説明

ランダムミシン加工機の検証装置

【課題】 ランダムミシン加工機においてミシン加工が適正に行なわれたか否かを検証するためのランダムミシン加工機の検証装置を提供する。
【解決手段】 連続フォームにおける走行を検出する走行検出手段と、タイミングマークを検出するタイミングマークセンサと、ミシンパターン情報を含むバーコードを読み取るバーコードリーダと、ミシンパターン情報に基づいて制御演算を行う制御手段と、横ミシン加工を行なう横ミシン加工手段と、縦ミシン加工を行なう縦ミシン加工手段とを具備するランダムミシン加工機において、ミシンパターン情報が適正であるか否かを判定するミシンパターン情報判定手段と、横ミシン加工手段の動作を検出して適正であるか否かを判定する横ミシン加工判定手段と、縦ミシン加工手段の動作を検出して適正であるか否かを判定する縦ミシン加工判定手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続フォームにミシン加工をする技術分野に属する。特に、連続フォームに印刷されたミシンパターン情報が含まれるバーコードを読み取って非定型のミシン加工を行なうランダムミシン加工機が適正な動作を行なっているか否かを検証するランダムミシン加工機の検証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同一絵柄が繰り返し印刷された連続フォームに対して、その印刷絵柄に同調してミシン加工を行なう装置については周知である(たとえば特許文献1)。この場合、印刷されている同一絵柄の繰り返し間隔は印刷版胴の周長に等しい。したがって、ミシン加工を行なう場合には、その印刷版胴の周長に一致する周長を有するミシン胴とその受胴を使用することになる。しかし、この従来のミシン加工方法を、同一絵柄が繰り返し印刷されているのではない連続フォーム、すなわち非周期、非定型の印刷が行なわれている連続フォームに対して適用することはできない。
そこで、非定型の印刷が行なわれている連続フォームに対して非定型のランダムミシン加工を行なう装置についての発明がある(特許文献2、特許文献3)。この発明によると、連続フォームに印刷されたマークをマークセンサが読み取りマーク読取信号を出力する。そのマーク読取信号によってミシン加工部の差動駆動装置が駆動し、差動軸を回転する。これにより差動機構を解したミシン加工が行なわれる。すなわち、連続フォームにミシン加工の位置を示すマークを印刷しておくことによりミシン加工が行なわれ、そのマークが印刷されていないときにはミシン加工が行なわれない。そのことにより、ランダムミシン加工が行なわれる。
【特許文献1】特開2002−273858
【特許文献2】特開2000−061888
【特許文献3】特開2000−061889
【0003】
しかしながら、この従来の方法においては、ミシン加工を行なうか否かを印刷されたマークの有無によってだけ判断しているため、多種多様な形態のミシン加工を行なうことが困難であった。たとえば、ミシンパターンの形態によっては多数個所にマークを印刷しなければならない。そのとき、その印刷を誤ることなく正確に行なうことは管理上の負荷が大きいという問題がある。また、他の印刷マーク、断裁マーク、等のマークとの並存を考慮するとそのマークを印刷するための余白が存在せず、ミシン加工が不可能であるという問題がある。
また、従来の方法においては印刷したマークに対してミシン加工が適正に行われたか否かを検証する方法が存在しないという問題がある。非定型の印刷が行なわれている連続フォームを複数枚の枚葉フォームに切断して丁合した丁合フォームにおいて、適正な丁合が行われたか否かを検証するシステムの発明については公知である(特許文献4、特許文献5)。しかし、あくまでも丁合について検証が行われるのであってミシン加工について検証が行われるのではない。また、検証の対象も加工製品である丁合フォームであり、加工機械であるランダムミシン加工機ではない。
【特許文献4】特開2004−262031
【特許文献5】特開2005−088504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、管理上の負荷が小さく、マークを印刷する余白が小さくて済み、多種多様な形態のミシン加工を困難なく行なえるランダムミシン加工機においてミシン加工が適正に行なわれたか否かを検証するためのランダムミシン加工機の検証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るランダムミシン加工機の検証装置は、複数の枚葉フォームと、その枚葉フォームの各枚目の位置を示すタイミングマークと、枚葉フォームの各枚目のミシンパターン情報が含まれるバーコードが印刷された連続フォームに対して非定型のミシン加工を行なうランダムミシン加工機の検証装置であって、前記バーコードリーダによるバーコードの読取をチェックする読取チェック手段と、前記バーコードリーダで読取った読取内容の書式をチェックする書式チェック手段と、ミシン加工の操作信号の出力をチェックする操作信号チェック手段と、ミシン加工の機械動作をチェックする機械動作チェック手段と、前記チェックのログデータを生成するログデータ生成手段とを具備するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係るランダムミシン加工機の検証装置は、請求項1に係るランダムミシン加工機の検証装置において、前記ランダムミシン加工機は、走行する前記連続フォームにおける走行を検出し走行信号を出力する走行検出手段と、前記走行する連続フォームにおける前記タイミングマークを検出してマーク信号を出力するタイミングマークセンサと、前記バーコードを前記マーク信号と前記走行信号に同期して読み取りミシンパターン情報を出力するバーコードリーダと、前記ミシンパターン情報に基づいて制御演算を行い前記ミシン加工のための操作信号を前記マーク信号と前記走行信号に同期して生成する制御手段と、前記操作信号の1つである横ミシン操作信号を入力して前記連続フォームに対して横ミシン加工を行なう横ミシン加工手段と、前記操作信号の1つである縦ミシン操作信号を入力して前記連続フォームに対して縦ミシン加工を行なう縦ミシン加工手段とを具備するようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係るランダムミシン加工機の検証装置は、請求項1または2に係るランダムミシン加工機の検証装置において、OK品(良品)とNG品(不良品)の区別を明示して前記ログデータのすべてを表示または印刷する全結果出力と、NG品だけを表示または印刷するNG品出力のいずれか、または両方を指定により行うログデータ出力手段を具備するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係るランダムミシン加工機の検証装置によれば、読取チェック手段によりバーコードリーダによるバーコードの読取がチェックされ、書式チェック手段によりバーコードリーダで読取った読取内容の書式がチェックされ、操作信号チェック手段によりミシン加工の操作信号の出力がチェックされ、機械動作チェック手段によりミシン加工の機械動作がチェックされ、ログデータ生成手段により前記チェックのログデータが生成される。したがって、ランダムミシン加工機においてミシン加工が適正に行なわれたか否かを検証するためのランダムミシン加工機の検証装置が提供される。また、ランダムミシン加工機の検証を行うことにより不良品の混入を防ぐだけでなく発生原因に対する対処を敏速かつ容易に行うことが可能である。また、その結果、加工品における不良率を大幅に下げることができ、加工機の停止時間が短くなって生産性が向上するという効果がある。
また、本発明の請求項2に係るランダムミシン加工機の検証装置によれば、請求項1に係るランダムミシン加工機の検証装置において、縦ミシン加工と横ミシン加工に対して独立した非定型のミシン加工を行なうことができ、そのミシン加工における管理上の負荷が小さく、マークを印刷する余白が小さくて済み、多種多様な形態のミシン加工を困難なく行なえるランダムミシン加工機においてミシン加工が適正に行なわれたか否かを検証するためのランダムミシン加工機の検証装置が提供される。
また、本発明の請求項3に係るランダムミシン加工機の検証装置によれば、請求項1または2に係るランダムミシン加工機の検証装置において、ログデータ出力手段によりOK品(良品)とNG品(不良品)の区別を明示して前記ログデータのすべてが表示または印刷される全結果出力と、NG品だけが表示または印刷されるNG品出力のいずれか、または両方が指定により行われる。したがって、ランダムミシン加工機が適正に動作しているか否かをオペレータが容易に把握でき、NG品に対する再生産等の対応を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明のランダムミシン加工機の検証装置における構成の一例をブロック図として図1に示す。図1においては破線を境界線として検証装置の側とランダムミシン加工機の側が区分されている。図1の検証装置の側において、1はデータ処理手段、21は縦ミシン加工(OS)機械動作検出手段、22は横ミシン加工(OS)機械動作検出手段、31は縦ミシン加工(GS)機械動作検出手段、32は横ミシン加工(GS)機械動作検出手段である。また、図1のランダムミシン加工機の側において、50は走行検出手段、60はタイミングマークセンサ、70はバーコードリーダ、80は制御手段、210は縦ミシン(OS)加工手段、220は横ミシン(OS)加工手段、310は縦ミシン(GS)加工手段、320は横ミシン(GS)加工手段である。
なお、ここでは、ランダムミシン加工機がミシン加工を行なう加工対象の連続フォームは走行方向に対して直角方向(横方向)に配置する2つの独立した領域を有する、いわゆる2UP連続フォーム(2面付連続フォーム)である。したがって、2UP連続フォームのOS側(ランダムミシン加工機において機械要素が設置されている側)の領域に対してミシン加工を行なう手段(OSの表記)と、GS側(オペレータがランダムミシン加工機において操作を行なう側)の領域に対してミシン加工を行なう手段(GSの表記)が存在する。
【0008】
最初に、本発明における検証装置の部分について説明し、その後においてランダム加工装置の部分について説明する。
データ処理手段1はランダム加工装置の制御手段80からランダム加工装置の動作状態に関するデータ、たとえばリードエラー、ミシンパターン情報、ミシン加工命令、等を入力する。また、データ処理手段1はランダム加工装置に設けたセンサによってランダム加工装置の動作状態を検出しその検出信号を入力する。データ処理手段1はそれらの入力したデータに基づいて、ランダム加工装置の動作状態が適正であるか否かを検証するデータ処理を行う。たとえば、読取チェック、書式チェック、操作信号チェック、機械動作チェック、等の検証に関するデータ処理を行う。データ処理手段1はその検証により得られたデータに基づいてログデータを生成する。また、生成したログデータをディスプレイモニターに表示する処理、またはプリンターで印刷するデータ処理を行う。
データ処理手段1はマイクロコンピュータ、PLC(programable logic controller)パーソナルコンピュータ、等のデータ処理システムのハードウェアとソフトウェアによって実現することができる。
【0009】
縦ミシン加工(OS)機械動作検出手段21は、縦ミシン加工手段(OS)210の機械的な動作を検出する手段である。
横ミシン加工(OS)機械動作検出手段22は、横ミシン加工手段(OS)220の機械的な動作を検出する手段である。
縦ミシン加工(GS)機械動作検出手段31は、縦ミシン加工手段(GS)310の機械的な動作を検出する手段である。
横ミシン加工(GS)機械動作検出手段32は、横ミシン加工手段(GS)320の機械的な動作を検出する手段である。
これらの機械動作検出手段としては、たとえば、磁性体を検出する磁気センサ、導電体を検出する渦電流センサ、投受光における光量変化を検出する光電センサ、等を使用することができる。機械的な動作を検出しようとする対象のミシン加工手段がミシン加工を行なうときに機械的な動きを行う部分を検出できるように、その部分に近接していずれかのセンサを設置する。
【0010】
次に、本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるデータ処理の過程について説明する。本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるデータ処理の過程をフロー図として図2に示す。
まず、図2におけるステップS1(バーコード読取チェック)において、検証装置のデータ処理手段1は、バーコードリーダ70が、特定の期間において読取りを行って出力するデータを制御手段80から入力する。制御手段80は走行検出手段50とタイミングマークセンサ60が出力する信号を入力している。その信号に基づいて、制御手段80は連続フォームに印刷されたミシン指示バーコードがバーコードリーダ70の読取領域に到達しその領域に存在する期間を演算する。特定の期間とはその期間のことである。バーコードリーダ70が出力するそのデータは、ミシン指示バーコードの読取りが不成功であるときには読取エラー(NoRead)である。また、バーコードリーダ70が出力するそのデータは、ミシン指示バーコードの読取りが行えたときには読取ったデータである。そこで、データ処理手段1は、読取エラー(NoRead)であるか否かをチェックする。
次に、ステップS2(読取れたか?)において、検証装置のデータ処理手段1は、そのデータが読取エラー(NoRead)であるときにはステップS8に進む処理を行い、読取ったデータであるときにはステップS3に進む処理を行う。
【0011】
ここで、本発明のランダムミシン加工機の加工対象(原反)である連続フォームにおけるタイミングマークとミシン指示バーコードについて説明する。ランダムミシン加工機の加工対象(原反)である連続フォームの一例を図3、図4に示す。図3、図4において、101はタイミングマーク、102はミシン指示バーコード、103は縦ミシントンボ、104は横ミシントンボである。
タイミングマーク101は連続フォームの各枚目の位置を示すマークである。連続フォームは切り離されていない(未切断の)複数の枚葉フォームによって構成される。タイミングマーク101は、図3に示す一例において、ページ番号で示す枚葉フォームの各枚目の境界線の近くのマージン(余白)部分に矩形のマークとして印刷されている。連続フォームは2UP連続フォームであるが、図3と図4を比較参照すると判るように、両面で4ページを単位として一箇所だけタイミングマーク101の印刷が行なわれている。言い換えると、1つのタイミングマーク101は両面で4ページの枚葉フォームの位置を示している。図3と図4に示す一例では、4ページ目、8ページ目、12ページ目、16ページ目、等にマージン(余白)部分にタイミングマーク101の印刷が行なわれている。
【0012】
ミシン指示バーコード102は非定型のミシン加工を行なうためのミシンパターン情報が含まれるバーコードである。図3に示す一例において、ページ番号で示す枚葉フォームの偶数ページの右側の境界線の近くに長矩形領域のバーコードとして印刷が行なわれている。連続フォーム100は2UP連続フォームであるから、左右(GS側とOS側)の枚葉フォームの各々に対して1つのミシン指示バーコード102が印刷されている。これにより、連続フォームのOS側の領域とGS側の領域に対して独立にランダムミシン加工を行なうことができる。図3と図4を比較参照すると判るように、このミシン指示バーコード102は片面にだけ、すなわち連続フォームの裏面にだけ印刷が行なわれている。当然ながら、ミシン加工は両面に亘る加工であるから、1枚の枚葉フォームに対して片面に1つのミシン指示バーコード102が印刷されていれば、それで済ますことができる。
【0013】
なお、図4に一例を示す縦ミシントンボ103は縦ミシン加工におけるミシン目の適正位置を示すために連続フォーム100に印刷されたトンボである。また、図4に一例を示す横ミシントンボ104は横ミシン加工におけるミシン目の適正位置を示すために連続フォーム100に印刷されたトンボである。これらはランダムミシン加工が適正に行われたか否かを目視判定するために設けられたミシントンボである。
【0014】
図2に戻って、検証装置におけるデータ処理の過程についての説明を続ける。
次に、ステップS3(読取内容の書式チェック)において、検証装置のデータ処理手段1はバーコードリーダ70がミシン指示バーコード102を読取って出力するデータ(読取ったデータ)について、その読取内容が書式において適正であるか否かをチェックする。適正な読取内容にはミシンパターン情報とともにその他の情報が含まれている。それらのすべてのデータに対して、データ処理手段1は適正な数値記号が読取れているか否か、数値の範囲は適正であるか否か、前回の読取内容に対して今回の読取内容における数値の連続性は適正であるか否か、等のチェックを行う。
次に、ステップS4(書式OK?)において、検証装置のデータ処理手段1は、そのチェックの結果が1つでも不適正であるならばステップS8に進む処理を行い、そのチェックの結果がすべて適正であるときにはステップS5に進む処理を行う。
【0015】
ここで、ミシン指示バーコード102の内容について一例を説明する。本発明における加工対象の連続フォームに印刷されているミシン指示バーコード102の内容について一例の説明図を図5に示す。図5(A)はミシン指示バーコード102の内容(項目、桁数、等)を表として示した図である。また、図5(B)はミシン指示バーコード102の内容をその一例(読取結果が「a0123450010121036a」の場合)と印刷位置との関係で示した図である。
図5に示す一例においては、ミシン指示バーコード102はミシンパターン情報だけでなくその他の情報を含んでいる。すなわち、ミシン指示バーコード102は、スタート文字、通数連番、現在枚目、総枚目、帳票種別、ミシンパターン、チェックディジット、エンド文字から構成される。
【0016】
スタート文字は、ミシン指示バーコード102の1桁目に1桁が割当てられ、必ず「a」である。通数連番は、ミシン指示バーコード102の2桁目から7桁目の6桁が割当てられ、たとえば「012345」である。現在枚目は、ミシン指示バーコード102の8桁目から10桁目の3桁が割当てられ、たとえば「001」である。総枚目は、ミシン指示バーコード102の11桁目から13桁目の3桁が割当てられ、たとえば「012」である。帳票種別は、ミシン指示バーコード102の14桁目に1桁が割当てられ、たとえば「1」である。ミシンパターンは、ミシン指示バーコード102の15桁目から16桁目の2桁が割当てられ、たとえば「01」である。チェックディジットは、ミシン指示バーコード102の17桁目に1桁が割当てられ、たとえば「1」である。エンド文字は、ミシン指示バーコード102の18桁目に1桁が割当てられ、必ず「a」である。
【0017】
上記内容を有するミシン指示バーコード102において、ミシンパターン情報は15桁目から16桁目の2桁が割当てられたミシンパターンの部分である。ここで示す一例においては、ミシンパターン情報は2桁の英数字で表現される文字列によって決まるミシンパターンである。ミシンパターンの実際のミシン加工の形態はその文字列に対応付けられてランダムミシン加工機(における制御手段の記憶装置、等)に前もって登録されている。ミシン加工の形態は連続フォーム100において縦ミシン加工を行なう位置、横ミシン加工を行なう位置である、その位置は複数個所であってもよい。登録可能なミシン加工の形態の数は2桁の文字列によって表現できる数であるが、必要ならば文字列の桁数を増やすことにより登録可能なミシン加工の形態の数を増やしてもよい。複数の縦ミシン加工と複数の横ミシン加工に対応して複数の加工位置が存在する複雑なミシンパターンを短い文字列によって指定することができる。したがって、管理上の負荷が小さく、マークを印刷する余白が小さくて済み、多種多様な形態のミシン加工を困難なく行うことが可能となる。
【0018】
図2に戻って、検証装置におけるデータ処理の過程についての説明を続ける。
次に、ステップS5(ミシン加工の操作信号チェック)において、検証装置のデータ処理手段1はランダムミシン加工機の制御手段80からミシン加工の操作信号を入力する。この操作信号は、勿論、ミシンパターン情報に基づいて、制御手段80が縦ミシン加工手段(OS)210、横ミシン加工手段(OS)220、縦ミシン加工手段(GS)310、横ミシン加工手段(GS)320を操作するために生成した操作信号、すなわち制御指令に相当するものである。データ処理手段1はステップS1において制御手段80から取得したミシン指示バーコードのデータにおけるミシンパターン情報と、このステップS5において制御手段80から取得した操作信号との間で、対応関係が正しく整合性を有しているか否かをチェックする。すなわち、ミシン加工手段の各々に対する操作信号の出力の有無が、ミシンパターン情報と一致しているか否かをデータ処理手段1はチェックする。
次に、ステップS6(操作出力OK)において、検証装置のデータ処理手段1はそれらの操作信号の出力をチェックした結果が1つでも不適正であるならばステップS8に進む処理を行い、そのチェックの結果がすべて適正であるときにはステップS7に進む処理を行う。
【0019】
次に、ステップS7(ミシン加工の機械動作チェック)において、検証装置のデータ処理手段1はミシン加工手段の各々の機械動作検出手段が機械的な動作を検出して出力する動作信号を入力する。それらの動作信号の詳細は、縦ミシン加工手段(OS)210の機械的な動作を検出する縦ミシン加工(OS)機械動作検出手段21が出力する動作信号と、横ミシン加工手段(OS)220の機械的な動作を検出する横ミシン加工(OS)機械動作検出手段22出力する動作信号と、縦ミシン加工手段(GS)310の機械的な動作を検出する縦ミシン加工(GS)機械動作検出手段31が出力する動作信号と、横ミシン加工手段(GS)320の機械的な動作を検出する横ミシン加工(GS)機械動作検出手段32が出力する動作信号である。
そして、データ処理手段1はステップS1において制御手段80から取得したミシン指示バーコードのデータにおけるミシンパターン情報と、このステップS7において各々の機械動作検出手段から取得した動作信号との間で、対応関係が正しく整合性を有しているか否かをチェックする。すなわち、ミシン加工手段の各々における機械的な動作の検出の有無が、ミシンパターン情報と一致しているか否かをデータ処理手段1はチェックする。
【0020】
次に、ステップS8(ログデータ生成)において、検証装置のデータ処理手段1はステップS1〜S7までのミシン加工の検証の過程により得られたデータをログデータとして保存する。このステップS1〜S7までの一連のステップは、連続フォームの各枚目に対して行われるステップである。すなわち、この一連のステップで2UP連続フォームのときには2面付(表裏で4ページ)の枚葉フォームのミシン加工に対する検証処理が行われ、そのログデータが生成されたことになる。この一連のステップはステップS10において繰り返し行われることになる。したがって、前回までの集積されたログデータに対して今回のログデータが付け足される方式でその繰り返しの回数分だけログデータとして集積が行われる。集積されたログデータはログファイルとしてハードディスク等の記憶装置に保存される。
次に、ステップS9(ログデータ出力)において、検証装置のデータ処理手段1はOK品(良品)とNG品(不良品)の区別を明示してログデータのすべてを表示または印刷する全結果出力を行う。または、NG品だけを表示または印刷するNG品出力を行う。
次に、テップS10(ミシン加工終了?)において、検証装置のデータ処理手段1は制御手段80からミシン加工の継続に関するデータ、すなわちランダムミシン加工機の動作モードが終了であるか否かを入力する。動作モードが終了のときには、データ処理手段1は、ミシン加工の検証処理を終了する。そうでないときには、データ処理手段1は、ステップS1に戻って上述した以降のステップを繰り返す。
【0021】
ここで、検証装置のディスプレーモニター(図示せず)におけるログデータの表示の一例について説明する。本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるログデータの表示の一例を図6に示す。検証装置において加工データ記録システムの画面(ウィンドウ)を開くと、図6に示す画面がディスプレーモニターに表示される。この加工データ記録システムの画面においては、情報入力の欄と、通信ログの欄と、エラーログの欄が設けられている。表示したときの画面を示している。
情報入力の欄はログファイルの属性値を入力する欄である。入力する属性値の欄として、得意先名、品名、ロット名、作業者がある。図6に示す一例においては、「得意先名」の欄には「テスト得意先」が、「品名」の欄には「テスト品目」が、「ロット名」の欄には「9001」が、「作業者」の欄には「IPS技術」が入力されている。これらの属性値はログファイルをデータベース等に登録(保存)するときには同時に登録が行われ、ログファイルのファイル名だけでなく、属性値からもログファイルを検索し特定することができる。
【0022】
通信ログの欄は情報入力欄によって特定されるミシン加工における通信ログの全結果を表示する欄である。この通信ログには本発明のランダムミシン加工機におけるミシン加工の検証処理の全結果が含まれている。表示する属性値の欄として、No.、バーコード、判定、日付、時刻がある。図6に示す一例においては、「No.」の欄には「501645」等、「バーコード」の欄には「a9999999829921031a」等、「判定」の欄には「OK」または「NG」、「日付」の欄には「2008/03/23」等、「時刻」の欄には「15:26:22」等が表示されている。
これらの属性値は、ランダムミシン加工が行われているときには、ミシン加工の進行に並行して新たなデータが付加される形態で表示される。前述したミシン加工の検証処理における一連のステップで2UP連続フォームのときには2面付(表裏で4ページ)の枚葉フォームのミシン加工に対する検証処理が行われる。したがって、一連のステップで2行が付加される。たとえば、一連のステップで「No.」の欄が「501645」および「501646」の2行が付加される。
また、これらの属性値は、ランダムミシン加工がすでに済んでおり、そのログファイルが登録されているときには、そのログファイルを開くことにより表示が行われる。
【0023】
エラーログの欄は情報入力欄によって特定されるミシン加工における通信ログのエラー結果だけを表示する欄である。この通信ログには本発明のランダムミシン加工機におけるミシン加工の検証処理の全結果が含まれている。表示する属性値の欄として、No.、バーコード、判定、日付、時刻、バーコード(前)、バーコード(後)がある。図6に示す一例においては、「No.」の欄には「501650」等、「バーコード」の欄には「a9999999869921061a」等、「判定」の欄はすべて「NG」、「日付」の欄には「2008/03/23」等、「時刻」の欄には「15:26:23」等、「バーコード(前)」の欄には「a9999999829921050a」等、「バーコード(後)」の欄には「a9999999829921015a」等、が表示されている。
これらの属性値は、ランダムミシン加工が行われているときには、ミシン加工の進行に並行して新たなデータが付加される形態で表示される。前述したミシン加工の検証処理における一連のステップで2UP連続フォームのときには2面付(表裏で4ページ)の枚葉フォームのミシン加工に対する検証処理が行われる。しかし、OS側加工部20とGS側加工部30とが独立していることから、加工エラーが同時に起こるとは限らず、したがって、1連のステップで2行が付加されるとは限らない。
また、これらの属性値は、ランダムミシン加工がすでに済んでおり、そのログファイルが登録されているときには、そのログファイルを開くことにより表示が行われる。
【0024】
次に、検証装置のプリンタ(図示せず)におけるログデータの印刷の一例について説明する。本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるログデータの印刷の一例を図7に示す。図7に示す一例においては、「ミシン加工機検証システム警告連絡票」の印刷出力にログデータ(エラー結果だけ)が含まれている。このミシン加工機検証システム警告連絡票には、表示する属性値の欄として、No.、得意先名、品名、ロット名、作業者、日付、時刻、バーコード、バーコード(前)、バーコード(後)がある。図6に示す一例においては、「No.」の欄には「501651」等、「得意先名」の欄には「テスト得意先」等、「ロット名」等の欄には「9001」等、「作業者」の欄には「IPS技術」等、「日付」の欄には「2008/02/23」等、「時刻」の欄には「15:26:23」等、「バーコード」の欄には「a9999999829921051a」等、「バーコード(前)」の欄には「a9999999829921050a」等、「バーコード(後)」の欄には「a9999999829921015a」等、が入力されている。
このミシン加工機検証システム警告連絡票により、ミシン加工を行なった後の連続フォームから不良品を除去する作業や、再印刷して補充する欠品が生じないようにする作業を確実に行うことが可能となる。
【0025】
以上、本発明における検証装置の部分について説明した。次に、ランダム加工装置の部分について説明する。
まず、ランダムミシン加工機の全体構成について説明する。ランダムミシン加工機における全体構成の一例を説明図として図8に示す。図8において、10は給紙部、20はOS側加工部、30はGS側加工部、40は折部、100は巻取連続フォーム、200は折連続フォームである。
図8に示すように、巻取体の連続フォーム100は給紙部10からOS側加工部20とGS側加工部30に給送され折部40においてジグザグ折されて折連続フォーム200を形成する。連続フォーム100には両サイドのマージン部分の送り孔の加工とともに、フォームの中身、制御用マーク、等の印刷が行なわれている。また、ここで説明する一例においては、連続フォーム100は走行方向に対して直角方向に配置する2つの独立した領域を有する、いわゆる2UP連続フォーム(2面付連続フォーム)である。
【0026】
給紙部10は連続フォーム100の巻取体から連続フォーム100を巻き解いてランダムミシン加工部、すなわちOS側加工部20とGS側加工部30に給送するランダムミシン加工機の部分である。給紙部10は、連続フォーム100の送り孔にピントラクタのピンを嵌め込んで連続フォーム100を給送する。
OS側加工部20は2UP連続フォームのOS側(ランダムミシン加工機において機械要素が設置されている側)の領域に対してミシン加工を行なうランダムミシン加工機の部分である。OS側加工部20は制御手段80の制御下においてランダムミシン加工を行なう。
GS側加工部30は2UP連続フォームのGS側(オペレータがランダムミシン加工機において操作を行なう側)の領域に対してミシン加工を行なうランダムミシン加工機の部分である。GS側加工部30は制御手段80の制御下においてランダムミシン加工を行なう。
折部40はランダムミシン加工を行なった連続フォーム100をジグザグ折して折連続フォーム200を得るランダムミシン加工機の部分である。ジグザグ折は折り用のミシン加工が行なわれた部分において行なわれる。
【0027】
次に、ランダムミシン加工機におけるランダムミシン加工に関係の深い部分の構成について説明する。ランダムミシン加工機におけるランダムミシン加工に関係の深い部分の構成の一例をブロック図として図1に示す。図1において、50は走行検出手段、60はタイミングマークセンサ、70はバーコードリーダ、80は制御手段、210は縦ミシン加工手段(OS)、220は横ミシン加工手段(OS)、310は縦ミシン加工手段(GS)、320は横ミシン加工手段(GS)である。
走行検出手段50は連続フォーム100における走行を検出し走行信号を出力するセンサである。たとえば、走行検出手段50は給紙部10におけるピントラクタの駆動軸に設けられたロータリーエンコーダとその演算装置から構成することができる。連続フォーム100の走行に比例してロータリーエンコーダの軸が回転する。ロータリーエンコーダは 回転量に応じた数の矩形波信号出力し、演算装置はその矩形波信号を入力する。演算装置はその矩形波信号に基づいて連続フォーム100の走行速度、走行距離、等を演算する。演算により得られたそれらのデータ、すなわち走行信号は制御手段80によって入力される。
【0028】
タイミングマークセンサ60は連続フォーム100における各枚目に印刷されているタイミングマーク101を検出しマーク信号を出力するセンサである。たとえば、タイミングマークセンサ60としては、給紙部10における連続フォーム100の走行経路に設けられた光電センサを使用することができる。タイミングマークセンサ60が出力するマーク信号は制御手段80によって入力される。
バーコードリーダ70はマーク信号と走行信号に同期してミシン指示バーコード102を読取りミシンパターン情報を出力するセンサである。バーコードリーダ70が出力するミシンパターン情報は制御手段80によって入力される。
制御手段80はミシンパターン情報に基づいて制御演算を行いミシン加工のための操作信号を、マーク信号と走行信号に同期した操作信号として生成する。制御手段80はPLC(programable logic controller)等のデータ処理装置のハードウェアとソフトウェアによって実現することができる。
【0029】
縦ミシン加工手段(OS)210はOS側加工部20に設けられ、連続フォーム100のOS側の領域に対して縦ミシン加工を行なう装置である。縦ミシン加工手段(OS)210は制御手段80の制御下において動作し、制御手段80が出力する操作信号の1つである縦ミシン操作信号を入力して縦ミシン加工を行なう。たとえば、縦ミシン加工手段(OS)210は縦ミシンホイールと縦ミシン刃受とブラケットとエアーシリンダーと電磁弁によって構成することができる。縦ミシンホイールは円周部分に刃先が形成されたホイールである。縦ミシンホイールはホルダーを介してブラケットによって支持されている。ブラケットはエアーシリンダーによって駆動され、縦ミシンホイールを縦ミシン加工が行われる加工位置と縦ミシン加工が行われない退避位置とに移動可能となっている。縦ミシン刃受は縦ミシンホイールに対向して配置され、加工位置においては縦ミシン刃受と縦ミシンホイールの刃先が近接する。そのときに、その間に連続フォーム100が存在するとその連続フォーム100には横ミシン加工が行なわれる。
【0030】
エアーシリンダーは高圧エアーの供給口を選択する電磁弁によって操作され、その電磁弁の操作は制御手段80によって行われる。制御手段80はミシンパターン情報に基づいて連続フォーム100における縦ミシン加工の位置を演算する。そして、その位置に設けられた縦ミシンホイールによって加工が行われるように、縦ミシン操作信号を出力する。制御手段80はこの縦ミシン操作信号によって電磁弁を操作してエアーシリンダーを動作させ縦ミシンホイールを加工位置とする。縦ミシン加工の位置が複数個所であるときには、その位置の各々に対して縦ミシンホイールを配置しておく。そして、ミシンパターン情報に基づいて実際に縦ミシン加工を行なう縦ミシンホイールを選択的に加工位置とし、その他は退避位置とする操作が制御手段80によって行われる。
【0031】
横ミシン加工手段(OS)220はOS側加工部20に設けられ、連続フォーム100のOS側の領域に対して横ミシン加工を行なう装置である。横ミシン加工手段(OS)220は制御手段80の制御下において動作し、制御手段80が出力する横ミシン操作信号を入力して縦ミシン加工を行なう。たとえば、横ミシン加工手段(OS)220はミシン胴と受胴とそれらを駆動するサーボモータとそのドライバーによって構成することができる。ミシン胴はその胴表面に刃先が突出するように胴軸方向に沿ってミシン刃が設けられている胴である。受胴はその胴表面の胴軸方向に沿ってミシン刃(の刃先)を受けるために突出した刃受部が設けられている胴である。ミシン胴と受胴が同期して回転することによりミシン刃と刃受部が近接したときに、その間に連続フォーム100が存在するとその連続フォーム100には横ミシン加工が行なわれる。
【0032】
制御手段80はミシンパターン情報に基づいて連続フォーム100における横ミシン加工の位置を演算する。さらに、制御手段80は、その制御演算において、横ミシン加工の位置に横ミシン加工が正確に行なわれるように操作信号を演算し、サーボモータのドライバーに対してその操作信号を出力する。制御手段80は、この制御において、すくなくとも横ミシン加工が行なわれる瞬間においては、連続フォーム100における横ミシン加工部分の位置とミシン胴におけるミシン刃の刃先の位置とが一致することを制御目標とする。また、制御手段8は、この制御において、すくなくとも横ミシン加工が行なわれる瞬間においては、連続フォーム100における横ミシン加工の部分の走行速度とミシン胴におけるミシン刃の刃先の回転面の速度とが一致することを制御目標とする。なお、横ミシン加工が行われないときには、連続フォーム100と横ミシン加工手段(OS)22におけるミシン刃とは離れており、横ミシン加工手段(OS)22によって連続フォーム100の走行が妨げられることはない。ミシン刃の刃先を受け止める受胴は円柱状のシャフトを使用することができる。また、刃受部を有する受胴であってもよい。
【0033】
縦ミシン加工手段(GS)310はGS側加工部30に設けられ、連続フォーム100のGS側の領域に対して縦ミシン加工を行なう装置である。縦ミシン加工手段(GS)310は連続フォーム100における加工する領域が相違する点を除くと縦ミシン加工手段(OS)210と同様であるから説明を省略する。
横ミシン加工手段(GS)320はGS側加工部30に設けられ、連続フォーム100のGS側の領域に対して横ミシン加工を行なう装置である。横ミシン加工手段(GS)320は連続フォーム100における加工する領域が相違する点を除くと横ミシン加工手段(OS)220と同様であるから説明を省略する。
【0034】
以上、構成について説明した。次に、ランダムミシン加工機における動作について説明する。ランダムミシン加工機における動作の過程をフロー図として図9に示す。特に、説明しないが下記の動作の過程は連続フォーム100のOS側の領域とGS側の領域の両方に対する独立したミシン加工の動作の過程として行なわれる。
まず、図9のステップS101(連続フォーム給送)において、給紙部10は巻取体の連続フォーム100を巻き解いてミシン加工を行なうOS側加工部20、GS側加工部30に連続フォーム100を送給する。この送給は、通常は連続的に行われ、ステップS109(終了)においてランダムミシン加工を終了(機械停止)するまで継続する。
次に、ステップS102(走行検出)において、走行検出手段50は連続フォーム100の走行を検出して連続フォーム100の走行速度、走行距離、等の走行信号を出力する。制御手段80はその走行信号を入力する。この走行検出は、通常は連続的に行われ、ステップS109(終了)においてランダムミシン加工を終了(機械停止)するまで継続する。
【0035】
次に、ステップS103(タイミングマーク検出)において、タイミングマークセンサ60は連続フォーム100における各枚目に印刷されているタイミングマーク101を検出しマーク信号を出力する。制御手段80はそのマーク信号を入力する。このタイミングマーク検出は、当然ながら間欠的に行われる。
次に、ステップS104(バーコード検出)において、バーコードリーダ70はマーク信号と走行信号に同期してミシン指示バーコード102を読取りミシンパターン情報を出力する。このマーク信号と走行信号に同期して読取る方法としては、たとえば、次の方法が適用される。バーコードリーダ70はバーコードの読取り動作を繰り返し行なうことができるが、読取領域にバーコードが存在しないときには読取エラーを出力する。一方、制御手段80はマーク信号と走行信号を入力しており、連続フォーム100に印刷されたミシン指示バーコード102が読取領域に到達しその領域に存在する期間を演算することができる。バーコードリーダ70は、その期間においてミシン指示バーコード102を読取ることによって得られたミシンパターン情報を出力する。
【0036】
次に、ステップS105(ミシンパターン情報入力)において、制御手段80はミシン指示バーコード102がバーコードリーダー7の読取領域に到達しその領域に存在する期間にバーコードリーダー7が読取ったミシンパターン情報を入力する。
次に、ステップS106(制御演算)において、制御手段80はミシンパターン情報に基づいて制御演算を行いミシン加工のための操作信号をマーク信号と走行信号に同期した操作信号として生成する。ミシンパターン情報は、すでに説明したように、ミシン指示バーコード102において15桁目から16桁目の2桁が割当てられたミシンパターンの部分である。したがって、2桁の文字列であるミシンパターン情報に基づいて、制御手段80は、その記憶装置に登録されている実際のミシン加工の形態を読込む。すなわち、制御手段80は、連続フォーム100において縦ミシン加工を行なう位置、横ミシン加工を行なう位置を取得する。そして、制御手段80は、その位置の縦ミシン加工用に設けられた縦ミシンホイールを選択し、対応する電磁弁を操作しエアーシリンダーを動作させその選択した縦ミシンホイールを加工位置とする縦ミシン操作信号を所定のタイミングで出力する。また、制御手段80は、横ミシン加工の位置に横ミシン加工が正確に行なわれるように横ミシン操作信号を演算し、サーボモータのドライバーに対してその横ミシン操作信号を出力する。
【0037】
次に、ステップS107(ミシン加工)において、縦ミシン加工手段(OS)210、横ミシン加工手段(GS)220、縦ミシン加工手段(OS)310、横ミシン加工手段(GS)320の各々は、各々の操作信号を入力する。そして、それらのミシン加工手段は、OS側加工部20とGS側加工部30を連続フォーム100が走行する間に、連続フォーム100に対してその操作信号に従ったミシン加工を行う。
次に、ステップS108(ジグザグ折)において、折部40はランダムミシン加工を行なった連続フォーム100をジグザグ折し折連続フォーム200を得る。なお、各枚葉フォームにおける境界のミシン目、すなわちジグザグ折のためのミシン加工は、上述のランダムミシン加工において行うことが可能である。また、ランダムミシン加工とは別工程としてそのジグザグ折のためのミシン加工を行なっておいてもよい。
次に、ステップS109(終了?)において、連続フォーム100におけるミシン加工すべき部分のすべてについてミシン加工が済んでいないときにはステップS101に戻って、前述した以降のステップを繰り返す。そのすべてのミシン加工が済んでいるか、オペレータの操作等による終了の割込入力、その他の停止信号入力、等があったときには一連のランダムミシン加工を終了とする。ステップS101〜S108の過程において、2UP連続フォームの場合には、連続フォーム100における左右(GS側とOS側)に配置する各1枚の枚葉フォームのミシン加工が終了する。したがって、ステップS101〜S108の過程は連続フォーム100において結合している各1枚の枚葉フォームの数だけ繰り返される。
【0038】
以上、動作について説明した。次に、ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例について説明する。ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例を図10〜図14に示す。全くランダムミシン加工を行なわれないミシンパターンの一例をミシンパターン1とすると、ランダムミシン加工が行われているミシンパターンはミシンパターン2から始まる。
【0039】
図10はミシンパターン2を示す図である。このミシンパターン2においては、OS側の領域もGS側の領域も同様のランダムミシン加工が行われている。OS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン1の1箇所、横ミシン加工は横ミシン1、横ミシン2、横ミシン3の3箇所である。また、GS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン3の1箇所、横ミシン加工は横ミシン5、横ミシン6、横ミシン7の3箇所である。
図11はミシンパターン3を示す図である。このミシンパターン3においては、OS側の領域もGS側の領域も同様のランダムミシン加工が行われている。OS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン1と縦ミシン2の2箇所、横ミシン加工は横ミシン1、横ミシン2、横ミシン3の3箇所である。また、GS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン3と縦ミシン4の2箇所、横ミシン加工は横ミシン5、横ミシン6、横ミシン7の3箇所である。
図12はミシンパターン4を示す図である。このミシンパターン4においては、OS側の領域もGS側の領域も同様のランダムミシン加工が行われている。OS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン1の1箇所、横ミシン加工は横ミシン1、横ミシン2の2箇所である。また、GS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン3の1箇所、横ミシン加工は横ミシン5、横ミシン6の2箇所である。
図13はミシンパターン5を示す図である。このミシンパターン5においては、OS側の領域もGS側の領域も同様のランダムミシン加工が行われている。OS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン1の1箇所、横ミシン加工は横ミシン4の1箇所である。また、GS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン3の1箇所、横ミシン加工は横ミシン8の1箇所である。
図14はミシンパターン6を示す図である。このミシンパターン6においては、OS側の領域もGS側の領域も同様のランダムミシン加工が行われている。OS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン1の1箇所、横ミシン加工は0箇所である。また、GS側の領域において、縦ミシン加工は縦ミシン3の1箇所、横ミシン加工は0箇所である。
【0040】
図10〜図14に示す一例においては、OS側の領域もGS側の領域も同様のランダムミシン加工が行われている一例であるが、ランダムミシン加工機の構成から明らかなように、OS側の領域とGS側の領域の各々に対して全く異なるランダムミシン加工を行なうことができる。また、縦ミシン加工も縦ミシン1〜縦ミシン4に限定されず任意の位置の縦ミシン加工を任意数(上限は設置した縦ミシンホイールの数による)だけ行なうことができる。同様に、横ミシン加工も横ミシン1〜横ミシン8に限定されず任意の位置の横ミシン加工を任意数(上限は設置したミシン胴の数による)だけ行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のランダムミシン加工機の検証装置における構成の一例をブロック図として示す図である。
【図2】本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるデータ処理の過程を示すフロー図である。
【図3】ランダムミシン加工機の加工対象(原反)である連続フォームの一例を示す図(その1)である。
【図4】ランダムミシン加工機の加工対象(原反)である連続フォームの一例を示す図(その2)である。
【図5】加工対象の連続フォームに印刷されているバーコード(ミシン指示バーコード)の内容について一例を示す説明図である。
【図6】本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるログデータの表示の一例を示す図である。
【図7】本発明のランダムミシン加工機の検証装置におけるログデータの印刷の一例を示す図である。
【図8】ランダムミシン加工機における全体構成の一例を示す説明図である。
【図9】ランダムミシン加工機における動作の過程を示すフロー図である。
【図10】ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例(その1)を示す図である。
【図11】ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例(その2)を示す図である。
【図12】ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例(その3)を示す図である。
【図13】ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例(その4)を示す図である。
【図14】ランダムミシン加工機によってミシン加工が行われた連続フォーム200におけるミシン加工の一例(その5)を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 データ処理手段
21 縦ミシン加工(OS)機械動作検出手段
22 横ミシン加工(OS)機械動作検出手段
31 縦ミシン加工(GS)機械動作検出手段
32 横ミシン加工(GS)機械動作検出手段
10 給紙部
20 OS側加工部
30 GS側加工部
40 折部
100 巻取連続フォーム
200 折連続フォーム
50 走行検出手段
60 タイミングマークセンサ
70 バーコードリーダ
80 制御手段
210 縦ミシン加工手段(OS)
220 横ミシン加工手段(OS)
310 縦ミシン加工手段(GS)
320 横ミシン加工手段(GS)
101 タイミングマーク
102 ミシン指示バーコード
103 縦ミシントンボ
104 横ミシントンボ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枚葉フォームと、その枚葉フォームの各枚目の位置を示すタイミングマークと、枚葉フォームの各枚目のミシンパターン情報が含まれるバーコードが印刷された連続フォームに対して非定型のミシン加工を行なうランダムミシン加工機の検証装置であって、
前記バーコードリーダによるバーコードの読取をチェックする読取チェック手段と、
前記バーコードリーダで読取った読取内容の書式をチェックする書式チェック手段と、
ミシン加工の操作信号の出力をチェックする操作信号チェック手段と、
ミシン加工の機械動作をチェックする機械動作チェック手段と、
前記チェックのログデータを生成するログデータ生成手段と、
を具備することを特徴とするランダムミシン加工機の検証装置。
【請求項2】
請求項1記載のランダムミシン加工機の検証装置において、前記ランダムミシン加工機は、
走行する前記連続フォームにおける走行を検出し走行信号を出力する走行検出手段と、
前記走行する連続フォームにおける前記タイミングマークを検出してマーク信号を出力するタイミングマークセンサと、
前記バーコードを前記マーク信号と前記走行信号に同期して読み取りミシンパターン情報を出力するバーコードリーダと、
前記ミシンパターン情報に基づいて制御演算を行い前記ミシン加工のための操作信号を前記マーク信号と前記走行信号に同期して生成する制御手段と、
前記操作信号の1つである横ミシン操作信号を入力して前記連続フォームに対して横ミシン加工を行なう横ミシン加工手段と、
前記操作信号の1つである縦ミシン操作信号を入力して前記連続フォームに対して縦ミシン加工を行なう縦ミシン加工手段と、
を具備することを特徴とするランダムミシン加工機の検証装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のランダムミシン加工機の検証装置において、OK品(良品)とNG品(不良品)の区別を明示して前記ログデータのすべてを表示または印刷する全結果出力と、NG品だけを表示または印刷するNG品出力のいずれか、または両方を指定により行うログデータ出力手段を具備することを特徴とするランダムミシン加工機の検証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−226540(P2009−226540A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74748(P2008−74748)
【出願日】平成20年3月22日(2008.3.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】