説明

モール取付構造

【課題】車両構成部材に対し大型のモールを確実に取り付けることができ、車両のデザイン性を高めて外観向上に役立つモール取付構造を提供する。
【解決手段】モールリテーナ8のアーム状保持部8bをウインドシールドモール4内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、モールリテーナ8のプレート状保持部8cをウインドシールドモール4内面の他端側縁部に係合させ、ベースリテーナ16のクリップ片16bを車両構成部材としてのルーフパネル2に嵌着し、該車両構成部材としてのルーフパネル2にクリップ片16bを嵌着したベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し、モールリテーナ8の係止孔8dを嵌合させるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の前部には、図10に示される如く、ドライバの視界を確保しつつ車室内と外部とを仕切るフロントウインドシールドガラス1が設けられているが、従来の場合、図11に示される如く、ルーフパネル2の前端縁部に、内面側へ折り曲げられる縦壁部2aと、該縦壁部2aの先端側から前方へ延出される接着片部2bとを形成し、該ルーフパネル2の接着片部2bに、前記フロントウインドシールドガラス1の上端縁部を接着剤3で接着し、該フロントウインドシールドガラス1の上端縁部外表面をウインドシールドモール4で覆うようにしている。
【0003】
尚、前記ルーフパネル2の接着片部2bとフロントウインドシールドガラス1の上端縁部との間には、前記接着剤3がフロントウインドシールドガラス1の内面側へ漏洩することを堰き止めるダム5が設けられており、又、前記ルーフパネル2の前部内面側には、箱断面を形成してルーフパネル2を補強するフロントルーフパネルリインフォースメント6が設けられ、その車室内側は内装天井材7によって覆われている。
【0004】
尚、図11に示されるようなウインドシールドモールを取り付けるための構造と関連する一般的技術水準を開示するものとしては、例えば、特許文献1、2がある。
【特許文献1】特開平1−182117号公報
【特許文献2】特開平1−204820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図11に示されるような従来のウインドシールドモール4は比較的小型であるため、その取り付けに関しては、フロントウインドシールドガラス1の上端縁部に接着する等すれば何ら問題はなかったが、最近、車両の外観意匠が特に重要視されてきており、ウインドシールドモール4を大型化してデザイン性を高めることが提案されている。
【0006】
しかしながら、前述の如く、ウインドシールドモール4を大型化した場合、それをフロントウインドシールドガラス1の上端縁部に単に接着するだけでは充分な保持力が得られないことから、車両構成部材としてのルーフパネル2並びにフロントウインドシールドガラス1に対し大型のウインドシールドモール4を確実に取り付けることのできる構造の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、車両構成部材に対し大型のモールを確実に取り付けることができ、車両のデザイン性を高めて外観向上に役立つモール取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、モールを車両構成部材に取り付けるためのモール取付構造であって、
モールリテーナ本体の一端側に、モール内面の一端側縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部が形成されると共に、モールリテーナ本体の他端側に、モール内面の他端側縁部に対し係合可能なプレート状保持部が形成され、且つモールリテーナ本体に係止孔が穿設されたモールリテーナと、
該モールリテーナの係止孔に嵌合可能なベースリテーナ本体から車両構成部材に嵌着されるクリップ片が突設されたベースリテーナとを備え、
前記モールリテーナのアーム状保持部をモール内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記モールリテーナのプレート状保持部をモール内面の他端側縁部に係合させ、
前記ベースリテーナのクリップ片を車両構成部材に嵌着し、
該車両構成部材にクリップ片を嵌着したベースリテーナのベースリテーナ本体に対し、前記モールリテーナの係止孔を嵌合させるよう構成したことを特徴とするモール取付構造にかかるものである。
【0009】
又、本発明は、モールを車両構成部材に取り付けるためのモール取付構造であって、
モールリテーナ本体の一端側に、モール内面の一端側縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部が形成されると共に、モールリテーナ本体の他端側に、モール内面の他端側縁部に対し係合可能なプレート状保持部が形成され、且つモールリテーナ本体の他端側における幅方向両端に、車両構成部材の縁部に対し弾接係合可能な張出保持部が形成されたモールリテーナを備え、
該モールリテーナのアーム状保持部をモール内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記モールリテーナのプレート状保持部をモール内面の他端側縁部に係合させ、
前記モールリテーナの張出保持部を車両構成部材の縁部に弾接係合させるよう構成したことを特徴とするモール取付構造にかかるものである。
【0010】
更に又、本発明は、モールを車両構成部材に取り付けるためのモール取付構造であって、
モールリテーナ本体の一端側に、モール内面の一端側縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部が形成されると共に、モールリテーナ本体の他端側に、モール内面の他端側縁部に対し係合可能なプレート状保持部が形成され、且つモールリテーナ本体に、車両構成部材に対し嵌着されるクリップ片が突設されたモールリテーナを備え、
該モールリテーナのアーム状保持部をモール内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記モールリテーナのプレート状保持部をモール内面の他端側縁部に係合させ、
前記モールリテーナのクリップ片を車両構成部材に嵌着するよう構成したことを特徴とするモール取付構造にかかるものである。
【0011】
前述の如く構成すると、モールを大型化した場合にも、該モールを車両構成部材に対し、取付部位を外から全く見せずに、且つ充分な保持力をもって、確実に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のモール取付構造によれば、車両構成部材に対し大型のモールを確実に取り付けることができ、車両のデザイン性を高めて外観向上に役立つという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜図9は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図10及び図11と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、車両構成部材としてのルーフパネル2並びにフロントウインドシールドガラス1に対し大型のウインドシールドモール4を、複数のモールリテーナ8,9,10,11によって取り付けるようにしたものである。
【0015】
前記ウインドシールドモール4は、車両の幅方向へ延びる薄肉の帯板状の部材を、図2に示す如く、その断面が緩やかな湾曲形状となり且つ上下端部が内面側へそれぞれU字状に折り返されるよう、成形してなり、該U字状に折り返された部分にはそれぞれ、フロントウインドシールドガラス1表面に密着するフロントシール12と、縦壁部2aに密着するリアシール13とを接着し、前記ウインドシールドモール4の内面側に、図1に示す如く、四種類のモールリテーナ8,9,10,11を、車両の幅方向へ所要間隔をあけ且つ車両のセンターラインを基準として左右対称となるよう配置してある。
【0016】
前記ルーフパネル2の縦壁部2aと接着片部2bとの間には、図2に示す如く、ウインドシールドモール4を固定するためのモール取付平面部2cを形成し、該モール取付平面部2cは、前記湾曲させたウインドシールドモール4の上部と略平行に配設すると共に、該モール取付平面部2cの前記車両の幅方向における所要箇所には、後述するベースリテーナ16のクリップ片16bを嵌め込み可能な嵌合孔14を穿設してある。尚、前記モール取付平面部2cをルーフパネル2の縦壁部2aと接着片部2bとの間に形成したことに伴って、フロントルーフパネルリインフォースメント6の対応箇所にも、モール取付平面部2cに倣う平面部6cを形成すると共に、該平面部6cに嵌合孔15を穿設してある。
【0017】
先ず、前記ウインドシールドモール4の幅端部に配置される第一のモールリテーナ8は、図2及び図3に示す如く、モールリテーナ本体8aの一端側(上端側)に、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部8bを形成すると共に、モールリテーナ本体8aの他端側(下端側)に、ウインドシールドモール4内面の他端側(下端側)縁部に対し係合可能なプレート状保持部8cを形成し、且つモールリテーナ本体8aに係止孔8dを穿設してなる構成を有している。そして、前記第一のモールリテーナ8のアーム状保持部8bをウインドシールドモール4内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記第一のモールリテーナ8のプレート状保持部8cをウインドシールドモール4内面の他端側縁部に係合させる一方、前記ルーフパネル2のモール取付平面部2c及びフロントルーフパネルリインフォースメント6の平面部6cに穿設された嵌合孔14,15には、ベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aから突設されたクリップ片16bを嵌着し、該ベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し、前記第一のモールリテーナ8の係止孔8dを嵌合させ、これにより、ウインドシールドモール4の幅端部を車両構成部材としてのルーフパネル2に取り付けるよう構成してある。尚、前記第一のモールリテーナ8のアーム状保持部8bを、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能としたことにより、ウインドシールドモール4に対する第一のモールリテーナ8の組み付けを容易に行えると共に、ウインドシールドモール4や第一のモールリテーナ8の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。
【0018】
ここで、前記第一のモールリテーナ8並びにベースリテーナ16は、基本的に合成樹脂で形成してあるが、前記第一のモールリテーナ8のプレート状保持部8cは、ウインドシールドモール4の幅端部における厚さの薄くなるスペース内に配置する関係上、厚みを取らなくても必要充分な強度を確保するために、ステンレス鋼等の金属薄板で形成し、該プレート状保持部8cの下端部には、切込みを入れた箇所を折り曲げてなる折曲片8eを形成し、該折曲片8eがウインドシールドモール4のU字状に折り返された他端側縁部に係合するようにしてある。
【0019】
又、前記第一のモールリテーナ8のモールリテーナ本体8aにおける一対のアーム状保持部8b間には、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し係合可能な爪状保持部8fを形成してある。
【0020】
更に又、前記第一のモールリテーナ8の係止孔8dのプレート状保持部8c側内壁面には、係止片8gを形成すると共に、前記第一のモールリテーナ8の係止孔8dのアーム状保持部8b側内壁面には、係止片8hと抜止片8iとを形成してある。
【0021】
一方、前記ベースリテーナ16は、図2及び図3に示す如く、ルーフパネル2のモール取付平面部2c及びフロントルーフパネルリインフォースメント6の平面部6cに穿設された嵌合孔14,15にクリップ片16bを嵌め込んでスクリュー17をねじ込むことにより、ルーフパネル2に対して嵌合固着し、ベースリテーナ本体16aの立上壁16cには、前記係止片8gと係合する突片16dを形成すると共に、前記係止孔8dをベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し嵌合させる際に弾性変形可能となるようその幅方向両側へ張り出させた張出壁16eには、前記係止片8hと係合する突片16fを形成してある。尚、前記係止片8g,8h並びに突片16d,16fは、前記係止孔8dをベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し嵌合させる際に互いに摺動する面をテーパ状に形成し、組み付けが容易に行えるようにしてある。又、前記ベースリテーナ16の張出壁16eを弾性変形可能としたことにより、モールリテーナ本体8aのベースリテーナ本体16aに対する組み付けを容易に行えると共に、第一のモールリテーナ8やベースリテーナ16の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。
【0022】
続いて、前記ウインドシールドモール4の第一のモールリテーナ8の隣に配置される第二のモールリテーナ9は、図4及び図5に示す如く、モールリテーナ本体9aの一端側(上端側)に、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部9bを形成すると共に、モールリテーナ本体9aの他端側(下端側)に、ウインドシールドモール4内面の他端側(下端側)縁部に対し係合可能なプレート状保持部9cを形成し、且つモールリテーナ本体9aに係止孔9dを穿設してなる構成を有している。そして、前記第二のモールリテーナ9のアーム状保持部9bをウインドシールドモール4内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記第二のモールリテーナ9のプレート状保持部9cをウインドシールドモール4内面の他端側縁部に係合させる一方、前記ルーフパネル2のモール取付平面部2c及びフロントルーフパネルリインフォースメント6の平面部6cに穿設された嵌合孔14,15には、ベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aから突設されたクリップ片16bを嵌着し、該ベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し、前記第二のモールリテーナ9の係止孔9dを嵌合させ、これにより、ウインドシールドモール4の幅端部より車両のセンターライン寄りの部分を車両構成部材としてのルーフパネル2に取り付けるよう構成してある。尚、前記第二のモールリテーナ9のアーム状保持部9bを、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能としたことにより、ウインドシールドモール4に対する第二のモールリテーナ9の組み付けを容易に行えると共に、ウインドシールドモール4や第二のモールリテーナ9の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。
【0023】
ここで、前記第二のモールリテーナ9並びにベースリテーナ16は、基本的に合成樹脂で形成してあり、該第二のモールリテーナ9のプレート状保持部9cの下端部内面側には、係止片9eを一体に形成し、該係止片9eがウインドシールドモール4のU字状に折り返された他端側縁部に係合するようにしてある。尚、前記第二のモールリテーナ9のプレート状保持部9cを、前記第一のモールリテーナ8のプレート状保持部8cと同様に、ステンレス鋼等の金属薄板で形成しても良く、又、逆に、スペース的な制約がない場合には、前記第一のモールリテーナ8のプレート状保持部8cを、第二のモールリテーナ9のプレート状保持部9cと同様に合成樹脂で一体に形成しても良い。
【0024】
又、前記第二のモールリテーナ9のモールリテーナ本体9aにおける一対のアーム状保持部9b間には、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し係合可能な爪状保持部9fを形成してある。
【0025】
更に又、前記第二のモールリテーナ9の係止孔9dのプレート状保持部9c側内壁面には、係止片9gを形成すると共に、前記第二のモールリテーナ9の係止孔9dのアーム状保持部9b側内壁面には、係止片9hと抜止片9iとを形成してある。
【0026】
一方、前記ベースリテーナ16は、図2及び図3に示すものと全く同様の構成を有しており、図4及び図5に示す如く、ルーフパネル2のモール取付平面部2c及びフロントルーフパネルリインフォースメント6の平面部6cに穿設された嵌合孔14,15にクリップ片16bを嵌め込んでスクリュー17をねじ込むことにより、ルーフパネル2に対して嵌合固着し、ベースリテーナ本体16aの立上壁16cには、前記係止片9gと係合する突片16dを形成すると共に、前記係止孔9dをベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し嵌合させる際に弾性変形可能となるようその幅方向両側へ張り出させた張出壁16eには、前記係止片9hと係合する突片16fを形成してある。尚、前記係止片9g,9h並びに突片16d,16fは、前記係止孔9dをベースリテーナ16のベースリテーナ本体16aに対し嵌合させる際に互いに摺動する面をテーパ状に形成し、組み付けが容易に行えるようにしてある。又、前記ベースリテーナ16の張出壁16eを弾性変形可能としたことにより、モールリテーナ本体9aのベースリテーナ本体16aに対する組み付けを容易に行えると共に、第二のモールリテーナ9やベースリテーナ16の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。
【0027】
次に、前記ウインドシールドモール4の第二のモールリテーナ9より車両のセンターライン寄りの部分に配置される第三のモールリテーナ10は、図6及び図7に示す如く、モールリテーナ本体10aの一端側(上端側)に、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部10bを形成すると共に、モールリテーナ本体10aの他端側(下端側)に、ウインドシールドモール4内面の他端側(下端側)縁部に対し係合可能なプレート状保持部10cを形成し、且つモールリテーナ本体10aの他端側における幅方向両端に、車両構成部材としてのフロントウインドシールドガラス1の上端縁部に対し弾接係合可能な張出保持部10jを形成し、該張出保持部10jの先端部に、前記フロントウインドシールドガラス1の上端内面側縁部と係合する係止片10kを形成してなる構成を有している。そして、前記第三のモールリテーナ10のアーム状保持部10bをウインドシールドモール4内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記第三のモールリテーナ10のプレート状保持部10cをウインドシールドモール4内面の他端側縁部に係合させる一方、前記第三のモールリテーナ10の張出保持部10jを前記車両構成部材としてのフロントウインドシールドガラス1の上端縁部に対し弾接係合させ、且つ該張出保持部10jの先端部の係止片10kを前記フロントウインドシールドガラス1の上端内面側縁部と係合させ、これにより、ウインドシールドモール4の第二のモールリテーナ9より車両のセンターライン寄りの部分を車両構成部材としてのフロントウインドシールドガラス1に取り付けるよう構成してある。尚、前記第三のモールリテーナ10のアーム状保持部10bを、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能としたことにより、ウインドシールドモール4に対する第三のモールリテーナ10の組み付けを容易に行えると共に、ウインドシールドモール4や第三のモールリテーナ10の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。又、前記第三のモールリテーナ10の張出保持部10jを、フロントウインドシールドガラス1の上端縁部に対し弾接係合可能としたことにより、フロントウインドシールドガラス1に対する第三のモールリテーナ10の位置決め並びにがたつき防止を確実に行えると共に、フロントウインドシールドガラス1や第三のモールリテーナ10の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。
【0028】
ここで、前記第三のモールリテーナ10は、前記第二のモールリテーナ9やベースリテーナ16と同様に合成樹脂で形成してあり、該第三のモールリテーナ10のプレート状保持部10cの下端部内面側には、係止片10eを一体に形成し、該係止片10eがウインドシールドモール4のU字状に折り返された他端側縁部に係合するようにしてある。
【0029】
又、前記第三のモールリテーナ10のモールリテーナ本体10aにおける一対のアーム状保持部10b間には、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し係合可能な爪状保持部10fを形成してある。
【0030】
続いて、前記ウインドシールドモール4の第三のモールリテーナ10より車両のセンターライン寄りの部分に配置される第四のモールリテーナ11は、図8及び図9に示す如く、モールリテーナ本体11aの一端側(上端側)に、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部11bを形成すると共に、モールリテーナ本体11aの他端側(下端側)に、ウインドシールドモール4内面の他端側(下端側)縁部に対し係合可能なプレート状保持部11cを形成し、且つモールリテーナ本体11aの内面側に、車両構成部材としてのルーフパネル2に対し嵌着されるクリップ片11mを突設してなる構成を有している。そして、前記第四のモールリテーナ11のアーム状保持部11bをウインドシールドモール4内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記第四のモールリテーナ11のプレート状保持部11cをウインドシールドモール4内面の他端側縁部に係合させる一方、前記ルーフパネル2のモール取付平面部2c上に、金属板を凸形に折り曲げ加工したベースブラケット18をスポット溶接等により固着し、該ベースブラケット18に穿設された嵌合孔19に、前記第四のモールリテーナ11のモールリテーナ本体11aから突設されたクリップ片11mを嵌着し、これにより、ウインドシールドモール4の第三のモールリテーナ10より車両のセンターライン寄りの部分を車両構成部材としてのルーフパネル2に取り付けるよう構成してある。尚、前記第四のモールリテーナ11のアーム状保持部11bを、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し弾接係合可能としたことにより、ウインドシールドモール4に対する第四のモールリテーナ11の組み付けを容易に行えると共に、ウインドシールドモール4や第四のモールリテーナ11の寸法誤差等のばらつき吸収を行えるようにしてある。
【0031】
ここで、前記第四のモールリテーナ11は、前記第二のモールリテーナ9やベースリテーナ16と同様に合成樹脂で形成してあり、該第四のモールリテーナ11のプレート状保持部11cの下端部内面側には、係止片11eを一体に形成し、該係止片11eがウインドシールドモール4のU字状に折り返された他端側縁部に係合するようにしてある。
【0032】
又、前記第四のモールリテーナ11のモールリテーナ本体11aにおける一対のアーム状保持部11b間には、ウインドシールドモール4内面の一端側(上端側)縁部に対し係合可能な爪状保持部11fを形成してある。
【0033】
前述の如く構成すると、ウインドシールドモール4を大型化した場合にも、該ウインドシールドモール4を車両構成部材としてのルーフパネル2並びにフロントウインドシールドガラス1に対し、取付部位を外から全く見せずに、且つ充分な保持力をもって、確実に取り付けることが可能となる。
【0034】
尚、図2及び図3に示す第一のモールリテーナ8、図4及び図5に示す第二のモールリテーナ9、図8及び図9に示す第四のモールリテーナ11にそれぞれ、図6及び図7に示す第三のモールリテーナ10における張出保持部10jを形成することにより、フロントウインドシールドガラス1に対する取り付けの機能を付加したり、或いは、前記第三のモールリテーナ10に、前記第一のモールリテーナ8や第二のモールリテーナ9と同様のベースリテーナ16に対する係止孔8d,9dを穿設することにより、ベースリテーナ16を介したルーフパネル2に対する取り付けの機能を付加しても良いことは言うまでもない。又、前記第三のモールリテーナ10に、前記第四のモールリテーナ11と同様のクリップ片11mを形成することにより、ベースブラケット18を介したルーフパネル2に対する取り付けの機能を付加しても良いことは言うまでもない。
【0035】
こうして、車両構成部材としてのルーフパネル2並びにフロントウインドシールドガラス1に対し大型のウインドシールドモール4を確実に取り付けることができ、車両のデザイン性を高めて外観向上に役立つこととなる。
【0036】
尚、本発明のモール取付構造は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、外装品としてのモールであれば、ルーフパネルに取り付けられるウインドシールドモール以外にも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す正面図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例における第一のモールリテーナ及びベースリテーナを示す側断面図であって、図1のII−II断面相当図である。
【図3】本発明を実施する形態の一例における第一のモールリテーナ及びベースリテーナを示す分解斜視図である。
【図4】本発明を実施する形態の一例における第二のモールリテーナ及びベースリテーナを示す側断面図であって、図1のIV−IV断面相当図である。
【図5】本発明を実施する形態の一例における第二のモールリテーナ及びベースリテーナを示す分解斜視図である。
【図6】本発明を実施する形態の一例における第三のモールリテーナを示す側断面図であって、図1のVI−VI断面相当図である。
【図7】本発明を実施する形態の一例における第三のモールリテーナを示す斜視図である。
【図8】本発明を実施する形態の一例における第四のモールリテーナ及びベースブラケットを示す側断面図であって、図1のVIII−VIII断面相当図である。
【図9】本発明を実施する形態の一例における第四のモールリテーナ及びベースブラケットを示す分解斜視図である。
【図10】車両の一例を示す斜視図である。
【図11】従来例を示す側断面図であって、図10のXI−XI断面相当図である。
【符号の説明】
【0038】
1 フロントウインドシールドガラス(車両構成部材)
2 ルーフパネル(車両構成部材)
2c モール取付平面部
4 ウインドシールドモール(モール)
8 第一のモールリテーナ(モールリテーナ)
8a モールリテーナ本体
8b アーム状保持部
8c プレート状保持部
8d 係止孔
9 第二のモールリテーナ(モールリテーナ)
9a モールリテーナ本体
9b アーム状保持部
9c プレート状保持部
9d 係止孔
10 第三のモールリテーナ(モールリテーナ)
10a モールリテーナ本体
10b アーム状保持部
10c プレート状保持部
10j 張出保持部
11 第四のモールリテーナ(モールリテーナ)
11a モールリテーナ本体
11b アーム状保持部
11c プレート状保持部
11m クリップ片
14 嵌合孔
15 嵌合孔
16 ベースリテーナ
16a ベースリテーナ本体
16b クリップ片
18 ベースブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールを車両構成部材に取り付けるためのモール取付構造であって、
モールリテーナ本体の一端側に、モール内面の一端側縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部が形成されると共に、モールリテーナ本体の他端側に、モール内面の他端側縁部に対し係合可能なプレート状保持部が形成され、且つモールリテーナ本体に係止孔が穿設されたモールリテーナと、
該モールリテーナの係止孔に嵌合可能なベースリテーナ本体から車両構成部材に嵌着されるクリップ片が突設されたベースリテーナとを備え、
前記モールリテーナのアーム状保持部をモール内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記モールリテーナのプレート状保持部をモール内面の他端側縁部に係合させ、
前記ベースリテーナのクリップ片を車両構成部材に嵌着し、
該車両構成部材にクリップ片を嵌着したベースリテーナのベースリテーナ本体に対し、前記モールリテーナの係止孔を嵌合させるよう構成したことを特徴とするモール取付構造。
【請求項2】
モールを車両構成部材に取り付けるためのモール取付構造であって、
モールリテーナ本体の一端側に、モール内面の一端側縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部が形成されると共に、モールリテーナ本体の他端側に、モール内面の他端側縁部に対し係合可能なプレート状保持部が形成され、且つモールリテーナ本体の他端側における幅方向両端に、車両構成部材の縁部に対し弾接係合可能な張出保持部が形成されたモールリテーナを備え、
該モールリテーナのアーム状保持部をモール内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記モールリテーナのプレート状保持部をモール内面の他端側縁部に係合させ、
前記モールリテーナの張出保持部を車両構成部材の縁部に弾接係合させるよう構成したことを特徴とするモール取付構造。
【請求項3】
モールを車両構成部材に取り付けるためのモール取付構造であって、
モールリテーナ本体の一端側に、モール内面の一端側縁部に対し弾接係合可能な一対のアーム状保持部が形成されると共に、モールリテーナ本体の他端側に、モール内面の他端側縁部に対し係合可能なプレート状保持部が形成され、且つモールリテーナ本体に、車両構成部材に対し嵌着されるクリップ片が突設されたモールリテーナを備え、
該モールリテーナのアーム状保持部をモール内面の一端側縁部に弾接係合させると共に、前記モールリテーナのプレート状保持部をモール内面の他端側縁部に係合させ、
前記モールリテーナのクリップ片を車両構成部材に嵌着するよう構成したことを特徴とするモール取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−168655(P2007−168655A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370390(P2005−370390)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)