説明

ユーザにメニューオプションを選択することを可能にする方法及び電子装置

ユーザにメニューオプションを選択することを可能にする方法であり、この方法は、ユーザにスクリーン上のある位置21を選択することを可能にするステップ、前記スクリーン上の前記選択した位置21の近くに複数のメニューオプション識別子23、25を表示するステップ、複数の選択領域27、29を規定するステップ、及び前記メニューオプションを選択するために、前記ユーザに前記選択領域27、29の特定の領域を選択することを可能にするステップ、を有する。各選択領域27、29は、前記メニューオプション識別子23、25の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子23、25の前記特定の識別子と前記スクリーン上の前記選択した位置21との間の距離に比例する大きさを持っている。前記方法は、コンピュータプログラムプロダクトにより可能となる電子装置により行われることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにメニューオプションを選択することを可能にする装置に関する。
【0002】
本発明は、ユーザにメニューオプションを選択することを可能にする方法にも関する。
【0003】
本発明はさらに、プログラム可能な装置がユーザにメニューオプションを選択することを可能にする方法を実行することを可能にするためのソフトウェアを有するコンピュータプログラムプロダクトにも関する。
【背景技術】
【0004】
このような方法の実施例はMicrosoft Windiws XP(登録商標)から知られている。この知られた方法は、例えばユーザにスクリーン上のある位置にカーソルを移動させることを可能にして、ボタンをクリックすることによるか、又はボタンを保持している間、前記スクリーン上の位置に触れていることにより、ユーザにスクリーン上の位置を選択することを可能して、前記スクリーン上の前記選択した位置の近くにドロップダウン、ポップアップの文脈メニューを表示する。この既知の方法の欠点は、前記ドロップダウンメニューからメニューオプションを選択するには、例えばマウス又はペンのような入力装置の比較的正確な移動を必要とする。ユーザは、このような正確な移動が達成するのは難しいことが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、冒頭の段落に記載される形式の電子装置を提供することであり、この装置は、ユーザに入力装置をそれ程正確に移動させずにメニューオプションを選択することを可能にする。
【0006】
本発明の第2の目的は、冒頭の段落に記載される形式の方法を提供することであり、この方法は、ユーザに入力装置をそれ程正確に移動させずにメニューオプションを選択することを可能にする。
【0007】
本発明によれば、前記第1の目的は、ユーザにスクリーン上のある位置を選択することを可能にする、前記スクリーン上の前記選択した位置の近くに複数のメニューオプション識別子を表示する、複数の選択領域を規定し、各選択領域は、前記メニューオプション識別子の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子の前記特定の識別子と前記スクリーン上の前記選択した位置との間の距離に比例する大きさを持っている、及び前記選択領域の特定の領域に対応するメニューオプションを選択するために、前記ユーザに前記選択領域の特定の領域を選択することを可能にするように電子回路が構成されることで達成される。本発明は、前記メニューオプションを選択するためにさらに大きい移動が必要とされるとき、メニューオプションの選択はさらに難しくなることが理解されている。選択領域の大きさを前記必要な移動に比例させることにより、ユーザは1つの長い移動の代わりに、幾つかの短い移動のシーケンスを実行する必要はあまりなく、さらにユーザが誤って前記選択領域外に移動させ、誤ってメニューが消えてしまうこともあまりない。本発明は、正確な対話に問題のある人々、例えば高齢者及び幼児にとって特に有益である。必要とされていなくとも、ユーザの選択を容易にするために、前記選択領域がスクリーン上に示されることができる。
【0008】
スクリーン上の選択した位置に対し、メニューオプション識別子が表示される方向は好ましくは、その位置がスクリーンの縁に近いかに依存している。その位置がスクリーンの縁に近い場合、前記方向は好ましくはスクリーンの中心に向けられるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子装置の実施例において、複数の選択領域は、前記選択した位置の周りに入れ子状(nested)の外形を形成する。これら入れ子状の外形は、例えばユーザが最も簡単に移動することが可能な方向のように、複数の方向の何れかに入力装置を移動させることにより、ユーザにメニューオプションを選択することを可能にする。
【0010】
前記外形は円でもよい。この形状は、ユーザが移動することが可能な方向の多くに前記選択領域が十分な厚さを持つことを保証する。その上、通常のポップアップメニューを用いて、前記スクリーンの縁の周りに位置決めすることが望まない効果を引き起こす。プルダウンメニューがスクリーンの下で開いた場合、このメニューは、他の方向(上)に開く。入れ子状の円形メニューは、このフリッピング動作はない。これらメニューは本来、より組織的である、すなわちメニューが利用可能なスクリーン上の空間に展開することが可能な縁にある。この動作はユーザが予想する何かであり、通常のポップアップ動作と比較する場合、それはより直観的に感じる。
【0011】
電子回路は、指、ペン又はポインタを前記選択した位置から前記入れ子状の円を越えてドラッグすることにより、ユーザに前記選択領域の特定の領域を選択することを可能にするように構成される。他のボタンをクリックすることにより、ユーザに前記選択領域の特定の領域を選択することを可能にすることが可能であったとしても、ドラッグすることがより直観的であると考えられる。ユーザが自分の指、ペン又はポインタをドラッグしている間、スクリーン上にハイライトが表示されてもよい。開放したとき、前記選択領域及び故に対応するオプションが選択される。
【0012】
前記スクリーンは、タッチ式スクリーンであってもよい。タッチ式スクリーンが使用される場合、正確な移動は特に難しい。
【0013】
前記電子回路は、指又はペンの角度に依存して、各メニューオプション識別子を表示すための場所を決めるように構成されてもよい。(例えば右利きのユーザに対し)前記角度がおよそ45°である場合、ペン又は指を左に動かすことがしばしば容易である。(例えば左利きのユーザに対し)前記角度がおよそ135°である場合、ペン又は指を右に動かすことがしばしば容易である。この角度は、入力装置が左利き若しくは右利き用の入力装置であるかを判断することにより推測されるか、又はそれ自体を構成されているかである。
【0014】
前記電子回路は、ユーザがスクリーン上の位置を選択する前に、指又はペンの移動に依存して各メニューオプション識別子を表示するための場所を決めるように構成されてもよい。スクリーン上の位置を選択する前に、ユーザが指又はペンをある方向に動かす場合、第1の移動とは反対の第2の移動を行うことよりも、この移動を終了させるほうがしばしば容易である。この移動は、センサ、例えば光又はCCDセンサを用いて検出されることが可能である。同じセンサがペン又は指の角度を検出するのに使用されることも可能である。
【0015】
本発明によれば、第2の目的は、前記方法がユーザにスクリーン上のある位置を選択することを可能にするステップ、前記スクリーン上の前記選択した位置の近くに複数のメニューオプション識別子を表示するステップ、各々が前記メニューオプション識別子の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子の前記特定の識別子と前記スクリーン上の前記選択した位置との間の距離に比例する大きさを持っている複数の選択領域を規定するステップ、及び前記選択領域の特定の領域に対応するメニューオプションを選択するために、前記ユーザに前記選択領域の前記特定の領域を選択することを可能にするステップを有することで達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のこれら及び他の態様は、図面から明らかであると共に、これら図面を参照して、例としてさらに説明される。
【0017】
図面において対応する要素は、同じ参照番号で示される。
【0018】
本発明の方法は、ステップ1、ステップ3、ステップ5及びステップ7を有する(図1参照)。ステップ1は、ユーザにスクリーン上のある位置を選択することを可能にするステップを有する。ステップ3は、スクリーン上の前記選択した位置の近くに複数のメニューオプション識別子を表示するステップを有する。ステップ5は、複数の選択領域を規定するステップであり、各選択領域は、前記メニューオプション識別子の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子の前記特定の識別子とスクリーン上の前記選択した位置との間の距離に比例する大きさを持っているステップを有する。ステップ7は、前記メニューオプションを選択するために、ユーザに前記選択領域の特定の領域を選択することを可能にするステップを有し、前記選択したメニューオプションは、前記選択した選択領域に対応している。
【0019】
図2は、本発明の電子装置の実施例により表示される入れ子状の円形メニューの実施例を示す。ユーザがペンを用いてスクリーン上の位置21を選択した後、4つの入れ子状の円が表示される。これら4つの円の各々の可視部分が選択領域を形成する。各円は、1つのメニューオプション識別子を含んでいる。メニューオプション識別子25は選択領域29に対応し、メニューオプション識別子23は選択領域27に対応している。ユーザは前記選択領域27、29の一方、又は2つの残りの選択領域の一方を選択することが可能である。ペンがスクリーンを叩くとき、点が表示され、その点からリング状のメニューが開く。その効果を強調するためにアニメーションが用いられてもよい。この効果をさらに強調するために、細い金属リングが互いに触れているような音が再生されてもよい。追加のリングを用いて前記メニューを展開することにより、サブメニューが作成されることも可能であるが、これは、メニューにおける最新のリングの場合にのみ便利である。ユーザが第2のメニューレベルに移動していることを示すために、先行するリングは点に折り畳まれる。
【0020】
図3は、本発明の電子装置31を示す。この電子装置31はユーザに、スクリーン上のある位置を選択すること、前記スクリーン上の前記選択した位置の近くに複数のメニューオプション識別子を表示すること、複数の選択領域を規定することであり、各選択領域は前記メニューオプション識別子の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子の前記特定の識別子とスクリーン上の前記選択した位置との間の距離に比例する大きさを持っていること、及び前記選択領域の特定の領域に対応するメニューオプションを選択するために、ユーザに前記特定の領域を選択することを可能にすること、を可能にするように構成される。電子装置31はさらに、記憶手段35、再構成手段37、入力部39及び/又は出力部41を有する。電子装置31は、プロ用装置又は民生用装置、例えば据え置き型又は携帯型の装置でもよい。電子回路33は汎用又はアプリケーション特有のプロセッサでもよいし、コンピュータプログラムを実行することが可能であってもよい。
【0021】
記憶手段35は例えば、ハードディスク、半導体メモリ、光学ディスクリーダ又はホログラフィック記憶手段を有してもよい。再構成手段37は例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカを有してもよい。この再構成手段37は、メニューオプション識別子を表示するのに使用されてもよい。代わりに、出力部41が外部ディスプレイ(図示せず)上に前記メニューオプション識別子を表示するのに使用されてもよい。前記電子装置31は、例えばタッチ式スクリーン又はタッチパッドのような入力手段(図示せず)を有してもよい。代わりに、入力部39が外部入力装置(図示せず)からユーザ入力を入力するのに使用されてもよい。この外部入力装置は例えば、マウス、トラックボール又はデジタルペンでもよい。前記選択領域の定義が前記外部入力装置に送信されてもよい。この場合、前記外部入力装置は、例えば絶対又は相対位置データのような生の入力データの代わりに、前記選択した選択領域の表示を前記電子装置33に送信すれば十分である。入力部39及び出力部41は例えば、USBコネクタ若しくはイーサーネットコネクタのようなネットワークコネクタ、シンチ(cinch)コネクタ若しくはSCARTコネクタのようなアナログオーディオ及び/又はビデオコネクタ、又はHDMI若しくはSPDIFコネクタのようなデジタルオーディオ及び/又はビデオコネクタを有してもよい。前記入力部39及び出力部41は無線受信器及び/又は送信器を有してもよい。
【0022】
本発明が好ましい実施例に関連して記載されている一方、上述した原理内にある本発明の改良は当業者には明らかであり、それ故に、本発明が好ましい実施例に限定されるのではなく、このような改良も包含していることを意味していると理解されるであろう。本発明は、新規特性1つ1つの及びこれら特性の組み合わせの1つ1つにある。請求項における参照番号は、本発明の保護範囲を制限しない。"有する"という動詞及びそれの活用型の使用が請求項に述べた要素以外の要素の存在を排除するものではない。要素を単数で使用することがこのような要素が複数あることを排除するものではない。
【0023】
本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェア及び適切にプログラムされたコンピュータを用いて実施されることが可能である。"コンピュータプログラムプロダクト"とは、例えばフロッピー(登録商標)ディスクのようなコンピュータ読み取り可能媒体に記憶される、例えばインターネットのようなネットワークを介してダウンロード可能である、又は何か他の方法で売買可能である如何なるソフトウェアプロダクトを意味すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の方法の流れ図である。
【図2】本発明の電子装置の実施例により表示されるメニューオプション識別子及び選択領域を示す。
【図3】本発明の電子装置のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにスクリーン上のある位置を選択することを可能にする、
前記スクリーン上の前記選択した位置の近くに複数のメニューオプション識別子を表示する、
複数の選択領域を規定し、各選択領域は、前記メニューオプション識別子の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子の前記特定の識別子と前記スクリーン上の前記選択した位置との間の距離に比例する大きさを持っている、及び
前記選択領域の特定の領域に対応するメニューオプションを選択するために、前記ユーザに前記選択領域の前記特定の領域を選択することを可能する
ように構成される電子回路を有する電子装置。
【請求項2】
前記複数の選択領域は、前記選択した位置の周りに入れ子状の外形を形成する請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記外形は円形である請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記電子回路は、指、ペン又はポインタを前記選択した位置から前記入れ子状の円を超えてドラッグすることにより、前記ユーザに前記選択領域の前記特定の領域を選択することを可能にするように構成される請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記スクリーンは、タッチ式スクリーンである請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記電子回路は、指又はペンの角度に依存して、各メニューオプション識別子を表示するための場所を決めるように構成される請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記電子回路は、前記ユーザが前記スクリーン上の前記位置を選択する前に、指又はペンの移動に依存して、各メニューオプション識別子を表示するための場所を決めるように構成される請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
ユーザにメニューオプションを選択することを可能にする方法において、
−前記ユーザにスクリーン上のある位置を選択することを可能にするステップ、
−前記スクリーン上の前記選択した位置の近くに複数のメニューオプション識別子を表示するステップ、
−複数の選択領域を規定するステップであり、各選択領域は、前記メニューオプション識別子の特定の識別子の周りに置かれ、前記メニューオプション識別子の前記特定の識別子と前記スクリーン上の前記選択した位置との間の距離に比例する大きさを持っているステップ、及び
−前記選択領域の特定の領域に対応するメニューオプションを選択するために、前記ユーザに前記選択領域の前記特定の領域を選択することを可能するステップ
を有する方法。
【請求項9】
前記複数の選択領域は、前記選択した位置の周りに入れ子状の外形を形成する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プログラム可能な装置に請求項8に記載の方法を実行することを可能にするためのソフトウェアを有するコンピュータプログラムプロダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−536387(P2009−536387A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508599(P2009−508599)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051608
【国際公開番号】WO2007/129255
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】