ユーザ属性連携型接続サービスシステム、接続先判定装置、接続制御装置、及び、ユーザ属性連携型接続サービス方法
【課題】 通信端末がユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することを可能とするユーザ属性連携型接続サービスシステム、接続先判定装置、接続制御装置、及び、ユーザ属性連携型接続サービス方法を提供する。
【解決手段】 ユーザ属性連携型接続サービスシステム1の属性対応接続先記憶部31は、プロバイダ60を識別するためのAPN情報と、プロバイダ60に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する。ユーザ属性取得部32は、移動機10から接続要求信号を受信したときに、移動機10を所持するユーザの属性を取得する。接続先取得部33は、ユーザの属性に該当するプロバイダ60のAPN情報を属性対応接続先記憶部31から取得する。接続部22は、取得されたAPN情報で識別されるプロバイダ60と移動機10との通信を接続する。
【解決手段】 ユーザ属性連携型接続サービスシステム1の属性対応接続先記憶部31は、プロバイダ60を識別するためのAPN情報と、プロバイダ60に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する。ユーザ属性取得部32は、移動機10から接続要求信号を受信したときに、移動機10を所持するユーザの属性を取得する。接続先取得部33は、ユーザの属性に該当するプロバイダ60のAPN情報を属性対応接続先記憶部31から取得する。接続部22は、取得されたAPN情報で識別されるプロバイダ60と移動機10との通信を接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの属性に応じた接続先装置に接続するユーザ属性連携型接続サービスシステム、接続先判定装置、接続制御装置、及び、ユーザ属性連携型接続サービス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動機等の通信端末から、インターネット等の通信ネットワークを介して、プロバイダ(情報提供者)が所有するサーバ(以下「プロバイダサーバ」という)や企業LAN(Local Area Network)に接続することが行われている。
図10には、プロバイダサーバ600を識別するためのAPN(Access Point Name;アクセスポイント名)情報が予め書き込まれている通信端末100から、プロバイダサーバ600に接続する際の処理手順を示す。まず、ユーザは、プロバイダサーバ600に接続するための発信操作を行う。これにより、通信端末100は、予めメモリに書き込まれているAPN情報を読み出して、当該APN情報を含む接続要求信号をSGSN(Serving GPRS Support Node)200に送信する(ステップS1001)。SGSN200は接続要求信号を受信すると、接続要求信号に含まれるAPN情報をDNS(Domain Name System)サーバ400に送信する(ステップS1002)。DNSサーバ400はアドレス解決を行い、接続先のGGSN(Gateway GPRS Support Node)500を通知する(ステップS1003)。SGSN200は、通知を受けたGGSN500に接続要求信号を送信する(ステップS1004)。GGSN500は、APN情報で識別されるプロバイダサーバ600にアクセスする(ステップS1005)。プロバイダサーバ600にアクセス後は、通信端末100はユーザの操作を受けて、プロバイダ内の独自コンテンツやインターネット上のサイトにアクセスする(ステップS1006)。
【0003】
このように、通信端末からプロバイダサーバに接続するためには、予め、プロバイダサーバを識別するためのAPN情報を通信端末に書き込んでおく必要があった。また、通信端末から新たなプロバイダサーバ又は企業LANに接続する際には、ユーザは該当のプロバイダサーバのAPN情報を入手し、通信端末に書き込む必要があった。また、ユーザは、各プロバイダがどのようなサービスを提供しているかを調べた上で、自己のニーズにあうプロバイダのAPN情報を入手する必要があった。また、接続先のプロバイダサーバ又は企業LANを切り替える場合、ユーザは通信端末を操作して、手動でAPNを切り替える必要があり、使い勝手がよくなかった。
【0004】
一方、プロバイダが、特定の条件(例えば、特定エリア配下ユーザ等)を満たすユーザに限定した情報提供を行う意図がある場合、ユーザが特定の条件を見たすことを保証するための認証の仕組み(ID/PW(パスワード)等)を準備する必要があった。このような認証の仕組みとしては、特定のアクセスポイントに特定の通信端末のみが接続可能なように、接続を許可するユーザの識別情報を当該特定のアクセスポイントに登録する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような認証方法では、個々のユーザの識別情報をアクセスポイント毎に登録する手作業が発生し、現実的でない。
【0005】
また、通信端末に設定されている接続先情報を変更することなく接続先の装置を切り替える技術としては、例えば、特許文献2に記載の技術が提案されている。特許文献2に記載の技術によれば、コンテンツ提供者側サーバは、ユーザの要求に応じて接続制御情報を通信端末へ通知する。通信端末は、接続制御情報に基づいて切替接続先への接続制御処理を実行する。
【特許文献1】特開2004−282321号公報(段落0031)
【特許文献2】特開2001−290719号公報(段落0021〜0027)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の技術においても、ユーザは、接続先の切り替え要求を行う必要があり、操作の手間がかかる。また、ユーザは自己の意思で接続先を選択する必要があるため、ユーザの居住地域や年齢等の属性に特化したサービスを提供しているプロバイダが存在することを知らない場合には、ユーザは永遠に当該プロバイダからサービスの提供を受けることができない。このように、従来においては、ユーザが所望の接続先装置に接続するためには、手動で接続先の切り替え操作を行わなければならず不便であった。また、プロバイダは、特定のユーザ向けの情報を提供する仕組みを構築することが困難であった。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、通信端末がユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することを可能とするユーザ属性連携型接続サービスシステム、接続先判定装置、接続制御装置、及び、ユーザ属性連携型接続サービス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、通信端末から接続要求信号を受信したときに、前記通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性と、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報とに基づいて、該当する接続先情報を前記属性対応接続先記憶手段から取得する接続先取得手段と、
前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段とを備えることを特徴とするユーザ属性連携型接続サービスシステムを提供する。
【0008】
この構成によれば、ユーザ属性連携型接続サービスシステムは、ユーザの属性に該当する接続先情報を取得し、取得された接続先情報で識別される接続先装置と通信端末との通信を接続するため、通信端末は、ユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することが可能となる。このため、ユーザは、特に接続先を意識することなく、かつ、特別な操作を必要とせず、自己の属性に適した情報提供を受けることができ、また、接続先装置は、特定属性を有するユーザに特化したサービス情報を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステムにおいて、前記接続先取得手段により複数の接続先情報が取得された場合に、該取得された複数の接続先情報を前記通信端末に通知する複数接続先通知手段をさらに備え、前記接続手段は、前記複数接続先通知手段による通知に応答して、1つの接続先情報を含む応答信号を前記通信端末から受信した場合に、該1つの接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続することを特徴とする。
この構成によれば、ユーザ属性連携型接続サービスシステムは、接続先取得手段により複数の接続先情報が取得された場合には、該取得された複数の接続先情報を通信端末に通知するため、ユーザに1つの接続先情報を選択させることができ、ユーザは所望の接続先装置からサービス情報の提供を受けることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステムにおいて、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報には、必須属性情報と任意属性情報とが含まれ、前記接続先取得手段は、前記必須属性情報に基づいて取得された接続先情報が複数存在する場合に、該複数の接続先情報の中から、前記任意属性情報に基づいて、該当する接続先情報を選択することを特徴とする。
この構成によれば、ユーザに負担をかけることなく、ユーザ属性連携型接続サービスシステム側において、ユーザの属性に応じた接続先装置を適切に選択することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性に該当する特定属性情報に対応付けられて、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている接続先情報を取得する接続先取得手段とを備えることを特徴とする接続先判定装置を提供する。
この構成によれば、通信端末を所持するユーザの属性から接続先情報を取得することができるため、この接続先情報を用いて、ユーザの属性に適した接続先装置に通信端末を接続させることが可能となる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得する接続先取得手段と、前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段とを提供する。
この構成によれば、ユーザが接続先を意識することなく、かつ、特別な操作を必要とせず、通信端末はユーザの属性に応じた接続先装置に接続することができ、ユーザの利便性が高まる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、ユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス方法において、通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得するユーザ属性取得ステップと、前記ユーザ属性取得ステップにおいて取得されたユーザの属性に基づいて、該通信端末が接続すべき接続先装置を判定する接続先判定ステップと、前記接続先判定ステップにおいて判定された接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続ステップとを有することを特徴とするユーザ属性連携型接続サービス方法を提供する。
この方法によれば、通信端末はユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することが可能となる。このため、ユーザは自己の属性に応じたサービス情報を取得することができ、また、接続先装置は、ユーザの属性に応じたサービス情報を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザ属性連携型接続サービスシステムは、ユーザの属性に該当する接続先情報を取得し、取得された接続先情報で識別される接続先装置と通信端末との通信を接続するため、通信端末は、ユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等部分に同一符号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステム1を示す。このユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、第3世代移動通信システム(IMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000))に準拠した通信ネットワークである。同図に示すように、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、在圏の移動機10の通信制御を行う在圏交換機であるSGSN20と、移動機10を所持するユーザの属性に応じた接続先の情報を取得するプロバイダ呼出サーバ30と、アドレス解決を行うDNSサーバ40と、ユーザへのサービス情報提供者である「プロバイダ1」が所有するサーバであるプロバイダ60aと、「プロバイダ2」が所有するサーバであるプロバイダ60bと、「プロバイダ3」が所有するサーバであるプロバイダ60cと、プロバイダ60a,60b,60cの通信制御を行う関門交換機であるGGSN50と、を含んで構成される。
【0016】
プロバイダ60a,60b,60cは、特定の属性を有するユーザに適したサービス情報を提供するサーバである。なお、以下の説明において、プロバイダ60a,60b,60cを特に区別する必要がない場合には、「プロバイダ60」と表記する。また、図1においては、プロバイダ60を3つ図示し、移動機10、SGSN20、プロバイダ呼出サーバ30、DNSサーバ40、及び、GGSN50をひとつずつ図示しているが、実際には複数存在する。
【0017】
[プロバイダ呼出サーバの構成]
次に、プロバイダ呼出サーバ(接続先判定装置)30の構成について説明する。プロバイダ呼出サーバ30は、一般的なコンピュータのハードウェア構成を備えており、プロバイダ呼出サーバ30全体を制御するCPU(Central Processing Unit)、起動時に実行されるプログラムが記憶されるROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、各種ソフトウェアを記憶するハードディスク装置、及び、ネットワークを介してデータの授受を制御する通信インターフェースを備えている。
【0018】
プロバイダ呼出サーバ30が備えるハードディスク装置には、図2に示すような対応テーブル301が設けられている。対応テーブル301は、プロバイダ(接続先装置)60を識別するためのAPN情報(接続先情報)と、当該プロバイダ60に接続すべき移動機10を所持するユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶しておくための記憶領域である。この対応テーブル301には、各プロバイダにより情報が設定入力される。
【0019】
また、ハードディスク装置には各種プログラムが記憶されている。各種プログラムの中には、ユーザの属性を取得するためのプログラムと、ユーザの属性に適したプロバイダ60を判定するためのプログラムとが含まれている。
以上説明したプロバイダ呼出サーバ30が備えるハードウェア及びソフトウェアによって、図3に示す機能構成がプロバイダ呼出サーバ30に実現される。
同図に示す属性対応接続先記憶部31は、対応テーブル301を用いて、プロバイダ60のAPN情報と特定属性情報との対応関係を管理する。
【0020】
ユーザ属性取得部32は、接続要求信号を送信した移動機10を所持するユーザの属性を取得する。ユーザの属性を取得する具体的な方法としては、例えば、プロバイダにより設定された特定属性情報が位置情報であり、かつ、接続要求信号に位置情報が含まれている場合には、ユーザ属性取得部32は接続要求信号に含まれている位置情報をユーザの属性として取得する。一方、プロバイダにより設定された特定属性情報が位置情報であり、かつ、接続要求信号に位置情報が含まれていない場合には、ユーザ属性取得部32は、HLR(Home Location Register)等の位置情報を管理する装置から位置情報を取得する。また、プロバイダにより設定された特定属性情報がユーザの年齢や性別等の個人情報である場合には、ユーザ属性取得部32は、当該個人情報をHLR等の加入者情報を管理する装置から取得する。
【0021】
接続先取得部33は、ユーザの属性に該当する特定属性情報に対応付けて記憶されているAPN情報を、属性対応接続先記憶部31から取得する。接続先取得部33は、取得したAPN情報をSGSN20に送信する。取得したAPN情報が複数存在する場合も同様に、SGSN20に全てのAPN情報を送信する。
【0022】
[SGSNの構成]
次に、SGSN(接続制御装置)20の構成について説明する。SGSN20は、一般的なコンピュータのハードウェア構成を備えており、CPU、記憶装置、及び、通信インターフェースを備えている。SGSN20の記憶装置には、プログラム及びデータ等のソフトウェアが記憶されている。これらのSGSN20が備えるハードウェア及びソフトウェアにより、図4に示す本発明に特徴的な機能構成がSGSN20に実現される。
同図に示す接続先取得部21は、移動機10から接続要求信号を受信した場合に、移動機10を所持するユーザの属性に応じたAPN情報を、プロバイダ呼出サーバ30から受信する。
【0023】
接続部22は、接続先取得部21により取得されたAPN情報を含む回線設定要求信号をGGSN50に送信することにより、接続先取得部21により取得されたAPN情報で識別されるプロバイダ60と移動機10との通信を接続する。
複数接続先通知部23は、接続先取得部21がプロバイダ呼出サーバ30から複数のAPN情報を受信した場合に、当該複数のAPN情報を移動機10に送信することにより、移動機10から接続可能なプロバイダ60が複数存在することをユーザに通知する。
【0024】
[移動機の構成]
次に、移動機10の構成について説明する。移動機10は、一般的な携帯電話機であり、移動機10全体を制御するCPUと、無線通信を制御する通信インターフェースと、ユーザの操作入力を受け付ける操作キーと、データを一時的に記憶する揮発性メモリと、各種プログラム及びデータを記憶する不揮発性メモリと、各種画面を表示するディスプレイと、位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)とを備えている。不揮発性メモリには、操作キーの操作により入力されたAPN情報を記憶しておく領域が設けられている。
【0025】
移動機10は、ユーザからプロバイダ60への接続指示を受けた際に、不揮発性メモリに記憶されているAPN情報と、GPSから取得した位置情報とを含んだ接続要求信号を生成し、当該接続要求信号をSGSN20に送信する。
また、移動機10は、SGSN20から複数の接続先候補(APN情報)が通知された場合に、ディスプレイに複数の接続先候補を表示する。ディスプレイに表示された複数の接続先候補の中からユーザが1つのAPN情報を選択する操作を行った場合に、移動機10は、選択されたAPN情報をSGSN20に送信する。
【0026】
[ユーザ属性連携型接続サービス処理]
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1が行うユーザ属性連携型接続サービス処理について説明する。
まず、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、移動機10から接続要求信号を受信する(ステップS101)。次に、ユーザ属性取得部32は、移動機10を所持するユーザの属性を取得する(ステップS102)。
次に、接続先取得部33は、取得されたユーザの属性を検索キーとして、属性対応接続先記憶部31に記憶されている特定属性情報を検索し、該当する特定属性情報と対応付けて記憶されているAPN情報を取得する(ステップS103)。
【0027】
接続先取得部21は、取得されたAPN情報が複数存在するか否かを判定する(ステップS104)。判定した結果、取得されたAPN情報が単数である場合には(ステップS104;No)、接続部22は、当該APN情報で識別されるプロバイダ60宛てに回線設定要求信号を送信する。これにより、移動機10と、当該APN情報で識別されるプロバイダ60との通信が接続される(ステップS107)。
【0028】
一方、取得されたAPN情報が複数存在する場合には(ステップS104;Yes)、複数接続先通知部23は、取得された複数のAPN情報を移動機10に通知する(ステップS105)。これに応答して、移動機10から、ユーザにより選択された1つのAPN情報を受信した場合には(ステップS106;Yes)、接続部22は、受信したAPN情報で識別されるプロバイダ60宛てに回線設定要求信号を送信する。これにより、移動機10と、受信したAPN情報で識別されるプロバイダ60との通信が接続される(ステップS107)。
【0029】
[ユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が単数の場合の動作例]
次に、図6を参照しながら、ユーザの属性に基づいて取得されたプロバイダのAPN情報が単数である場合の動作例について説明する。なお、前提として、プロバイダ呼出サーバ30の対応テーブル301には、図2に示す情報が記憶されているものとする。すなわち、情報提供者「プロバイダ1」、「プロバイダ2」、「プロバイダ3」により、特定属性情報として位置情報のみが設定入力されているものとする。また、ユーザの位置情報は、移動機10に搭載されているGPSから取得されるものとする。また、移動機10の不揮発性メモリには、予めAPN情報“mo.ne.jp”が記憶されているものとする。
【0030】
まず、ユーザは、プロバイダ2エリアに移動した時に、移動機10を操作してプロバイダ接続指示を行う。これにより、移動機10は、不揮発性メモリに予め記憶されているAPN情報“mo.ne.jp”を取得し、また、GPSから位置情報“プロバイダ2エリア”を取得する。そして、移動機10は、取得したAPN情報と位置情報とを含んだ接続要求信号を送信する(ステップS1)。
【0031】
SGSN20は、移動機10から受信した接続要求信号を、プロバイダ呼出サーバ30に転送する(ステップS2)。
プロバイダ呼出サーバ30は接続要求信号を受信すると、属性対応接続先記憶部31に記憶されている特定属性情報を参照して、設定されている特定属性情報が位置情報のみであることを確認する。そして、ユーザ属性取得部32は、受信した接続要求信号に含まれる位置情報“プロバイダ2エリア”を属性情報として取得する。
【0032】
接続先取得部33は、ユーザの位置情報“プロバイダ2エリア”を検索キーとして、図2に示す対応テーブル301の特定属性情報を検索する。そして、接続先取得部33は、該当する特定属性情報“位置情報:プロバイダ2エリア”に対応付けられて記憶されているAPN情報“flexible.ne.jp”を取得する(ステップS3)。プロバイダ呼出サーバ30は、取得したAPN情報“flexible.ne.jp”をDNSサーバ40に通知する(ステップS4)。
【0033】
DNSサーバ40はアドレス解決を行う(ステップS5)。具体的には、DNSサーバ40は、受信したAPN情報“flexible.ne.jp”に基づいてデータベースを検索し、「プロバイダ2」が所有するサーバであるプロバイダ60bと、プロバイダ60bを収容するGGSN50と、のIP(Internet Protocol)アドレス情報を取得する。DNSサーバ40は、取得したIPアドレス情報をSGSN20に送信する。
【0034】
SGSN20の接続先取得部21は、接続先のIPアドレス情報をDNSサーバ40から受信する。接続部22は、取得したIPアドレス情報を含む回線設定要求信号を生成し、生成した回線設定要求信号をGGSN50宛てに送信する(ステップS6)。GGSN50は、SGSN20から接続要求信号を受信すると、プロバイダ60bに接続する(ステップS7)。
【0035】
[ユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が複数の場合の動作例]
次に、図7を参照しながら、ユーザの属性に基づいて取得されたプロバイダのAPN情報が複数である場合の動作例について説明する。
ここでは、ユーザがプロバイダ1エリアと、プロバイダ2エリアと、プロバイダ3エリアとが重なっているエリアに位置していたものとする。
図7に示すステップS1及びステップS2における処理は、図6におけるステップS1及びステップS2における処理と同様である。
【0036】
ステップS3において、接続先取得部33は、ユーザの位置情報“プロバイダ1エリア、かつ、プロバイダ2エリア、かつ、プロバイダ3エリア”を検索キーとして、図2に示す対応テーブル301の特定属性情報を検索する。検索した結果、接続先取得部33は、特定属性情報“位置情報:プロバイダ1エリア”と“位置情報:プロバイダ2エリア”と“位置情報:プロバイダ3エリア”とを取得し、当該特定属性情報各々と対応付けられて記憶されているAPN情報として“somewhere.ne.jp”と、“flexible.ne.jp”と、“here.co.jp”とを取得する(ステップS3)。プロバイダ呼出サーバ30は、取得した複数のプロバイダのAPN情報をSGSN20に通知する(ステップS3−1)。
【0037】
SGSN20の接続先取得部21は、複数のAPN情報を受信する。複数接続先通知部23は、受信した複数のAPN情報を移動機10に送信する(ステップS3−2)。
移動機10は、SGSN20から受信した複数のAPN情報をディスプレイに表示する。移動機10を所持するユーザは、ディスプレイに表示された複数のAPN情報の中から、1つのAPN情報“flexible.ne.jp”を選択する操作を行う。
【0038】
これにより、移動機10は、ユーザに選択されたAPN情報“flexible.ne.jp”をSGSN20に送信する(ステップS3−3)。SGSN20は、移動機10から受信したAPN情報“flexible.ne.jp”をプロバイダ呼出サーバ30に送信する(ステップS3−4)。
ステップS4以降で行われる処理は、図6に示すステップS4以降で行われる処理と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0039】
このように、接続先取得部33により複数のプロバイダのAPN情報が取得された場合には、複数接続先通知部23により移動機10に複数のAPN情報を通知し、ユーザに1つのAPN情報を選択させることができるため、ユーザは所望のプロバイダ60に接続することができる。
なお、プロバイダ呼出サーバ30の接続先取得部33により取得されたAPN情報が複数存在した場合には、所定の基準により、複数のAPN情報についての優先順位付けを行うようにしてもよい。そして、複数のAPN情報を受信した移動機10は、優先順位順に配列されたAPN情報をディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態においては、プロバイダ呼出サーバ30の接続先取得部33により複数のAPN情報が取得された場合に、第1の実施形態のように移動機10に複数のAPN情報を送信せずに、接続先取得部33が他の要素に基づいて、1つのAPN情報を選択する。
【0041】
図8には、第2の実施の形態に係る対応テーブル301のデータ構成を示す。同図に示すように、特定属性情報は、必須属性情報と任意属性情報とで構成されている。この対応テーブル301の必須属性情報により、プロバイダは、必須属性情報で示される属性を満たすユーザのみからのアクセスを許可することとなる。また、任意属性情報は、接続先取得部33により取得されたAPN情報が複数存在する場合に、当該複数のAPN情報から1つのAPN情報を選択するために用いられる情報である。
【0042】
第2の実施の形態に係る接続先取得部33は、必須属性情報に基づいて取得されたAPN情報が複数存在する場合に、当該取得された複数のAPN情報の中から、任意属性情報に基づいてAPN情報を選択する。選択方法としては、例えば、接続先取得部33は、ユーザの属性が任意属性情報を構成する属性を全て満たす場合に、当該任意属性情報に対応するAPN情報を選択する。
【0043】
また、任意属性情報を構成する属性が複数存在する場合には、当該属性に優先順位を設けてもよい。例えば、接続先取得部33は、まず、ユーザの属性が任意属性1を満たすか否かを判断し、満たしている場合には任意属性1に対応するAPN情報を取得する。取得したAPN情報が複数存在した場合に、さらに、接続先取得部33は、ユーザの属性が任意属性2を満たすか否かを判定し、満たしている場合には任意属性2に対応するAPN情報を取得するようにしてもよい。
上述した構成以外のユーザ属性連携型接続サービスシステム1の構成は、第1の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステム1の構成と同様である。
【0044】
[ユーザ属性連携型接続サービス処理]
次に、図9に示すフローチャートを参照しながら、第2の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステム1が行うユーザ属性連携型接続サービス処理について説明する。
ステップS201からステップS204までにおいて行われる処理は、第1の実施形態におけるステップS101からステップS104までにおいて行われる処理と同様である。
ステップS204において、接続先取得部33は、属性対応接続先記憶部31に記憶されている必須属性情報の中から、ユーザの属性に該当する必須属性情報を取得する。そして、接続先取得部33は、該当する必須属性情報に対応するAPN情報を取得する。
【0045】
取得されたAPN情報が複数存在する場合に(ステップS204;Yes)、接続先取得部33は、当該取得された複数のAPN情報の中から、任意属性情報に基づいてAPN情報を選択する。具体的には、接続先取得部33は、取得された複数のAPN情報各々に対応する任意属性情報が、ユーザの属性に該当するか否かを判定する。そして、接続先取得部33は、ユーザの属性に該当していると判定された任意属性情報に対応するAPN情報を選択する。
【0046】
例えば、ユーザAが30歳代の女性であり、プロバイダ1エリアとプロバイダ3エリアとの両方のエリアに位置していた場合には、接続先取得部33は、図8に示す対応テーブル301の必須属性情報に基づいて、「プロバイダ1」のAPN情報“flexible.ne.jp”と「プロバイダ3」のAPN情報“here.co.jp”との、2つのAPN情報を取得する。
【0047】
必須属性情報に基づいて取得されたAPN情報が2つ存在するため、接続先取得部33は、当該取得された2つのAPN情報の中から、任意属性情報に基づいてAPN情報を選択する。ここでは、図8に示すように、「プロバイダ1」のAPN情報と対応付けられている任意属性情報が「性別:女性」であり、「プロバイダ3」のAPN情報と対応付けられている任意属性情報が「年齢:20代」であるため、接続先取得部33は、ユーザAの属性(女性)に該当する任意属性情報に対応する「プロバイダ1」のAPN情報“flexible.ne.jp”を選択する。
【0048】
なお、任意属性情報を用いても1つのAPN情報を選択することができなかった場合には、他の要素に基づいてさらにAPN情報を絞りこむか、もしくは、第1の実施の形態のように、複数接続先通知部23によって移動機10に複数のAPN情報を送信し、ユーザに1つのAPN情報を選択させるようにしてもよい。
以上説明したように、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1が移動機10を所持するユーザの属性に応じて接続先のプロバイダ60を切り替えることで、特定属性ユーザ向けサービスを提供するプロバイダ60に移動機10を自動的に接続させることができる。
【0049】
このため、プロバイダは、移動機10が利用した通信料のプロバイダへのリバース課金、プロバイダ独自サービス情報提供等、特定ユーザに限定したプロバイダ独自のサービスメニューを提供することができる。なお、「リバース課金」とは、移動機10の利用した通信料が通信事業者からプロバイダへ請求され、プロバイダからさらに自らの顧客である情報提供者へ課金される仕組みである。このように独自のサービスメニューを提供することができるため、プロバイダは集客力を上げることができ、他プロバイダとの差別化を図ることが可能となる。また、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1側で全て処理を行うため、移動機10やユーザに負荷がかかることがない。さらに、公衆のインターネット網を経由せずに、直接、属性に応じたプロバイダ60と接続するため、通信のセキュリティや遅延の面でも効果がある。
【0050】
ここで、プロバイダにより提供されるサービスとしては、テーマパーク関連では、乗り物の待ち時間情報、チケット発券、パレードなどの催し物情報、レストランの待ち時間情報、迷子情報、落し物情報等が考えられる。また、レストラン関連においては、おすすめメニュー、期間限定メニュー、オーダー受付、支払い、割引券についての情報が考えられる。また、ショップ関連においては、おすすめ商品、セール情報が考えられる。また、医療関連においては、病院の診療予約、順番待ち用整理券配布が考えられる。また、企業内のイントラネット接続サービスも考えられる。 そして、ユーザは、アクセスするAPNを意識することなく、また、切り替え操作を行うことなく、ユーザの属性に応じた適切なプロバイダ60に接続することが可能となる。これにより、ユーザは、自己の特定の属性に特化したサービス情報の提供を受けることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態においては、移動機10は、GPSにより位置情報を取得するとして説明したが、移動機10が位置情報を取得する方法はこれに限定されない。例えば、移動機10を収容する基地局のIDから位置情報を取得してもよい。
また、上述した実施形態においては、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、移動機10とプロバイダ60との通信を接続するサービスを提供するとして説明したが、プロバイダ60に限定されず、例えば企業LANとの接続サービスであってもよい。また、プロバイダ60は、ユーザの属性に応じたサービスを提供する装置であればよい。また、上述した実施形態においては、接続先情報としてAPN情報を用いたが、接続先情報は、プロバイダ60をネットワーク上で識別するための情報であればよい。
【0052】
また、属性情報としては、位置情報、性別、生年月日、名前以外に、住所、職業、趣、身長、体重、嗜好等を含めることもできる。
また、移動機10は携帯電話機に限定されず、通信可能な通信端末であればよい。例えば、PHS(Personal Handyphone System)でも、PDA(Personal Digital Assistance)でも、パーソナルコンピュータでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ユーザ属性に応じたサービスの提供に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステムの構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係る対応テーブルのデータ構成を示す図である。
【図3】同実施の形態に係るプロバイダ呼出サーバの機能構成を示す図である。
【図4】同実施の形態に係るSGSNの機能構成を示す図である。
【図5】同実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態に係るユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が単数の場合の動作例を説明するための図である。
【図7】同実施の形態に係るユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が複数の場合の動作例を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る対応テーブルのデータ構成を示す図である。
【図9】同実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】従来の接続処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ユーザ属性連携型接続サービスシステム
10 移動機
20 SGSN
21 接続先取得部
22 接続部
23 複数接続先通知部
30 プロバイダ呼出サーバ
301 対応テーブル
31 属性対応接続先記憶部
32 ユーザ属性取得部
33 接続先取得部
40 DNSサーバ
50 GGSN
60,60a,60b,60c プロバイダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの属性に応じた接続先装置に接続するユーザ属性連携型接続サービスシステム、接続先判定装置、接続制御装置、及び、ユーザ属性連携型接続サービス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動機等の通信端末から、インターネット等の通信ネットワークを介して、プロバイダ(情報提供者)が所有するサーバ(以下「プロバイダサーバ」という)や企業LAN(Local Area Network)に接続することが行われている。
図10には、プロバイダサーバ600を識別するためのAPN(Access Point Name;アクセスポイント名)情報が予め書き込まれている通信端末100から、プロバイダサーバ600に接続する際の処理手順を示す。まず、ユーザは、プロバイダサーバ600に接続するための発信操作を行う。これにより、通信端末100は、予めメモリに書き込まれているAPN情報を読み出して、当該APN情報を含む接続要求信号をSGSN(Serving GPRS Support Node)200に送信する(ステップS1001)。SGSN200は接続要求信号を受信すると、接続要求信号に含まれるAPN情報をDNS(Domain Name System)サーバ400に送信する(ステップS1002)。DNSサーバ400はアドレス解決を行い、接続先のGGSN(Gateway GPRS Support Node)500を通知する(ステップS1003)。SGSN200は、通知を受けたGGSN500に接続要求信号を送信する(ステップS1004)。GGSN500は、APN情報で識別されるプロバイダサーバ600にアクセスする(ステップS1005)。プロバイダサーバ600にアクセス後は、通信端末100はユーザの操作を受けて、プロバイダ内の独自コンテンツやインターネット上のサイトにアクセスする(ステップS1006)。
【0003】
このように、通信端末からプロバイダサーバに接続するためには、予め、プロバイダサーバを識別するためのAPN情報を通信端末に書き込んでおく必要があった。また、通信端末から新たなプロバイダサーバ又は企業LANに接続する際には、ユーザは該当のプロバイダサーバのAPN情報を入手し、通信端末に書き込む必要があった。また、ユーザは、各プロバイダがどのようなサービスを提供しているかを調べた上で、自己のニーズにあうプロバイダのAPN情報を入手する必要があった。また、接続先のプロバイダサーバ又は企業LANを切り替える場合、ユーザは通信端末を操作して、手動でAPNを切り替える必要があり、使い勝手がよくなかった。
【0004】
一方、プロバイダが、特定の条件(例えば、特定エリア配下ユーザ等)を満たすユーザに限定した情報提供を行う意図がある場合、ユーザが特定の条件を見たすことを保証するための認証の仕組み(ID/PW(パスワード)等)を準備する必要があった。このような認証の仕組みとしては、特定のアクセスポイントに特定の通信端末のみが接続可能なように、接続を許可するユーザの識別情報を当該特定のアクセスポイントに登録する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような認証方法では、個々のユーザの識別情報をアクセスポイント毎に登録する手作業が発生し、現実的でない。
【0005】
また、通信端末に設定されている接続先情報を変更することなく接続先の装置を切り替える技術としては、例えば、特許文献2に記載の技術が提案されている。特許文献2に記載の技術によれば、コンテンツ提供者側サーバは、ユーザの要求に応じて接続制御情報を通信端末へ通知する。通信端末は、接続制御情報に基づいて切替接続先への接続制御処理を実行する。
【特許文献1】特開2004−282321号公報(段落0031)
【特許文献2】特開2001−290719号公報(段落0021〜0027)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の技術においても、ユーザは、接続先の切り替え要求を行う必要があり、操作の手間がかかる。また、ユーザは自己の意思で接続先を選択する必要があるため、ユーザの居住地域や年齢等の属性に特化したサービスを提供しているプロバイダが存在することを知らない場合には、ユーザは永遠に当該プロバイダからサービスの提供を受けることができない。このように、従来においては、ユーザが所望の接続先装置に接続するためには、手動で接続先の切り替え操作を行わなければならず不便であった。また、プロバイダは、特定のユーザ向けの情報を提供する仕組みを構築することが困難であった。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、通信端末がユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することを可能とするユーザ属性連携型接続サービスシステム、接続先判定装置、接続制御装置、及び、ユーザ属性連携型接続サービス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、通信端末から接続要求信号を受信したときに、前記通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性と、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報とに基づいて、該当する接続先情報を前記属性対応接続先記憶手段から取得する接続先取得手段と、
前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段とを備えることを特徴とするユーザ属性連携型接続サービスシステムを提供する。
【0008】
この構成によれば、ユーザ属性連携型接続サービスシステムは、ユーザの属性に該当する接続先情報を取得し、取得された接続先情報で識別される接続先装置と通信端末との通信を接続するため、通信端末は、ユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することが可能となる。このため、ユーザは、特に接続先を意識することなく、かつ、特別な操作を必要とせず、自己の属性に適した情報提供を受けることができ、また、接続先装置は、特定属性を有するユーザに特化したサービス情報を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステムにおいて、前記接続先取得手段により複数の接続先情報が取得された場合に、該取得された複数の接続先情報を前記通信端末に通知する複数接続先通知手段をさらに備え、前記接続手段は、前記複数接続先通知手段による通知に応答して、1つの接続先情報を含む応答信号を前記通信端末から受信した場合に、該1つの接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続することを特徴とする。
この構成によれば、ユーザ属性連携型接続サービスシステムは、接続先取得手段により複数の接続先情報が取得された場合には、該取得された複数の接続先情報を通信端末に通知するため、ユーザに1つの接続先情報を選択させることができ、ユーザは所望の接続先装置からサービス情報の提供を受けることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステムにおいて、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報には、必須属性情報と任意属性情報とが含まれ、前記接続先取得手段は、前記必須属性情報に基づいて取得された接続先情報が複数存在する場合に、該複数の接続先情報の中から、前記任意属性情報に基づいて、該当する接続先情報を選択することを特徴とする。
この構成によれば、ユーザに負担をかけることなく、ユーザ属性連携型接続サービスシステム側において、ユーザの属性に応じた接続先装置を適切に選択することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性に該当する特定属性情報に対応付けられて、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている接続先情報を取得する接続先取得手段とを備えることを特徴とする接続先判定装置を提供する。
この構成によれば、通信端末を所持するユーザの属性から接続先情報を取得することができるため、この接続先情報を用いて、ユーザの属性に適した接続先装置に通信端末を接続させることが可能となる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得する接続先取得手段と、前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段とを提供する。
この構成によれば、ユーザが接続先を意識することなく、かつ、特別な操作を必要とせず、通信端末はユーザの属性に応じた接続先装置に接続することができ、ユーザの利便性が高まる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、ユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス方法において、通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得するユーザ属性取得ステップと、前記ユーザ属性取得ステップにおいて取得されたユーザの属性に基づいて、該通信端末が接続すべき接続先装置を判定する接続先判定ステップと、前記接続先判定ステップにおいて判定された接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続ステップとを有することを特徴とするユーザ属性連携型接続サービス方法を提供する。
この方法によれば、通信端末はユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することが可能となる。このため、ユーザは自己の属性に応じたサービス情報を取得することができ、また、接続先装置は、ユーザの属性に応じたサービス情報を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザ属性連携型接続サービスシステムは、ユーザの属性に該当する接続先情報を取得し、取得された接続先情報で識別される接続先装置と通信端末との通信を接続するため、通信端末は、ユーザの属性に応じた適切な接続先装置に接続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等部分に同一符号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステム1を示す。このユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、第3世代移動通信システム(IMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000))に準拠した通信ネットワークである。同図に示すように、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、在圏の移動機10の通信制御を行う在圏交換機であるSGSN20と、移動機10を所持するユーザの属性に応じた接続先の情報を取得するプロバイダ呼出サーバ30と、アドレス解決を行うDNSサーバ40と、ユーザへのサービス情報提供者である「プロバイダ1」が所有するサーバであるプロバイダ60aと、「プロバイダ2」が所有するサーバであるプロバイダ60bと、「プロバイダ3」が所有するサーバであるプロバイダ60cと、プロバイダ60a,60b,60cの通信制御を行う関門交換機であるGGSN50と、を含んで構成される。
【0016】
プロバイダ60a,60b,60cは、特定の属性を有するユーザに適したサービス情報を提供するサーバである。なお、以下の説明において、プロバイダ60a,60b,60cを特に区別する必要がない場合には、「プロバイダ60」と表記する。また、図1においては、プロバイダ60を3つ図示し、移動機10、SGSN20、プロバイダ呼出サーバ30、DNSサーバ40、及び、GGSN50をひとつずつ図示しているが、実際には複数存在する。
【0017】
[プロバイダ呼出サーバの構成]
次に、プロバイダ呼出サーバ(接続先判定装置)30の構成について説明する。プロバイダ呼出サーバ30は、一般的なコンピュータのハードウェア構成を備えており、プロバイダ呼出サーバ30全体を制御するCPU(Central Processing Unit)、起動時に実行されるプログラムが記憶されるROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、各種ソフトウェアを記憶するハードディスク装置、及び、ネットワークを介してデータの授受を制御する通信インターフェースを備えている。
【0018】
プロバイダ呼出サーバ30が備えるハードディスク装置には、図2に示すような対応テーブル301が設けられている。対応テーブル301は、プロバイダ(接続先装置)60を識別するためのAPN情報(接続先情報)と、当該プロバイダ60に接続すべき移動機10を所持するユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶しておくための記憶領域である。この対応テーブル301には、各プロバイダにより情報が設定入力される。
【0019】
また、ハードディスク装置には各種プログラムが記憶されている。各種プログラムの中には、ユーザの属性を取得するためのプログラムと、ユーザの属性に適したプロバイダ60を判定するためのプログラムとが含まれている。
以上説明したプロバイダ呼出サーバ30が備えるハードウェア及びソフトウェアによって、図3に示す機能構成がプロバイダ呼出サーバ30に実現される。
同図に示す属性対応接続先記憶部31は、対応テーブル301を用いて、プロバイダ60のAPN情報と特定属性情報との対応関係を管理する。
【0020】
ユーザ属性取得部32は、接続要求信号を送信した移動機10を所持するユーザの属性を取得する。ユーザの属性を取得する具体的な方法としては、例えば、プロバイダにより設定された特定属性情報が位置情報であり、かつ、接続要求信号に位置情報が含まれている場合には、ユーザ属性取得部32は接続要求信号に含まれている位置情報をユーザの属性として取得する。一方、プロバイダにより設定された特定属性情報が位置情報であり、かつ、接続要求信号に位置情報が含まれていない場合には、ユーザ属性取得部32は、HLR(Home Location Register)等の位置情報を管理する装置から位置情報を取得する。また、プロバイダにより設定された特定属性情報がユーザの年齢や性別等の個人情報である場合には、ユーザ属性取得部32は、当該個人情報をHLR等の加入者情報を管理する装置から取得する。
【0021】
接続先取得部33は、ユーザの属性に該当する特定属性情報に対応付けて記憶されているAPN情報を、属性対応接続先記憶部31から取得する。接続先取得部33は、取得したAPN情報をSGSN20に送信する。取得したAPN情報が複数存在する場合も同様に、SGSN20に全てのAPN情報を送信する。
【0022】
[SGSNの構成]
次に、SGSN(接続制御装置)20の構成について説明する。SGSN20は、一般的なコンピュータのハードウェア構成を備えており、CPU、記憶装置、及び、通信インターフェースを備えている。SGSN20の記憶装置には、プログラム及びデータ等のソフトウェアが記憶されている。これらのSGSN20が備えるハードウェア及びソフトウェアにより、図4に示す本発明に特徴的な機能構成がSGSN20に実現される。
同図に示す接続先取得部21は、移動機10から接続要求信号を受信した場合に、移動機10を所持するユーザの属性に応じたAPN情報を、プロバイダ呼出サーバ30から受信する。
【0023】
接続部22は、接続先取得部21により取得されたAPN情報を含む回線設定要求信号をGGSN50に送信することにより、接続先取得部21により取得されたAPN情報で識別されるプロバイダ60と移動機10との通信を接続する。
複数接続先通知部23は、接続先取得部21がプロバイダ呼出サーバ30から複数のAPN情報を受信した場合に、当該複数のAPN情報を移動機10に送信することにより、移動機10から接続可能なプロバイダ60が複数存在することをユーザに通知する。
【0024】
[移動機の構成]
次に、移動機10の構成について説明する。移動機10は、一般的な携帯電話機であり、移動機10全体を制御するCPUと、無線通信を制御する通信インターフェースと、ユーザの操作入力を受け付ける操作キーと、データを一時的に記憶する揮発性メモリと、各種プログラム及びデータを記憶する不揮発性メモリと、各種画面を表示するディスプレイと、位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)とを備えている。不揮発性メモリには、操作キーの操作により入力されたAPN情報を記憶しておく領域が設けられている。
【0025】
移動機10は、ユーザからプロバイダ60への接続指示を受けた際に、不揮発性メモリに記憶されているAPN情報と、GPSから取得した位置情報とを含んだ接続要求信号を生成し、当該接続要求信号をSGSN20に送信する。
また、移動機10は、SGSN20から複数の接続先候補(APN情報)が通知された場合に、ディスプレイに複数の接続先候補を表示する。ディスプレイに表示された複数の接続先候補の中からユーザが1つのAPN情報を選択する操作を行った場合に、移動機10は、選択されたAPN情報をSGSN20に送信する。
【0026】
[ユーザ属性連携型接続サービス処理]
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1が行うユーザ属性連携型接続サービス処理について説明する。
まず、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、移動機10から接続要求信号を受信する(ステップS101)。次に、ユーザ属性取得部32は、移動機10を所持するユーザの属性を取得する(ステップS102)。
次に、接続先取得部33は、取得されたユーザの属性を検索キーとして、属性対応接続先記憶部31に記憶されている特定属性情報を検索し、該当する特定属性情報と対応付けて記憶されているAPN情報を取得する(ステップS103)。
【0027】
接続先取得部21は、取得されたAPN情報が複数存在するか否かを判定する(ステップS104)。判定した結果、取得されたAPN情報が単数である場合には(ステップS104;No)、接続部22は、当該APN情報で識別されるプロバイダ60宛てに回線設定要求信号を送信する。これにより、移動機10と、当該APN情報で識別されるプロバイダ60との通信が接続される(ステップS107)。
【0028】
一方、取得されたAPN情報が複数存在する場合には(ステップS104;Yes)、複数接続先通知部23は、取得された複数のAPN情報を移動機10に通知する(ステップS105)。これに応答して、移動機10から、ユーザにより選択された1つのAPN情報を受信した場合には(ステップS106;Yes)、接続部22は、受信したAPN情報で識別されるプロバイダ60宛てに回線設定要求信号を送信する。これにより、移動機10と、受信したAPN情報で識別されるプロバイダ60との通信が接続される(ステップS107)。
【0029】
[ユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が単数の場合の動作例]
次に、図6を参照しながら、ユーザの属性に基づいて取得されたプロバイダのAPN情報が単数である場合の動作例について説明する。なお、前提として、プロバイダ呼出サーバ30の対応テーブル301には、図2に示す情報が記憶されているものとする。すなわち、情報提供者「プロバイダ1」、「プロバイダ2」、「プロバイダ3」により、特定属性情報として位置情報のみが設定入力されているものとする。また、ユーザの位置情報は、移動機10に搭載されているGPSから取得されるものとする。また、移動機10の不揮発性メモリには、予めAPN情報“mo.ne.jp”が記憶されているものとする。
【0030】
まず、ユーザは、プロバイダ2エリアに移動した時に、移動機10を操作してプロバイダ接続指示を行う。これにより、移動機10は、不揮発性メモリに予め記憶されているAPN情報“mo.ne.jp”を取得し、また、GPSから位置情報“プロバイダ2エリア”を取得する。そして、移動機10は、取得したAPN情報と位置情報とを含んだ接続要求信号を送信する(ステップS1)。
【0031】
SGSN20は、移動機10から受信した接続要求信号を、プロバイダ呼出サーバ30に転送する(ステップS2)。
プロバイダ呼出サーバ30は接続要求信号を受信すると、属性対応接続先記憶部31に記憶されている特定属性情報を参照して、設定されている特定属性情報が位置情報のみであることを確認する。そして、ユーザ属性取得部32は、受信した接続要求信号に含まれる位置情報“プロバイダ2エリア”を属性情報として取得する。
【0032】
接続先取得部33は、ユーザの位置情報“プロバイダ2エリア”を検索キーとして、図2に示す対応テーブル301の特定属性情報を検索する。そして、接続先取得部33は、該当する特定属性情報“位置情報:プロバイダ2エリア”に対応付けられて記憶されているAPN情報“flexible.ne.jp”を取得する(ステップS3)。プロバイダ呼出サーバ30は、取得したAPN情報“flexible.ne.jp”をDNSサーバ40に通知する(ステップS4)。
【0033】
DNSサーバ40はアドレス解決を行う(ステップS5)。具体的には、DNSサーバ40は、受信したAPN情報“flexible.ne.jp”に基づいてデータベースを検索し、「プロバイダ2」が所有するサーバであるプロバイダ60bと、プロバイダ60bを収容するGGSN50と、のIP(Internet Protocol)アドレス情報を取得する。DNSサーバ40は、取得したIPアドレス情報をSGSN20に送信する。
【0034】
SGSN20の接続先取得部21は、接続先のIPアドレス情報をDNSサーバ40から受信する。接続部22は、取得したIPアドレス情報を含む回線設定要求信号を生成し、生成した回線設定要求信号をGGSN50宛てに送信する(ステップS6)。GGSN50は、SGSN20から接続要求信号を受信すると、プロバイダ60bに接続する(ステップS7)。
【0035】
[ユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が複数の場合の動作例]
次に、図7を参照しながら、ユーザの属性に基づいて取得されたプロバイダのAPN情報が複数である場合の動作例について説明する。
ここでは、ユーザがプロバイダ1エリアと、プロバイダ2エリアと、プロバイダ3エリアとが重なっているエリアに位置していたものとする。
図7に示すステップS1及びステップS2における処理は、図6におけるステップS1及びステップS2における処理と同様である。
【0036】
ステップS3において、接続先取得部33は、ユーザの位置情報“プロバイダ1エリア、かつ、プロバイダ2エリア、かつ、プロバイダ3エリア”を検索キーとして、図2に示す対応テーブル301の特定属性情報を検索する。検索した結果、接続先取得部33は、特定属性情報“位置情報:プロバイダ1エリア”と“位置情報:プロバイダ2エリア”と“位置情報:プロバイダ3エリア”とを取得し、当該特定属性情報各々と対応付けられて記憶されているAPN情報として“somewhere.ne.jp”と、“flexible.ne.jp”と、“here.co.jp”とを取得する(ステップS3)。プロバイダ呼出サーバ30は、取得した複数のプロバイダのAPN情報をSGSN20に通知する(ステップS3−1)。
【0037】
SGSN20の接続先取得部21は、複数のAPN情報を受信する。複数接続先通知部23は、受信した複数のAPN情報を移動機10に送信する(ステップS3−2)。
移動機10は、SGSN20から受信した複数のAPN情報をディスプレイに表示する。移動機10を所持するユーザは、ディスプレイに表示された複数のAPN情報の中から、1つのAPN情報“flexible.ne.jp”を選択する操作を行う。
【0038】
これにより、移動機10は、ユーザに選択されたAPN情報“flexible.ne.jp”をSGSN20に送信する(ステップS3−3)。SGSN20は、移動機10から受信したAPN情報“flexible.ne.jp”をプロバイダ呼出サーバ30に送信する(ステップS3−4)。
ステップS4以降で行われる処理は、図6に示すステップS4以降で行われる処理と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0039】
このように、接続先取得部33により複数のプロバイダのAPN情報が取得された場合には、複数接続先通知部23により移動機10に複数のAPN情報を通知し、ユーザに1つのAPN情報を選択させることができるため、ユーザは所望のプロバイダ60に接続することができる。
なお、プロバイダ呼出サーバ30の接続先取得部33により取得されたAPN情報が複数存在した場合には、所定の基準により、複数のAPN情報についての優先順位付けを行うようにしてもよい。そして、複数のAPN情報を受信した移動機10は、優先順位順に配列されたAPN情報をディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態においては、プロバイダ呼出サーバ30の接続先取得部33により複数のAPN情報が取得された場合に、第1の実施形態のように移動機10に複数のAPN情報を送信せずに、接続先取得部33が他の要素に基づいて、1つのAPN情報を選択する。
【0041】
図8には、第2の実施の形態に係る対応テーブル301のデータ構成を示す。同図に示すように、特定属性情報は、必須属性情報と任意属性情報とで構成されている。この対応テーブル301の必須属性情報により、プロバイダは、必須属性情報で示される属性を満たすユーザのみからのアクセスを許可することとなる。また、任意属性情報は、接続先取得部33により取得されたAPN情報が複数存在する場合に、当該複数のAPN情報から1つのAPN情報を選択するために用いられる情報である。
【0042】
第2の実施の形態に係る接続先取得部33は、必須属性情報に基づいて取得されたAPN情報が複数存在する場合に、当該取得された複数のAPN情報の中から、任意属性情報に基づいてAPN情報を選択する。選択方法としては、例えば、接続先取得部33は、ユーザの属性が任意属性情報を構成する属性を全て満たす場合に、当該任意属性情報に対応するAPN情報を選択する。
【0043】
また、任意属性情報を構成する属性が複数存在する場合には、当該属性に優先順位を設けてもよい。例えば、接続先取得部33は、まず、ユーザの属性が任意属性1を満たすか否かを判断し、満たしている場合には任意属性1に対応するAPN情報を取得する。取得したAPN情報が複数存在した場合に、さらに、接続先取得部33は、ユーザの属性が任意属性2を満たすか否かを判定し、満たしている場合には任意属性2に対応するAPN情報を取得するようにしてもよい。
上述した構成以外のユーザ属性連携型接続サービスシステム1の構成は、第1の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステム1の構成と同様である。
【0044】
[ユーザ属性連携型接続サービス処理]
次に、図9に示すフローチャートを参照しながら、第2の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステム1が行うユーザ属性連携型接続サービス処理について説明する。
ステップS201からステップS204までにおいて行われる処理は、第1の実施形態におけるステップS101からステップS104までにおいて行われる処理と同様である。
ステップS204において、接続先取得部33は、属性対応接続先記憶部31に記憶されている必須属性情報の中から、ユーザの属性に該当する必須属性情報を取得する。そして、接続先取得部33は、該当する必須属性情報に対応するAPN情報を取得する。
【0045】
取得されたAPN情報が複数存在する場合に(ステップS204;Yes)、接続先取得部33は、当該取得された複数のAPN情報の中から、任意属性情報に基づいてAPN情報を選択する。具体的には、接続先取得部33は、取得された複数のAPN情報各々に対応する任意属性情報が、ユーザの属性に該当するか否かを判定する。そして、接続先取得部33は、ユーザの属性に該当していると判定された任意属性情報に対応するAPN情報を選択する。
【0046】
例えば、ユーザAが30歳代の女性であり、プロバイダ1エリアとプロバイダ3エリアとの両方のエリアに位置していた場合には、接続先取得部33は、図8に示す対応テーブル301の必須属性情報に基づいて、「プロバイダ1」のAPN情報“flexible.ne.jp”と「プロバイダ3」のAPN情報“here.co.jp”との、2つのAPN情報を取得する。
【0047】
必須属性情報に基づいて取得されたAPN情報が2つ存在するため、接続先取得部33は、当該取得された2つのAPN情報の中から、任意属性情報に基づいてAPN情報を選択する。ここでは、図8に示すように、「プロバイダ1」のAPN情報と対応付けられている任意属性情報が「性別:女性」であり、「プロバイダ3」のAPN情報と対応付けられている任意属性情報が「年齢:20代」であるため、接続先取得部33は、ユーザAの属性(女性)に該当する任意属性情報に対応する「プロバイダ1」のAPN情報“flexible.ne.jp”を選択する。
【0048】
なお、任意属性情報を用いても1つのAPN情報を選択することができなかった場合には、他の要素に基づいてさらにAPN情報を絞りこむか、もしくは、第1の実施の形態のように、複数接続先通知部23によって移動機10に複数のAPN情報を送信し、ユーザに1つのAPN情報を選択させるようにしてもよい。
以上説明したように、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1が移動機10を所持するユーザの属性に応じて接続先のプロバイダ60を切り替えることで、特定属性ユーザ向けサービスを提供するプロバイダ60に移動機10を自動的に接続させることができる。
【0049】
このため、プロバイダは、移動機10が利用した通信料のプロバイダへのリバース課金、プロバイダ独自サービス情報提供等、特定ユーザに限定したプロバイダ独自のサービスメニューを提供することができる。なお、「リバース課金」とは、移動機10の利用した通信料が通信事業者からプロバイダへ請求され、プロバイダからさらに自らの顧客である情報提供者へ課金される仕組みである。このように独自のサービスメニューを提供することができるため、プロバイダは集客力を上げることができ、他プロバイダとの差別化を図ることが可能となる。また、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1側で全て処理を行うため、移動機10やユーザに負荷がかかることがない。さらに、公衆のインターネット網を経由せずに、直接、属性に応じたプロバイダ60と接続するため、通信のセキュリティや遅延の面でも効果がある。
【0050】
ここで、プロバイダにより提供されるサービスとしては、テーマパーク関連では、乗り物の待ち時間情報、チケット発券、パレードなどの催し物情報、レストランの待ち時間情報、迷子情報、落し物情報等が考えられる。また、レストラン関連においては、おすすめメニュー、期間限定メニュー、オーダー受付、支払い、割引券についての情報が考えられる。また、ショップ関連においては、おすすめ商品、セール情報が考えられる。また、医療関連においては、病院の診療予約、順番待ち用整理券配布が考えられる。また、企業内のイントラネット接続サービスも考えられる。 そして、ユーザは、アクセスするAPNを意識することなく、また、切り替え操作を行うことなく、ユーザの属性に応じた適切なプロバイダ60に接続することが可能となる。これにより、ユーザは、自己の特定の属性に特化したサービス情報の提供を受けることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態においては、移動機10は、GPSにより位置情報を取得するとして説明したが、移動機10が位置情報を取得する方法はこれに限定されない。例えば、移動機10を収容する基地局のIDから位置情報を取得してもよい。
また、上述した実施形態においては、ユーザ属性連携型接続サービスシステム1は、移動機10とプロバイダ60との通信を接続するサービスを提供するとして説明したが、プロバイダ60に限定されず、例えば企業LANとの接続サービスであってもよい。また、プロバイダ60は、ユーザの属性に応じたサービスを提供する装置であればよい。また、上述した実施形態においては、接続先情報としてAPN情報を用いたが、接続先情報は、プロバイダ60をネットワーク上で識別するための情報であればよい。
【0052】
また、属性情報としては、位置情報、性別、生年月日、名前以外に、住所、職業、趣、身長、体重、嗜好等を含めることもできる。
また、移動機10は携帯電話機に限定されず、通信可能な通信端末であればよい。例えば、PHS(Personal Handyphone System)でも、PDA(Personal Digital Assistance)でも、パーソナルコンピュータでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ユーザ属性に応じたサービスの提供に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステムの構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係る対応テーブルのデータ構成を示す図である。
【図3】同実施の形態に係るプロバイダ呼出サーバの機能構成を示す図である。
【図4】同実施の形態に係るSGSNの機能構成を示す図である。
【図5】同実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態に係るユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が単数の場合の動作例を説明するための図である。
【図7】同実施の形態に係るユーザ属性に基づいて取得されたAPN情報が複数の場合の動作例を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る対応テーブルのデータ構成を示す図である。
【図9】同実施の形態に係るユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】従来の接続処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ユーザ属性連携型接続サービスシステム
10 移動機
20 SGSN
21 接続先取得部
22 接続部
23 複数接続先通知部
30 プロバイダ呼出サーバ
301 対応テーブル
31 属性対応接続先記憶部
32 ユーザ属性取得部
33 接続先取得部
40 DNSサーバ
50 GGSN
60,60a,60b,60c プロバイダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、
通信端末から接続要求信号を受信したときに、前記通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、
前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性と、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報とに基づいて、該当する接続先情報を前記属性対応接続先記憶手段から取得する接続先取得手段と、
前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段と
を備えることを特徴とするユーザ属性連携型接続サービスシステム。
【請求項2】
前記接続先取得手段により複数の接続先情報が取得された場合に、該取得された複数の接続先情報を前記通信端末に通知する複数接続先通知手段をさらに備え、
前記接続手段は、
前記複数接続先通知手段による通知に応答して、1つの接続先情報を含む応答信号を前記通信端末から受信した場合に、該1つの接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続することを特徴とする
請求項1に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステム。
【請求項3】
前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報には、必須属性情報と任意属性情報とが含まれ、
前記接続先取得手段は、
前記必須属性情報に基づいて取得された接続先情報が複数存在する場合に、該複数の接続先情報の中から、前記任意属性情報に基づいて、該当する接続先情報を選択することを特徴とする
請求項1又は2に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステム。
【請求項4】
接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、
通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、
前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性に該当する特定属性情報に対応付けられて、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている接続先情報を取得する接続先取得手段と
を備えることを特徴とする接続先判定装置。
【請求項5】
通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得する接続先取得手段と、
前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段と
を備えることを特徴とする接続制御装置。
【請求項6】
ユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス方法において、
通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得するユーザ属性取得ステップと、
前記ユーザ属性取得ステップにおいて取得されたユーザの属性に基づいて、該通信端末が接続すべき接続先装置を判定する接続先判定ステップと、
前記接続先判定ステップにおいて判定された接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続ステップと
を有することを特徴とするユーザ属性連携型接続サービス方法。
【請求項1】
接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、
通信端末から接続要求信号を受信したときに、前記通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、
前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性と、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報とに基づいて、該当する接続先情報を前記属性対応接続先記憶手段から取得する接続先取得手段と、
前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段と
を備えることを特徴とするユーザ属性連携型接続サービスシステム。
【請求項2】
前記接続先取得手段により複数の接続先情報が取得された場合に、該取得された複数の接続先情報を前記通信端末に通知する複数接続先通知手段をさらに備え、
前記接続手段は、
前記複数接続先通知手段による通知に応答して、1つの接続先情報を含む応答信号を前記通信端末から受信した場合に、該1つの接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続することを特徴とする
請求項1に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステム。
【請求項3】
前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている特定属性情報には、必須属性情報と任意属性情報とが含まれ、
前記接続先取得手段は、
前記必須属性情報に基づいて取得された接続先情報が複数存在する場合に、該複数の接続先情報の中から、前記任意属性情報に基づいて、該当する接続先情報を選択することを特徴とする
請求項1又は2に記載のユーザ属性連携型接続サービスシステム。
【請求項4】
接続先装置を識別するための接続先情報と、該接続先装置に接続すべきユーザの属性を示す特定属性情報と、を対応付けて記憶する属性対応接続先記憶手段と、
通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性を取得するユーザ属性取得手段と、
前記ユーザ属性取得手段により取得されたユーザの属性に該当する特定属性情報に対応付けられて、前記属性対応接続先記憶手段に記憶されている接続先情報を取得する接続先取得手段と
を備えることを特徴とする接続先判定装置。
【請求項5】
通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得する接続先取得手段と、
前記接続先取得手段により取得された接続先情報で識別される接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続手段と
を備えることを特徴とする接続制御装置。
【請求項6】
ユーザ属性連携型接続サービスシステムが行うユーザ属性連携型接続サービス方法において、
通信端末から接続要求信号を受信したときに、該通信端末を所持するユーザの属性に応じた接続先情報を取得するユーザ属性取得ステップと、
前記ユーザ属性取得ステップにおいて取得されたユーザの属性に基づいて、該通信端末が接続すべき接続先装置を判定する接続先判定ステップと、
前記接続先判定ステップにおいて判定された接続先装置と前記通信端末との通信を接続する接続ステップと
を有することを特徴とするユーザ属性連携型接続サービス方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−146795(P2006−146795A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339171(P2004−339171)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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