説明

ライセンス自動選択システム、ライセンス自動選択方法、プログラム

【課題】コンテンツの複数ライセンスの中から適切なライセンスを自動的に選択することが可能なライセンス自動選択システム等を提供する。
【解決手段】サーバ5は、端末3に対してコンテンツ18の試読、購入、他のユーザへの貸し出し時、ライセンス25を発行する。端末3は、サーバ5から受信したライセンス25をライセンス保持部16に保持する。ライセンス25は、コンテンツ18の閲覧回数41、開始日42、終了日43、無効化ライセンス44等の利用ルール26を有する。ユーザが端末3からコンテンツ18を閲覧する際、端末3の演算実行部12はライセンス保持部16に保持する各ライセンス25の利用ルール26の値に応じて、演算規則保持部17に保持する演算規則に従って演算を行い、演算結果のスコアが高いライセンス25を選択し、コンテンツ18を閲覧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツのオンライン配信サービスにおいて、コンテンツの複数ライセンスから自動選択を行うことが可能なライセンス自動選択システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンのような携帯型の端末が普及し、音楽や映像、あるいは、コミックや雑誌等の著作物である書籍のオンライン配信サービスが広く利用されている。書籍等のコンテンツの著作権を管理するため、コンテンツを利用するためには、利用条件等が規定されているライセンスを取得する。
今後、コンテンツのサービスが多様化すると、コンテンツの試読、期限付き貸し借り等を行う際、ライセンスの利用条件の書き換えが必要になり、ライセンスの取り扱いも複雑化する。
【0003】
特許文献1のシステムは、コンテンツの既存ライセンスに追加する形でライセンスルールを発行し、既存ライセンスとランセンスルールの論理和を用いてコンテンツの視聴制御を行ったり、視聴回数あるいは視聴期間を加算したり、ライセンスルールで上書きする方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4612475号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、コンテンツ毎に1つのライセンスのみを保持しているため、期限付き貸し借り、試読等のサービスを受けるたびにライセンスの利用条件を書き換える必要がある。そして、ライセンスの利用条件の書き換えはサーバを経由して行う必要があり、オフライン状態では利用条件の書き換えができない等、ユーザにとって不便であった。例えば、あるユーザから他のユーザに対してコンテンツの期限付き貸与を行う場合、貸し出し元のユーザは、当初、「いつでも閲覧できるライセンス」を保持しているが、他のユーザへの貸し出し時、「貸し出し期間中は閲覧できないライセンス」を取得し、貸し出し期間終了後は再び「いつでも閲覧できるライセンス」を取得する必要がある。ここで、貸し出し元のユーザが当初保持していた「いつでも閲覧できるライセンス」と、貸し出し期間終了後に取得する「いつでも閲覧できるライセンス」は同じライセンスである。このように、ユーザはコンテンツの貸し出し時や貸し出し終了時等、利用条件の変更のたびにサーバに接続し、同じライセンスを再度取得することは、利便性が悪い。
【0006】
また、サーバを経由することなく、ライセンスの利用条件をクライアント側で書き換えるという方法もあるが、ユーザ側でライセンスの改変を可能とすることはセキュリティ面で好ましくない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コンテンツの複数ライセンスの中から適切なライセンスを自動的に選択することが可能なライセンス自動選択システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、端末と、コンテンツの利用ルールを有する1又は複数のライセンスを発行するサーバと、から構成されるライセンス自動選択システムであって、前記端末は、予め定められる演算規則に従って演算を実行し、演算結果に応じた前記ライセンスを選択する演算実行手段、を具備することを特徴とするライセンス自動選択システムである。
第1の発明によって、コンテンツの複数ライセンスの中から適切なライセンスを自動的に選択することができる。
【0009】
第1の発明の前記サーバは、前記端末に前記ライセンスを発行するライセンス発行手段と、前記演算規則を前記端末に送信する演算規則送信手段と、を具備し、前記端末は、前記サーバに前記ライセンスの発行を要求するライセンス要求手段と、前記ライセンスを保持するライセンス保持手段と、前記サーバから前記演算規則を受信する演算規則受信手段と、前記演算規則を保持する演算規則保持手段と、を具備することが望ましい。
これによって、端末自らがライセンス及び演算規則を保持するので、サーバへのアクセスが必要最小限に留まり、利便性が向上する。
【0010】
また、第1の発明の前記利用ルールは、例えば、前記コンテンツを閲覧可能な残り回数を示す閲覧回数、前記ライセンスが有効となる開始日、前記ライセンスが無効となる終了日、及び前記ライセンスが無効化ライセンスか否かを示す無効化ライセンスを含む。
これによって、サーバは、様々な利用ルールを有するライセンスを発行することができる。
【0011】
また、第1の発明の前記サーバが具備する前記演算規則送信手段は、前記利用ルールの項目の追加、及び前記演算規則の変更がある場合、前記端末に前記演算規則を送信することが望ましい。
これによって、ユーザの利便性を維持しつつ、新たなライセンスを適用することができる。
【0012】
第2の発明は、端末と、コンテンツの利用ルールを有する1又は複数のライセンスを発行するサーバと、から構成されるライセンス自動選択システムにおけるライセンス自動選択方法であって、前記端末が、予め定められる演算規則に従って演算を実行し、演算結果に応じた前記ライセンスを選択する演算実行ステップ、を実行することを特徴とするライセンス自動選択方法である。
第2に発明によって、コンテンツの複数ライセンスの中から適切なライセンスを自動的に選択することができる。
【0013】
第2の発明は、前記端末が、前記サーバに前記ライセンスの発行を要求するステップと、前記サーバが、前記端末に前記ライセンスを発行するステップと、前記端末が、前記ライセンスを保持するステップと、前記サーバが、前記演算規則を前記端末に送信するステップと、前記端末が、前記サーバから前記演算規則を受信するステップと、前記端末が、前記演算規則を保持するステップと、を更に実行することが望ましい。
これによって、端末自らがライセンス及び演算規則を保持するので、サーバへのアクセスが必要最小限に留まり、利便性が向上する。
【0014】
第3の発明は、複数のコンピュータを、第1の発明の前記端末と、前記サーバとして機能させるためのプログラムである。
第3の発明を汎用的なコンピュータにインストールすることによって、第1の発明を構築することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、コンテンツの複数ライセンスの中から適切なライセンスを自動的に選択することが可能なライセンス自動選択システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るライセンス自動選択システム1の概要を示す図
【図2】端末3、サーバ5を実現するコンピュータのハードウエア構成図
【図3】ライセンス25の利用ルール26の詳細を示す図
【図4】演算規則27の詳細を示す図
【図5】端末3の演算実行部12が図4の演算規則27に従って行う処理の流れを示すフローチャート
【図6】コンテンツ18を試読する場合のライセンス25の利用ルール26の設定例を示す図
【図7】コンテンツ18を購入した場合のライセンス25の利用ルール26の設定例を示す図
【図8】コンテンツ18を他のユーザに貸し出した場合のライセンス25の利用ルール26の設定例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0018】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係るライセンス自動選択システム1の概要について説明する。尚、ライセンスの自動選択のための利用ルールや演算規則の設定、自動選択の処理については、図3〜図8を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るライセンス自動選択システム1の概要を示す図である。
ライセンス自動選択システム1は、ユーザがコミック、雑誌、書籍等のコンテンツを利用可能なシステムである。ライセンス自動選択システム1は、端末3、サーバ5等を有する。
【0019】
サーバ5は、ユーザの端末3が利用するコンテンツのライセンスの発行や、ライセンスの自動選択のための演算規則の管理をする。サーバ5は、ライセンス発行部21、演算規則送信部22、演算規則保持部23等を有する。
ライセンス発行部21は、クライアントである端末3に対して、コンテンツ利用のためのライセンス25を発行する。ライセンス25は、コンテンツの利用ルール26と、コンテンツを閲覧するための鍵を有する。利用ルール26の詳細については後述する。
【0020】
演算規則保持部23は、端末3がどのライセンスを使用するかを決定するための演算の演算規則を保持する。後述するように、端末3は、各ライセンス25が保持する利用ルール26の値に応じて、各ライセンス25のスコアを計算する。そして、端末3は、スコアの一番高いライセンス25を使ってコンテンツの閲覧を可能にする。
演算規則送信部22は、利用ルール26の項目の追加、演算規則の変更等があった場合、演算規則保持部23(演算規則保持部)から演算規則27を端末3に送信する。
【0021】
端末3は、ユーザが所有するスマートフォン、読書端末、携帯電話等、コンテンツを閲覧可能な端末機器である。端末3は、ライセンス要求部11、演算実行部12、演算規則受信部13、入力部14、表示部15、ライセンス保持部16、演算規則保持部17、コンテンツ18を有する。
ライセンス要求部11は、コンテンツ18を購入時、コンテンツ18を他のユーザに貸し出す時、貸し出したコンテンツ18の貸し出し期間終了時、コンテンツ18の試読する時等、必要に応じてコンテンツ18を閲覧するためのライセンス25をサーバ5に要求し、取得したライセンス25をライセンス保持部16に格納する。
ライセンス保持部16は、ライセンス要求部11がサーバ5より取得したライセンス25を複数保持する。
【0022】
演算実行部12は、ユーザがコンテンツ18を閲覧しようとする時、ライセンス保持部16が保持するコンテンツ18に対応する1又は複数のライセンス25の中から、各ライセンス25の利用ルール26を参照し、演算規則保持部17に保持する演算規則に従って演算を行い、最適なライセンス25を決定する。利用ルール26の値により演算結果は異なるため、ライセンス保持部16が保持する複数のライセンス25の中から最適なものを決定することができる。
演算規則保持部17は、演算実行部12が実行する演算のための演算規則を保持する。
演算規則受信部13は、ライセンス25の利用ルール26の項目が追加されたり、サーバ5が保持している演算規則保持部23が変更されたりした場合、サーバ5の演算規則送信部22から新しい演算規則27を受信し、演算規則保持部17に保持する。
【0023】
入力部14は、ユーザによる端末3への操作指示、動作指示、データ入力等を受け付ける。
表示部15は、コンテンツ18の内容等を表示する。
【0024】
図2は、端末3、サーバ5を実現するコンピュータのハードウエア構成図である。尚、図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
コンピュータは、制御部31、記憶部32、入力部33、表示部34、通信部35等が、バス36を介して接続される。
【0025】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
CPUは、記憶部32、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス36を介して接続された各装置を駆動制御し、コンピュータが行う後述する処理を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、プログラムやデータ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部32、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部31が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0026】
記憶部32は、フラッシュメモリ等であり、制御部31が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ等が格納される。これらの各プログラムコードは、制御部31のCPUにより必要に応じて読み出されてRAMに移され、各種の手段として実行される。
【0027】
入力部33は、データの入力を行い、例えば、タッチパネル、キー等の入力装置を有する。入力部33を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
表示部34は、液晶パネル等のディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。尚、入力部33及び表示部34は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。
通信部35は、コンピュータとネットワーク間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワークを介して、他のコンピュータ等と通信を行う。ネットワークは、有線、無線を問わない。
バス36は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0028】
次に、端末3でコンテンツ18を閲覧するためのライセンス25の利用ルール26について説明する。
図3は、ライセンス25の利用ルール26の詳細を示す図である。
利用ルール26は、項目として閲覧回数41、開始日42、終了日43、無効化ライセンス44等を有する。
【0029】
閲覧回数41は、ユーザが端末3でコンテンツ18を閲覧可能な残り回数を示すデータである。閲覧回数41は、ユーザが端末3でコンテンツ18を閲覧する毎に1減分される。閲覧回数41の値が0の場合、ユーザは端末3で該当するコンテンツ18を閲覧することはできない。コンテンツ18を購入した場合、ユーザは端末3でコンテンツ18の閲覧回数を制限されないため、閲覧回数41には例えば「9999999」のようなMAXの値を設定する。
開始日42は、ライセンス25が有効となる開始日を示すデータである。開始日42には、端末3がサーバ5からライセンス25を受信した日付を設定する。
終了日43は、ライセンス25が無効となる終了日を示すデータである。コンテンツ18の試読、あるいは、期限付き貸し出しの場合、試読期間の終了日、あるいは貸し出し期限終了日を設定する。コンテンツ18を購入した場合、ユーザは端末3でコンテンツ18の閲覧が永久的に可能であるため、終了日43には例えば「9999999」のようなMAXの値を設定する。
【0030】
無効化ライセンス44は、ライセンス25が無効化ライセンスであるかどうかを示すフラグで、「true」あるいは「false」の値を有する。
無効化ライセンス44の値が「true」の場合、ライセンス25は「閲覧できないライセンス」であり、開始日42から終了日43の間、ユーザは端末3でコンテンツ18を閲覧することができない無効化ライセンスとなる。
無効化ライセンス44の値が「false」の場合、ライセンス25は「閲覧できるライセンス」であり、開始日42から終了日43の間、ユーザは端末3でコンテンツ18を閲覧することができる通常ライセンスとなる。
【0031】
利用ルール26は、閲覧回数41、開始日42、終了日43、無効化ライセンス44の他に、貸し出し可能な範囲を示すグループ、ユーザによる閲覧時間、ライセンス25が購入したコンテンツのものか、あるいは、他のユーザから借りたコンテンツであるかを示すフラグ等を項目として持つようにしてもよい。
【0032】
次に、端末3でコンテンツ18を閲覧するためのライセンス25を決定するための演算で使用する演算規則27について説明する。
図4は、演算規則27の詳細を示す図である。
演算規則27は、演算条件51、演算内容52、演算優先度53を有する。
演算優先度53は、端末3の演算実行部12により実行される演算の優先度を示す。
演算条件51は、端末3の演算実行部12が、演算内容52で示す演算を行うかどうかの条件を示す。演算条件51が設定されている場合、演算条件51を満足する場合のみ、演算内容52に示す処理を行う。
【0033】
例えば、図4に示す演算規則27を適用する場合、端末3の演算実行部12は、コンテンツ18に対応する各ライセンス25の利用ルール26の値を用いて、演算優先度53が「1」から「5」の順番に演算を行う。
演算優先度53が「1」の処理は、演算条件51「利用ルール26の開始日42が現在日付より大きい場合」、即ち、現在が開始日42より前の場合、演算内容52「×0」の演算を行う。
演算優先度53が「2」の処理は、演算条件51「利用ルール26の終了日43が現在日付以下の場合」、即ち、現在が終了日43以降の場合、演算内容52「×0」の演算を行う。
演算優先度53が「3」の処理は、演算条件51「利用ルール26の終了日がMAXの値でない場合」、即ち、対応するコンテンツ18を購入したもの以外の場合、演算内容52「÷(終了日―現在)」の演算を行う。ここで、「MAX」とは、コンピュータが扱うことが可能な最大の値を意味する。
演算優先度53が「4」の処理は、演算条件51が設定されていないため、演算内容52「×N」の演算を無条件で行う。
演算優先度53が「5」の処理は、演算条件51「無効化ライセンスがfalseの場合」、演算内容52により演算結果を「−1」とする。
【0034】
図5は、端末3の演算実行部12が図4の演算規則27に従って行う処理の流れを示すフローチャートである。以下、説明を分かり易くする為、端末3の処理については、各プログラムを主体として記載する。実際には、端末3の制御部31が各処理を実行する。
端末3の演算実行部12は、演算を行う変数xの初期値として、例えば「100」のような適切な値を設定する。
端末3の演算実行部12は、利用ルール26の開始日42が現在より大きい場合(ステップS101のYes)、変数x×0の演算を行う(ステップS102)。利用ルール26の開始日42が現在以下の場合(ステップS101のNo)、変数xに対する演算は行わない。
【0035】
続いて、端末3の演算実行部12は、利用ルール26の終了日43が現在以下の場合(ステップS103のYes)、変数x×0の演算を行う(ステップS104)。利用ルール26の終了日が現在より大きい場合(ステップS103のNo)、変数xに対する演算は行わない。
端末3の演算実行部12は、利用ルール26の終了日43がMAXの値ではない場合(ステップS105のYes)、変数x÷(終了日−現在)の演算を行う(ステップS106)。利用ルール26の終了日43がMAXの値の場合(ステップS105のNo)、変数xに対する演算は行わない。
端末3の演算実行部12は、無条件で変数x×閲覧回数41の演算を行う(ステップS107)。
端末3の演算実行部12は、利用ルール26の無効化ライセンス44が「false」の場合、変数xの値を「−1」とする(ステップS109)。
端末3の演算実行部12は、得られた変数xを演算結果とし、各ライセンス25の演算結果を比較し、演算結果の値が最も大きいライセンス25を選択する。
【0036】
次に、図6〜8を参照しながら、ライセンス自動選択システム1において様々な状況におけるライセンス25の利用ルール26の設定例について説明する。
図6は、コンテンツ18を試読する場合のライセンス25の利用ルール26aの設定例を示す図、図7は、コンテンツ18を購入した場合のライセンス25の利用ルール26bの設定例を示す図、図8は、コンテンツ18を他のユーザに貸し出した場合のライセンス25の利用ルール26cの設定例を示す図である。
【0037】
ユーザが端末3を用いてコンテンツ18を試読する場合、コンテンツ18の閲覧回数や試読できる期間が制限される。例えば、試読の場合、閲覧は3回まで、試読できる期間は10日間であるとすると、サーバ5は、図6に示すように、閲覧回数41の値を「3」、開始日42はライセンス25をサーバ5から端末3にダウンロードした日付である「2011/09/01」、終了日43を開始日から9日後の「2011/09/10」と設定した利用ルール26aを有する試読用のライセンス25を発行する。試読によりコンテンツ18を閲覧することが可能となるため、無効化ライセンス44は「false」に設定する。
【0038】
ユーザが試読後にコンテンツ18を購入した場合、あるいは、試読なしでコンテンツ18を購入した場合、サーバ5は購入用のライセンス25を発行する。図7に示すように、購入したコンテンツ18のライセンス25の利用ルール26bは、閲覧回数41の値を「MAX」、開始日42は最初にライセンス25をサーバ5から端末3にダウンロードした日付である「2011/09/01」、終了日43の値を「MAX」と設定する。購入によりコンテンツ18を閲覧することが可能となるため、無効化ライセンス44は「false」に設定する。
【0039】
ユーザが2011年9月1日にコンテンツ18を試読後、同じ日にコンテンツ18を購入した場合、端末3のライセンス保持部16は利用ルール26aのライセンス25aと、利用ルール26bのライセンス25bの二つのライセンスを保持する。
この場合、2011年9月5日にユーザが端末3でコンテンツ18を閲覧しようとした場合、端末3の演算実行部12はライセンス25a、ライセンス25bに対して演算を実行する。図5に示す演算の結果、試読用のライセンス25aのスコアは「59」、購入済みのライセンス25bのスコアは「MAX−1」となり、端末3の演算実行部12は購入済みライセンスであるライセンス25bを選択する。2011年9月5日は、まだ試読ができる期間内ではあるが、ユーザは既にそのコンテンツ18を購入しているので購入済みのライセンスであるライセンス25bで閲覧することが適切である。
【0040】
端末3のライセンス保持部16でライセンス25aとライセンス25bを保持し、ユーザが試読期間終了後の2011年9月11日にユーザが端末3でコンテンツ18を閲覧しようとした場合、端末3の演算実行部12はライセンス25a、ライセンス25bに対して演算を実行する。図5に示す演算の結果、試読用のライセンス25aのスコアは「−1」、購入済みのライセンス25bのスコアは「MAX−1」となり、端末3の演算実行部12は購入済みライセンスであるライセンス25bを選択する。2011年9月11日は、試読期間が終了しているため、ユーザは既にそのコンテンツ18を購入しているので購入済みのライセンスであるライセンス25bで閲覧することが適切である。
【0041】
ユーザがコンテンツ18を購入後に他のユーザに7日間、コンテンツ18を貸し出す場合、サーバ5は貸し出し中のライセンス25を発行する。図8に示すように、購入したコンテンツ18のライセンス25の利用ルール26cは、閲覧回数41の値を「MAX」、開始日42はコンテンツ18を他のユーザに貸し出した日付である「2011/09/11」、終了日43は貸し出しが終了する「2011/09/17」と設定する。ユーザは貸し出しによりコンテンツ18を閲覧することが不可能となるため、無効化ライセンス44は「true」に設定する。
【0042】
ユーザが2011年9月11日にコンテンツ18を他のユーザに貸し出した場合、端末3のライセンス保持部16は利用ルール26aのライセンス25aと、利用ルール26bのライセンス25b、利用ルール26cのライセンス25cの三つのライセンスを保持する。
他のユーザにコンテンツ18を貸し出し中の2011年9月12日にユーザが端末3でコンテンツ18を閲覧しようとした場合、端末3の演算実行部12はライセンス25a、ライセンス25b、ライセンス25cに対して演算を実行する。図5に示す演算の結果、試読用のライセンス25aのスコアは「−1」、購入済みのライセンス25bのスコアは「MAX−1」、貸し出し中のライセンス25cのスコアは「MAX」となり、端末3の演算実行部12は貸し出し中のライセンスであるライセンス25cを選択する。2011年9月11日は他のユーザへの貸し出し期間内であり、ユーザはコンテンツ18を閲覧することはできないため、貸し出し中ライセンスであるライセンス25cが選択され、ユーザの端末3での閲覧は不可となる。
【0043】
他のユーザへの貸し出し期間終了後の2011年9月21日にユーザが端末3でコンテンツ18を閲覧しようとした場合、端末3の演算実行部12はライセンス25a、ライセンス25b、ライセンス25cに対して演算を実行する。図5に示す演算の結果、試読用のライセンス25aのスコアは「−1」、購入済みのライセンス25bのスコアは「MAX−1」、貸し出し用のライセンス25cのスコアは「0」となり、端末3の演算実行部12は購入済みライセンスであるライセンス25bを選択する。2011年9月21日は、他のユーザへの貸し出し期間が終了しているため、購入済みのライセンスであるライセンス25bで閲覧することが適切である。
また、端末3の演算実行部12による演算により、他のユーザへの貸し出し期間終了後、ユーザがコンテンツ18を購入した当初のライセンス25bが自動的に選択されるため、サーバ5は貸し出し期間終了後に端末3に対してライセンスを再発行する必要はない。
【0044】
以上説明したように、本発明に係るライセンス自動選択システムでは、コンテンツの予め設定されたライセンスの利用ルールと演算規則に従って演算を行い、各ライセンスのスコアを求め、スコアの一番高いライセンスを選択することにより、コンテンツ閲覧のため、複数のライセンスの中から適切なライセンスを決定することが可能となる。
また、コンテンツのライセンスの利用ルールの追加や、演算規則の変更を行っても、端末3はサーバ5から演算規則27をダウンロードし保持しているため、ユーザの端末3は他のユーザへのコンテンツを貸し出した際、貸し出し中、貸し出し終了等のコンテンツ18のステータスの変更のたびに、サーバ5に対してライセンスを問い合わせたり、再発行を要求したりする必要はなく、また、端末3がサーバ5に接続することができないオフライン環境においてもコンテンツの閲覧が可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るライセンス自動選択システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0046】
1………ライセンス自動選択システム
3………端末
5………サーバ
11………ライセンス要求部
12………演算実行部
13………演算規則受信部
14………入力部
15………表示部
16………ライセンス保持部
17………演算規則保持部
18………コンテンツ
21………ライセンス発行部
22………演算規則送信部
23………演算規則保持部
25………ライセンス
26………利用ルール
27………演算規則

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、コンテンツの利用ルールを有する1又は複数のライセンスを発行するサーバと、から構成されるライセンス自動選択システムであって、
前記端末は、
予め定められる演算規則に従って演算を実行し、演算結果に応じた前記ライセンスを選択する演算実行手段、
を具備することを特徴とするライセンス自動選択システム。
【請求項2】
前記サーバは、
前記端末に前記ライセンスを発行するライセンス発行手段と、
前記演算規則を前記端末に送信する演算規則送信手段と、
を具備し、
前記端末は、
前記サーバに前記ライセンスの発行を要求するライセンス要求手段と、
前記ライセンスを保持するライセンス保持手段と、
前記サーバから前記演算規則を受信する演算規則受信手段と、
前記演算規則を保持する演算規則保持手段と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載のライセンス自動選択システム。
【請求項3】
前記利用ルールは、前記コンテンツを閲覧可能な残り回数を示す閲覧回数、前記ライセンスが有効となる開始日、前記ライセンスが無効となる終了日、及び前記ライセンスが無効化ライセンスか否かを示す無効化ライセンスを含むことを特徴とする請求項2に記載のライセンス自動選択システム。
【請求項4】
前記サーバが具備する前記演算規則送信手段は、前記利用ルールの項目の追加、及び前記演算規則の変更がある場合、前記端末に前記演算規則を送信することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のライセンス自動選択システム。
【請求項5】
端末と、コンテンツの利用ルールを有する1又は複数のライセンスを発行するサーバと、から構成されるライセンス自動選択システムにおけるライセンス自動選択方法であって、
前記端末が、予め定められる演算規則に従って演算を実行し、演算結果に応じた前記ライセンスを選択する演算実行ステップ、
を実行することを特徴とするライセンス自動選択方法。
【請求項6】
前記端末が、前記サーバに前記ライセンスの発行を要求するステップと、
前記サーバが、前記端末に前記ライセンスを発行するステップと、
前記端末が、前記ライセンスを保持するステップと、
前記サーバが、前記演算規則を前記端末に送信するステップと、
前記端末が、前記サーバから前記演算規則を受信するステップと、
前記端末が、前記演算規則を保持するステップと、
を更に実行することを特徴とする請求項5に記載のライセンス自動選択方法。
【請求項7】
複数のコンピュータを、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の前記端末と、前記サーバとして機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114450(P2013−114450A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260068(P2011−260068)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)