できるように、ケーブル引き出し口に対応して3つのリブを設けたので、ケーブル引き出し口を補強することができる。
請求項7の発明によれば、基板を前記台座部に基板固定用ネジを介してネジ止めするとともに、該基板固定用ネジのうちの1つが保護接地端子の機能を備えたので、基板固定用ネジのうちの1つを利用して保護接地端子を接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、モータ用端子箱を示す縦断面図、図2は図1の蓋体を外して示す平面図、図3は、モータ用端子箱を分解して示す斜視図である。図4は、端子箱外枠と基板の前後の向きを反転(180°回転)させた状態を示す縦断面図、図5は図4の蓋体を外して示す平面図、図6(a)(b)(c)は端子箱外枠の向きを四分の一回転ずつ変えた状態を示す平面図である。
【0008】
図1ないし図3において、1はモータで、モータ本体2とモータ用端子箱3で構成されている。モータ本体2は、モータハウジング10と、エンドブラケット10aでモータケース11が構成されている。モータケース11内に固定子12および回転子13が設けられ、回転子13に装着された回転軸(出力軸)14を介して出力を取り出すものである。回転軸14は前記モータケース11内に設けられたボス部11a,11bに配設された回転軸軸受け15を介して支持されている。固定子12の固定子巻線16には電源ケーブルとなる内部リード線16aが接続されており、この内部リード線16aがモータハウジング10の上面に形成された孔17を介して外部に引き出されている。このモータハウジング10の孔17上面にはモータ用端子箱3が設けられており、このモータ用端子箱3の内部に前記内部リード線16aが導入されている。通常、内部リード線16aには、電源ケーブルの他にモータを制御する信号ケーブルも含まれている。
【0009】
モータ用端子箱3は、モータハウジング10の外周面に装着された台座部30と、この台座部30に組み付けられた端子箱外枠31と、この端子箱外枠31に組み付けられ内部を密閉する蓋体32とで構成されている。モータ用端子箱3は、平面視で正方形に構成されており、内部に端子台40が装着された基板41が内蔵されている。
【0010】
前記台座部30は、モータハウジング10の上面に設けられ、前記モータハウジング10の孔17に対向する孔30aが設けられている。孔17および孔30aを通して前記内部リード線16aがモータ用端子箱3内に導入されている。前記台座部30は、四角形に形成された板面の四隅にネジ孔33aを形成した座部33が設けられている。この座部33に対応する位置に、前記端子箱外枠31の内側四隅に張り出した座部34が設けられ、座部33のネジ孔33aに対応して座部34のネジ孔34aが設けられている。前記台座部30はネジ孔33aを前記端子箱外枠31の座部34のネジ孔34aに合わせてネジ35で互いに締結されている。前記台座部30には、1箇所の座部33の側に保護接地端子36が取り付けられている。前記端子箱外枠31の四隅には、それぞれ肉厚部37にネジ孔37aが螺刻されており、このネジ孔37aに前記蓋体32が螺着されている。該蓋体32には、四隅にネジ孔38aが形成されており、このネジ孔38aに挿通されたネジ39が前記端子箱外枠31のネジ孔37aに螺着されている。
【0011】
前記基板41には、板面の一側に沿って端子台40が設けられており、端子台40には、ケーブルを接続するケーブル端子42が複数個(図示例では3箇)設けられている。このケーブル端子42は、基板41の裏側に下端部が突出して設けられており、基板41の裏側では、前記モータケース11内から引き出された内部リード線16aがケーブル端子42に接続されている。前記基板41は、四角形の基板の四隅を切り欠いて形成されており、この基板41の3箇所の切欠部41aの側には、取付部としてネジ孔が形成され、これらネジ孔にネジ43が挿通されて前記台座部30に螺着されている。該基板41の一箇所の切欠部41bは、前記台座部30に装着される保護接地端子36の取付位置を避けるように大きく切欠いて形成されている。前記基板41の形状は、基板41の前後の向きを反転、すなわち、180°回転させたとき、点対称になるように形成されており、前記端子台40の位置も同様に点対称になるように取り付けられている。前記端子台40は、前記端子箱外枠31の一側面に沿って基板41の端部に組みつけられており、基板41を反転させて、180°回転させたとき、端子台40は、反対側に位置を変えるように点対称に取り付けられている。
【0012】
前記端子箱外枠31の一側面には、図示しない開口孔にケーブル引き出し口44が設けられており、このケーブル引き出し口44を通して外部ケーブル50が前記端子台40のケーブル端子42に接続されている。該ケーブル引き出し口44は、パイプ45の外面にネジを切り、このネジに2個のナット46,47を螺合してパイプ45を前記端子箱外枠31の壁面31aに両側から挟持するように固定されている。
【0013】
上記モータ用端子箱の組付け手順を説明する。
モータ用端子箱3は、モータハウジング10の外周面に装着された台座部30と、この台座部30に組み付けられた端子箱外枠31と、この端子箱外枠31に組み付けられた蓋体32とがそれぞれネジ止めによって組み立てられている。モータケース11から引き出された内部リード線16aは、モータ用端子箱3の内部の端子台40のケーブル端子42に基板41の下面側で接続されている。
【0014】
そして、モータ1の設置に際して電源あるいは信号を送る外部ケーブル50を接続する場合、モータ用端子箱3の蓋体32を外して、端子箱外枠31のケーブル引き出し口44と外部ケーブル50の引き出し方向から端子箱外枠31の向きを決定する。図6(a)(b)(c)は、端子箱外枠31の向きを四分の一回転ずつ、すなわち、90°ずつ変えたもので、図6(a)は、回転軸(出力軸)14の左側にケーブル引き出し口44を配置したものである。図6(b)は、回転軸(出力軸)14の反対側にケーブル引き出し口44を配置したものである。図6(c)は、回転軸14出力側の右側にケーブル引き出し口44を配置したものである。この場合、端子台40はいずれも回転軸14の出力側に近い方に配置されている。
【0015】
端子箱外枠31の向きによって、端子台40の位置を変えるように基板41の前後の向きを反転、すなわち、180°回転させる。図1、図2および図4、図5は、回転軸(出力軸)14の反対側にケーブル引き出し口44を配置した状態(図1および図2参照)から、回転軸(出力軸)14の方向にケーブル引き出し口44を変えた状態(図4および図5参照)を示したものである。
基板41の形状および取付位置は、基板41の前後の向きを反転、すなわち、180°回転させたとき、点対称になるように形成されているので、半回転させることにより、端子台40の位置がケーブル引き出し口44から遠くに移動する。こうして、外部ケーブル50を端子台40のケーブル端子42に容易に接続することができる。
【0016】
図7は本発明の他の実施の形態で、図1および図2と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この場合、ケーブル引き出し口44は、端子箱外枠31の片側に一箇所、反対側の面に二箇所設けたもので、それぞれナット47の周囲をリブ51で補強している。一箇所のケーブル引き出し口44には、補強するリブ51がナット47の両側に設けられている。また、反対側の面には、ナット47を挟んで交互に3箇所のリブ51が設けられて、二箇所のケーブル引き出し口44をそれぞれ3箇所のリブ51で補強している。
【0017】
図8および図9は、本発明の他の実施の形態で、図1および図2と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
図8の場合、端子箱外枠31を上下2段に構成し、ケーブル引き出し口44をそれぞれ異なる方向に向けて配置している。そして、大型の回路あるいはコンデンサ等の部品70を収納することができる。
図9の場合、高さのある端子箱外枠31´を用いることにより、大型の回路あるいはコンデンサ等の部品70を収納することができる。
【0018】
上記の実施の形態によれば、ケーブル引き出し口44から端子台40までの距離を長くとることができるので、配線作業が容易である。蓋体32のみを外して容易に結線後の状態を確認することができる。ケーブル引き出し口44を1つまたは2つとする選択を行なうことができるので、任意の方向にケーブルを引き出すことができる。また、シールコネクタなどの固定が容易である。さらに、端子箱の大きさを変更することができるので、大型の部品も搭載することができる。
また、4箇所の基板41の固定部のうち、1箇所を保護接地端子接続部として使用しているため、基板41の取り付け方向を180°回転した場合においても保護接地端子接続部を確保できる。
【0019】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、基板41に設けられた端子台40の位置は、できるだけ基板41の端部に設置することにより、ケーブル引き出し口44からの距離を大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態によるモータ用端子箱を示す部分断面図である。
【図2】図1の蓋体を外して示す平面図である。
【図3】モータ用端子箱を分解して示す斜視図である。
【図4】端子箱外枠と基板の向きを反転、すなわち180°回転させた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4の蓋体を外して示す平面図である。
【図6】(a)(b)(c)は端子箱外枠の向きを四分の一回転、すなわち90°ずつ変えた状態を示す平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態によるモータ用端子箱を示す平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態によるモータ用端子箱を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施の形態によるモータ用端子箱を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 モータ
2 モータ本体
3 モータ用端子箱
10 モータハウジング
11 モータケース
14 回転軸(出力軸)
16 固定子巻線
16a 内部リード線
17 孔
30 台座部
31 端子箱外枠
32 蓋体
36 保護接地端子
40 端子台
41 基板
42 ケーブル端子
44 ケーブル引き出し口
50 外部ケーブル
51 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータハウジング外周面に取り付けられるとともに、モータ本体から引き出された内部リード線と、外部から引き込まれた外部ケーブルとを接続する端子台を内蔵したモータ用端子箱において、前記端子箱を、前記モータハウジング外周面に装着された台座部と、この台座部に着脱自在に組み付けられるとともに、ケーブル引き出し口を設けた端子箱外枠と、この端子箱外枠に組み付けられ、内部を密閉する蓋体とで構成し、前記台座部に、前記端子台を装着した基板を着脱自在に組付け、この基板の前後の向きを反転可能に、前記台座部に対する該基板の取付部を点対称に形成したことを特徴とするモータ用端子箱。
【請求項2】
前記モータ本体から引き出された内部リード線を、前記基板の端子台を配置する面と逆の面で前記端子台の端子に電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載のモータ用端子箱。
【請求項3】
前記基板の前後を反転させたとき、点対称になるように前記端子台を前記基板の一辺に沿って設けたことを特徴とする請求項1に記載のモータ用端子箱。
【請求項4】
前記端子箱を正方形に形成し、該端子箱の外枠にケーブル引き出し口を設けるとともに、前記端子箱の外枠を四分の一回転ずつ回転可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のモータ用端子箱。
【請求項5】
前記端子箱の外枠にケーブル引き出し口を固定できるように、前記端子箱の外枠の内面にケーブル引き出し口の両側に対応してリブを設けたことを特徴とする請求項1に記載のモータ用端子箱。
【請求項6】
前記端子箱の外枠の一面に1つのケーブル引き出し口を固定できるように、前記端子箱の外枠の内面にケーブル引き出し口の両側に対応して2つのリブを設け、その向かい側の外枠の内面に2つのケーブル引き出し口を固定できるように、ケーブル引き出し口に対応して3つのリブを設けたことを特徴とする請求項1に記載のモータ用端子箱。
【請求項7】
前記基板を前記台座部に基板固定用ネジを介してネジ止めするとともに、該基板固定用ネジのうちの1つが保護接地端子の機能を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のモータ用端子箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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