ラッチニードル
【課題】糸屑等が詰まり難いラッチばねを備えたラッチニードルを提供する。
【解決手段】フック11を備える針本体10にラッチ13を設けたラッチニードルであり、針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部12が針本体10に設けられ、かつ突条部12の底部の隣接する部分に棚部12cが形成され、ラッチ13が突条部側面にピン15により支承され、棚部12cにラッチばね14を保持したものである。
【解決手段】フック11を備える針本体10にラッチ13を設けたラッチニードルであり、針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部12が針本体10に設けられ、かつ突条部12の底部の隣接する部分に棚部12cが形成され、ラッチ13が突条部側面にピン15により支承され、棚部12cにラッチばね14を保持したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針本体に回転自在に支持されたラッチを備える編機用等に用いられるラッチニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラッチニードルについて、図9〜図11を参照し説明する。図9のラッチニードルは、針本体1の一端部にフック2が設けられ、かつ針本体1にはラッチ(ベラ)3を回動自在に支承する曲面状軸部1aが設けられ、ラッチ3はその外先端面が曲面を呈し、ラッチ3の内先端面にフック2が当接するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。図10のラッチニードルは、針本体1の先端部にフック2が備えられ、針本体1に隙間又は切られた溝4が形成され、ラッチ3が針本体1に回動自在に支承されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、図11(a)〜(c)のラッチニードルは、針本体1の先端部にフック2が備えられ、針本体1に切られて底抜き窓を設けた溝4が形成され、溝4底部にラッチばね5が形成され、ラッチ3はフック2又は座打ち部7から若干浮いた位置に保持するためにラッチばね5により一定の力が与えられるとともに針本体1にピン6により回転自在に支承されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3728874号明細書
【特許文献2】米国特許第1818746号明細書
【特許文献3】特開平11−286857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のラッチニードルは、編成時にループが針に掛かっていないラッチをフック又は座打ち部から若干浮いた位置に保持するためのラッチばねが針本体の溝に設けられており、編成時に発生した塵や糸屑等がこの溝の中に溜まり排除し難いことがあった。塵や糸屑等が溝内にたまると、ラッチの開閉運動を邪魔して望ましい機能が得られないことがあった。このような問題点を解消するために、特許文献3に示したように、針本体に溝を設けたて糸屑等が溜まらないように底抜き窓を設けたものであるが、ラッチにラッチ機能を付与すべくラッチばねが、ラッチの端面が接触してラッチがフック又は座打ち部から若干浮いた位置に保持し得るように、溝の底抜き窓を塞ぐように設けられており、その結果、糸屑等がラッチばねに塞がれた溝に溜まって、ラッチが開閉するためのスペースが狭くなったり、溝とラッチとの隙間に詰まってしまい、ラッチのスムーズな開閉動作を阻害する欠点があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、塵や糸屑等が詰まり難いラッチばねを備えたラッチニードルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決したものであって、請求項1の発明は、フックを備える針本体にラッチを設けたラッチニードルにおいて、
前記針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部が該針本体に設けられ、かつ該突条部の底部に隣接する部分に棚部が形成され、該突条部側面に前記ラッチをピンにより支承し、該棚部に該ラッチが接触するラッチばねを保持したことを特徴とするラッチニードルである。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記突条部が前記針本体側面と異なる2つの側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の一側面までの棚部巾と、該針本体の他の側面から突条部の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は何れかに片寄りがあることを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルである。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記突条部が前記針本体側面と異なる単一の側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の側面までの突条部巾と、該突条部の該針本体側面と異なる側面から該針本体の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は該突条部巾が該棚部巾より広いことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、フックを備える針本体にラッチを設けたラッチニードルにおいて、
前記針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部が該針本体に設けられ、かつ該突条部の底部に隣接する部分に棚部が形成され、該突条部側面に前記ラッチをピンにより支承し、該棚部に該ラッチが接触するラッチばねを保持したことを特徴とするラッチニードルであるので、突条部の少なくとも一側面は針本体の側面が切欠面であり、針本体の棚部にラッチばねが設けられているとしてもこの棚部は一側面が開放されており、塵や糸屑等が側面から抜けて溜まり難く、ラッチが開閉動作するためのスペースが狭くなったり、溝とラッチとの隙間に詰まってしまい、ラッチのスムーズな動きを阻害するといった欠点を解消することができる。
【0011】
また、請求項2の発明では、前記突条部が前記針本体側面と異なる2つの側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の一側面までの棚部巾と、該針本体の他の側面から突条部の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は何れかに片寄りがあることを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルであるので、ラッチの形状に応じて針本体に設けた突条部の形状を適宜選択することができ、編成する糸の性質等に応じて最適なラッチニードルを提供できる利点がある。
【0012】
また、請求項3の発明では、前記突条部が前記針本体側面と異なる単一の側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の側面までの突条部巾と、該突条部の該針本体側面と異なる側面から該針本体の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は該突条部巾が該棚部巾より広いことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルであるので、ラッチの形状に応じて針本体に設けた突条部の形状を適宜選択することができ、編成する糸の性質等に応じて最適なラッチニードルを提供できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るラッチニードルの実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本発明の一実施形態を示す側面図であり、図2はそのA−A矢視断面図である。図3(a),(b)はラッチの斜視図であり、図4は図3(b)のラッチの展開図である。図5(a),(b)は本実施形態における種々形態の針本体の断面図であり、図6(a),(b)は他の実施形態における種々形態の針本体の断面図である。図7(a),(b)は他の実施形態及びその動作を示す斜視図であり、図8(a),(b)は他の実施形態のラッチの斜視図である。
【0014】
本実施形態は、図1,図2に示すように、針本体10の先端部にフック11が設けられ、フック11の根本部分には、針本体10の拡幅部の両側面を軸方向に略円弧状に切り欠いた突条部12が形成され、突条部12にはラッチ(ベラ)13がリベット等のピン15により回転自在に支承される側面12a,12bを有し、突条部12の底部両側に隣接して軸方向に湾曲した棚部12cが形成されている。棚部12cには、編成時にループが針に掛かっていないラッチ13をフック11の先端部11a又は座打ち部10aから若干浮いた位置に保持するためのラッチばね14が設けられている。
【0015】
ラッチ13は、図3(a),(b)に示すように、その先端程狭まった楔形状であり、先端部にはフック11の先端部11aが当接する当接部13aが設けられ、他端部にはピン15が挿通される貫通孔13bが形成されている。なお、図3(a),(b)はそれぞれ異なった形状のラッチであり、図4にラッチ13(図3(b))の展開図が示されており、折り曲げ線13cから直角に折り曲げることにより形成される。
【0016】
ラッチばね14は、ラッチ13に一定の力が作用するようにラッチ13の回転端が接触するように、ラッチばね14の両端部を棚部12cに係合させて固定されている。ラッチばね14は、ラッチ13をフック11の先端部11a又は座打ち部10aから若干浮いた位置に保持するためのものであり、ラッチばね14と接触するラッチ13の回転端に適宜な凹凸や接触角が設けられている。無論、ラッチばね14に湾曲を設けてラッチ13の保持機能を付与してもよい。
【0017】
突条部12は、針本体10の断面図である図5(a),(b)に示すように、突条部12の一側面12aから他側面12bの巾(以下、突条部巾と称する)を有し、突条部12の底部に隣接する両側部分に棚部12cが形成されている。図5(a)は、突条部12の一側面12aから針本体10の一側面10bまでの巾(以下、棚部巾)の寸法Aが、突条部12の他側面12bから針本体10の他側面10cまでの巾(以下、棚部巾)の寸法Bと等しい場合を示している。また、図5(b)は、突条部12の一側面12aから針本体10の一側面10bまでの巾(以下、棚部巾)の寸法Aが、突条部12の他側面12bから針本体10の他側面10cまでの棚部巾の寸法Bより広い場合を示している。突条部12は、図5(a)のように、軸中心に設けてもよいが、図5(b)のように、何れかの方向に片寄らせてもよく、ラッチ13及びピン15の形状に応じ、棚部巾の寸法を適宜に選択することができる。
【0018】
次に、本発明の他の実施形態について図7(a),(b)を参照して説明する。本実施形態では、針本体10の片側のみを軸方向に略円弧状に切り欠いた突条部12が針本体10に形成されている。突条部12の底部に隣接する棚部12cにラッチばね14が設けられている。突条部12は、その一側面が針本体10の一側面と同一側面であり、突条部12の他の側面に、ラッチ131 がピン15により回動自在に支承されている。ラッチ131 は、図8(a)に示されているように、その先端部にフック11の先端が接触する当接部13aが設けられ、他端部に貫通孔13bが形成され、当接部13aが横方向に幅広に形成され、当接部13aから貫通孔13bまでが棚部12cの巾に応じた巾である。
【0019】
図7(b)のラッチニードルは、針本体10に形成された突条部12が図7(a)とは反対側に形成され、かつラッチ132 が図8(b)に示したように、図8(a)とは反対側に設けられた形態である。ラッチ132 はその先端部にフック11の先端が接触する当接部13aが形成され、他端部に貫通孔13bが形成されている。ラッチ132 は突条部12にピン15により回動自在に支承されている。
【0020】
次に、図7(a),(b)の実施形態における突条部12の形状について、図6(a),(b)を参照して説明する。これらの実施形態では、針本体10の片側のみに形成されており、図6(a)では、針本体10の一側面10cが突条部12の一側面12bと同じ面であり、突条部12の他の側面12aから針本体10の他側面10bまでの寸法D(棚部12cの寸法)が、突条部12の一側面12bから他側面12aまでの突条部巾と等しい。また、図6(b)では、針本体10の一側面10cが突条部12の一側面12bと同じ面であり、突条部12の一側面12bから他側面12aまでの突条部巾Cが、突条部12の他の側面12aから針本体10の他側面10bまでの寸法D(棚部12cの寸法)より広い寸法である。ラッチ131 ,132 はその巾や形状に応じて、図6(a),(b)の何れかを選択し、突条部12に回転自在に支承すればよい。
【0021】
上述のように、本発明は、ラッチばねによりラッチを所定位置に保持する機能を有するラッチニードルであり、ラッチばねは一方が開放された部分に固定されており、ラッチばね部分に塵や糸屑等が溜まることがなく、メンテナンスが容易であり、長時間使用してもラッチの開閉動作がスムーズに行えるようにしたものであり、また、塵や糸屑等に起因する編成ミスの発生を解消できる効果的なものである。なお、ラッチの形状は上記実施形態に限定するものではないし、さらに、棚部に傾斜を与えて、より塵や糸屑等が抜け落ち易い構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の活用例としては、メリヤス編みなどの編機用ラッチ針として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面図である。
【図2】本実施形態のA−A矢視断面図である。
【図3】(a),(b)は本実施形態におけるラッチの種々形態を示す斜視図である。
【図4】図3(b)のラッチの展開図である。
【図5】(a),(b)は本実施形態の針本体の種々形態を示す概略断面図である。
【図6】(a),(b)は他の実施形態の針本体の種々形態を示す概略断面図である。
【図7】(a),(b)は他の実施形態及びその動作を示す斜視図である。
【図8】(a),(b)は他の実施形態におけるラッチの斜視図である。
【図9】従来のラッチニードルの一例を示す斜視図である。
【図10】従来のラッチニードルの他の例を示す斜視図である。
【図11】(a)(b)(c)は、従来のラッチニードルの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10 針本体
11 フック
12 突条部
13 ラッチ(ベラ)
14 ラッチばね
15 ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、針本体に回転自在に支持されたラッチを備える編機用等に用いられるラッチニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラッチニードルについて、図9〜図11を参照し説明する。図9のラッチニードルは、針本体1の一端部にフック2が設けられ、かつ針本体1にはラッチ(ベラ)3を回動自在に支承する曲面状軸部1aが設けられ、ラッチ3はその外先端面が曲面を呈し、ラッチ3の内先端面にフック2が当接するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。図10のラッチニードルは、針本体1の先端部にフック2が備えられ、針本体1に隙間又は切られた溝4が形成され、ラッチ3が針本体1に回動自在に支承されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、図11(a)〜(c)のラッチニードルは、針本体1の先端部にフック2が備えられ、針本体1に切られて底抜き窓を設けた溝4が形成され、溝4底部にラッチばね5が形成され、ラッチ3はフック2又は座打ち部7から若干浮いた位置に保持するためにラッチばね5により一定の力が与えられるとともに針本体1にピン6により回転自在に支承されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3728874号明細書
【特許文献2】米国特許第1818746号明細書
【特許文献3】特開平11−286857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のラッチニードルは、編成時にループが針に掛かっていないラッチをフック又は座打ち部から若干浮いた位置に保持するためのラッチばねが針本体の溝に設けられており、編成時に発生した塵や糸屑等がこの溝の中に溜まり排除し難いことがあった。塵や糸屑等が溝内にたまると、ラッチの開閉運動を邪魔して望ましい機能が得られないことがあった。このような問題点を解消するために、特許文献3に示したように、針本体に溝を設けたて糸屑等が溜まらないように底抜き窓を設けたものであるが、ラッチにラッチ機能を付与すべくラッチばねが、ラッチの端面が接触してラッチがフック又は座打ち部から若干浮いた位置に保持し得るように、溝の底抜き窓を塞ぐように設けられており、その結果、糸屑等がラッチばねに塞がれた溝に溜まって、ラッチが開閉するためのスペースが狭くなったり、溝とラッチとの隙間に詰まってしまい、ラッチのスムーズな開閉動作を阻害する欠点があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、塵や糸屑等が詰まり難いラッチばねを備えたラッチニードルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決したものであって、請求項1の発明は、フックを備える針本体にラッチを設けたラッチニードルにおいて、
前記針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部が該針本体に設けられ、かつ該突条部の底部に隣接する部分に棚部が形成され、該突条部側面に前記ラッチをピンにより支承し、該棚部に該ラッチが接触するラッチばねを保持したことを特徴とするラッチニードルである。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記突条部が前記針本体側面と異なる2つの側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の一側面までの棚部巾と、該針本体の他の側面から突条部の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は何れかに片寄りがあることを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルである。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記突条部が前記針本体側面と異なる単一の側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の側面までの突条部巾と、該突条部の該針本体側面と異なる側面から該針本体の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は該突条部巾が該棚部巾より広いことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、フックを備える針本体にラッチを設けたラッチニードルにおいて、
前記針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部が該針本体に設けられ、かつ該突条部の底部に隣接する部分に棚部が形成され、該突条部側面に前記ラッチをピンにより支承し、該棚部に該ラッチが接触するラッチばねを保持したことを特徴とするラッチニードルであるので、突条部の少なくとも一側面は針本体の側面が切欠面であり、針本体の棚部にラッチばねが設けられているとしてもこの棚部は一側面が開放されており、塵や糸屑等が側面から抜けて溜まり難く、ラッチが開閉動作するためのスペースが狭くなったり、溝とラッチとの隙間に詰まってしまい、ラッチのスムーズな動きを阻害するといった欠点を解消することができる。
【0011】
また、請求項2の発明では、前記突条部が前記針本体側面と異なる2つの側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の一側面までの棚部巾と、該針本体の他の側面から突条部の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は何れかに片寄りがあることを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルであるので、ラッチの形状に応じて針本体に設けた突条部の形状を適宜選択することができ、編成する糸の性質等に応じて最適なラッチニードルを提供できる利点がある。
【0012】
また、請求項3の発明では、前記突条部が前記針本体側面と異なる単一の側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の側面までの突条部巾と、該突条部の該針本体側面と異なる側面から該針本体の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は該突条部巾が該棚部巾より広いことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードルであるので、ラッチの形状に応じて針本体に設けた突条部の形状を適宜選択することができ、編成する糸の性質等に応じて最適なラッチニードルを提供できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るラッチニードルの実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本発明の一実施形態を示す側面図であり、図2はそのA−A矢視断面図である。図3(a),(b)はラッチの斜視図であり、図4は図3(b)のラッチの展開図である。図5(a),(b)は本実施形態における種々形態の針本体の断面図であり、図6(a),(b)は他の実施形態における種々形態の針本体の断面図である。図7(a),(b)は他の実施形態及びその動作を示す斜視図であり、図8(a),(b)は他の実施形態のラッチの斜視図である。
【0014】
本実施形態は、図1,図2に示すように、針本体10の先端部にフック11が設けられ、フック11の根本部分には、針本体10の拡幅部の両側面を軸方向に略円弧状に切り欠いた突条部12が形成され、突条部12にはラッチ(ベラ)13がリベット等のピン15により回転自在に支承される側面12a,12bを有し、突条部12の底部両側に隣接して軸方向に湾曲した棚部12cが形成されている。棚部12cには、編成時にループが針に掛かっていないラッチ13をフック11の先端部11a又は座打ち部10aから若干浮いた位置に保持するためのラッチばね14が設けられている。
【0015】
ラッチ13は、図3(a),(b)に示すように、その先端程狭まった楔形状であり、先端部にはフック11の先端部11aが当接する当接部13aが設けられ、他端部にはピン15が挿通される貫通孔13bが形成されている。なお、図3(a),(b)はそれぞれ異なった形状のラッチであり、図4にラッチ13(図3(b))の展開図が示されており、折り曲げ線13cから直角に折り曲げることにより形成される。
【0016】
ラッチばね14は、ラッチ13に一定の力が作用するようにラッチ13の回転端が接触するように、ラッチばね14の両端部を棚部12cに係合させて固定されている。ラッチばね14は、ラッチ13をフック11の先端部11a又は座打ち部10aから若干浮いた位置に保持するためのものであり、ラッチばね14と接触するラッチ13の回転端に適宜な凹凸や接触角が設けられている。無論、ラッチばね14に湾曲を設けてラッチ13の保持機能を付与してもよい。
【0017】
突条部12は、針本体10の断面図である図5(a),(b)に示すように、突条部12の一側面12aから他側面12bの巾(以下、突条部巾と称する)を有し、突条部12の底部に隣接する両側部分に棚部12cが形成されている。図5(a)は、突条部12の一側面12aから針本体10の一側面10bまでの巾(以下、棚部巾)の寸法Aが、突条部12の他側面12bから針本体10の他側面10cまでの巾(以下、棚部巾)の寸法Bと等しい場合を示している。また、図5(b)は、突条部12の一側面12aから針本体10の一側面10bまでの巾(以下、棚部巾)の寸法Aが、突条部12の他側面12bから針本体10の他側面10cまでの棚部巾の寸法Bより広い場合を示している。突条部12は、図5(a)のように、軸中心に設けてもよいが、図5(b)のように、何れかの方向に片寄らせてもよく、ラッチ13及びピン15の形状に応じ、棚部巾の寸法を適宜に選択することができる。
【0018】
次に、本発明の他の実施形態について図7(a),(b)を参照して説明する。本実施形態では、針本体10の片側のみを軸方向に略円弧状に切り欠いた突条部12が針本体10に形成されている。突条部12の底部に隣接する棚部12cにラッチばね14が設けられている。突条部12は、その一側面が針本体10の一側面と同一側面であり、突条部12の他の側面に、ラッチ131 がピン15により回動自在に支承されている。ラッチ131 は、図8(a)に示されているように、その先端部にフック11の先端が接触する当接部13aが設けられ、他端部に貫通孔13bが形成され、当接部13aが横方向に幅広に形成され、当接部13aから貫通孔13bまでが棚部12cの巾に応じた巾である。
【0019】
図7(b)のラッチニードルは、針本体10に形成された突条部12が図7(a)とは反対側に形成され、かつラッチ132 が図8(b)に示したように、図8(a)とは反対側に設けられた形態である。ラッチ132 はその先端部にフック11の先端が接触する当接部13aが形成され、他端部に貫通孔13bが形成されている。ラッチ132 は突条部12にピン15により回動自在に支承されている。
【0020】
次に、図7(a),(b)の実施形態における突条部12の形状について、図6(a),(b)を参照して説明する。これらの実施形態では、針本体10の片側のみに形成されており、図6(a)では、針本体10の一側面10cが突条部12の一側面12bと同じ面であり、突条部12の他の側面12aから針本体10の他側面10bまでの寸法D(棚部12cの寸法)が、突条部12の一側面12bから他側面12aまでの突条部巾と等しい。また、図6(b)では、針本体10の一側面10cが突条部12の一側面12bと同じ面であり、突条部12の一側面12bから他側面12aまでの突条部巾Cが、突条部12の他の側面12aから針本体10の他側面10bまでの寸法D(棚部12cの寸法)より広い寸法である。ラッチ131 ,132 はその巾や形状に応じて、図6(a),(b)の何れかを選択し、突条部12に回転自在に支承すればよい。
【0021】
上述のように、本発明は、ラッチばねによりラッチを所定位置に保持する機能を有するラッチニードルであり、ラッチばねは一方が開放された部分に固定されており、ラッチばね部分に塵や糸屑等が溜まることがなく、メンテナンスが容易であり、長時間使用してもラッチの開閉動作がスムーズに行えるようにしたものであり、また、塵や糸屑等に起因する編成ミスの発生を解消できる効果的なものである。なお、ラッチの形状は上記実施形態に限定するものではないし、さらに、棚部に傾斜を与えて、より塵や糸屑等が抜け落ち易い構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の活用例としては、メリヤス編みなどの編機用ラッチ針として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面図である。
【図2】本実施形態のA−A矢視断面図である。
【図3】(a),(b)は本実施形態におけるラッチの種々形態を示す斜視図である。
【図4】図3(b)のラッチの展開図である。
【図5】(a),(b)は本実施形態の針本体の種々形態を示す概略断面図である。
【図6】(a),(b)は他の実施形態の針本体の種々形態を示す概略断面図である。
【図7】(a),(b)は他の実施形態及びその動作を示す斜視図である。
【図8】(a),(b)は他の実施形態におけるラッチの斜視図である。
【図9】従来のラッチニードルの一例を示す斜視図である。
【図10】従来のラッチニードルの他の例を示す斜視図である。
【図11】(a)(b)(c)は、従来のラッチニードルの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10 針本体
11 フック
12 突条部
13 ラッチ(ベラ)
14 ラッチばね
15 ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックを備える針本体にラッチを設けたラッチニードルにおいて、
前記針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部が該針本体に設けられ、かつ該突条部の底部に隣接する部分に棚部が形成され、該突条部側面に前記ラッチをピンにより支承し、該棚部に該ラッチが接触するラッチばねを保持したことを特徴とするラッチニードル。
【請求項2】
前記突条部が前記針本体側面と異なる2つの側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の一側面までの棚部巾と、該針本体の他の側面から該突条部の他の側面までの棚部巾とが等しいか、又は何れかに片寄りがあることを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項3】
前記突条部が前記針本体側面と異なる単一の側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の側面までの突条部巾と、該突条部の該針本体側面と異なる側面から該針本体の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は該突条部巾が該棚部巾より広いことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項1】
フックを備える針本体にラッチを設けたラッチニードルにおいて、
前記針本体側面とは異なる単一または複数の側面を有する突条部が該針本体に設けられ、かつ該突条部の底部に隣接する部分に棚部が形成され、該突条部側面に前記ラッチをピンにより支承し、該棚部に該ラッチが接触するラッチばねを保持したことを特徴とするラッチニードル。
【請求項2】
前記突条部が前記針本体側面と異なる2つの側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の一側面までの棚部巾と、該針本体の他の側面から該突条部の他の側面までの棚部巾とが等しいか、又は何れかに片寄りがあることを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項3】
前記突条部が前記針本体側面と異なる単一の側面を有し、該針本体の一側面から該突条部の側面までの突条部巾と、該突条部の該針本体側面と異なる側面から該針本体の他の側面までの棚部巾が等しいか、又は該突条部巾が該棚部巾より広いことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−31587(P2008−31587A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205749(P2006−205749)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000104021)オルガン針株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000104021)オルガン針株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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